JP2007120902A - 木材の乾燥方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の木材の乾燥方法は、角材10の相隣接する2側面10A,10Aに一対の変位計固定用治具6A,6A(又は6B,6B)を固定し、一対の変位計固定用治具6A,6A(又は6B,6B)間に固定した変位計7A(又は7B)により、乾燥中の角材に生じる変位を計測しながら該角材の乾燥を行うことを特徴とする。本発明の木材の乾燥方法は、角材に生じる変位の計測結果に基づき、乾燥条件を制御しながら乾燥を行うか、前記角材に生じる変位の計測結果に基づき、材面割れ及び/又は内部割れを低減できる乾燥ケジュールを設定し、該乾燥スケジュールに従って、同様の角材の乾燥を行うことが好ましい。
【選択図】図2
Description
近年、スギ、ヒノキ芯持ち角材の乾燥中に生じる材面割れを低城する高温乾燥法が開発され普及してきた。この高温乾燥法は、乾燥初期に乾球温度120℃の乾燥により、表層にドライングセットを形成することで、材面割れが少なくなるといわれている。高温乾燥法によれば、材面割れが比較的減少するが、十分ではないのが実情である。
また、材面割れは高温乾燥初期において、乾球温度120℃の持続時間が十分ではない場合、いわゆるドライングセット形成の層が浅く、まだ引張応力が表層に存在している状態で発生すると考えられている。
そして、材面割れを防ぐため、過剰に乾球温度120℃の持続時間を長くすると、ドライングセット形成の層は深くなるが、乾燥速度が速いため、表層のドライングセット層の内側の部分が120℃の乾球温度のため、急速に内層の一部に収縮が始まり、この内層の部分が表層のドライングセットに強く拘束され、そのため引張応力が増大して内部割れが起こるといわれている(特許文献1参照)
しかし、高温の乾燥室内から試験材を取り出して計測した場合には、乾燥室内の被乾燥材の乾燥中に生じる内部応力を連続して直接計測していないので、応力の変化推移を把握できない。そのため、乾燥中のどの時点まで、乾球温度120℃の条件を持続させることが適正であるかを推測することが難しい。まして、乾燥条件は、乾燥初期に乾球温度を120℃とする以外の条件の適用も考えられ、乾燥条件は様々である。従って、スライス法のみでは、適正な乾燥条件の把握が困難である。
尚、乾燥中の木材内部の含水率と材温とを測定し、含水率が繊維飽和点程度になったときに乾球温度を下げ、応力を緩和して内部割れを抑制する木材の乾燥方法が知られている(特許文献2参照)。しかし、その乾燥方法は、木材内部の含水率と材温という間接的情報にて応力を判断している。これも、直接に乾燥中の木材の挙動を計測していないため、内部割れの発生する挙動を瞬時に計測していないので、制御範囲が広くならざるを得ない。
また、本発明の目的は、乾燥中の木材が膨張及び/又は収縮することにより生じる変位を簡便に計測可能であり、材面割れ及び/又は内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
また、本発明の木材の乾燥方法によれば、乾燥中の木材が膨張及び/又は収縮することにより生じる変位を簡便に計測可能であり、その計測結果を利用することにより、材面割れ及び/又は内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことができる。
本発明の木材の乾燥方法の実施には、温度及び湿度を制御可能な乾燥室を備えた乾燥装置が好ましく用いられる。図1は、斯かる乾燥装置の一例を示すもので、乾燥室1内に収容した木材10を、該乾燥室1内の温度及び湿度の制御下に乾燥可能である。図1の木材の乾燥装置は、乾燥すべき木材10を収容する乾燥室1と、乾燥室1内に蒸気を噴射する蒸射機構2と、乾燥室1内の空気を加熱する加熱機構3と、乾燥室内1に外気を導入する給気機構4と、乾燥室内1の空気を外部に排気する排気機構5とを具備している。そして、蒸射機構2による蒸射、加熱機構3による加熱、給気機構4による給気、及び排気機構5による排気を、弁の開閉等により適宜に制御することにより、乾燥室1内の温度及び湿度を所望の温度及び湿度に制御することができるようになっている。特に説明しない点は、従来公知の機構等を採用することができる。
他方の組である、変位計固定用治具6B,6B及び変位計7Bは、木材の表層のドライングライグセット形成状態の監視を主目的するものである。変位計固定用治具6B,6Bは、図3(b)に示すように、角材10の相隣接する2側面10A,10Aそれぞれにおける、該2側面がなす角部C寄りの領域Sに固定することが好ましい。各側面10Aにおける前記領域Sは、各側面10Aの幅を3等分して3領域に区分したときに、幅方向中央領域Mよりも角部C側に位置する領域である。
変位計固定用治具6A,6Bの前記側面10Aに対する固定箇所は、該側面10Aとそれに対向する変位計固定用治具6A,6Bの面との間にズレが生じないように固定される部分、即ち固定部61(特に螺子62等の固定具の中心位置)の位置を基準として判断する。
