JP2007201432A - 撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置 - Google Patents

撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な構造を有しながら、鮮明な画像を得ることができる撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置を提供する。
【解決手段】 物体で反射された近赤外域の光を受けてその物体を撮像するための撮像装置70であって、受光層3のバンドギャップ波長が1.65μm以上、3.0μm以下の半導体受光素子10を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、宇宙から地表に届く電磁波のうちの近赤外域の電磁波(SWIR:Short
Wavelength Infrared)すなわち宇宙光(night glow)の波長域を受光感度域に含む撮像装置、それを用いた視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置に関するものである。
(I)宇宙光:地表には宇宙から各種の電磁波(光)が到達しており、たとえば宇宙からのX線を観測して宇宙の姿を研究する電波天文学等がよく知られている。宇宙から地表に届く電磁波のうち、SWIR帯は検出に大掛かりな装置を要しないため、近年、注目を集めており、多くの紹介がなされている。たとえば宇宙からのSWIRスペクトルの観測結果について説明し、そのスペクトルが1.4〜1.9μmにピークを有することが紹介されている(非特許文献1)。またInPに格子整合するInGaAs受光素子(In原子:Ga原子=0.53:0.47)を用いた暗視カメラの紹介(非特許文献2)などが、なされている。この場合、図24に示すように、格子定数をInP基板に合わせるためにIn/Gaの原子数比を0.53/0.47にしており、そのため受光素子の長波長側限界(感度限界)は1.7μm程度となる。図24に示す受光素子の構成については、実施例において詳しく説明する。以後の説明では、上記宇宙から地表に到達するSWIR帯の光を、宇宙光もしくはSWIR帯の宇宙光、または単にSWIR帯光と呼ぶ。
(II)化合物半導体受光素子:上記のInGaAs受光素子(受光可能な長波長側限界がそれほど長くない)よりも長波長の光を検出するため、図25に示すように、InP上に格子整合のための傾斜組成のグレーディッド層またはステップバッファ層を設け、格子整合を保ちながら徐々にIn組成を高めた受光素子の紹介もある(特許文献1)。この場合、In/Gaの原子数比を上記値よりも高くすることにより、格子定数をInP基板の格子定数よりも受光層へと徐々に大きくするので、受光層(In/Ga=0.8/0.2)の感度は、より長波長側へと拡大される。図25に示す受光素子の構成についても実施例で詳しく説明する。
(III)暗視装置:上記の技術の延長上に位置するものではないが、近年、長波長域の光を用いる暗視装置の紹介がなされている。たとえば赤外線を、人を含む対象物に照射し、その反射光を赤外線カメラで撮像することにより、自動車後方視界の支援をする装置(特許文献2)、同様な近赤外LED(発光ダイオード)と撮像装置との組み合わせによる自動車用暗視装置(特許文献3)、赤外域と近赤外域との2つの波長域の組み合わせによる視覚装置(特許文献4)、1.5μm帯の光をInGaAs受光素子で受光する車載用撮像装置(特許文献5)等が紹介されている。
Vatsia,Mirshri,L."Atmospheric Optical Environment", Researchand Development Technical Report ECOM-7023, September (1972) Marshall J.Cohen, "Near-IR imaging cameras operate at roomtemperature", LASER FOCUS WORLD June 1993 p.109(Sensors Unlimited) 特開2002−373999号公報 特開2004−350228号公報 特開2002−274258号公報 特開平9−37147号公報 特開平7−302928号公報
上記したこれまでの技術における問題点は、次のように要約される。
(A1)化合物半導体受光素子:ノイズや暗電流が大きく、また暗点が多く、鮮明な画像が得られない。温度上昇により、画像の鮮明度はとくに大きく劣化する。
(A2)暗視装置:赤外線、近赤外線等の光源が必要である。また、装置が複雑であり、高コストとなる。画像鮮明度も不足する。
上記の(A1)における問題は、より長波長域まで受光できる化合物半導体層を結晶性よく形成できないことに起因する。また(A2)の問題は、社会的および経済的な影響が高く、解決に緊急性を要する。本発明は、まず上記(A2)の問題を克服し、すなわち簡単な構造を有しながら、鮮明な画像を得ることができる撮像装置および視界支援装置を提供し、さらには加えて(A1)の問題を解消した、すなわちノイズや暗電流を抑制して鮮明な画像を確実に得ることができる受光層を備えた撮像装置、それを用いた視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置を提供することを目的とする。ここで、視界支援装置は、車両(自動車など)に搭載されて安全性向上のために運転者の視界を支援する装置を、暗視装置は人が携行可能な装置を、航海支援装置は、船舶に搭載されて何らかの形で物標の認識を支援する装置を、そして監視装置は、定点に設置されて監視対象物を監視する装置を、それぞれさすものと大まかに区分けされるが、この区分けは厳密なものではない。結局のところ、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置および監視装置は、これら全体で、上記撮像装置が適用された光学機器を含む装置を指すものと考えることができる。
本発明の撮像装置は、物体で反射された近赤外域の光を受けてその物体を撮像するための撮像装置である。この撮像装置は、受光層のバンドギャップ波長が1.65μm以上、3.0μm以下の半導体受光素子を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、波長1.4μm〜1.9μmにピークを持つ宇宙光が物体で反射された光を受光して、物体を撮像するので、昼夜を問わず鮮明な画像を得ることができる。また、上記の1.65μm以上、3.0μm以下に感度を有する半導体受光素子は、霧、煙または粉塵といった環境下でも、水の吸収スペクトルのうちMWIR(中赤外:Medium
Wavelength InfraRed)領域の吸収ピーク(3.0μm超の波長域にブロードな吸収を有する)の影響を小さくできるので鮮明な画像を得ることができる。さらに、補助的な光照射を行うことなく撮像できるので、照射光が人体の眼に入射して損傷する可能性を完全に除くことができる。また、最大波長を3.0μmとしたのは、3.0μmを超える受光層を形成しようとしても、受光層のエピタキシャル膜の成長中に取り込めるN量には限界があり、無理に取り込もうとしても品質が劣化して、暗電流を低く抑えることができないという理由もある。
上記の受光素子は、波長域1.0μm〜2.0μmの光を受光することができる。この構成によれば、波長1.4μm〜1.9μmにピークを持つ宇宙光の反射光を、限定的に受光できるので、水の吸収スペクトル等による画像の乱れをさらに確実になくすことができる。すなわち、水の吸収スペクトルは、波長3.0μmの短波長側でも長波長側(長波長側はとくにブロードな吸収)でも吸収を持つので、上記のように波長域1.0μm〜2.0μmの光を受光することにより、水の吸収スペクトルの最大の3.0μm付近ピークの影響をなくし、水の吸収スペクトル起因の画像の乱れを抑えることができる。「波長域1.0μm〜2.0μmの光を受光する」とは、波長域1.0μm〜2.0μm以外の波長域に感度を有しないことを意味する。これは、その受光層を形成する化合物半導体の特性の上から、波長域1.0μm〜2.0μmの範囲内に感度が制約される場合であってもよい。この場合、長波長側の感度の限界が1.5μmや、1.75μmであってもよい。また、とくに長波長側の限界2.0μmの実現については、波長2.0μmを超える光をカットするフィルタを備えていてもよい。
また、上記の受光素子には、InP基板と、そのInP基板上に形成され、バンドギャップ波長が1.65μm〜3.0μmの範囲内にある受光層とを有するものを用いることができる。ここでバンドギャップ波長は、バンドギャップエネルギーを光の波長に換算したもので、バンドギャップ波長(μm)=1.2398/バンドギャップエネルギー(eV)、の関係がある。
InP基板に格子整合するIn0.53Ga0.47As受光層を用いた従来のSWIR撮像装置では、長波長側の感度がせいぜい1.7μm程度であるのに対して、上記構成によれば、長波長側は波長1.9μmまで確実に受光することができる。このためより鮮明な画像を得ることができる。とくに宇宙光は微弱であるため、従来の受光素子において受光できなかった非受光波長域1.7μm〜1.9μmの影響は大きく、この非受光波長域があるために画像の鮮明度は低下していたが、上記構成により、これを克服することができる。
