JP2007204888A - 溶融液晶形成性ポリエステル複合繊維 - Google Patents

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【課題】 高強度及び高弾性率を有し、かつ摩擦耐久性、屈曲耐久性に優れた溶融液晶形成性ポリエステル複合繊維を提供する。
【手段】 溶融液晶形成性ポリエステルと屈曲性熱可塑性ポリマーとから構成される複合繊維であって、該溶融液晶性形成性ポリエステルの複合比率が40〜90重量%であり、該複合繊維の表層を形成する成分が該溶融液晶形成性ポリエステルと該屈曲性熱可塑性ポリマーの混合物から構成され、かつ該溶融液晶形成性ポリエステルの融点をTA、該屈曲性熱可塑性ポリマーの融点をTBとしたとき、TB>TA+10℃を満たすことを特徴とする複合繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は高強度及び高弾性率を有し、かつ摩擦耐久性、屈曲耐久性に優れた溶融液晶形成性ポリエステル複合繊維に関するものである。
溶融液晶形成性ポリエステル繊維は、剛直な分子鎖が繊維軸方向に高度に配向していることから、汎用繊維に比べ著しく高い強度及び弾性率を有し、さらに融点近傍で熱処理を行うことにより、溶融液晶形成性ポリエステルの重合度を繊維形状のまま高めて性能を更に向上させることができる。
この熱処理の際、溶融液晶形成性ポリエステルはより完成性の高い結晶を形成し融点自体を高温にシフトできるため、ポリエステルの種類と熱処理条件によっては、原料の融点を50℃程度上回る融点まで熱処理でき、結果的に重合反応を促進させて高い強度を発現させることができる。
しかしながら、繊維横断面方向には弱い分子間力しか働かないため、摩擦耐久性の低い構造となってしまうことが知られている。また、屈曲によりキンクバンドが発生し易く、かつそれが局在化する傾向があることから屈曲耐久性の低いものであった。
これらの欠点を改善する目的で、芯成分が溶融液晶形成性ポリエステル、鞘成分が配向結晶化しているポリエチレンナフタレート等の屈曲性高分子からなる芯鞘型の複合繊維が提案されている(特許文献1参照)。また、界面剥離が起こり難く、摩擦耐久性を改良した芯鞘型の複合繊維として、芯成分が溶融液晶形成性ポリエステル、鞘成分が屈曲性熱可塑性高分子からなる海成分と溶融液晶形成性ポリエステルからなる島成分で構成される芯鞘型の複合繊維(特許文献2参照)や、芯成分が溶融液晶形成性ポリエステル、鞘成分がポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートからなる芯鞘型の複合繊維(特許文献3参照)が提案されている。
このように、芯成分を改良した複合構造とすることにより、摩擦耐久性、屈曲耐久性が改良されるのは事実であるが、パッケージ形状で熱処理を行う際に、屈曲性熱可塑性ポリマーとして一般的に用いられるポリエチレンナフタレートやポリフェニレンスルフィド等は融点が溶融液晶形成性ポリエステルよりも低いか同等であるため、重合度を高める熱処理の温度に上限があり溶融液晶形成性ポリエステルの潜在的な強度レベルを発現させることが困難であり、逆に溶融液晶形成性ポリエステルの融点近傍で熱処理を行うと、繊維表面が融着し隣の糸との接点に凹凸ができ、摩擦耐久性、屈曲耐久性が低下するという問題を有している。また、熱処理温度が制限され高強度及び高弾性率を達成することができない。
さらに、島成分を溶融液晶形成性ポリエステル、海成分をポリフェニレンスルフィド等の屈曲性熱可塑性樹脂とし、島成分を繊維横断面全体に分散させることで界面剥離を抑制した海島型の複合繊維や(特許文献4参照)、溶融液晶形成性ポリエステルを芯成分とし、鞘成分を芯成分より高融点のポリマーとすることにより溶融液晶形成性ポリエステルの重合度を短時間で向上させる技術等が提案されている(特許文献5参照)。
特開平04−272226号公報(請求項1) 特開平08−260249号公報(請求項1) 特開2002−317334号公報(請求項1) 特開2003−239137号公報(請求項4) 特開平06−057534号公報(請求項1)
前述のとおり、鞘成分を改良した複合構造とすることにより、摩擦耐久性、屈曲耐久性が改良されるのは事実である。しかしながら、パッケージ形状で熱処理を行う際に、屈曲性熱可塑性ポリマーとして一般的に用いられるポリエチレンナフタレートやポリフェニレンスルフィド等は融点が溶融液晶形成性ポリエステルよりも低いか同等であるため、溶融液晶形成性ポリエステルの融点近傍で熱処理を行うと、繊維表面が融着してしまい隣の糸との接点に凹凸ができ、この凹凸を起点としてフィブリルが生じてしまい、摩擦耐久性や屈曲耐久性が低下するという問題を有している。また、熱処理温度が制限され、高強度及び高弾性率を達成することができない。
