JP2007165449A - 磁気記憶装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 書込み時等における磁化特性を均質化して、低電流による書込み作業を実行できるようにする。
【解決手段】 配線5を任意方向に延在させ、この配線5に対して磁気抵抗効果素子4を隣接配置し、配線5における磁気抵抗効果素子4と反対側に反素子側ヨーク20Bを近接配置した磁気記憶装置1であって、反素子側ヨーク20Bの厚さを、50nmより大きく且つ150nmより小さくなるように設定した。
【選択図】図5

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子に情報を記憶する磁気記憶装置に関するものである。
近年、コンピュータや通信機器等の情報処理装置に用いられる記憶デバイスとして、MRAM(Magnetic Random Access Memory)が注目されている。MRAMは、磁気によってデータを記憶することから、電気的な手段を用いなくてもその磁化方向が維持することができるので、揮発性メモリであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static RAM)のように電源断によって情報が失われるといった不都合を回避できる。また、従来のフラッシュEEPROMやハードディスク装置のような不揮発性記憶手段と比較して、MRAMはアクセス速度、信頼性、消費電力等において優れている。従って、MRAMは、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリとしての機能と、フラッシュEEPROMやハードディスク装置などの不揮発性記憶手段の機能のすべてを代替できると言われている(特許文献1)。
例えば、どこにいても情報処理を可能とするいわゆるユビキタスコンピューティングを目指した情報機器を開発する場合、高速処理に対応可能としながらも消費電力を小さくし、そして、電源断が生じても情報消失を回避できるような記憶装置が求められるが、MRAMはこのような要求を同時に満足できる可能性があり、今後、多くの情報機器に採用されることが期待されている。
特に、日常持ち歩くカードや携帯情報端末等については、十分な電源を確保できない場合が多い。従って、厳しい利用環境において大量の情報処理を実行するには、低消費電力とされるMRAMであっても、情報処理中の電力消費を一層低減させることが求められている。
MRAMにおける低消費電力化を進展される技術の一例として、例えば特許文献2又は特許文献3に記載された磁気記憶装置がある。これらの磁気記憶装置は、各記憶領域(メモリセル)毎に、ビット線と、ビット線と直行するように配置されたワード線と、このビット線とワード線の間であって、且つ交差する位置に配置されたトンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunneling Magneto−Resistive)素子等を備える。更にこれらの磁気記憶装置では、ビット線又はワード線におけるTMR素子近傍に、これら配線の周りを取り囲むヨーク(磁界制御層)が配置されている。ヨークは高透磁率の強磁性体によって構成されており、ビット線又はワード線から生じる磁束の漏れを低減させ、TMR素子に磁束を集中させる役割を果たす。この結果、TMR素子の磁化状態の反転に必要な磁界が、低消費電力でも得ることが出来る。また、磁束をTMR素子に集中させることができる。
なお、TMR素子とは、外部磁界によって磁化方向が変化する第1磁性層(感磁層)と、磁化方向が固定された第2磁性層と、第1磁性層と第2磁性層との間に挟まれた非磁性絶縁層とを備え、第1磁性層の磁化方向が第2磁性層の磁化方向に対して平行または反平行に制御されることにより二値データを記憶する素子である。
特許第3466470号公報 特開2000−90658号公報 特開2004−128430号公報 日経エレクトロニクス(2002年11月18日 133頁)
しかしながら、本発明者の更なる研究によって、ヨークを採用した磁気記憶装置においても、必ずしも低消費電力化が達成されない場合があることが見出されてきた。例えば、ヨークの形状が十分に検討されていない場合、かえって、磁界を発生させるために多くの消費電力を要したり、ヨーク自体の内部磁界の影響によって磁気記憶が阻害されたりするなどの問題が想定された。
TMR素子は、磁性層の磁化方向を反転させて二値データを記憶する構造であるので、この磁化方向の反転に要する消費電力が、双方向において均一化させることが重要になる。例えば、一方向への磁界反転を低消費電力で行えたとしても、他方向への磁界反転の消費電力が大きくなるようでは、実質的に低消費電力とならない。従って、ヨークを採用する際には、このヨーク自体の磁化方向にばらつきが生じると、書き込み時の電流制御やタイミング制御が複雑になるという問題があった。
又、ヨーク内に多数の磁区が形成されると、ビット線やワード線の磁化状態を変化させる際にバルクハウゼンノイズが発生し、これも書き込み性能を悪化させる要因になると考えられた。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、磁気記憶装置における書き込み時の消費電力を低減しつつ、書き込み磁界のばらつき等を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記反素子側ヨークの厚さが、50nmより大きく且つ150nmより小さいことを特徴とするものである。
反素子側ヨークの厚さが薄すぎる場合、反素子側ヨークに生じる磁界が弱くなってしまい、磁気抵抗効果素子に磁気記憶する為の磁界を十分に生じさせることが出来なくなる。一方、反素子側ヨークの厚みが大きすぎる場合は、その反素子側ヨークに磁界を生じさせるために必要な消費電流が大きくなってしまう。従って、本発明のようにすれば、その範囲内で反素子側ヨークに生じる磁界と、それを生み出すための電流量が合理的にバランスし、磁気抵抗効果素子に対して効率的に信号を書き込むことが可能になる。
また、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記反素子側ヨークにおける配線長手方向寸法が、該反素子側ヨークにおける配線幅方向寸法の2分の1より大きく且つ2倍より小さいことを特徴とするものである。
このようにすると、反素子側ヨークの形状が配線の周方向に細く且つ長くなることで、反素子側ヨークの内部に、配線の周方向(の一方向)の磁化が自然形成されてしまうことを抑制することが出来る。その結果、配線の外周に生じさせる双方向の磁化をバランス良く形成することが出来るので、磁気抵抗効果素子に信号を効率的且つ高速に書き込むことが可能になる。一方、反素子側ヨークの形状が、配線の延在方向に長すぎてしまうと、反素子側ヨーク内部に磁区が形成され、ヨーク内部の磁化変化が滑らかでなくなる(応答が悪くなる)場合がある。また、素子寸法が大きくなりすぎると、配線に電流を流すことによって生じる磁界の応答性が悪化する場合がある。従って、本発明のようにすれば、配線の外周の双方向磁界を効率的且つ高応答性で生じさせることが出来る。
