JP2007142003A - Iii族窒化物結晶の作製方法、エピタキシャル基板における反り低減方法、エピタキシャル基板、および半導体素子 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の作製方法、エピタキシャル基板における反り低減方法、エピタキシャル基板、および半導体素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高結晶品質と高比抵抗の両立を安定的に実現することができ、エピタキシャル基板における反りを低減できるIII族窒化物結晶の作製方法を提供する。
【解決手段】サファイア単結晶上にAlNからなる成長下地層をエピタキシャル形成してなる下地基板を製造装置内に載置(ステップS1)した後、室温の状態で水素ガスの供給を開始(ステップS2)し、さらに昇温を開始する(ステップS3)。水素ガスの供給と昇温とは、下地基板が所定の形成温度に達するまで継続される(ステップS4)。下地基板の温度が形成温度に達すると、下地基板の温度を維持しつつ、ガスの供給態様を、水素ガスのみから、アンモニア、窒素、および水素の混合ガスに切り替える(ステップS5)。所定の時間経過後、混合ガスの供給を維持しつつ、さらにIII族原料ガスの供給を開始(ステップS6)して、下地基板上にIII族窒化物結晶膜をエピタキシャル成長させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、単結晶下地基板上にIII族窒化物結晶を形成する方法、特に温度変化に応じた雰囲気の設定に関する。
GaNをはじめとするIII族窒化物結晶は、バンドギャップが大きく、破壊電界強度が高く、かつ高融点であることから、GaAs系材料に代わる、高出力、高周波、高温用の半導体デバイス材料として期待されており、そうした物性を活かす電子デバイスとして、HEMT(High Electron Mobility Transistor)などが研究、開発されている。例えば、サファイアやSiC等の基板上にいわゆる半絶縁層(もしくはバッファ層とも称する)としてGaN層などをエピタキシャル成長させ、さらにその上に、いわゆるキャリア供給層としてAlGaN層あるいはAlN層などをエピタキシャル成長させて積層体を形成することで得られるヘテロ構造型のHEMTなどが、研究、開発されている。
こうした電子デバイスにおいて良好な特性を得るには、エピタキシャル形成される各層の結晶品質が良好であることが求められる。例えば、単結晶基材の上にAlN膜やAlGaN膜などの下地膜をエピタキシャル形成してなる下地基板を用いる場合に、その上に形成される各層の結晶品質を向上させるべく、該下地膜の表面欠陥を低減する技術が公知である(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
また、そうした電子デバイスにおいては、半絶縁層(バッファ層)においてオフ時のリーク電流が少ないことが要求される。そのためには、高い比抵抗を有するようにバッファ層を形成することが求められる。これを実現することを目的とする技術もすでに公知である(例えば特許文献3参照)。
従って、結局のところ、結晶品質の向上と、高い比抵抗の実現との両立が求められることになる。その実現を目的とする技術もすでに公知である(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−048799号公報 特開2003−197541号公報 特開2004−289905号公報 特開2005−035869号公報
上述のように、基板上にIII族窒化物結晶をエピタキシャル形成した積層体を得ることによって作製される電子デバイスにおいては、形成される各層の高結晶品質化と半絶縁層の高比抵抗化との両立が求められるが、実用化ひいては量産化にあたってはさらに、それらが安定的に、あるいは確実に実現されることが必要である。そのためには、異なる基板に由来する積層体の間の品質のばらつきを出来るだけ小さくすることが必要である。
また、これらの電子デバイスは通常、一の積層体を分割することによって多数個取りされるので、それぞれの電子デバイスが一定以上の品質及び特性を安定的に有するには、一の積層体の間のばらつき、いわゆる面内ばらつきを出来るだけ小さくすることが必要である。こうしたばらつきの抑制は、電子デバイスを生産する際の歩留まりを確保するために必須だからである。
さらに、III族窒化物エピタキシャル膜は一般に、膜厚を大きくするほど結晶品質は良好となるが、一方で、膜厚が大きいほど、格子定数の異なる異種材料上にエピタキシャル形成を行っていることに起因して積層体に反りが生じやすくなる。係る反りの存在は、成膜以降の工程、例えばステッパによる露光時などに、積層体の吸着固定が困難となる、などの問題を生じさせる。従って、半絶縁層の膜厚が薄い状態で、上述の高結晶品質化や高比抵抗化が実現されることが、反りの抑制という観点からは好ましいといえる。
しかしながら、特許文献1ないし特許文献3のいずれにおいても、結晶品質の向上と、半絶縁層に高い比抵抗を実現するための技術とを両立させる技術についての開示はなされていない。さらには、反りの低減に関する技術についての開示もなされていない。
特許文献4には、積層体を構成する各層の結晶品質の向上と、半絶縁層の高い比抵抗の実現との両立を目的とする技術が開示されてはいるが、そうした品質や特性の実現の安定性や確実性の実現については、何らの開示もなされていない。そして、反りの低減に関する技術についての開示もなされていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高結晶品質と高い比抵抗との両立が安定的に実現されるIII族窒化物結晶の作製方法を提供することを目的とする。そして、該III族窒化物結晶を半絶縁層として用いるエピタキシャル基板における反りが低減されることを第2の目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、III族窒化物結晶の作製方法であって、処理容器中で所定の単結晶下地基板を所定の成膜温度にまで昇温する昇温工程と、前記所定の成膜温度に昇温された前記単結晶下地基板の上に少なくともGaを含む第1のIII族窒化物結晶をエピタキシャル成長させる成膜工程と、を備え、前記昇温工程においては、遅くとも前記単結晶下地基板の温度が前記成膜温度に達するまでには前記処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されているように水素ガスを供給し、前記単結晶下地基板の温度が前記所定の成膜温度に達した以降に、前記第1のIII族窒化物結晶の形成に必要な所定のガス群の前記処理容器中への供給を開始することによって前記成膜工程を行う、ことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、III族窒化物結晶の作製方法であって、処理容器中で所定の単結晶下地基板を所定の成膜温度にまで昇温する昇温工程と、前記所定の成膜温度に昇温された前記単結晶下地基板の上に少なくともGaを含む第1のIII族窒化物結晶をエピタキシャル成長させる成膜工程と、を備え、前記昇温工程においては、前記単結晶下地基板の温度が所定の水素ガス供給開始温度以上である場合に前記処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されるように水素ガスを供給し、前記単結晶下地基板の温度が前記所定の成膜温度に達した以降に、前記第1のIII族窒化物結晶の形成に必要な所定のガス群の前記処理容器中への供給を開始することによって前記成膜工程を行う、ことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、前記昇温工程において前記単結晶下地基板の温度が300℃以上である場合に前記水素ガスを供給する、ことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、前記昇温工程において前記単結晶下地基板の温度が500℃以上である場合に前記水素ガスを供給する、ことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物を形成するためのV族原料ガスを含む第1のガス群の供給を先行して開始し、温度変動が収束した後に、前記第1のIII族窒化物を形成するためのIII族元素ガスを含む第2のガス群の供給を開始する、ことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物における全III族元素中のGaの含有比率が50%以上となるように、前記所定のガス群の供給を行う、ことを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、 