JP2007161996A - 安定化された潤滑油 - Google Patents

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真治 深町
Eri Ishida
恵理 石田
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潤治 岩橋
Takeshi Tanabe
剛 田辺
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Abstract

【課題】経時的に着色することが無く、揮発性の点でも、潤滑油を取り扱う作業者に対しても、健康上の被害を及ぼす可能性が実質的にない、実質的に揮発性を有しない添加剤を含む安定化された潤滑油の提供。
【解決手段】下記式(a)又は(b)
Figure 2007161996

で表されるヒドラジン誘導体を所定量潤滑油に添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、安定化された潤滑油に関する。更に詳しくは、ヒドラジン誘導体で安定化された潤滑油に関する。
従来、潤滑油の安定剤としては、ジクミルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、BHT等のフェノール系酸化防止剤、あるいはこれらの併用系などが用いられてきた。しかしアミン系酸化防止剤の場合には、時間の経過と共に、着色がおこるという欠点があり、このような着色化した潤滑油の使用が好まれない用途への使用には、適さないという問題がある。また、BHTについては、それ自体が揮発性であるという欠点があり、高熱条件下で使用すると、揮発して失われてしまい、意図した効果が発揮されなかったり、あるいは、揮発により作業環境中に潤滑油放出されたBHTの蒸気が、人体に取り込まれ、健康に影響を与える可能性が少なくなかったりと言うという懸念が出てきている。
ところで、ある種のヒドラジン誘導体をゴム組成物に使用する提案が、例えば特許文献1や特許文献2になされているが、潤滑油に添加して、酸化を防止しようとする試みは、これらの文献には、教示も開示もされていない。
特開平11−228737号公報 特開平11−228738号公報
本発明の目的は、経時的に着色することが無く、揮発性の点でも、潤滑油を取り扱う作業者に対しても、健康上の被害を及ぼす可能性が実質的にない、揮発性を有しない添加剤を含む安定化された潤滑油を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定のヒドラジン誘導体を潤滑油の酸化防止に使用することにより、上記の目的と達成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、潤滑油の酸化防止などを目的として、下記式(a)又は(b)
Figure 2007161996
(式(a)又は(b)中のC(O)NHXで表される置換基は、OH基に対して、式(a)中のフェニル環又は式(b)中のナフチル環上のオルト位又はパラ位に結合しており、当該C(O)NHXで表される置換基中のXは、−NH(R1)又は−N=CR23を示し、R1、R2、及びR3は共にH又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基をそれぞれ示す。)で表されるヒドラジン誘導体を所定量潤滑油に添加することにより、安定化された潤滑油が提供しようとするものである。
特に、上記式(a)又は(b)において揮発性が少なく、少量の添加で、BHTと同等の安定化効果を有する潤滑油組成物が、上記式(a)又は(b)において、Xが、−NHR1又は−N=CR23で表され、そして、R1、R2、R3の何れも、H又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基であるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体、及びN’−置換−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジン又はその誘導体が好適に使用される。特に、R1は、H又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基を、R2、R3は、何れか一方がメチル基で、他方が炭素数1〜4の分岐していても良い飽和アルキル基であるものが好ましい。なお、以下において、3−OHフェニル基を式(a)中の基本骨格と称し、3−OHナフチル基を(b)中の基本骨格と称することがある。
中でも、N’−(1−メチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−ブチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−ブチルエチル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、及びN’−(1−メチルエチル)サリチル酸ヒドラジド等が好適に使用される。更に、これらの中でも、N’−(1−メチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−ブチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、及びN’−(1−ブチルエチル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドが、特に好適に使用される。勿論、これらは単独でも、或いは、混合して使用しても良い。