更に、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記素子側ヨークの厚さが、10nmより大きく且つ30nmより小さいことを特徴とするものである。
素子側ヨークも同様に、薄すぎるとヨーク先端から発生する磁界が小さくなり、書き込み効率が低下する。一方、厚すぎると、ヨーク内部に磁区が形成され、ヨーク先端の磁化変化が滑らかでなくなる可能性がある。従って、本発明のようにすれば、高い応答性を維持しながらも、磁気抵抗効果素子に磁界を集中させることが出来るようになる。
更に、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記素子側ヨークの厚さをA、磁気抵抗効果素子の厚さをBとした場合に、2.5< A/B <7.5を満たすことを特徴とするものである。
また、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記素子側ヨークにおける配線長手方向寸法が、前記磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の1倍より大きく且つ該磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の5倍より小さく設定されていることを特徴とするものである。
更に又、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線の周方向に沿って配置されるヨーク構造体と、を備える磁気記憶装置であって、前記ヨーク構造体における前記磁気抵抗効果素子近傍を構成する素子側ヨークの厚みと比較して、該ヨーク構造体における前記磁気抵抗効果素子の反対側を構成する反素子側ヨークの厚みが大きく設定されていることを特徴とするものである。本発明のようにすれば、肉厚に設定された反素子側ヨーク側によって磁界の漏れを積極的に抑制し、その磁界を、薄肉側の素子側ヨークを経ることで集中させることで、磁気抵抗効果素子に効率的に提供することが可能になる。この場合において、前記反素子側ヨーク厚さが50nmより大きく且つ150nmより小さく設定されると共に、前記素子側ヨークの厚さが10nmより大きく且つ30nmより小さく設定されることが好ましい。
また、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線の周方向に沿って配置され、該周方向の一部に空隙が設けられることで該空隙に前記磁気抵抗効果素子が収容されるヨーク構造体と、を備える磁気記憶装置であって、前記ヨーク構造体における配線長手方向最大外寸が、該ヨーク構造体の配線幅方向最大外寸の2分の1より大きく且つ2倍より小さく設定されていることを特徴とするものである。上記発明において、更に、前記ヨーク構造体における前記磁気抵抗効果素子近傍を構成する素子側ヨークの配線長手方向寸法が、前記磁気抵抗効果素子の前記配線長手方向寸法の1倍より大きく、且つ該磁気抵抗効果素子の該配線長手方向寸法の5倍より小さく設定されていることを特徴とすることも好ましい。
また、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記素子側ヨークの厚さと比較して、前記反素子側ヨークの厚さが大きく設定されていることを特徴とするものである。この発明において、更に、前記反素子側ヨークの厚さが、50nmより大きく且つ150nmより小さく設定されると共に、前記素子側ヨークの厚さが、10nmより大きく且つ30nmより小さく設定されることが好ましい。
更に、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記素子側ヨークにおける配線長手方向寸法が、前記磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の1倍より大きく且つ該磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の5倍より小さく設定されていることを特徴とするものである。
これらの発明において、更に、前記素子側ヨークの両端近傍と反素子側ヨークの両端近傍を連結する一対の側部ヨークを備えることを特徴とすることが好ましい。
また、本発明による磁気記憶装置は、任意方向に延在する配線と、該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、前記素子側ヨークの両端近傍と反素子側ヨークの両端近傍を連結する一対の側部ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、前記素子側ヨークにおける前記配線長手方向外寸が、一対の前記側部ヨーク間の距離の2分の1より大きく且つ2倍より小さく設定されていることを特徴とすることが好ましい。
本発明によれば、配線から得られる磁界を安定化させると共に、その磁界の変化に伴うヨーク内部の磁化変化を円滑にして、消費電力を低減させつつ、書込み性能を向上させる効果を奏し得る。
以下、添付図面を参照しながら本発明による磁気記憶装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置1の全体構成を示す概念図である。磁気記憶装置1は、記憶部2、ビット選択回路11、ワード選択回路12、ビット配線13、14、並びにワード配線15、16を備える。記憶部2には、複数の記憶領域3がm行n列(m、nは2以上の整数)の二次元状(アレイ状)に配列されている。図2に拡大して示されるように、各記憶領域3は、TMR素子4、読み書き兼用配線5、読み書き兼用トランジスタ6、読み出し配線7、強磁性ヨーク構造体20等を有する。なお、読み書き兼用配線5は、ビット配線13から引き込まれるように配設されていることから、記憶領域3毎に、読み書き兼用配線5、強磁性ヨーク構造体20などが独立して配設されるようになっている。
TMR(磁気抵抗効果)素子4は、磁化方向を変化させると、それに基づいて自身の抵抗値が変化する機能を有する。この抵抗値の変化状態によって、TMR素子4に二値データが書き込まれる。このTMR素子4の磁化方向を変化させる外部磁界は、読み書き兼用配線5によって発生させる。