前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物における全III族元素中のGaの含有比率が80%以上となるように、前記所定のガス群の供給を行う、ことを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、 前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物がGaNとなるように、前記所定のガス群の供給を行う、ことを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、前記単結晶下地基板が、所定の単結晶基材の上にAlN系III族窒化物である第2のIII族窒化物からなる下地層をエピタキシャル形成してなるものであり、前記第1のIII族窒化物におけるAlの含有比率は前記第2のIII族窒化物におけるAlの含有比率よりも小さい、ことを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項9に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、前記第2のIII族窒化物がAlNである、ことを特徴とする。
また、請求項11の発明は、エピタキシャル基板における反り低減方法であって、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の作製方法によって所定の単結晶下地基板の上に少なくともGaを含むIII族窒化物結晶からなる結晶層を形成することによりエピタキシャル基板を得るようにしたこと、を特徴とする。
また、請求項12の発明は、請求項11に記載のエピタキシャル基板における反り低減方法であって、前記結晶層を2.0μm以下の膜厚を有するように形成する、ことを特徴とする。
また、請求項13の発明は、エピタキシャル基板が、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法によって所定の単結晶下地基板の上に前記第1のIII族窒化物からなる結晶層が形成されてなる、ことを特徴とする。
また、請求項14の発明は、エピタキシャル基板が、請求項10に記載のIII族窒化物結晶の作製方法によって前記下地層が0.5〜1.0μmの膜厚で形成されるとともに前記第1のIII族窒化物からなる結晶層がGaNによって1.0〜2.0μmの膜厚で形成され、前記結晶層の上にAlGaNからなる上部層がさらにエピタキシャル形成されてなる、ことを特徴とする。
また、請求項15の発明は、請求項13または請求項14に記載のエピタキシャル基板であって、前記結晶層の比抵抗が1×106Ω・cm以上である、ことを特徴とする。
また、請求項16の発明は、請求項15に記載のエピタキシャル基板であって、前記結晶層が、(0002)面のX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下で、かつ表面欠陥がないように形成されてなる、ことを特徴とする。
また、請求項17の発明は、半導体素子が、請求項13ないし請求項16のいずれかに記載のエピタキシャル基板を用いて形成されてなる、ことを特徴とする。
請求項1ないし請求項10の発明によれば、下地基板上に対して安定的に、高結晶品質でかつ高比抵抗なIII族窒化物結晶を形成することができる。さらには、該III族窒化物結晶からなる結晶層を半絶縁層として有する半導体素子において、半絶縁層を薄くしても、高結晶品質と高比抵抗が維持されるので、下地基板と半絶縁層との格子定数差に起因して生じる半導体素子における反りの低減が実現される。
請求項11および請求項12の発明によれば、下地基板上にIII族窒化物結晶からなる結晶層によって半絶縁層を形成してなる半導体素子において、半絶縁層を薄くしても、高結晶品質と高比抵抗が維持されるので、下地基板と半絶縁層との格子定数差に起因して生じる半導体素子における反りの低減が実現される。
請求項13ないし請求項17の発明によれば、下地基板上に高結晶品質でかつ高比抵抗なIII族窒化物結晶からなる結晶層を有するエピタキシャル基板を、得ることができる。さらには、このエピタキシャル基板を用いて形成した、該結晶層が半絶縁層として作用する半導体素子においては、半絶縁層を薄くしても高結晶品質と高比抵抗が維持されるので、下地基板と半絶縁層との格子定数差に起因して生じる半導体素子における反りの低減が実現される。
<第1の実施の形態>
<HEMT素子の構造>
図1は、本実施の形態に係る作製方法によって得られる積層体10の構成を示す概要図である。なお、図示の都合上、図1における各層の厚みの比率は、実際の比率を反映したものではない。
積層体10は、単結晶基材1の上に、成長下地層2と半絶縁層3とがこの順にエピタキシャル形成されてなる、いわゆるエピタキシャル基板である。なお、本明細書中においては、単結晶基材1の上に成長下地層2が形成された状態のものを、下地基板1sと称することがある。すなわち、積層体10は、該下地基板1s上に半絶縁層3がエピタキシャル形成されたものと捉えることも出来る。
また、図2は、積層体10を用いて形成されたHEMT素子20の構成を示す概要図である。HEMT素子20は、積層体10の上に、より具体的には半絶縁層3の上に、キャリア供給層4が形成されてなり、さらにその上に、ソース電極5およびドレイン電極6と、ゲート電極7とが形成されてなる。
単結晶基材1は、その上に形成する各層の組成や構造、あるいは形成手法に応じて適宜に選択される。例えば、SiC(炭化ケイ素)やサファイアなどの単結晶を所定の厚みに切り出したものを用いる。あるいは、ZnO,LiAlO2,LiGaO2,MgAl24,(LaSr)(AlTa)O3,NdGaO3,MgOといった各種酸化物材料,Si,Geといった各種IV族単結晶、SiGeといった各種IV−IV族化合物,GaAs,AlN,GaN,AlGaNといった各種III―V族化合物およびZrB2といった各種ホウ化物の単結晶から適宜選択して用いてもよい。こうした単結晶の中では、SiC基板、サファイア基板が望ましい。特に、C面を主面とするIII族窒化物層を成長下地層2として得る場合には、C面SiCあるいはC面サファイアを単結晶基材1として用いるのが望ましい。高品質な成長下地層2の形成を実現できるからである。また、A面を主面とするIII族窒化物層を成長下地層2として得る場合には、A面SiCあるいはR面サファイアを単結晶基材1として用いるのが望ましい。単結晶基材1の厚みには特段の材質上の制限はないが、取り扱いの便宜上、数百μm〜数mmの厚みのものが好適である。
成長下地層2は、少なくともAlを含み、かつ、全III族元素に対するAlのモル分率が半絶縁層3を構成するIII族窒化物(後述)よりも大きいIII族窒化物にて形成される。好ましくは、成長下地層2は全III族元素に対するAlのモル分率が50原子%以上であるIII族窒化物にて形成される。さらに好ましくは、成長下地層2は、全III族元素に対するAlのモル分率が80原子%以上であるIII族窒化物にて形成される。最も好ましくは、AlNにて形成される。成長下地層2をこのような組成のIII族窒化物にて構成するのは、面内における格子定数が半絶縁層3において成長下地層2より大きい場合、半絶縁層3において成長下地層2との界面部近傍に発生する略水平方向の圧縮応力の作用により成長下地層2からの主に刃状転位からなる貫通転位が互いに絡まり合い、その結果として半絶縁層3内の転位が低減する、という効果が得られるからである。ここで、前記格子定数の差は、III族元素であるB、Al、Ga、Inのモル分率あるいはV族元素としてNに添加することができるP、Asの添加量で調整することができる。特に、成長下地層2の結晶品質、熱伝導性等を考慮に入れると、Alのモル分率の差で調整することが望ましく、成長下地層2と半絶縁層3とのAlのモル分率の差が大きいほど、この転位低減効果は大きくなる。よって、成長下地層2がAlNによって形成されてなる場合に、その効果が最大となるが、成長下地層2を全III族元素に対するAlのモル分率が80原子%以上であるIII族窒化物にて形成した場合にもAlNにて形成した場合とほぼ同程度の転位低減効果を持つことが、実験的に確認されている。なお、成長下地層2をAlNとした場合には、組成のばらつきが問題とならないという利点もある。
