JP2007248431A - 硬化性樹脂の硬化度測定方法 - Google Patents

硬化性樹脂の硬化度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性樹脂の硬化状況を調べる手段としては、硬化条件を満たす工程を実行し硬化させた硬化性樹脂を削り取り、硬化性樹脂を棒等で押した感触で硬化の進行状況を把握する方法があるが、定量性に乏しい。また、硬化条件として加熱硬化する硬化性樹脂に対しては温度分布及び温度履歴を考慮する必要があり、硬化状況を精密に調査することが困難であった。そこで、定量性に優れた硬化性樹脂の硬化度測定方法を提供する。
【解決手段】FT−IRを用いて未硬化の樹脂と完全硬化の樹脂を測定する。両硬化状態でFT−IRの信号強度が変わらないピーク(A)と、信号強度の大きいピーク(B)とを抽出する。ピークBをピークAで規格化し、検量線を作成する。そして硬化状況を調べるための試料について同様に測定し、官能基の変化量に基づく硬化度を抽出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、硬化条件を満たすことにより硬化する硬化性樹脂の硬化度測定方法に関する。
硬化条件を満たすことにより硬化する硬化性樹脂の硬化の進行状況を把握する手段として、硬化性樹脂の硬化条件を満たす工程を実行し、硬化させた硬化性樹脂を削り取り、硬化性樹脂を棒等で押した感触で硬化の進行状況を把握する方法が用いられている。
また、大気中の水分を吸収して硬化する吸湿性硬化樹脂では、樹脂が吸湿することにより重量が増える現象を用いて硬化の進行状況を把握する方法が知られている。
また、加熱を硬化条件とする熱硬化性樹脂を用いた場合には、当該温度まで昇温したか否かを調べるために示温色素を用いて測定する方法が知られている。例えば特許文献1では、可逆性の示温色素を加熱装置内に配置し、処理温度をモニタする技術が記載されている。また、特許文献2では、80℃〜180℃程度の温度で色が不可逆的に変化する示温色素について記載されており、この示温色素を用いることで熱硬化性樹脂を用いた場合の最大処理温度を把握することができる。
特開昭57−125050号公報 特開2004−238545号公報
上記した棒等で押した感触で硬化の進行状況を捉える方法では、個人差が大きく定量性に乏しいという課題を有している。
また、吸湿により硬化する硬化性樹脂を用いた場合に、硬化性樹脂が吸湿することにより重量が増える現象を用いて硬化の進行状況を把握する方法では、試料として硬化後の硬化性樹脂の一部を削り取る場合、塗布を行った時点での硬化性樹脂の重量と比較するのは著しく困難であり、他の媒体に塗布した硬化性樹脂の硬化状況をこの方法で調べるのは実用性に乏しい。
また、熱硬化性樹脂を用いた場合に色変化で可逆性を有する示温色素を加熱装置内に配置する方法では、加熱装置の加温状況を知ることはできても、硬化樹脂の硬化の進行状況は熱履歴から換算した類推を行うことができるのみで、直接硬化の進行状況を知ることは困難である。
また、色変化で不可逆性を有する示温色素を用いることで熱硬化性樹脂が最高温度が何℃で処理されたかを把握することはできるが、この場合でも最高温度の維持時間等を知ることは困難である。また、可逆性を有する示温色素を用いた場合と同様に、熱履歴が正確に把握できた場合でも硬化の進行状況は熱履歴からの類推値として換算された硬化状況であり、硬化の進行状況を直接知ることは困難である。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、硬化性樹脂の硬化の進行状況を直接計測し、硬化度を定量的に提示することが可能な硬化性樹脂の硬化度測定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の硬化性樹脂の硬化度測定方法は、(1)硬化条件を満たすことにより硬化する硬化性樹脂の、硬化が飽和した試料を含む、硬化の進行状態に対応した参照用試料を作製する工程と、(2)マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、又はX線の何れかを含む電磁波又は電子線又はイオン粒子を前記参照用試料に照射し、前記参照用試料からの応答測定を行う工程と、(3)前記応答測定で得られた測定結果から、前記参照用試料の硬化の進行状況と強い相関性を有する参照用硬化信号と、前記参照用硬化信号と比べ、前記参照用試料の硬化の進行状況と相関性が弱い基準用硬化信号を抽出する工程と、(4)前記参照用硬化信号を前記基準用硬化信号で規格化し参照用規格化硬化信号を抽出する工程と、(5)前記(2)、前記(3)、前記(4)に記載した測定を、前記参照用試料に代えて測定用試料に対して行うことで測定用規格化硬化信号を抽出する工程と、(6)前記(4)の工程で抽出された硬化の進行状況に対応した前記参照用規格化硬化信号と、前記(5)で抽出された前記測定用規格化硬化信号を比較して前記測定用試料の硬化状況を抽出することを特徴とする。
