JP2007277441A - 生分解性樹脂用可塑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低臭性に優れ、生分解性樹脂に柔軟性を付与することができる生分解性樹脂用可塑剤、並びに低臭性及び柔軟性に優れた生分解性樹脂組成物の提供。
【解決手段】 分子中に、式CH3COCH2COO−で表されるアセト酢酸エステル基を少なくとも1つ有する化合物を含有する生分解性樹脂用可塑剤、及び生分解性樹脂と、この可塑剤とを含有する生分解性樹脂組成物、並びに式(II)又は(III)で表されるモノグリセライドのアセト酢酸エステル。
【化1】
Figure 2007277441

(式中、X1及びX2はそれぞれ独立に、炭素数2〜18のアシル基を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、生分解性樹脂用可塑剤、及び低臭性、柔軟性、透明性に優れた生分解性樹脂組成物、並びに生分解性樹脂用可塑剤として有用な新規化合物に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の石油を原料とする汎用樹脂は、軽量であることや、良好な加工性、物性及び耐久性等の性質から、日用雑貨、家電製品、自動車部品、建築材料あるいは食品包装等の様々な分野に使用されている。しかしながらこれらの樹脂製品は、役目を終えて廃棄する段階で良好な耐久性が欠点となり、自然界における分解性に劣るため、生態系に影響を及ぼす可能性がある。
このような問題を解決するために、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸及び乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル及びそれらのユニットを含むコポリマー等の生分解性樹脂が開発されている。
その中でもポリ乳酸樹脂の場合は、脆く、硬く、可撓性に欠ける特性のためにいずれも硬質成形品分野に限られ、フィルム等に成形した場合は、柔軟性が不足したり、折り曲げたとき白化等の問題があり、軟質又は半硬質分野に使用されていないのが現状である。軟質、半硬質分野に応用する技術として可塑剤を添加する方法が種々提案されている。これらの可塑剤の多くは、アルコールを出発原料として合成されるエステルで、例えばグリセリントリアセテート、ジグリセリンテトラアセテート、脂肪酸モノグリセライドジアセテートなどのグリセリン、ジグリセリン及びそれらの誘導体の酢酸エステル(特許文献1、2参照)、クエン酸トリn−ブチルアセテートなどのヒドロキシ多価カルボン酸エステルの酢酸エステルなどが挙げられる。
ここで、酢酸エステルは、原料となるアルコールを無水酢酸でアセチル化する等の方法により容易に製造されるが、これらのものをポリ乳酸などの樹脂に混練して、その樹脂を保存した場合、酸味臭が発生することが多い。臭いが生じる原因としては、該酢酸エステルを製造する際に用いる無水酢酸や副生酢酸が樹脂中に微量混入していたり、あるいは該酢酸エステルが樹脂との混練時、又は混練樹脂として保存する間に加水分解したりすることなどが考えられる。
特開2002−080703号公報 特開2000−302956号公報
本発明の課題は、低臭性に優れ、生分解性樹脂に柔軟性を付与することができる生分解性樹脂用可塑剤、並びに低臭性及び柔軟性に優れた生分解性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、分子中に、式CH3COCH2COO−で表されるアセト酢酸エステル基を少なくとも1つ有する化合物を含有する生分解性樹脂用可塑剤、及び生分解性樹脂と、この可塑剤とを含有する生分解性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は式(II)又は(III)で表されるモノグリセライドのアセト酢酸エステルを提供する。
Figure 2007277441
(式中、X1及びX2はそれぞれ独立に、炭素数2〜18のアシル基を示す。)
本発明の可塑剤は、低臭性に優れ、生分解性樹脂に柔軟性を付与することができる。また、本発明の生分解性樹脂組成物は低臭性及び柔軟性に優れている。また、前記式(II)又は(III)で表されるモノグリセライドのアセト酢酸エステルは新規化合物であり、生分解性樹脂の可塑剤として有用である。
[可塑剤]
本発明の可塑剤は、分子中に、式CH3COCH2COO−で表されるアセト酢酸エステル基を少なくとも1つ有する化合物を含有する。
分子中にアセト酢酸エステル基を有する化合物としては、柔軟性及び樹脂との相溶性の観点から、式(I)で表される化合物(以下化合物(I)という)が好ましい。
Figure 2007277441