本発明の課題は、溶融液晶形成性ポリエステルと屈曲性熱可塑性ポリマーとから構成される複合繊維であって、該溶融液晶性形成性ポリエステルの複合比率が40〜90重量%であり、該複合繊維の表層を形成する成分が該溶融液晶形成性ポリエステルと該屈曲性熱可塑性ポリマーの混合物から構成され、かつ該溶融液晶形成性ポリエステルの融点をTA、該屈曲性熱可塑性ポリマーの融点をTBとしたとき、TB>TA+10℃を満たすことを特徴とする複合繊維により達成される。
本発明は、これまで問題となっていた屈曲性熱可塑性ポリマーの熱処理時の軟化、溶融を回避することが可能となり、高強度、高弾性率を達成しつつ、摩擦耐久性、屈曲耐久性に優れる繊維、およびその繊維を用いたスクリーン紗用などのモノフィラメントを提供することができたものである。
本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエステルとは、加熱して溶融した際に光学異方性(液晶性)を呈するポリエステルを指す。溶融液晶形成性ポリエステルからなる試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、偏光顕微鏡で試料の透過光を観察することにより認定できる。
溶融液晶形成性ポリエステルとしては、例えば(a)芳香族オキシカルボン酸の重合物、(b)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、脂肪族ジオールの重合物、(c)(a)と(b)の共重合物等が挙げられる。また、溶融液晶形成性ポリエステルの重合処方は従来公知の方法を用いることができる。
ここで、芳香族オキシカルボン酸としては、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸等、またはこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸等、またはこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシビフェニル、ナフタレンジオール等、またはこれらのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体等が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
さらに、上記構成単位の組成比率としては、芳香族オキシカルボン酸単位が全体の30〜100mol%であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール及び脂肪族ジオールは、組成中に含まれなくても良いが、含む場合は各々50mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがより好ましい。また、芳香族ジカルボン酸の含有比率と芳香族ジオール、脂肪族ジオールの含有比率は、5mol%以下で一致していることが好ましい。
本発明に用いられる屈曲性熱可塑性ポリマーは、溶融液晶形成性を示さない熱可塑性ポリマーを言う。この屈曲性熱可塑性ポリマーとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンやポリスチレンなどのビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、脂肪族ポリケトン、半芳香族ポリエステルアミド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等が挙げられる。本発明の屈曲性熱可塑性ポリマーは20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他の共重合成分を含むものであっても良い。
本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエステルおよび屈曲性熱可塑性ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種金属酸化物、カオリン、シリカ等の無機物、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤等の添加剤を少量含有していても良い。
本発明の複合繊維は、前記する溶融液晶形成性ポリエステルと屈曲性熱可塑性ポリマーが、単繊維の内部で複合された繊維であり、該複合繊維の少なくとも表層を形成する成分は該溶融液晶形成性ポリエステルと該屈曲性熱可塑性ポリマーの混合物から構成されている。好適には、溶融液晶形成性ポリエステルと屈曲性熱可塑性ポリマーとが繊維横断面の全断面にわたり均一に混合された構造を形成する複合繊維、横断面内で溶融液晶形成性ポリエステルの混合割合(以後、「LCP比率」と呼ぶ)の異なる複数の成分からなる複合繊維であって、少なくとも芯鞘複合繊維の鞘成分、乃至は海島複合繊維の海成分などの繊維の表層を占める表層成分が、該溶融液晶形成性ポリエステルと該屈曲性熱可塑性ポリマーの混合物から構成されている複合繊維が挙げられる。この場合、芯成分、乃至は海成分などの表層成分以外の複合成分のLCP比率は、表層成分のLCP比率より高いことが高強度、高弾性率繊維が得られるために好ましい。