本実施形態においては、図2及び図3に示すように、ひずみゲージを内蔵した中央部71とその前後に延出する円弧状のアーム部72,72とを備えたクリップ型の変位計を用いている。本実施形態のクリップ型の変位計は、アーム部の両端部73,73間の距離L〔図3(a)参照〕の変化を、電気抵抗、電圧、電流等の変化として出力可能なものである。
クリップ型変位計及び変位計固定用治具としては、それぞれ、図2及び図3に示すような形態を有する、(株)東京測器研究所のクリップ型変位計「RA−5SH」及び専用変位計取付用治具PS3−14668を特に好ましく用いることができる。この変位計取付用治具には、図4に示すように、角材10の側面10Aの幅方向における両端部に、クリップ型変位計の両端部73と係合する爪66が形成されている。クリップ型の変位計は、前記両端部間の距離Lを自然状態における距離よりも狭められた状態で一対の変位計取付用治具間に固定される。
尚、一対の変位計固定用治具は、側面10Aの幅方向と同方向における端部以外の部分に、変位計(クリップ型変位計等)の端部を位置させ、該変位計を固定するものであっても良い。
角材に生じる変位は、例えば、変位計7A,7Bをデータロガーに接続して記録するとともに、変位計7A,7Bから出力される電気的な信号(電圧の変化等)を視認できるかたち(チャート等)に変換して、モニターやプリンター等に出力させる。図1に示す例においては、変位計7A,7Bそれぞれは、パーソナルコンピューターを主体として構成され且つデータロガーとしての機能を併せ有する制御演算部8に電気的に接続されており、該制御演算部8において、変位計7A,7Bからの電気的な信号が、所定の演算により、クリップ型変位計の両端部間の距離Lの変化量(変位量)に変換され、その変化量(変位量)が、連続的に表示手段9及び/又はプリンター11上に出力されると共に、連続的に記録されるようになっており、表示された変位量を見ながら、入力手段12から所定の指令を入力することにより、乾燥室1内の温度及び湿度を適宜所望の値に変更できるようになっている。
(予備試験1)
被乾燥材であるスギ柱材(芯持ち角材、背割りなし、断面寸法11.5cm×11.5cmの正角材、長さ300cm)の相隣接する2側面に、図2及び図3(b)に示すように、一対の変位計固定用治具6B,6Bを固定し、これらの間に変位計7Bを固定した。変位計固定用治具6B,6Bは、スギ柱材の長手方向の一端(木口面)から100cmの位置に固定し、また、前記2側面がなす角部Cから固定用の螺子62の中心までの距離が27mmとなる位置に固定した。
また、図2及び図3(a)に示すように、同じスギ柱材における、上記一対の変位計固定用治具6B,6Bを固定した2側面と同じ2側面に、変位計固定用治具6B,6Bの固定位置から5cm離間させて、一対の変位計固定用治具6A,6Aを固定した。変位計固定用治具6A,6Aは、相隣接する2側面がなす角部Cから固定用の螺子62の中心までの距離が57.5mmとなるように固定した。そして、これらの変位計固定用治具6A,6A間に変位計7Aを固定した。
図5に示す乾燥スケジュールについて説明する。
乾燥機内に水蒸気を噴射し、96℃にて初期蒸煮を8時間行った。初期蒸煮は、木材水分の均一化と木材を軟化することで、木材内の応力を緩和して、割れの発生を抑制するために行う。続いて、乾球温度を116℃に昇温させ2時間保持した後、乾球温度を120℃に昇温させ乾燥を進め、乾燥終了まで乾球温度120℃を持続させた。乾燥時間は72時間であった。
この乾燥スケジュールにおいて計測された各変位を説明する。
短軸の変位量は、蒸煮後、乾燥開始約12時間後負側へ急激に変位して収縮の進行を示し、乾燥開始約30時間においてほぼ平衡状態になった。平行状態に達するまでの高温乾燥時間(乾球温度116℃を含めた120℃持続時間)は22時間であった。一方、長軸の変位量は、蒸煮後、顕著な正側への変位を示した。これは木材の熱膨張によるものと考えられる。乾燥開始約14時間後に急激に負側へ変位して、乾燥開始約30時間後に負の値になり、乾換開始約36時間後まで顕著な負側への変位を示した。
乾燥開始72時間後、乾燥機内から試験材を取り出して観察したところ、材面に割れは認められなかったが、変位計を取り付けた部分を鋸断して角材の横断面を観察したところ、内部割れが認められた。
予備試験1で用いたものと同様のスギ柱材に、二組の変位計固定用治具及び変位計を、共通する2側面に、予備試験1における変位計固定用治具6B,6B及び変位計7Bと同様にして固定した。そして、これらの2本の変位計(何れも短軸の変位測定用)を用いて、乾球温度120℃の持続時間の不足による材面割れの発生を検証した。そのときの乾燥スケジュール及び両短軸の変位量を、図6のグラフに示した。乾燥スケジュールは、乾燥開始後14時間はグラフに示すように蒸煮を行い、乾燥開始14時間後、乾球温度120℃へ昇温して12時間持続後(乾燥開始後26時間)、乾球温度を105℃へ降温し、2時間後再び乾球温度120℃へ昇温して6時間持続した後(乾燥開始後約34時間)、乾球温度90℃を24時間(乾燥開始58時間)、続いて105℃を35時間(乾燥93時間)にて終了した。
