JP2007197836A - ニッケル粉 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部電極の形成に用いる導電ペースト用途に適しているニッケル粉を提供すること。
【解決手段】レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径(D50値)の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であり、該平均粒子径(D50値)の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、且つニッケル粒子内の平均結晶子径が400Å以上であるニッケル粉。
【選択図】 なし
【解決手段】レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径(D50値)の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であり、該平均粒子径(D50値)の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、且つニッケル粒子内の平均結晶子径が400Å以上であるニッケル粉。
【選択図】 なし
Description
本発明はニッケル粉に関し、より詳しくは、導電ペースト用途に特に適しており、凝集が少なく単分散状態に近いことに起因して導電ペーストの製造の際の有機ビヒクル中での分散性が優れており且つニッケル粒子内の平均結晶子径が大きいことに起因して熱収縮が抑制された内部電極を形成することができるニッケル粉に関する。
積層セラミックコンデンサは交互に積層された複数のセラミック誘電体層と内部電極層とが一体化したものであり、このような積層セラミックコンデンサの内部電極を形成させる方法としては、内部電極材料である金属微粉末をペースト化して導電ペーストを調製し、該導電ペーストを用いてセラミック誘電体グリーンシート上に印刷し、このセラミック誘電体グリーンシートと導体ペースト層とを交互に層状に複数層積層し、加熱圧着して一体化させた後、還元性雰囲気中、高温で焼成してセラミック誘電体層と内部電極層とを一体化させることが一般的である。
この内部電極材料として、従来は白金、パラジウム、銀−パラジウム等の貴金属が使用されていたが、コスト低減のために、近時にはこれらの貴金属の代わりにニッケル等の卑金属を用いる技術が開発され、進歩してきている。また、一般的には、積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するのに用いる導電ペーストは、導電性を付与するニッケル粉等の金属粉の他に、必要に応じてガラス物質等の無機材料やその他の添加剤を有機ビヒクル中に添加し、均一に混合、分散させて製造される。
近年、導電ペーストを用いて製造される電子部品、例えば積層セラミックコンデンサ等はますます小型化しており、それで、必然的に、セラミック誘電体層及び内部電極層の薄膜化、多層化が進み、現在積層部品、特に積層セラミックコンデンサでは誘電体層2μm以下、内部電極膜厚1.5μm以下、積層数100層以上の部品が作られている。
薄い内部電極層を得るためにはそれに見合った平均粒子径の小さい金属粉、例えばニッケル粉を用いればよいと考えられるが、特に積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するのに用いる導電ペーストの用途のニッケル粉においては、ニッケル粉の有機ビヒクル中への分散性は、形成される内部電極の善し悪しに多大な影響を及ぼす。即ち、分散性が悪いニッケル粉を用いて得た導電ペーストでは、当然導電ペースト中に凝集粉が残留してしまうので、そのような導電ペーストを用いて内部電極を形成すると内部電極層上に凹凸が生じたり、隣接する内部電極間で短絡が生じたりするという不具合が起きやすい。従って、導電ペースト中でのニッケル粉の分散性については、有機ビヒクル中へのニッケル粉の分散性が高いことが重要である。
ニッケル粉は湿式法、乾式法の何れの方法によっても製造可能である。液相還元析出法に代表される湿式法の場合には、粒度分布がシャープなニッケル粉が容易に得られる。そのような製法で得られたニッケル粉を導電ペースト化し、得られた導電ペーストを用いて積層セラミックコンデンサの内部電極を形成させた場合には、粗粉の混入が少ないので内部電極層上に突起が形成されることがほとんどなく、従って、内部電極間の短絡が発生することはほとんどない。しかし、この湿式法により得られるニッケル粉の粒子形状は多面体形状を呈する場合が多いので、粒子間の凝集や粉末の流動性の面で劣っている。
一方、気相還元法に代表される乾式法の場合には、粒子間の凝集や粉末の流動性の面では良好なニッケル粉が得易いものの、粒子形状を制御するために硫黄等の添加を必要とする(例えば、特許文献1参照)。また、そのような製法で得られたニッケル粉を導電ペースト化し、得られた導電ペーストを用いて積層セラミックコンデンサの内部電極を形成させた場合には、内部電極にボイド(膨れ)等の発生が生じる他に、粒度分布がブロードであることに起因して粗粉による悪影響や分散性への影響も免れない。