上記式(a)又は(b)で示されるヒドラジン誘導体は、アミン系酸化防止剤と併用して使用しても、所望とする効果を発揮し、上記のような要求に沿う潤滑油を提供することができる。潤滑油への添加量は、質量%で、0.001%〜1%で十分であり、好ましくは、0.01%〜0.5%程度である。
本発明に係るヒドラジン誘導体を含む潤滑油組成物は、耐酸化性に優れ、従って、経時的に着色することもなく、又、添加されたヒドラジン誘導体の揮発性が極めて少ないか、実質的にないことから、作業環境への実質的な放出も懸念されない点で、優れた効果を示す潤滑油組成物である。また、経時変化又は熱による着色を起こしにくいことから、着色化した潤滑油の使用が好まれない用途での使用に好適な潤滑油組成物である。
本発明に係るヒドラジン誘導体が添加可能な潤滑油としては、鉱油や合成油が含まれる。鉱油としては、原油を精製して得られる一般的な鉱油であればよく、例えば、60ニュートラル油、100ニュートラル油、150ニュートラル油等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。合成油としては、炭化水素系油、エステル油、及びその他の合成油等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、鉱油と合成油を混合して使用しても差し支えない。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明に係るヒドラジン誘導体の内、Xが−N=CR23であるものは、サリチル酸ヒドラジド又は3−ヒドロキシナフトエ酸ヒドラジドを原料として、アセトン又はメチルエチルケトンを反応させて製造することが出来、又、Xが−NHR1であるものは、上記の反応生成物を更に水素添加反応させることにより製造することできる。以下に、代表的な化合物の製造例を挙げる。しかし、本願のヒドラジン誘導体は、下記以外に方法でも製造可能であることは言うまでもない。
(製造例1)
N’−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジドの合成
水分離機、還流冷却機および攪拌機を備えた反応器にサリチル酸ヒドラジド30.4g(0.2mol)、アセトン232.3g(4mol)を仕込み、加温することで還流脱水を行いながら3時間反応した。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、析出結晶をろ別した。得られた結晶を減圧乾燥して白色結晶として生成物を得た(収量:37.7g、収率:98.0%)。
(製造例2)
N’−(1−メチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドの合成
原料に3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドを用いたこと以外は、製造例1と同様の操作を行った。こうして白色結晶として生成物を得た(収量:47.3g、収率:97.6%)。
(製造例3)
N−サリチル酸−N’−(1−メチルエチル)ヒドラジドの合成
水分離機、還流冷却機および攪拌機を備えた反応器にサリチル酸ヒドラジド30.4g(0.2mol)、アセトン232.3g(4mol)を仕込み、加温することで還流脱水を行いながら3時間反応した。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、析出結晶をろ別した。得られた結晶を減圧乾燥して白色結晶として中間体を得た。得られた中間体およびイソプロピルアルコール145.0g、3%Pt/C 3.0gをオートクレーブに仕込み、水素圧1.5MPa、反応温度100℃にて5時間反応した。反応終了後、ろ過により触媒を除去した後、溶媒を20℃まで冷却し析出結晶をろ別した。得られた結晶を減圧乾燥して白色結晶として生成物を得た(収量:32.7g、収率:84.3%)。
(製造例4)
4−4.N−(3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)−N’−(1−メチルエチル)ヒドラジドの合成
原料に3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジドを用いたこと以外は、製造例と同様の操作を行った。こうして白色結晶として生成物を得た(収量:24.4g、収率:50.0%)。
酸化防止効果試験
本発明に係るヒドラジン誘導体の酸化防止効果についての試験を実施した。即ち、以下の表1に示す本発明に係るヒドラジン誘導体の代表的な化合物9個と、比較例として、BHT、ステアラーSTAR(精工化学製)及びジクミルジフェニルアミンを使用して、潤滑油の安定性試験を実施した。即ち、以下の表1に示された本発明に係るヒドラジン誘導体0.2質量%又は比較例として使用した各物質0.2質量%と、150ニュートラル油99.8質量%又は150ニュートラル油99.8質量%からなる潤滑油組成物を、JIS K2514 回転ボンベ式酸化安定度試験(RBOT)に供し、得られた酸素吸収誘導時間の結果を表2に示した。酸素吸収誘導時間は、酸化安定性の尺度として測定され、その時間が長ければ長いほど酸化安定性が良いことを示す。なお、対照として、150ニュートラル油のみからなるものも試験に供した。
