JP2007144597A - 電着砥石及びこれを用いた研削加工方法 - Google Patents

電着砥石及びこれを用いた研削加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 研削時に発生する発熱や研磨カスによる目詰まりを防止することが可能な電着砥石を提供する。
【解決手段】 円板状台金2の外周面に砥粒が電着されて電着面3が形成され、加工対象物10の輪郭加工を行う電着砥石1である。円板状台金2の側面から電着面3に至る研削液供給孔4が貫通形成され、研削液供給孔4の一方の開口部4bが電着面3において外部に臨んで開口する形で形成されている。輪郭加工に際しては、電着砥石1の円板状台金2の側面から研削液を注液し、研削液供給孔4を介して電着面3に研削液を供給する。また、併せて加工対象物10の電着砥石出口側からも電着砥石1に研削液を供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば希土類焼結磁石等の輪郭加工に用いられる電着砥石に関するものであり、さらには、電着砥石を用いた研削加工方法に関する。
モータをはじめとする各種電気部品の小型化の要求、及びこれに対応した磁石の特性向上の要求に伴い、高性能小型磁石の開発が求められている。このような中、例えばNd−Fe−B磁石等のR−T−B系(Rは、希土類元素の1種以上である。Tは、Feを必須とし、その他金属元素を含む。)焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、近年、その需要が益々拡大する傾向にある。
希土類焼結磁石の製造方法としては、粉末冶金法が知られており、低コストでの製造が可能なことから広く用いられている。粉末冶金法による希土類焼結磁石の製造方法は、基本的には、先ず、原料合金インゴットを粗粉砕及び微粉砕し、粒径が数μm程度の原料合金粉を得る。このようにして得られた原料合金粉を磁場中で配向させ、成形を行う。磁場中成形後、成形体を真空中、または不活性ガス雰囲気中で焼結を行う。
前述の粉末冶金法による希土類焼結磁石の製造においては、得られる希土類焼結磁石を所定の形状とするための機械加工が必要になる。具体的には、粉末冶金法によって製造される希土類焼結磁石の場合、焼結処理において成形体が大きく収縮するため、高い寸法精度が要求される製品に対しては、輪郭加工や切断加工が必要になる。また、小型磁石の場合、輪郭加工を行ったブロックから切断加工によって所定の厚さの磁石片を切り出し、小型化する手法も採られる。
ところで、希土類焼結磁石に対して輪郭加工を行う場合、台金に砥粒を電着させた電着砥石が用いられており、特に円板状台金の外周面に砥粒を電着された電着砥石が広く用いられている。電着砥石は、例えば前記円板状台金を電気めっき浴に浸漬し、作用面(前記外周面)にダイヤモンド超砥粒を充填してめっきを行い、前記作用面に砥粒を1層分仮固定した後、さらに電気めっき、あるいは無電解めっきにより超砥粒を固着することにより作製される。
そして、希土類焼結磁石の輪郭加工の際には、輪郭形状に応じた電着面形状を有する円板状の電着砥石を用い、これを概ね3000rpm以上で高速回転させて研削を行い、所定の形状に加工する。このとき、高速回転する電着砥石の研削部分に対して、1方向あるいは前後2方向から研削液を供給し、加工対象物である希土類焼結磁石や電着砥石の高温化を防ぐと同時に、研削によって発生した研磨カスを速やかに排出するようにしている。
電着砥石においては、砥石の作用面である電着面の砥粒の隙間に研削によって生じた研磨カスが付着すると、いわゆる目詰まりを起こして、研削力が大幅に低下するという問題がある。また、固着されている超砥粒が摩耗、脱落すると、電着砥石の寿命が尽きてしまう。この現象は、加工対象物の研削体積が大きい場合や、希土類焼結磁石のような硬材を研削するといった重研削時に顕著に現れる。
したがって、これらの現象を解消することを目的に、前記のように研削液の供給が必須となるが、それだけでは必ずしも十分とは言えない。何故ならば、従来の電着砥石は、研削中に生じた切粉を砥石の回転運動に伴って研削部分から排出する機能(切粉排出性)が小さい上、研削液が研削部分に供給され難く、研削液による冷却効果及び潤滑効果が低いからである。