以上に述べたように、従来技術においては粒度分布がよりシャープで、凝集がより少なく且つ分散性に優れたニッケル粉を得ることは困難であった。また、積層セラミックコンデンサの内部電極材料としてニッケル粉を用いる場合には、セラミック基材と金属ニッケルとの熱収縮特性の相違に起因して、焼成の際にデラミネーションやクラック等の欠陥が発生し易いので、このニッケル粉の熱収縮も抑制する必要がある。
以上に述べた従来のニッケル粉の問題点を改善する技術、即ち粒度分布がよりシャープで、凝集がより少なくて分散性に優れ、且つ熱収縮特性にも優れたニッケル粉を得る技術については、例えば、平均粒子径が0.1〜1.0μmの範囲で個数基準の粒度分布における50%粒子径(D50)と積算ふるい下84.3%粒子径(D84.3)との比(D84.3/D50)で求められた幾何標準偏差が2.0以下で、平均結晶子径が平均粒子径の0.2倍以上であるニッケル超微粉が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
上記の特許文献2に記載のニッケル超微粉は、凝集したニッケル粉が少ないという点で粒度分布に優れ、平均結晶子径が比較的大きく、金属ニッケルの過焼結が抑制されることから熱収縮特性に優れているものの、ニッケル粉の一次粒子に関する粒度分布、特に微粉の粒度については何ら改善がなされていないので、上記の問題点を充分に解決し得る技術とは言い難い。
また、熱収縮特性を改善する技術として、塩化ニッケル粉からなる原料粉末を、特定のアルカリ金属又は特定のアルカリ土類金属からなる還元剤粉体と、これらのアルカリ金属塩化物又は特定のアルカリ土類金属塩化物の粉粒体とに混合して固相還元する微細ニッケル粉の製造方法(特許文献3参照)等も開示されている。この製造方法においては、結晶性や分散性に優れたニッケル粉が得られると記載されている。
しかしながら、上記の製造方法により得られるニッケル粉では、熱収縮特性はある程度改善されるものの、出発原料がニッケル塩であることにより還元速度の制御が困難であるのみならず、粒度分布がよりシャープで、凝集がより少なくて分散性に優れたニッケル粉とは言い難かった。
特開平11−80817号公報
特開平8−246001号公報
特開平11−236631号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、導電ペーストの製造の際の有機ビヒクル中での分散性が優れており、熱収縮が抑制された内部電極の形成に用いる導電ペースト用途に特に適したニッケル粉を提供することを課題としている。
本発明者等は上記の課題を達成するために鋭意検討した結果、凝集が少なくて単分散状態に近く且つニッケル粒子内の平均結晶子径が大きいニッケル粉は導電ペーストの製造の際の有機ビヒクル中での分散性が優れており、熱収縮が抑制された内部電極の形成に用いる導電ペースト用途に特に適していることを見いだし、発明を完成した。
即ち、本発明のニッケル粉は、レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径(D50値)の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であり、該平均粒子径(D50値)の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、且つニッケル粒子内の平均結晶子径が400Å以上であることを特徴とする。
本発明のニッケル粉は、凝集が少なく単分散状態に近いことに起因して導電ペーストの製造の際の有機ビヒクル中での分散性が優れており且つニッケル粒子内の平均結晶子径が大きいことに起因して熱収縮が抑制された内部電極を形成することができ、導電ペースト用途に特に適している。
本発明のニッケル粉においては、レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径(D50値)の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であり、平均粒子径(D50値)の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。
このような粒度分布を有するニッケル粉であれば、ニッケル粉の各粒子間の凝集が抑制されているので、導電ペーストの製造時において有機ビヒクル中への分散性に優れている。また、このニッケル粉においては、上記の条件に加えて、ニッケル粒子内の平均結晶子径が400Å以上であること、好ましくは450Å以上であることが重要である。即ち、本発明のニッケル粉は平均結晶子径が大きいことにより、結晶性が改善されており、従って積層セラミックコンデンサを製造する際の焼成時において、過焼結による収縮を抑制することができる。
また、本発明のニッケル粉においては、下記の式(1)により求められる変動係数(CV)が好ましくは40%未満、より好ましくは35%未満、最も好ましくは30%未満である。
CV(%)=(σ/D50値)×100 ‥‥‥(1)
(式中、D50値はレーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径であり、σはレーザ回折散乱式粒度分布測定による個数分布の標準偏差である)。
