JP2007237285A - 巻取温度制御装置および制御方法 - Google Patents

巻取温度制御装置および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】制御環境が変化しても、簡易な計算で高精度な冷却制御を実現する。
【解決手段】直近、冷却された鋼板の施されたダイナミック制御の操作量に着目した演算で、次回鋼板の巻取り温度目標値を鋼板先端部と定常部に着目して補正する適応制御手段を備えた。プリセット制御手段は、補正された目標巻取り温度にしたがってプリセット計算して制御コードを算出し、ヘッダーパターン変換手段で、この制御コードをヘッダーパターンに変換してプリセット指令とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱間圧延ラインの巻取温度装置およびその制御方法に関する。
従来より、熱間圧延機で圧延されてた鋼板を、ダウンコイラで巻取られる前に、熱間圧延機の出側に備えられた複数のヘッダーで冷却するように構成される。
この巻取温度制御を行うものとしては、例えば、特開平8−66713号公報に示されるように、冷却開始前にあらかじめ得られた圧延材の速度パターンと圧延材の情報に基づいて圧延材の巻取り温度を予測し、この結果を基に冷却パターンを設定するものが知られている。また、例えば、特開平7−32024号公報に示されるように、圧延材を長手方向に分割し、これ毎に制御実績に基づく学習係数を設定可能とし、学習結果を反映して圧延材の温度降下量を算出し、温度降下量が目標温度になるように冷却制御を行うものが知られている。
特開平8−66713号公報 特開平7−32024号公報
しかしながら、特開平8−66713号公報に示される技術では、圧延材の温度の予測結果が適切でないと、制御の精度が著しく悪化する問題点があった。また、特開平7−
32024号公報に示される技術では、学習係数を圧延材長手方向に分割した多数のセクションについてそれぞれ付与するため、実績データが含む外乱や不確かさの影響で、圧延部位や制御状況,温度域に応じたつじつま合せの係数が付与される恐れがあった。
本発明の目的は、圧延材の温度予測モデルが実際の冷却現象を模擬する度合いが低下しても、制御精度の低下を最小化することが可能となる巻取温度制御装置および制御方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明では、目標巻取温度と鋼板速度に関する情報とから、前記冷却ヘッダーの開閉情報をコードで示す制御コードを演算し、前記鋼板の状態である観測結果に応じて、前記制御コードを補正するコード補正情報を演算し、前記コード補正情報で補正された制御コードをヘッダーパターンに変換してヘッダー制御装置に出力し、前記コード補正情報に応じて温度補正情報を演算し、前記温度補正情報に応じて、前記ダウンコイラで巻き取られる次回以降のいずれかの鋼板における、前記目標巻取温度を補正するように構成した。
或いは、目標巻取温度と鋼板速度に関する情報とから、前記冷却ヘッダーの開閉情報をコードで示す制御コードを演算し、前記鋼板の状態である観測結果に応じて、前記制御コードを補正するコード補正情報を演算し、前記コード補正情報で補正された制御コードをヘッダーパターンに変換してヘッダー制御装置に出力し、前記コード補正情報に応じて、前記ダウンコイラで巻き取られる次回以降のいずれかの鋼板に用いられる、コード補正情報を演算するように構成した。
好ましくは、圧延材の温度予測に使用する温度予測モデルが、実際の冷却現象を精度良く模擬が可能となる。また、外乱の影響の最小化や学習に使用する実績データの確からしさを確保するための、学習データの採取方法や採取タイミングが可能となる。また、圧延材長手方向の適応の単位を、鋼板の先端部と定常部の2箇所とすることで、適応制御の演算を簡単化するとともに、適応結果の確からしさを向上させることにある。さらに適応制御を実績データでなく操作量に着目して実施することで、実績データの不確かさの影響を除去した制御が可能となる。
本発明によると、熱間圧延における巻取り冷却工程において、制御環境の変化等で板温推定モデルが実際の鋼板の冷却現象を十分模擬できない場合でも、簡単な適応計算により、鋼板の長手方向全域で温度を高精度に制御することができる。
まず、本発明を実施を容易に理解するために、概念的に図面に付された符号を用いて説明する。すなわち、目標巻取り温度と鋼板の速度パターンと冷却装置の優先順位を入力情報とし、板温推定モデルを用いて所望の巻取り温度を実現する冷却装置の指令値に対応した制御コードを算出するプリセット制御手段(110)と、冷却制御中にプリセット制御手段が出力した制御コードの補正量を算出するダイナミック制御手段(120)を備え、さらにダイナミック制御手段(120)が計算した操作量を用いた演算で目標巻取り温度の補正量を算出する適応制御手段(116)を備えた。ダイナミック制御手段(120)には、目標巻取り温度と冷却制御中に鋼板から検出した巻取り温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を制御コードの補正量として算出する巻取り温度偏差補正手段(1104)と、プリセット制御時に想定した鋼板の冷却前温度と冷却制御中に鋼板から検出した冷却前温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する冷却前温度偏差補正手段(1105)と、プリセット制御時に想定した鋼板速度と冷却制御中の鋼板速度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する速度偏差補正手段(1106)を備え、適応制御手段(116)は、鋼板の先端部と定常部に着目して、巻取り温度偏差補正手段(1104),冷却前温度偏差補正手段(1105),速度偏差補正手段(1106)のそれぞれの出力を用いた演算で、目標巻取り温度の先端部補正温度と定常部補正温度を算出する。さらに目標巻取り温度と補正温度から、プリセット制御手段(110)が実際に計算に用いる目標巻取り温度を算出する目標温度補正手段(117)を備えた。そして鋼板長手方向の各部位毎に、プリセット制御手段(110)の出力した制御コードを、ダイナミック制御手段(120)の出力した制御コードで補正して最終的な制御コードを算出し、この制御コードを冷却装置の出力パターンに変換するヘッダーパターン変換手段(140)とを含んで構成される巻取り温度制御装置(100)を提供する。
すなわち、熱間圧延後の、鋼板の巻取り制御において、鋼板長手方向のどの部位においても、高精度な巻取り温度が得られる。この結果、鋼板の組成品質を向上させることができ、同時に、平坦に近い鋼板形状を得ることができる。
