JP2007196683A - 光情報記録媒体用記録層および光情報記録媒体、並びにスパッタリング・ターゲット - Google Patents

光情報記録媒体用記録層および光情報記録媒体、並びにスパッタリング・ターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】書込み・読み取り特性、C/N特性、ジッター特性、記録感度特性、反射率特性、耐環境特性に優れており、次世代型の光ディスクに適用可能な光情報記録媒体用光記録層と光情報記録媒体、並びに該記録層の形成に有用なスパッタリング・ターゲットを提供する。
【解決手段】レーザ光の照射によって記録マークが形成される光情報記録媒体用の光記録層であって、該記録層の第1の態様は、Niおよび/またはCoを1〜50原子%含むSn基合金からなり、第2の態様は、上記元素に加えてIn,Bi,Znから選ばれる1種以上の元素を30原子%以下の範囲で含むSn基合金からなり、第3の態様では、更に他の元素として10原子%以下の希土類元素を含むSn基合金からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光情報記録媒体用の記録層(光記録層)と光情報記録媒体、並びに光記録層形成用のスパッタリング・ターゲットに関するものである。本発明の光情報記録媒体用記録層は、現行のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、次世代型の光情報記録媒体(HD DVDやBlu-ray Disc)に用いられ、特に、青紫色のレーザを用いる追記型の光情報高密度記録媒体として好適に用いられる。
光情報記録媒体(光ディスク)は、記録再生方式により、再生専用型、書換え型および追記型の3種類に大別される。
このうち追記型の光ディスクでは、主に、レーザ光が照射された記録層材料の物性の変化を利用してデータを記録する。追記型の光ディスクは、情報の記録はできるが消去や書換えを行なうことはできない。この様な特性を利用し、追記型の光ディスクは、例えば、文書ファイルや画像ファイルなど、データの改ざん防止が求められるCD−R、DVD−R、DVD+R等に用いられている。
追記型の光ディスクに用いられる記録層材料としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アゾ系色素などの有機色素材料が知られている。この有機色素材料にレーザ光を照射すると、色素の熱吸収によって色素や基板が分解、溶融、蒸発されるなどして記録マークが形成される。ところが有機色素材料を用いる場合、色素を有機溶媒に溶解してから基板上に塗布しなければならず、生産性が低いという問題がある。また、記録信号の長期安定保存性などの点でも問題がある。
こうした有機色素材料の弱点を改善するため、光記録層として無機材料薄膜を使用し、この薄膜にレーザ光を照射して、局所的に記録マーク(穴、ピットなど)を形成することにより記録を行なう方法が提案されている(非特許文献1、特許文献1〜7など)。
非特許文献1には、融点および熱伝導率の低いTe薄膜を使用し、低いレーザ・パワーで穴をあける技術が開示されている。
特許文献1,2には、基板上にAlを含むCu基合金からなる反応層と、Siなどを含む反応層とが積層された光記録層が開示されている。これらの文献に示された光記録層では、レーザ光の照射によって、基板上に、各反応層に含まれる元素が混合された領域が部分的に形成され、それにより反射率が大きく変化することから、青色レーザなどの短波長レーザを用いて高感度で記録できると記載されている。
特許文献3,4および7は、記録マークによるC/N(carrier-to-noise ratio:キャリアとノイズの出力レベルの比)の低下を防止し、高いC/Nと反射率とを備えた光記録媒体を開示するもので、光記録層としてInを含むCu基合金(特許文献3)、Biなどを含むAg基合金(特許文献4)、Biなどを含むSn基合金(特許文献7)が記載されている。
特許文献5,6はSn基合金を用いた光記録層に関するもので、特許文献5には、合金層中に、熱処理時に少なくとも一部が凝集し得る元素を2種以上含有させた光情報記録媒体が開示されている。具体的には、BiやInを含む厚さ1〜8nm程度のSn−Cu基合金層からなり、高融点で熱伝導率の高い光情報記録媒体である。
