JP2007283216A - ホウ素含有排水の処理方法 - Google Patents

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成康 吉岡
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Abstract

【課題】安価な薬剤のみを使用して安価な設備で排水処理が可能であり、かつ発生する汚泥量が少ない、ホウ素含有排水の処理方法およびホウ素資源の回収方法を提供することにある。
【解決手段】ホウ素含有排水の処理方法において、過酸化物および多価金属化合物の共存下にてpHを8以上に調整することによってホウ素含有化合物の沈殿物を形成させたのち、沈殿物を排水中から分離あるいは回収することによって、排水中のホウ素濃度を低下させる排水の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ素含有排水の処理方法およびホウ素資源の回収方法に関する。
ホウ素は、人の健康に影響を与えることが明らかとなっていることから、現在においては排出規制が実施されている。たとえば、ホウ素の排水基準は河川及び湖沼において10mg/リットル以下である。ホウ素化合物は、例えば、ガラス製品、医薬品、化粧品、半導体、めっき製品等の製造に使用され、その製造排水中に含まれている。また、火力発電所排水、排煙脱硫排水、ゴミ焼却施設排水、一部の温泉水、その他の工場排水にも含まれている場合が多い。このため、これらの排水処理においては、排水中に含まれているホウ素化合物を排水から除去しなければならない。
排水中のホウ素を除去する方法として、例えば、イオン交換樹脂により吸着させて除去する方法(特許文献1参照)やアルミニウム化合物およびカルシウム化合物を使用して不溶性の沈殿物を形成させて除去する凝集沈殿法(特許文献2参照)等が用いられてきた。
しかしながら、イオン交換樹脂によってホウ素を除去する方法は大量のイオン交換樹脂を必要とし過大な初期投資を必要とする。さらにホウ素を吸着したイオン交換樹脂に対して再生処理をおこなう必要があり、再生処理のコストがかかる上に、再生処理によって発生した高濃度のホウ素を含む再生廃液の処理が必要となるとの問題点がある。
アルミニウム化合物およびカルシウム化合物を使用してホウ素を除去する方法は硫酸バンドおよび消石灰を使用する場合以外ではホウ素を除去する能力が不十分であり、硫酸バンドおよび消石灰を使用した場合においても、排水中のホウ素化合物を排水基準以下にまで除去するには多量の薬剤が必要となるとともに、大量の汚泥が発生するとの問題があった。
排水中のホウ素をホウ素化合物の難溶性あるいは不溶性物質の沈殿物として除去する方法として、希土類化合物を使用する処理方法(特許文献3参照)およびアルカリ土類金属の水酸化物を添加し、亜臨界条件下にて処理する方法(特許文献4参照)が知られている。
排水中のホウ素をホウ素化合物の難溶性あるいは不溶性物質の沈殿物として除去する方法は大量の汚泥の発生を伴わず、かつ過大な初期投資を必要としない方法であるが、それぞれに問題点を有している。
希土類化合物を使用する処理方法においては希土類化合物が、過酸化物、ヒドロキシ多価カルボン酸およびアルカリ土類金属化合物を使用する処理方法においてはヒドロキシ多価カルボン酸が高価であり、そのために排水処理コストが高くなるとの問題があった。
アルカリ土類金属の水酸化物を添加し亜臨界条件下にて処理する方法は、反応条件として亜臨界条件を必要とすることから、上記のホウ素排水に対して連続的に処理を施せない、処理に大きなエネルギーを必要とする等の問題があった。
特公平1−43594号公報 特開2003−236562号公報 特開2004−963号公報 特開2005−279468号公報
本発明の目的は、以上のような状況から、安価な薬剤のみを使用して安価な設備で排水処理が可能であり、かつ発生する汚泥量が少ない、ホウ素含有排水の処理方法およびホウ素資源の回収方法を提供することにある。
本発明者らは前記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ホウ素含有排水の処理方法において、過酸化物および多価金属化合物の共存下にてpHを8以上に調整することによってホウ素含有化合物の沈殿物を形成させたのち、沈殿物を排水中から分離あるいは回収することによって、排水中のホウ素濃度を低下させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のホウ素含有排水の処理方法およびホウ素資源の回収方法を提供するものである。
