JP2007263232A - 流体軸受装置 - Google Patents

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健二 伊藤
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隆弘 清水
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Abstract

【課題】軸部材と他部材との間の組立て精度および固定強度を共に高めた流体軸受装置を提供する。
【解決手段】軸部材2の外周に固定される第一フランジ部9の内周面9bは、小径面9b1と、小径面9b1と比べて大径の大径面9b2とを有する。固定前における小径面9b1の内径寸法は、対向する軸部材2の外周面2aの外径寸法より小さい。そのため、第一フランジ部9の軸部材2への導入は、小径面9b1を外周面2aに圧入した状態で行われ、外周面2aに対して小径面9b1が圧入される領域が圧入部12となる。大径面9b2の内径寸法は、対向する軸部材2の外周面2aの外径寸法よりも大きい。そのため、第一フランジ部9を軸部材2の固定領域に導入した状態では、大径面9b2とこれに対向する外周面2aとの間に径方向の隙間が形成され、この隙間に接着剤13が充填されることで接着剤充填部14が設けられる。
【選択図】図4

Description

本発明は、流体軸受装置に関する。
流体軸受装置は、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を相対回転自在に支持するものであり、近年では、その優れた回転精度、高速回転性、静粛性等を活かして、例えば、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等の情報機器に搭載されるスピンドルモータ用の軸受をはじめとして、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいはファンモータなどの小型モータ用の軸受として使用されている。
例えば、HDD用スピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置においては、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部又はスラスト方向に支持するスラスト軸受部の双方を、軸受隙間内の潤滑流体に動圧作用を発生させるための動圧発生部を備えた動圧軸受で構成したものが知られている。この場合、軸受スリーブの内周面と、これに対向する軸部材の外周面との何れか一方に動圧発生部としての動圧溝領域が形成されると共に、両面間のラジアル軸受隙間にラジアル軸受部が形成されることが多い。また、軸部材に設けたフランジ部の一端面と、これに対向する軸受スリーブの端面との何れか一方に動圧溝領域が形成されると共に、両面間のスラスト軸受隙間にスラスト軸受部が形成されることが多い(例えば、特許文献1を参照)。
また、軸部材として、例えば軸部とフランジ部とを一体に形成したもの(特許文献1を参照)の他、軸部とフランジ部とを別体で形成し、フランジ部に軸部を固定したものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2003−239951号公報 特開2000−291649号公報
最近では、情報機器における情報記録密度の増大や高速回転化に対応するため、上記情報機器用のスピンドルモータ、あるいはスピンドルモータに組込まれる流体軸受装置についても更なる高回転精度が要求されている。
流体軸受装置の回転精度を高めるためには、動圧が生じるラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間を高精度に管理することが必要となる。この隙間を高精度に管理するため、上記各軸受隙間の形成に関与する流体軸受装置の軸部材には高精度な加工、例えばラジアル軸受面となる軸部の外周面や、スラスト軸受面となるフランジ部の端面には高精度な仕上げ加工が要求される。
上述のように、高精度な仕上げ加工を施すのであれば、加工コストの観点から、軸部とフランジ部とを別体に形成した方が好ましいが、これだと、各部材ごとの加工精度に加え、両者間で高い組立て精度が必要となる。また、最近の情報機器のモバイル化に伴い、必要とされる耐衝撃荷重が増大するため、例えば抜止めとして機能するフランジ部と軸部との間に高い固定強度が要求される。
上述のように、軸部(軸部材)との間で高い組立て精度や固定強度が要求される部材は、フランジ部に限るものではない。例えばHDD等の磁気ディスク装置用のスピンドルモータに組込まれて使用される流体軸受装置の場合、軸部材の先端に、情報記憶媒体としてのディスクを保持するためのハブが圧入固定される。この際、ハブが軸部材に対して傾いた状態で圧入されると、ハブあるいはハブに保持されるディスクの軸振れが増大するため、ディスクの読取り精度等に悪影響を及ぼす可能性がある。また、耐衝撃荷重の増大に対応するため、ハブと軸部材との間にも高い固定強度が要求される。