読み書き兼用配線5の一端は、読み書き兼用トランジスタ6を介してビット配線13に電気的に接続されている。読み書き兼用配線5の他端は、ビット配線14に電気的に接続される。読み書き兼用トランジスタ6は、読み書き兼用配線5における書き込み電流及び読み出し電流の導通を制御するためのスイッチ手段であり、ドレイン及びソースの一方に読み書き兼用配線5が接続され、他方にビット配線13が接続される。更に、ゲートにはワード配線15が接続される。これにより、読み書き兼用配線5には、読み書き兼用トランジスタ6によって電流が流され、その電流によって周囲に磁界を生じさせる。
読み出し配線7は、一方がTMR素子4に接続されると共に、他方がワード配線16に接続され、両端間にはダイオードが配置されている。TMR素子4において、このワード配線16が接続される側と反対側の面には、読み書き兼用配線5に接続されるので、TMR素子4に読み出し電流を供給できるようになる。なお、読み出し配線7のダイオードの存在により、ワード配線16からTMR素子4側に流れる回り込み電流を防止することができる。
ビット配線13、14は、アレイ状に配置される複数の記憶領域3の列毎に配設されている。ビット配線13は、対応列に属する全記憶領域3の読み書き兼用トランジスタ6に接続され、この読み書き兼用トランジスタ6を介して読み書き兼用配線5の一端に接続される。また、ビット配線14は、対応列に属する全記憶領域3の読み書き兼用配線5の他端に接続される。ビット配線13とビット配線14間に電位差を付与しつつ、読み書き兼用トランジスタ6によって導通を許可すれば、読み書き兼用配線5に電流が流れるようになる。
ワード配線15、16は、記憶領域3の各行に配設される。ワード配線15は、対応行に属する全記憶領域3において、読み書き兼用トランジスタ6のゲートに接続されている。また、ワード配線16は、対応行に属する全記憶領域3において、読み出し配線7を介してTMR素子4に接続される。
図1に戻って、ビット選択回路11は、各記憶領域3の読み書き兼用配線5に正または負の書き込み電流を提供する機能を備える。具体的にビット選択回路11は、内部または外部から指示されたアドレスに応じて、アレイ状に配置される記憶領域3から所定列を選択するアドレスデコーダ回路と、この選択した所定列に対応するビット配線13、14間に正または負の電位差を付与して、この所定列のビット配線13、14間に設置される読み書き兼用配線5に書き込み電流を供給するカレントドライブ回路を含んでいる。
ワード選択回路12は、内部または外部から指示されたアドレスに応じて、アレイ状に配置される記憶領域3から所定行を選択するアドレスデコーダ回路と、この所定行に対応するワード配線15、16に所定の電圧を供給するカレントドライブ回路を含んでいる。従って、ワード選択回路12を用いて、所定行に相当するワード配線15に制御電圧を印加すれば、読み書き兼用トランジスタ6を導通状態にすることができる。この導通制御により、上記ビット選択回路11によって選択されたアドレスの読み書き兼用配線5に対して、書込み電流を流すか流さないかを選択できるようになる。更にワード選択回路12は、ワード配線16に所定の電圧を印加する事で、読み出し電流の制御も可能となっている。具体的には、ビット選択回路11において、内部または外部から指示されたアドレスに対応する列をアドレスデコーダ回路によって選択し、そのビット配線13に所定電圧を印加する。これと同時に、ワード選択回路12では、アドレスデコーダ回路によってアドレスに対応する行を選択して、その行に対応するワード配線16に所定電圧を印加する事で、このビット配線13とワード配線16との間に読み出し電流を供給する。この際に、選択された所定行のワード配線15にも電圧を印加して、読み書き兼用トランジスタ6に基づいて読み出し電流を流すように制御する。
次に、この磁気記憶装置1における記憶領域3の具体的構造について詳細に説明する。図3は、記憶領域3の配線状態等を立体的に示した斜視図である。記憶領域3は、大きくは下側から半導体層、配線層、磁性材料層を備えている。半導体層は特に図示しない半導体基板を含み、記憶領域3全体の機械的強度を維持しながら、読み書き兼用トランジスタ6等の半導体デバイスが形成される。最上位の磁性材料層には、TMR素子4、TMR素子4に磁界を効率的に与えるための強磁性ヨーク構造体20といった磁性素材による構成物が形成される。中間に位置する配線層は、ビット配線13及び14並びにワード配線15及び16、読み書き兼用配線5の一部、読み出し配線7等が形成される。
半導体層における読み書き兼用トランジスタ6は、絶縁領域に取り囲まれるように形成されており、隣接する複数の読み書き兼用トランジスタ6が互いに電気的に分離されている。絶縁領域には例えばSiO2といった絶縁性材料が用いられ、又、半導体基板は例えばSi基板から構成され、そこにp型またはn型の不純物がドープされることになる。
図4に拡大して示されるように、読み書き兼用トランジスタ6は、半導体基板30の反対導電型となるドレイン領域6A、ソース領域6B、ゲート電極6C等によって構成されている。従って、ドレイン領域6Aとソース領域6Bの間には半導体基板30が介在しており、その半導体基板30上に所定の間隔を空けてゲート電極6Cが配置されている。このゲート電極6Cはワード配線15によって構成されており、この構成により、ワード配線15に電圧が印加されると、読み書き兼用トランジスタ6のドレイン領域6A及びソース領域6Cが互いに導通して、ビット配線13から供給される電流が読み書き兼用配線5に流れるようになっている。
図3に戻って、配線層におけるビット配線13及び14、ワード配線15及び16等の各配線以外の領域は、すべて絶縁領域によって占められる。この絶縁領域の材料としては、半導体層の絶縁領域と同様にSiO2といった絶縁性材料を用いる。また、配線の材料としては例えばWやAlを用いることができる。
TMR素子4に隣接する読み書き兼用配線5は、記憶領域3のアレイ面(平面)方向に延在しながらも、この平面内でL字上に屈曲した形状となっている。更に、読み書き兼用配線5の一端は平面に対して垂直方向に屈曲して垂直配線となり、その下方側においてビット配線14に接続される。読み書き兼用配線5の他端は、同様に平面に対して垂直方向に屈曲して垂直配線となり、その下端において読み書き兼用トランジスタ6のドレイン領域6Aとオーミック接合される。
また、ビット配線13には、各記憶領域3の引き込み線13Aが平面方向に分岐形成されており、その先方で垂直方向に屈曲して、読み書き兼用トランジスタ6のソース領域6Bにオーミック接合される。読み出し配線7も平面方向に延在しており、その一端はTMR素子4に電気的に接続され、他端は垂直方向に屈曲して下方側においてワード配線16に接続される。
行方向に延びるワード配線15は、その一部がゲート電極6Cを兼ねている。このことは、ワード配線15が読み書き兼用トランジスタ6のゲート電極6Cに電気的に接続されることと同義である。