(式中、Aは炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖の1〜6価の有機基を示し、n1、n2は1≦n1≦6、0≦n2≦5、1≦n1+n2≦6を満たす数である。Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、p1、p2はそれぞれ独立に、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す0〜20の数である。Xは炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、あるいは炭素数2〜18のアシル基を示す。尚、複数個のR,X,p1及びp2は同一でも異なっていても良い。)
式(I)において、Aは炭素数1〜18、柔軟性及び樹脂との相溶性の観点から好ましくは1〜12の直鎖又は分岐鎖の1〜6価の有機基であり、1〜4価の有機基がより好ましく、2〜3価の有機基が更に好ましい。
有機基Aとして、炭素数1〜18の1〜6価のアルコールから水酸基を除いた残基が挙げられ、相当するアルコールとしては具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノールなどの直鎖又は分岐鎖の1価アルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコールなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、ジグリセリン、ペンタエリスリトールなどの4価アルコールを挙げることができる。n1、n2は1≦n1≦6、0≦n2≦5、1≦n1+n2≦6を満たす数で、樹脂との相溶性の観点から、1≦n1≦4、0≦n2≦3、1≦n1+n2≦4を満たす数が好ましく、1≦n1≦3、0≦n2≦2、1≦n1+n2≦3を満たす数が好ましい。
Xは炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、あるいは炭素数2〜18のアシル基を示すが、柔軟性及び樹脂との相溶性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数2〜12のアシル基が好ましく、さらに炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアシル基が好ましい。
Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示すが、柔軟性及び樹脂との相溶性の観点から、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましく、エチレン基がさらに好ましい。p1、p2はそれぞれ独立に、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す0〜20の数であるが、柔軟性及び樹脂との相溶性の観点から、オキシアルキレン基の総平均付加モル数(n1×p1+n2×p2)は、0〜10が好ましく、0〜6がより好ましい。
また、本発明に用いられる分子中にアセト酢酸エステル基を有する化合物の平均分子量は、低臭性、柔軟性及び樹脂との相溶性の観点から120以上が好ましく、250〜800がより好ましく、300〜800が特に好ましい。
尚、分子中にアセト酢酸エステル基を有する化合物の平均分子量は、1H−NMRを用いて構造決定することにより算出することができる。
化合物(I)の中で、Aがグリセリンから3個の水酸基を除いた残基、Xが炭素数2〜18のアシル基、n1=2、n2=1、p1=p2=0である、上記式(II)又は(III)で表されるモノグリセライドのアセト酢酸エステルは新規化合物である。
化合物(I)は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、酢酸ナトリウムを触媒として、式(IV)
Figure 2007277441
(式中、A,R,X,n1,n2,p1及びp2は前記の意味を示す。)
で表されるアルコールとジケテンを反応させる方法(Org.Syn., 42, 28(1962))、あるいは無触媒で式(IV)で表されるアルコールをアセト酢酸エチルやアセト酢酸t−ブチルとエステル交換させる方法(J.Am.Chem.Soc., 81, 4213(1959)、J.Org.Chem., 56, 1713(1991))などが挙げられる。式(IV)で表されるアルコールとジケテンを反応させる場合、ジケテンの使用量はアルコールの水酸基1当量に対して1〜5当量が好ましく、反応温度は100〜150℃が好ましい。アセト酢酸エチルやアセト酢酸t−ブチルを用いる場合には、その使用量は式(IV)で表されるアルコールの水酸基1当量に対して1〜5当量が好ましく、反応温度は100〜150℃が好ましい。エステル交換反応においては、生成するエタノールあるいはt−ブチルアルコールを留去することによって反応が進められる。反応後は、常圧蒸留、又は減圧蒸留により過剰のジケテン、又はアセト酢酸エチルやアセト酢酸t−ブチルを除去することにより、化合物(I)が得られる。
本発明の可塑剤は、化合物(I)以外に、化合物(I)の製造における未反応分や、化合物(I)以外の可塑剤等の1種又は2種以上を含有することができる。
化合物(I)以外の可塑剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル二塩基酸エステル等が挙げられる。具体的には、ビスメチルジグリコールアジペート、ビスメチルトリグリコールサクシネート等である。