さらに、従来の装置では、使用環境上、装置の温度が上昇して受光素子における暗電流成分が増加した場合など、ダイナミックレンジ(S/N
比)が稼げず、ノイズが多くなり、使用不可能になる可能性があった。これを回避するために冷却装置を用いることもある。上記の構成によれば、十分広い帯域の光を受光できるため、上記温度上昇に付随する問題を回避することができる。
逆に温度が低い場合、半導体受光素子の感度は短波長側にシフトする。従来のInGaAsを受光層とした装置は、宇宙からのSWIR光スペクトルの一部を利用しているため、低温環境では感度シフトにより十分な感度が得られず、像が不鮮明になることが多かった。上記の構成によれば、感度シフトしても十分にSWIRスペクトルを網羅するので、上記の問題は解消される。
また、上記構成では、受光層に4元系または5元系のInGaAs系化合物を用いるので、受光可能な長波長側限界を決めるバンドギャップと、格子定数(InP基板の格子定数と同じにする)とを、ともに目標値にすることが可能である。このため、長波長側の限界を3μmとした上で、結晶欠陥密度および歪を低くできるため、暗電流を小さくし、かつ画像抜け(暗点)を非常に少なくすることができる。すなわち、上記構成では、ステップバッファ層(グレーディッド層)を用いることなく(すなわちInP基板の格子定数よりも大きな格子定数の受光層を作成することなく)、長波長側限界を拡大することができる。このため、ステップバッファ層を用いる場合に比べて、受光層における歪や欠陥を抑えることができるので、上述のように、欠陥起因の暗電流を小さくし、かつ暗点(画像抜け)を減少させることができる。
上記の半導体受光素子は、InP基板と該InP基板上に形成された受光層とを有しており、受光層はGaInNAsP層を有し、該GaInNAsP層におけるPの濃度を0.01at%〜1at%とすることができる。この構成により、バンドギャップ波長(最長検出波長)が1.65μm〜3.0μmの範囲内の受光層を得ることができ、上述のいずれの撮像装置をも実現することができる。Pの含有量が1at%を超えると発光強度が弱くなるためPの上限は1at%とする。またPの含有量が0.01at%未満ではPの効果を得ることができず、格子定数をInPと同じに揃えながらバンドギャップエネルギーを小さくすることができない。
上記の半導体受光素子は、InP基板と該InP基板上に形成された受光層とを有しており、受光層はGaInNAsSb層を有し、該GaInNAsSb層におけるSbの濃度を0.1at%〜10at%とすることができる。この構成により、バンドギャップ波長(最長検出波長)が1.65μm〜3.0μmの範囲内の受光層を得ることができ、上述のいずれの撮像装置をも実現することができる。GaInNAsSb層は、とくに結晶性に優れており、しかも比較的容易に安定して形成することができる。Sbの含有量が2at%を超えると格子不整合が現れて欠陥密度が増加するためSbの上限は2at%とする。またSbの含有量が0.1at%未満ではSbの効果を得ることができず、格子定数をInPと同じに揃えながらバンドギャップエネルギーを小さくすることができない。
上記の半導体受光素子は、InP基板と該InP基板上に形成された受光層とを有しており、受光層はGaInNAs層を有し、該GaInNAs層におけるNの濃度を0.01at%〜12at%とすることができる。この構成により、バンドギャップ波長(最長検出波長)が1.65μm〜3.0μmの範囲内の受光層を得ることができ、上述のいずれの撮像装置をも実現することができる。Nはバンドギャップエネルギーに大きな影響を有し、0.01at%以上で格子定数をInPと同じに揃えながらバンドギャップエネルギーを小さくする。しかし、12at%を超えて含有させることは難しく、12at%超で欠陥密度を大きく増加する。
上記のInP基板の格子定数をaとし、受光層を形成する結晶層の格子定数とInP基板の格子定数との差をΔaとして、受光層を形成する結晶層は、格子不整合度|Δa/a|≦0.002となるような格子定数を有するように構成するのがよい。この構成により、普通に入手ができるInP基板を用いて、結晶性に優れた受光層を得ることができる。
上記のInP基板を、(100)から[111]方向または[11−1]方向に5度〜20度傾斜したオフアングル基板とすることができる。この構成により、欠陥密度が小さく結晶性に優れた、GaInAsSb層、GaInAsSb層、またはGaInNAs層を得ることができ、暗電流が抑制され、暗点が少ない受光層を得ることができる。このため、微弱なSWIR帯の宇宙光を受光して撮像する装置の性能を向上させる受光層を得ることができる。すなわち上記オフアングル基板を用いて形成された受光素子の有する作用は、宇宙光を受光して撮像する撮像装置の品質をとくに向上させる。最も好ましいオフアングルの範囲は、(100)から[111]方向または[11−1]方向に10度〜15度の範囲であり、このオフアングルにおいて欠陥密度が非常に抑制された受光層を得ることができる。上記のような大きなオフ角は、InP基板について提唱されたことはなく、本発明者らによってはじめて確認されたものであり、InP基板上に良好な結晶性のエピタキシャル膜を成長させる場合の重要な要素である。
上記の受光層を覆うように位置するInP窓層を備えることができる。この構成によれば、受光層の格子定数がInP基板の格子定数と同じであるため、受光層の上に、暗電流を小さくすることで実績があるInPの窓層を形成することができる。この結果、暗電流を抑制し、素子信頼性を向上させることができる。すなわち、従来のステップバッファ層を設けることにより格子定数をInP基板から受光層のInAsPへと大きくする構成の場合、その格子定数に合わせた組成のInAsPを窓層とする必要がある。このような大きな格子定数をもたらす組成のInAsP層は、一般に、MWIR付近から短波長側にかけての吸収があるために受光感度が悪くなり、不鮮明な画像となってしまう。
また、上記の撮像装置は、波長域1.0μm〜3.0μmの光を受光する構成としてもよい。これにより、1.0μm以上、3.0μm以下に感度を有する受光素子は、霧、煙または粉塵といった環境下でも、水の吸収スペクトルのうちMWIR(中赤外:Medium
Wavelength InfraRed)領域の吸収ピーク(3.0μm超の波長域にブロードな吸収を有する)の影響を小さくできるので鮮明な画像を得ることができる。さらに、補助的な光照射を行うことなく撮像できるので、照射光が人体の眼に入射して損傷する可能性を完全に除くことができる。また、最大波長を3.0μmとしたのは、理由は現在のところ不明であるが、3.0μmを超えて受光しようとすると、受光層のエピタキシャル膜の品質が劣化して、暗電流を低く抑えることができないという理由もある。なお、「波長域1.0μm〜3.0μmの光を受光する」とは、上述のように、波長域1.0μm〜3.0μm以外の波長域に感度を有しないことを意味する。これは、その受光層を形成する化合物半導体の特性の上から、波長域1.0μm〜3.0μmの範囲内に感度が制約される場合であってもよい。この場合、長波長側の感度の限界が2.0μmや、2.5μmであってもよい。また、とくに長波長側の限界3.0μmの実現については、波長3.0μmを超える光をカットするフィルタを備えていてもよい。
本発明の視界支援装置は、上記のいずれかの撮像装置を用いることを特徴とする。この構成により、暗電流が抑制され、暗点の少ない画像を得ることができ、視界支援のレベルを向上させることができる。たとえば従来の車両における視界支援装置では、赤外光や近赤外光を物体に向かって照射して、その反射光を受光して物体を撮像するが、上記構成によれば、SWIR帯の宇宙光を利用するので、照射手段が不要であり、視界支援装置を簡単化して製造費用を低減することができる。これは車載スペースおよび費用の節約になり、これら装置の普及を促進させる上で、重要な要因となる。また、赤外光と近赤外光の検出を組み合わせる方式における車載スペースおよび製造コストの問題も避けることができる。
また、光を照射しないので、人の眼への照射による損傷を避けることができ、光を避けるための機構やシステムも不要である。本発明の視界支援装置におけるこのような特性は、対人事故を防止するために人を検知することが主目的である車両用の視界支援装置の場合、とくに大きな価値を有する。
また、(i)赤外光を受光する場合の、霧など水分による吸収により画像が極端に不鮮明になる問題、また(ii)物体または生物の放射熱線を受光する場合の、生物以外の周囲温度との差が小さいものや防寒具を付けた人などが検出し難いという問題を、本発明のSWIR宇宙光を受光する装置では、問題なく避けることができる。このような特性も、走行環境によらず車両の安全走行を確保することが重視される車両用の視界支援装置の場合、価値を有する。