次に、図5等を用いて磁性材料層について説明する。磁性材料層は、TMR素子4と、強磁性ヨーク構造体20と、読み書き兼用配線5の一部と、読み出し配線7の一部等を有する。なお、磁性材料層においては、以下に説明する構成や他の配線以外の領域は、絶縁領域24によって占められている。
図6に拡大して示されるように、TMR素子4は、外部磁界によって磁化方向が変化する第1磁性層(フリー層/感磁層)4Aと、磁化方向が固定された第2磁性層(ピンド層)4Bと、第1磁性層4A及び第2磁性層4Bに挟まれた非磁性絶縁層(絶縁体層)4Cと、第2磁性層4Bの磁化方向を固定(ピン止め)する反強磁性層4Dとを備える。このTMR素子4は、外部磁界を受けて第1磁性層4Aの磁化方向が変化すると、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間の抵抗値が変化するようになっている。この抵抗値の差によって、二値データを記録することができる。なお、第1磁性層41の材料としては、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を用いることができる。
第2磁性層4Bは、反強磁性層4Dによって磁化方向が固定されている。すなわち、反強磁性層4Dと第2磁性層4Bとの接合面における交換結合によって、第2磁性層4Bの磁化方向が一方向に配向された状態で安定化されている。第2磁性層4Bの磁化容易軸方向は、第1磁性層4Aの磁化容易軸方向に沿うように設定される。第2磁性層4Bの材料としては、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を用いることができる。また、反強磁性層4Dの材料としては、IrMn、PtMn、FeMn、PtPdMn、NiO、またはこれらを任意に組み合わせた材料を用いることができる。
非磁性絶縁層4Cは、非磁性且つ絶縁性の材料からなる層であり、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間に介在して、トンネル磁気抵抗効果(TMR)が生じるようにしている。詳細には、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bの磁化方向との相対関係(即ち、平行または反平行)によって、電気抵抗値が異なる特性を有している。非磁性絶縁層4Cの材料としては、例えばAl、Zn、Mgといった金属の酸化物または窒化物が好適である。
なお、特に図示しないが、第2磁性層4Bの磁化方向を安定化させることを目的として、第2磁性層4Bを、第2磁性層/非磁性金属層/第3磁性層の3層構造に変えても良い。ここで、第3磁性層が反強磁性層4Dと接する事とする。非磁性金属層の厚さを適切に設定すると、第3磁性層が第2磁性層との間の交換相互作用で、第3磁性層と第2磁性層との磁化方向が反平行な状態に保たれ、第2磁性層の磁化方向を安定化させることができる。このような第3磁性層の材料としては特に制限はないが、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を単独で、或いは複合させて用いることが好ましい。また、第2磁性層と第3磁性層との間に設けられる非磁性金属層の材料としては、Ru、Rh、Ir、Cu、Agなどが好適である。
TMR素子4の反強磁性層4Dは、金属層19を介して読み書き兼用配線5と電気的に接続されている。TMR素子4の第1磁性層4Aは読み出し配線7に電気的に接続される。この構成により、読み出し電流を、読み書き兼用配線5からTMR素子4を介して読み出し配線7へ流すことが可能となり、TMR素子4の抵抗値の変化を検出する事が出来るようになる。なお、強磁性ヨーク構造体20は、読み書き兼用配線5におけるTMR素子4との隣接領域5A(図3参照)を取り囲むように配置されている。なお、TMR素子4の第1磁性層4Aの磁化容易軸は、読み書き兼用配線5の長手方向と交差する方向(すなわち、書き込み電流の方向と交差する方向)に沿うよう設定される。
図5に戻って、強磁性ヨーク構造体20は、延在する読み書き兼用配線5におけるTMR素子4側に近接配置される素子側ヨーク20Aと、読み書き兼用配線5におけるTMR素子4の反対側に近接配置される反素子側ヨーク20Bと、素子側ヨーク20Aの両端と反素子側ヨーク20Bの両端を連結して略環状とし、読み書き兼用配線5が内部を貫通するように配置される一対の側部ヨーク20C、20Cとを備えて構成される。
素子側ヨーク20Aは環状方向の中間に空隙20Eが形成されており、その空隙20EにTMR素子4が介在配置されている。つまり、強磁性ヨーク構造体20を軸視した場合、この強磁性ヨーク構造体20の側面は、読み書き兼用配線5の周囲を覆いながらも、この周方向の一部に空隙20Eが設けられることによるC字形状となっている。このようにすると、TMR素子4が強磁性ヨーク構造体20の一部に収容される分だけ、TMR素子4を配線5に接近させることが可能となり、更に、素子側ヨーク20Aと反素子側ヨーク20B間の距離Lを接近させることが可能になる(即ち、側部ヨーク20C、20Cの長さを短くすることが可能となる)。なおここでは、配線5とTMR素子4とは金属層19によって電気的に接続するようにしたが、配線5とTMR素子4の間は絶縁状態として書込み専用配線としておき、TMR素子4の一方の面に読み出し専用電流を導通させるための金属薄膜配線等を別途形成するようにしてもよい。
なお、強磁性ヨーク構造体20とその内部の読み書き兼用配線5との間、及び、素子側ヨーク20AとTMR素子4との間は、絶縁体22が挿入されており、互いに接触して電気的にショートしないようになっている。
次に、図7等を参照して、強磁性ヨーク構造体20の詳細寸法等について説明する。
図7(A)に示されるように、反素子側ヨーク20Bの厚みTZは、素子側ヨーク20Aの厚みBZと比較して大きく設定されている。具体的に、反素子側ヨークの厚さTZは、50nmより大きく且つ150nmより小さい範囲内に設定され、また、素子側ヨークの厚さBZは10nmより大きく且つ30nmより小さい範囲内に設定されている。
また、反素子側ヨーク20Bにおける配線長手方向寸法TYは、強磁性ヨーク構造体20の配線幅方向最大外寸(ここでは反素子側ヨーク20Bにおける配線幅方向寸法TX)と比較して、その2分の1より大きく且つ2倍より小さく設定されている。
更に図7(B)に示されるように、素子側ヨーク20Aの配線長手方向寸法BYは、100nmより大きく且つ1000nmより小さく設定されている。また、TMR素子4との関係では、その配線長手方向寸法MYの1倍より大きく且つその5倍より小さい範囲内に設定される。