終了後、乾燥機内から取り由し、材面を観察したところ、材面の一面に貫通した割れが認められた。内部割れは材面割れが生じたことにより認められなかった。この結果、乾球温度120℃の持続時間が12時間では、2本の変位計により計測した何れの変位も平衡状態に達しておらず、以降の乾球温度の変化に変動している。これは、表層にドライングセットが十分に形成されていないため、材面割れが発生したことを明らかに示している。
(1)短軸の変位がほぼ平衡状態になるまで高温(例えば120℃)での乾燥を継続して材面割れを防ぐこと、
(2)ほぼ平衡状態に達した時点から乾球温度を降温して急激な乾燥による内層部の収縮を避けること、及び
(3)その後の長軸の変位が急激に負側に変化しないよう、変位を観測して、乾球温度の制御により内部割れの発生を抑制することが重要であることが判る。
被乾燥材として栃木産の製材直後のスギ柱材(芯持ち角材、背割りなし、断面寸法11.5cm×11.5cmの正角材、長さ300cm)の相隣接する2側面に、予備試験1と同様に、変位計7A及び変位計7Bを固定した。
そして、このスギ柱材の乾燥を行った。図7は、この乾燥における、乾球及び湿球温度の履歴及びその過程における短軸及び長軸の変位の履歴を示すグラフである。
スギ材は、一般的に生材時の含水率が高く、それぞれ個々の水分のばらつきが大きい。そのため、乾燥初期にばらつきを小さくして、個々の乾燥状態(含水率)を均一にしておくことが、良好な乾燥をする重要なポイントになる。特に表層の含水率の大きなばらつきは材面割れに影響する。
本実施例1においては、全数の表層の含水率をできるだけ均一にするように、乾球及び湿球温度70℃の条件を6時間維持した後、乾球温度70℃、湿球温度67℃、関係湿度87%の条件で、乾燥及び調湿の前処理を18時間行った。その後、95℃で6時間蒸煮した。上記の前処理により、木材の表層部の乾燥状態が木材の全数において一様となり、その後の乾球温度120℃の乾燥において、ドライングセット形成が短時間にムラなくできるものと考える。
実施例1で用いたスギ柱材と同一産地、同一形態のスギ柱材を、乾球温度及び湿球温度が、実施例1の乾燥と全く同じように推移するように制御して乾燥した。変位計は取り付けなかった。乾燥終了後、木材を観察したところ、材面割れと内部割れは認められなかった。
尚、短軸の変位量を計測するための変位計と、長軸の変位量を計測するための変位計のいずれか一方のみを固定して乾燥を行っても良く、また、短軸の変位量を計測するための変位計と、長軸の変位量を計測するための変位計とで、変位計固定用治具間に固定する2側面を異ならせても良い。また、変位計を、角材の4つの角部のうちの一つの角部に固定するのに代えて、2つ、3つ、あるいは4つの角部に固定することもできる。図8は、4つの角部に固定した例を示す図である。複数の角部に変位計を固定した場合には、いずれの変位計によっても、材面割れや内部割れの恐れが観測されないような乾燥条件とすることが好ましい。
7A,7B 変位計
10 角材
10A,10A 相隣接する2側面
Claims (7)
- 角材の相隣接する2側面に一対の変位計固定用治具を固定し、一対の前記変位計固定用治具間に固定した変位計により、乾燥中の角材に生じる変位を計測しながら該角材の乾燥を行うことを特徴とする木材の乾燥方法。
- 前記角材に生じる変位の計測結果に基づき、乾燥条件を制御しながら乾燥を行う請求項1記載の木材の乾燥方法。
- 一対の前記変位計固定用治具を、前記角材の相隣接する2側面それぞれにおける幅方向中央領域に固定する請求項1又は2記載の木材の乾燥方法。
- 一対の前記変位計固定用治具を、前記角材の相隣接する2側面それぞれにおける、該2側面がなす角部寄りの位置に固定する請求項1又は2記載の木材の乾燥方法。
- 一対の前記変位計固定用治具及び前記変位計を二組固定し、一方の組の変位計固定用治具を、前記角材の相隣接する2側面それぞれにおける幅方向中央領域に固定し、他方の組の変位計固定用治具を、該角材の相隣接する2側面それぞれにおける、該2側面がなす角部寄りの領域に固定する請求項3又は4記載の木材の乾燥方法。
- 前記変位計として、クリップ型変位計を用いる請求項1〜5の何れかに記載の木材の乾燥方法。
- 角材の相隣接する2側面に一対の変位計固定用治具を固定し、一対の前記変位計固定用治具間に固定した変位計により、乾燥中の角材に生じる変位を計測しながら該角材の乾燥を行ない、その乾燥の際に得られた、前記角材に生じる変位の計測結果に基づき、材面割れ及び/又は内部割れを低減できる乾燥スケジュールを設定し、該乾燥スケジュールに従って、同様の角材の乾燥を行うことを特徴とする木材の乾燥方法。
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