また、別の本発明の視界支援装置は、車両における視界支援のために用いられる装置であり、車両の前方を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段とを備え、撮像手段に上述のいずれかの撮像装置を用いたことを特徴とする。この構成によれば、上記視界支援装置は車両に搭載され、夜間に運転者が前方の視界やさらには障害物を、より鮮明に認識しながら走行することができる。
また、さらに別の本発明の視界支援装置は、車両における視界支援のために用いられる装置であり、車両の後方を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、撮像手段および表示手段を駆動制御する制御手段とを備え、撮像手段に上述のいずれかの撮像装置を用いたことを特徴とする。この構成によれば、上記視界支援装置は車両に搭載され、夜間に運転者が後方の視界や障害物を、より鮮明に認識しながら走行することができる。
本発明の暗視装置は、夜間に物体を可視化する光学装置であって、上記のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする。これにより、照射装置を用いることなく、夜光などの物体から反射される近赤外〜赤外域の光を感度良く受光して、鮮明な暗視画像を、簡単な構成の装置により得ることができる。このため携行しやすく、また赤外光照射に起因するアイセーフ問題を避けることができる。
本発明の航海支援装置は、船舶に搭載され、他船舶等の物標を認識するための光学装置を含む装置であって、光学装置に、上記のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする。この構成により、どのような気象条件下でも、昼夜を問わず、周囲との温度差が小さくい場合に赤外カメラでは明瞭に撮像しにくい物標を、確実に認識することができる。
本発明の監視装置は、定点に設置され、監視対象物を監視する光学装置を含む装置であって、上記のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする。これにより、監視装置内に監視対象物に照射する光源を設けることなく、監視対象物を確実に捕捉することができる。ここで、監視装置には、列車事故を回避するためにプラットフォームとそこの列車軌道を監視する監視装置、ドアホン等に取り付けられて訪問者の画像を撮像する監視装置、侵入者か否かを判断するために監視する監視装置、介護等を目的に室内を監視して介護センタ等に映像を送るための室内用の監視装置、都市防止用に火災の発生やその位置を検知するための監視装置、ダム堰などの大型装置の異変を知らせる各部位の位置変化等を遠方から監視する遠隔用の監視装置等が該当する。
上記の視界支援装置、暗視装置、航海支援装置または監視装置では、赤外光、近赤外光および可視光の光照射手段を備えない構成をとることができる。これにより、車載スペース、装置内スペース、設置箇所スペース等を節約してコストを抑えることができる。
また、上記の視界支援装置、暗視装置、航海支援装置または監視装置では、波長1.4μm以下の光を発する光照射手段を備えない構成とすることができる。これにより、とくに人の眼に好ましくない影響を与える1.4μm以下の光照射がなくなり、これら光の人の眼への照射を防止するシステムが不要となる。
本発明により、昼夜や天候の状態を問わず、鮮明な画像を得ることができる撮像装置、視界支援装置、暗視装置、航海支援装置または監視装置を提供することができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における撮像装置の概要を示す図である。レンズなどの光学部品は省略してある。図2は、上記の撮像装置の受光素子アレイを説明するための図である。図3は、図2の受光素子アレイ50のうちの1つの受光素子を示す図である。図1において、この撮像装置70は、共通のInP基板51の上に形成された受光素子10がエピタキシャル層側を、実装基板の機能を有するマルチプレクサ71に向けて、いわゆるエピダウン実装されている。各受光素子10のエピタキシャル層のp型領域9と電気的に接続されるp部電極7と、共通のn型InP基板51(1)に設けられるn部電極6とは、マルチプレクサ71に接続され、電気信号をマルチプレクサに送り、マルチプレクサ71では各受光素子における電気信号を受けて、対象物の全体像を形成する処理を行う。n部電極6およびp部電極7は、それぞれはんだバンプ6b,7bを介在させてマルチプレクサ71と電気的に接続される。入射光は、InP基板51の裏面に形成したAR(Anti-Reflection)膜13を通して導入され、p型領域9と受光層3との界面であるpn接合15で受光される。p型領域9は、保護膜を兼ねるSiNのZn拡散マスク5の開口部から導入される。Zn拡散マスクパターン5は、その上に形成された保護膜のポリイミド膜パターン23とともにそのまま残される。受光素子アレイおよび各受光素子の構造については、図2および図3を用いて、次に詳しく説明する。
図2において、受光素子アレイ50の受光素子10は、共通のInP基板51(1)に設けられている。各受光素子でSWIR帯の宇宙光を受光することにより生じた電流信号は、上述のように実装基板を兼ねたマルチプレクサ71に送られ、画像形成の処理がなされる。各受光素子のサイズやピッチ、アレイの大きさを変えながら、画素数を変化させる。図2に示す受光素子アレイ50は9万画素のものである。図3に示す受光素子10は、InP基板1の上に形成された複数のエピタキシャル膜を有し、また、p型領域9を形成する際に用いた、p型不純物導入用の拡散マスク5を残している。p型領域9にはp部電極7が接続され、はんだバンプなどによりマルチプレクサ71など実装基板の配線などへと接続される。
図4は、図1に示したエピダウンの受光素子と異なり、エピアップ実装の受光素子を説明する断面図である。本発明においては、撮像装置内の受光素子はエピダウン実装でもエピアップ実装でも、どちらでもよい。この受光素子10は、n型InP基板1上に、下から順に、n型InPバッファ層2/受光層3/InP窓層4/拡散マスク5/反射防止膜(AR膜:Anti-Reflection)13が位置している。p型領域9は、InP窓層4から受光層3内のpn接合15まで形成されている。また、n部電極6がn型InP基板の裏面に位置し、p部電極7は、p型領域9のInP窓層4の表面に位置し、配線電極27に電気的に接続されている。本実施の形態においては、受光層3は、波長1.0μm〜3.0μmの範囲の光を受光する。具体的には、受光層3は、GaInNAsPもしくはGaInNAsSbまたはGaInNAsにより形成される。
図4に示す受光素子は、上記したようにエピアップ実装され、エピタキシャル層すなわちInP窓層4の側から光を入射される。本実施の形態における受光素子は、上述のように、エピアップ実装でもエピダウン実装でもよく、図5に示すように、エピダウン実装され、InP基板1の裏面側から光を入射されるタイプでもよい。図5のエピダウン実装の受光素子10の場合、InP基板1の裏面にAR膜13が施される。InP窓層4、p部電極7および保護膜を兼ねるSiNの拡散マスク5は、エピアップ実装の場合と同様に設けられる。図5に示すエピダウン実装の場合、InP基板などInPはSWIR帯光に透明なので、SWIR帯光は吸収されることなく、受光層3のpn接合15に到達する。図5の構造においても、受光層は、GaInNAsPもしくはGaInNAsSbまたはGaInNAsにより形成される。以後の本発明例においても、とくに断らない限り、同様である。
p部電極7と、n部電極6とは、図4に示すようにInP基板1を間に挟んで対向する位置に配置してもよいし、図5に示すようにInP基板1の同じ側の位置に配置してもよい。図5に示す構造の場合、図2に示す受光素子アレイ50の各受光素子10と集積回路とはフリップチップ実装により電気的に接続される。図4および図5の構造の受光素子において、pn接合15に到達した光は吸収され、電流信号を生じ、上述のように、集積回路を通して各々一画素の像に変換される。
InP基板1は、(100)から[111]方向または[11−1]方向に5度〜20度傾斜したオフアングル基板とするのがよい。より望ましくは、(100)から[111]方向または[11−1]方向に10度〜15度傾斜させる。このような大きなオフ角基板を用いることにより、欠陥密度が小さく結晶性に優れたn型InPバッファ層2、受光層3(GaInAsSb層、GaInAsSb層、またはGaInNAs層)、およびInP窓層4を得ることができる。この結果、暗電流が抑制され、暗点が少ない受光層を得ることができる。このため、微弱なSWIR帯の宇宙光を受光して撮像する装置の性能を大きく向上させる受光層を得ることができる。すなわち上記オフアングル基板を用いて形成された受光素子の有する作用は、宇宙光を受光して撮像する撮像装置の品質向上にとくに有用である。