このようにして形成される成長下地層2は通常、六方晶系のウルツ鉱型構造をとる。特に、C面を主面とするIII族窒化物を成長下地層2として用いる場合、該成長下地層2については、X線ロッキングカーブ測定(ωスキャン)による(0002)面の半値幅が200秒以下であることが好ましい。さらには、100秒以下であることがより好ましい。係る半値幅が実現されるということは、成長下地層2の表面において、成長方位に揺らぎが少なく、C面が揃い、らせん成分の転位が少ない状態が実現されているということになり、このことは成長下地層2上に結晶品質の良い半絶縁層3を形成する上でより好適だからである。この結晶性を実現するためには、単結晶基材1上に、いわゆる低温緩衝層を挿入しない方が望ましい。X線ロッキングカーブ測定(ωスキャン)による(0002)面の半値幅の下限値は、特に定めるものではないが、材料及び結晶構造から計算される理論値(〜10秒)を下回るものではない。また、成長下地層2内の刃状転位密度は、5×1010/cm2以下であることが望ましく、単結晶基材1の表面に窒化層を形成しておくことで、この状態は実現可能であり、条件設定によっては、転位密度1×109/cm2の転位密度まで実現可能である。なお、本実施の形態において、転位密度は、平面TEMを用いて評価している。
また、成長下地層2は、好ましくは10nm〜100μmの厚みに形成される。これよりも厚みが小さいと成長下地層2が十分に結晶成長せず、単結晶基材1と成長下地層2の界面で発生した多量の転位がほとんど成長下地層2の表面まで残存してしまって好ましくない。よって、成長下地層2は、内部の転位を十分に消失させるべく、少なくとも5×1010/cm2以下とする程度の厚みで形成することが望ましい。300nm以上の厚みとすれば、5×1010/cm2以下の転位密度を安定して実現することができる。ただし、厚みが大きすぎると、コスト面でのデメリットが生じることに加え、成長下地層2の内部にクラックが発生する可能性があるため、クラックの発生しない範囲内で適宜厚みを設定する。10μm以下が望ましい厚みである。また、積層体10あるいはHEMT素子20における反りを低減するという観点からは、成長下地層2の厚みは薄いことが望ましく、2μm以下が望ましい厚みである。
成長下地層2は、例えば、MOCVD法、あるいやMBE法(分子線エピタキシ法;Molecular Beam Epitaxy)を用いて形成することができる。MOCVD法には、PALE法(パルス原子層エピタキシ法;Pulsed Atomic Layer Epitaxy)、プラズマアシスト法やレーザーアシスト法などが併用できる。MBE法に関しても、同様の技術を併用可能である。MOCVD法あるいはMBE法といった成長方法は、製造条件を高精度に制御することができるので、高品質な結晶を成長させることに適しており、本実施の形態のように、異種基材上にAlNによる高品質な成長下地層2を成長させる場合には、1100℃〜1600℃の加熱温度で、減圧条件の設定が可能なこうした方法を用いることが望ましい。より具体的な作製条件は、それぞれの形成手法に応じて、適切に選択、設定されることになる。こうした方法の中では、より熱平衡状態に近い状態を実現できる、MOCVD法を用いることが特に望ましい。
また、成長下地層2の最表面は、実質的に原子レベルで平坦となるように形成されていることが望ましい。この場合、成長下地層2の表面は原子ステップが明瞭に観察される程度の平坦性を有しており、AFMによって評価される最表面の表面粗さ(本願においては、5μm×5μmの正方形領域における算術平均粗さRaで評価)が成長下地層2を構成するIII族窒化物材料のc軸の格子定数と略同程度の0.5nm以下、好ましく0.3nm以下となる。Raの値が0.3nm以下となると、表面においてピットはほとんど観察されなくなる。
成長下地層2の表面においてこのような原子レベルの平坦性を実現するためには、局所的な凹凸バラツキが生じにくい結晶成長手法を用いることが好ましい。形成速度がせいぜい数μm/hr程度であるMOCVD法は、その手法として好適であるといえる。上記のような成長下地層2を、トリメチルアルミニウムとアンモニアを用いてMOCVD法によって形成する場合、基板自体の温度を1100℃以上、1250℃以下とし、形成時圧力を6.5mbar以上35mbar以下とし、トリメチルアルミニウムとアンモニアの供給比を1:500以下、より好ましくは1:200以下で、1:1以上とするのが望ましい。ここで、成長下地層2の形成の際の基板自体の温度は、熱電対付基板を用いた形成条件と同一条件下での温度測定実験に基づき規定している。
半絶縁層3は、好ましくは高抵抗のIII族窒化物にて形成される。例えば、全III族元素中のGaの含有比率が50%以上であるIII族窒化物にて、好ましくは、全III族元素中のGaの含有比率が80%以上であるIII族窒化物にて、より好ましくは、抵抗を低減する要因となる不純物を含まない、GaN(i−GaN)にて形成される。Gaの含有比率を50%以上とすることにより、半絶縁層3の形成時の横方向成長効果が現れ、安定して半絶縁層3の転位低減の効果を安定して得ることができ、Gaの含有比率を80%以上とすることにより、5×109/cm2以下の転位密度を安定して実現できる。
半絶縁層3は、一般的には例えばMOCVD法やMBEなどの公知の成膜手法を利用して形成することができるが、本実施の形態に係る半絶縁層3の形成方法については、後で詳述する。上記のような高い結晶性を有する成長下地層2の上に、後述する手法によって形成することから、半絶縁層3も良好な結晶品質を有する。
なお、成長下地層2の表面平坦性が高いほど、半絶縁層3における転位低減効果が最も有効に発揮される。半絶縁層3の内部の転位密度は、少なくとも成長下地層2の表面部の転位密度の1/2以下とすることができ、5×107/cm2まで低減することができる。また、この結晶性を実現するためには、成長下地層2上に、いわゆる低温緩衝層を挿入しない方が望ましい。さらに、表面にピットがほとんど存在しない程度に平坦な成長下地層2の上に半絶縁層3を形成する場合には、半絶縁層3において結晶欠陥がピットから誘発されるといった状況の発生を抑制することが出来るうえ、キャリア供給層4における表面平坦性の向上も実現されることになる。
また、半絶縁層3の上面近傍には、キャリア供給層4からキャリアとなる電子が供給されることにより、高濃度の2次元電子ガスが生成する2次元電子ガス領域が形成されることになる。そのため、半絶縁層3は、この2次元電子ガス領域を確保するだけの厚みが必要である。一方で、あまりに厚みが大きすぎるとクラックが発生しやすくなるとともに、HEMT素子20全体に反りが生じやすくなるという問題もある。従って、厚みを抑制しつつ、良好な結晶品質および高い比抵抗を有することが求められる。
本実施の形態においては、後述する手法によって半絶縁層3を形成することにより、数μm以下の厚みで、好ましくは3μm以下の厚みで、より好ましくは1.5μm程度の厚みで、(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅はせいぜい100秒以下であり表面平坦性も良好という高結晶品質と1×107Ω・cm以上という高い比抵抗とを実現しつつ、積層体あるいはHEMT素子における反りを低減させることができる。また、従来、半絶縁層を3μm以下とすると、上記ピット等の欠陥の増加により、HEMT素子の移動度の低下が観察されていたが、後述する手法によって形成された半絶縁層3の場合、その厚みが2μm程度までHEMT素子の移動度の低下が観察されることはない。さらに、半絶縁層3の厚みが1μm以上2μm未満の領域で、従来の半絶縁層を用いた場合よりも大きく移動度が回復し、デバイスとして要求される移動度を満たすことが確認されている。