1.ホウ素含有排水の処理方法において、過酸化物および多価金属化合物の共存下にてpHを8以上に調整することによってホウ素含有化合物の沈殿物を形成させたのち、沈殿物を排水中から分離あるいは回収することによって、排水中のホウ素濃度を低下させることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
2.過酸化物が、過酸化水素あるいは水中で反応して過酸化水素を生成する過酸化物であることを特徴とする前記1に記載のホウ素含有排水の処理方法。
3.多価金属化合物がバリウム含有化合物であることを特徴とする前記1または2に記載のホウ素含有排水の処理方法。
4.pHを10〜12に調整することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のホウ素含有排水の処理方法。
5.ホウ素含有排水に対し、前記1〜4のいずれか一項記載の排水処理方法を施すことによって排水中から分離した沈殿物を、ホウ素資源として回収する排水からのホウ素回収方法。
本発明では、ホウ素含有排水に対し、安価な設備で安価な薬剤のみを使用して、少ない汚泥量でホウ素を除去することができる。また、ホウ素を回収することによりホウ素資源を有効利用できる。
本発明は、ホウ素含有排水の処理方法およびホウ素資源の回収方法に関するものであり、対象となる排水は特に限定されないが、例えば前述のガラス製品、医薬品、化粧品、半導体、めっき製品等の製造排水、火力発電所排水、排煙脱硫排水、ごみ焼却施設排水、一部の温泉水、その他の工場や研究施設からの排水、一般家庭からの排水などが含まれる。
上記のホウ素含有排水に対し、過酸化物および多価金属化合物の共存下にてpHを8以上に調整することによって、ホウ素含有化合物沈殿物を排水中に形成することができる。
本発明において、上記の排水中に過酸化物を共存させる必要があるが、排水中に過酸化物が予め含まれている場合は、排水中に含まれている過酸化物を利用してもよく、さらに過酸化物を添加してもよい。
本発明において、排水中に過酸化物を共存させる必要があるが、使用する過酸化物に特に制限はない。例えば、過酸化水素、過酸化リチウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酢酸、過硫酸、過炭酸等が使用できる。使用する過酸化物は1種であっても、複数種を組み合わせて使用してもよい。これらの過酸化物の中では取扱いの容易さから過酸化水素を使用することが好ましい。
本発明において、排水中に共存させる多価金属化合物に特に制限はないが、たとえば、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、生石灰、消石灰、塩化バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウム、酸化バリウム、硫化バリウム、塩化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酸化ストロンチウムなどが使用できる。但し、排水中に全部または一部が溶解して多価金属イオンを生じるものであればよく、上記にあげた化合物に限るものではない。
本発明において排水中に共存させる多価金属化合物として好ましくは、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、生石灰、消石灰、塩化バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウム、酸化バリウム等のカルシウム含有化合物およびバリウム化合物が使用でき、さらに好ましくは、塩化バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウムが使用できる。
沈殿物を形成させるに際し、多価金属化合物は排水中に溶解していればよい。排水中に多価金属化合物が予め含まれている場合は排水中に含まれている多価金属化合物を利用してもよく、さらに多価金属化合物を添加してもよい。予め排水中に含まれている多価金属化合物が沈殿として含まれている場合には、酸またはアルカリを添加することによって溶解させてもよい。
本発明において、沈殿物を形成させる際の排水のpHは8以上であればよい。好ましくはpH10〜12の範囲にあればよい。この範囲外においてはホウ素含有化合物沈殿物の形成が不十分となるか、あるいは沈殿物の形成に長時間を要し、排水の処理性が悪化する場合がある。