均一に混合された複合繊維は比較的低コストで製造できるメリットがあり、LCP比率の異なる成分からなる複合繊維は、強度、弾性率、摩擦耐久性や屈曲耐久性をより向上することができるメリットを有する。
混合された構造は繊維の横断面を観察することにより確認することができ、通常、混合状態は島部である分散層と海部である連続層とで構成された海島状態となっているが、まれに両成分が分散層と連続層をもつ海海構造となる場合もある。本発明では、少なくとも表層を形成する成分において、分散層が溶融液晶形成性ポリエステル、連続層が屈曲性熱可塑性ポリマーで構成されることが好ましく、複合繊維の全横断面において分散層が溶融液晶形成性ポリエステル、連続層が屈曲性熱可塑性ポリマーで構成されることがより好ましい。これにより、後述するように分散層である溶融液晶形成性ポリエステル本来の高度な力学的特性が発現されると同時に、連続層である屈曲性熱可塑性ポリマーが繊維表面に配置されることで摩擦耐久性、屈曲耐久性を著しく改善することができる。
この意味では、本発明の複合繊維の繊維横断面において、繊維外周長に対する繊維表面に露出した屈曲性熱可塑性ポリマーの弧長の総和は60%以上であることが好ましい。これにより、溶融液晶形成性ポリエステルの繊維表面への露出が少なくなり、摩擦や屈曲によるフィブリル化を防止することができる。この目的のために繊維横断面における繊維外周長に対する繊維表面に露出した屈曲性熱可塑性ポリマーの弧長の総和は、より好ましくは80%以上である。
本発明の複合繊維を構成する溶融液晶形成性ポリエステルの複合比率は40〜90重量%である。40重量%未満では本発明の目的である高強度、高弾性率の繊維を得ることは困難であり、90重量%を越えると屈曲性熱可塑性ポリマーのもつ摩擦耐久性、屈曲耐久性の特徴を発現しにくくなる。この比率は、複合繊維の目標性能により上記の範囲内で変えても良い。例えばスクリーン紗用モノフィラメント等のように高強度及び高弾性率を必要とする場合は、溶融液晶形成性ポリエステルが50〜90重量%の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは60〜85重量%である。
一方、本発明の複合繊維を構成する屈曲性熱可塑性ポリマーの混合重量割合は10〜60重量%であることが好ましい。10重量%以上とすることにより、摩擦耐久性、屈曲耐久性の特徴を十分に発現させることができ、また溶融液晶形成性ポリエステルが潜在的にもつ高強度、高弾性率を顕在化させることが困難となる。
本発明の複合繊維は、構成成分である溶融液晶形成性ポリエステルの融点をTA、屈曲性熱可塑性ポリマーの融点をTBとしたとき、TB>TA+10℃を満たすことが必要である。この融点は複合繊維の融点を測定することによって求められるものである。これにより、屈曲性熱可塑性ポリマーを溶融させることなく溶融液晶形成性ポリエステルを熱処理して重合度を高め、高強度及び高弾性率化を図ることができる。溶融液晶形成性ポリマーの強度、弾性率を向上させるために熱処理を施す場合、合理的な時間で重合反応を行おうとすると、熱処理温度は高いほど望ましい。一方、熱処理温度を高めるにしたがって溶融液晶形成性ポリマーの融点は高温に移動するので、より高温で熱処理することが可能となり重合度をさらに向上させることができる。このような処理が可能となったことにより、本発明の複合繊維はパッケージ形状で熱処理した際の繊維表面の変形や融着が著しく改善され、繊維表面の凹凸に起因する摩擦耐久性や屈曲耐久性の低下を、より一層抑制することができる。この目的のためには、TB>TA+20℃を満たすものであることが好ましい。
このような融点範囲とし、かつ溶融紡糸のし易さや耐熱性の面で、溶融液晶形成性ポリエステルの融点TAは220〜360℃の範囲のものが好ましく、280〜350℃であることがより好ましく、310〜340℃であることがさらに好ましい。
また、屈曲性熱可塑性ポリマーの融点が上記条件を満たすものであれば種類は限定しないが、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的特性を有することから、ポリエーテルエーテルケトンを用いることが好ましい。
なお、本発明における複合繊維の融点は、実施例に記載した測定方法により分析できる。ピークは、溶融液晶形成性ポリエステルと、屈曲性熱可塑性ポリマーの二つが見られ、それぞれ単独成分での融点を測定することにより同定できる。不明瞭な場合には、複合されている各成分を同定した後、溶媒等を用いて一方の成分のみを除去し他方の成分の融点を測定する方法等により同定する。
本発明の複合繊維の製造方法の一例を以下に示す。
前述した複合構造となるように、公知の混合装置、紡糸装置などを用いて溶融紡糸することにより紡糸繊維を得ることができる。この繊維は、紡糸しただけで既に十分な強度及び弾性率を有しているが、通常、熱処理によって重合度を高めて性能を向上させる。