(式中、D50値はレーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径であり、σはレーザ回折散乱式粒度分布測定による個数分布の標準偏差である)。
このような変動係数を有するニッケル粉を含む導電ペーストを用いて積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する場合には、上記のような粒度分布を有するニッケル粉を含む導電ペーストを用いて積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する場合と同等、又はそれ以上の薄層化、高容量化が達成できる。
導電ペーストに用いるニッケル粉中のアルカリ金属の含有量が高い場合には、例えば、導電ペースト中のニッケル粉を加熱溶融させて積層セラミックコンデンサの内部電極を形成する際に、アルカリ金属が金属ニッケル表面に析出し、またそのアルカリ金属不純物が電解質成分であるので、近隣の電極間で導通が生じ、遂には絶縁破壊を生じせしめることがある。
従って、本発明のニッケル粉においては、ニッケル粉中のアルカリ金属の総量、特にリチウム、ナトリウム及びカリウムの1種又は2種以上の合計量はなるべく低い方が好ましく、総量が500ppm以下であることが好ましく、400ppm以下であることがより好ましく、300ppm以下であることが一層好ましい。
導電ペーストに用いるニッケル粉中の塩素の含有量が高い場合には、この塩素不純物が電解質成分であるので、上記のアルカリ金属の場合と同様に絶縁破壊が生じることがある。従って、本発明のニッケル粉においては、ニッケル粉中の塩素含有量はなるべく低い方が好ましく、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが一層好ましい。
導電ペーストに用いるニッケル粉中の硫黄の含有量が高い場合には、積層セラミックコンデンサ製造時の焼成の際に、この硫黄成分が酸素と反応して亜硫酸ガスを発生してボイド(膨れ)を惹き起こすのみならず、この硫黄成分が誘電体成分と反応し、その硫化物は半導体としての挙動を示すので、絶縁特性が著しく劣化する。
従って、本発明のニッケル粉においては、ニッケル粉中の硫黄含有量はなるべく低い方が好ましく、10000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが一層好ましい。
また、本発明のニッケル粉は、SEM観察による平均粒子径が0.05〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.8μmであることが一層好ましい。このようなニッケル粉を含む導電ペーストは積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するのに特に適している。なお、本発明のニッケル粉は純ニッケル粉であっても、ニッケル粉の各微粒子の内部に金属酸化物を含有するニッケル粉であってもよい。
次に、本発明のニッケル粉の製造方法について述べる。
本発明のニッケル粉の製造方法においては、例えば、ニッケル粉とアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩よりなる群から選ばれたアルカリ土類金属化合物の微粉末とを混合した後、またはニッケル粉の各粒子表面に該アルカリ土類金属化合物を被覆させた後、不活性ガス又は微還元性ガス雰囲気中で、該アルカリ土類金属化合物の溶融温度未満の温度で熱処理を実施する。
本発明のニッケル粉の製造方法においては、例えば、ニッケル粉とアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩よりなる群から選ばれたアルカリ土類金属化合物の微粉末とを混合した後、またはニッケル粉の各粒子表面に該アルカリ土類金属化合物を被覆させた後、不活性ガス又は微還元性ガス雰囲気中で、該アルカリ土類金属化合物の溶融温度未満の温度で熱処理を実施する。
前記したように、特許文献3等に記載の公知技術においては、出発原料として塩化ニッケル等のニッケルの塩や化合物を用いている。かかる方法によれば、直接還元でニッケル粉を製造することができるが、均一な還元反応を進め、粒径制御を行い且つ焼結を防止するためには充分に注意を払う必要がある。従って、原料混合から反応に至るまでの操作や制御が非常に煩雑であり、製品の出来ばえにバラツキが生じ易い。
これに対し、本発明のニッケル粉の上記の製造方法においては、出発原料としてニッケル粉を用いるので、焼結の防止のみを制御すればよく、熱処理の際に共存させるアルカリ土類金属化合物の溶融温度未満の温度で熱処理することによりニッケル粒子内の平均結晶子径を効率よく大きくすることが可能である。
本発明のニッケル粉の上記の製造方法で出発原料として用いるニッケル粉は、液相還元析出法、気相化学反応法、ガス中蒸発法等の湿式法、乾式法の何れの製造方法で得られたものでもよい。湿式法で得られるニッケル粉は粒度分布に優れているので、湿式法で得られるニッケル粉を出発原料として用いれば既に粒度分布に優れた状態になっており、また、乾式法で得られるニッケル粉は形状が球形に近いので、乾式法で得られるニッケル粉を出発原料として用いれば既に形状が球形に近い状態になっており、従って、本発明で目的とする効果の何れに重点を置くかによって出発原料を適宜選択すればよく、また両者を配合したり、前処理として風力分級を行って粒度分布をよりシャープにしたりすることができる。