このような状況から、例えば特許文献1においては、砥石の構造を工夫することで前記の問題を解消することが試みられている。具体的には、台金、砥粒及び砥粒を台金上に固搏する電着金属層とから成る電着砥石において、研削作用を有する砥石の最外表面に、所定のパターンで砥粒を有する電着領域群と、砥粒を有しない窪み領域群とからなる電着層を形成してなることを特徴とする電着砥石が開示されている。特許文献1記載の電着砥石では、前記のように砥石の最外周に電着砥石領域(電着領域群)と砥石を有しない領域(窪み領域群)が形成されており、この砥石を有しない領域に研削液が供給されることで、冷却効果が得られるとされている。
特開平9−193022号公報
しかしながら、砥石に特許文献1記載の発明のような工夫を行ったとしても、砥石を有しない領域に供給される研削液の量は僅かであり、特に重研削では冷却能が不足し、例えば希土類焼結磁石のような研削抵抗が高い加工対象物を研削する場合には、それだけでは不十分である。また、特許文献1記載の技術では、輪郭加工(総型砥石による加工)を行おうとすると、砥石外周に施すパターンが煩雑になるおそれもある。
例えば、四角いブロックを円弧状に輪郭加工する場合、砥石の電着面において研削体積(研削代)が大きい部分が存在する。中央が窪んだ円弧状に輪郭加工する場合には、電着面の中央部分が研削代の大きい部分となる。このような研削代が大きい部分は、偏摩耗を起こし易く、加工精度の低下をもたらし、砥石の寿命、交換時期を早め、加工時の割れ、カケの発生も増大する傾向にある。このような問題は、平面研削とは違い、輪郭加工に使用される電着砥石特有の問題であり、前記特許文献1記載の技術では解消することはできない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、輪郭加工を行う電着砥石において、研削時に発生する発熱を防止するとともに、研磨カスによる目詰まりを防止することを目的とし、これにより、電着面の砥粒が摩耗、脱落し難い電着砥石を提供することを目的とする。さらに、本発明は、電着砥石を使用することで、加工寸法や生産数の安定化、さらにはコストダウンやメンテナンスの簡易化を図ることが可能な研削加工方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の電着砥石は、円板状台金の外周面に砥粒が電着されて電着面が形成され、加工対象物の輪郭加工を行う電着砥石であって、前記円板状台金の側面から前記電着面に至る研削液供給孔が貫通形成され、前記研削液供給孔の一方の開口部が前記電着面において外部に臨んで開口する形で形成されていることを特徴とする。また、本発明の研削加工方法は、前記電着砥石を用い、前記電着砥石の円板状台金の側面から研削液を注液し、前記研削液供給孔を介して電着面に研削液を供給しながら加工対象物の輪郭加工を行うことを特徴とする。
本発明の電着砥石では、前記の通り、円板状台金の側面から電着面に至る研削液供給孔が貫通形成され、研削液供給孔の一方の開口部が電着面において外部に臨んで開口する形で形成されている。したがって、砥石の研削部分に直接研削液が供給されることになり、効果的な冷却、及び円滑な研磨カスの排出が実現される。
砥石の研削面に研削液を供給する技術としては、例えば特公昭58−2034号公報に開示される技術も知られているが、前記公報に記載される発明は、砥石含有網状金属構造体の裏面側から研削液を供給して砥面に導くものであり、本発明のように電着面に研削液供給孔の開口部を直接開口形成するものではない。本発明では、電着面(砥面)に直接研削液を供給することが重要であり、これにより前記効果的な冷却及び円滑な研磨カスの排出が実現される。前記公報記載の発明のように、砥石含有網状金属構造体の裏面側から研削液を供給した場合、冷却効果はある程度得られるものと考えられるが、研磨カスを効率的に排出することは難しい。
例えば希土類焼結磁石のような金属の硬材を研削加工する場合、ねばりのある研磨カスが砥面に固着するが、前記特公昭58−2034号公報記載の発明のように、砥面に砥石含有網状金属構造体を形成すると、前記研磨カスがその中に入り込んで、前記裏面からの研削液の供給では、これを排出することはできない。したがって、重研削用途に適用することは難しく、前記公報中にもラッピング加工を目的とする場合に好適である旨、記載されている。
本発明では、このような砥石含有網状金属構造体を形成することなく、砥粒が電着された電着面で研削を行うので、輪郭加工のような重研削加工が可能であり、研磨カスが網目の中に入り込むことはない。そして、電着面に付着した研磨カスは、当該電着面に直接噴出される研削液によって速やかに洗い流される。