この測定方法によれば、樹脂の感触を確認する方法では確認が困難であった、硬化状況にむらがある場合でも未硬化分の硬化反応に関連した官能基の比率に対応する信号が得られるため、構造体の特定部所に未硬化部分が残留している場合でも未硬化部分の検出が可能となる。
また、硬化の進行状況と相関性が強い参照用硬化信号を、参照用硬化信号よりも硬化の進行状況との相関性が弱い基準用硬化信号で規格化した信号を用いて測定用試料の硬化状況を把握するため、測定用試料となる硬化樹脂の厚さにばらつきがあっても測定用試料の硬化状況を把握することが可能である。
また、硬化樹脂中の硬化反応に関連した官能基の増減を直接測定するため、硬化条件の履歴を基に硬化状況を推測する手段と比べ、より正確に硬化状況を把握することができる。また、硬化状況は参照用規格化硬化信号と測定用規格化硬化信号とを比較して抽出されるので、硬化状況を数値として得ることができ、硬化状況を高い再現性を持って測定することができる。
また、上記した本発明の硬化性樹脂の硬化度測定方法は、前記(1)の工程で、前記参照用試料は一旦硬化の進行状況を測定した後、前記参照用試料に次の硬化水準となる条件を追加して硬化させ、再度測定することを特徴とする。
この測定方法によれば、参照用試料の測定を行った後、次の硬化水準となる条件を追加して硬化させることで単一の参照用試料を用いて硬化条件に対応した硬化状況を測定することができる。従って、複数の参照用試料を用いた場合に発生する種々のばらつきを抑え、相関性に優れた検量線を得ることができ、硬化状況をより高い精度で測定することができる。
また、上記した本発明の硬化性樹脂の硬化度測定方法は、前記電磁波は赤外光であり、前記測定はフーリエ変換赤外分光光度計を用いることを特徴とする。
この測定方法によれば、フーリエ変換赤外分光光度計での測定は基本的に低エネルギーの赤外光を用いる分析手段であるため、参照用試料や測定用試料に印加されるエネルギーは小さい。そのため、参照用試料や測定用試料の硬化状況に与える影響は抑えられる。よって、分析用に印加されるエネルギーや荷電粒子による寄生的な硬化状況の変動を回避して硬化状況を把握でき、高い測定精度と再現精度を合わせ持つ測定を行うことができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態としてフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いた全反射測定法(ATR法)により硬化時間と硬化度との関係を調べる手順について説明する。FT−IRを用いる場合、試料の硬化状況をフォトンのエネルギーが低い赤外光の照射で測定できるため、試料の変質を抑えて測定することができる。
参照用試料として、大気条件下で自然硬化する吸湿硬化型のポッティング材をガラスプレパラートに滴下し、硬化時間の異なる試料を形成し、FT−IRを用いて1回反射型のATR法による測定を行った。硬化時間の水準としては0、0.5、1、2、5、24、48時間の7水準を用いている。硬化時間を変えた試料をガラスプレパラートから剥がし、ガラスプレパラートに触れていた側についてATR法を用いて測定した。
ATR法を用いて測定するための試料台としては、図1に示すように、ZnSe基板1上にダイヤモンド接触部2を配置したものを用いた。この試料台のダイヤモンド接触部2を覆うように硬化時間の異なる試料3を配置して入射赤外光4と出射赤外光5の光強度を比較することで赤外光の吸収・反射スペクトルを得ることができる。
ここで、硬化時間の水準のうち、0時間は試料台のダイヤモンド接触部2上に直接ポッティング材を滴下することで測定した。
なお、本実施形態では硬化時間の水準に合わせて試料を形成したが、これは単一の試料を用いて測定し、測定後所定の時間を経過させ、再度測定するようにしても良い。単一の試料を用いて測定することで、ばらつきの少ない測定をすることが可能である。また、同時に複数の試料を作製し同様に測定することで、ばらつきを含めた測定を短時間で行うことができる。