本発明のニッケル粉の上記の製造方法で用いることのできるアルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩よりなる群から選ばれたものであり、その例としては酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等を挙げることができ、それらは単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
本発明のニッケル粉の上記の製造方法においては、先ず、ニッケル粉とアルカリ土類金属化合物の微粉末とを良く混合するか、又はニッケル粉の個々の粒子の表面にアルカリ土類金属化合物を被覆させることが重要である。
上記のアルカリ土類金属化合物は融点が高く且つニッケル粉との反応性も殆どない上、両者が焼結してしまうこともないので、熱処理によりニッケル粒子内の平均結晶子径を大きくさせる際の焼結防止剤として極めて有効である。従って、アルカリ土類金属化合物の微粉末がニッケル粉中に比較的均一に混合されているか、又はアルカリ土類金属化合物がニッケル粉の個々の粒子の表面を被覆していると、この効果が一層良く発揮される。
上記の混合方法としては、例えばヘンシェルミキサー等の圧縮作用の少ない混合機を使用する乾式法を採用することができ、また上記の被覆方法としては、アルカリ土類金属化合物の水溶液中にニッケル粉を分散させたニッケル粉含有スラリーを中和処理して共沈させる方法、スプレードライヤーで造粒する方法によりニッケル粉表面にアルカリ土類金属化合物を被覆化する方法等の湿式法を採用することができる。特に、乾式法ではアルカリ土類金属化合物の微粉末の粒子形状が板状である場合、湿式法ではアルカリ土類金属化合物が水溶性、又は酸もしくはアルカリに可溶で溶液として用いることによりアルカリ土類金属化合物がニッケル粉の表面を薄く均一に被覆している場合、ニッケル粉同士の焼結が一層有効に防止される。
また、ニッケル粉同士の融着を防止するためにはアルカリ土類金属化合物の均一な付着が必要であるので、少量のアルカリ土類金属化合物の微粉末を用いてこの効果を達成するためには、アルカリ土類金属化合物の微粉末のSEM観察による平均粒子径がニッケル粉のSEM観察による平均粒子径の1/5以下であることが好ましく、1/8以下であることが一層好ましい。
このようにして得られたニッケル粉とアルカリ土類金属化合物の微粉末との混合物又はアルカリ土類金属化合物で被覆されたニッケル粉を、引き続き、不活性ガス又は微還元性ガス雰囲気中で、該アルカリ土類金属化合物の溶融温度未満の温度で熱処理を実施する。この熱処理の際に用いることのできる不活性ガス又は微還元性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムや、一酸化炭素、水素含有窒素等がある。
上記のように不活性ガス又は微還元性ガス雰囲気中で熱処理することによりニッケル粉の酸化を防止しながら、ニッケル粒子内の平均結晶子径を効率よく大きくすることができ、また、アルカリ土類金属化合物の微粉末がニッケル粉の個々の粒子の表面に存在しているので、ニッケル粉同士の無用の焼結を抑制することができる。
なお、熱処理はアルカリ土類金属化合物の溶融温度未満の温度、好ましくは300〜800℃、より好ましくは400〜600℃で実施する。また、熱処理の際の保持時間は好ましくは0.1〜2時間、より好ましくは0.5〜1時間である。このように熱処理して得られるニッケル粉においては、ニッケル粒子内の平均結晶子径が大きくなっている。
なお、熱処理はアルカリ土類金属化合物の溶融温度未満の温度で実施するので、アルカリ土類金属化合物が溶融してニッケル粒子の微細な窪みや微細な亀裂中に入り込むことがなく、従ってアルカリ土類金属化合物は希硫酸等での洗浄、水洗により完全に除去され、ニッケル粉を汚染する危険性は極めて少ない。
この熱処理の後、ニッケル粉とアルカリ土類金属化合物の微粉末との混合物又はアルカリ土類金属化合物で被覆されたニッケル粉からアルカリ土類金属化合物を溶解させて除去する。この溶解処理には、アルカリ土類金属化合物を溶解することができるものであればいかなる液体でもよく、例えば希硫酸等の酸溶液、アンモニア水等のアルカリ溶液を用いることができる。従って、アルカリ土類金属化合物が水溶性、又は酸もしくはアルカリに可溶であることが好ましい。この溶解処理の後充分に水洗し、乾燥して本発明のニッケル粉を得る。
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明する。
比較例1
硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.8kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナトリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケルの水酸化物を析出させた。