熱処理は不活性ガス雰囲気中や、空気の如き酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧下で行うことが可能である。繊維の劣化を防ぐためには、不活性ガス雰囲気中で処理を行なうことが好ましい。さらに、熱処理雰囲気は露点が−40℃以下の低湿気体が好ましい。熱処理条件としては、初期温度を室温〜溶融液晶形成性ポリエステルの原料の融点(TA’)−50℃とし、そこからTA’−40℃〜屈曲性熱可塑性ポリマーの原料の融点(TB’)まで順次昇温していく温度パターンで行うことが好ましい。また、熱処理時間は目的性能により数分から数十時間行われる。
熱処理における熱の供給は、気体等の媒体を用いる方法、加熱板、赤外線ヒーター等による輻射熱を利用する方法、熱ローラー、熱プレート等に接触させて行う方法、高周波等を利用した内部加熱方法が使用できる。また、熱処理は目的により緊張下あるいは無緊張下で行い、形状はパッケージ、カセ状、トウ状(例えば、金属網等にのせて行う)、あるいはローラー間で連続的に処理することも可能である。特にパッケージ形状は長繊維の熱処理に適しており、ローラー間での連続処理と比較して長時間、高温で処理を行うことができ、更に低コストである。繊維の形態はフィラメント状あるいはカットファイバー状いずれも可能である。
本発明の複合繊維は、マルチフィラメント、モノフィラメント、ステープルファイバー、カットファイバーなど任意の形態でよい。また、織物、編物、不織布、組み紐などの繊維構造物として利用することができる。本発明のような高強度、高弾性率でかつ摩擦耐久性、屈曲耐久性に優れる繊維であるため、モノフィラメントとして好適である。
本発明におけるモノフィラメントは、従来のポリエチレンテレフタレート繊維等を使用したスクリーン用途に適用することができる。本発明におけるスクリーン紗とは、セラミック、ガラス、織物、CD/DVD表面等へのグラフィック印刷や電子回路基盤印刷等に用いるスクリーンのことであり、その製造方法は従来公知の方法を用いることができる。本発明における複合繊維は優れた強度、弾性率及び寸法安定性を持つことから、特に高密度スクリーンや大型基盤への適用が好ましい。この場合、平均繊維径としては、5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μmであり、断面は円形であることが好ましい。 本発明の効果を損なわない範囲で他の繊維と混用したスクリーンとしてもかまわない。
それ以外に本発明の複合繊維は、一般産業用資材、建築材料、スポーツ用途、防塵衣、ゴム補強資材、電気材料、音響資材等の分野で用いられ、特に、織物の形態での使用に適するものである。これらの用途に対して、本複合繊維の好適な繊度範囲は、マルチフィラメントとして10〜10000dtex、あるいは単糸として0.1〜100dtexである。
次に、具体的実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、実施例で挙げられている物性の測定方法を以下に示す。
A.融点
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC2920型)にて、昇温速度16℃/minの条件で観察される吸熱ピークのピーク温度を測定する。
B.強伸度、弾性率
試料長100mm、引張速度50mm/minとしたこと以外はJIS L1013に準じ、オリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて測定する。
C.繊維の横断面観察
繊維サンプルを常法によりエポキシ包埋し、ウルトラミクロトームで切片を採取し、日立製作所製透過型電子顕微鏡H−800で観察した。
D.摩擦耐久性評価
φ3mmの梨地の金属棒に接触角100°で糸(熱処理糸)をかけ、3.0cN/dtexの荷重をつるし、ストローク長30mm、速度100回/minで往復運動を与え、毛羽、剥離、フィブリルが発生するまでのストローク回数を測定する。
E.解舒性
解舒速度100m/minにて、ほぼ抵抗無く解舒できたものを○、軽い融着があり、局所的に抵抗があったが解舒できたものを△、この速度では融着がひどく糸切れが発生し解舒できなかったものを×とする。
実施例1〜5
溶融液晶形成性ポリエステルとして、p−ヒドロキシ安息香酸単位が全体の60mol%、4,4´−ジヒドロキシビフェニル単位が20mol%、テレフタル酸単位が10mol%、イソフタル酸単位が10mol%から構成された融点314℃の溶融液晶形成性ポリエステル(以下、LCP1と呼ぶ)、屈曲性熱可塑性ポリマーとしてビクトレックス社製ポリエーテルエーテルケトン樹脂PEEK90G(融点344℃。以下、PEEKと呼ぶ)を用いた。ペレット状にて、LCP1とPEEKを重量比60/40の比率で混合した後、エクストルーダーにて溶融・混練し、ノズル径0.30mm、ノズル長0.65mm、10ホールの口金を用いて、紡糸温度370℃にて6g/minで吐出した。吐出された糸を大気中にて固化させ、該固化糸一本のみを速度600m/minで巻取り、10dtexのモノフィラメントを得た。この紡糸原糸を、窒素ガス雰囲気中で初期温度240℃で3時間、次に4℃/hrで最終到達温度310℃まで昇温し、さらに10時間熱処理を行なった。熱処理はパッケージ形状で行ない、実施例1の複合繊維を得た。