特許文献6には、記録特性に優れたSn−Bi合金に、SnやBiよりも酸化され易い被酸化性物質を添加した光情報記録層が開示されており、高温多湿環境下においても優れた耐久性を示すことが強調されている。
特開2004−5922号公報 特開2004−234717号公報 特開2002−172861号公報 特開2002−144730号公報 特開平2−117887号公報 特開2001−180114号公報 特開2002−225433号公報 Appl.Phys.Lett.,Vol.34(1979年)p.835
近年、記録情報の高密度化に対応するため、青紫色レーザなどの短波長レーザを用いた光情報の記録と再生技術が開発されている。これに適合する記録層の特性として、(1)高C/N(読み取り時の信号が強くバックグラウンドのノイズが小さい)、低ジッター(再生信号の時間軸上のゆらぎが少ない)など高品質の信号書込み・読み取り特性、(2)高記録感度(低パワーのレーザ光で書込みができる)、(3)安定したトラッキングを得るために必要となる記録層からの高反射率、(4)高耐久性、などが要求されている。
しかし、本発明者らの調査によると、従来の金属系記録層では、上記要求特性の全てを十分に満たすことができず、実用化には難がある。しかし、金属系光記録層は有機系記録層に較べて材料が格段に安定であるという特長があり、金属系材料で上記の要求特性を満足する実用的な光記録層を開発することは、信頼性の高いBD(Blu-ray Disc)−RやHD DVD−Rをユーザに提供する上で極めて重要となる。
また光記録層の成膜には、生産効率の高いスパッタリング法を採用することが望ましく、高品質な光記録層を形成するためのスパッタリング・ターゲット、並びに当該記録層を備えた光情報記録媒体の提供が望まれる。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、上記(1)〜(4)として示した様な要求特性を満たすばかりか、記録感度の信頼性が高く、コスト的にも廉価な金属系材料からなる光情報記録用の記録層を提供すると共に、該記録層を備えた光情報記録媒体を提供し、更には、こうした光情報記録層の形成に有用なスパッタリング・ターゲットを提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る光情報記録用記録層とは、レーザ光の照射によって記録マークが形成される記録層であって、該記録層は、Niおよび/またはCoを1〜50%(原子%の意味、以下同じ)の範囲で含有するSn基合金からなるところに特徴を有している。
本発明に係る上記記録層には、更に他の元素として、In,Bi,Znよりなる群から選択される少なくとも1種を30%以下(0%を含まない)の範囲で含有させると、記録層の酸化による特性劣化を抑えることができ、或いは、更に他の元素として10%以下(0%を含まない)の範囲で希土類元素を含有させれば、記録層の表面平滑性を高めると共に記録マークの形状特性を高めることができ、それらは本発明のより好ましい実施態様である。
本発明の上記記録層は、特に波長が350〜700nmの範囲のレーザ光に対して高い記録感度を示し、優れた光情報の書き込み及び読み取り精度を発揮する。
また本発明の光情報記録媒体は、上記構成の光記録層を備えたところに特徴を有しており、前記記録層の上部および/または下部に、光学調整層および/または誘電体層を設けた構成とすることも好ましい実施形態である。該光情報記録媒体における光記録層の好ましい厚さは、光記録層の上部および/または下部に光学記録層や誘電体層を設ける場合は1〜50nmの範囲、光学記録層や誘電体層を設けない場合は8〜50nmの範囲である。
更に本発明のスパッタリング・ターゲットは、上記光記録層をスパッタリング法によって形成する際に用いるターゲットであって、第1のターゲットは、Niおよび/またはCoを含むSn基合金からなり、第2のターゲットは、更にIn,Bi,Znから選ばれる少なくとも1種を30%以下で含むSn基合金からなり、第3のターゲットは、更に他の元素として10%以下の希土類元素を含むSn基合金からなるところに特徴を有している。
本発明で用いる第1のSn基合金においては、基本的にSnがその主な特性を担っており、該Sn基合金中に占めるSnの含有量は40%以上であることが望ましく、より好ましいSn含量は50%以上、更に好ましくは60%以上である。またNiおよび/またはCoの含有量は1〜50%であるが、より好ましくは5%以上、35%以下、更に好ましくは15%以上、25%以下である。