Figure 2007161996
Figure 2007161996
註:*:表1に示した化合物番号を示す。
上記の結果から明らかなように、本発明に係るヒドラジン誘導体は、大部分が比較例として使用した物質の効果より優れており、特に、BHTと比較して、その量の3分の1以下で大部分のものが優れた効果を示すことが示唆された。また、この試験では、比較例として使用した物質の内、最も効果の高かったBHTと比較して劣る効果を示したものでも、量を増加すれば、十分に同等程度の効果を示すことが予測される。
そこで、上記のヒドラジン誘導体の内、化合物6と8と9の3種の誘導体の揮発性試験を実施した。試験は、上記3種の誘導体とBHTを使用し、それぞれ2gずつ精秤した各化合物を直径30mmの秤量瓶に入れ、120℃の恒温槽中で所定の時間で保持し、各時間経過後に取り出し、放冷した後秤量し、残存率を求めた。その結果は、以下の表3通りである。
Figure 2007161996
上記の結果から明らかなように、本発明に係るヒドラジン化合物は、極めて揮発性が低く、作業環境への放出は、実質的にないといえる。
色相安定性試験
本発明のヒドラジン誘導体について色相安定性試験を実施した。潤滑油の使用にあたって発生してくる着色は、多くの場合これに加えている添加剤の着色に起因するものであると考えられている。ゆえに、経時変化又は熱による着色を起こしにくい添加剤を使用すれば、着色することが少ない潤滑油を得ることができるといえる。添加剤の経時的あるいは加熱による着色を見る促進試験としてNOx試験がある。そこで、NOx試験を実施した。この試験の結果、着色が起こる度合いが低ければ、実際の使用時のヒドラジン誘導体の色相安定性も高いといえ、これらを添加して製造した潤滑油の色相が安定であるといえる。
以下のような手順でNOx試験を行った。
先ず、所定のサンプル5gをスクリュー管に測り取り、DMAc15gを加え、溶解させる。次いで、完全に溶解させたサンプル液をバイアルびんに10g測り取り、ゴムキャップ、アルミホルダーを使用して密栓する。JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じる酸化窒素ガス発生装置で発生させたNOxガスを、シリンジを使って2mlとり、サンプル液を入れたバイアルびんに注入し、よく振ってNOxガスとサンプル液を混ぜる。このものを、室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し、色数を求める。これをNOx処理前のサンプルのガードナー数と比較し、変化量Δを求める。結果を表4に示す。
Figure 2007161996
以上の結果から本発明に係るヒドラジン化合物、特に2,4,5,7,9は潤滑油に添加し、使用した際の着色がBHTと同等、あるいはステアラーSTAR、ジクミルジフェニルアミンに代表されるアミン系酸化防止剤と比較し極めて少なく、ゆえに色相安定性の高い潤滑油が求められる分野において優れた効果が期待できる。
本発明に係るヒドラジン誘導体を添加した潤滑油は、安定性効果において、BHTと比較して、少量で十分な効果を示し、また、揮発性も実質的にないことから、安定化された潤滑油組成物用の添加物として産業上有用であり、このヒドラジン誘導体を使用した本発明に係る潤滑剤組成物は、産業上各種の利点をもたらす製品であるといえる。また、BHTと共に広く使用されている、アミン系酸化防止剤の場合と比較した場合には、高い色相安定性が期待でき、着色化した潤滑油の使用が好まれない用途での使用が大いに期待される。

Claims (2)

  1. 下記式(a)又は(b)
    Figure 2007161996
    (式(a)又は(b)中のC(O)NHXで表される置換基は、OH基に対して、式(a)中のフェニル環又は式(b)中のナフチル環上のオルト位又はパラ位に結合しており、当該C(O)NHXで表される置換基中のXは、−NH(R1)又は−N=CR23を示し、R1、R2、及びR3は共にH又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基をそれぞれ示す。)
    で表されるヒドラジン誘導体で安定化された潤滑油。
  2. ヒドラジン誘導体がN’−(1−メチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−ブチルエチリデン)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−(1−ブチルエチル)−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、N’−サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、及びN’−(1−メチルエチル)サリチル酸ヒドラジドからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の潤滑油。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010053256A (ja) * 2008-08-28 2010-03-11 Seiko Kagaku Kk 重合抑制方法

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