上記のような大きなオフ角は、InP基板について提唱されたことはなく、本発明者らによってはじめて確認されたものであり、InP基板上に良好な結晶性のエピタキシャル膜を成長させる場合の重要な要素である。たとえば、非常に長波長域の発光及び受光が可能であるとする、Nを含む化合物半導体、たとえばGaInNAsは、上記のような大きなオフ角のInP基板を用いない限り、実際には、実用に耐える、良好なエピアキシャル層として形成されることは不可能である。すなわち、上記のような大きなオフ角のInP基板を用いない限り、Nを含む化合物半導体、たとえばGaInNAsは暗電流を抑制し、暗点を減らした受光層になることはない。この結果、微弱なSWIR帯の宇宙光を用いて鮮明な画像を得ることができない。上記例としてあげたGaInNAsだけでなく、GaInNAsPおよびGaInNAsSbにおいてもInP基板のオフ角は、上記のような大きい角度範囲が、良好な結晶性を得るのに必要であるという点で同じである。
図4および図5に示す受光素子10では、受光層3を覆うように位置するInP窓層4を備える。受光層3の格子定数がInP基板1の格子定数と同じであるため、受光層3の上に、暗電流を小さくすることで定評があるInP窓層4を形成することができる。このため、暗電流を抑制し、素子信頼性を向上させることができる。すなわち、図25に示すように、従来の受光素子110では、ステップバッファ層またはグレーディッド層102aを設けることにより格子定数をInP基板101から受光層のInGaAs103aへと大きくする。このような構造の場合、窓層は受光層103aの格子定数に合わせた組成のInAsP窓層104aとする必要がある。このような大きな格子定数をもたらす組成のInAsP窓層104aは、一般に、MWIR付近から短波長側にかけての吸収があるために受光感度が悪くなり、とくに水分の多い環境では不鮮明な画像となってしまう(図22参照)。図4および図5に示す受光素子10では、受光層3はInP基板1とほとんど同じ格子定数に揃っているので、窓層にInP層を用いることができ、暗電流を低く抑えることができる。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における視界支援装置を示す図である。本視界支援装置は、自動車の夜間運転における運転者の前方の視界を支援するために、車両に搭載される。車両には、実施の形態1において説明した受光素子アレイと、図示しないレンズなど光学素子等とを含む撮像装置70と、撮像された画像を表示する表示モニター65と、これらを駆動制御する制御装置60とが搭載される。また、図7は、自動車の夜間運転における運転者の後方の視界を支援するために、車両に搭載される。自動車の後部に後ろ向きに取り付けられた、実施の形態1の受光素子アレイ、レンズなど光学素子等を含む撮像装置70で撮像した画像は、運転者の上部前方の表示装置65に表示される。撮像装置70および表示装置65は、制御装置60によって駆動制御される。
従来の車両用視界支援装置では、物体からの赤外域の反射光または放出光を受光して画像とするため、次のような問題があった。反射光を利用する場合、光源が必要であり、搭載スペースを要し、またコスト増となる。また、物体の放射熱を利用する場合、人以外の非発熱体や防寒具を着た歩行者等は認識が難しいため、赤外カメラ以外の認識手段と併用する必要がある。また、光源を使う場合、使用する波長域によっては人体への影響、すなわちアイセーフ対策を講じる必要がある。
本実施の形態における視界支援装置では、上記のような余分の光源やアイセーフ対策は不要である。また、撮像対象の発熱、非発熱を問わない。さらに霧中など水分を含む環境中でも、対象物の鮮明な画像を得ることができる。このため夜間における優れた車両用の視界支援装置を提供することができる。これは、物体からのSWIR帯の宇宙光の反射光を利用して、かつ暗電流が十分少なく、優れたダイナミックレンジ(S/N)を持つ受光素子を用いているからである。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における暗視装置の構成を示す図である。この暗視装置510は、被写体の結像部に、本発明の実施の形態1における撮像装置70またはその受光素子の2次元配列面を曲面などに変形した撮像装置を用いる点に特徴がある。上記の撮像装置70は、近赤外〜赤外域に高い受光感度を有し、かつ暗電流を抑制することができるので、赤外線発光装置などの光源を暗視装置に内蔵する必要がなく、このあと説明するように、従来の赤外線光源内蔵タイプの暗視装置に比べて、暗視装置の基本的性能に本質的な相違をもたらすことが可能となる。
被写体で反射された宇宙光などの近赤外〜赤外光は、対物レンズを通過した後、
光電面部70において結像する。光電面部70において光電変換で得られた電流は、現在用いられている任意の手段で増幅し、表示部において画像に変換して表示する。表示面は、増幅の機構に応じて、たとえば光電面で画素ごとに電流を取り出し増幅回路で増幅するタイプであれば液晶画面でもよいし、イメージインテンシファイアで増幅する場合は蛍光面に表示して接眼レンズを通して見てもよい。イメージインテンシファイアは、光電面部で変換された電子像を倍増するマイクロチャンネルプレートMCPと、MCPの後方に配設され、電子像を光学像に再度変換する蛍光面と、蛍光面の後方に配設され光学像に変換された被写体像を画素に分割して伝送するファイバプレートとから構成される。
従来の暗視装置は、本体中に赤外発光ダイオードを配置して、その赤外発光ダイオードから発して被写体で反射された赤外光を受光して被写体の暗視像を得ていた。しかし、本実施の形態における暗視装置510では、実施の形態1で説明した受光素子10の2次元アレイまたは撮像装置により光電面部70を形成するので、近赤外域に高感度を有する受光層が用いられる。このため、赤外発光ダイオード等を本体に配置しなくても、被写体で反射された宇宙光(night
glow)などを受光して、実用上問題ないレベルの鮮明な暗視像を得ることができる。この結果、軽量化・小型化されて携行に便利になり、また赤外線照射に起因するアイセーフ問題を回避することができる。さらに、動物観察の場合、ある種の動物(たとえば蛇)は赤外照射に気づくため、本暗視装置は、とくに動物の夜間の動態観察等に、好適に用いることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における夜間航海支援装置520を説明するための斜視図である。図9を参照して、この夜間航海支援装置520は、レーダー空中線などから構成されるレーダ装置を備えている。レーダ空中線は、船舶上の見晴らしの良い位置に設置され、図示しない制御回路等によって水平面内で回転され、周囲に存する他船などの物標を捕捉する。また、船体内に位置するレーダ指示機は、レーダ空中線によって捕捉された物標を表示する指示機であり、自船に対する物標の相対位置を表す信号を出力する。
カメラ521は、図9に示すように、船舶上の所定位置(レーダ空中線から所定距離の位置)に設置される。このカメラ521には、実施の形態1で説明した受光層3を含む撮像装置70が組み込まれている点に特徴を有する。カメラ521は、例えば、水平軸および垂直軸のモータを含むカメラマウント上に搭載されており、垂直軸周り、および水平軸周りにその向きを制御可能である。カメラ521は、レーダ指示機により物標が捕捉され、この物標が撮影の目標に選択された場合に起動される。また、カメラマウントに含まれる水平軸および垂直軸のモータは、この目標をカメラ521により捉え続ける表示器に表示し続けることができるように駆動される。このようなカメラ521による追尾撮影のために、物標追尾演算器を備えている。所定の物標が追尾目標に設定されると、物標追尾演算器はカメラ521を起動させるとともに、カメラマウントに含まれるモータの駆動制御を開始させ、カメラ521に物標の追尾撮影を開始させる。
従来用いられてきた赤外線カメラは、周囲と物標との温度差や物標から放出される赤外光を検知するため、周囲と温度差がない物標などは検出が困難であった。また、別に赤外線照射手段を設ける場合、広範囲にわたって必要な赤外光の光量を得ることは難しい。カメラ521は、上述のように実施の形態1における撮像装置70を組み込まれているので、近赤外域の感度が優れ、温度差を利用する必要がなく、昼夜を問わず、海面温度に影響されない。また水蒸気による影響を受けにくい波長域に高い感度を有するので、雨・霧などの影響を受けにくく、夜間にも物標を鮮明に捕捉することができる。
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5における夜間航海支援装置の中核をなすレーザレーダの原理の説明図である。本実施の形態におけるレーザレーダは、実施の形態1に示した撮像装置70を組み込んだカメラが配置されている点に特徴を有する。レーザレーダを旋回するための旋回用架台は、仰角の変更と旋回の機能を有し、制御回路によって制御される。
カメラが配置されたレーザレーダには、レーザヘッド、送光光学系、受光用のズームレンズ、カメラヘッドなどが配置される。レーザヘッドは、近赤外域の波長帯の不可視極短パルスレーザ光を発する半導体レーザなどで構成される。また、カメラヘッドは、反射してきた上記のパルスレーザ光を受光するためのカメラ521などで構成される。