また第2のSn基合金では、他の元素としてIn,Bi,Znの1種以上が30%以下の範囲で含まれているが、これらの元素の他に、Snよりも酸化され易い金属元素が含まれていても構わない。
前記第3のSn基合金では、更に他の元素として10%以下の希土類元素が含まれているが、希土類元素としては、例えばY,Nd,Laなどが挙げられ、これらは単独で含まれていてもよく、或いは2種以上が含まれていてもよい。
本発明に係る上記第1のSn基合金において、母材となるSnは低融点であり、低いレーザ・パワーで記録マークの形成を可能とし、また、適量のNiおよび/またはCoを含有することで、C/N値、反射率および耐久性の向上、更にはジッターの低減が可能となる。しかもNiおよび/またはCoは、更に光記録層の表面粗さを低減すると共に、記録マークの形状を最適化し、ジッターの低減にも有効に作用する。
また上記第2のSn基合金で規定されるIn,Bi,Znは、Snよりも酸化され易い元素であることから、Snの酸化による光記録層の特性劣化防止に有効となる。
更に上記第3のSn基合金に含まれる希土類元素は、光記録膜の耐久性向上に寄与すると共に、記録膜の表面平滑性向上や記録マークの形状最適化に有効に作用し、その結果として、ジッターの低減などに優れた効果を発揮する。
本発明において、まず基金属としてSnを選択した理由は次の通りである。光記録層の反射率の観点からすると、SnよりもAl,Ag,Cuなどの方が優れているが、レーザ光照射による記録マークの形成性はSnの方が格段に優れている。これは、Snの融点が約232℃であり、Al(融点は約660℃)、Ag(融点は約962℃)、Cu(融点は約1085℃)に比べて格段に低いため、Sn基合金の薄膜はレーザ光の照射により低温でも容易に溶融もしくは変形し、低いレーザ・パワーでも優れた記録特性を発揮するためと考えられる。特に本発明では、青紫色レーザを用いる次世代型光ディスクに適用することを1つの目的として掲げており、この場合、Al基合金などでは記録マークの形成が困難になる恐れがあることから、Sn基合金を採用することとした。
次に、上記第1のSn基合金において、NiとCoは、C/N値、反射率および耐久性を高めると共にジッターを低減する作用があり、更には、光記録層の表面粗さを低減し、記録マークの形状を最適化する作用を有する点で同効元素であり、それらの効果を有効に発揮させるには、(Ni+Co)として1%以上含有させねばならない。しかし、Ni,Co含量の総和が50%を超えると、Snの量が相対的に不足気味となってSnに求められる本来の特性が有効に発揮されなくなる。こうした利害得失を考慮すると、(Ni+Co)としてのより好ましい含有量は、5%以上、35%以下、更に好ましくは15%以上、25%以下である。Ni、Coは、単独で添加しても良いし、併用しても良い。
また第2のSn基合金において付加的に含有させるIn,Bi,Znは、何れもSnよりも被酸化性の高い元素であり、それらが犠牲となってSnの酸化劣化を防止する作用が発揮されるため、高C/N特性、高反射率を大きく劣化させない範囲で耐久性が更に向上する。上記元素の添加効果は極少量でも発揮されるが、その効果が実用面で明確に現れてくるのは、総和で3%以上、より確実には5%以上添加したときである。しかしその添加量が多過ぎると、Sn含量が相対的に少なくなってSn本来の特性が損なわれるので、多くともトータルで30%、好ましくは25%以下に抑えるのがよい。In,Bi,Znは、単独で添加しても良いし、2種以上を併用しても良い。
第3のSn基合金において更に付加的に含有される希土類元素は、記録層の耐久性や記録膜の表面平滑性向上に寄与する他、ジッターを低減する効果を有しており、これらの効果を有効に発揮させる上で好ましい添加量は0.5%以上、より好ましくは1.0%以上である。但し、その添加量が多過ぎると光記録膜の融点が上昇し、レーザ光による記録マークの形成が困難になるので、多くとも10%、好ましくは8%以下に抑えるのがよい。
本発明に用いられる希土類元素としては、ランタノイド元素(周期表において、原子番号57のLaから原子番号71のLuまでの合計15元素)に、Sc(スカンジウム)とY(イットリウム)とを加えた元素群を意味する。これらの中でも特に好ましいのはYである。これらは単独で使用し得るほか、2種以上を任意の組合せで併用しても勿論かまわない。