本発明の可塑剤中の、化合物(I)の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、更に好ましくは70重量%以上である。
[生分解性樹脂]
本発明で使用される生分解性樹脂としては、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性を有するポリエステル樹脂が好ましい。
本発明で使用される生分解性樹脂は、自然界において微生物が関与して低分子化合物に分解される生分解性を有していればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレートとポリヒドロキシヘキサノエートの共重合物、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と上記の脂肪族ポリエステルあるいは脂肪族芳香族コポリエステルとの混合物等が挙げられる。
これらのなかで加工性、経済性、大量に入手できることなどから、脂肪族ポリエステルが好ましく、物性の点からポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。ここで、ポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位20〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜80モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
ポリ乳酸樹脂の中で好ましいものとしては、耐熱性の観点から、光学純度90%以上の結晶性ポリ乳酸と光学純度90%未満のポリ乳酸の割合が重量比で、光学純度90%以上の結晶性ポリ乳酸/光学純度90%未満のポリ乳酸=100/0〜10/90、好ましくは100/0〜25/75のポリ乳酸樹脂が挙げられる。
市販されている生分解性樹脂としては、例えば、デュポン社製、商品名バイオマックス;BASF社製、商品名Ecoflex;EastmanChemicals社製、商品名EasterBio;昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ;日本合成化学工業(株)製、商品名マタービー;三井化学(株)製、商品名レイシア;日本触媒(株)製、商品名ルナーレ;チッソ(株)製、商品名ノボン;Nature Works LLC社製、商品名Nature Works(登録商標) PLA等が挙げられる。
これらの中では、好ましくはポリ乳酸樹脂(例えば三井化学(株)製、商品名レイシアH−100,H−280,H−400,H−440;Nature Works LLC社製、商品名Nature Works(登録商標) PLA、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル(例えば昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ)、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)等の脂肪族芳香族コポリエステル(デュポン社製、商品名バイオマックス)が挙げられる。
耐熱性の観点では、L−乳酸純度が高い結晶性生分解性樹脂が好ましく、延伸により配向結晶化させることが好ましい。結晶性生分解性樹脂としては、三井化学(株)製、レイシアH−100、H−400、H−440等が挙げられる。
[生分解性樹脂組成物]
本発明の生分解性樹脂組成物は、本発明の可塑剤と生分解性樹脂とを含有する。本発明の可塑剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、低臭性、樹脂との相溶性、柔軟性及び経済性の観点から、好ましくは1〜70重量部、更に好ましくは3〜50重量部、特に好ましくは5〜30重量部である。
本発明の生分解性樹脂組成物中の、生分解性樹脂の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。
本発明の組成物は、上記可塑剤以外に、滑剤、結晶核剤等の他の成分を含有することができる。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス類、ステアリン酸等の脂肪酸類、グリセロールエステル等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸類、モンタン酸ワックス等のエステルワックス類、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の芳香環を有するアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアルキレンオキサイド付加部分を有するアニオン型界面活性剤等が挙げられる。結晶核剤としては、天然または合成珪酸塩化合物、酸化チタン、硫酸バリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ソーダなどが挙げられ、珪酸塩化合物としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト、バーミュライト、マイカなどが例示できる。これら滑剤及び結晶核剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、それぞれ0.05〜5重量部が好ましく、0.1〜2重量部が更に好ましい。