図10を用いて、本実施の形態における夜間航海支援装置のレーザレーダの原理について説明する。パルスレーザ光は、対象物に向けて出射されるが、その途中には、雨・霧等の浮遊粒子が存在する。まず、レーザ光がレーザから対象物に向けて送光されたとき、カメラ521のシャッターは閉じているので、対象物の前に存在する雨・霧等の浮遊粒子で反射された光はシャッターに遮られ、カメラ521には到達しない。そして、図10に示すように、光が対象物に達して反射され、その反射光がカメラ521に達した瞬間だけシャッターを開くことにより、特定の距離にある対象物からの反射光のみを受光することができる。
上記のレーザレーダでは、対象物までの距離は、シャッターを開けるタイミングの調節で設定することができ、また高感度のカメラ521を使うことで、昼夜を問わず、また雨・霧といった悪天候や高波の時でも、これらの影響を大幅に削減して対象物のみを観測することが可能となる。また、非鉄製の対象物、例えば木造やプラスチック製の小型船舶などや海面浮遊物も形状まではっきりと視認することができる。さらに、上記のカメラ521には、実施の形態1で示した撮像装置70が、イメージインテンシファイア機能部品と組み合わせて用いられているので、たとえばレーザレーダのレーザ光の波長域を雨・霧の影響を受けにくい近赤外域に設定することができ、より鮮明な画像を得ることができる。
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の形態6における列車事故回避装置を示す図である。本実施の形態における特徴は、TVカメラ531に実施の形態1に示した撮像装置70を組み込んでいる点にある。図11において、この列車事故回避装置は、予め定められた範囲を撮像し、監視するTVカメラ531と、異常判定部と、TVカメラ531が列車軌道に浸入した障害物を発見し、事故が発生しないように高速で対処するために中央監視装置と、緊急事態発生を知らせる緊急情報出力部とを備える。
TVカメラ531は、予め定められた範囲、例えばプラットフォームの敷地内に敷設された列車軌道を全長にわたって監視するように1台または複数台設けられる。1台設置の場合のTVカメラ531の撮像エリアは、列車の前方の列車軌道とプラットフォームである。
上記のTVカメラ531には、図1に示した撮像装置70が組み込まれているので、鮮明な画像を得ることができ、また雨・霧などがあるときでも水分の影響を受けにくい波長域において高感度を有するため、天候に左右されず、確実な監視を行うことができる。また、赤外線等の照射をする必要がないので、多数の乗客に対してアイセーフの問題を回避することができる。
(実施の形態7)
図12は、本発明の実施の形態7における訪問者監視装置を示す図である。この訪問者監視装置540は、カメラ付きドアホンの親器と子器とから構成される。子器はドアに設けられ、訪問者はドアチャイムのボタンを押し、フィルタを通して撮影される。親器は屋内に設けられ、子器のカメラで撮像された訪問者の像が親器の表示画面に表示される。
図13は、子器に設けられたカメラ541を示す図である。カメラ541には、図1に示した撮像装置70が組み込まれ、訪問者の撮像を行う。本実施の形態では、上記近赤外域〜赤外域に高感度を有する受光層を持つ撮像装置70を用い、例えば宇宙光(night
glow)の反射で訪問者を識別できるので、従来のカメラ付きドアホンのように、子器内に赤外発光素子を取り付ける必要がない。このため、この赤外発光素子がフィルタで反射して来訪者の画像の周りに赤外発光素子の虚像を形成する、という問題などは生じないので、それを防止するためカメラの周囲に筒状の壁等を設ける必要がない。また、赤外線照射に起因するアイセーフ問題を回避することができ、さらに赤外発光LEDなどの光源の電源電力を省略することができる。このため、カメラ付きドアホンの子器における構造を簡単化でき、消費電力を節減し、アイセーフ問題を回避することができる。しかも、宇宙自然光は昼夜一定であるので、昼夜の差などに起因する違和感のない訪問者の明瞭な映像を得ることができる。
(実施の形態8)
図14は、本発明の実施の形態8における侵入者検知装置550を示す図である。監視カメラ551は室内に取り付けられ透明窓面越しに外を監視できるように配置されている。監視カメラ551には、実施の形態1の図1に示した撮像装置70が組み込まれており、近赤外〜赤外域に高い感度を有する。監視カメラ551に撮影され、その画像は処理装置に送られ、画像処理にて該当者を検知し、さらに窓面付近での停滞時間を計測し、規定時間たとえば侵入の可能性が大と判定される1分間以上の停滞時間の場合には、侵入予定者と判断する。
本実施の形態における監視カメラ551は、近赤外〜赤外域に高い感度を有する撮像装置70が組み込まれているので、赤外線照射器を設ける必要がない点に特徴を有する。監視カメラ551は、人物の宇宙光(night
glow)の反射光を受光することによって高い識別力をもって侵入予定者を検知することができる。このため、この種の監視装置の構成を簡単化することができる。また、侵入者監視装置では、とくに撮影対象者に向けて赤外線照射を集中させるので、問題化しやすいアイセーフについてのトラブルを回避することができる。また、複数の侵入者等の場合に、赤外線照射した場合に侵入者について鮮明な像を得にくいが、赤外線照射しない場合には、鮮明な情報を得ることができる。
また、図示は省略するが、上記のタイプと別の従来の監視装置は、光源としての赤外線LEDの配置を必須としていた。たとえば監視カメラの両側(両翼)には、モータ駆動によって前方との対面角度を自在に変えられるように基板が配置されており、その基板上に複数の発光LEDが取り付けられていた。発光LEDからの赤外線により監視範囲を照射して、監視カメラはその反射光を受光して撮像する。監視カメラのレンズを、標準から広角、もしくは広角から標準のように交換した場合、または監視領域を変えた場合、監視カメラからの映像信号の輝度データを求め、輝度分布を求め、輝度分布を検出していた。輝度が不均一の場合、モータを駆動して基板の対面角度を変えて発光LEDの照射角度を変えて輝度分布が一様になるようにする。
これに対して、図15に示す本実施の形態の変形例における監視カメラ551では、近赤外〜赤外域に高感度を有する撮像装置70を用いるので、監視装置に用いられて暗所を監視する場合、発光LEDがなくても鮮明な撮像を行い、輝度分布を精度よく検出することができる。さらに、宇宙光(night
glow)の反射光を感度よく受光できるので、レンズを広角にして撮像範囲を広範囲にした場合やその逆の場合の如何によらず、上記の発光LED付きの基板、角度を変えるモータ、その制御装置などを省略でき、監視装置の構成を非常に簡単にすることができる。
(実施の形態9)
図16は、本発明の実施の形態9における室内監視装置560を説明するための図である。図16において、監視カメラ561には、図1に示す撮像装置70が組み込まれ、ホームの室内を撮像するように配置されている。また、センサターミナルは、上記の監視カメラと一体に形成され、監視カメラによって撮像された画像を処理し、人存在確率等を算出することによって、人の在室を判定するように構成されている。このセンサターミナルの判定結果は、LANを介して、ホームターミナルに通知され、ホームターミナルから電話回線を介してセンターのセンターターミナルへ通知がなされる。
上述の撮像装置70を組み込んでさえいれば、上記の監視カメラ561に人工網膜カメラ等を用いてもよい。従来用いられてきた赤外線カメラでは、赤外ランプによって室内居住者(被介護人)の生活空間全域に、常時、照射する必要があり、赤外光照射の被介護者への影響が無視できなかった。また、定点監視において、照射の陰になる位置では被介護者の表情や動作が不鮮明となり、対応が遅れる場合があった。監視カメラ561は、撮像装置70が近赤外〜赤外域に高い受光感度を有するため、赤外線照射をすることなく、暗闇下でもまた照明下でも、高感度の撮像ができ、上記の人存在確率を精度よく算出することができ、対応の遅れをなくすことができる。
(実施の形態10)
図17は、本発明の実施の形態10における都市防災用監視装置を説明するための図である。この都市防災用監視装置570は、火災を自動的に検知可能とし、その発生場所の特定を容易にすることができる。その構成は、たとえば建屋の屋上にカメラ台を設け、その上部の旋回台に取り付けたカメラハウジング内に監視カメラ571を収納する。本実施の形態における監視カメラ571には、図1に示した撮像装置70が組み込まれている点に特徴がある。このため、火災等から発せられる赤外光を感度よく検知することができる。
この監視装置では、監視カメラを搭載する旋回台を駆動することによって、監視カメラ571の撮像方向を変化させ、そのときの角度をモニタすることによって、都市内の予め定める領域についての赤外線画像を撮像することができる。画像信号を演算処理して、局部的な熱源を認識すれば、火災発生部位を検出することができる。そのときの監視カメラ571の撮像方向を、監視装置を用いて、俯瞰図に重ねた座標軸上にプロットすることにより、火災発生場所を正確に割り出すことができる。従来用いられてきた赤外線カメラでは、炎から放出される赤外光を赤外カメラで撮像すると、大きな火炎の箇所は極端に明るく、ハレーションを生じるため、他の箇所は不鮮明になる場合があり、火炎の認識と周辺状況とを、同時に行うことが困難であった。しかし本実施の形態における監視カメラ571には、撮像装置70が組み込まれ、近赤外域の光を検知するため、火炎があってもハレーションを生じず、火災位置および周囲野状況を精度よく検知することができる。