図1に本発明の実施例を示す。制御装置100(あるいは巻取り温度制御装置100とも称す。)は制御対象150から種々の信号を受信し、制御信号を制御対象150に出力する。まず制御対象150の構成を説明する。本実施例で制御対象150は熱間圧延の巻取り温度制御ラインであり、圧延機152のミル157で圧延された900℃〜1000℃の温度の鋼板151を巻取冷却装置153で冷却し、ダウンコイラ154で巻取る。巻取冷却装置153には、鋼板151の上側から水冷する上部冷却装置158と鋼板151の下側から水冷する下部冷却装置159が備えられており、各冷却装置は、水を放出する冷却ヘッダー160が一定本数組み合わされたバンク159を複数個、それぞれ備えている。本実施例では、各冷却ヘッダー160の操作指令が開と閉の場合を例に説明する。ミル出側温度計155は、圧延機152で圧延された直後の鋼板の温度を計測し、巻取り温度計156はダウンコイラ154で巻取る直前の温度を計測する。以下、本実施例では冷却前の温度として、ミル出側温度を使用する。巻取り温度制御の目的は、巻取り温度計
156で計測された温度を目標温度に一致させることである。本実施例で目標温度は、コイル長手方向の各部位に応じて異なった値を設定する場合を例に説明するが、部位にかかわらず一定でも良い。
次に、巻取り温度制御装置100の構成を示す。巻取り温度制御装置100は、鋼板
151が巻取冷却装置153で冷却されるのに先立って、各冷却ヘッダー160の開閉パターンに対応した制御コードを算出するプリセット制御手段110,鋼板151が巻取冷却装置153で冷却されているときに、冷却制御中にミル出側温度計155,巻取り温度計156の測定温度等の実績をリアルタイムに取り込んで、制御コードを変更するダイナミック制御手段120,制御コードを各冷却ヘッダー160の開閉パターンに変換するヘッダーパターン変換手段140を備えている。さらにプリセット制御手段110で使用した定数のうち、必要なものをダイナミック制御手段120に出力するプリセット情報伝達手段118から構成される。プリセット情報伝達手段118は、少なくとも鋼板の目標巻取り温度,鋼板の速度スケジュール,ミル出側板温を、ダイナミック制御手段120に出力する。
各冷却ヘッダー160の開閉パターンの集合を、以下、ヘッダーパターンと称する。プリセット制御手段110は、目標巻取り温度テーブル112,速度パターンテーブル113,冷却ヘッダー優先順位テーブル114から情報を取り込み、板温推定モデル115を用いた演算によりヘッダーパターンを算出する。またダイナミック制御手段120は、巻取り温度計156からの検出温度を用いて、これと目標温度との偏差を補正するのに必要なヘッダーの開閉数を算出する、巻取り温度偏差補正手段121,ミル出側温度計155からの検出温度を用いて、これとプリセット制御演算時に想定したミル出側温度との偏差を補正するのに必要なヘッダーの開閉数を算出する、冷却前温度偏差補正手段122,ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出し、算出結果とプリセット制御演算時に想定した鋼板速度との偏差を補正するのに必要なヘッダーの開閉数を算出する、速度偏差補正手段123を備えている。さらにこれらの計算に用いる、影響係数テーブル130と、巻取り温度偏差補正手段121,冷却前温度偏差補正手段122,速度偏差補正手段123の計算結果を鋼板長手方向の各部位に着目して合成し、ダイナミック制御手段120の出力を算出する、操作量合成手段125備えている。
図2に目標巻取り温度テーブル112の構成を示す。鋼板の種類(鋼種)に対応して目標温度が層別されており、さらに鋼板長手方向に異なった目標温度が付与された例を示している。すなわち鋼板の先端部と後端部は、長手方向の5m毎に異なる目標温度が、また定常温度となる鋼板中央部では先後端部と異なる目標温度が設定されている。この結果、鋼板先端をダウンコイラ154への巻き付き性に配慮して少し高温に制御する等の、目標温度の微調整が可能となる。プリセット制御装置110(あるいは先端プリセット制御手段110とも称す。)は該当コイルの鋼種を判定して、目標巻取り温度テーブル112から対応する目標温度パターンを抽出する。
図3に速度パターンテーブル113の構成を示す。鋼種,板厚,板幅に対して、ミル
157から鋼板151の先端が払い出されて、ダウンコイラ154に巻き取られるまでの速度(初期速度)、その後、急加速された後の定常速度、鋼板151の後端がミル157から払いだされる直前に急減速され、ダウンコイラ154で巻き取られるまでの速度(終期速度)が層別されている。プリセット制御手段110は該当コイルの鋼種,板厚、板幅を判定して、速度パターンテーブル113から対応する速度パターンを抽出する。たとえば鋼種がSUS304、板厚3.0〜4.0mm、板幅が1200mmのときには、初期速度
150mpm,定常速度150mpm,終期速度150mpmが設定されることを示している。
図4に冷却ヘッダー優先順位テーブル114の構成を示す。以下では、ヘッダーの総数が100の場合を例に説明する。図4は100個のヘッダーの開放順位に、1〜100の優先順位を付与したもので、鋼種,板厚,ヘッダー区分(上ヘッダーまたは下ヘッダー)に対して、優先的に開放する冷却ヘッダーの順序が格納されている。優先順位は、冷却効率,表面と内部の許容温度差等に配慮して決定する。たとえば鋼板151が薄い場合は、表面と内部に温度差が生じにくいため、冷却効率に配慮して鋼板151の温度が高いミル157の出側に近いヘッダーを優先的に開し、鋼板151が厚い場合には、空冷による復熱を利用して表面と内部の温度差を許容値の範囲内に抑える目的で、可能な限り開ヘッダーが連続しないように優先順位を付与する。水冷と空冷を混在させることで、冷却効率を多少犠牲にして鋼板151の表面と内部の温度差を抑制する。冷却ヘッダーは目標巻取り温度が実現できる本数だけ、開放するように制御される。バルク,冷却ヘッダーには、ミル157に近い順に番号がつけられており、たとえば(1,1)は、第1バルクの第1冷却ヘッダーを表している。図で、鋼種がSUS304、板厚が2.0〜3.0mm、冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合には、(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(1,5),(2,1),……,(20,4),(20,5)の順で、優先的に開放することを示している。すなわち薄板のため冷却効率に配慮してミル157出側のヘッダーから順に優先的に開することを示している。また鋼種がSUS304、板厚が5.0〜6.0mm 、冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合には、(1,1),(1,4),(2,1),(2,4),(3,1),(3,4),……,(20,3),(20,5)の順で、優先的に開放することを示している。すなわち鋼板151がやや厚いため、開ヘッダーが連続しないように優先順位を付与していることを示している。本実施例では、上ヘッダーと下ヘッダーの優先順位を同一としたが、異なる優先順位を付与することもできる。