本発明の課題は、軸部材と他部材との間の組立て精度および固定強度を共に高めた流体軸受装置を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、他部材が固定される軸部材と、軸部材の外周面とこれに対向する面との間に形成されるラジラル軸受隙間とを備え、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を相対回転自在に支持する流体軸受装置において、他部材の内周面とこれに対向する軸部材の外周面との対向面間領域の一部に圧入部が設けられ、かつ圧入部を除く領域に接着剤充填部が設けられることを特徴とする流体軸受装置を提供する。
かかる構成によれば、圧入部に生じる圧入力によって、圧入代が円周方向あるいは軸方向で均等となるように、他部材の軸部材に対する導入姿勢が矯正され、この姿勢が維持され状態で他部材が軸部材へと案内される。そのため、他部材を、軸部材に対する姿勢合わせや位置合わせがなされた状態で軸部材の固定領域に導入し、維持することができる。また、圧入部を除く領域に接着剤充填部を設けたので、他部材と軸部材との間で高い接着力が得られる。従って、上記構成によれば、他部材と軸部材との間で高い組立て精度を得ることができ、かつ両者間で高い固定強度を得ることができる。
圧入部は、上述の通り、他部材と軸部材との間の圧入力を利用して、他部材を軸部材へと導入するためのものであるから、それほど大きな圧入力は必要ない。そのため、圧入部に形成される圧入代あるいは圧入面積は、上記姿勢合わせや位置合わせの作用を伴って他部材を案内可能な程度の最小限の大きさでよい。逆に、圧入面積を最小限に留めることで、接着面積を極力大きくとることができ、更なる接着強度の向上を図ることが可能となる。
圧入部は、例えば他部材の内周面が、軸部材の外周面より小径の第一内周面と、外周面より大径の第二内周面とを有する場合、第一内周面と軸部材の外周面との間に形成することができる。また、第二内周面と外周面との間に接着剤充填部を形成することができる。あるいは軸部材の外周面が、他部材の内周面より大径の第一外周面と、外周面より小径の第二外周面とを有する場合、第一外周面と他部材の内周面との間に圧入部を形成することができ、また第二外周面と内周面との間に接着剤充填部を形成することができる。
圧入部は、例えば対向面間領域の軸中央側端部に設けることができる。通常、他部材は、軸部材の他部材が固定される領域に近い側の軸端から導入される。そのため、他部材が軸部材に固定された状態で、圧入部が対向面間領域の軸中央側端部に設けられるように、他部材あるいは軸部材を構成しておけば、他部材が軸部材に導入され始めてから他部材全体が軸部材の固定領域に導入され終わるまでの間、圧入領域が介在する下で他部材の軸部材への導入作業が行われる。これにより、他部材の軸部材に対する姿勢合わせ又は位置合わせをより高精度に行うことができ、更に高い組立て精度を得ることができる。
また、圧入部は、例えば対向面間領域の軸方向両端に設けることもできる。かかる構成によれば、軸方向一端に位置する圧入部によって他部材の姿勢矯正がなされた後、導入方向に対して後方に位置する軸方向他端側の圧入部によって姿勢矯正が再度なされる。従って、より安定した姿勢を保った状態で他部材を軸部材の固定領域に導入することができ、好ましい。
他部材としては、例えば軸方向に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成するフランジ部が考えられる。この場合、軸部材との組立て精度(例えば直角度)を高めることで、スラスト軸受隙間がより高精度に管理される。これにより、軸受装置の更なる高回転精度化が可能となる。
他部材がフランジ部の場合、フランジ部が、その外周でシール空間を形成しているものが考えられる。この場合には、フランジ部と軸部との間の組立て精度、例えば直角度が高精度に得られることにより、フランジ部の外周面とこれに対向する面との間に形成されるシール空間が円周方向にばらつきなく高精度に形成される。従って、高いシール性能を得ることができ、より一層の高速回転化にも対応することが可能となる。