なお、本実施例では、強磁性ヨーク構造体20は、読み書き兼用配線5の延在方向から軸視した際に略台形となるように設定されている。つまり、反素子側ヨーク20Bを上底とし、これに平行する素子側ヨーク20Aを下底とした場合、本実施形態では反素子側ヨーク20B(上底)に対して素子側ヨーク20A下底の方が長く設定されており、この寸法差によって一対の側部ヨーク20C、20Cが傾斜している。このようにすると、特に側部ヨーク20C、20Cの上端側を読み書き兼用配線5に接近させる事ができ、この領域を肉厚にすることと相俟って、TMR素子4の反対側の磁束の漏れを効果的に抑制する事ができるようになる。また、この側部ヨーク20Cを短くして更に傾斜させることで、側部ヨーク20Cと反素子側ヨーク20Bを一連のプロセスで一体的に製膜することが可能とになり、製造コストを低減することも可能になる。なお、強磁性ヨーク構造体20を構成する強磁性材料としては、例えばNi、Fe、Coのうち少なくとも一つの元素を含む金属が好適である。
次に、図7〜図9を参照して、本実施形態の磁気記憶装置1におけるTMR素子4への情報書き込み動作について説明する。
図7(A)に示されるように、読み書き兼用配線5に電流が流れていない場合、この読み書き兼用配線5による磁界が生じない。従って、後述する強磁性ヨーク構造体20の形状効果により、強磁性ヨーク構造体20の磁化状態Xは、読み書き兼用配線5の延在方向と略一致した状態で単磁区化されているか、又は、各種方向の磁区が複数形成されている。従って、強磁性ヨーク構造体20が、読み書き兼用配線5の周方向に単磁区化することが抑制されている。又、TMR素子4における第2磁性層4Bの磁化方向Bと第1磁性層4Aの磁化方向Aが、ここでは互いに一致している。本実施例では、磁化方向A、Bが一致している場合、二値データの0が書き込まれていると定義する。
図8に示されるように、読み書き兼用配線5に書き込み電流I1が流れると、読み書き兼用配線5の周囲に、周方向磁界F1が発生する。磁界F1は、その周囲に設けられた強磁性ヨーク構造体20の内部を周回して閉じた経路を形成する。強磁性ヨーク構造体20の磁化状態Xは、この磁界F1に誘導されるようにして、内部磁界の影響力に抗しながら、滑らかに磁化方向を90度回転させて磁界F1の方向に一致する。この際、反素子側ヨーク20Bが肉厚に設定されているので、磁界F1の漏れが効果的に抑制され、TMR素子4に誘導できることになる。
この結果、読み書き兼用配線5から生じる磁化状態F1と、強磁性ヨーク構造体20に生じる磁化状態Xが合成された強い磁界が、薄肉の素子側ヨーク20Aで集中化され、TMR素子4における第1磁性層4Aに作用してその磁化方向Aを反転させる。この状態で読み書き兼用配線5の電流I1を止めると、TMR素子4の磁化方向Aは、図8のように反転したまま維持される。磁化方向A、Bが反対となったまま維持されることから、ここでは二値データの1が書き込まれた事になる。
次に、図9に示されるように、読み書き兼用配線5において、I1と反対方向となる書き込み電流I2が流れると、読み書き兼用配線5の周囲に周方向の磁界F2が発生する。磁界F2は、その周囲に設けられた強磁性ヨーク構造体20の内部を周回する閉じた経路を形成する。強磁性ヨーク構造体20の磁化状態Xは、この磁界F2に誘導されるようにして、滑らかに磁化方向を90度回転させて磁界F2の方向に一致させる。
この結果、読み書き兼用配線5から生じる磁化状態F2と、強磁性ヨーク構造体20に生じる磁化状態Xが合成され、その強い磁界がTMR素子4における第1磁性層4Aに作用し、磁化方向Aが反転して再び第2磁性層4Bの磁化方向Bと一致する。TMR素子4は、磁化方向A、Bが一致しているので、ここでは二値データの0が再び書き込まれた事になる。
なお、TMR素子4に書き込まれた二値データを読み出す際には、読み書き兼用配線5と読み出し配線7との間に読み出し電流を流し、その電流値の変化または両配線間の電位差の変化を検出する。これによりTMR素子4の抵抗値が明らかとなり、二値データのいずれかを記録しているか(すなわち、第1磁性層4Aの磁化方向Aが第2磁性層4Bの磁化方向Bと平行か反平行か)を判別する。例えば、第1磁性層4Aの磁化方向Aが第2磁性層4Bの磁化方向Bと同方向である場合、非磁性絶縁層4Cにおけるトンネル磁気抵抗効果(TMR)によって、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間の抵抗値が比較的小さくなる。反対に、磁化方向Aと磁化方向Bが対向方向となる場合、トンネル磁気抵抗効果によって、第1磁性層4Aと第2磁性層4Bとの間の抵抗値が比較的大きくなる。
図10は、強磁性ヨーク構造体20について、反素子側ヨーク20Bの厚さTZ(nm)を変化させた場合の書き込み電流値Iw(mA)の変化をシミュレーションしたグラフである。この結果によると、厚さTZが50nm近傍に設定すると書き込み電流Iwが最小値となることが分かる。また、50nm以下となると、突如、書き込み電流値Iwが急増することが分かる。一方、厚さTZが150nm以上となると、書き込み電流値Iwが10mAを超えてしまい、実用面で不向きになることも分かる。従って、反素子側ヨーク20Bの厚さTZは、50nmより大きく且つ150nmより小さい範囲内に設定し、好ましくは50nmより大きく100nmより小さい範囲が一層望ましいことが分かる。なお、このシミュレーションにおいては、読み書き兼用配線5の幅WWを500nmとし、TMR素子4の配線幅方向寸法TXを200nm、配線長手方向寸法TYを200nmとし、素子側ヨーク20Aの配線幅方向寸法BXを1500nm、素子側ヨーク20Aの配線長手方向寸法BYを900nmとした場合を採用している。
図11(A)には、3種類の試験片(#1、#2、#3)について、強磁性ヨーク構造体20における反素子側ヨーク20Bの厚さTZを50nmと100nmの2種類に設定して、それぞれの書き込み電流値Iwを測定した結果が示されている。全てにおいて書き込み電流値は4(mA)以下となり、極めて小さな電流値で書き込みを実行できることが検証されている。なお、3種類の試験片における強磁性ヨーク構造体20の他の寸法については、図11(B)に示されているので説明を省略する。
このような現象が生じる要因は、次のようなことが原因と考えられる。反素子側ヨーク20Bの厚さが薄すぎる場合、磁界の漏れを抑制する効果が低減することで、反素子側ヨーク内に生じる磁界が弱くなってしまい、磁気抵抗効果素子に対して磁気記憶する為の磁界を十分に生じさせることが出来なくなる。一方で、反素子側ヨーク20Bの厚さが厚すぎると、反素子側ヨーク20Bに対して内部磁界を生じさせるためのエネルギーが大きくなってしまい、消費電力が増大してしまう。従って、本実施形態のような範囲内にすれば、反素子側ヨーク20Bに生じさせる磁界と、それを生み出すための消費電力が合理的にバランスするようになる。