実施例2では、熱処理の最終到達温度を320℃とした以外、実施例1と同条件で複合繊維を得た。
実施例3では、溶融液晶形成性ポリエステルとして、p−ヒドロキシ安息香酸単位が全体の73mol%、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸単位が27mol%から構成された融点278℃の溶融液晶形成性ポリエステル(以下、LCP2と呼ぶ)を用い、熱処理の最終到達温度を270℃とした以外、実施例1と同条件で複合繊維を得た。
実施例4では、芯鞘複合繊維用の口金を用い、芯成分にLCP1、鞘成分にLCP1とPEEKを複合重量比30/70の比率で混合したものを用い、芯と鞘を重量比70/30とし、熱処理を含めた他の条件を実施例1と同じにして複合繊維を得た。
実施例5では、芯成分にLCP1とPEEKを複合重量比70/30の比率で混合したもの、鞘成分にLCP1とPEEKを複合重量比30/70の比率で混合したものを用い、その他の条件を実施例4と同条件で複合繊維を得た。
実施例1〜5に示される本発明の複合繊維の物性を表1に示す。
本発明の複合繊維は、熱処理後の繊維間融着が無く解舒性も良好であり、光学顕微鏡で観察したところ凹凸の無いものであった。また、高強度及び高弾性率を有し、かつ摩擦耐久性に優れたものであり、スクリーン紗用モノフィラメントとして優れた物性を有していた。さらに、融点を測定したところ、実施例の全水準においてTB>TA+10℃となっていることを確認した。
比較例1〜4
比較例1では、屈曲性熱可塑性ポリマーを用いずにLCP1のみを用い、紡糸温度を340℃としたこと以外、実施例1と同条件で熱処理まで行い複合繊維を得た。
比較例2では、溶融液晶形成性ポリエステルとしてLCP2、屈曲性熱可塑性ポリマーとして、融点267℃の2,6−ポリエチレンナフタレート(以下、PENと呼ぶ)を用いて、熱処理の最終到達温度を260℃とした以外、実施例1と同条件で熱処理糸を得た。
比較例3では、熱処理の最終到達温度を270℃とした以外、実施例1と同条件で熱処理糸を得た。
比較例4では、芯鞘複合繊維用の口金を用い、芯成分にLCP2、鞘成分に融点293℃のポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(以下、PCTと呼ぶ)を用い、芯と鞘を重量比65/35とし、熱処理の最終到達温度を270℃とした以外、実施例1と同条件で熱処理糸を得た。
比較例1〜4に示される繊維は、熱処理後の繊維間融着があり、解舒時にフィブリルが発生した。比較例1は、高強度及び高弾性率を有するものの、繊維表面に溶融液晶形成性ポリエステルしか存在していないため、摩擦耐久性が著しく低いものであった。比較例2は、熱処理温度が不十分であるために強度及び弾性率がやや低く、繊維間融着の影響で摩擦耐久性も低いものとなった。比較例3では、解舒時に断糸トラブルが多発し、フィラメントを得ることが困難であった。比較例4では、高強度及び高弾性率を有する繊維が得られたものの、熱処理後に繊維間融着があり、解舒時に界面剥離が起こったため摩擦耐久性の低いものとなった。よって、比較例1〜4に挙げられる繊維はスクリーン紗用モノフィラメントとしては実用に供し得るものではなかった。
Figure 2007204888

Claims (5)

  1. 溶融液晶形成性ポリエステルと屈曲性熱可塑性ポリマーとから構成される複合繊維であって、該溶融液晶性形成性ポリエステルの複合比率が40〜90重量%であり、該複合繊維の表層を形成する成分が該溶融液晶形成性ポリエステルと該屈曲性熱可塑性ポリマーの混合物から構成され、かつ該溶融液晶形成性ポリエステルの融点をTA、該屈曲性熱可塑性ポリマーの融点をTBとしたとき、TB>TA+10℃を満たすことを特徴とする複合繊維。
  2. 複合繊維の横断面の表層付近において、溶融液晶形成性ポリエステルが分散層を形成し、屈曲性熱可塑性ポリマーが連続層を形成することを特徴とする請求項1記載の複合繊維。
  3. 屈曲性熱可塑性ポリマーがポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. 複合繊維がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合繊維。
  5. 請求項4記載の複合繊維からなるスクリーン紗。
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