ヘッダーパターンは対応する制御コードで表現する。図5にプリセット制御手段110が出力する制御コードと、冷却ヘッダー開閉パターンの対応を示す。制御コード0が全開、100が全閉。以下、優先順位1の冷却ヘッダーのみが開しているヘッダー開閉パターンを1、優先順位1と2の二つの冷却ヘッダーが開しているヘッダー開閉パターンを2のように制御コード化している。プリセット制御手段110は、このような冷却ヘッダー開閉パターンに対応した制御コードを、ヘッダーパターン変換手段140に出力する。すなわち、すべての冷却ヘッダーが開した状態の制御コードを0、すべての冷却ヘッダーが閉した状態の制御コードを100(100は上または下の冷却ヘッダーの総数)とする。そしてたとえば、鋼種がSUS304、板厚が2.0〜3.0mm、冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合であれば、ヘッダーの優先順位にしたがって、(1,1)のみ開の状態を制御コード99、(1,1),(1,2)が開の状態を制御コード98、(1,1),(1,2),(1,3)が開の状態を制御コード97とし、この要領で、以下、全ヘッダーが開している状態の制御コードである0まで、ヘッダーの開放パターンに制御コードを付与する。
図6にプリセット制御手段110が実行するアルゴリズムを示す。S6−1で速度パターンテーブル113から取り込んだ値をもとに、初期速度から定常速度に移行するための加速開始位置,定常速度から終期速度に移行するための減速開始位置を算出し、鋼板151のミル157での払い出し開始からダウンコイラ154での巻取り完了までの速度パターンを計算する。加速開始位置Saccp,加速完了位置Saccq、は、減速開始位置Sdccp,減速完了位置Sdccqは、以下に示す〔数1〕〜〔数4〕でそれぞれ算出できる。
〔数1〕
Saccp=Lmd
ただし Lmd:ミル157からダウンコイラ154までの距離
〔数2〕
Saccq=Saccp+(Smid−Sstart)*(Smid+Sstart)/(Saccrate*2)
ただし Sstart:鋼板151の初期速度
Smid:鋼板151の定常速度
Saccrate:鋼板151の初期速度から定常速度までの加速レート
〔数3〕
Sdccp=Lstrip−(Smid−Send)*(Smid+Send)/(Sdccrate*2)−Lmargin
ただし Lstrip:鋼板151の長さ
Send:鋼板151の終期速度
Sdccrate:鋼板151の定常速度から終期速度までの減速レート
Lmargin:鋼板151の尻抜けのどれくらい前で減速を完了するかのマー ジン
〔数4〕
Sdccq=Lstrip−Lmargin
算出した速度パターンにしたがって、S6−2以降で、目標巻取り温度を実現するヘッダーパターンの時間変化を板温推定モデル115を用いた演算で算出する。本実施例では線形逆補間法にしたがって、ヘッダーパターンを算出する例を示す。
S6−2では鋼板151の各部位について、解の制御コードを挟むような二つの制御コードnL,nHを定義する。ここでは冷却ヘッダーの全開と全閉の間に解が存在することから、一律にnL=0,nH=100とする。ここで制御コードの増加に伴って、単純に開している冷却ヘッダーが減少するので、n1<n2のとき、これらのヘッダーパターンに対応した巻取り温度Tc1,Tc2について、Tc1<Tc2が成立する。次にS6−3で、nLとnHの平均をn0とする。そしてS6−4で、制御コードn0に対応した巻取り温度Tc0を算出する。S6−4は板温推定モデル115にしたがった温度推定演算を、制御対象150(あるいは鋼板150とも称す。)の長手方向の各部位について、ミル払い出しからダウンコイラ巻取りまで、連続計算し、巻取り温度を推定する。S6−5で目標巻取り温度Ttargetに対する推定巻取り温度Tc0の符号を判定し、Tc0>
Ttargetの場合は、n0とnLの間に解があるので、n0を新たにnHとおく。逆に
Tc0<Ttargetの場合は、n0とnHの間に解があるので、n0を新たにnLとおく。S6−6でアルゴリズムの終了条件を判定し、満足していない時はS6−3〜S6−5の実行を繰り返す。アルゴリズムの終了は、
・S5−3〜S5−5の一定回数以上の繰り返しを完了
・巻取り温度推定値Tcと目標巻取り温度Ttargetの偏差が一定値以下
・n0がnH,nLのいずれかと一致
等を条件に、判定すれば良い。
制御コード付与の方法としては、すべての冷却ヘッダーが閉した状態の制御コードを0、すべての冷却ヘッダーが開した状態の制御コードを100とし、これに対応して付与しても同じである。
図7にS6−4に対応した温度推定演算の詳細を示す。温度推定演算としては、鋼板
151を長手方向および厚み方向に分割し、一定刻みΔで時間を進めて計算する、いわゆる前進差分法の例を示す。S7−1で計算時刻を更新し、さらに図6のS6−1で生成した速度パターンから、該当時刻の板速Vtを計算する。S7−2で、算出した板速を用いて、ミル払い出し長さを計算する。払い出し長さLnとは、圧延を終えてミルから払い出された鋼板の長さで、下式で計算できる。ただしLn−1は、前時刻の払い出し長さである。
〔数5〕
Ln=Ln−1+Δ・Vt
S7−3で演算の完了を判定する。ミル払い出し長さLnが、鋼板151の全長とミル157〜ダウンコイラ154距離の和より大きくなった時、コイル1本に対応した巻取り温度予測計算がすべて終了しているので、演算完了となる。演算が完了していない場合には、S7−4で鋼板の温度トラッキングを行う。すなわち、前時刻の鋼板の位置に対して、Δだけ時間が経過した後に鋼板がどれだけ進むかがLnとLn−1の関係から分かるので、鋼板の温度分布を対応した距離だけ移動する処理を行う。S7−5でΔの間にミルから排出された鋼板151に冷却前の鋼板温度の推定値を設定する。S7−6で鋼板151の各部位に対応したヘッダーの開閉の情報から、各部位が水冷か空冷かを判定する。水冷の場合はS7−7で、例えば数〔数6〕にしたがって熱伝達係数を計算する。
〔数6〕
hw=9.72*105*ω0.355*{(2.5−1.15*logTw)*D/(pl
*pc)}0.646/(Tsu−Tw)
ただし ω:水量密度
Tw:水温
D:ノズル直径
pl:ライン方向のノズルピッチ
pc:ラインと直行方向のノズルピッチ
Tsu:鋼板151の表面温度
〔数6〕は、いわゆるラミナー冷却の場合の熱伝達係数である。水冷方法としてはこの他にスプレー冷却等、種々あり、いくつかの熱伝達係数の計算式が知られている。
一方、空冷の場合は、例えば〔数7〕にしたがって熱伝達係数を計算する。
〔数7〕
hr=σ・ε[{(273+Tsu)/100}4−{(273+Ta)/100}4]
