JP2007141461A - 固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法、および固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】生成プロトンの伝導性を高めて電池反応効率を向上させ得る、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜20と、触媒層31、41を含む電極30、40とを接合する際に、プロトン伝導性を有するアイオノマーを、固体高分子電解質膜と触媒層との間に塗布して、固体高分子電解質膜と触媒層との間に存する空隙Sにアイオノマーを充填して、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体10を製造する。
【選択図】図1
【解決手段】固体高分子電解質膜20と、触媒層31、41を含む電極30、40とを接合する際に、プロトン伝導性を有するアイオノマーを、固体高分子電解質膜と触媒層との間に塗布して、固体高分子電解質膜と触媒層との間に存する空隙Sにアイオノマーを充填して、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体10を製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法、および固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、燃料電池が車両用駆動源および定置型電源として注目されている。燃料電池は、電解質の種類や電極の種類などにより種々のタイプに分類され、代表的なものとしてはアルカリ形、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体電解質形、固体高分子形がある。この中でも低温(通常100℃以下)で作動可能な固体高分子形燃料電池(PEFC)が注目を集め、近年自動車用低公害動力源としての開発・実用化が進んでいる(特許文献1を参照)。
PEFCの構成は、一般的には、膜電極接合体(以下、「MEA」とも記載する)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、固体高分子電解質膜が一対の電極、すなわち、燃料極(アノード)および空気極(カソード)により挟持された構造を有する。各電極は、触媒層と、ガス拡散層とを含み、触媒層の片面が固体高分子電解質膜に接している。触媒層は、触媒粒子と、触媒粒子を担持するカーボン粒子などの導電性担体と、固体高分子電解質とを含んでいる。
MEAでは、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、燃料極に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、燃料極の触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらに燃料極の触媒層が接触している固体高分子電解質膜を通って、空気極の触媒層に達する。また、燃料極の触媒層で生成した電子は、燃料極の触媒層における導電性担体、燃料極のガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通って、空気極の触媒層に達する。そして、空気極の触媒層にともに達したプロトンおよび電子は、空気極に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。このような電気化学的反応を通して、燃料電池は、電気を外部に取り出すことが可能となる。
上述したように、固体高分子電解質膜と各電極の触媒層との接合部近辺において電池反応が進行することから、生成プロトンの伝導性を高めることは、電池反応効率を向上させ、MEAの性能を高める上で重要な課題となっている。
特許文献1では、電極の触媒層の表面に、固体高分子電解質膜との間の接合を行うための接合成分を混在させた被覆材を被覆しておき、ホットプレスにより、固体高分子電解質膜と電極の触媒層とを接合している。
特開平6−20710号公報
しかしながら、被覆材に混在させた接合成分をホットプレスによって半溶融する形態では、接合成分の溶融量が少なく、固体高分子電解質膜と電極の触媒層との間の十分な密着性を得ることは難しい。
また、電極の触媒層の表面は、固体高分子電解質膜の表面に比べると凹凸の程度がひじょうに大きく、ホットプレスにより固体高分子電解質膜と触媒層とを接合した後においても、触媒層と固体高分子電解質膜との間には微小な空隙が存する。この空隙の存在は、生成プロトンの伝導を阻害し、電池反応効率の低下を招くことになる。
本発明の目的は、生成プロトンの伝導性を高めて電池反応効率を向上させ得る、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法、および固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体を提供することにある。
上記目的を達成する請求項1に記載の本発明は、固体高分子電解質膜と、触媒層を含む電極とを接合する際に、プロトン伝導性を有するアイオノマーを、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に塗布して、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に存する空隙に前記アイオノマーを充填してなる、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法である。
上記目的を達成する請求項4に記載の本発明は、固体高分子電解質膜と、
触媒層を含む電極と、
前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に塗布することによって前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に存する空隙に充填され、プロトン伝導性を有するアイオノマーからなる充填層と、を有してなる固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体である。
触媒層を含む電極と、
前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に塗布することによって前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に存する空隙に充填され、プロトン伝導性を有するアイオノマーからなる充填層と、を有してなる固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体である。
本発明によれば、固体高分子電解質膜と電極の触媒層との間に存する空隙をアイオノマーからなる充填層によって無くすことができるので、生成プロトンの伝導性を高めて電池反応効率を向上させ得る、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、理解を容易にするために、図面には各構成要素や空隙Sが誇張して示されている。