本発明の電着砥石によれば、研削時に発生する発熱を防止するとともに、研磨カスによる目詰まりを防止することが可能であり、研削抵抗の低減や長寿命化、コストダウン、メンテナンスの簡易化といった効果を得ることが可能である。
また、本発明の研削加工方法によれば、前記電着砥石の機能により、加工速度の一定化や加工品寸法の安定化、生産数の安定化といった効果を得ることができ、さらには製造コストの削減や工程メンテナンスの簡易化等も実現可能である。
以下、本発明を適用した電着砥石及び研削加工方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の電着砥石1は、例えば希土類焼結磁石を所定の形状に削り出す研削加工(いわゆる輪郭加工)を行うものであり、図1及び図2に示すように、円板状台金2の外周面に研削部分となる電着面3を形成してなるものである。円板状台金2は、中央部分の厚さが厚くされて取り付け部2aとされ、ここに砥石取り付け孔2bが形成されている。したがって、電着砥石1は、前記砥石取り付け孔2bに回転軸を挿入固定することにより研削加工装置に装着され、前記回転軸によって高速で回転され、前記外周面である電着面3を加工対象物に当接することで研削加工(輪郭加工)が行われる。また、前記円板状台金2の外周側部分は、研削する加工対象物の幅に対応した厚さを有する砥石台金部2cとされており、その先端(最外周面)に電着面3が形成されている。
前記電着面3は、円板状台金2の外周面に砥粒を電着固定することにより構成されるが、砥粒としては、例えばダイヤモンドや窒化ボロン立方晶(CBN)等の超砥粒が用いられる。これら砥粒は、Ni等の電着金属によって前記電着面3に固定されている。
前記電着面3の形状は、加工対象物の輪郭形状に対応した形状を有し、本実施形態の場合、加工対象物の加工面形状に対応して断面円弧状に突出した形状を有する。図3は、加工対象物10の前記電着砥石1による輪郭加工形状を示すものである。本例の場合、図3(a)に示す四角いブロック形状の加工対象物(例えば希土類焼結磁石)10の上面を、図3(b)に示すような円弧面10aに研削加工する。したがって、電着砥石1の電着面3は、前記円弧面10aに対応した断面円弧状の凸部3aを有する。
前述のような形状の電着面3を有する電着砥石1を用いて加工対象物10に対して研削加工(輪郭加工)を行う場合、前記電着面3の凸部3aにおいて研削代が大きい。すなわち、前記電着面3においては、場所によって加工対象物10に対する研削深さが異なり、前記凸部3aにおいて研削体積が最も大きく、その両側の凹部3bにおいて研削体積が最も小さい。したがって、研削に際しては前記凸部3aに最も負荷がかかり、発熱や研磨カスの発生が最も大きい。
そこで本実施形態では、最も研削代の大きい凸部3aに直接研削液が供給できるように、図4に示すような研削液供給孔4を形成し、前記発熱を抑えるとともに、研磨カスを速やかに排出できるようにする。
なお、前記加工対象物10の形状は、直方体(四角いブロック形状)には限られず、加工最終形状に近い形状等、任意の形状とすることができる。例えば、成形工程における制約等から、成形し得る成形体の形状が制約されることがあり、このような場合には、成形可能な形状に成形した後、これを焼結処理して所望の形状に研削することが行われる。前記各種形状の加工対象物10の研削の際にも、部分的に研削代の多い部分と少ない部分が生じるが、このような場合にも本発明は適用可能である。この場合、加工対象物10の形状や研削加工形状に応じて、電着面3のうち最も研削代が大きくなる部分に研削液供給孔4を形成すればよい。
研削液供給孔4は、前記の通り、電着面3において研削代(研削体積)が最も大きい部分に形成することが好ましく、したがって電着面3の形状に応じて適宜変更することが好ましい。例えば図5(a)に示すような上面を円弧面10aに研削加工した加工対象物10に対して、図5(b)に示すように前記円弧面10aとは反対側の面を円弧面10bに研削加工する場合、当該円弧面10bの研削加工に用いられる電着砥石の電着面3は、図6に示すように、両側が凸部3c、中央部3dが凹部3dとなっている。このような場合には、両側の凸部3cに研削液が供給できるように研削液供給孔4を形成すればよい。
前記研削液供給孔4は、前記電着砥石1の円板状台金2の側面から電着面3へ斜めに貫通する形で形成されており、前記研削液供給孔4の一方の開口部4aが円板状台金2の側面に開口する形で形成されるとともに、他方の開口部4bが電着面3に直接開口する形で形成されている。したがって、前記電着砥石1の側面側から研削液を供給すれば、供給された研削液は、前記円板状台金2の側面を伝って前記研削液供給孔4の開口部4aへ導かれ、図4中破線矢印で示すように、研削液供給孔4を通って電着面3の開口部4bから研削部分に直接供給されることになる。