次に、図12(A)には、4種類の試験片(#1、#2、#3、#4)について、強磁性ヨーク構造体20における素子側ヨーク20Aの厚さBZ(nm)を変化させた場合の書き込み電流値Iw(mA)の変化が示されている。この結果によると、試験片(#2)を除き、厚さBZを20nm近傍に設定すると書き込み電流Iwが最小値となることが分かる。従って、20nmを中間値とし、10nmより大きく且つ30nmより小さい範囲内に素子側ヨークの厚さBZを設定することが好ましいことになる。なお、4種類の試験片における強磁性ヨーク構造体20の他の寸法については、図12(B)に示されているので説明を省略する。
素子側ヨーク20Aに関しても、反素子側ヨーク20Bと同様に、薄すぎると先端からの発生磁界が小さくなり書き込み効率が低下する。一方、厚すぎると、強磁性ヨーク構造体20の内部に磁区が形成され、素子側ヨーク20Aの先端の磁化変化が滑らかでなくなる可能性がある。
しかし、図11及び図12で示したように、素子側ヨーク20Aにおける最適な厚みは、反素子側ヨーク20Bの最適な厚みより全体的に小さくなることが分かる。従って、反素子側ヨーク20Bの厚さTZに対して素子側ヨーク20Aの厚さBZを小さく設定することで、反素子側ヨーク20B側では磁界の漏れを積極的に抑制して素子側ヨーク20A側に磁界を誘導しつつ、その磁界を、薄肉に設定された素子側ヨーク20Aにおいて、素早い応答性でもってTMR素子4に効率的に印加することを可能としている。
図13には、試験片(#1、#2、#3、#4)について、強磁性ヨーク構造体20の反素子側ヨーク20Bの配線幅方向寸法TXを1.4μm(1400nm)とし、同反素子側ヨーク20Bの配線長手方向寸法TYを変化させた場合の、書き込み電流値Iw(mA)の変化状態が示されている。図からも明らかなように、比率TY/TXが0.5以下では、書き込み電流Iwが大きくなってしまうことが分かる。なお、本試験片では反素子側ヨーク20Bの配線幅方向寸法TXと素子側ヨーク20Aの同方向寸法BXは略同じであるので、上記検討結果は寸法BXを用いても同様になる。
反素子側ヨーク20Bの全体形状が、読み書き兼用配線5の長手方向に短く且つ幅方向に長くなりすぎると、反素子側ヨーク20Bの内部に、読み書き兼用配線5の周方向の内部磁界が自然形成されてしまい、内部磁界の中立性が失われてしまう。従って、本実施例のように、TYをBXの2分の1より大きくなるようにする事で、周方向の内部磁界の発生を抑制することができ、読み書き兼用配線5に双方向の電流を流した際も、両周方向の磁界を素早く且つ均等に形成することが出来ることになり、消費電力も低く抑えることが可能になると考えられる。一方、TY/BXが2以上となる場合は、強磁性ヨーク構造体20が配線長手方向に長すぎることとなり、TMR素子4の面積を考慮すると合理的ではない。
図14には、素子側ヨーク20Aの厚さBZを、10nm、20nm、30nm、40nmの4種類に設定し、それぞれにおいて、配線長手方向寸法BYを変化させた際における、空隙20Eの中心(即ちTMR素子4の中心)に作用する磁界の強さ(Oe)の変化をシミュレーションした結果が示されている。なお、このシミュレーションでは、強磁性ヨーク構造体20から生じる磁界の強さを800(emu/cc)、TMR素子4が収容される空隙20Eの距離を320nmとして計算した。
図14によれば、素子側ヨーク20Aの配線長手方向寸法BYが100nm以下となると、磁界の強さが急激に低下してしまい、情報の書き込みに不向きとなる。また、その低下傾向は200nmを境に大きくなる。一方で、配線長手方向寸法BYが1000nm以上になると、磁界の強さも略一定となってしまう。従って、100nm<BY<1000nmの範囲、より好ましくは200nm<BY<1000nmに設定すれば、良好な磁界を得ることが可能になる。また、TMR素子4の配線長手方向寸法MXは、通常200nm程度となるものを採用することが多い。従って、TMR素子4の配線長手方向寸法MXとの関係を考えると、素子側ヨーク20Aの配線長手方向寸法BXがMXの2分の1より大きく且つその5倍より小さい範囲内、より好ましくは1倍より大きく且つ5倍より小さい範囲内に設定しておくことが効果的である。この結果、BXがMXの2分の1より大きくなる(好ましくは1倍より大きくなる)ことで、TMR素子4の中心領域に書き込み磁界を作用させることが可能になると共に、BYをMYの5倍より小さく設定することで、素子側ヨーク20Aが無意味に大きすぎることになることを防止できるので、省電力化が達成されるようになっている。
以上説明した磁気記憶装置1によれば、強磁性ヨーク構造体20が所定形状に設定されているので、低消費電力で強い磁界を得ることが出来る。また、図1で示したように、複数の記憶領域3がアレイ状に配置される場合において、それらの間で、読み書き兼用配線5及び強磁性ヨーク構造体20によって得られる磁界特性を均質化することができ、書き込み制御が簡便となる。
例えば、読み書き兼用配線5が、記憶領域3毎にビット配線13から引き込まれ、各読み書き兼用配線5に強磁性ヨーク構造体20がそれぞれ形成されるような独立構造の場合、通常、複数の強磁性ヨーク構造体20の間における磁化特性にばらつきが発生し易い。しかしながら、本磁気記憶装置1のように、強磁性ヨーク構造体20の形状を設定しておけば、磁界特性を安定させる事が出来、複数の記憶領域3の間で書込み速度等を均質化できる。
また、読み書き兼用配線5に強磁性ヨーク構造体20を設ける場合、強磁性ヨーク構造体20の環状方向が、強磁性ヨーク構造体20にとっては長手方向となることから、磁区が主にその長手方向に形成されてしまいやすい。従って、本実施例のように、強磁性ヨーク構造体20を所定の寸法比率に設定することで、周方向の内部磁界の発生を抑制し、二値書込みにおける一方の書込み速度と他方の書込み速度が異なってしまったり、一方で要求される電流・電圧値と他方で要求される電流・電圧値が異なってしまったりするアンバランスを低減することができる。
また、この磁気記憶装置1において、配線5を更に薄肉化することで、この記憶領域3の全体を薄くすることも可能である。この場合、図15に示されるように、強磁性ヨーク構造体20も、素子側ヨーク20A又は反素子側ヨーク20Bの両端を多少傾斜させることで直接連結して環状構造にすることができる。このように、側部ヨーク20Cを形成する工程を省略し、素子側ヨーク20Aを形成する第1ヨーク製膜プロセスと、反素子側ヨーク20Bを形成する第2ヨーク製膜プロセスによって、強磁性ヨーク構造体20を形成することで、強磁性ヨーク構造体20の全体の厚みを極めて薄くし、且つ強磁性ヨーク構造体20の肉厚を薄くすることが可能になる。このような場合、必ずしも側部ヨーク20Cの部位を明確化できないことになるが、その際は、素子側ヨーク20Aと反素子側ヨーク20Bの接点を側部ヨーク20C、20Cと考えて、その側部ヨーク20C、20Cの間の最大距離を、強磁性ヨーク構造体20の配線幅方向最大寸法とすれば良い。
