JP2007127424A - 高脂血症またはその発症リスクの判定方法、総コレステロール測定方法およびキット - Google Patents

高脂血症またはその発症リスクの判定方法、総コレステロール測定方法およびキット Download PDF

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貴 田中
Shuko Numata
修子 沼田
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Abstract

【課題】非侵襲、非観血的に採取可能なサンプルにより、動脈硬化や高脂血症の危険因子である総コレステロールを測定し、高脂血症またはその発症リスクの判定を可能とすること。
【解決手段】汗中総コレステロールを測定することを特徴とする高脂血症またはその発症リスクの判定方法である。汗としては皮膚表面に蓄積された汗をエタノール水溶液などの液体を用いて採取されたものを用いることができる。総コレステロールの測定にはガスクロマトグラフィーが好ましく用いられる。汗中コレステロール値は血中総コレステロール値と相関することから高脂血症またはその発症リスクの判定に用いることができる。本発明は個人が簡便に実施することができるキットをも提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚表面から汗を採取し総コレステロールを測定することにより、動脈硬化や高脂血症に関する健康状態の判定、管理が可能な測定方法、および汗中に存在する総コレステロールの診断キットに関する。
血液中の総コレステロール値は、動脈硬化、高脂血症の診断、予防マーカーとして非常に重要な指標として用いられており、医療現場では採血により採取したサンプルを検査室や検査会社において高額でしかも大型の機器を用いて求められる。また、このような測定の機会は重篤な患者を除けば、リスクの高い患者予備軍であっても気軽に測定を行うことは不可能であり、年に数回の健康診断において測定されるのみであり、確実な疾病予防には極めて不十分である。
また近年、簡便に小型の装置を用いて指先から採取した血液中の総コレステロール値を測定できる機器が考案されているが(特許文献1)、未だ実用化はされておらず、さらには採血のため指を針で刺すことは苦痛を伴ううえに、感染症に罹患する危険がある。
血液以外の体液からコレステロールの測定が可能であれば患者は痛みを伴うこともなく非侵襲かつ非観血的に健康疾病マーカーの確認を気軽に行うことができる。これまで涙中にコレステロールが存在することは知られている(非特許文献1)が、汗中にコレステロールが存在するか否かは知られていなかった。
特開2001−343348号公報 アチーブメント オブ オフタルモロジー(Archievement of Ophtalmology) 1976年、第36巻、p.155-160
以上の従来技術の問題点に鑑み、総コレステロール値測定のための試料サンプリングは、非侵襲かつ非観血に行えるなど被験者の生理的負荷が少ないことが望ましい。また、日常的にサンプリングが行え、手軽に在宅で可能な総コレステロールのサンプリング法が望ましい。
そこで、本発明は上記状況に鑑みて、被験者への負荷を軽減し、かつ簡便で手軽に実施することができる汗中に存在する総コレステロールを測定することによる高脂血症の判定方法および総コレステロール測定キットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、鋭意検討の結果、本発明者らは汗中にコレステロールおよびコレステロールエステル類が出てくることを見出した。そこで、汗を採取し、その中の総コレステロール濃度を測定したところ、得られた測定値は血中総コレステロール値と相関しており、汗中の総コレステロール値が健康疾病マーカーとして簡易的に採取、測定可能であることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)汗中総コレステロールを測定することを特徴とする高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(2)汗が皮膚表面から液体を用いて採取されたものであることを特徴とする上記(1)記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(3)液体がアルコールの水溶液であることを特徴とする上記(2)記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(4)アルコールがエタノールであることを特徴とする上記(3)記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(5)液体が界面活性剤を含んだ水溶液であることを特徴とする上記(2)記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(6)汗が、洗浄後よく乾燥した皮膚に、所定の時間静置して蓄積されることにより採取された汗であることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(7)皮膚が手指の皮膚であることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれか記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(8)汗を含む液体をサンプルとし、これを酸処理後、ガスクロマトグラフィーを用いて総コレステロールの測定を行うことを特徴とする上記(1)から(7)のいずれか記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(9)ガスクロマトグラフィーに先立ちサンプルをBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化することを特徴とする上記(8)記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