図3は、本実施の形態における反りの規定方法を説明するための図である。本実施の形態においては、反り量BWを、積層体10(もしくはHEMT素子20)の表面WSの最大浮き上がり量、すなわち、水平位置HRからの表面WSの突出距離で規定するものとする。
キャリア供給層4は、少なくともAlを含むIII族窒化物にて形成されてなる。好ましくは、AlxGa1-xNなる組成を有するIII族窒化物にて形成される。キャリア供給層4は、数十nm程度の厚みに形成されるのが、2次元電子ガス領域の形成の点ならびにデバイス動作の点(すなわちゲート電圧印加に対する主電流の制御性という点)からは好ましい。
キャリア供給層4は、例えばMOCVD法やMBE法などの公知の成膜手法にて形成される。HEMT素子20においては、半絶縁層3とキャリア供給層4の(a軸の)格子定数差に起因して表面から基板へと電界が生ずるピエゾ効果(圧電効果)、ならびに自発分極効果により、半絶縁層3の表面に2次元電子ガスが生成するが、キャリア供給層4をxの値が大きいIII族窒化物、つまりは、AlリッチなIII族窒化物にて形成するほど、ピエゾ効果は増し、2次元電子ガス領域におけるシートキャリア濃度は向上する。好ましくは、キャリア供給層4はx≧0.2をみたす範囲のIII族窒化物にて形成される。ただし、xが大きい場合は、クラックが生じやすくなるため、クラックが生じない成長条件を選択することが必要である。
なお、キャリア供給層4には、例えばSiなどのn型のドーパントがドープされてもよい。また、バリア層やキャップ層などとして作用するIII族窒化物層がキャリア供給層4上側や下側に設けられてもよい。
キャリア供給層4は、その表面におけるピット密度が5×108/cm2以下であるように形成される。キャリア供給層4が、このような良好な結晶性を有するのは、上述のように高い結晶性を有する半絶縁層3を設けたうえで、用いる成膜手法に応じて半導体層の成長条件を適宜に制御することによるものといえる。
ソース電極5およびドレイン電極6は、キャリア供給層4の表面に、例えば、Ti/Au/Ti/Auにてオーミック接合により形成される。ソース電極5およびドレイン電極6の形成に際しては、キャリア供給層4の表面の電極形成箇所に、所定のコンタクト処理がなされた上で行われてもよい。また、ゲート電極7は、キャリア供給層4の表面に、例えば、Pt/Auにてショットキー接合により形成される。
<製造装置>
次に、本実施の形態に係るIII族窒化物の作製、具体的には半絶縁層3のエピタキシャル形成をMOCVD法を用いて行う場合に用いる装置について説明する。図4は、係る製造装置100の構成の一例を、模式的に示す図である。すなわち、製造装置100はいわゆる「MOCVD装置」である。
製造装置100は、III族窒化物を半絶縁層3として下地基板1s上にエピタキシャル形成するための原料ガスを、下地基板1sの主面上に流すことができるように構成される。なお、半絶縁層3の形成のみならず、成長下地層2およびキャリア供給層4の形成を、製造装置100を用いて行うことも可能である。
製造装置100は、反応性ガスを下地基板1sの主面に導入するための、反応性ガス導入管31を備える。反応性ガス導入管31は、気密の処理容器21内にあり、その2つの外部端は、それぞれ、反応性ガスの導入口22および排気口24となっている。また、反応性ガス導入管31には、下地基板1sの主面上に反応性ガスを接触させるために開口部31hが設けられている。
処理容器21の外側にある導入口22には、配管系L1およびL2が接続されている。配管系L1は、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)を供給するための配管系である。一方、配管系L2は、TMA(トリメチルアルミニウム;Al(CH33)、TMG(トリメチルガリウム;Ga(CH33)、TMI(トリメチルインジウム;In(CH33)、CP2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム;Mg(C552)、シランガス(SiH4)、窒素ガスおよび水素ガスを供給するための配管系である。さらに、配管系L2には、TMA、TMG、TMIおよびCP2Mgの供給源24d〜24gが接続される。
TMA、TMG、TMIおよびCP2Mgの供給源24d〜24gは、バブリングを行うために、窒素ガスの供給源24bに接続されている。同様に、TMA、TMG、TMIおよびCP2Mgの供給源24d〜24gは、水素ガスの供給源24cに接続されている。なお、本実施の形態においては、TMIおよびCP2Mgは使用しないので、供給源24fおよび24gは備わっていなくともよい。
製造装置100においては、水素(H2)もしくは窒素(N2)、またはその混合ガスがキャリアガスとして機能する。なお、全てのガス供給系は、流量計を用いて、ガス流量が制御されている。
さらに、排気口24には、処理容器21の内部のガスを強制排気する真空ポンプ27が接続される。
また、処理容器21の内部には、下地基板1sを載置する基材台(サセプタ)28と、基材台28を処理容器21の内部に支持する支持脚29とが設けられる。基材台28は、ヒータ30によって温度制御可能である。製造装置100においては、下地基板1sと密着している基材台28の温度を変更することにより、下地基板1sの成長温度を変化させる。換言すれば、ヒータ30を制御することによって下地基板1sの温度は制御可能である。ここで、半絶縁層3を形成する際の下地基板1sの温度は、SiCをコーティングしたカーボンで構成される厚み(5mm)のサセプタ28を、波長0.95μmにて裏面から輻射率(0.5)と設定した放射温度計を用いて測定した温度により規定している。
<半絶縁層の形成方法>
続いて、製造装置100を用いたIII族窒化物の作製方法、具体的にいえば、半絶縁層3の形成方法について説明する。ここでは、あらかじめ所定の方法により、上述のように作成されてなる下地基板1sの上に、半絶縁層3を生成する場合について説明する。なお、後述する実施例では便宜上、成長下地層2を形成することによる下地基板1sの作製と、半絶縁層3の作成とを同一の製造装置100で連続的に行うよう説明しているが、成長下地層2の形成つまりは下地基板1sの作製と、その上への半絶縁層3の形成とは、異なる製造装置によって行うことが望ましい。成長下地層2と半絶縁層3とを形成する際の条件が大きく異なる場合、例えば、それぞれの層を大きく異なる組成の物質で形成するような場合、同一の製造装置を用いてこれらを連続的に形成すると、製造装置のメモリー効果等が要因となって、それぞれの層の品質が大きく劣化することがあるからである。また、両層を異なる装置で形成する場合、下地層の形成後、製造装置より取り出した時点で、該下地層の結晶品質を評価することができるので、不良を取り除くことが可能となるという利点もある。なお、この場合、大気中においては成長下地層2の最表面には酸化層が形成されることになるが、係る酸化層は、後述する処理により効果的に除去される。図5は、本実施の形態に係る半絶縁層3の形成の流れを示す図である。
まず、基材台28の上に、下地基板1sを載置する(ステップS1)。その際には、下地基板1sの成長下地層2の表面をアセトンおよびIPA(イソプロピルアルコール)を用いて超音波洗浄し、水洗乾燥させた状態で載置することが好ましい。
下地基板1sを載置させた後、室温の状態で水素ガスの供給源24cより水素ガスの供給を開始する(ステップS2)。その際には、流速を0.01m/s〜100m/sの範囲の所定の値とするとともに、製造装置100の内部の圧力を50mbar〜300mbarの間の所定の値に設定する。たとえば、流速を4m/s、圧力を200mbarとするのがその好適な一例である。