なお、本発明でいう「素子側ヨークに形成されている空隙」は、強磁性ヨーク構造体20の最終的な形状を意味しており、連続的な素子側ヨーク20Aを形成した後に、空隙を形成するために分断加工を行う場合に限定されるものではない。例えば、(分断されたような状態となり得る)一対の素子側ヨーク20Aを個別に形成するようにして、その間にTMR素子4を介在させてもよい。
図16には、本発明の第2の実施形態に係る磁気記憶装置101の全体構成が示されている。なお、磁気記憶装置101の説明は、第1実施形態と異なる点を中心に行うものとし、第1実施形態と共通する部分・部材については、図面の符号下2桁を一致させる事で説明を省略する。
図17に拡大して示されるように、この磁気記憶装置101における記憶部102の各記憶領域103は、TMR素子104、書込み専用配線105A、読み出し専用配線105B、書込み専用トランジスタ106A、読み出し専用トランジスタ106B等を有する。従って、読み書き兼用配線を利用した第1実施形態と異なり、第2実施形態の磁気記憶装置101では、書込み専用配線105Aと読み出し専用配線105Bを別々に配置することで、回り込み電流等のノイズ要因を低減できるようになっている。
書込み専用配線105Aの両端は、2本のビット配線113、114に接続されており、更にこの両端の間に書込み専用トランジスタ106Aが配置されている。従って、ビット配線113、114間に電圧を印加して、書込み専用トランジスタ106AをONにすることで、書込み専用配線105Aに電流を流す事が可能となり、近接配置されるTMR素子104の周囲に磁界を発生させる事ができる。また、読み出し専用配線105Bの両端も2本のビット配線113、114に接続されており、更に、この両端間に読み出し専用トランジスタ106B及びTMR素子104が配置されている。従って、ビット配線113、114間に電圧を印加して、読み出し専用トランジスタ106BをONにすることで、読み出し専用配線105Bに電流を流す事が可能となり、TMR素子104の抵抗値の変化を検出する事ができる。なお、書込み専用トランジスタ106Aはワード配線115に接続されており、読み出し専用トランジスタ106Bはワード配線116に接続されている。従って、このワード配線115、116に印加する電圧を利用して、各トランジスタ106A、106Bの導通状態を個別に切り替えるようになっている。この結果、必要に応じてビット配線113、114からワード配線115に対して電流を流すこともできる。
図18には、強磁性ヨーク構造体120が拡大して示されている。この強磁性ヨーク構造体120は、書込み専用配線105AにおけるTMR素子104側に近接配置される素子側ヨーク120Aと、書込み専用配線105AにおけるTMR素子104の反対側に近接配置される反素子側ヨーク120Bと、素子側ヨーク120Aの両端と反素子側ヨーク120Bの両端を連結して略環状とし、書込み専用配線105Aが内部を貫通するように配置される一対の側部ヨーク120C、120Cとを備えて構成される。なお、素子側ヨーク120Aに形成される空隙には、TMR素子104が配置されている。
このTMR素子104と書込み専用配線105Aは、絶縁体122によって相互に絶縁状態となっている。一方、このTMR素子104の上端面及び下端面は読み出し専用配線105Bに接続されている。なお、上端側の読み出し専用配線105Bは、断面が下に凸となる薄膜構造となっており、書込み専用配線105AとTMR素子104を可能な限り接近させるようにしている。なお、強磁性ヨーク構造体120の詳細寸法等は第1実施形態と同様である。
この第2実施形態の磁気記憶装置101においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、加えて、書込み専用配線105Aと読み出し専用配線105Bが独立しているので、書込み動作時には、書込み専用配線105Aのみに電流を流すことができる。一方、読み出し動作時には、読み出し専用配線105Bのみに電流を流すことができる。この結果、ダイオード等を配置しなくても回り込み電流等を回避することが可能になるので、書き込み及び読み出し動作を更に安定させることができる。
以上、第1及び第2実施形態に係る磁気記憶装置を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では磁気抵抗効果素子としてTMR素子を用いているが、巨大磁気抵抗(GMR:Giant magneto−Resistive)効果を利用したGMR素子を用いてもよい。GMR効果とは、非磁性層を挟んだ2つの強磁性層の磁化方向のなす角度により、積層方向と直交する方向における強磁性層の抵抗値が変化する現象である。すなわち、GMR素子においては、2つの強磁性層の磁化方向が互いに平行である場合に強磁性層の抵抗値が最小となり、2つの強磁性層の磁化方向が互いに反平行である場合に強磁性層の抵抗値が最大となる。なお、TMR素子やGMR素子には、2つの強磁性層の保磁力の差を利用して書き込み/読み出しを行う疑似スピンバルブ型と、一方の強磁性層の磁化方向を反強磁性層との交換結合により固定するスピンバルブ型とがある。また、GMR素子におけるデータ読み出しは、積層方向と直交する方向における強磁性層の抵抗値の変化を検出することにより行われる。また、GMR素子におけるデータ書き込みは、書き込み電流により生じる磁界によって一方の強磁性層の磁化方向を反転させることにより行われる。
また、上記実施形態では、書き込み電流及び読み出し電流を制御するためのスイッチ手段としてトランジスタ(読み書き兼用トランジスタ)を用いているが、このスイッチ手段としては、必要に応じて電流を遮断/導通させる機能を有する様々な手段を適用することができる。
また、本発明の磁気記憶装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、磁気抵抗効果素子によって各種情報を記録・保持するような分野において広く利用する事が出来る。
本発明の第1実施形態に係る磁気記憶装置の全体構成を示す概念図。 同磁気記憶装置の記憶領域を拡大して示す概念図。 同記憶領域の内部構造を立体的に示す拡大斜視図。 同記憶領域におけるトランジスタの構造を拡大して示す断面図。 同記憶領域における強磁性ヨーク構造体の構造を拡大して示す断面図。 同磁性層に配置される磁気抵抗効果素子の積層構造を拡大して示す側面図。 同磁性層における強磁性ヨーク構造体の磁化状態を模式的に示す部分断面斜視図。 同磁性層における強磁性ヨーク構造体の磁化状態を模式的に示す部分断面斜視図。 同磁性層における強磁性ヨーク構造体の磁化状態を模式的に示す部分断面斜視図。 同強磁性ヨーク構造体の反素子側ヨークの厚さを変化させた際の電流値変化を示すシミュレーション図 同強磁性ヨーク構造体の反素子側ヨークの厚さを変化させた際の電流値変化を示す表図 同強磁性ヨーク構造体の素子側ヨークの厚さを変化させた際の電流値変化を示す表図 同強磁性ヨーク構造体の配線長手方向寸法及び配線幅方向寸法比率を変化させた際の電流値変化を示す表図 同強磁性ヨーク構造体の素子側ヨークの配線長手方向寸法を変化させた際の電流値変化を示す表図 同磁気記憶装置の他の構成例を示す側面図。 本発明の第2実施形態に係る磁気記憶装置の全体構成を示す概念図。 同磁気記憶装置の記憶領域を拡大して示す概念図。 同記憶領域の内部構造を示す拡大断面図。