他部材としては、この他にディスクを保持するためのハブが考えられる。この場合、ハブは軸部材に対して位置合わせあるいは姿勢合わせが行われた状態で軸部材に接着固定されるので、このハブに保持されるディスクの軸方向への振れ等を低減して、かかるディスクの読取りあるいは書込み精度を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、軸部材に固定される他部材の組立て精度を高め、かつ他部材と軸部材との間の固定強度を高めた流体軸受装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体軸受装置(動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に固定されたハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はハブ3の内周に取付けられる。流体軸受装置1はブラケット6の内周に固定される。ハブ3には、情報記憶媒体としてのディスクDが1又は複数枚(図1では2枚)保持される。上述のように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する励磁力でロータマグネット5が回転し、それによってハブ3およびハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、ハウジング部7と、ハウジング部7の内周に固定されるスリーブ部8と、ハウジング部7およびスリーブ部8に対して回転する軸部材2と、軸方向に離隔した状態でそれぞれ軸部材2に固定される第一フランジ部9、および第二フランジ部10とを備える。なお、説明の便宜上、流体軸受装置1から軸部材2のハブ3固定側端部が突出する側を上側、軸部材2の突出側と反対の側を下側として以下説明する。
ハウジング部7は両端開口の筒状をなし、例えば真ちゅう等の金属で、あるいはLCP、PPS、PEEK等の結晶性樹脂又はPPSU、PES、PEI等の非晶性樹脂をベースとする樹脂組成物の射出成形で形成される。ハウジング部7の内周面7aは軸方向に径一定でストレートな円筒面となっており、その軸方向中間位置にスリーブ部8を固定している。
スリーブ部8は、例えば金属製の非孔質体あるいは焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、スリーブ部8は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング部7の内周面7aに、例えば接着(ルーズ接着を含む)、圧入(圧入接着を含む)、溶着(超音波溶着を含む)等、適宜の手段で固定される。もちろん、スリーブ部8を樹脂やセラミック等、金属以外の材料で形成することも可能である。
スリーブ部8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3(a)に示すように、複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して2箇所形成される。これら動圧溝8a1、8a2の形成領域はそれぞれラジアル軸受面として軸部材2の外周面2aと対向し、軸部材2の回転時には、外周面2aとの間に後述する第一、第二ラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間をそれぞれ形成する(図2を参照)。
スリーブ部8の下端面8bの全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図3(b)に示すように、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝8b1形成領域はスラスト軸受面として第一フランジ部9の上端面9aと対向し、軸部材2の回転時には、上端面9aとの間に後述する第一スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
スリーブ部8の上端面8cの全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図3(c)に示すように、複数の動圧溝8c1をスパイラル状に配列した領域が形成される。この動圧溝8c1形成領域はスラスト軸受面として、第二フランジ部10の下端面10aと対向し、軸部材2の回転時には、下端面10aとの間に後述する第二スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成され、スリーブ部8の内周に挿入される。軸部材2は全体として概ね同径の軸状をなし、その外周面2aの軸方向中間部(動圧溝8a1、8a2形成領域と対向しない箇所)には、他所よりも僅かに小径に形成した逃げ部2bが形成される。また、軸部材2の外周面2aのうち、第一フランジ部9および第二フランジ部10の固定領域には凹部としての円環溝2cがそれぞれ形成される。
第一フランジ部9および第二フランジ部10は、例えば真ちゅう等の銅合金をはじめとする金属材料、あるいはLCPやPPS等の樹脂材料で環状に形成される。第一フランジ部9は、その上端面9aをスリーブ部8の下端面8bと対向させた状態で軸部材2の外周に固定される。第二フランジ部10は、その下端面10aをスリーブ部8の上端面8cと対向させた状態で軸部材2の外周に固定される。