水素ガスの供給を開始後、ヒータ30により昇温を開始する(ステップS3)。その際の昇温レートは、50℃/分〜400℃/分の間の所定の値に設定する。例えば150℃/分がその好適な一例である。
水素ガスの供給と昇温とは、下地基板1sが所定の形成温度(半絶縁層3を構成するIII族窒化物結晶の成膜温度)に達するまで継続される(ステップS4)。ここで、形成温度は、1000℃〜1200℃の温度範囲で適宜に設定される。例えば、1100℃がその好適な一例である。なお、形成温度に達するまでに処理容器中に十分な水素ガス雰囲気が形成されるのであれば、昇温の途中で水素ガスの供給を終了するようにしてもよいが、制御パラメーターを出来る限り少なくする観点から、温度が一定温度に安定した後に供給を終了することが好ましい。ただし、温度安定性の問題から、所定の形成温度からの±10℃程度の温度ずれは、形成温度の範囲内として許容される。
すなわち、本実施の形態においては、遅くとも下地基板の温度が形成温度に達するまでに処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されているように、水素ガスが供給されているといえる。また、水素ガス供給開始温度である室温以上の温度域で、処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されるように、水素ガスが供給されているともいえる。
なお、水素ガス雰囲気とは、水素ガスを主成分とするガス雰囲気をいうが、例えばアンモニアや窒素といった他のガスを、意図的に微量含む場合や、不純物的に含む場合をも指し示しているものとする。水素ガス雰囲気での加熱は、下地基板1sの最表面に形成されている酸化層を除去する作用を有する処理であるが、酸化層を除去することが出来る限り、他のガスが含まれることも許容される。ただし、酸化膜除去の作用を最大限に活用するためには、水素ガスのみで雰囲気が形成されることが望ましい。また、この酸化層除去の効果が顕著となるのは、大気中で保管した場合に酸化されやすいAlN系III族窒化物によって成長下地層2が形成されている場合、特に、中でも特にAlNによって形成されている場合である。ただし、水素ガス雰囲気での加熱を長時間継続すると、下地基板1sの表面に欠陥を誘発し、半絶縁層3の結晶品質が劣化することがあるので、水素ガス雰囲気での加熱は、下地基板1の表面欠陥を誘発しない程度の時間とすることが望ましい。
下地基板1sの温度が形成温度に達すると、(半絶縁層3の形成が終了するまで)下地基板1sの温度を維持しつつ、ガスの供給態様を、水素ガスのみから、アンモニア、窒素、および水素の混合ガスに切り替える(ステップS5)。係る混合ガスを供給する際の、それぞれの供給源24a〜24cから供給される各ガスの流速は、それぞれ適宜に定められるが、例えば、順に2m/s、1m/s、および1m/sとするのが好適な一例である。
このような混合ガスの供給を開始してから所定の時間(例えば30秒程度)が経過した後に、混合ガスの供給を維持しつつ、さらにIII族原料ガスの供給を開始する(ステップS6)。ここで、所定の時間が経過するのを待つのは、供給ガスの切替は温度変動を生じさせる可能性が高いことから、この切替に起因して不具合が生じることを避けるべく、係る変動を収束させ、設定した形成温度に下地基板の温度を安定させるためである。
なお、供給されるガス種は、半絶縁層3として形成しようとする物質の組成に応じて定められる。GaNにて半絶縁層3を形成する場合にはTMGが、供給源24eから供給される。さらにAlあるいはInを含む組成の半絶縁層3を形成するような場合は、これらの元素の原料となるTMA、TMIについても、それぞれの供給源24dおよび24fよりそれぞれ供給されることになる。
III族原料ガスの供給は、アンモニアガスとの供給比(III族原料ガス:アンモニアガス)が1:500〜1:3000の所定の比率になるように供給される。例えば、1:1 000が好適な一例である。
係るガス供給によって、下地基板1s上において、具体的には成長下地層2上において、III族窒化物結晶膜がエピタキシャル成長する。すなわち、半絶縁層3が形成される。係るガス供給は、半絶縁層3が所望の厚みに形成されるまで行う。
本実施の形態においては、このような方法を用いることにより、昇温時に混合ガスを供給する場合よりも安定的に、良好な結晶品質および高い比抵抗を有する半絶縁層3を形成することができる。これにより、こうした半絶縁層3を有するHEMT素子20を安定的に得ることが出来る。
例えば、後述の実施例に示すように、単結晶基材1としてサファイアを用い、成長下地層2として、高結晶品質のAlN層1μmの厚みに形成してなる下地基板1sを用意し、上述の方法によって半絶縁層3を形成した場合、異なる複数の積層体10のいずれにおいても、(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅はせいぜい110秒以下であること、1×107Ω・cm以上の高い比抵抗が安定的に実現されること、および一の積層体における面内ばらつきも小さいことが確認されている。また、係る場合の積層体10の反りは、厚みが3μmの場合で25〜30μm程度であり、厚みが1.5μmの場合で15μm程度であることも確認されている。
なお、上述の方法に用いる装置は、製造装置100に限られるものではなく、必要な構成要素を有する限りにおいて、他の装置を使用した半絶縁層の形成はもちろん可能である。
以上、説明したように、本実施の形態に係る作製方法を用いることにより、下地基板上に対して安定的に、高結晶品質でかつ高比抵抗な、III族窒化物結晶からなる半絶縁層を形成することができる。さらには、該III族窒化物結晶を半絶縁層として有するHEMT素子において、半絶縁層を薄くしても、高結晶品質と高比抵抗が維持されるので、下地基板と半絶縁層との格子定数差に起因して生じるHEMT素子における反りの低減が実現される。
<第2の実施の形態>
次に、第1の実施の形態とは異なる態様により、半絶縁層3を形成する方法について説明する。具体的には、III族窒化物結晶の成膜に先立つ昇温過程における雰囲気を、第1の実施の形態とは違えた態様について説明する。なお、本実施の形態においても、あらかじめ所定の方法により作成されてなる下地基板1sの上に、製造装置100を用いて半絶縁層3を生成するものとする。図6は、本実施の形態に係る半絶縁層3の形成の流れを示す図である。
まず、第1の実施の形態のステップS1と同様に、基材台28の上に下地基板1sを載置する(ステップS101)。その後、室温の状態でアンモニア、窒素、および水素の混合ガスの供給を開始する(ステップS102)。それぞれの供給源24a〜24cから供給される各ガスの流速は、それぞれ適宜に定められるが、例えば、順に2m/s、1m/s、および1m/sとするのが好適な一例である。その際には、製造装置100の内部の圧力を50mbar〜300mbarの間の所定の値に設定する。たとえば、圧力を200mbarとするのがその好適な一例である。
混合ガスの供給を開始後、ヒータ30により昇温を開始する(ステップS103)。その際の昇温レートは、50℃/分〜400℃/分の間の所定の値に設定する。例えば150℃/分がその好適な一例である。
昇温開始後、300℃に到達すると(ステップS104)、ガスの供給態様を、混合ガスから、水素ガスのみに切り替える(ステップS105)。その際には、流速を0.01m/s〜100m/sの範囲の所定の値とするとともに、製造装置100の内部の圧力を50mbar〜300mbarの間の所定の値に設定する。たとえば、流速を4m/s、圧力を200mbarとするのがその好適な一例である。
水素ガスの供給と昇温とは、下地基板1sが所定の形成温度(半絶縁層を構成するIII族窒化物結晶の成膜温度)に達するまで継続される(ステップS106)。ここで、形成温度は、1000℃〜1200℃の温度範囲で適宜に設定される。例えば、1100℃がその好適な一例である。