また、図示は省略するが、別の従来の都市防災用監視装置では、火災の感知センサとして炎の放射赤外線を映像化する監視カメラを用い、監視カメラで撮像された近赤外線画像を画像処理する火災判定装置により、火災の発生早期に確実にそれを検知し、かつ火災発生場所の特定を行っていた。このような従来の都市防災用監視装置に対する本発明の実施の形態10における都市防災用監視装置では、上記の炎の放射赤外線を映像化する監視カメラに、図1に示した撮像装置70を組み込む。このため、本実施の形態10の別の都市防災用監視装置における監視カメラで撮像された近赤外線画像を画像処理することにより、天候等に左右されずに、火災の早期に確実にそれを検知し、かつ火災発生場所の特定を行うことができる。さらに、火災判定装置の機能を追加することにより、近赤外線画像による火災状況の映像による確認や高精度の温度情報の取得を可能にする。
(実施の形態11)
図18は、本発明の実施の形態11における遠隔監視装置580を説明するための図である。この遠隔監視システム580は、昼夜の監視をする際の電気配線の手間が不要である。また、夜間監視時に、夜間照明が不要である。本実施の形態において、監視カメラ581には図1に示す撮像装置70が組み込まれている点に特徴がある。
この遠隔監視システムでは、監視カメラ581を用いて遠隔地から設備を監視するのに、監視対象箇所に蓄光材等を配置する必要がなく、監視対象となる設備は特に限定されず、何でもよい。たとえば砂防ダムの水抜き穴、ダムの水位レベルや土砂堆積レベル表示ライン、工場の設備機器、家屋、ビル建造物、管理区域の棚の南京錠、山中に設置した観測機器などである。
蓄光材等を用いない場合、蓄光材の材料費ならびにその初期配置および経年劣化に伴う更新の工数を省略することができる。また、蓄光材を広い範囲にわたって配置できない場合に生じる問題を解決することができる。すなわち、蓄光材を配置しない経路からの侵入者や、豪雨時の周辺状況は、局所的に蓄光材を配置しても把握できないが、撮像装置70を備えた監視カメラ581を用いる場合、近赤外〜赤外域に高い受光感度を有するので、赤外発光装置を用いなくても、鮮明な画像を得ることができる。また、赤外線投光器(赤外発光装置)は、当然、不要である。この結果、装置の簡単化、小型化、コスト節減等を実現することができる。
次に撮像装置の特性を示すために、本発明例C1〜C3および比較例A,Bを作製して、特性(暗電流および感度スペクトル)を比較した。まず、各撮像装置の製作条件を説明する。
(本発明例C1):図4に示すようなエピタキシャル層を入射側にした構造の受光素子10を作製した。電極および各エピタキシャル層は、入射側表面からInP基板に向かって、順に次の構成とした。SiO系AR(Anti-Reflection)膜13/p部電極7および拡散マスク5/InP窓層4(厚みd=1.5μm)、Zn拡散領域(p型領域)9およびn型GaInNAsP層3(Siドープ:濃度n=1×1016cm−3、d=1μm、P:GaInNAsに0.01〜1at%の低目範囲でPを添加)/n型InPバッファ層2(d=2μm)/n型InP基板1(Sドープ)/n部電極6
上記受光素子は次の作製方法によって作製する。2インチ角のSドープn型InP基板1にn型InPバッファ層2(d=2μm)、Siを微量ドープしたGaInNAsP層3(キャリア濃度1×1016cm−3、d=1μm)、ノンドープInP窓層4(d=1.5μm)をOMVPE(OrgannoMetal
Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長)法により、順次、エピタキシャル成長した。エピタキシャル成長温度は520℃とした。原料には、トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルガリウム(TEGa)、ターシャリブチルアルシン(TBAs)、ターシャリブチルホスフィン(TBP)、ジメチルヒドラジン(DMHy)、テトラエチルシラン(TESi)を用いた。
InP基板1には、(100)から(111)方向に13度傾斜したオフアングル基板を用いた。GaInNAsP受光層(格子定数a)と、InP基板(格子定数a)との格子不整合度|(a−a)/a|は、0.1%(0.001)であった。格子不整合度は常に0.2%以下を実現することができた。InP基板1の上にInPバッファ層2と、GaInNAsP層3とを成長させた段階で、成長を中断してフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを調査した。
GaInNAsP層のPLスペクトルを図19に示す。横軸は波長(μm)を、縦軸はフォトルミネッセンス強度(任意目盛)である。GaInNAsP層のフォトルミネッセンス強度は波長2.4μm以下では微弱であるが、2.45μm程度で増えはじめ、波長2.6μmでピークを示した。PLスペクトルより、GaInNAsP受光層のバンドギャップが約0.48eVであることが分かる。
上記の結果に基づいて、以下の方法により、暗電流および感度(光量子効率)測定用の受光素子(図4のフォトダイオード)を作製した。(100)から(111)方向に13度傾斜したオフアングルInP基板1上にエピタキシャル成長したウエハ、すなわちInP基板1/InPバッファ層2/GaInNAsP受光層3/InP窓層4から構成されるウエハを用いてPIN型フォトダイオードを作製した。このとき、SiN膜5をマスクに用いてZnを選択拡散してGaInNAsP層3内に届くようにp型領域9を形成して、GaInNAsP層3内にpn接合15を形成した。さらに、p部電極7、n部電極6、SiN拡散マスク5、SiO系AR膜13を、図4に示すように形成した。なお、受光層のn型不純物濃度は低いため、i型(intrinsic:真性半導体)とみて、PIN型フォトダイオードと呼ぶのが通例である。以下の本発明例C2、C3でも同様である。
(本発明例C2):図4に示す構造の受光素子10を作製した。本発明例C2では、上記の本発明例C1の受光層3のGaInNAsPを、GaInNAsSbへと変えた点で相違する。受光径は30μmとした。電極およびエピタキシャル層は、入射側表面からInP基板に向かって順に、つぎの構成とした。SiO系AR(Anti-Reflection)膜13/p部電極7および拡散マスク5/InP窓層4(厚みd=1.5μm)、Zn拡散領域(p型領域)9およびn型GaInNAsSb層3(Siドープ:濃度n=1×1016cm−3、d=1μm、Sb:GaInNAsに0.1〜10at%の低目範囲でSbを添加)/n型InPバッファ層2(d=1μm)/n型InP基板1(Sドープ)/n部電極6
上記受光素子は次の作製方法によって作製する。2インチ角のSドープn型InP基板1にn型InPバッファ層2(d=1μm)、ノンドープのGaInNAsSb層(キャリア濃度1×1016cm−3、d=1μm)、ノンドープInP窓層(d=1.5μm)をMBE(Molecular
Beam Epitaxy)法により、順次、エピタキシャル成長した。エピタキシャル成長温度は490℃とした。
InP基板には、(100)から(1−11)方向に15度傾斜したオフアングルInP基板1を用いた。このオフアングルInP基板1上に上記のGaInNAsSb層3を含むエピタキシャル層を積層したあと、フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。その結果を図20に示す。横軸は波長(μm)であり、縦軸はPL強度(任意目盛)である。図20によれば、波長2.8μm程度までは低いPL強度であるが、2.86μm近辺から急激に増大しはじめ、2.95μmでピークを持つ。このピーク値は、本実施の形態における受光層のGaInNAsSbのバンドギャップ波長が2.95μm、すなわち0.42eVであることを示している。
上記の実験をもとにして、以下の方法により、暗電流および感度(光量子効率)測定用の受光素子(図4のフォトダイオード)を作製した。(100)から(111)方向に13度傾斜したオフアングルInP基板1上にエピタキシャル成長したウエハ、すなわち(オフアングルInP基板1/InPバッファ層2/GaInNAsSb受光層3/InP窓層4)のウエハを用いて、PIN型フォトダイオードを作製した。このとき、SiN膜5をマスクにしてZnを選択拡散させて、p型領域9をn型GaInNAsSb層3内にまで形成してGaInNAsSb層3内にpn接合15を形成した。さらに、p部電極7、n部電極6、SiO系AR膜13を、図4に示すように形成した。