/(Tsu−Ta)
ただし σ:ステファンボルツマン定数(=4.88)
ε:放射率
Ta:空気温度(℃)
Tsu:鋼板151の表面温度
〔数6〕と〔数7〕は、鋼板151の表と裏について、それぞれ計算する。そしてS7−9で鋼板151の各部位の温度を、Δ経過する前の温度をもとに、Δ間の熱量の移動を加減算することで、計算する。鋼板151の厚み方向の熱移動を無視する場合であれば、鋼板151の長手方向の各部位について〔数8〕のように計算できる。
〔数8〕
Tn=Tn−1−(ht+hb)*Δ/(ρ*C*B)
ただし Tn:現在の板温
Tn−1:Δ前の板温
ht:鋼板表面の熱伝達係数
hb:鋼板裏面の熱伝達係数
ρ:鋼板の密度
C:鋼板の比熱
B:鋼板の厚み
また鋼板151の厚み方向の熱伝導を考慮する必要がある場合には、良く知られる熱方程式を解くことで計算できる。熱方程式は〔数9〕で表され、これを計算機で差分計算する方法は、種々の文献で公開されている。
〔数9〕
∂T/∂t={λ/(ρ*C)}(∂2T/∂t2)
ただし λ:熱伝導率
T:材料温度
そしてS7−10でミル157からダウンコイラ154までの、ライン内の鋼板151の全領域で計算が完了するまで、S6−6〜S7−9を繰り返す。またS7−1〜S7−9を、S7−3で演算の終了を判定されるまで、繰り返す。
図8にS6−3で鋼板151の各部位に付与されている制御コードの、図6の最適化処理による変化の一例を示す。処理1回目では、各部位で同一の初期値(nL=0,nH=100)に対する処理なので、図8の処理1回目に示すように、鋼板151の全域で50が付与される。処理2回目では制御コード50に対して鋼板151の各部位の巻取り温度Tc0の予測結果が、Ttargetより大きいか小さいかで、付与される制御コードが異なる。本実施例では、鋼板速度が低速である鋼板151の先端,後端に近い部分は、ヘッダーを閉する方向の制御コードに更新され、鋼板速度が高速である鋼板151の中央部は、ヘッダーを開する方向の制御コードに更新される例を示している。具体的には図8の処理
2回目に示すように、先端部,後端部は、1回目の処理のS6−5でnL=50,nH=100に更新された結果、制御コードはその平均である75に更新されている。一方、中央部は1回目の処理のS6−5でnL=0,nH=50に更新された結果、制御コードは25に更新されている。このようにして、図6のS6−3〜6−6を繰り返すことで、制御コードが順次更新される。
図9にプリセット制御手段110が最終的に出力する、制御コードの例を示す。図の例では、鋼板151は先端からの距離に対応して1m単位でメッシュに分けられており、メッシュに対応して、制御コードが割り振られる。冷却装置は鋼板の表と裏に対応して上部冷却装置158と下部冷却装置159があるので、制御コードとしては、上ヘッダーと下ヘッダーに対応して、別個に出力する。図では、鋼板151の長手方向について、先端から1mの上ヘッダーの制御コードは95、下ヘッダーの制御コードも95、500mから501mの間では、上ヘッダーの制御コードは14、下ヘッダーの制御コードも14であることを示している。図8では、鋼板151の同一部位に対応した上ヘッダーと下ヘッダーの制御コードを同一としたが、異なった制御コードを設定することも可能である。
図10にダイナミック制御手段120の構成を示す。プリセット制御手段110が出力した制御コードは、鋼板151を冷却制御中に、ダイナミック制御手段120によりリアルタイムで補正される。ダイナミック制御手段120は、巻取り温度計156からの検出温度を用いて、これと目標巻取り温度との偏差を補正する、巻取り温度偏差補正手段121,ミル出側温度計155からの検出温度を用いて、これとプリセット制御演算時に想定した冷却前温度との偏差を補正する、冷却前温度偏差補正手段122,ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出し、算出結果とプリセット制御演算時に想定した鋼板速度との偏差を補正する、速度偏差補正手段123を備えている。さらに補正量の計算時に使用する影響係数テーブル130を備えている。補正量の総和は、操作量合成手段125で鋼板151の長手方向の各部位毎に制御コードの変化量に換算され、ダイナミック制御手段120から出力される。
次に、各部位の動作を詳細に説明する。影響係数テーブル130は、制御コードの変化に対する巻取り温度の変化を格納した第1の影響係数テーブル1001、鋼板速度の変化に対する巻取り温度の変化を格納した第2の影響係数テーブル1002、冷却前温度の変化に対する巻取り温度の変化を格納した第3の影響係数テーブル1003を備えている。
図11に第1の影響係数テーブル1001の構成を示す。第1の影響係数テーブル1001には、冷却ヘッダー160を一つ開、または閉したときの巻取り温度Tcの変化量に対応した数値である∂Tc/Δn(℃)が、板厚,板速,制御コードで層別されて格納されている。図の例では、板厚が3mm以下、鋼板151の速度が150mpm 以下、制御コードnが9以下の場合には、(∂Tc/Δn)=3.0℃ であり、冷却ヘッダー160を一つ開または閉すると、巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tcが3℃、低下または上昇することを示している。層別項目は減らすこともできるし、冷却前温度等をさらに追加して増やすことも考えられる。
図12に第2の影響係数テーブル1002の構成を示す。第2の影響係数テーブル1002には、鋼板151の速度を1mpm 増加、または減少させたときの巻取り温度Tcの変化量に対応した数値である∂Tc/∂V(℃/mpm )が、板厚,板速,制御コードで層別されて格納されている。図の例では、板厚が3mm以下、鋼板151の速度が150mpm 以下、制御コードnが9以下の場合には、(∂Tc/∂V)=2.2℃であり、鋼板151の速度を1mpm 増加、または減少させると、巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tcが2.2℃ 、低下または上昇することを示している。層別項目は同様に、減らすこともできるし、冷却前温度等をさらに追加して増やすことも考えられる。
図13に第3の影響係数テーブル1003の構成を示す。第3の影響係数テーブル1003には、ミル出側温度計155で計測した鋼板151の冷却前温度が1℃増加、または減少したときの巻取り温度Tcの変化量に対応した数値である、∂Tc/∂Tfが、板厚,板速,制御コードで層別されて格納されている。図の例では、板厚が3mm以下、鋼板151の速度が150mpm以下、制御コードnが9以下の場合には、(∂Tc/∂Tf)=0.9℃であり、冷却前温度の計測値が1℃高い。または低い場合には、巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tcが0.9℃ 、増加または減少することを示している。層別項目は同様に、減らすこともできるし、冷却前温度等をさらに追加することも考えられる。