このように、本実施の形態における昇温過程における雰囲気の与え方は、第1の実施の形態とは異なっているが、遅くとも下地基板の温度が形成温度に達するまでに処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されているように、水素ガスが供給されている点では共通しているといえる。また、水素ガス供給開始温度そのものは異なるが、水素ガス供給開始温度以上の温度域で処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されるように水素ガスが供給されている点においても、共通しているといえる。
下地基板1sの温度が形成温度に達した以降は、第1の実施の形態と同様の処理を行う。すなわち、下地基板1sの温度を維持しつつ、ガスの供給態様を、水素ガスのみから、アンモニア、窒素、および水素の混合ガスに切り替える(ステップS107)。そして、混合ガスの供給を開始してから所定の時間(例えば30秒程度)が経過した後に、混合ガスの供給を維持しつつ、さらにIII族原料ガスの供給を開始する(ステップS108)。これにより、下地基板1s上において、具体的には成長下地層2上において、III族窒化物結晶の膜がエピタキシャル成長する。すなわち、半絶縁層3が形成される。係るガス供給は、半絶縁層3が所望の厚みに形成されるまで行う。
本実施の形態においても、後述の実施例にて例示するように、(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅はせいぜい130秒以下であり表面平坦性も良好という高結晶品質と1×107Ω・cm以上という高い比抵抗の実現を両立させつつ、積層体における反りの低減をさせることができる、半絶縁層3を形成することができる。これにより、こうした半絶縁層3を有するHEMT素子20を安定的に得ることが出来る。また、昇温レートを第1の実施の形態と同じ、もしくはより速くする場合、本実施の形態の方が第1の実施の形態よりも水素雰囲気下での加熱時間は短くなるので、下地基板1sの表面への欠陥の誘発に起因する半絶縁層3の結晶品質の劣化がより生じにくくなるという点でも、本実施の形態における昇温時の雰囲気形成の態様は好適である。なお、本実施の形態においても、用いる装置は製造装置100に限られない。
以上、説明したように、本実施の形態に係る作製方法を用いることによっても、下地基板上に、高結晶品質でかつ高比抵抗であり、積層体における反りを低減してなる半絶縁層を形成することができる。
<第3の実施の形態>
図7は、第3の実施の形態に係る半絶縁層3の形成の流れを示す図である。図7には、図6のステップ104に代えてステップ204が設けられてなる以外は、図6と同様の処理を行う態様が示されている。すなわち、第3の実施の形態は、昇温時に処理容器に供給するガスを混合ガスから水素ガスへと切り替えるタイミングを500℃とする以外は、第2の実施の形態と同様の処理を行う態様である。
すなわち、本実施の形態においても、昇温過程において遅くとも下地基板の温度が形成温度に達するまでに処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されているように、水素ガスが供給されている点では、他の実施の形態と共通しているといえる。また、水素ガス供給開始温度そのものは異なるが、水素ガス供給開始温度以上の温度域で処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されるように水素ガスが供給されている点においても、他の実施の形態と共通しているといえる。
本実施の形態においても、後述の実施例にて例示するように、(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅はせいぜい150秒以下であり表面平坦性も良好という高結晶品質と5×106Ω・cm以上という高い比抵抗の実現を両立させつつ、積層体における反りの低減をさせることができる、半絶縁層3を形成することができる。すなわち、本実施の形態に係る作製方法を用いることによっても、下地基板上に、高結晶品質でかつ高比抵抗であり、積層体における反りを低減してなる半絶縁層を形成することができる。また、昇温レートを第1もしくは第2の実施の形態と同じ、もしくはより速くする場合、本実施の形態の方が第1もしくは第2の実施の形態よりも水素雰囲気下での加熱時間が短くなるので、下地基板1sの表面への欠陥の誘発に起因する半絶縁層3の結晶品質の劣化がより生じにくくなるという点でも、本実施の形態における昇温時の雰囲気形成の態様は好適である。
(実施例1)
本実施例においては、第1の実施の形態に係る方法により積層体10を作製した。具体的には、まず、下地基板1sを作製すべく、単結晶基材1として2インチ径の厚さ630μmのC面サファイア基材を用意し、アセトン及びIPAで超音波洗浄し、さらに水洗乾燥した後に、製造装置100の中に設置した。処理容器内の圧力を50mbarに設定し、水素ガスを流速1m/secで流しながら、単結晶基材1を1200℃まで昇温した。その後、アンモニアガスを水素キャリアガスとともに5分間流し、単結晶基材1の主面を窒化させた。なお、XPS(X線光電子分光)による分析の結果、この表面窒化処理によって、基板主面には窒化層が形成されており、主面から深さ1nmにおける窒素含有量が7原子%であることが判明した。
次いで、TMA及びアンモニアガスを合計して流速5m/secで流して、成長下地層2としてのAlN層を厚さ1μmまでエピタキシャル成長させた。これにより、下地基板1sが得られた。このAlN層の転位密度は2×1010/cm2であり、(0002)面におけるX線回折ロッキングカーブの半値幅は60秒であった。さらに、AFM(原子間力顕微鏡)によりAlN層の表面平坦性を確認したところ、5μm×5μmの範囲における平均粗さRaは0.15nmであった。
次いで、AlN層を速やかにアセトン及びIPAで超音波洗浄した後、水洗乾燥し、再び製造装置100の中に載置した。次いで、製造装置100の内部の圧力を200mbarに設定し、室温にて流速4m/secで水素ガスの供給を開始した後、昇温レート150℃/分にてヒータ30により昇温を開始した。温度が1100℃に達すると、雰囲気ガスを水素ガス、窒素ガス、アンモニアガスの混合ガスに切り替えた。それぞれの流速は、2m/sec、1m/sec、1m/secとした。この状態を30秒間保った後、さらにTMGの供給を開始して、半絶縁層としてのGaN層を3μmの厚みになるまでエピタキシャル成長させた。これにより、積層体10が得られた。
次いで、比抵抗測定を行うため、キャリア密度が1×1019/cm3となるようにシランガスを添加して、電極とのコンタクト層となるn−GaN層を半絶縁層3の上に10nm成長させた。成長終了後、n−GaN層の表面にTi/Al/Ti/Auからなる四端子測定用の電極を形成し、電極が被覆されていない部分のn−GaNの部分をエッチングにより除去した後、アニール炉に載置した。次いで、アニール炉に窒素ガスを流速0.1m/secで流し、基板温度を500℃以上に設定し、1分間保った後、室温になるまで冷却した。以上の処理の後、半絶縁層3としてのGaN層の比抵抗値を測定したところ、1×108Ω・cmであった。なお、以降においても、比抵抗測定のための処理は同様に行っているが、その説明は省略する。
また、基板の反りの量は28μmであった。GaN層の(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅は70秒であった。
(実施例2)
本実施例においては、第2の実施の形態に係る方法により積層体10を作製した。具体的には、実施例1と同様に作製した下地基板1sを製造装置100の中に載置し、室温にて製造装置100内の圧力を200mbarに設定したうえで、水素ガス、窒素ガス、およびアンモニアガスの混合ガスの供給を開始した。それぞれの流速は、2m/sec、1m/sec、1m/secとした。その後、昇温レート150℃/分にてヒータ30により昇温を開始した。下地基板の温度が300℃に到達した地点で後、供給ガスを水素ガスのみに切り替えた。その際の流速は4m/secとした。その後も昇温を続け、下地基板が1100℃に到達した後は、実施例1と同様に半絶縁層としてのGaN層を3μmの厚さに成長させた。また、比抵抗測定のためのコンタクト層および電極の形成についても、実施例1と同様に行った。このようにして、10個の積層体を作製した。