比較例1
硫酸ニッケル・六水和物(品位22.2質量%)44.8kgを純水80Lに溶解して得た水溶液を、水酸化ナトリウム濃度200g/Lの水溶液100Lにその液温を60℃に維持しながらゆっくりと滴下して、ニッケルの水酸化物を析出させた。
この懸濁液にその液温を60℃に維持しながらヒドラジン・一水和物30kgを30分間にわたって添加してニッケルの水酸化物をニッケルに還元した。この生成ニッケル粒子含有スラリーを濾過した後、洗浄液のpHが9以下になるまで純水で洗浄し、その後乾燥してニッケル粉を得た。
このニッケル粉について、下記の方法によって各特性を求めた。
(1)平均結晶子径
自動X線回折装置RINT2200(株式会社リガク製)を用いて、X線回折ピークの半値幅から平均結晶子径を求めた。
(1)平均結晶子径
自動X線回折装置RINT2200(株式会社リガク製)を用いて、X線回折ピークの半値幅から平均結晶子径を求めた。
(2)レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径(D50値)、粗粒比率、微粒比率及びCV(%)
試料0.1gをSNディスパーサント5468(サンノプコ社製)0.1%水溶液と混合し、超音波ホモジナイザで5分間分散させた後、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac HRA 9320-X100型(Leeds & Northrup製)を用いて平均粒子径(D50値)、D50値の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子の比率、D50値の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子の比率、及び個数分布の標準偏差を測定した。CVはD50値及び個数分布の標準偏差を用いて前記の式(1)に従って計算した。
試料0.1gをSNディスパーサント5468(サンノプコ社製)0.1%水溶液と混合し、超音波ホモジナイザで5分間分散させた後、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac HRA 9320-X100型(Leeds & Northrup製)を用いて平均粒子径(D50値)、D50値の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子の比率、D50値の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子の比率、及び個数分布の標準偏差を測定した。CVはD50値及び個数分布の標準偏差を用いて前記の式(1)に従って計算した。
(3)化学分析値
試料を溶解し、Na及びSはICPによって測定し、Clは比濁法によって測定した。 上記(1)〜(3)の測定、計算結果は第1表に示す通りであった。
試料を溶解し、Na及びSはICPによって測定し、Clは比濁法によって測定した。 上記(1)〜(3)の測定、計算結果は第1表に示す通りであった。
実施例1
比較例1で得たニッケル粉100gと板状炭酸水素マグネシウム100gとをヘンシェルミキサーで混合した後、窒素通気量1L/分の窒素雰囲気中で、600℃で1時間加熱した。その後、希硫酸で洗浄してマグネシウム成分を除去し、水洗し、濾過し、乾燥して目的とするニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
比較例1で得たニッケル粉100gと板状炭酸水素マグネシウム100gとをヘンシェルミキサーで混合した後、窒素通気量1L/分の窒素雰囲気中で、600℃で1時間加熱した。その後、希硫酸で洗浄してマグネシウム成分を除去し、水洗し、濾過し、乾燥して目的とするニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
実施例2
比較例1で得たニッケル粉100gと酸化マグネシウム(一次粒子径50nm)30gとをヘンシェルミキサーで混合した後、アルゴン通気量1L/分のアルゴン雰囲気中で、800℃で1時間加熱した。その後、希硫酸で洗浄してマグネシウム成分を除去し、水洗し、濾過し、乾燥して目的とするニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
比較例1で得たニッケル粉100gと酸化マグネシウム(一次粒子径50nm)30gとをヘンシェルミキサーで混合した後、アルゴン通気量1L/分のアルゴン雰囲気中で、800℃で1時間加熱した。その後、希硫酸で洗浄してマグネシウム成分を除去し、水洗し、濾過し、乾燥して目的とするニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
実施例3
比較例1で得たニッケル粉100gを水1L中に良く分散させた後、この分散スラリーに硝酸カルシウム・四水和物236gを添加し、攪拌して均一に溶解させた。更に、この分散スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整し、1時間攪拌した後、濾過し、乾燥した。このようにして得た水酸化カルシウム被覆ニッケル粉を窒素通気量1L/分の窒素雰囲気中で、500℃で1時間加熱した。その後、希硫酸で洗浄してカルシウム成分を除去し、水洗し、濾過し、乾燥して目的とするニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