(本発明例C3):図4と同じ構造の受光素子を、受光層3をGaInNAs層として作製した。したがって、本発明例C1の受光層がGaInNAsPであり、本発明例C2の受光層がGaInNAsSbであるのに比して、本発明例C3ではGaInNAsである点で相違する。受光径は30μmとした。電極およびエピタキシャル層は、入射側表面からInP基板に向かって、順につぎの構成とした。SiO系AR(Anti-Reflection)膜13/p部電極7および拡散マスク5/InP窓層4(厚みd=1.5μm)、Zn拡散領域(p型領域)9およびn型GaInNAs層3(Siドープ:濃度n=1×1016cm−3、d=1μm、N濃度:GaInNAs中5at%)/n型InPバッファ層2(d=1μm)/n型InP基板1(Sドープ)/n部電極6
上記受光素子は次の作製方法によって作製する。2インチ角のSドープn型InP基板にn型InPバッファ層(d=1μm)、ノンドープのGaInNAs層(キャリア濃度1×1016cm−3、d=1μm)、ノンドープInP窓層(d=1.5μm)をMBE法により、順次、エピタキシャル成長した。エピタキシャル成長温度は490℃とした。
InP基板には、(100)から(1−11)方向に15度傾斜したオフアングルInP基板を用いた。このオフアングルInP基板上に上記のGaInNAs層を含むエピタキシャル層を積層したあと、フォトルミネッセンス(PL)スペクトルを測定した。その結果を図21に示す。横軸は波長(μm)であり、縦軸はフォトルミネッセンス強度(任意目盛)である。図21によれば、波長1.8μm程度までは低いPL強度であるが、1.9μm近辺から急激に増大しはじめ、2.0μmでピークを持つ。このピーク値は、本実施の形態における受光層のGaInNAsのバンドギャップ波長が2.0μm、すなわち0.62eVであることを示している。
上記の実験をもとにして、以下の方法により、暗電流および感度(光量子効率)測定用の受光素子(図4のフォトダイオード)を作製した。(100)から(111)方向に13度傾斜したオフアングルInP基板1上にエピタキシャル成長したウエハ、すなわち(オフアングルInP基板1/InPバッファ層2/GaInNAs受光層3/InP窓層4)のウエハを用いて、PIN型フォトダイオードを作製した。このとき、SiN膜5をマスクにしてZnを選択拡散して、p型領域9をn型GaInNAs層3内にまで形成してGaInNAs層3内にpn接合15を形成した。さらに、p部電極7、n部電極6、SiO系AR膜13を、図4に示すように形成した。
(比較例A):上記本発明例C1〜C3と同様の方法により、図24に示す受光素子を作製した。図24に示す受光素子110の構造は次のとおりである。SiO系AR(Anti-Reflection)膜113/SiN膜112/p部電極107および拡散マスク105/InP窓層104、Zn拡散領域(p型領域)109およびn型In0.53Ga0.47As層103/n型InPバッファ層102/n型InP基板101/n部電極106
受光層の材料がn型In0.53Ga0.47As層103である点が、本発明例C1〜C3と相違するだけで、InP窓層104など他の部分は本発明例と同じである。受光径も3.0μmと同じとした。図示はしないが、比較例Aの受光層のPLスペクトルのピーク位置の波長は1.6μmであり、0.76eV程度のバンドギャップを有する。上記の結果をもとにして、本発明例C1〜C3と同様に、暗電流および感度(光量子効率)測定用のフォトダイオードを作製した。
(比較例B):図25に示す受光素子を作製して比較例Bとした。図25の受光素子110の構造は次のとおりである。SiO系AR(Anti-Reflection)膜113/SiN膜112/p部電極107および拡散マスク105/InAs0.60.37窓層104a、Zn拡散領域(p型領域)109およびn型In0.8Ga0.2As層103a/傾斜組成InAsPバッファ層102a/n型InP基板101/n部電極106
InP基板101の上にステップバッファ層(グレーディッド層)102aを重ねて徐々に格子定数を大きくしてゆき、バンドギャップを小さくしたIn0.8Ga0.2As受光層103aを用いている。InP基板101との間に、歪緩和のための組成傾斜InAsPバッファ層102aを介在させて、受光層の化学組成をIn0.8Ga0.2As(格子定数はInPより大きく、バンドギャップはInPより小さい)とした。また、この受光層の上にIn0.8Ga0.2Asと格子整合するInAs0.630.37の窓層をエピタキシャル成長した。組成傾斜InAsPバッファ層102aは、受光層直下ではIn0.8Ga0.2Asの格子定数と同じにするため、InAs0.630.37の組成とする。このため、In0.8Ga0.2As受光層103aを、その上下でInAs0.630.37で挟むことになる。
組成傾斜InAsPバッファ層102aはOMVPE法によって形成し、暗電流を抑えるためにInP基板101に近い初期の成膜期には格子定数変化を大きく、また受光層に近い終期では格子定数変化を小さくした。組成傾斜InAsPバッファ層102aのステップは14とし、各ステップの厚さを0.1〜0.4μm程度とした。他の層や電極等の製造方法は、本発明例C1〜C3と同様である。このようにして製作した素子のPLスペクトルを測定したところ、In0.8Ga0.2As受光層103aのPLスペクトルのピーク位置波長は2.6μm、すなわち0.48eVであった。
1.暗電流の測定結果
上記の各試験体につき、室温(300K)で2Vの電圧印加時の暗電流および感度(光量子効率)を測定した。暗電流測定結果を表1に、上述の受光層のバンドギャップ波長とともに示す。
Figure 2007201432
本発明例C1、C2およびC3、ならびに比較例Aは、いずれも暗電流が数nA以下と良好な特性を示した。一方、比較例Bの暗電流は20μA〜30μAであり、本発明例C1〜C3と比べて数千倍高い値となった。このような大きな暗電流の差はInP基板上のエピタキシャル層の結晶欠陥密度の相違に起因する。本発明例C1のGaInNAsP受光層、本発明例C2のGaInNAsSb受光層、本発明例C3のGaInNAs受光層、および比較例AのIn0.53Ga0.47As受光層においては、InP基板との格子不整合度は、0.15%(|Δa/a|=0.0015)である。このため、グレーディッド層のような格子定数調整用の中間層は不要であり、また結晶欠陥密度の低いエピタキシャル層を形成することができる。
一方、比較例Bでは、バンドギャップを小さくするために、InGaAsのIn組成を上げて格子定数を大きくするので、歪を緩和するためのグレーディッドバッファ層の挿入のため、結晶欠陥密度が増大することは避けられず、上記のような大きな暗電流を生じる。また、上記の暗電流の測定は室温のみで行ったが、撮像装置の使用環境には、常温より相当高温の環境があり、この高温環境では、受光素子の並列抵抗は小さくなり、ノイズは大きくなり、上記暗電流の相違はさらに大きく出る。このような温度上昇に伴う、暗電流の相違の増大は、本発明者の実験によって確認されている。
2.感度(波長−光量子効率)の測定結果
次に、各受光素子の感度を評価した結果を図22に示す。図22には宇宙からのSWIR帯光のスペクトル(任意目盛)を合わせて表示してある。図22から明らかなように、比較例Aはせいぜい波長1.7μm〜1.8μmまでしか受光感度がなく、SWIR帯の宇宙光をすべて受光することができない。これは、上述のように、InP基板に格子整合するIn0.53Ga0.47Asを受光層とするためである。また、In0.53Ga0.47Asが長波長側にせいぜい波長1.7μm〜1.8μmまでしか受光感度がないことはよく知られている。このため利用可能なSWIR帯域の宇宙光をすべて受光できず、鮮明度に劣る画像になると考えられる。
また、比較例Bの場合、感度は長波長側に2.6μmまであるが、2μmより短い波長域に対しては感度が大きく低下している。これは窓層に、In0.8Ga0.2P(InPより大きい格子定数)に格子整合するInAs0.630.37を用いざるをえず、その窓層における吸収が、短波長側での感度の低下の原因である。InAs0.630.37は、上と下とから受光層103aを挟むように、p部電極107側とn部電極105側とにあるため、エピアップ(図4参照)とエピダウン(図5参照)とを問わず、どちらも同様の感度低下が発生する。一方、本発明例C1、C2およびC3では、SWIR帯の宇宙光の全ての範囲で良好な受光感度を有する。
以上の結果より、暗電流が十分小さく、SWIR帯の宇宙光のスペクトルの全ての範囲に対して十分良好な感度があるのは、本発明例C1、C2およびC3のみであることが分かる。受光素子からの電気信号を画像化する場合、鮮明度を支配するダイナミックレンジ(S/N比)に対し、暗電流と受光量(受光感度)との比が非常に重要である。本発明例C1、C2およびC3における、暗電流と受光感度との比は非常に小さい。鮮明な画像を得ることができる撮像装置は、本発明例C1、C2およびC3の受光素子のアレイを備える撮像装置のみである。