得られた10個の積層体について、GaN層の比抵抗値を評価したところ、1〜5×107Ω・cmであった。また、基板の反りの量は25〜30μmであり、GaN層の(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅は70〜90秒であった。
(実施例3)
本実施例においては、第3の実施の形態に係る方法により積層体10を作製した。具体的には、ガス供給の切替温度を500℃とした以外は、実施例2と同様に、10個の積層体を形成した。
得られた10個の積層体について、GaN層の比抵抗値を評価したところ、5〜10×106Ω・cmであった。また、基板の反りの量は25〜30μmであり、GaN層の(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅は80〜110秒であった。
(実施例1ないし実施例3の比較)
これらの実施例からは、小さくとも5×106Ω・cm以上という高い比抵抗が得られていること、および、良好な結晶品質の半絶縁層が形成されていることが確認される。
これらの実施例においては、昇温過程における雰囲気の与え方は異なるが、遅くとも下地基板の温度が形成温度に達するまでに処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されているように、水素ガスを供給する態様、換言すれば、水素ガス供給開始温度以上の温度域で処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されるように水素ガスを供給する態様である点は共通している。すなわち、係る態様にて半絶縁層の形成温度に至る雰囲気を形成することが、高結晶品質化と、高比抵抗化との両立に有効であるといえる。
また、実施例1ないし実施例3よれば、昇温を開始した後、下地基板1sの温度が遅くとも500℃に至った時点で水素ガスの供給を開始すれば、比抵抗が1×106Ω・cm以上という高比抵抗の半絶縁層3を得ることができるといえる。なお、より高い比抵抗を得るという観点からは、300℃に至るまでに供給を開始することが、さらに好ましくは室温の状態で開始することが有効ということになるが、上述したような、水素雰囲気下での加熱時間が長くなることに伴う結晶品質の劣化が生じないように、昇温レートの設定も含めた条件設定を行うのがよいと考えられる。
(実施例4)
実施例1と同様の条件で下地基板1s上に半絶縁層3としてのGaN層を成長させるが、その厚みが1.5μmとなるようにした。
得られたGaN層の比抵抗は1×108Ω・cmであった。GaN層の(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅は70秒であった。微分干渉顕微鏡像によって、GaN層の表面の1μm径以上のピットの密度を評価したところ、0個/mm2であった。また、このときの基板の反りの量は15μmであった。
(比較例1)
実施例1と同様の条件で下地基板1sを用意し、製造装置100の中に載置し、室温にて製造装置100内の圧力を200mbarに設定したうえで、水素ガス、窒素ガス、およびアンモニアガスの混合ガスの供給を開始した。それぞれの流速は、2m/sec、1m/sec、1m/secとした。その後、昇温レート150℃/分にてヒータ30により昇温を開始した。下地基板の温度が1100℃に達した以降は、実施例1と同様の手法により、半絶縁層としてのGaN層を成長するが、その厚みが1.5μmとなるようにした。
得られたGaN層の比抵抗は、2×105Ω・cmであった。このときの基板の反りの量は15μmであり、GaN層の(0002)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅は130秒であった。また、微分干渉顕微鏡像によって実施例4と同様に評価したピットの密度は、1500個/mm2であった。図11は、本比較例についての微分干渉顕微鏡像を例示する図である。図11においては、矢印にて示すように、多数のピットが存在することが確認される。
(実施例4と比較例1との比較)
実施例4においては、実施例1の場合とほぼ同等の比抵抗および結晶品質が実現されている。また、図11にて示したようなピットは、実施例4においては確認されなかった。比較例1においては比抵抗および結晶品質のいずれにおいても実施例4よりも劣っていた。また、反り量に関しては、実施例4では実施例1よりも小さい値が得られており、比較例1においても差異はなかったので、これは、半絶縁層の膜厚が薄いことがそのまま反映されたものと考えられる。しかしながら、結晶品質には実施例4と比較例1とで大きな差異があることから、上述の実施の形態に係る方法による場合は、さらに半絶縁層の厚みがさらに薄い場合でも良好な結晶品質と高比抵抗とが確保できるものと考えられる。結果として、反りがより低減された積層体10およびHEMT素子20の実現が可能になるといえる。
(実施例5)
単結晶基材1として用いるサファイアの厚みと、成長下地層2としてのAlN層の形成(MOCVD法によるエピタキシャル形成)に使用する成長炉の種類を違えた、以下に示す異なる3つの条件で作製された下地基板1sを、それぞれに10個ずつ用意した。なお、AlN層の厚みはいずれも1μmとした。
条件1:厚さ430μm、成長炉1;
条件2:厚さ630μm、成長炉1(実施例1で使用した下地基板と同条件);
条件3:厚さ430μm、成長炉2。
これらを用いて、実施例1と同様の手法により、半絶縁層3としてのGaN層を3μmの厚みに形成することにより、積層体10を得た。
(比較例2)
実施例5と同様の3つの条件で下地基板1sを用意し、製造装置100の中に載置し、室温にて製造装置100内の圧力を200mbarに設定したうえで、水素ガス、窒素ガス、およびアンモニアガスの混合ガスの供給を開始した。それぞれの流速は、2m/sec、1m/sec、1m/secとした。その後、昇温レート150℃/分にてヒータ30により昇温を開始した。下地基板の温度が1100℃に達した以降は、実施例1と同様の手法により、半絶縁層としてのGaN層を3μmの厚みに形成することにより、積層体を得た。
(実施例5と比較例2との比較)
図8、図9、および図10は、実施例5および比較例2に係るそれぞれ10個の積層体についてのGaN層の比抵抗を示す図である。各図は順に、条件1、条件2、および条件3の下地基板を用いて作製した場合に対応し、(A)が実施例5の場合を示している。(B)が比較例2の場合を示している。また、各図に示されているエラーバーは、それぞれの積層体における比抵抗の面内ばらつきの程度を示している。
図8ないし図10の(A)と(B)とを比較すると、(A)の場合すなわち実施例5の積層体では、下地基板1sの条件(種類)によらず、1×107Ω・cm以上という高い比抵抗が安定して得られ、かつ、個体間ばらつきおよび面内ばらつきとも小さいことがわかる。すなわち、下地基板1sの種類によらず、高い比抵抗が安定的に得られているといえる。実施例5と比較例2との相違は昇温過程における雰囲気の与え方のみであるので、この結果は、水素雰囲気による昇温が、高い比抵抗の安定的な実現に有効であることを示している。
(実施例6)
図2に示す構造のHEMT素子20を作製した。具体的には、実施例1と同様の条件で半絶縁層の厚みが1.5μmである積層体を作製し、引き続いて、TMA、TMGを供給して、キャリア供給層4としてのAlGaN層を、30nmの厚さに形成した。その後、AlGaN層の表面に、Ti/Au/Ti/Auからなるソース電極5およびドレイン電極6と、Pt/Auからなるゲート電極7とを形成した。なお、HEMT素子20の反りの量は15μmであった。
得られたHEMT素子20のドレイン電極6を接地し、ゲート電極7に−5Vを印加してオフ状態とし、ソース電極5に電圧+50Vを印加してソース電極5とドレイン電極6の間に流れるリーク電流を評価したところ、1nA/mmであった。
(比較例3)
比較例1と同様の条件で、半絶縁層の厚みが1.5μmである積層体を作製し、引き続き、実施例6と同様の処理を行ってHEMT素子を作製した。得られたHEMT素子の反りの量は15μmであり、実施例6と同様に評価したリーク電流は、2mA/mmであった。