次に巻取り温度偏差補正手段121の処理を説明する。巻取り温度偏差補正手段121は、一定周期で起動され、巻取り温度FB制御を行う。すなわち巻取り温度偏差補正手段121は、巻取り温度の目標温度に対する偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する、巻取り温度偏差補正量算出手段1004を備えている。巻取り温度偏差補正量算出手段1004は、セットアップで想定したTcと巻取り温度計156で計測したTcの差分を取り込み、さらに第1の影響係数テーブル1001から、現在の状態に該当した層別の影響係数(∂Tc/Δn)を取り込み、下記の演算により、制御コードの変更量を計算する。
〔数10〕
Δn1=G1・{1/(∂Tc/Δn)}・ΔTc
ただし Δn1:巻取り温度FB制御による制御コード変更量
G1:定数(巻取り温度FB制御ゲイン)
(∂Tc/Δn):第1の影響係数テーブル1001から抽出した該当層 別の影響係数
ΔTc:巻取り温度偏差
一方、冷却前温度偏差補正手段122も同様に一定周期で起動され、冷却前温度偏差フィードフォワード制御を行う。すなわち冷却前温度偏差補正手段122は、プリセット計算時に想定した冷却前温度と、ミル出側温度計155で検出されたミル出側実績温度の偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する冷却前温度偏差補正量算出手段1005と、計算結果を鋼板151の長手方向のどの部位に適用するかを決定する適用部位特定手段1008を備えている。冷却前温度偏差補正量算出手段1005は、セットアップで想定したTfとミル出側温度計155で計測したTfの差分ΔTfを取り込み、さらに第1の影響係数テーブル1001と第3の影響係数テーブル1003から、現在の状態に該当した層別の影響係数(∂Tc/Δn),(∂Tc/∂Tf)を取り込み、下記の演算により、制御コードの変更量を計算する。
〔数11〕
Δn2=G2・(Δn/∂Tf)・ΔTf
=G2・{1/(∂Tc/Δn)}・(∂Tc/∂Tf)・ΔTf
ただし Δn2:冷却前温度偏差FF制御による制御コード変更量
G2:定数(冷却前温度FF制御ゲイン)
(∂Tc/∂Tf):第3の影響係数テーブル1103から抽出した該当 層別の影響係数
ΔTf:ミル出側温度偏差
計算されたΔn2は、適用部位特定手段1008に出力される。
図14に、適用部位特定手段1008の処理を示す。ここで鋼板151には、図15に示すように、長手方向にセクション1501が定義されている。図の例では、鋼板先端から鋼板後端に渡り、n個のセクションが定義されており、それぞれにセクション番号が付与されている。すなわち鋼板先端のセクションに1、以下、鋼板後端のセクションにnが付与されている。S14−1で、ミル出側温度計155設置位置のセクション番号を取り込む。ここでは取り込んだセクション番号をiとする。鉄鋼システムの制御装置は、通常、鋼板151のトラッキング情報を計算し、種々の用途に使用する。すなわち、鋼板151の先頭位置(ミル157からの払い出し長さ),尾端位置等を周期的に計算しているので、この情報とミル出側温度計155の取り付け位置との関係から、ミル出側温度計155設置位置のセクション番号が特定できる。次にS14−2で、冷却前温度偏差補正量算出手段1005の出力Δn2を取り込む。そしてS14−3で、S14−1で取り込んだミル出側温度計145設置位置のセクション番号iに、Δn2を登録する。以下、この値を(Δn2)iとする。
速度偏差補正量算出手段1006も同様に一定周期で起動され、速度偏差フィードフォワード制御を行う。すなわち速度偏差補正量算出手段1006は、プリセット計算時に想定した鋼板速度と、実際の鋼板速度の偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する速度偏差補正量算出手段1006と、計算結果を鋼板151の長手方向のどの部位に適用するかを決定する適用部位特定手段1009を備えている。速度偏差補正量算出手段1006は、セットアップで想定した鋼板速度と実績速度の偏差ΔVを取り込み、さらに第1の影響係数テーブル1001と第2の影響係数テーブル1002から、現在の状態に該当した層別の影響係数(∂Tc/Δn),(∂Tc/∂V)を取り込み、下記の演算により、制御コードの変更量を計算する。
〔数12〕
Δn3=G3・(Δn/∂V)・ΔV
=G3・{1/(∂Tc/Δn)}・(∂Tc/∂V)・ΔV
ただし Δn3:板速偏差FF制御による制御コード変更量
G3:定数(板速偏差FF制御ゲイン)
(∂Tc/∂V):第2の影響係数テーブル1002から抽出した該当層 別の影響係数
ΔV:板速偏差
計算されたΔn3は、適用部位特定手段1109に出力される。
図16に、適用部位特定手段1009の処理を示す。S16−1で、鋼板151のトラッキング情報から、巻取り冷却部153の侵入位置と排出位置にある鋼板の、鋼板セクション番号を取り込む。次にS16−2で、取り込んだセクション番号から、制御コードの補正が必要なセクションを決定し、各セクションの補正比を算出する。鋼板セクション番号iの補正比Riは、下式で計算できる。
〔数13〕
Ri=(i−I1)/(I2−I1)
ただし I1:冷却装置排出位置の鋼板セクション番号
I2:冷却装置進入位置の鋼板セクション番号
そしてS17−3で、速度偏差補正量算出手段1006の出力Δn3を取り込む。S16−4で、Δn3とS16−2で算出した補正比とから、各セクションの制御コード補正量を計算し、該当セクション番号に登録する。鋼板セクション番号iの補正量(Δn3)iは下式で算出できる。
〔数14〕
Δnri=Δn3×Ri
次に、操作量合成手段125の処理を説明する。操作量合成手段125は巻取り温度偏差補正手段121で計算したΔn1,(Δn2)i,(Δn3)iを加算して、各鋼板セクションの操作量を算出する。具体的には、鋼板セクションiに関するダイナミック制御手段120の出力Ndiを、
〔数15〕
Ndi={Δn1+(Δn2)i+(Δn3)i}
で計算する。ダイナミック制御手段120は計算した補正量を出力し、この値にしたがって、プリセット制御手段110が出力した制御コードが修正される。
以上のダイナミック制御手段120による補正量算出演算は、すべての鋼板セクションについて行うのでなく、巻取冷却装置153が冷却対象としている鋼板セクションに限定して、上記処理を行うことで、演算を簡略化しても良い。
図17にプリセット制御手段110が出力した制御コードを、ダイナミック制御手段
