JP2007258003A - 高分子電解質膜、膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)、及び柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、柔軟相を形成する重合体ブロック(B)を構成成分とし、重合体ブロック(A)が架橋されているブロック共重合体を主成分として含有する高分子電解質膜、並びに膜−電極接合体及び固体高分子型燃料電池。
Description
このことは、得られた電解質膜をメタノール溶液に浸漬して処理することにより、メタノール透過性、イオン伝導度等の特性が大きく変化することを示唆している。我々が実際に試験した結果においても、これらの高分子電解質膜は、メタノール溶液浸漬処理前後で、メタノール透過性、イオン伝導度等の特性が大きく変化することが明らかとなった。
これらの特性の変化が大きいことは、この膜を燃料電池に使用した際に、長時間安定して運転することが難しいことを示している。
J. Membrane Science214(2003)245 J. Membrane Science 217(2003)227
本発明においては、重合体ブロック(A)を架橋しており、これによって高分子電解質膜としての特性、具体的にはメタノール透過性、イオン伝導度等の特性の変化を大幅に抑制できる。
イオン伝導性基はスルホン酸基及びホスホン酸基並びにそれらの塩を包含する。
本発明はまた、上記電解質膜を用いた膜−電極接合体及び燃料電池に関する。
本発明の高分子電解質膜を構成するブロック共重合体は、芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)を構成成分の1つとして含む。
重合体ブロック(A)又は(B)を構成する単量体の種類、分子量等によって、重合体ブロック(A)又は(B)の製造法は、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、配位重合法等から適宜選択されるが、工業的な容易さから、ラジカル重合法、アニオン重合法あるいはカチオン重合法が好ましく選択される。特に、分子量、分子量分布、重合体の構造、重合体ブロック(A)又は(B)との結合の容易さ等からいわゆるリビング重合法が好ましく、具体的にはリビングラジカル重合法あるいはリビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法が好ましい。
(1)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、20〜100℃の温度条件下で、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、共役ジエン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物を逐次重合させA−B−A型ブロック共重合体を得る方法、
(2)シクロヘキサン溶媒中でアニオン重合開始剤を用いて、20〜100℃の温度条件下でp−メチルスチレン等の芳香族ビニル系化合物、共役ジエンを逐次重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加してA−B−A型ブロック共重合体を得る方法、
(3)非極性溶媒中有機リチウム化合物を開始剤として用い、0.1〜10質量%の濃度の極性化合物の存在下、−30℃〜30℃の温度にて、5〜50質量%の濃度のα−メチルスチレンを重合させ、得られるリビングポリマーに共役ジエンを重合させた後、安息香酸フェニル等のカップリング剤を添加して、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法、などが採用される。
(4)ハロゲン系/炭化水素系混合溶媒中、−78℃で、2官能性ハロゲン化開始剤を用いて、ルイス酸存在下、イソブテンをカチオン重合させた後、p−メチルスチレン等のスチレン誘導体を重合させ、A−B−A型ブロック共重合体を得る方法(Makromol.Chem.,Macromol.Symp.32,119(1990))などが採用される。
なお、上記アニオン重合やカチオン重合において反応させる成分を変えたり、追加したりすることによって、ブロック共重合体の成分として重合体ブロック(C)を加えることができる。
まず、得られたブロック共重合体にスルホン酸基を導入する方法について述べる。スルホン化は、公知のスルホン化の方法で行える。このような方法としては、ブロック共重合体の有機溶媒溶液や縣濁液を調製し、スルホン化剤を添加し混合する方法やブロック共重合体に直接ガス状のスルホン化剤を添加する方法等が例示される。
イオン伝導性基を有する単量体としては、芳香族ビニル系化合物にイオン伝導性基が結合した単量体が好ましい。具体的には、o、mもしくはp−アルキルスチレンスルホン酸、α−アルキル−o、mもしくはp−アルキル−スチレンスルホン酸、α−アルキル−ビニルナフタレンスルホン酸、α−アルキル−ビニルアントラセンスルホン酸、α−アルキル−ビニルピレンスルホン酸、o、mもしくはp−アルキルスチレンホスホン酸、α−アルキル−o、mもしくはp−アルキル−スチレンホスホン酸、α−アルキル−ビニルナフタレンホスホン酸、α−アルキル−ビニルアントラセンホスホン酸、α−アルキル−ビニルピレンホスホン酸等が挙げられる。
イオン伝導性を含有する単量体としては、さらに、イオン伝導性基が結合した(メタ)アクリル系単量体も用いることができる。具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸等が挙げられる。
また、得られる電解質膜層の上に、新たに、同じもしくは異なるブロック共重合体を含む溶液を塗布して乾燥することにより積層化させてもよい。また、上記のようにして得られる、同じもしくは異なる電解質膜同士を熱ロール成形等で圧着させて積層化させてもよい。