ここで、FT−IRを用いたATR法により測定した測定結果の代表的な硬化状態を表す3種類の硬化データを示す。図2は、横軸に波数、縦軸に吸光度の相対強度(2960cm-1での、丸で囲ったピークの吸光度を100%とする)を示したグラフである。2960cm-1に位置するスペクトル強度は試料による変動が小さいことが分かる。対して、2840cm-1の信号は試料による変動が大きく、且つ硬化時間に対して単調に減少していることがわかる。2840cm-1のピークはおおよそ−O−CH3の分子構造に対応しており、吸湿硬化と共に結合状態が変わり−O−CH3が減少しているものと推測される。この減少状況を調べることで硬化状況を把握することができる。図2中、21で示されたデータは、図1で説明した、ダイヤモンド接触部2上に直接ポッティング材を滴下することで得られたデータである。22で示されたデータは、硬化時間30分(大気条件下で放置)の試料から得られたデータであり、23で示されたデータは硬化時間48時間の試料から得られたデータである。図2より硬化時間と相関を持って2840cm-1のピークが減少していることが示されている。
硬化時間の水準として0、0.5、1、2、5、24、48時間の7水準を用いた測定結果を元に、硬化時間と硬化状況との関係を抽出した結果を図3に示す。図3は、硬化に要した時間を横軸にとり、2960cm-1に位置するスペクトル強度で規格化した2840cm-1の強度を縦軸とし、0時間硬化での硬化度を0%、48時間硬化での硬化度を100%として規格化して表したグラフである。経過時間が長くなることで2840cm-1の信号強度は低下し、硬化が進行していることが示されている。24時間硬化させた試料の2840cm-1での信号強度と48時間硬化させた試料の2840cm-1での信号強度とではほぼ差が無く飽和していることから、塗布後24時間経過した試料は完全硬化していると判断できる。また、このグラフを用い、2時間経過した試料の吸光特性と5時間経過した試料の吸光特性を元に折れ線近似を行うと、完全硬化に必要な時間は約7時間、例えば90%硬化に必要な時間は約3時間と見積もることができる。
次に、以上のデータを元に硬化度を求める式を作成する。図3と同様に0時間の状態の硬化度を0として、48時間経過した状態の硬化度を100となるよう換算する。未硬化状況での2840cm-1の規格化信号強度は3.3×10-3であり、この場合の硬化度を0%、48時間硬化状況での規格化信号強度は1.8×10-5であり、この場合の硬化度を100%となるよう換算すると、官能基残量を比例配分した場合、次式の関係で硬化度を得ることができる。
100×(1−(測定対象の規格化信号強度−1.8×10-5)/(3.3×10-3−1.8×10-5))(%)
このように、樹脂の硬化度を硬化反応に関与している官能基の増減(本実施形態では減少)又は硬化状況を反映して変化する信号を処理して硬化度を得ることで、測定者の主観を排して硬化性樹脂の硬化度を定義することができる。
以上、FT−IRを用いてATR法により硬化度を測定した例について説明したが、これは透過型FT−IRを用いても良い。また、XMA、蛍光X線分析、NMR、オージェ電子分光、ラマン分光測定、XPS、紫外線分光測定等の分析手段を用いても良い。
また、本実施形態では信号強度が硬化に伴い減少していく信号を選択したが、これは硬化状況に従い相関性を持って増加する信号を用いても良い。
また、本実施形態の硬化性樹脂は吸湿により硬化する樹脂について説明したが、これは吸湿硬化樹脂に限定するものではなく、熱硬化樹脂や2剤混合による硬化樹脂を用いても良い。熱硬化性樹脂を用いる場合には、加熱温度と硬化率との相関を調べても良い。また、2剤混合の場合には、混合比率と硬化率との相関性を調べても良い。また、溶剤を揮発させることで硬化させる樹脂については、溶剤の残量をFT−IRを用いて分析し、硬化状況を求めても良い。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態としてFT−IRを用いたATR法により硬化度を測定する方法について説明する。硬化性樹脂としては第1の実施形態で用いた樹脂を使用している。
硬化度を求め、対応する手順は以下のようにして進められる。(1)〜(3)は第1の実施形態で説明した手順である。
(1)硬化状況に対して相関性が強い参照用硬化信号を選択する。
(2)硬化状況に対して相関性が弱い基準用硬化信号を選択する。
(3)硬化度を求める式を作成する。
硬化度を求める式を作成した後、測定対象となる試料を作製する。例えば図4(a)、(b)に示す液晶パネルに用いられた硬化樹脂の硬化度を調べる場合には、図5に示す手順を用いて試料を液晶パネルから抽出する。