なお、本実施形態の電着砥石1では、図4に示すように、前記円板状台金2の前記研削液供給孔4の開口部4aが形成される位置より外側に、全周に亘って凸状部5が形成されている。この凸状部5の内周面5aは、各研削液供給孔4の開口部4aに接する形で形成されており、電着砥石1の側面から供給される研削液は、電着砥石1の回転に伴う遠心力により円板状台金2の円形面上を外周側に向かって流れ、この凸状部5の内周面5aでせき止められて前記研削液供給孔4の開口部4aへと導かれる。
前記研削液供給孔4は、電着砥石1に最低1箇所形成すればよいが、効率的に研削液を電着面3に供給するためには、2箇所から16箇所に形成することが好ましい。形成する研削液供給孔4の数は、電着砥石1の大きさ(径)によっても最適数が異なるが、6箇所以上に形成することが好ましく、8箇所以上に形成することがより好ましい。本例では、研削液供給孔4を8箇所に形成している。研削液供給孔4の数が少ないと冷却能が不足するおそれがあり、逆に多すぎると研削できる面積が少なくなり、研削能が低下するおそれがある。
また、研削液供給孔4を複数箇所に形成する場合、電着砥石1の周方向に等角度間隔で形成することが好ましい。研削液供給孔4が1箇所にのみ形成された場合、電着砥石1が高速で回転する際に偏芯するおそれがある。
なお、本実施形態においては、前記複数の研削液供給孔4の開口部4aを、円板状台金2の一方の側面に配列形成しており、電着砥石1の一方の側面からのみ研削液を供給し、前記各研削液供給孔4に導入するようにしているが、これに限らず、例えば各研削液供給孔4の開口部4aが円板状台金2の両側面に交互に形成されるようにすることも可能である。この場合には、電着砥石1の両側面から研削液を供給し、各研削液供給孔4に研削液を導入すればよく、砥石自体の冷却効果も助長される。
前記電着面3に開口する形で形成される研削液供給孔4の開口部4bの大きさは、電着面3の幅の1/8〜1/3とすることが好ましい。具体的数値としては、例えば円形の開口部とする場合、直径1〜3mmとする。これにより十分な研削液を供給することができ、十分な冷却効果が発現される。開口部4bの寸法が前記以上となると、高速で回転させて研削する際に、砥石強度に問題が生ずるおそれがある。
また、前記研削液供給孔4の形状は、前記の通り、円板状台金2の側面から電着面3へ斜めに貫通する形とすればよいが、これに限らず、中途部で直角に折れ曲がる形状としたり、湾曲した形状とすることも可能である。ただし、円板状台金2の側面側の開口部4aの近傍においては、研削液を前記側面に対して作用させる方向と略平行に導入部を有することが好ましい。これにより研削液供給孔4に研削液を導入する効率を向上することができる。また、前記研削液供給孔4の断面形状は、円形だけでなく、楕円形、三角形、四角形やV字形状とすることも可能である。
以上が電着砥石の構成であるが、次に、前記電着砥石を用いた研削加工方法について説明する。なお、ここでは最初に加工対象物である希土類焼結磁石の作製方法について簡単に説明し、その後、作製した希土類焼結磁石(加工対象物10)の輪郭加工について説明する。
希土類焼結磁石は、例えば希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素を主成分とするものであるが、磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましく、特に、キュリー温度の向上、粒界相の耐蝕性向上等に効果があるCoを添加することが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bのみならず、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を7000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。なお、切断対象となる希土類焼結磁石1としては、前記R−T−B系の希土類焼結磁石に限られるものではない。例えば希土類焼結磁石は、SmCo系焼結磁石等であってもよく、これらについても本発明の研削加工方法を適用することが効果的である。