多価アミンとしては、1分子中に2個以上の1〜3級アミノ基を有するものであれば特に制限されず、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類、イミノビスプロピルアミン、ジエチレントリアミン等のトリアミン類等が例示される。多価アミンによる架橋はイオン伝導性基と多価アミンとが反応することにより行われる。したがって、多価アミンにより架橋を行う場合には、架橋後の高分子電解質膜のイオン交換容量が記述の要件を満たすようにする必要がある。この架橋は通常常温で進行する。
多価アミンによる架橋は、高分子電解質膜の調製時には行わないか部分的にしか行わず、膜の調製後に行う。その場合には、得られる膜を多価アミン溶液に浸漬して架橋反応に付した後、膜の調製に使用したような溶媒や水で洗浄し、乾燥させる方法などを採用し得る。
本発明の高分子電解質膜を用いた燃料電池は、経済的で、環境に優しく、メタノール溶液浸漬処理前後でのメタノール透過性、イオン伝導度等の特性の変化が小さく、耐久性に優れ、長時間運転時に安定して駆動可能である。
ポリ(p−メチルスチレン)(重合体ブロック(A))と水添ポリブタジエン(重合体ブロック(B))とからなるブロック共重合体の製造
重合体ブロック(A)を合成する際に、芳香族ビニル系化合物(a)として、p−メチルスチレンを用い、重合体ブロック(B)を合成する際にブタジエンを用いて、既報の方法(特開2005−281373号公報)と同様の方法で、ポリ(p−メチルスチレン)−b−ポリブタジエン−b−ポリ(p−メチルスチレン)(以下、pmSBpmSと略記する)を合成した。得られたpmSBpmSの数平均分子量は78000であり、1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は58.5%、p−メチルスチレン単位の含有量は30質量%であった。
合成したpmSBpmSのシクロヘキサン溶液を調製し、十分に窒素置換を行った耐圧容器に仕込んだ後、Ni/Al系のZiegler系水素添加触媒を用いて、水素雰囲気下において50℃で7時間水素添加反応を行い、ポリ(p−メチルスチレン)−b−水添ポリブタジエン−b−ポリ(p−メチルスチレン)トリブロック共重合体(以下pmSEBpmSと略記する)を得た。得られたpmSEBpmSの水素添加率を1H−NMRスペクトル測定により算出したところ、99.7%であった。
(1)スルホン化pmSEBpmSの合成
参考例1で得られたブロック共重合体(pmSEBpmS)51gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン658mlを加え、35℃にて2時間攪拌して溶解させた。溶解後、塩化メチレン18.9ml中、0℃にて無水酢酸9.40mlと硫酸4.20mlとを反応させて得られたスルホン化試薬を、5分かけて徐々に滴下した。35℃にて7時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分を90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化pmSEBpmSを得た。得られたスルホン化pmSEBpmSのp−メチルスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR分析から33mol%、イオン交換容量は0.75meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化pmSEBpmSの18質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、離形処理済みPETフィルム[(株)東洋紡製「東洋紡エステルフィルムK1504」]上に約550μmの厚みでコートし、室温で十分乾燥させたのち、十分真空乾燥させることで、厚さ50μmの膜を得た。得られた膜を、130℃、1MPaの圧力下で5分間熱プレスすることにより膜を得た。この膜をスルホン化pmSEBpmSの良溶媒であるTHFに3質量%となるように加えたところ、膜は膨潤したが、溶解しなかった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
実施例1の(1)で得られたスルホン化pmSEBpmSの18質量%トルエン/イソブチルアルコール(質量比8/2)溶液を調製し、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン(商品名:パーヘキサC;(株)日本油脂製)を4−メチル基に対し0.1モル当量添加して溶液を調製した以外は、実施例1の(1)と同様にして膜を得た。熱プレス処理前の膜については、スルホン化pmSEBpmSの良溶媒であるTHFへの3質量%溶液を作成することができたが、熱プレス処理後の膜については、膜は膨潤したが、溶解しなかった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
熱プレスを行わない以外は、実施例1の(2)と同様の操作により、厚さ50μmの膜を得た。該膜をTHFに3質量%となるように加えたところ溶解した。
(1)スルホン化SEBSの合成