上記Sn基合金によって形成される光記録層は、安定した精度で確実な記録層を形成する上で、光情報記録媒体の構造にもよるが、厚さを1〜50nmの範囲にするのがよい。1nm未満では光記録層が薄過ぎるため、仮に光記録層の上部や下部に光学調整層や誘電体層を設けたとしても、光記録膜の膜面にポアなどの欠陥が生じ易くなって、満足のいく記録感度が得られ難くなる。逆に50nmを超えて厚くなり過ぎると、レーザ光照射によって与えられる熱が記録層内で急速に拡散し易くなり、記録マークの形成が困難になる。ディスクとしての反射率の観点からすると、記録層のより好ましい厚さは、誘電体層や光学調整層を設けない場合、8nm以上、30nm以下、更に好ましくは12nm以上、20nm以下であり、誘電体層や光学調整層を設ける場合は、3nm以上、30nm以下、更に好ましくは5nm以上、20nm以下である。
記録のために照射するレーザ光の好ましい波長は350〜700nmの範囲であり、350nm未満では、カバー層(光透過層)などによる光吸収が顕著となり、光記録層への書込み・読み出しが困難になる。逆に波長が700nmを超えて過大になると、レーザ光のエネルギーが低下するため、光記録層への記録マークの形成が困難になる。こうした観点から、情報の記録に用いるレーザ光線のより好ましい波長は350nm以上、660nm以下、更に好ましくは380nm以上、650nm以下である。
本発明に係る上記光記録層を形成するために用いるスパッタリング・ターゲットの組成は、上述した光記録層の合金組成と基本的に同一であり、上記第1〜第3のSn基合金として記載した合金組成に調整することで、スパッタリングによって成膜される光記録層についても、同様の成分組成を容易に実現できる。
以下、本発明で特徴付けられるSn基合金の特性を、先に挙げた特許文献1〜7および非特許文献1に開示の従来技術と対比しつつ説明する。
光記録層の反射率の点では、既に述べた様に、本発明で用いる上記Sn基合金よりも、特許文献1〜4に開示されたAl,Ag,Cuの方がやや優れている。しかし、レーザ光照射による記録マークの形成性は、Sn基合金の方が格段に優れている。これは、前述した様にSnの融点がAl,Ag,Cuに比べて格段に低く、Sn基合金の薄膜はレーザ光の照射によって容易に溶融もしくは変形し、優れた記録特性を発揮するためと思われる。
特に、本発明の如く照射光として青紫色レーザを用いる次世代型の光ディスクへ適用する場合、Al薄膜などを記録層として用いた場合は、低レーザ・パワーでは記録マークを形成できない可能性があるが、本発明ではこうした懸念も払拭できる。
他方、本発明者らの研究によると、特許文献5〜7に記載の合金には、次に示す様な問題を有することが判明した。
まず特許文献5には、40質量%Sn−55質量%In−5質量%Cu合金(原子%に換算すると、37.7原子%Sn−53.5原子%In−8.8原子%Cu合金)からなる膜厚2〜4nmの光記録層が開示されているが、実用可能なレベルのC/N値は得られ難い。また、この特許文献に開示されている合金層の厚さは2〜4nmであるが、上記合金組成にとっては膜厚が薄過ぎるため、実用化できるレベルの反射率は得られなかった。
また特許文献6には、Sn−Bi合金に、SnやBiよりも酸化され易い被酸化性物質を加えた光記録層が開示されている。ところが、これらの合金では、本発明のSn基合金を超えるレベルのC/N値や記録感度は得られなかった。
更に特許文献7には、合金組成が84原子%Sn−10原子%Zn−6原子%SbであるSn基合金製の光記録層が開示されている。しかしこのSn基合金でも、本発明のSn基合金を超えるレベルのC/N値や記録感度、反射率は得られなかった。
これらのことからも、本発明の光記録層が従来技術に較べて有益な技術であることは明白である。
図1〜4は、本発明に係る光情報記録媒体(光ディスク)の実施形態を例示する断面模式図であり、波長が約350〜700nmのレーザ光を記録層に照射し、データの記録と再生を行うことのできる追記型の光ディスク示している。尚、各図の(A)[および(C)]は記録場所が凸状に形成されたもの、(B)[および(D)]は記録場所が凹状に形成されたものを例示している。
図1の光ディスク10は、支持基板1と、光学調整層2と、誘電体層3,5と、該誘電体層3と5の間に挟まれた記録層4と、光透過層6とを備えている。誘電体層3,5は、記録層4を保護するために設けられたもので、これにより記録情報を長時間保存することができる。