120が補正したときの、補正結果の例を示す。図では鋼板部位5m〜6mの制御コードが、12から10に補正されている。本実施例では、各補正量算出手段1004〜1006は一定周期で起動されたが、起動方法としては鋼板151がミル157から一定長払い出されたタイミング毎に起動する等、種々、考えられる。
図18にヘッダーパターン変換手段140が実行するアルゴリズムを示す。S18−1で、冷却ヘッダー直下を通過している鋼板151の先端からの距離Lhを算出する。通常、制御装置100は、このような距離情報を有しており、種々の目的で使用する。S18−2でLhが0より小さいかどうか判定し、小さい場合には鋼板151が該当冷却ヘッダーまで到達していないので、処理を抜けてS18−6に進む。大きい場合には、鋼板151が該当冷却ヘッダーまで到達しているので、S18−3で距離Lhに対応した制御コードを抽出する。すなわちLhと図8の鋼板部位を照合し、Lhに対応する部位の上ヘッダー制御コードと下ヘッダー制御コードを抽出する。S18−4で制御コードから冷却ヘッダー開閉パターンを抽出する。すなわち図7の制御コードと冷却ヘッダー開閉パターンの対応を用いて、優先順位がいくつの冷却ヘッダーまでを開するか決定する。S18−5では、冷却ヘッダー優先順位テーブル114に格納されている情報を用いて、具体的に開放する冷却ヘッダーを特定し、最終的に該当冷却ヘッダーの開閉を決定する。S18−6で、すべての冷却ヘッダーについての演算が終了したかどうかを判定し、終了していない場合には、終了するまで、S18−1〜S18−5の処理を繰り返す。
本実施例では冷却ヘッダー数が上下とも100の場合を例に説明したが、ヘッダー数としては設備に応じて、種々の数が可能である。
図19に適応制御手段116の構成を示す。適応制御手段116は、鋼板151の先端部の目標温度に対して適応処理を行う先端適応制御手段1901,定常部の目標温度に対して適応処理を行う定常適応制御手段2002、さらに先端適応制御手段1901と定常適応制御手段1902の出力を合成して、鋼板長手方向の目標温度パターンに対する最終的な補正量を算出して出力する補正温度合成手段1903から構成される。
図20に先端適応制御手段1901の処理内容を示す。S20−1で鋼板151に対する冷却制御開始後、最初の巻取りFB制御タイミングであることを判定する。最初の巻取りFB制御タイミングのとき、S20−2で操作量合成手段125から、巻取り温度偏差補正手段1004,冷却前温度偏差補正手段1005,速度偏差補正手段1006の出力、Δn1,Δn2,Δn3、をそれぞれ取り込む。さらにS20−3で、適応制御量
Δnadap1を算出する。
〔数16〕
Δnadap1=(G3−1)・Δn3+(G2−1)・Δn2+Δn1/G1
ただし G3:速度FFゲイン
G2:ミル出側温度FFゲイン
G1:巻取り温度FBゲイン
適応制御量Δnadap1 は、鋼板先端部の巻取り制御誤差を、ヘッダー数に換算した値である。ここで、右辺3項は巻取り温度誤差を解消するための操作ヘッダー数を巻取り温度
FBゲインで除した値、これに対して第1項は、速度変化の影響のうち速度FF制御で補償しなかった割合に相当し、この結果、巻取り温度FB制御で補償することになったヘッダー数相当の適応操作量である。また第2項は、ミル出側温度の影響のうちミル出側温度
FF制御で補償しなかった割合に相当し、この結果、巻取り温度FB制御で補償することになったヘッダー数相当の適応操作量である。〔数16〕よりΔnadap1 は、巻取り温度の偏差のうち、鋼板の速度変化とミル出側板温変動の影響を除外した値に相当するヘッダー数である。したがって鋼板先端部において、板温推定モデルが実際の冷却現象を模擬していない度合いにしたがって生じるプリセット制御誤差に相当するヘッダー数であり、次回のプリセット制御でこの値を補償すれば、プリセット制御精度を向上できる。S20−4では、Δnadap2 と影響係数テーブルに蓄えられている(∂Tc/∂n)を用いて、巻取り温度に換算した適応制御量ΔTc1を算出する。
〔数17〕
ΔTc1=(∂Tc/∂n)・Δnadap1+Δ1
ただし Δ1:直近の鋼板に施されている先端部適応量
(ΔTc1の前回の計算値)
ΔTc1が、先端部の目標温度に加減算される先端目標温度補正量である。
図21に定常適応制御手段1902の処理内容を示す。S21−1で鋼板151に対する冷却制御の完了を、ダウンコイラ154への巻取りが完了したことで判定する。鋼板
151の巻取り完了後、S21−2で操作量合成手段125から、鋼板の定常部において施した巻取り温度偏差補正手段1004,冷却前温度偏差補正手段1005,速度偏差補正手段1006の操作量、Δn1,Δn2,Δn3、の制御系列を取り込む。さらにS21−3で、適応制御量Δnadap2を算出する。
〔数18〕
Δnadap2=(1/N)Σ{(G3−1)・Δn3+(G2−1)・Δn2+Δn1}
ただし G3:速度FFゲイン
G2:ミル出側温度FFゲイン
N:取り込んだ制御系列のサンプル数
適応制御量Δnadap2 は、鋼板の定常部の巻取り制御誤差を、ヘッダー数に換算した値である。ここで、右辺3項は巻取り温度誤差を解消するために操作したヘッダー数、これに対して第1項は、速度変化の影響のうち速度FF制御で補償しなかった割合に相当し、この結果、巻取り温度FB制御で補償することになったヘッダー数相当の適応操作量である。また第2項は、ミル出側温度の影響のうちミル出側温度FF制御で補償しなかった割合に相当し、この結果、巻取り温度FB制御で補償することになったヘッダー数相当の適応操作量である。定常部は鋼板長手方向の広域に及ぶため、適当なサンプリングでΔn1,Δn2,Δn3を複数採取し、平均することで、適応制御の尤度を高める。〔数18〕では採取した数をNとした。またサンプリング処理として、一定時間間隔でデータを取り込んでも良いし、鋼板長手方向の一定長毎にデータを取り込んでも良い。また鋼板151長手方向の定常部としては、図2の目標温度パターンで、鋼板中央と対応付けられている範囲で定義すればよい。〔数18〕よりΔnadap2 は、巻取り温度の偏差のうち、鋼板の速度変化とミル出側板温変動の影響を除外した値に相当するヘッダー数である。したがって鋼板定常部において、板温推定モデルが実際の冷却現象を模擬していない度合いにしたがって生じるプリセット制御誤差に相当するヘッダー数であり、次回のプリセット制御でこの値を補償すれば、プリセット制御精度を向上できる。S21−4では、Δnadap2 と影響係数テーブルに蓄えられている(∂Tc/∂n)を用いて、巻取り温度に換算した適応制御量ΔTc2を算出する。
〔数19〕
ΔTc2=(∂Tc/∂n)・Δnadap2+Δ2
ただし Δ2:直近の鋼板に施されている先端部適応量
(ΔTc2の前回の計算値)
ΔTc2が、定常部の目標温度に加減算される先端目標温度補正量である。