(10)汗から採取された汗中総コレステロールを測定対象とするキット。
(11)皮膚表面より汗を採取するための液体を含むことを特徴とする上記(10)記載のキット。
(12)液体がアルコール水溶液であることを特徴とする上記(11)記載のキット。
(13)アルコール水溶液がエタノール水溶液であることを特徴とする上記(12)記載のキット。
(14)液体が界面活性剤の水溶液であることを特徴とする上記(11)記載のキット。
(15)酸処理された汗を含む液体をガスクロマトグラフィーにより分析する方法を用いることを特徴とする上記(10)から(14)のいずれか記載のキット。
(16)酸処理された汗を含む液体中の総コレステロールをさらにBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化する方法を含むものであることを特徴とする上記(15)記載の高脂血症またはその発症リスクの判定用キット。
(17)汗中総コレステロールを測定することを特徴とする総コレステロールの測定方法。
(18)酸処理された生体サンプルをBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化し、ガスクロマトグラフィーにより分析することを特徴とする総コレステロールの測定方法。
(19)生体サンプルが皮膚表面から採取された汗であることを特徴とする上記(17)または(18)記載の総コレステロールの測定方法。
本発明によれば、非侵襲かつ非観血に被験者の生理的負荷の少ない総コレステロール値の測定が可能となる。これにより、日常的にサンプリングが行え、手軽に在宅で可能な総コレステロールのサンプリングが可能となる。
このように簡便で手軽に汗中に存在する総コレステロールを測定することにより、動脈硬化、高脂血症の健康疾病マーカーを日常的に測定管理し、重篤な疾患の予防を図ることが可能となる。
本発明で測定される総コレステロールとは生体由来の体液などから得られるコレステロールおよびコレステロールエステル類の総称である。コレステロールエステルは脂肪酸とコレステロールがエステル結合したものであり、コレステロールエステル類にはコレステリルリノレエイト(cholesteryl linoleate)、コレステリルオレエイト(cholesteryl oleate)、コレステリルアラキドネイト(cholesteryl arachidonate)などが知られている。
血液中の総コレステロール値は動脈硬化、高脂血症の指標として知られており、高い状態が続くと動脈硬化に由来する心筋梗塞、脳梗塞の原因ともなり、また肥満のマーカーともなるなど健康疾病マーカーとして極めて有用である。
従来は、病院などにおいて採血針により侵襲的に血液を採取し測定するほか手段がなく、気軽に総コレステロールを測定するためのサンプルを採取する手段がないため、測定の機会は限られていた。本発明では皮膚表面より採取した汗中にコレステロール、コレステロールエステルが存在し、それらを測定した結果が血中総コレステロール値と相関することから、新たな高脂血症またはその発症リスクの判定方法となりうることを開示する。また同時に汗中の総コレステロールを測定するためのキット、汗サンプルをBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化し、ガスクロマトグラフィーにより分析することを特徴とする汗中総コレステロールの測定方法を開示する。
汗の採取は、汗中に存在する総コレステロールが採取でき、測定できるのであれば、どのような方法を使っても差し支えない。皮膚に布、紙、ガーゼを押し当てることや、運動時、入浴時などには汗の液滴を採取することによっても回収可能である。
好適には、液体を皮膚に接触させた後、その液を回収することにより採取可能である。液体としては、水溶液、特にアルコールの水溶液であることが好ましい。また上記液体は界面活性剤を含むものであることも好ましい。上記アルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロパノ−ルなどが使用可能であり、界面活性剤としてはn-オクチルグルコピラノシド、DKエステル、n-Decanoyl-N-methylglucamide(MEGA-10)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween20)、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシルマルトシドなどが使用可能である。好ましくは70%エタノール水溶液である。