本発明において、排水のpHを制御するために添加するpH調整剤は特に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、硝酸、塩酸などが使用できる。
本発明において、ホウ素含有化合物沈殿物を形成させるために過酸化物および多価金属化合物を排水中に共存させるに際し、排水中に過酸化物、多価金属化合物、pH調整剤のうち1種または複数種を添加する場合、その添加順序に特に制限はない。例えば、排水中に過酸化物、多価金属化合物およびpH調整剤を順次添加してもよく、あるいは、過酸化物、多価金属化合物およびpH調整剤を同時に添加してもよい。また、過酸化物、多価金属化合物およびpH調整剤のうち複数種を予め混合して調製した薬剤を排水中に添加する工程を経て、排水中にホウ素含有化合物沈殿物を形成してもよい。
排水中に形成したホウ素含有化合物沈殿物を排水中から分離あるいは回収することによって排水中のホウ素濃度を低下させることができる。
本発明において、沈殿物の分離あるいは回収の方法に特に制限はない。たとえば沈降分離、遠心分離、濾過あるいは膜分離等が使用できる。沈殿物はスラッジやスラリーとして処理水の一部を含んでいる状態で分離されてもよく、沈殿物の分離後に得られる処理水は沈殿物の一部を含んでいてよい。沈殿物の一部に可燃物が含まれる場合は安全の観点から処理水を一部含んでいることが好ましい。処理水から分離された処理水の一部を含む沈殿物は、分離後に遠心濾過装置等によって沈殿物と処理水とを再分離するといった多段分離操作をおこなってもよい。また、これらの分離操作において、任意の無機凝集剤及び/又は有機凝集剤を使用してよい。
本発明において、添加した薬剤を混合するために排水に対して混合操作を施すことが好ましい。混合の方法に特に制限はないが、例えば撹拌機を使用して混合する方法や、ラインミキサーによる混合、空気等を使用した曝気混合が使用できる。
本発明において、ホウ素含有化合物沈殿物の形成および沈殿物の分離あるいは回収は、それぞれ複数回おこなってもよい。それぞれの回数は異なってもよく、最終的に沈殿物を排水から分離すれば特に制限はない。例えば、ホウ素含有化合物沈殿物の形成および沈殿物の分離あるいは回収をそれぞれ一回ずつおこなってもよく、ホウ素含有化合物沈殿物を形成する工程を複数回繰り返した後に沈殿物の分離をおこなってもよい。
本発明において、ホウ素含有化合物沈殿物の形成方法として、本発明に記載された以外の公知のホウ素含有化合物沈殿物の形成方法を併用してもよい。本発明に記載されたホウ素含有化合物沈殿物の形成と、本発明に記載された以外の公知のホウ素含有化合物沈殿物の形成は逐次的に施されてもよく、同時に施されてもよい。
本発明において処理されるホウ素化合物を含有する排水は、多段処理の一部として、公知のホウ素排水処理法によって処理が施されたものであってもよい。また、本発明のホウ素含有排水の処理方法によって得られた処理水に対して本発明の処理方法または公知のホウ素排水処理法を再度施してもよい。たとえばイオン交換樹脂を使用する等の他のホウ素処理法を本発明の処理方法と組み合わせて施してもよい。このような多段処理を施すことで処理水のホウ素濃度をさらに低下させることができる。
本発明において処理されるホウ素化合物を含有する排水は、多段処理の一部として、公知のホウ素以外の排水処理方法によって処理が施されたものであってもよい。特に、過酸化物および多価金属化合物の共存を妨げる物質を含む排水においては、過酸化物および多価金属化合物の共存を妨げる物質を除去する処理が予め施されていることが好ましい。
本発明において、排水中に形成したホウ素含有化合物沈殿物はホウ素を含むことから、排水中から回収することによって、再利用することができる。例えば、回収した沈殿物をオルトホウ酸、ホウ砂あるいはメタホウ酸の製造原料として利用することができる。
本発明の処理方法の実施においては、バッチ処理装置、連続処理装置のいずれを使用してもよい。
次に実施例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
実施例1
ホウ酸を純水に溶解させ、ホウ素濃度が100mg/リットルのモデル排水を調製した。pHは5.2であった。このモデル排水を100g分取し、過酸化水素の35重量%水溶液1.13gを加え、30分間よく攪拌した。次いで、塩化バリウム二水和物の23.5重量%水溶液2.36gを加え、よく攪拌した。さらに、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを11.5とした。水酸化ナトリウムを加えたあと30分間攪拌した時点で生成した沈殿と処理水とをろ過にて分離した。処理水のホウ素濃度を測定したところ、16.8mg/リットルであった。