希土類焼結磁石は粉末冶金法によって作製されるが、その製造プロセスは、基本的には、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、成形工程、焼結工程、時効工程とにより構成される。なお、酸化防止のために、焼結後までの各工程は、ほとんどの工程を真空中、あるいは不活性ガス雰囲気中(窒素ガス雰囲気中、Arガス雰囲気中等)で行う。
合金化工程では、原料となる金属、あるいは合金を所望の希土類合金粉末の組成に応じて配合し、真空あるいは不活性ガス、例えばAr雰囲気中で溶解し、鋳造することにより合金化する。鋳造法としては、任意の方法を採用し得るが、溶融した高温の液体金属を回転ロール上に供給し、合金薄板を連続的に鋳造するストリップキャスト法(連続鋳造法)が生産性等の観点から好適であり、得られる合金の形態の点でも好適である。
前記合金化の際に用いる原料金属(合金)としては、純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。合金は、ほぼ最終磁石組成である単一の合金を用いても良いし、最終磁石組成になるように、組成の異なる複数種類の合金を混合しても良い。
粗粉砕工程では、先に鋳造した原料合金の薄板、あるいはインゴット等を、粒径数百μm程度になるまで粉砕する。粉砕手段としては、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いることができる。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させて脆化させた後、粗粉砕を行うことが効果的である。
前述の粗粉砕工程が終了した後、必要に応じて粗粉砕した原料合金粉に潤滑剤を添加する。潤滑剤としては、例えば脂肪酸系化合物等を使用することができるが、特に、融点が60℃〜120℃の脂肪酸や脂肪酸アミドを潤滑剤として用いることで、良好な磁気特性、特に高配向度で高い磁化を有する希土類焼結磁石を得ることができ、その種類や添加量によって、成形体強度を所定の値に調整することができる。
粗粉砕工程の後、微粉砕工程を行うが、この微粉砕工程は、例えば気流式粉砕機等を使用して行われる。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機に応じて適宜設定すればよく、原料合金粉を平均粒径が1〜10μm程度、例えば3〜6μmとなるまで微粉砕する。気流式粉砕機としては、ジェットミル等が好適である。
微粉砕工程の後、磁場中成形工程において、原料合金粉を磁場中にて成形する。具体的には、微粉砕工程にて得られた原料合金粉を電磁石を配置した金型内に充填し、磁場印加によって結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。磁場中成形は、成形圧力と磁界方向が平行な平行磁界成形、成形圧力と磁界方向が直交する直行磁界成形のいずれであってもよい。さらに、磁界印加手段として、パルス電源と空芯コイルも採用することができる。この磁場中成形は、例えば700〜1600kA/mの磁場中で、30〜300MPa、好ましくは130〜160MPa前後の圧力で行えばよい。
前記成形工程により所定の形状に成形した後、焼結工程において、成形体に対して焼結処理を実施する。焼結処理では、前記成形体を真空または不活性ガス雰囲気中(Arガス雰囲気中等)で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、例えば1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよく、焼結後、急冷することが好ましい。なお、焼結工程においては、必要に応じて、焼結に先立って脱脂処理を行うことが好ましい。
前記焼結後には、得られた焼結体に時効処理を施すことが好ましい。この時効処理は、得られる希土類磁石の保磁力Hcjを制御する上で重要な工程であり、例えば不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で時効処理を施す。時効処理としては、2段時効処理が好ましく、1段目の時効処理工程では、800℃前後の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温〜200℃の範囲内にまで急冷する第1急冷工程を設ける。2段目の時効処理工程では、600℃前後の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温まで急冷する第2急冷工程を設ける。600℃近傍の熱処理で保磁力Hcjが大きく増加するため、時効処理を一段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