図2の光ディスク10は、支持基板1と、第0記録層群(光学調整層、誘電体層、記録層を備えた一群の層)7Aと、中間層8と、第1記録層群(光学調整層、誘電体層、記録層を備えた一群の層)7Bと、光透過層6とを備えている。図3は、1層DVD−R、1層DVD+R、1層HD DVD−Rタイプの光ディスクを例示し、図4は、2層DVD−R、2層DVD+R、2層HD DVD−Rタイプの光ディスクを例示するもので、符号8は中間層、符号9は接着剤層を示している。
上記図2,4における第0および第1の記録層群7A,7Bを構成する一群の層は、3層構造(図の上側から、誘電体層/記録層/誘電体層、誘電体層/記録層/光学調整層、記録層/誘電体層/光学調整層など)や2層構造(図の上側から、記録層/誘電体層、誘電体層/記録層、記録層/光学調整層、光学調整層/記録層など)の他、記録層1層のみからなるものであっても構わない。
なお本発明では、耐久性の評価基準を、「支持基板1に記録層4のみが形成されたサンプルを、温度80℃×相対湿度85%の環境下で96時間保持した前・後に、波長405nmの青色レーザ光を用いて測定した反射率の変化率が15%未満(好ましくは10%未満)を満足すること」としている。ちなみに、一般に青色レーザは波長が短く、膜劣化に対する反射率の変化が顕著であるため、青色レーザを用いて情報の記録や再生を行った光ディスクの耐久性は、赤色レーザを使用した場合よりも劣ることが予想される。そのため青色レーザ用の光記録層には、従来よりも高レベルの耐久性が求められるからである。
こうした観点からすると、前掲の特許文献1,6でも光ディスクの耐久性を調べているが、その条件は、本発明よりも緩やかな環境条件である。ちなみに特許文献6では、本発明よりも耐久性試験温度が低く(温度60℃×相対湿度90%で120時間保持)、また特許文献1では、本発明よりも耐久性試験時間が短い(温度80℃×相対湿度85%で50時間保持)。即ちいずれの場合も、本発明の如く高温・高湿で長時間の耐久性試験は行っていない。
本発明の代表的な実施形態となる光ディスクは、例えば前記図1〜4に示した様な記録層4の素材として前掲の規定要件を満たすSn基合金を使用する点に特徴があり、記録層4以外の支持基板1や光学調整層2、誘電体層3,5などの素材は特に限定されず、通常使用されているものを適宜選択して使用できる。
具体的には、支持基板の素材としては、ポリカーボネート樹脂、ノルボルネン系樹脂、環状オレフィン系共重合体、非晶質ポリオレフィンなど;光学調整層の素材としては、Ag,Au,Cu,Al,Ni,Cr,Ti等やそれらの合金など;誘電体層の素材としては、ZnS−SiO,Si,Al,Ti,Ta,Zr,Crなどの酸化物、Ge,Cr,Si,Al,Nb,Mo,Ti,Znなどの窒化物、Ge,Cr,Si,Al,Ti,Zr,Taなどの炭化物、Si,Al,Mg,Ca,Laなどのフッ化物、或いはそれらの混合物などが例示される。
なお、先にも述べた様に、光学調整層や誘電体層を形成すればディスクとしての反射率を高めることができるため、記録層の膜厚は1〜50nm、より好ましくは3〜30nm、更に好ましくは5〜20nmとするのがよい。
また、本発明で規定する前記構成の光記録層を使用すれば、光学調整層2や誘電体層3,5の一部もしくは全部を省略することも可能である。光記録層単層の場合の好ましい膜厚は8〜50nm、より好ましくは10〜30nmである。
上記Sn基合金からなる光記録層は、スパッタリング法によって形成することが望ましい。即ち本発明で用いるSn以外の合金元素(Ni,Co,In,Bi,Zn,希土類元素)は、熱平衡状態ではSnに対し固有の固溶限を有しているが、スパッタリング法によって薄膜を形成すると、上記合金元素がSnマトリックス中に均一に分散するので、膜質が均質化し、安定した光学特性や耐環境性などが得られ易いからである。
尚スパッタリングを行う際には、スパッタリング・ターゲット材として、溶解・鋳造法によって作製したSn基合金(以下、「溶製Sn基合金ターゲット材」という)を用いることが望ましい。溶製Sn基合金ターゲット材の組織は均一であり、スパッタ率が安定しているばかりでなく、ターゲットからの原子の出射角度も均一であるため、成分組成の均一な光記録層が得られ易く、均質で高性能の光ディスクを製造できるからである。