図4は、第一フランジ部9の内周面9bとこれに対向する軸部材2の外周面2aとの対向面間領域11周辺の拡大図を示す。この図において、第一フランジ部9の内周面9bは、小径面9b1と、小径面9b1と比べて大径の大径面9b2とを有する。固定前における小径面9b1(同図中1点鎖線で示す位置)の内径寸法は、対向する軸部材2の外周面2aの外径寸法と比べてやや小さい。そのため、第一フランジ部9の軸部材2への導入は、小径面9b1を外周面2aに圧入した状態で行われる。この際、外周面2aに対して小径面9b1が圧入される領域が圧入部12となる。
このようにして、第一フランジ部9の軸部材2への導入に伴い両部材9、2間に圧入部12が形成されると共に、圧入部12に生じる圧入力によって、圧入代が円周方向あるいは軸方向で均等となるように、第一フランジ部9の軸部材2に対する導入姿勢が矯正される。また、この実施形態では、環状の傾斜面9b11が小径面9b1の上端部と連続して形成されている。この傾斜面9b11が、先ず軸部材2の外周面2aと当たることで、軸部材2に対する第一フランジ部9の導入がスムーズに行われる。
大径面9b2の内径寸法は、対向する軸部材2の外周面2aの外径寸法よりも大きい。そのため、第一フランジ部9を軸部材2の固定領域(図4でいえば外周面2aのうち大径面9b2と対向する領域)に導入した状態では、大径面9b2とこれに対向する外周面2aとの間に径方向の隙間が形成され、この隙間に接着剤13が充填されることで接着剤充填部14が設けられる。図示は省略するが、第二フランジ部10の内周面10bとこれに対向する軸部材2の外周面2aとの間にも上記と同様の構成(圧入部12、接着剤充填部14等)が設けられる。
以上のように、上記構成のフランジ部9、10であれば、フランジ部9、10の、軸部材2に対する姿勢合わせ(例えば軸部材2の軸心に対する上端面9aの直角合わせ)や位置合わせ(例えばフランジ部9の軸部材2に対する軸心合わせ)がなされた状態でフランジ部9、10を軸部材2に固定することができる。また、フランジ部9、10と軸部材2との対向面間領域11に設けられた接着剤充填部14により、フランジ部9、10と軸部材2との間で高い接着力が得られる。従って、各フランジ部9、10と軸部材2との間で高い組立て精度を得ることができ、かつ両者間で高い固定強度を得ることができる。
圧入部12における圧入代あるいは圧入面積は、圧入によりフランジ部9、10を、姿勢合わせや位置合わせを伴って軸部材2の固定領域に案内可能な程度の大きさでよいため、圧入部12における圧入面積を最小限に留め、接着剤充填部14の面積、すなわち接着面積を極力大きくとるのが好ましい。これにより、フランジ部9、10と軸部材2との間の接着強度(固定強度)の更なる向上が図られる。具体的には、例えばフランジ部9、10の軸方向全長に対する圧入部12の軸方向寸法の割合が30%以上80%以下であれば、高い組付け精度と共に高い接着強度を得ることができる。この際、圧入代は、軸部材2の外径に対して少なくとも0.025%程度あればよい。また、圧入代12の軸方向寸法比が30%未満(例えば20%程度)であっても、軸部材2に対するフランジ部9、10の圧入代をある程度大きくすることで(例えば0.05%以上)、高い組付け精度と接着強度を得ることが可能である。
また、この実施形態では、軸部材2の外周面2aのうち、フランジ部9、10の固定領域(接着剤充填部14に面する箇所)にそれぞれ円環溝2cを設けたので、上述のように接着剤13を使用してフランジ部9、10を軸部材2に固定する場合、上記円環溝2cが接着剤溜りとして作用する。これにより、フランジ部9、10の軸部材2に対する接着強度(固定強度)がさらに向上する。
また、各フランジ部9、10を軸部材2に固定することにより、第一フランジ部9の上端面9aと、第二フランジ部10の下端面10aとの軸方向対向間隔から、両面9a、10a間に配置されるスリーブ部8の軸方向寸法を減じた値が、後述する第一、第二スラスト軸受部T1、T2のスラスト軸受隙間の総和として設定される。
この実施形態では、上述のように軸部材2の外周面2aに対する上端面9aの直角度が高められた状態で第一フランジ部9が軸部材2に固定される。そのため、軸部材2に対する各フランジ部9、10の軸方向における位置決めを高精度に行うことで、第一フランジ部9の上端面9aとこれに対向するスリーブ部8の下端面8bとの間に形成されるスラスト軸受隙間が均一かつ所定の幅に管理される。
第一フランジ部9の外周には、図2に示すように、下方(スリーブ部8から第一フランジ部9に向けて離隔する方向)に向けて漸次縮径する環状のテーパ面9cが形成される。同様に、第二フランジ部10の外周にも、上方(スリーブ部8から第二フランジ部10に向けて離隔する方法)に向けて漸次縮径する環状のテーパ面10cが形成される。
そのため、第一フランジ部9を軸部材2に固定した状態では、テーパ面9cを含む外周面と、この外周面に対向するハウジング部7の下端内周面7a1との間に、半径方向寸法が上方に向けて漸次縮小するテーパ状の第一シール空間S1が形成される。