目標温度補正手段117はΔTc1とΔTc2から図2の目標温度を補正する。すなわち鋼板先端部に対応した目標温度はΔTc1を加減算することで補正し、鋼板中央部に対応した目標温度はΔTc2を加減算することで補正する。必要に応じて、鋼板先端部と中央部の境界付近について、ΔTc1とΔTc2を按分して補正量を決定してもよい。すなわち補正量ΔTc*を〔数20〕で算出しても良い。
〔数20〕
ΔTc*=α・ΔTc1+(1−α)・ΔTc2
ただし α:按分比(0≦α≦1)
次回の鋼板に対してプリセット制御手段110が行うプリセット計算には、目標温度補正手段117で合成された目標温度パターンが使用される。
図22に、適応制御手段116がΔnadap1,Δnadap2を用いて直接制御コードを補正する例を示す。この場合、適応制御手段116は制御コード修正手段2201に〔数16〕,〔数18〕で算出したΔnadap1とΔnadap2を出力する。制御コード修正手段2201は、プリセット制御手段110が出力した制御コード列を取り込み、鋼板先端部に対応した制御コードはΔnadap1 を加減算することで補正し、鋼板中央部に対応した制御コードはΔnadap2 を加減算することで補正して、ヘッダーパターン変換手段140に出力する。プリセット制御手段110が出力した制御コード列の例は、図9と同様である。
熱間圧延ラインの冷却制御に、広く適用することができる。
本発明の巻取り温度制御装置の構成を示した説明図である。 目標巻取り温度テーブルの構成を示した説明図である。 速度パターンテーブルの構成を示した説明図である。 冷却ヘッダー優先順位テーブルの構成を示した説明図である。 ヘッダー開閉パターンと制御コードの対応例の説明図である。 プリセット制御手段の処理である。 巻取り温度予測計算の詳細処理である。 冷却ヘッダー開閉パターンと制御コードの対応テーブルの構成図である。 鋼板部位と制御コードの対応テーブルの構成図である。 ダイナミック制御手段による制御コード補正処理の説明図である。 第1の影響係数テーブルの構成図である。 第2の影響係数テーブルの構成図である。 第3の影響係数テーブルの構成図である。 冷却前温度偏差補正手段の処理である。 鋼板の長手方向セクション分けの説明図である。 速度偏差補正手段123の処理である。 ダイナミック制御手段による制御コード補正処理結果の説明図である。 ヘッダーパターン変換手段の処理である。 適応制御手段の構成図である。 先端適応制御手段の処理である。 定常適応制御手段の処理である。 巻取り温度制御装置の構成を示した説明図である。
符号の説明
100…制御装置、110…プリセット制御手段、112…目標巻取り温度テーブル、113…速度パターンテーブル、114…冷却ヘッダー優先順位テーブル、115…板温推定モデル、117…目標温度補正手段、120…ダイナミック制御手段、121…巻取り温度偏差補正手段、122…冷却前温度偏差補正手段、123…速度偏差補正手段、
130…影響係数テーブル、140…ヘッダーパターン変換手段、150…制御対象、
153…巻取冷却装置、1001…第1の影響係数テーブル、1002…第2の影響係数テーブル、1003…第3の影響係数テーブル、1901…先端適応制御手段、1902…定常適応制御手段、1903…補正温度合成手段、2201…制御コード修正手段。

Claims (14)

  1. 熱間圧延機で圧延されてダウンコイラで巻取られる鋼板を、前記熱間圧延機の出側に備えられた複数のヘッダーで冷却する巻取り温度制御装置において、
    目標巻取温度と鋼板速度に関する情報とから、前記冷却ヘッダーの開閉情報をコードで示す制御コードを演算するプリセット制御手段と、
    前記鋼板の状態である観測結果に応じて、前記制御コードを補正するコード補正情報を演算するダイナミック制御手段と、
    前記コード補正情報で補正された制御コードをヘッダーパターンに変換してヘッダー制御装置に出力するヘッダーパターン変換手段と、
    前記コード補正情報に応じて温度補正情報を演算する適応制御手段と、
    前記温度補正情報に応じて、前記ダウンコイラで巻き取られる次回以降のいずれかの鋼板における、前記目標巻取温度を補正する目標温度補正手段を含んで構成されること
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  2. 請求項1において、冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダーの開放順序の優先関係を格納している冷却ヘッダー優先順位テーブルと、該鋼板の巻取り温度を推定するための板温推定モデルを有し、前記制御コードは、前記板温推定モデルを用いて巻取り温度を推定し、推定結果を用いて目標巻取り温度を実現するように演算され、さらに、前記制御コードは、冷却ヘッダーの開閉の組み合わせであるヘッダーパターンを該優先順位テーブルの情報を用いて生成したものであることを特徴とする巻取り温度制御装置。
  3. 熱間圧延機で圧延されてダウンコイラで巻取られる鋼板を、前記熱間圧延機の出側に備えられた複数のヘッダーで冷却する巻取り温度制御装置において、
    目標巻取温度と鋼板速度に関する情報とから、前記冷却ヘッダーの開閉情報をコードで示す制御コードを演算するプリセット制御手段と、
    前記鋼板の状態である観測結果に応じて、前記制御コードを補正するコード補正情報を演算するダイナミック制御手段と、
    前記コード補正情報で補正された制御コードをヘッダーパターンに変換してヘッダー制御装置に出力するヘッダーパターン変換手段と、
    前記コード補正情報に応じて、前記ダウンコイラで巻き取られる次回以降のいずれかの鋼板に用いられる、コード補正情報を演算する適応制御手段を含んで構成されること
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  4. 請求項3において、冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダーの開放順序の優先関係を格納している冷却ヘッダー優先順位テーブルと、該鋼板の巻取り温度を推定するための板温推定モデルを有し、前記制御コードは、前記板温推定モデルを用いて巻取り温度を推定し、推定結果を用いて目標巻取り温度を実現するように演算され、さらに、前記制御コードは、冷却ヘッダーの開閉の組み合わせであるヘッダーパターンを該優先順位テーブルの情報を用いて生成したものであることを特徴とする巻取り温度制御装置。
  5. 請求項1乃至4において、前記制御コードはすべてのヘッダーが開した状態を最大値、すべてのヘッダーが閉した状態を最小値とし、制御コードの増加に伴い、前記巻取り温度の推定値が単調に減少するように対応づけられていることを特徴とする巻取り温度制御装置。
  6. 請求項1乃至4において、前記制御コードはすべてのヘッダーが開した状態を最小値、すべてのヘッダーが閉した状態を最大値とし、制御コードの増加に伴い、前記巻取り温度の推定値が単調に増加するように対応づけられていることを特徴とする巻取り温度制御装置。