なお、ターゲット材の製造に当っては、雰囲気中のガス成分(窒素、酸素など)や溶解炉成分が微量ながら不純物としてターゲット材に混入することがあるが、本発明の光記録層やターゲット材の成分組成は、それら不可避的に混入してくる微量成分までも規定するものではなく、本発明の上記特性が阻害されない限り、それら不可避不純物の微量の混入は許容される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例はもとより本発明を制限する性質のものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
本例は、Sn−Ni系合金(Sn−Ni合金、Sn−Ni−In合金、Sn−Ni−希土類元素合金、Sn−Ni−In−Y合金)およびSn−Co系合金(Sn−Co合金、Sn−Co−Bi合金)からなる光記録膜についての実施例である。なお、Sn−Ni−Co合金やSn−Ni−{Bi、Zn}合金からなる光記録膜についても同様の実験を行ったが、得られた結果に実質的な違いは認められなかった。
1)ディスクの作製法
ディスク基板として、ポリカーボネート基板(厚さ:1.1mm、トラックピッチ:0.32μm、溝幅:0.14〜0.16μm、溝深さ:25nm)を用い、DCスパッタリング法によって光記録膜を成膜した。スパッタリング・ターゲットとしては、直径6インチのSnターゲット上に添加元素のチップを置いた複合ターゲットを用いた。
光記録膜形成のためのスパッタリング条件は、到達真空度:10−5Torr以下(1Torr=133.3Pa)、Arガス圧:4mTorr、DCスパッタパワー:100Wとした。なお記録膜の厚さは、スパッタリング時間を5〜120秒の間で変えることによって制御した。
次いで、紫外線硬化型樹脂(日本化薬社製の商品名「BRD−130」)をスピンコートした後、紫外線硬化によって膜厚100±15μmの光透過層を形成した。
2)光ディスクの評価法
光ディスク評価装置(パルステック社製の商品名「ODU−1000」、記録レーザ波長:405nm、NA(開口数):0.85)とスペクトラムアナライザー(アドバンテスト社製の商品名「R3131R」)を使用し、線速度5.28m/sにおいて、(1)未記録状態の周波数16.5MHzにおけるノイズレベル、(2)2T矩形波を各ディスクに記録したときの周波数16.5MHzにおけるC/N、(3)記録感度(C/Nが最大となる記録レーザ・パワー)、(4)ディスク状態での反射率(市販のBD−REディスクのSUM2レベル測定結果に基づき、SUM2レベル320mVを反射率16%と仮定して算出)を評価した。
結果を表1に纏めて示す。但し、表中の記号の意味は下記の通りである。
(1)未記録状態のノイズレベル
●:−75dB未満
◎:−75dB以上、−70dB未満
○:−70dB以上、−65dB未満
×:−65dB以上
(2)C/N
●:45dB超
◎:40dB以上、45dB未満
○:35dB以上、40dB未満
×:35dB未満
(3)記録感度
●:10mW未満
◎:10mW以上、15mW未満
○:15mW以上、20mW未満
×:20mW以上
(4)反射率
◎:15%以上、22%以下
○:10%以上、15%未満、または22%超、30%未満
×:10%未満または30%以上
成膜した光記録膜の組成は、ICP発光分光法および質量分析法によって求めた。
Figure 2007196683
まず、Sn−Ni系合金(表1の試料No.1〜22、24〜28)について考察する。
表1からも明らかな様に、Sn−Ni系合金中のNi含量が多くなるとノイズが低下し、C/Nが向上する。これは、Niの増量によって光記録膜の表面平滑性が向上することによるもので、Ni含量が15〜25原子%の範囲であるとき、全項目で優れた特性が得られている。
また、Sn−Ni系合金にInを添加すると、耐久性が更に向上し、記録特性(C/N、記録感度)とのバランス調整が可能である。なお、表1には、Inを含有する例しか示していないが、Inに替えてBiやZnを添加しても、In添加例とほぼ同様の傾向が見られることを実験により確認している。
また、Sn−Ni系合金に希土類元素を添加すると、表面平滑性や耐久性は更に向上する。殊に読み取り波形については、Sn−5原子%Ni―5原子%Nd合金膜よりも、Sn−5原子%Ni―5原子%Y合金膜の方がノイズ成分は少なかった。
総合的な評価として、本発明の規定要件を満たす光記録膜(試料No.1〜22)は、Snのみからなる光記録膜(試料No.23)やNiなどの含有量が本発明の規定要件を外れる光記録膜(試料No.24〜28)よりも優れた特性を有していることが分かる。