上記の性能の相違は、本発明例C1、C2およびC3では、比較例の受光層と異なり、4元または5元の化合物半導体で受光層が構成されることに起因する。4元および5元系の化合物半導体では、各構成元素の組成を調整することにより、InPに対して格子整合をとりながら、バンドギャップの狭幅化(すなわち吸収光の長波長化)を実現できる。またInP基板上に、上記GaInNAsP、GaInNAsSb、GaInNAsを欠陥密度を低くして実用に耐える膜を形成できたのは、オフ角度を上述のように大きくとったことが大きく寄与している。上記オフアングルInP基板なくして、実用に耐える結晶性を有するN含有InGaAs系半導体の成膜は、InP基板上に不可能である。
なお、本発明の撮像装置の受光素子の最大波長を3.0μmとしたのは、上述の通り、理由は不明であるが、これ以上最大波長を長くしようとすると、受光層のエピタキシャル膜の品質が劣化して、表1に例示するような低い暗電流を得ることができないからである。また、図23に示す水の吸収スペクトルから分かるように、目的とする受光波長(〜2.0μm)に対し、3.0μm前後に非常に大きな水の吸収スペクトルのピークがある。つまり、受光可能な波長を長くしても鮮明な画像に寄与しないばかりか、水に囲まれた物体、たとえば霧中の物体の場合、受光波長を長くすることにより、かえって鮮明度が悪くなる場合もある。上記水の吸収スペクトルが、本発明における受光素子の感度の最大波長を3.0μmとしたもう一つの理由である。
本発明の宇宙光を受光して撮像する撮像装置は、最も広くは、1.0μm〜3.0μmに感度を持ち、それより長波長側にも短波長側にも、感度を持たない受光素子であれば、材料はどのようなもので構成されていてもよい。上述したように、とくに3.0μmより長波長側に感度を有しないことが重要である。また、本発明の視界支援装置は、自動車用の視界支援装置について説明したが、そのほか医療用、生体認識用など自動車以外の用途に用いてもよい。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の撮像装置および視界支援装置は、SWIR帯の宇宙光を光源として、その宇宙光の全域を受光でき、かつ暗電流を増大させるほど不要に広い帯域の光を受光しないので、暗電流や暗点を抑制することができ、鮮明な撮像を行うことができ、搭載スペースや製造コスト節減に資することができる。また、オフ角度の大きなInP基板を用いることにより、実用に耐えるN含有InGaAs系化合物半導体層を得ることができ、またInP窓層を用いることができ、宇宙光全域に良好な感度を有し、暗電流をより低く抑制して鮮明な画像を得ることが可能となる。
本発明の実施の形態1における撮像装置の概要を示す図である。 図1の撮像装置の受光素子アレイを示す図である。 図2の受光素子アレイにおける一つの受光素子を示す図である。 エピアップ実装の受光素子の断面図である。 エピダウン(フリップチップ)実装の受光素子の断面図である。 本発明の実施の形態2における視界支援装置を示す図である。 図6の視界支援装置の変形例を示す図である。 本発明の実施の形態3における暗視装置の構造の説明図である。 本発明の実施の形態4における夜間航海支援装置の説明図である。 本発明の実施の形態5における夜間航海支援装置のレーザレーダの説明図である。 本発明の実施の形態6における列車事故回避装置の説明図である。 本発明の実施の形態7における訪問者監視装置を示す図である。 図12のドアホン装置の子器に設けたカメラの説明図である。 本発明の実施の形態8における侵入者監視装置の説明図である。 本発明の実施の形態8における侵入者監視装置の変形例の説明図である。 本発明の実施の形態9における室内監視装置の説明図である。 本発明の実施の形態10における都市防災用監視装置の説明図である。 本発明の実施の形態11における遠隔監視装置の説明図である。 実施例の本発明例C1におけるPLスペクトルを示す図である。 実施例の本発明例C2におけるPLスペクトルを示す図である。 実施例の本発明例C3におけるPLスペクトルを示す図である。 実施例の各試験体の感度測定結果を示す図である。 水の吸収スペクトルを示す図である。 従来の受光素子(実施例の比較例A)を示す図である。 従来の受光素子(実施例の比較例B)を示す図である。
符号の説明
1 InP基板、2 InPバッファ層、3 受光層、4 InP窓層、5 SiN拡散マスク(保護膜兼用)、6 n部電極、7 p部電極、7b はんだバンプ、9 p型領域、10 受光素子、13 AR膜、15 pn接合、23 ポリイミド保護膜、27 配線電極、50 受光素子アレイ、51 InP基板、60 制御装置、65 表示装置、70 撮像装置、70M 光電面部、71 マルチプレクサ(実装基板)、510 暗視装置、520 夜間航海支援装置、521 カメラ、530 列車事故回避装置、531 TVカメラ、540 訪問者監視装置、541 カメラ、550 侵入者監視装置、551 監視カメラ、560 室内監視装置、561 監視カメラ、570 都市防災用監視装置、571 監視カメラ、580 遠隔監視装置、581 監視カメラ。

Claims (15)

  1. 物体で反射された近赤外域の光を受けてその物体を撮像するための撮像装置であって、
    受光層のバンドギャップ波長が1.65μm以上、3.0μm以下の半導体受光素子を備えたことを特徴とする、撮像装置。
  2. 前記半導体受光素子は、InP基板と該InP基板上に形成された受光層とを有しており、前記受光層はGaInNAsP層を有し、該GaInNAsP層におけるPの濃度が0.01at%〜1at%であることを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記半導体受光素子は、InP基板と該InP基板上に形成された受光層とを有しており、前記受光層はGaInNAsSb層を有し、該GaInNAsSb層におけるSbの濃度が0.1at%〜10at%であることを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
  4. 前記半導体受光素子は、InP基板と該InP基板上に形成された受光層とを有しており、前記受光層はGaInNAs層を有し、該GaInNAs層におけるNの濃度が0.01at%〜12at%であることを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
  5. 前記InP基板の格子定数をaとし、前記受光層を形成する結晶層の格子定数と前記InP基板の格子定数との差をΔaとして、前記受光層を形成する結晶層は、|Δa/a|≦0.002となるような格子定数を有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の撮像装置。
  6. 前記InP基板が、(100)から[111]方向または[11−1]方向に5度〜20度傾斜したオフアングル基板であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の撮像装置。
  7. 前記受光層を覆うように位置するInP窓層を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の撮像装置。
  8. 波長域1.0μm〜3.0μmの光を受光することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の撮像装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置を用いることを特徴とする、視界支援装置。
  10. 車両における視界支援のために用いられる装置であって、前記車両の前方を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段とを備え、前記撮像手段に前記請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、視界支援装置。
  11. 車両における視界支援のために用いられる装置であって、前記車両の後方を撮像する撮像手段と、その撮像手段により撮像された画像を表示する表示手段と、前記撮像手段および表示手段を駆動制御する制御手段とを備え、前記撮像手段に前記請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、視界支援装置。
  12. 夜間に物体を可視化する光学装置であって、請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、暗視装置。
  13. 船舶に搭載され、他船舶等の物標を認識するための光学装置を含む装置であって、前記光学装置に、請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、航海支援装置。
  14. 定点に設置され、監視対象物を監視する光学装置を含む装置であって、請求項1〜8のいずれかに記載の撮像装置を用いたことを特徴とする、監視装置。
  15. 赤外光、近赤外光および可視光の光照射手段を備えないことを特徴とする、請求項9〜11のいずれかに記載の視界支援装置、請求項12に記載の暗視装置、請求項13に記載の航海支援装置、または請求項14に記載の監視装置。
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