同様に、第二フランジ部10を軸部材2に固定した状態では、テーパ面10cを含む外周面と、この外周面に対向するハウジング部7の上端内周面7a2との間に、半径方向寸法が下方に向けて漸次縮小するテーパ状の第二シール空間S2が形成される。
この実施形態では、上述のように、各フランジ部9、10と軸部材2との間の直角度が高精度に得られるので、フランジ部9、10の外周面に形成されるテーパ面9c、10cとこれに対向する面7a1、7a2との間に形成されるシール空間S1、S2が共に円周方向にばらつきなく高精度に形成される。従って、高いシール性能を有する流体軸受装置が提供可能となる。
上述の如くアセンブリが行われた後、フランジ部9、10で密閉されたハウジング部7の内部空間に潤滑油を注油する。これにより、スリーブ部8の内部空孔を含む、軸受内部空間を潤滑油で充満した流体軸受装置1が完成する。この際、第一および第二シール空間S1、S2の容積の総和は、少なくとも流体軸受装置1の内部空間に充満した潤滑油の温度変化に伴う体積変化量よりも大きい。そのため、潤滑油の油面は、常に両シール空間S1、S2内に維持される。
これらシール空間S1、S2は、軸部材2から外径側に張り出したフランジ部9、10の外周面(テーパ面9c、10c)とハウジング部7の内周面7a(下端内周面7a1および上端内周面7a2)との間に形成される。従って、ハウジング部に固定したシール部と軸部材の外周面との間にシール空間を形成する場合(例えば、特許文献1を参照)に比べ、シール空間をより外径側に形成することができ、これによりフランジ部9、10の軸方向肉厚の薄肉化を図りつつシール空間の必要容積を確保することができる。この場合には、フランジ部9、10と軸部材2との固定面積が減少するため、両部材間の固定強度が問題となるが、上述のように、対向面間領域11における圧入面積を必要最小限に抑える一方で、接着面積を極力大きくとることで、上述の問題を解決して、高いシール性能および軸受性能を発揮することが可能となる。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、スリーブ部8の内周面8aの動圧溝8a1、8a2形成領域は、対向する軸部材2の外周面2aとの間にラジアル軸受隙間を形成する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝の軸方向中心側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このように、動圧溝8a1、8a2によって生じる潤滑油の動圧作用によって、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第一ラジアル軸受部R1と第二ラジアル軸受部R2とがそれぞれ構成される(図2を参照)。
これと同時に、スリーブ部8の下端面8bに形成された動圧溝8b1形成領域(スラスト軸受面)とこれに対向する第一フランジ部9の上端面9aとの間のスラスト軸受隙間、およびスリーブ部8の上端面8cに形成された動圧溝8c1形成領域(スラスト軸受面)とこれに対向する第二フランジ部10の下端面10aとの間のスラスト軸受隙間に形成される潤滑油膜の圧力が、動圧溝8b1、8c1の動圧作用により高められる。そして、これら油膜の圧力によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第一スラスト軸受部T1と第二スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される(図2を参照)。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されることなく、他の構成を採ることもできる。以下、本発明の他構成を、本発明を適用可能な流体軸受装置の他の構成例と共に説明する。
上記実施形態では、圧入部12が対向面間領域11の軸方向一端に形成された場合を説明したが、圧入部12を軸方向複数箇所に形成した構成をとることもできる。例えば、図
5は、圧入部12を対向面間領域11の軸方向両端に形成した場合を例示している。同図において、第一フランジ部9の内周面9bは、上端面9a側の小径面(第一小径面)9b1と、第一小径面9b1の下端側(上端面9aと反対の側)に形成される大径面9b2、および大径面9b2のさらに下端側に形成される小径面(第二小径面)9b3とを有する。従って、上記構成の第一フランジ部9を軸部材2の固定領域に導入した状態では、図5に示すように、第一小径面9b1とこれに対向する外周面2aとの間に、対向面間領域11の上端に位置する圧入部12が形成される。また、第二小径面9b3とこれに対向する外周面2aとの間に、対向面間領域11の下端に位置する圧入部15が形成される。