比較例1で得たニッケル粉100gを水1L中に良く分散させた後、この分散スラリーに硝酸カルシウム・四水和物236gを添加し、攪拌して均一に溶解させた。更に、この分散スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整し、1時間攪拌した後、濾過し、乾燥した。このようにして得た水酸化カルシウム被覆ニッケル粉を窒素通気量1L/分の窒素雰囲気中で、500℃で1時間加熱した。その後、希硫酸で洗浄してカルシウム成分を除去し、水洗し、濾過し、乾燥して目的とするニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
比較例2
板状炭酸水素マグネシウムを使用しなかった以外は実施例1の場合と同様に処理してニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
板状炭酸水素マグネシウムを使用しなかった以外は実施例1の場合と同様に処理してニッケル粉を得た。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
比較例3
特開平11−236631号公報に記載の実施例2の方法に準じて、無水塩化ニッケル粉221g、還元剤としてマグネシウム金属27g(1.1当量)及び無水塩化カルシウム151gをグローボックス中で充分に混合した後、純ニッケル製の反応容器に入れ、蓋をし、その後ステンレス製の反応容器に入れてアルゴンガスで置換した後、30分間で1000℃まで昇温させ、1000℃に30分間保持した後800℃まで降温させ、次いで電気炉から反応容器を取り出して室温まで空冷した。
特開平11−236631号公報に記載の実施例2の方法に準じて、無水塩化ニッケル粉221g、還元剤としてマグネシウム金属27g(1.1当量)及び無水塩化カルシウム151gをグローボックス中で充分に混合した後、純ニッケル製の反応容器に入れ、蓋をし、その後ステンレス製の反応容器に入れてアルゴンガスで置換した後、30分間で1000℃まで昇温させ、1000℃に30分間保持した後800℃まで降温させ、次いで電気炉から反応容器を取り出して室温まで空冷した。
その後、その還元生成物をクラッシャーで数ミリ程度の粒状に粉砕後、レパルプ、沈降を繰り返すことにより水洗し、塩化カルシウムを除去した後、固液分離することにより微細ニッケル粉を回収した。固液分離で回収したスラリー又はケーキ状の湿潤な微細ニッケル粉を150℃の気流中で解砕しながら乾燥した。このニッケル粉について、比較例1の場合と同様にして各特性を求めた。その結果は第1表に示す通りであった。
第1表のデータから明らかなように、実施例1〜3で得られたニッケル粉は、出発原料のニッケル粉と比較して平均結晶子径が大きくなっており、また平均粒子径(D50値)に対する粗粒、微粒の比率が少なく、粒度分布がシャープである。また、ナトリウム、硫黄、塩素等の不純物の含有量も充分に低い。
これに対して、比較例1で得られたニッケル粉は熱処理を加えていないため、平均結晶子径が小さいものであった。比較例2で得られたニッケル粉は、平均結晶子径がかなり大きいものの、アルカリ土類金属化合物の微粉末を使用していないため、出発原料のニッケル粉の焼結が進み、導電ペースト用途には全く適さないニッケル粉になっていた。また、比較例3で得られたニッケル粉は、平均結晶子径がかなり大きいものの、出発原料としてニッケル塩を用いたことに起因して還元生成されたニッケルの粒径を制御しきれずにバラツキが大きかった。
Claims (3)
- レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径(D50値)の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であり、該平均粒子径(D50値)の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、且つニッケル粒子内の平均結晶子径が400Å以上であることを特徴とするニッケル粉。
- 下記の式(1)により求められる変動係数(CV)が40%未満であることを特徴とする請求項1記載のニッケル粉。
CV(%)=(σ/D50値)×100 ‥‥‥(1)
(式中、D50値はレーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒子径であり、σはレーザ回折散乱式粒度分布測定による個数分布の標準偏差である)。 - ニッケル粉中のアルカリ金属の総量が500ppm以下であり、塩素量が100ppm以下であり、硫黄量が10000ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のニッケル粉。
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