本発明の組成物は、上記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤、上記本発明の可塑剤以外の可塑剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で含有することができる。
本発明の組成物は、加工性が良好で、例えば160〜190℃等の低温で加工することができるため、カレンダー加工も可能であり、また可塑剤の分解も起こりにくい。本発明の組成物は、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。
合成例1
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた500mLフラスコにエチレングリコール31g(0.5モル)、アセト酢酸エチル156g(1.2モル)を入れ、3時間かけて、105〜198℃まで徐々に昇温し、副生するエタノールを留去しながら反応を行わせた。反応物から減圧蒸留により初留分を除いた後、沸点147〜151℃/40Paの留分75.2gを得た。1H−NMR分析(400MHz、CDCl3溶液、TMS内標、以下同じ)によれば生成物は、エチレングリコールのアセト酢酸ジエステルであった(以下化合物1という)。
合成例2
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた1Lフラスコにジエチレングリコール63.7g(0.6モル)、アセト酢酸t−ブチル227.8g(1.44モル)、トルエン230gを入れ、留分を系外に除きながら110〜130℃で3時間加熱し、さらに、130℃で2時間加熱した。減圧蒸留より低沸点成分を除き、残渣165.0gを得た。1H−NMR分析によれば生成物は、ジエチレングリコールのアセト酢酸ジエステルであった(以下化合物2という)。
合成例3
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた500mLフラスコにグリセリン32.2g(0.35モル)、アセト酢酸t−ブチル199.3g(1.26モル)、トルエン200gを入れ、留分を系外に除きながら117〜120℃で3.5時間加熱した。さらにトルエン90gを添加し、同様に2.5時間加熱した後、3時間かけて130℃まで徐々に昇温した。減圧蒸留より低沸点成分を除き、残渣116.0gを得た。1H−NMR分析によれば生成物は、グリセリンのアセト酢酸トリエステルであった(以下化合物3という)。
合成例4
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた500mLフラスコにグリセリンモノカプリレート(太陽化学株式会社製“サンソフトNo.700H”)76.4g(0.35モル)、アセト酢酸t−ブチル132.9g(0.84モル)、トルエン133gを入れ、留分を系外に除きながら6時間かけて113〜130℃まで徐々に昇温した。さらにトルエン100gを添加し、同様に5時間加熱した後、減圧蒸留により低沸点成分を除き、残渣135.0gを得た。この生成物の1H−NMRスペクトルを図1に示す。この図1の分析によれば生成物は、以下の式(V)で表されるグリセリンモノカプリレートのアセト酢酸ジエステルであった(以下化合物4という)。
Figure 2007277441
合成例5
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた500mLフラスコにグリセリンモノカプレート(太陽化学株式会社製“サンソフトNo.760H”)73.9g(0.3モル)、アセト酢酸t−ブチル113.9g(0.72モル)、トルエン77gを入れ、留分を系外に除きながら5時間かけて115〜130℃まで徐々に昇温した。さらにトルエン74gを添加し、同様に6.5時間加熱した後、減圧蒸留により低沸点成分を除き、残渣127.8gを得た。この生成物の1H−NMRスペクトルを図2に示す。この図2の分析によれば生成物は、以下の式(VI)で表されるグリセリンモノカプレートのアセト酢酸ジエステルであった(以下化合物5という)。
Figure 2007277441
合成例6
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた500mLフラスコにグリセリンモノラウレート(太陽化学株式会社製“サンソフトNo.750H”)82.3g(0.3モル)、アセト酢酸t−ブチル113.9g(0.72モル)、トルエン 82gを入れ、留分を系外に除きながら6時間かけて112〜130℃まで徐々に昇温した。さらにトルエン82gを添加し、同様に6.5時間加熱した後、減圧蒸留により低沸点成分を除き、残渣131.5gを得た。この生成物の1H−NMRスペクトルを図3に示す。この図3の分析によれば生成物は、以下の式(VII)で表されるグリセリンモノラウレートのアセト酢酸ジエステルであった(以下化合物6という)。