塩化メチレン34.2ml中、0℃にて無水酢酸17.1mlと硫酸7.64mlとを反応させてスルホン化試薬を調製した。一方、SEBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレン)ブロック共重合体[(株)クラレ製「セプトン8007」]100gを、攪拌機付きのガラス製反応容器中にて1時間真空乾燥し、ついで窒素置換した後、塩化メチレン1000mlを加え、35℃にて4時間攪拌して溶解させた。溶解後、スルホン化試薬を5分かけて徐々に滴下した。35℃にて5時間攪拌後、2Lの蒸留水の中に攪拌しながら重合体溶液を注ぎ、重合体を凝固析出させた。析出した固形分は、90℃の蒸留水で30分間洗浄し、ついでろ過した。この洗浄及びろ過の操作を洗浄水のpHに変化がなくなるまで繰り返し、最後にろ集した重合体を真空乾燥してスルホン化SEBSを得た。得られたスルホン化SEBSのスチレン単位のベンゼン環のスルホン化率は1H−NMR分析から29.0mol%、イオン交換容量は0.75meq/gであった。
(2)燃料電池用電解質膜の作製
(1)で得られたスルホン化SEBSを用いる以外は、比較例1の(2)と同様の方法にて厚さ50μmの膜を得た。得られた膜はTHFに溶解した。下記に示す性能試験には該膜を用いた。また、該膜を実施例1の(2)と同様に熱プレス処理した膜はTHFに3質量%となるように加えたところ溶解した。
以下の1)の試験において、試料としては実施例1の(1)もしくは比較例2の(1)で得られたスルホン化ブロック共重合体を用いた。以下の2)及び3)の試験において、試料としては各実施例又は比較例の(2)で得られた、スルホン化ブロック共重合体から調製した膜、及び該膜を10M(モル/リットル)のメタノール水溶液に室温下、12時間浸漬した後、純水で十分洗浄した膜を使用した。
1)イオン交換容量
試料を密閉できるガラス容器中に秤量(a(g))し、そこに過剰量の塩化ナトリウム飽和水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を、フェノールフタレイン液を指示薬とし、0.01NのNaOH標準水溶液(力価f)にて滴定(b(ml))した。イオン交換容量は、次式により求めた。
イオン交換容量=(0.01×b×f)/a
1cm×4cmの試料を一対の白金電極で挟み、開放系セルに装着した。測定セルを温度60℃、相対湿度90%に調節した恒温恒湿器内に設置し、交流インピーダンス法によりプロトン伝導度を測定した。
3)メタノール透過速度
メタノール透過速度は、電解質膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に55mlの3M(モル/リットル)のメタノール水溶液を、他方のセルに55mlの純水を注入し、25℃で攪拌しながら、電解質膜を通って純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフィーを用いて測定することで算出した(電解質膜の面積は、4.5cm2)。
結果を表1に示す。
Claims (12)
- 芳香族ビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、イオン伝導性基を有する重合体ブロック(A)、及び柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位を主たる繰返し単位とし、柔軟相を形成する重合体ブロック(B)を構成成分とし、重合体ブロック(A)が架橋されているブロック共重合体を主成分として含有する高分子電解質膜。
- R5が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である請求項3記載の高分子電解質膜。
- R5が水素原子又はメチル基である請求項3記載の高分子電解質膜。
- 重合体ブロック(B)における柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数5〜8のシクロアルケン単位、炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位、並びに炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数7〜10のビニルシクロアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位及び炭素数5〜8の共役シクロアルカジエン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
- 柔軟相を形成し得るビニル系化合物単位が炭素数2〜8のアルケン単位、炭素数4〜8の共役ジエン単位、及び炭素−炭素二重結合の一部もしくは全部が水素添加された炭素数4〜8の共役ジエン単位から選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の高分子電解質膜。
- 重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の質量比が95:5〜5:95である請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
- イオン伝導性基が−SO3M又は−PO3HM(式中、Mは水素原子、アンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンを表す)で表される基である請求項1〜8のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
- イオン交換容量が、0.30meq/g以上である請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子電解質膜。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の高分子電解質膜を使用した膜−電極接合体。
- 請求項11記載の膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
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