以上により、例えば四角いブロック形状の希土類焼結磁石が作製されるが、この四角いブロック形状の希土類焼結磁石に対し、最終製品の形状に合わせて輪郭加工を行う。このとき、前記電着砥石1を用いることで、発熱や目詰まりを防止することが可能である。
図7は、前記電着砥石1を用いて加工対象物10(前記四角いブロック形状の希土類焼結磁石)の輪郭加工を行う様子を示すものである。輪郭加工に際しては、図7に示すように、両サイドにガイドを有するレール11上に前記加工対象物10を配し、搬送手段によってこれを搬送する。なお、実際の工程においては、前記レール11上に複数の加工対象物10を配置するが、ここでは簡略化のためレール11上に加工対象物10を1つ配置した状態を示した。
前記搬送手段によって搬送された加工対象物10は、ガイドに沿って、あるいは付勢されながら矢印方向に高速で回転する電着砥石1と接触し、前記電着面3の形状に輪郭加工される。前記輪郭加工に際しては、先ず、前記電着砥石1の側面側に配置した研削液供給ノズル12から研削液を供給する。研削液としては、防錆剤を添加した水等が使用可能である。
研削液供給ノズル12から電着砥石1の側面に供給された研削液は、遠心力により円板状台金2の表面を伝わり、前記凸状部5の内周面5aでせき止められて開口部4aから研削液供給孔4に導かれる。さらに、研削液供給孔4の開口部4bから電着砥石1の電着面3に直接供給され、冷却及び研磨カスの排出を行う。
輪郭加工に際しては、前記電着砥石1の側面側からの他、通常の研削加工の場合と同様、前記加工対象物10の電着砥石1からの出口位置において、加工対象物10の搬送方向と対向する方向に研削液を供給することが好ましい。本例の場合、前記出口位置に研削液供給ノズル13を設置し、電着砥石1に向かって研削液を供給するようにしている。これにより、供給された研削液は、電着砥石1の回転によって電着面3と加工対象物10の間に巻き込まれ、前記研削液供給孔4から供給される研削液と相俟って、冷却効果及び研磨カス排出機能を発揮する。
前記加工対象物10の搬送方向と対向する方向に供給される研削液を併用することにより、冷却効果が向上し、加工対象物10の破損を抑えることができる。前記研削液供給ノズル13から電着砥石1に研削液を供給しない場合、研削時に冷却が不足して発熱により研削能力が低下する。したがって、研削抵抗が非常に高くなってしまっている状態で、研削中の加工対象物10をその後ろから続く加工対象物10で無理に押し込む形になり、破損が多発する。
前述のように、輪郭加工に際し、前記研削液供給孔4から電着面3に直接研削液を供給するとともに、加工対象物10の搬送方向と対向して電着砥石1に研削液を供給することで、研削時の発熱を防止するとともに、研磨カスによる目詰まりを防止することが可能であり、加工速度の一定化や加工品寸法の安定化、生産数の安定化といった効果を得ることができ、さらには製造コストの削減や工程メンテナンスの簡易化等も実現可能である。
以上、本発明を適用した電着砥石、研削加工方法の実施形態について説明してきたが、本発明がこれら実施形態に限定されるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
実施例
加工対象物として50mm×10mm×3mmの四角いブロック状の希土類焼結磁石を用い、図4に示す電着面形状を有する電着砥石により輪郭加工を行った。電着砥石は、ダイヤモンド砥粒を電着したものを用い、ダイヤモンド砥粒の砥粒径は100μm〜300μmとした。また、前記電着砥石には、図1及び図2に示すように、研削液供給孔を8箇所形成し、これらを周方向に等角度間隔で配置した。
輪郭加工(研削)に際しては、図7に示すように、電着砥石の側面及び加工対象物の搬送方向と対向する方向の2方向から研削液を供給した。また、研削に際しては、電着砥石を4500rpmで回転し、加工対象物の搬送速度(フィード)を300mm/分とした。その結果、おおよそ23000本の加工対象物を研削可能であり、研削能力が著しく向上したことがわかった。なお、前記研削に際して、研削液の供給を電着砥石の側面のみ(すなわち研削液供給孔からのみ)として同様の研削を試みたが、破損が多発し、前記2方向からの研削液の供給が有効であることもわかった。
比較例