ホウ素濃度はICP発光分析装置を用いて測定した。以下、排水中のホウ素濃度の測定はすべてこの方法によっておこなった。分離した沈殿の乾燥重量を測定したところ、乾燥重量は0.11gであった。この乾燥汚泥中のホウ素含有量を測定したところ、ホウ素含有率は7.0重量%であった。
実施例2
過酸化水素の35重量%水溶液を1.15g加え、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを9.1とした以外は、実施例1と同様に処理した。処理水のホウ素濃度を測定した結果を表1に示す。
実施例3
過酸化水素の35重量%水溶液を1.13g加え、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを12.2とした以外は、実施例1と同様に処理した。処理水のホウ素濃度を測定した結果を表1に示す。
実施例4
過酸化水素の35重量%水溶液を0.22g加え、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを11.5とした以外は、実施例1と同様に処理した。処理水のホウ素濃度を測定した結果を表1に示す。
Figure 2007283216
比較例1
実施例1で使用したものと同じモデル排水を100g分取し、塩化バリウム二水和物の23.5重量%水溶液2.3gを加え、よく攪拌した。さらに、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを11.5とし30分間攪拌したが、沈殿物は形成されなかった。
比較例2
実施例1で使用したものと同じモデル排水を100g分取し、硫酸バンド18水塩0.50gを加え、よく攪拌し溶解させた。次いで、粉末消石灰1.00gを加え、よく攪拌した。生成した沈殿と処理水とをデカンテーションにて分離し、処理水のホウ素濃度を測定したところ、ホウ素濃度は54.2mg/リットルであった。デカンテーションで分離した沈殿の乾燥重量を測定したところ、乾燥重量は1.01gであった。
実施例5
ホウ素濃度が104mg/リットルの工業排水(pH7.9)を100g分取し、過酸化水素の35重量%水溶液1.13gを加え、30分間よく攪拌した。次いで、塩化バリウム二水和物の23.5重量%水溶液2.31gを加え、よく攪拌した。さらに、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを11.4とした。水酸化ナトリウムを加えたあと30分間攪拌した時点で生成した沈殿と処理水とをろ過にて分離した。処理水のホウ素濃度を測定したところ、17.2mg/リットルであった。
実施例6
ホウ素濃度が20mg/リットルのモデル排水を調製した。このモデル排水を100g分取し、過酸化水素の35重量%水溶液0.23gを加え、30分間よく攪拌した。次いで、塩化バリウム二水和物の23.5重量%水溶液0.46gを加え、よく攪拌した。さらに、水酸化ナトリウムの20重量%水溶液を加えて処理水のpHを11.3とした。水酸化ナトリウムを加えたあと30分間攪拌した時点で生成した沈殿と処理水とをろ過にて分離した。処理水のホウ素濃度を測定したところ、8.4mg/リットルであった。

Claims (5)

  1. ホウ素含有排水の処理方法において、過酸化物および多価金属化合物の共存下にてpHを8以上に調整することによってホウ素含有化合物の沈殿物を形成させたのち、該沈殿物を排水中から分離あるいは回収することによって、排水中のホウ素濃度を低下させることを特徴とするホウ素含有排水の処理方法。
  2. 過酸化物が、過酸化水素あるいは水中で反応して過酸化水素を生成する過酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有排水の処理方法。
  3. 多価金属化合物がバリウム含有化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のホウ素含有排水の処理方法。
  4. pHを10〜12に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のホウ素含有排水の処理方法。
  5. ホウ素含有排水に対し、請求項1〜4のいずれか一項記載の排水処理方法を施すことによって排水中から分離した沈殿物を、ホウ素資源として回収する排水からのホウ素回収方法。
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