符号の説明
1、101 ・・・磁気記憶装置
4、104 ・・・磁気抵抗効果素子
5 ・・・読み書き兼用配線
13、14、113、114・・・ビット配線
15、16、115、116・・・ワード配線
20、120 ・・・強磁性ヨーク構造体
20A、120A ・・・素子側ヨーク
20B、120B ・・・反素子側ヨーク
20C、120C ・・・側部ヨーク
20E ・・・隙間
105A ・・・書込み専用配線
105B ・・・読み出し専用配線

Claims (14)

  1. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記反素子側ヨークの厚さが、50nmより大きく且つ150nmより小さいことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記反素子側ヨークにおける配線長手方向寸法が、該反素子側ヨークにおける配線幅方向寸法の2分の1より大きく且つ2倍より小さいことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記素子側ヨークの厚さが、10nmより大きく且つ30nmより小さいことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記素子側ヨークの厚さをA、磁気抵抗効果素子の厚さをBとした場合に、2.5< A/B <7.5を満たすことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  5. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記素子側ヨークにおける配線長手方向寸法が、前記磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の1倍より大きく且つ該磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の5倍より小さく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  6. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線の周方向に沿って配置されるヨーク構造体と、を備える磁気記憶装置であって、
    前記ヨーク構造体における前記磁気抵抗効果素子近傍を構成する素子側ヨークの厚みと比較して、該ヨーク構造体における前記磁気抵抗効果素子の反対側を構成する反素子側ヨークの厚みが大きく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  7. 請求項6において、
    前記反素子側ヨーク厚さが50nmより大きく且つ150nmより小さく設定されると共に、
    前記素子側ヨークの厚さが10nmより大きく且つ30nmより小さく設定されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  8. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線の周方向に沿って配置され、該周方向の一部に空隙が設けられることで該空隙に前記磁気抵抗効果素子が収容されるヨーク構造体と、を備える磁気記憶装置であって、
    前記ヨーク構造体における配線長手方向最大外寸が、該ヨーク構造体の配線幅方向最大外寸の2分の1より大きく且つ2倍より小さく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  9. 請求項8において、
    前記ヨーク構造体における前記磁気抵抗効果素子近傍を構成する素子側ヨークの配線長手方向寸法が、前記磁気抵抗効果素子の前記配線長手方向寸法の1倍より大きく、且つ該磁気抵抗効果素子の該配線長手方向寸法の5倍より小さく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  10. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記素子側ヨークの厚さと比較して、前記反素子側ヨークの厚さが大きく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  11. 請求項10において、
    前記反素子側ヨークの厚さが、50nmより大きく且つ150nmより小さく設定されると共に、
    前記素子側ヨークの厚さが、10nmより大きく且つ30nmより小さく設定されることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  12. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記素子側ヨークにおける配線長手方向寸法が、前記磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の1倍より大きく且つ該磁気抵抗効果素子の配線長手方向寸法の5倍より小さく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  13. 請求項10、11又は12において、
    前記素子側ヨークの両端近傍と反素子側ヨークの両端近傍を連結する一対の側部ヨークを備えることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  14. 任意方向に延在する配線と、
    該配線に隣接配置される磁気抵抗効果素子と、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と反対側に近接配置される反素子側ヨークと、
    前記配線における前記磁気抵抗効果素子と同側に近接配置される素子側ヨークと、
    前記素子側ヨークの両端近傍と反素子側ヨークの両端近傍を連結する一対の側部ヨークと、を備える磁気記憶装置であって、
    前記素子側ヨークにおける前記配線長手方向外寸が、一対の前記側部ヨーク間の距離の2分の1より大きく且つ2倍より小さく設定されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
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