上述したSn−Ni系合金と同様の傾向は、Sn−Co系合金からなる試料No.29〜31についても見られた。なお、表1には、Sn−Co系合金におけるCo含量を変えた例や希土類元素を更に添加した例などは示していないが、本発明で規定するCo含量を含むものや希土類元素を更に含むものは、全項目で優れた特性が得られることを実験によって確認している。また、Biの代わりにInやZnを用いても、上記と同様の効果が得られることを実験によって確認している。
実施例2
上記実施例1で作製したSn−15原子%Ni−3原子%Y合金よりなる光記録膜の上部(記録膜に引き続いて成膜;カバー層と記録層の間)や下部(基板上に成膜し、引き続き記録膜を成膜;基板と記録層の間)に直径4インチのZnS−SiOターゲットを用いて高周波スパッタリング法で誘電体膜を挿入したディスクを作製し、実施例1と同様にしてディスク評価を行った。スパッタリング条件は、到達真空度:10−5Torr以下、Arガス圧:2mTorr 、高周波スパッタパワー:200Wとした。なお膜厚は、スパッタリング時間を5〜120秒の間で変えることによって制御した。
結果を表2に纏めて示す。なお、表2における記号の意味は表1と同じである。
Figure 2007196683
表2からも明らかな様に、誘電体層を設けるとディスクでの反射率が増加することから、相対的に記録層の膜厚を薄くすることが可能となり、「ノイズ」、「C/N値」、「記録感度」のバランスが向上している。
実施例3
上記実施例1,2に示した試料について、光透過層のない光記録膜が露出した状態で、「温度80℃×相対湿度85%の環境下で96時間保持した前後に、波長405nmの青色レーザ光を用いて測定した反射率の変化率が15%未満(好ましくは10%未満)を満足する」という耐環境条件について試験を行なった。尚この試験では、日本分光社製の可視・紫外分光光度計「V−570」を用いて、分光絶対反射率を測定した。その結果、本発明の規定要件を満たす光記録膜は、全てこの耐環境条件を満たすことが確認された。
本発明に係る光情報記録媒体の一実施態様を示す断面模式図である。 本発明に係る他の光情報記録媒体を例示する断面模式図である。 本発明に係る更に他の光情報記録媒体を例示する断面模式図である。 本発明に係る更に他の光情報記録媒体を例示する断面模式図である。
符号の説明
1 支持基板
2 光学調整層
3,5 誘電体層
4 記録層
6 光透過層
7A,7B 記録層群
8 中間層
9 接着剤層
10 光ディスク

Claims (10)

  1. レーザ光の照射によって記録マークが形成される記録層であって、該記録層は、Niおよび/またはCoを1〜50%(原子%の意味、以下同じ)の範囲で含有するSn基合金からなることを特徴とする光情報記録媒体用記録層。
  2. 前記記録層は、更に、In,Bi,Znよりなる群から選択される少なくとも1種を30%以下(0%を含まない)の範囲で含むSn基合金である請求項1に記載の記録層。
  3. 前記記録層は、更に他の元素として、10%以下(0%を含まない)の希土類元素を含むSn基合金である請求項1または2に記載の記録層。
  4. 波長が350〜700nmのいずれかのレーザ光の照射によって記録マークが形成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の記録層。
  5. 前記請求項1〜4のいずれかに記載の記録層を備えてなる光情報記録媒体。
  6. 前記記録層の上部および/または下部に、光学調整層および/または誘電体層が設けられている請求項5に記載の光情報記録媒体。
  7. 前記記録層は、厚さが1〜50nmである請求項5または6に記載の光情報記録媒体。
  8. Niおよび/またはCoを1〜50%含有するSn基合金からなることを特徴とする光情報記録媒体の記録層形成用スパッタリング・ターゲット。
  9. 前記Sn基合金が、更に他の元素として、In,Bi,Znよりなる群から選択される少なくとも1種を30%以下(0%を含まない)の範囲で含むものである請求項8に記載のスパッタリング・ターゲット。
  10. 前記Sn基合金が、更に他の元素として、10%以下(0%を含まない)の希土類元素を含むものである請求項8または9に記載のスパッタリング・ターゲット。
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