この構成によれば、例えば圧入部12による第一フランジ部9の姿勢矯正が不十分であっても、下端側の圧入部15が形成されることで、かかる圧入部15に生じる圧入力により、再度第一フランジ部9の姿勢矯正が行われる。これにより、第一フランジ部9の軸部材2に対する姿勢合わせあるいは位置合わせが確実に行われた状態で第一フランジ部9が導入される。従って、両部材9、2間の組立て精度のばらつきを抑えて、かかる組立て精度をさらに高めることができる。
また、圧入部12は、対向面間領域11の導入先端側(スリーブ部8側)に形成する他、例えば図6に示すように、対向面間領域11の導入後方側端部(軸受外部側)に形成することもできる。この場合、第一フランジ部9の小径面9b1は、軸方向下端(上端面9aと反対側の端部)に設けられる。
また、上記実施形態では、軸部材2に固定される他部材として、第一フランジ部9、第二フランジ部10を設け、かかるフランジ部9、10と軸部材2との対向面間領域11に圧入部12や接着剤充填部14を設けた場合を説明したが、本発明は、他部材が軸部材2に固定されるものである限り、フランジ部以外の他部材にも適用可能である。例えば他部材としてハブ3を軸部材2に固定する場合、両部材2、3間の固定領域(対向面間領域)に、圧入部12や接着剤充填部14を設けることもできる。これによれば、ハブ3の導入姿勢が矯正され、例えばハブ3の内周面を軸部材2の外周面2aと同軸にした状態で接着固定することができる。従って、ハブ3の内周面に対するディスク搭載面3a(図1を参照)の直角度を高精度に仕上げておくことで、ハブ3が軸部材2にその軸心を合わせた状態で固定され、これにより軸部材2の回転軸とディスク搭載面3aとの間で良好な直角度が得られる。従って、モータ使用時のディスクDの軸振れを極力抑えて、ディスクDの読取りあるいは書込みを高精度に行うことができる。
また、本発明は、他部材が固定される軸部材を備えた流体軸受装置である限り、上記以外の構成をなす流体軸受装置にも適用可能である。例えば、本発明に係る流体軸受装置をポリゴンスキャナモータやファンモータ等他の用途に係るモータに組込んで使用する場合、ポリゴンスキャナモータのターンテーブルが、軸部材に固定される他部材に該当する。あるいは、ファンモータのファンが他部材に該当する。
また、上記実施形態では、軸部材2に二つのフランジ部9、10を固定し、これによりハウジング部7の両端開口部をそれぞれシールする構造を例示したが、本発明は、一端を閉口したハウジング部を有し、その一端開口部を、軸部材に固定された一のフランジ部の外周面とその対向面との間でシールする構造の流体軸受装置(図示は省略)についても適用可能である。また、フランジ部は、必ずしも、その外周でシール空間を形成している必要は無く、例えば一端面あるいは両端面とこれらに対向する面(スリーブ部8の下端面8bなど)との間にスラスト軸受隙間を形成した構成に対しても本発明を適用することができる。この場合、シール空間を、軸受側の部材(ハウジング部7やスリーブ部8の側)に設けたシール部とこれに対向する軸部材2の軸部の外周面との間に形成したものが使用可能である。
以上の構成(圧入部12、15や接着剤充填部14)は、上述の他部材(第一フランジ部9や第二フランジ部10、ハブ3など)の内周面形状を異径形状とすること等により得られる他、軸部材2の外周面2aの、他部材が固定される領域を異径形状(第一フランジ部9の内周面9bより大径の大径面と、内周面9bより小径の小径面とで構成される)とすることによっても得ることができる。
また、以上の実施形態では、ハウジング部7とスリーブ部8とをそれぞれ別体とし、スリーブ部8をハウジング部7の内部に固定する場合を説明したが、これらを軸受側の部材として金属又は樹脂の一体品とすることも可能である。あるいは一方の金属製部品をインサート部品とする樹脂材料のインサート成形で上記一体品を成形することも可能である。
また、以上の実施形態では、動圧溝などの動圧発生部を、スリーブ部8の内周面8aや下端面8b、上端面8cの側に形成した場合を説明したが、この形態に限られる必要はない。例えば上記動圧発生部を、これらと対向する軸部材2の外周面2aや第一フランジ部9の上端面9a、あるいは第二フランジ部10の下端面10aの側に形成することもできる。以下に示す形態の動圧発生部についても同様に、対向する軸部材2の側に形成することができる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2やスラスト軸受部T1、T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑流体の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に配列した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部材2の外周面2aとの間に、くさび状の径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、スリーブ部8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円内周面とし、この内周面と対向する軸部材2の真円状外周面2aとで、いわゆる真円軸受(流体潤滑軸受)を構成することもできる。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、スラスト軸受部T1、T2を、動圧溝の動圧作用により、軸部材2を非接触支持するもので構成する以外に、例えば軸部材2の端部を球面状とし、これに対向するスラスト軸受面との間で接触支持する、いわゆるピボット軸受で構成することも可能である