Figure 2007277441
比較合成例1
攪拌機、温度計、蒸留管を備えた1Lフラスコにジグリセリン116.3g(0.7モル)を入れ、110℃で無水酢酸428.8g(4.2モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、120℃で2時間加熱した。減圧蒸留で酢酸及び過剰の無水酢酸を除いた後、減圧スチーミングを行い、残渣を得た。1H−NMR分析によれば生成物は、ジグリセリンの酢酸テトラエステルであった(以下比較化合物1という)。
実施例1〜6及び比較例1
生分解性樹脂として、50℃で24時間真空乾燥した結晶性ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製レイシア(LACEA)H−400)、可塑剤として合成例1〜5及び比較合成例1で得られた化合物を用い、生分解性樹脂100重量部に対し、可塑剤15重量部を添加して、180℃の混練機(東洋精機(株)製、“ラボプラストミル”)にて10分間混練し、190℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。得られたテストピースについて、下記の方法で、低臭性、柔軟性、透明性を評価した。結果を表1に示す。
<低臭性の評価法>
20cm×25cmのテストピース1枚を26cm×34cmのナイロン袋に密封し、室温で4週間放置した後、開封して臭いを嗅ぎ、刺激臭の有無を調べ、下記基準で評価した。
◎:臭いがしないか、あっても弱い。
○:臭いはあるが、刺激臭ではない。
×:酸味のある刺激臭がある。
<柔軟性の評価法>
テストピースを3号ダンベルで打ち抜き、温度23℃、湿度50%RHの恒温室に24時間放置し、引張速度50mm/minで引張試験を行い、柔軟性を弾性率と破断伸度%で示した。弾性率の数値は低い方が、破断伸度%の数値は大きい方が柔軟性が高いことを示す。
<透明性の評価法>
JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用い、テストピースのヘイズ値を測定した。数字の小さい方が透明性良好であり、樹脂との相溶性が優れていることを示す。
Figure 2007277441
実施例7及び比較例2
本発明の可塑剤としてアセト酢酸エチル(和光純薬工業(株)製)、比較の可塑剤として比較合成例1で得られた比較化合物1を用い、これらの可塑剤を生分解性樹脂100重量部に対し、20重量部添加する以外は実施例1と同様にしてテストピースを作成し、同様に低臭性、柔軟性、透明性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007277441
合成例4で得られた化合物4の1H−NMRスペクトルである。 合成例5で得られた化合物5の1H−NMRスペクトルである。 合成例6で得られた化合物6の1H−NMRスペクトルである。

Claims (5)

  1. 分子中に、式CH3COCH2COO−で表されるアセト酢酸エステル基を少なくとも1つ有する化合物を含有する生分解性樹脂用可塑剤。
  2. 分子中にアセト酢酸エステル基を有する化合物が、式(I)で表される化合物である請求項1記載の生分解性樹脂用可塑剤。
    Figure 2007277441
    (式中、Aは炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖の1〜6価の有機基を示し、n1、n2は1≦n1≦6、0≦n2≦5、1≦n1+n2≦6を満たす数である。Rは炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、p1、p2はそれぞれ独立に、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す0〜20の数である。Xは炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、あるいは炭素数2〜18のアシル基を示す。尚、複数個のR,X,p1及びp2は同一でも異なっていても良い。)
  3. 生分解性樹脂と、請求項1又は2記載の可塑剤とを含有する生分解性樹脂組成物。
  4. 生分解性樹脂が、ポリ乳酸樹脂である請求項3記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 式(II)又は(III)で表されるモノグリセライドのアセト酢酸エステル。
    Figure 2007277441
    (式中、X1及びX2はそれぞれ独立に、炭素数2〜18のアシル基を示す。)
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