またこれら水溶液の皮膚への接触方法としてはいかなる方法でも実施可能であるが、好ましくは霧状に水溶液を塗布することのできる小型噴霧器(松下電工製INHALERなど)により皮膚に水溶液を噴霧し、その液を治具を用いて回収することで皮膚からの汗の採取が可能となる。または適当な容器に入った水溶液を皮膚に押し当てることでも汗の採取は可能であるため、上記治具としては容器であってもよいし、スポイト、管など吸引もしくは毛細管現象を利用して回収できる治具であってもよい。
採取する皮膚の部位については、体のどこの部位から採取してもよい。汗の採取は、顔、首、背中、腹、腕、手の甲、てのひら、手指、もも、足の裏などさまざまな部位から可能であることが確認されているが、採取の容易さを考慮すると手指、腕からの採取が好ましいと考えられる。
また採取時間については、どのような時間であっても検出に十分な総コレステロール量が得られれば問題はないが、5分以上であることが好ましく、20分以上であることがより好ましい。
具体的な採取方法としては、皮膚表面を十分に洗浄したのち、清浄に拭き取るなどして乾燥させ、その後静置して汗の染み出しにより供給される体液などから得られる総コレステロールを皮膚表面に蓄積させる方法が好ましい。それを前述の回収方法により回収したときに得られる総コレステロール量を適当な分析法により測定する。
なお、皮膚表面には正確に言うと、汗の他、皮膚細胞からの成分、皮膚組織からの成分、浸出液からの成分がありうるが、本発明において汗を採取する際、このような汗以外の成分が含まれていてもかまわない。
汗中総コレステロールの測定は、どのような方法を用いても測定可能であるが、例えば、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによるもの、コレステロールオキシダーゼによる酸化反応を利用した発色反応、電気化学反応などの酵素法が利用可能である。クロマトグラフィーによる測定の場合にはコレステロールエステル類は酸処理などによりコレステロールに変換してから測定するのが好ましく、酵素反応の場合にはコレステロールエステラーゼのような酵素によりコレステロールに変換してから測定するのが好ましい。さらに好ましくは、酸処理された汗サンプルをガスクロマトグラフィーにより分析する方法であり、この場合検出を容易にする、あるいは高感度にする目的でサンプルを誘導体化することが有効である。誘導体の種類としてはコレステロールを効率よく誘導体化できる物質であればどのようなものでも利用可能であるが、好ましくはBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)を用いる。
なお、このBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化して、ガスクロマトグラフィーにより分析する方法は、汗から採取したサンプルの他、その他の生体サンプルを用いた場合にも有効に用いることができる。
また汗をサンプルとしたキットには、汗中のコレステロールの測定に必要などのようなものでも含むことができる。好ましくは、上記で述べた汗の採取に必要となる液体および治具を含むことが望ましい。上記液体、治具、その他測定方法については前述と同様である。
測定にあたっては、簡易な方法で可能であればキットに測定のための試薬、測定装置を含むことができるが、ガスクロマトグラフィーでの測定を採用する場合には、その場で測定することは不可能であり、その場合、キットに含まれる採取用の液体、治具で採取されたサンプルを郵送などで専門機関に送付し、そこで測定された結果を被験者に返還する仕組みなどが考えられる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例1.
以下のような状態の被験者より指先皮膚より汗を採取し、そのコレステロール濃度を測定した。
20代女性
サンプル1:軽食摂取後3時間
サンプル2:肉類を含む食事摂取後2時間
指の第2関節より先の部分(表面積50平方センチメートル)を70%エタノール、蒸留水でよく洗浄後、乾燥し、25分間安静にした後、小型噴霧器(松下電工製INHALER)を用いて70%エタノール水溶液を10秒間噴霧し、指の第2関節より先の部分に存在する液を可能な限り全量チューブに回収した。回収量は約400μLであった。回収液を真空乾燥した後、0.1M塩酸を30μL加えコレステロールエステルを加水分解した後、さらに真空乾燥した。さらに30μLのBSTFA(N,O-Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide)を加えて室温で2時間反応させ、誘導体化した。
上記で調製したサンプルを以下の条件でガスクロマトグラフを行った。
キャピラリ1: 5m in length, 0.25mm inner diameter, HP-5
キャピラリ2: 25m in length, 0.25mm inner diameter, trimethylsilyl treatment
これらカラムを連結して使用し行ったガスクロマトグラフィー結果の一例を図1に示す。
その結果、クロマトグラム上9.7分に標準コレステロールと保持時間の一致するピークが確認されたため、本ピークのマススペクトルを確認した。その結果を図2に示す。標準コレステロールのマススペクトルパターンの分析やデータベース解析の結果、本ピークはコレステロールであることが確認できた。それぞれ標準コレステロールのピーク面積から換算するとサンプル1では150μM、サンプル2では850μMのコレステロール濃度が含まれることがわかった。
実施例2.