図1は、本発明に係る固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体10の実施形態を模式的に示す要部断面図である。
図1を参照して、本実施形態のMEA10は、概説すれば、固体高分子電解質膜20と、触媒層31、41を含む電極30、40と、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に塗布することによって固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sに充填され、プロトン伝導性を有するアイオノマーからなる充填層50と、を有している。固体高分子電解質膜20は、一対の電極30、40、すなわち、燃料極30および空気極40により挟持されている。各電極30、40は、触媒層31、41と、ガス拡散層32、42とを含み、触媒層31、41の片面が固体高分子電解質膜20に接している。
固体高分子形燃料電池用のMEAにおいては、固体高分子電解質膜と電極の触媒層との間に空隙が存すると、固体高分子電解質膜と触媒層との間の十分な密着性を得ることが難しく、生成プロトンの伝導が阻害される。このため、電池反応効率の低下、ひいては、MEAの性能の低下を招くことになる。また、空隙に液体水が溜まってMEAの熱容量が大きくなり、燃料電池の始動時、特に、低温時に始動する際の始動能力が低下する。
これに対して、本実施形態のMEA10にあっては、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sをアイオノマーからなる充填層50によって無くすことができ、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との接触面積つまり電池反応を生じる面積が増加する。したがって、生成プロトンの伝導性を高めて電池反応効率を向上させ、MEA10の性能を高めることができる。また、空隙Sにおける液体水の残留量が減少するので、MEA10の熱容量を低減でき、低温時に燃料電池を始動する場合であっても始動能力を高めることができる。さらに、空隙Sが埋まっているので、燃料電池の稼動中においては、発生した熱を放熱し易い構造ともなる。
本実施形態のMEA10をさらに説明する。
電極30、40の触媒層31、41は、触媒粒子と、触媒粒子を担持するカーボン粒子などの導電性担体と、固体高分子電解質とを含んでいる。
触媒粒子としては、水素の酸化反応および/または酸素の還元反応に対して触媒作用を有するものであれば、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、およびこれらの合金等からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、触媒粒子は、白金単独で用いてもよいが、触媒粒子の安定性や活性を高めるために白金を主成分とする合金などであってもよい。
触媒粒子および導電性担体の表面を被覆する固体高分子電解質としては、触媒層31、41において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、Nafion(デュポン社登録商標)などのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体、リン酸などの無機酸を炭化水素系高分子化合物にドープさせたもの、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などの固体高分子電解質が挙げられる。
電極30、40のガス拡散層32、42としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。例えば、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性および多孔質性を有するシート状材料を基材とするものなどが挙げられる。より具体的には、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボン不織布などが好ましく挙げられる。
固体高分子電解質膜20としては、特に限定されず、触媒層31、41に用いたものと同様のプロトン伝導性電解質からなる膜が挙げられる。また、デュポン社製の各種のNafion(登録商標)やフレミオン(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸膜、ダウケミカル社製のイオン交換樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体樹脂膜、トリフルオロスチレンをベースポリマーとする樹脂膜などのフッ素系高分子電解質や、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂系膜など、一般的に市販されている固体高分子形電解質膜、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜、多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
充填層50を形成するアイオノマーは、固体高分子電解質膜20を形成する固体高分子電解質と同じ成分を有していることが好ましい。固体高分子電解質膜20と充填層50との間に界面が形成され難いので、生成プロトンの伝導を阻害することがないからである。充填層50を形成するアイオノマーの分子量は、固体高分子電解質膜20を形成する固体高分子電解質の分子量に比べて小さくてよい。空隙Sを埋めることができれば生成プロトンの伝導性を高めることができ、膜を形成するほどの分子量は必要ないからである。
充填層50を形成するアイオノマーはまた、触媒層31、41に用いられる固体高分子電解質と同じ成分を有していることが好ましい。触媒層31、41における固体高分子電解質と充填層50との間に界面が形成され難いので、生成プロトンの伝導を阻害することがないからである。
充填層50を形成するアイオノマーは、触媒成分を含んでいてもよいし、触媒成分を含んでいなくてもよく、いずれかに限定されるものではない。但し、触媒成分を含まないアイオノマーによれば、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sをより均一に満たすことができる。
本実施形態のMEA10は、固体高分子電解質膜20と、触媒層31、41を含む電極30、40とを接合する際に、プロトン伝導性を有するアイオノマーを、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に塗布して、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sにアイオノマーを充填することによって製造される。