(実施例6と比較例3との比較)
実施例6では、リーク電流の値がきわめて小さい良好なHEMT素子が得られている。すなわち、上述の実施の形態に係る方法によれば、厚みが薄いにも関わらず、良好な結晶品質と高比抵抗との両立が実現された半絶縁層を含むHEMT素子が実現されている。また、半絶縁層の厚みが薄くなっていることにより、反りがより低減されてなるHEMT素子が実現できている。
積層体10の構成を示す概要図である。 積層体10を用いて形成されたHEMT素子20の構成を示す概要図である。 反りの規定方法を説明するための図である。 製造装置100の構成の一例を、模式的に示す図である。 第1の実施の形態に係る半絶縁層3の形成の流れを示す図である。 第2の実施の形態に係る半絶縁層3の形成の流れを示す図である。 第3の実施の形態に係る半絶縁層3の形成の流れを示す図である。 実施例5および比較例2の条件1に係るGaN層の比抵抗を示す図である。 実施例5および比較例2の条件2に係るGaN層の比抵抗を示す図である。 実施例5および比較例2の条件3に係るGaN層の比抵抗を示す図である。 比較例1についての微分干渉顕微鏡像を例示する図である。
符号の説明
1 単結晶基材
1s 下地基板
2 成長下地層
3 半絶縁層
4 キャリア供給層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 ゲート電極
10 積層体
20 HEMT素子
21 処理容器
24a〜〜24g (各種の)ガス供給源
28 基材台
30 ヒータ
100 製造装置

Claims (17)

  1. III族窒化物結晶の作製方法であって、
    処理容器中で所定の単結晶下地基板を所定の成膜温度にまで昇温する昇温工程と、
    前記所定の成膜温度に昇温された前記単結晶下地基板の上に少なくともGaを含む第1のIII族窒化物結晶をエピタキシャル成長させる成膜工程と、
    を備え、
    前記昇温工程においては、遅くとも前記単結晶下地基板の温度が前記成膜温度に達するまでには前記処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されているように水素ガスを供給し、
    前記単結晶下地基板の温度が前記所定の成膜温度に達した以降に、前記第1のIII族窒化物結晶の形成に必要な所定のガス群の前記処理容器中への供給を開始することによって前記成膜工程を行う、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  2. III族窒化物結晶の作製方法であって、
    処理容器中で所定の単結晶下地基板を所定の成膜温度にまで昇温する昇温工程と、
    前記所定の成膜温度に昇温された前記単結晶下地基板の上に少なくともGaを含む第1のIII族窒化物結晶をエピタキシャル成長させる成膜工程と、
    を備え、
    前記昇温工程においては、前記単結晶下地基板の温度が所定の水素ガス供給開始温度以上である場合に前記処理容器中に水素ガス雰囲気が形成されるように水素ガスを供給し、
    前記単結晶下地基板の温度が前記所定の成膜温度に達した以降に、前記第1のIII族窒化物結晶の形成に必要な所定のガス群の前記処理容器中への供給を開始することによって前記成膜工程を行う、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記昇温工程において前記単結晶下地基板の温度が300℃以上である場合に前記水素ガスを供給する、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  4. 請求項3に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記昇温工程において前記単結晶下地基板の温度が500℃以上である場合に前記水素ガスを供給する、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物を形成するためのV族原料ガスを含む第1のガス群の供給を先行して開始し、温度変動が収束した後に、前記第1のIII族窒化物を形成するためのIII族元素ガスを含む第2のガス群の供給を開始する、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物における全III族元素中のGaの含有比率が50%以上となるように、前記所定のガス群の供給を行う、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  7. 請求項6に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物における全III族元素中のGaの含有比率が80%以上となるように、前記所定のガス群の供給を行う、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  8. 請求項7に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記成膜工程においては、前記第1のIII族窒化物がGaNとなるように、前記所定のガス群の供給を行う、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記単結晶下地基板が、所定の単結晶基材の上にAlN系III族窒化物である第2のIII族窒化物からなる下地層をエピタキシャル形成してなるものであり、
    前記第1のIII族窒化物におけるAlの含有比率は前記第2のIII族窒化物におけるAlの含有比率よりも小さい、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  10. 請求項9に記載のIII族窒化物結晶の作製方法であって、
    前記第2のIII族窒化物がAlNである、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の作製方法。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の作製方法によって所定の単結晶下地基板の上に少なくともGaを含むIII族窒化物結晶からなる結晶層を形成することによりエピタキシャル基板を得るようにしたこと、
    を特徴とするエピタキシャル基板における反り低減方法。
  12. 請求項11に記載のエピタキシャル基板における反り低減方法であって、
    前記結晶層を2.0μm以下の膜厚を有するように形成する、
    ことを特徴とするエピタキシャル基板における反り低減方法。
  13. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の作製方法によって所定の単結晶下地基板の上に前記第1のIII族窒化物からなる結晶層を形成してなる、
    ことを特徴とするエピタキシャル基板。
  14. 請求項10に記載のIII族窒化物結晶の作製方法によって前記下地層を0.5〜1.0μmの膜厚で形成するとともに前記第1のIII族窒化物からなる結晶層をGaNによって1.0〜2.0μmの膜厚で形成し、前記結晶層の上にAlGaNからなる上部層をさらにエピタキシャル形成してなる、
    ことを特徴とするエピタキシャル基板。
  15. 請求項13または請求項14に記載のエピタキシャル基板であって、
    前記結晶層の比抵抗が1×106Ω・cm以上である、
    ことを特徴とするエピタキシャル基板。
  16. 請求項15に記載のエピタキシャル基板であって、
    前記結晶層が、(0002)面のX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下で、かつ表面欠陥がないように形成されてなる、
    ことを特徴とするエピタキシャル基板。
  17. 請求項13ないし請求項16のいずれかに記載のエピタキシャル基板を用いて形成されてなる、
    ことを特徴とする半導体素子。
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