20〜40代の男女4人の被験者より、血液を採取し、その後実施例1と同様の方法で汗を採取した。
汗中総コレステロール値については実施例1と同様の方法で測定した。汗蓄積前の洗浄直後の採取サンプルをバックグランドとして、25分間蓄積した汗中のコレステロール値を測定した。また被験者の血漿中総コレステロール値も測定し、それらの結果を表1に示し、それらの相関を図3に示した。すなわち、図3は汗中コレステロール値と血漿中コレステロール値の相関を示すグラフである。
その結果、汗中のコレステロール値と血漿中コレステロール値の間にはゆるやかな相関があることが確認された。したがって、汗中のコレステロール値を測定することで、高脂血症の判定もしくはその発症リスクの判定が可能であることがわかる。
Figure 2007127424
本発明によれば、汗中の総コレステロールを測定することにより、動脈硬化や高脂血症の危険因子の測定が可能となるものであり、医療現場における診断用途などに有益に使用可能である。また非侵襲、非観血的に採取可能なサンプルにより測定可能であることから、生活習慣病の予防を目的とした家庭での個人で測定可能な健康管理測定キットとしても有用である。また、人間のみならず動物においても利用可能である。
実施例で測定した汗サンプルのガスクロマトグラフィー結果である。 実施例で測定した汗サンプル中のコレステロールピークのマススペクトル結果である。 汗中コレステロール値と血漿中コレステロール値の相関を示すグラフである。

Claims (19)

  1. 汗中総コレステロールを測定することを特徴とする高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  2. 汗が皮膚表面から液体を用いて採取されたものであることを特徴とする請求項1記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  3. 液体がアルコールの水溶液であることを特徴とする請求項2記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  4. アルコールがエタノールであることを特徴とする請求項3記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  5. 液体が界面活性剤を含んだ水溶液であることを特徴とする請求項2記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  6. 汗が、洗浄後よく乾燥した皮膚に、所定の時間静置して蓄積されることにより採取された汗であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  7. 皮膚が手指の皮膚であることを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  8. 汗を含む液体をサンプルとし、これを酸処理後、ガスクロマトグラフィーを用いて総コレステロールの測定を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  9. ガスクロマトグラフィーに先立ちサンプルをBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化することを特徴とする請求項8記載の高脂血症またはその発症リスクの判定方法。
  10. 汗から採取された汗中総コレステロールを測定対象とするキット。
  11. 皮膚表面より汗を採取するための液体を含むことを特徴とする請求項10記載のキット。
  12. 液体がアルコール水溶液であることを特徴とする請求項 11記載のキット。
  13. アルコール水溶液がエタノール水溶液であることを特徴とする請求項12記載のキット。
  14. 液体が界面活性剤の水溶液であることを特徴とする請求項11記載のキット。
  15. 酸処理された汗を含む液体をガスクロマトグラフィーにより分析する方法を用いることを特徴とする請求項10から14のいずれか記載のキット。
  16. 酸処理された汗を含む液体中の総コレステロールをさらにBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化する方法を含むものであることを特徴とする請求項15記載の高脂血症またはその発症リスクの判定用キット。
  17. 汗中総コレステロールを測定することを特徴とする総コレステロールの測定方法。
  18. 酸処理された生体サンプルをBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)誘導体化し、ガスクロマトグラフィーにより分析することを特徴とする総コレステロールの測定方法。
  19. 生体サンプルが皮膚表面から採取された汗であることを特徴とする請求項17または18記載の総コレステロールの測定方法。
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