図4(a)は液晶パネルの正面図、図4(b)は同図(a)のa−a’での模式断面図である。ガラス板42とガラス板43の間に液晶41は挟まれており、封入用樹脂44により封入されている。
(4)図5に示すようにガラス板43をガラス板42から剥がし、ガラス板43の内周部に位置する封入用樹脂44をカミソリ46等を用いて樹脂片45を削ぎ取る。
(5)削ぎ取った樹脂片45をエタノール等の有機溶剤で洗浄し、液晶41を除去する。
(6)洗浄した樹脂片45を試料として用い、FT−IRを用いたATR法により測定し、(1)、(2)の手順で規格化する。
(7)規格化した信号強度を(3)で形成した硬化度を求める式に代入し、硬化度を求める。
(8)硬化度が規格範囲内(例えば90%程度)であれば樹脂の硬化は正当に行われていると判断、硬化度が規格範囲外であれば、硬化を妨げている要因を調査する。
なお、本試料に関しては規格化した信号強度は1.5×10-4であり、95%程度硬化していることが確認された。このことから樹脂の硬化は十分に進められているものと判断することができた。
ここで、測定手段としては、大体の場合においてFT−IRを用いたATR法を分析手段として用いることができる。ATR法を用いる場合、平坦なダイヤモンド試料台に試料を押し付けて測定するため、カミソリで切った面に付随的に発生する観察面の凸凹による影響を抑制することができる。
また、測定に用いる硬化性樹脂の厚みが大きく、構造体内部と周辺部との硬化度が異なることが予想される場合には、透過型FT−IRを用いることが有効な測定手段となる。透過型FT−IRを用いることで、硬化性樹脂全体の硬化度を求めることができる。また、透過型FT−IRとATR法とを併用することで、周辺部の硬化状況と構造体内部との硬化状況の違いについても把握することが可能となる。また、測定方法としては第1の実施形態で述べたものと同様に、XMA、蛍光X線分析、NMR、オージェ電子分光、ラマン分光測定、XPS、紫外線分光測定等の分析手段を用いても良い。
FT−IRを用いたATR法により測定するための試料及び試料台の模式図。 FT−IRを用いたATR法により測定した測定結果を示すグラフ。 硬化に要した時間と硬化状況との関連を示すグラフ。 液晶パネルの模式図。 液晶パネルの封止に用いた硬化樹脂の硬化度を調べるための樹脂を切り出す手順の模式図。
符号の説明
1…ZnSe基板、2…ダイヤモンド接触部、3…試料、4…入射赤外光、5…出射赤外光、41…液晶、42…ガラス板、43…ガラス板、44…封入用樹脂、45…樹脂片、46…カミソリ。

Claims (3)

  1. (1)硬化条件を満たすことにより硬化する硬化性樹脂の、硬化が飽和した試料を含む、硬化の進行状態に対応した参照用試料を作製する工程と、
    (2)マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、又はX線の何れかを含む電磁波又は電子線又はイオン粒子を前記参照用試料に照射し、前記参照用試料からの応答測定を行う工程と、
    (3)前記応答測定で得られた測定結果から、前記参照用試料の硬化の進行状況と強い相関性を有する参照用硬化信号と、前記参照用硬化信号と比べ、前記参照用試料の硬化の進行状況と相関性が弱い基準用硬化信号を抽出する工程と、
    (4)前記参照用硬化信号を前記基準用硬化信号で規格化し参照用規格化硬化信号を抽出する工程と、
    (5)前記(2)、前記(3)、前記(4)に記載した測定を、前記参照用試料に代えて測定用試料に対して行うことで測定用規格化硬化信号を抽出する工程と、
    (6)前記(4)の工程で抽出された硬化の進行状況に対応した前記参照用規格化硬化信号と、前記(5)で抽出された前記測定用規格化硬化信号を比較して前記測定用試料の硬化状況を抽出することを特徴とする硬化性樹脂の硬化度測定方法。
  2. 前記(1)の工程で、前記参照用試料は一旦硬化の進行状況を測定した後、前記参照用試料に次の硬化水準となる条件を追加して硬化させ、再度測定することを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂の硬化度測定方法。
  3. 前記電磁波は赤外光であり、前記測定はフーリエ変換赤外分光光度計を用いることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂の硬化度測定方法。
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