電着砥石に研削液供給孔を形成せず、加工対象物の搬送方向と対向する方向のみから研削液を供給し、他は実施例と同様に加工対象物の輪郭加工を試みた。その結果、おおよそ15000本の加工対象物を研削した時点で研削スピードが低下し、破損による不良サンプルが発生した。
加工対象物についての検討
フェライト焼結磁石とNdFeB焼結磁石について、先ず、比較例と同じ砥石で研削を試みた。具体的には、実施例と同じ寸法のフェライト焼結磁石及びNdFeB焼結磁石を比較例と同様、研削液供給孔を形成していない電着砥石を用いて10000本研削した。その結果、法線方向研削抵抗に大きな差異が発生することがわかった。例えば切り込み量を0.1mmとした時、研削当初は研削抵抗に差異は無かったが、10000本数研削後の研削抵抗にフェライト焼結磁石とNdFeB焼結磁石とで大きな差異が見られた。具体的には、フェライト焼結磁石においては、研削当初から10000本数研削後まで研削抵抗が5〜15kgfの範囲で推移したのに対して、NdFeB焼結磁石においては、10000本数研削後の研削抵抗が30〜50kgfと顕著に増加した。
そこで次に、実施例と同じ寸法のフェライト焼結磁石とNdFeB焼結磁石について、実施例と同様、研削液供給孔を形成した電着砥石を用い、電着砥石の側面及び加工対象物の搬送方向と対向する方向の2方向から研削液を供給しながら10000本研削した。その結果、NdFeB焼結磁石の研削においても、10000本数研削後の研削抵抗の上昇はほとんど見られなかった。したがって、本発明の電着砥石は、NdFeB焼結磁石のような希土類焼結磁石の研削に適用して効果が高いと言える。
本発明を適用した電着砥石の一例を示す概略斜視図である。 図1に示す電着砥石の概略断面図である。 輪郭加工を説明する図であり、(a)は研削加工前の加工対象物の形状を示し、(b)は研削加工後の加工対象物の形状を示す。 図3に示す研削加工を行う電着砥石の電着面の形状及び研削液供給孔を示す。 輪郭加工の他の例を説明する図であり、(a)は研削加工前の加工対象物の形状を示し、(b)は研削加工後の加工対象物の形状を示す。 図5に示す研削加工を行う電着砥石の電着面の形状及び研削液供給孔を示す。 図1に示す電着砥石を用いた輪郭加工の様子を示す模式図である。
符号の説明
1 電着砥石、2 円板状台金、3 電着面、4 研削液供給孔、4a,4b 開口部、5 凸状部、5a 内周面、10 加工対象物、11 レール、12,13 研削液供給ノズル

Claims (9)

  1. 円板状台金の外周面に砥粒が電着されて電着面が形成され、加工対象物の輪郭加工を行う電着砥石であって、
    前記円板状台金の側面から前記電着面に至る研削液供給孔が貫通形成され、前記研削液供給孔の一方の開口部が前記電着面において外部に臨んで開口する形で形成されていることを特徴とする電着砥石。
  2. 前記開口部は、前記電着面のうち、輪郭加工の際に研削代が最も大きい位置又はその近傍に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電着砥石。
  3. 前記研削液供給孔は前記円板状台金の周方向に複数形成され、前記開口部は前記電着面の周方向に複数配列形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電着砥石。
  4. 前記研削液供給孔及び前記開口部の数が2〜16個であり、前記開口部が前記電着面の周方向において略等角度間隔で形成されていることを特徴とする請求項3記載の電着砥石。
  5. 前記開口部の寸法が前記電着面の幅の1/8〜1/3であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の電着砥石。
  6. 前記研削液供給孔の前記円板状台金側面の開口部の外周側に円環状の凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の電着砥石。
  7. 請求項1から6のいずれか1項記載の電着砥石を用い、前記電着砥石の円板状台金の側面から研削液を注液し、前記研削液供給孔を介して電着面に研削液を供給しながら加工対象物の輪郭加工を行うことを特徴とする研削加工方法。
  8. 前記加工対象物の電着砥石出口側からも前記電着砥石に研削液を供給することを特徴とする請求項7記載の研削加工方法。
  9. 前記加工対象物が希土類焼結磁石であることを特徴とする請求項7または8記載の研削加工方法。
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