  7. 請求項1,2,5乃至6において、前記ダイナミック制御手段は、目標巻取り温度と冷却制御中に鋼板から検出した巻取り温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する巻取り温度偏差補正手段と、
    プリセット制御時に想定した鋼板の冷却前温度と冷却制御中に鋼板から検出した冷却前温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する冷却前温度偏差補正手段と、
    プリセット制御時に想定した鋼板速度と冷却制御中の鋼板速度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する速度偏差補正手段を備え、
    前記適応制御手段は、該巻取り温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、該冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、該冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量とを用いた演算から、次回以降のいずれかの冷却する鋼板の目標温度に対する補正温度を算出すること
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  8. 請求項1,2,5乃至7において、前記適応制御手段は、前記鋼板先端部の目標温度に対する補正温度を算出する先端適応制御手段と、前記鋼板中央部の目標温度に対する補正温度を算出する定常適応制御手段と、先端適応制御手段と定常適応制御手段の出力から目標温度に対する鋼板長手方向全域の補正温度を最終的に決定する補正温度合成手段を備えたこと
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  9. 請求項1,2,5乃至8において、前記先端適応制御手段は、前記鋼板を冷却し始めてから最初に巻取り温度偏差補正手段が起動されるタイミングで、前記巻取り温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量とを取り込み、鋼板先端部の目標温度に対する補正温度を算出し、
    前記定常適応制御手段は、前記鋼板の中央部を冷却中の、前記巻取り温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量とを取り込み、鋼板中央部の目標温度に対する補正温度を算出すること
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  10. 請求項3乃至6記載において、前記ダイナミック制御手段は、目標巻取り温度と冷却制御中に鋼板から検出した巻取り温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する巻取り温度偏差補正手段と、
    プリセット制御時に想定した鋼板の冷却前温度と冷却制御中に鋼板から検出した冷却前温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する冷却前温度偏差補正手段と、
    プリセット制御時に想定した鋼板速度と冷却制御中の鋼板速度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する速度偏差補正手段を備え、
    前記適応制御手段は、該巻取り温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、該冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、該冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量とを用いた演算から、次回冷却する鋼板の制御コードに対する修正量を算出すること
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  11. 請求項3乃至6,10において、前記適応制御手段は、前記鋼板先端部の制御コードに対する修正量を算出する先端適応制御手段と、前記鋼板中央部の制御コードに対する修正量を算出する定常適応制御手段と、先端適応制御手段と定常適応制御手段の出力から鋼板長手方向全域の制御コードに対する修正量を最終的に決定する巻取り温度補正量合成手段を備えたこと
    を特徴とするの巻取り温度制御装置。
  12. 請求項3乃至6,10,11において、前記先端適応制御手段は、前記鋼板を冷却し始めてから最初に巻取り温度偏差補正手段が起動されるタイミングで、前記巻取り温度偏差補正手段が算出した制御コードの変更量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの変更量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの変更量とを取り込み、鋼板先端部の制御コードに対する修正量を算出し、
    前記定常適応制御手段は、前記鋼板の中央部を冷却中の、前記巻取り温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量と、前記冷却前温度偏差補正手段が算出した制御コードの補正量とを取り込み、鋼板中央部の制御コードに対する修正量を算出すること
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  13. 目標巻取温度と鋼板速度に関する情報とから、前記冷却ヘッダーの開閉情報をコードで示す制御コードを演算し、
    前記鋼板の状態である観測結果に応じて、前記制御コードを補正するコード補正情報を演算し、
    前記コード補正情報で補正された制御コードをヘッダーパターンに変換してヘッダー制御装置に出力し、
    前記コード補正情報に応じて温度補正情報を演算し、
    前記温度補正情報に応じて、前記ダウンコイラで巻き取られる次回以降のいずれかの鋼板における、前記目標巻取温度を補正する、
    巻取り温度制御方法。
  14. 目標巻取温度と鋼板速度に関する情報とから、前記冷却ヘッダーの開閉情報をコードで示す制御コードを演算し、
    前記鋼板の状態である観測結果に応じて、前記制御コードを補正するコード補正情報を演算し、
    前記コード補正情報で補正された制御コードをヘッダーパターンに変換してヘッダー制御装置に出力し、
    前記コード補正情報に応じて、前記ダウンコイラで巻き取られる次回以降のいずれかの鋼板に用いられる、コード補正情報を演算する
    巻取り温度制御方法。
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