また、以上の第1、第2実施形態では、流体軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間や、スラスト軸受隙間に潤滑膜を形成する流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を生じ得る流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
本発明の有用性を立証するため、本発明者らは、軸部材に固定した他部材の抜去試験を行い、本発明が抜去力(固定強度)に及ぼす影響を検証した。
シール部材(試験片)としては、図7に示す形状のものを使用した。同図において、圧入部となる直線部の寸法t1を3段階(0.5、1、1.9mm)とし、また、軸との締め代C1を3μm、1μmとしたものをそれぞれφ4mmの軸に圧入接着し、抜去に必要な力を測定した。試験片の軸方向全長t2は2.5mmである。また、この際用いた接着剤はエポキシ系(株式会社ダイゾー製 エポテック353ND)であり、軸に塗布して使用した。硬化条件は120℃、1hである。
図8に試験結果を示す。同図に示すように、少なくともシール部材の軸方向全長に対する圧入部(ここでは直線部)寸法の割合が40%以上(1mm以上)であれば、締め代の値によらず高い組付け精度(ここでは軸中心線に対するシール部材端面の直角度)が得られ、かつ高い接着強度が得られた。また、軸径(φ4mm)に対する締め代C1の値をある程度大きくすることで(3μm)、直線部寸法の割合が40%未満であっても両部材の間でより高い組付け精度(直角度)が得られることがわかった。
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を組込んだスピンドルモータの断面図である。 流体軸受装置の断面図である。 (a)はスリーブ部の断面図、(b)はスリーブ部を矢印bの方向から見た下端面図、(c)はスリーブ部を矢印cの方向から見た上端面図である。 軸部材とフランジ部との対向面間領域の一形態を示す部分拡大図である。 対向面間領域の他形態を示す部分拡大図である。 対向面間領域の他形態を示す部分拡大図である。 試験片の形状を示す断面図である。 試験結果を示す図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 外周面
3 ハブ
8 スリーブ部
8a1、8b1、8c1 動圧溝
9 第一フランジ部
9a 上端面
9b 内周面
9b1 小径面
9b11 傾斜面
9b2 大径面
9c テーパ面
10 第二フランジ部
11 対向面間領域
12 圧入部
14 接着剤充填部
S1、S2 シール空間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部

Claims (6)

  1. 他部材が固定される軸部材と、軸部材の外周面とこれに対向する面との間に形成されるラジアル軸受隙間とを備え、ラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を相対回転自在に支持する流体軸受装置において、
    他部材の内周面と軸部材の外周面との対向面間領域の一部に圧入部が設けられ、かつ圧入部を除く領域に接着剤充填部が設けられることを特徴とする流体軸受装置。
  2. 他部材の内周面が、軸部材の外周面より小径の第一内周面と、外周面より大径の第二内周面とを有し、第一内周面と軸部材の外周面との間に圧入部が形成され、かつ第二内周面と外周面との間に接着剤充填部が形成される請求項1記載の流体軸受装置。
  3. 圧入部が、対向面間領域の軸中央側端部に設けられている請求項1記載の流体軸受装置。
  4. 圧入部が、対向面間領域の軸方向両端に設けられている請求項1記載の流体軸受装置。
  5. 他部材が、軸方向に対向する面との間にスラスト軸受隙間を形成するフランジ部である請求項1記載の流体軸受装置。
  6. フランジ部が、その外周でシール空間を形成している請求項4記載の流体軸受装置。
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