固体高分子電解質膜20の側にアイオノマーを塗布する場合には、まず、固体高分子電解質膜20に弛みが生じないように、固体高分子電解質膜20にテンションを掛ける。次いで、固体高分子電解質膜20にテンションを掛けた状態で、固体高分子電解質膜20の両面のそれぞれに、アイオノマーを塗布する。アイオノマーの塗布は、例えば、スプレーによる塗布、スクリーン印刷による塗布、コータによる塗布など、適宜の方策を採用して実施される。次いで、アイオノマーが濡れている状態のままで、固体高分子電解質膜20の膨潤を防ぎながら、固体高分子電解質膜20の両面のそれぞれに電極30、40を組み付ける。これに引き続いて、熱と圧力を加えるホットプレスを所定時間行い、固体高分子電解質膜20と一対の電極30、40とを接合する。ホットプレスにより、触媒層31、41に含まれる固体高分子電解質、空隙Sを満たす充填層50に含まれるアイオノマー、および固体高分子電解質膜20に含まれる固体高分子電解質が連通した構成を有するMEA10を得る。固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sがアイオノマーからなる充填層50によって満たされているので、生成プロトンの伝導性が高まり、電池反応効率が向上し、MEA10の性能が高まる。
また、ホットプレスの温度を比較的低い温度で行っても固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sを埋めることができるので、固体高分子電解質膜20が溶融せず、固体高分子電解質膜20の機能が破壊されることを防止することができる。
各電極30、40の側にアイオノマーを塗布する場合には、まず、各電極30、40の背面側つまりガス拡散層32、42の側をホットプレート上に載置して各電極30、40を加熱し、触媒層31、41における固体高分子電解質を半溶融状態にする。次いで、触媒層31、41の表面のそれぞれに、アイオノマーを塗布する。アイオノマーの塗布は、例えば、スプレーによる塗布、スクリーン印刷による塗布、コータによる塗布など、適宜の方策を採用して実施される。次いで、アイオノマーが濡れている状態のままで、固体高分子電解質膜20の両面のそれぞれに電極30、40を組み付ける。これに引き続いて、熱と圧力を加えるホットプレスを所定時間行い、固体高分子電解質膜20と一対の電極30、40とを接合する。ホットプレスにより、触媒層31、41に含まれる固体高分子電解質、空隙Sを満たす充填層50に含まれるアイオノマー、および固体高分子電解質膜20に含まれる固体高分子電解質が連通した構成を有するMEA10を得る。塗布するアイオノマーは、半溶融状態とされた触媒層31、41表面の材料と同種の材料であり、溶融量が増えたのと同じ結果になる。したがって、固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sを満たし易く、すなわち、空隙Sへの追従性が格段に向上し、空隙Sがアイオノマーからなる充填層50によって確実に満たされる。空隙Sがアイオノマーからなる充填層50によって満たされているので、生成プロトンの伝導性が高まり、電池反応効率が向上し、MEA10の性能が高まる。
また、ホットプレスの温度を比較的低い温度で行っても固体高分子電解質膜20と触媒層31、41との間に存する空隙Sを埋めることができるので、固体高分子電解質膜20が溶融せず、固体高分子電解質膜20の機能が破壊されることを防止することができる。
固体高分子電解質膜20または触媒層31、41のいずれか一方にアイオノマーを塗布する工程を説明したが、固体高分子電解質膜20および触媒層31、41の両方にアイオノマーを塗布してもよい。
触媒成分を含むアイオノマーを塗布する場合も同様に、触媒成分をアイオノマーに混ぜて固体高分子電解質膜20および/または触媒層31、41に塗布すればよい。この場合も、空隙Sが触媒成分を含むアイオノマーからなる充填層50によって満たされているので、生成プロトンの伝導性が高まり、電池反応効率が向上し、MEA10の性能が高まる。
10 膜電極接合体(MEA)、
20 固体高分子電解質膜、
30、40 電極、
31、41 触媒層、
32、42 ガス拡散層、
50 充填層、
S 空隙。
20 固体高分子電解質膜、
30、40 電極、
31、41 触媒層、
32、42 ガス拡散層、
50 充填層、
S 空隙。
Claims (4)
- 固体高分子電解質膜と、触媒層を含む電極とを接合する際に、プロトン伝導性を有するアイオノマーを、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に塗布して、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に存する空隙に前記アイオノマーを充填してなる、固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法。
- 前記アイオノマーは、前記固体高分子電解質膜を形成する固体高分子電解質と同じ成分を有していることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法。
- 前記アイオノマーは、触媒成分を含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法。
- 固体高分子電解質膜と、
触媒層を含む電極と、
前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に塗布することによって前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との間に存する空隙に充填され、プロトン伝導性を有するアイオノマーからなる充填層と、を有してなる固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体。
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| JP2005329174A JP2007141461A (ja) | 2005-11-14 | 2005-11-14 | 固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体の製造方法、および固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体 |
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Cited By (1)
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|---|---|---|---|---|
| JP2019145258A (ja) * | 2018-02-19 | 2019-08-29 | トヨタ自動車株式会社 | 膜電極接合体の製造方法 |
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2005
- 2005-11-14 JP JP2005329174A patent/JP2007141461A/ja active Pending
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