JP2007283452A - 切削加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動を抑制する切削軌道を得ることにより安定した切削加工を行うことができる切削加工方法を提供すること。
【解決手段】ワーク11に形成するポケット部12の隅R部14と同じ半径を有する小径ボールエンドミル21を用いてポケット部12の壁部13及び隅R部14が形成されるように溝部16を切削した後、小径ボールエンドミル21の径よりも大きい径を有する大径ボールエンドミル31を用いて溝部16により区画された島部17を切削してポケット部12の底部15を形成するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンドミル等の切削工具を用いて被加工物に凹部を形成する切削加工方法に関する。
多くの機械部品は金型を使って成形されており、高品質の機械部品を大量に、且つ安価に製造するには金型が不可欠なものになっている。一方、従来から、金型自体の製作は長期間を要すると共に費用がかかるものとされていた。しかし、近年の金型製作においては、商品サイクルの短縮化や製造コストの削減等の理由により、製作期間の短縮と製作コストの低減が強く要望されるようになっている。
従来の金型製作は、設計、型加工、組み付け・仕上げ、トライ・修正等の順で行われている。このうち、設計期間はCADや成形シミュレーション等の発達により比較的短くできるが、型加工に最も多くの時間が費やされているのが実情である。
型加工では、大小様々な凹状のポケット部を形成させることが多くあり、一般に、このポケット部はエンドミル等の切削工具を用いて切削加工を行うことにより形成される。また、型加工の大部分は、上記ポケット部の加工のように、エンドミル等の切削工具による切削加工であるが、複雑な形状が多い型加工では、荒加工を除いては工具径を大きくできず、小径または極細の切削工具による切削加工と、深く微細な形状を形成可能な放電加工とが中心となっている。このため、加工速度を上げられず、また加工機変更といった工程が増え、加工時間が長くなる傾向にあった。
従って、金型製作期間の短縮や金型製作コストの低減を図ろうとするには、単に、切削加工の加工速度をあげる、または、加工機の統一を図ればよいが、NCテープの作成、切削工具及び被加工物の硬さ・形状、加工熱の発生(熱変形)、工具破損等の問題により、それには限界がある。即ち、加工速度を上げるだけでは、加工精度が悪化し、工具寿命が短くなるだけである。従って、安定した加工ができず、要求される精度が確保できないために、切削工具の交換頻度が増し、結果として加工時間の増大を招いてしまう。
そこで、従来から、加工時間の短縮を図った切削加工方法が種々提案されており、このような、従来の切削加工方法は、例えば、特許文献1,2に開示されている。
特開平11−347823号公報 特開2002−254231号公報
しかしながら、上述したポケット部を特許文献1,2の切削加工方法を用いて切削する場合には、先ず、ポケット部の隅R部の径よりも大きい工具径を有する切削工具を用い、所定幅の取代が残るようにポケット部の内側を荒加工する。次いで、工具径が小さくなるように段階的に切削工具を交換しながら取代を徐々に切削し、最終的に隅R部の径と同じ工具径を有する切削工具を用いて仕上げ加工を行うことになる。
従って、このような切削加工方法では、ポケット部を所定の形状まで加工するには、多種類の切削工具を使用しなくてはならず、この結果、工程数が多くなり、加工時間の増大を招くおそれがある。特に、特許文献2に記載される切削加工方法では、切削工具を複数回往復動させて切削加工を行うことになるので、多大な加工時間を要してしまう。
更に、特許文献1の切削加工方法では、切削工具の片側だけを用いて切削加工を行うことになるので、被加工物に接触していない反対側へ撓み易くなり、剛性が低い小径または極細の切削工具を用いる場合には、加工精度の低下を招いてしまう。特に、隅R部の切削時においては、切削工具の被加工物との切削(接触)面積が大きくなるので、急激な負荷がかかり、切削工具自身が回転方向に振られてしまい、所謂、びびり振動が発生する。この結果、切削工具が不安定になり、加工しようとする軌道からずれてしまい、加工面の面精度が低下するおそれがある。しかも、びびり振動により切削工具に負荷される繰り返し応力が増加されるので、工具寿命は著しく低下される。
また、工具径に関わらず、切削工具の有効長Lと工具径Dとの比率L/Dが大きくなるに従い、上記のようなびびり振動が発生し易くなる。こうした現象を避けるために、隅R部の径よりも小さい工具径を有する切削工具を使用して、切削工具を被加工物に点接触させることでこの問題を回避できるが、使用する切削工具のよっては工具径が小さくなる分、切削量が減少し、多大な加工時間を要してしまう。
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、振動を抑制する切削軌道を得ることにより安定した切削加工を行うことができる切削加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係る切削加工方法は、
被加工物に凹部を形成する切削加工方法において、
前記凹部の隅R部の径と同じ径を有する第1切削工具を用いて前記凹部の壁部及び前記隅R部が形成されるように溝を切削し、
前記第1切削工具の径よりも大きい径を有する第2切削工具を用いて前記溝により区画された部分を切削して前記凹部の底部を形成するようにした
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る切削加工方法は、
第1の発明に係る切削加工方法において、
前記第1切削工具の径と同じ径、または、前記第1切削工具の径よりも小さい径を有する第3切削工具を用いて前記凹部の仕上げ加工を行うようにした
ことを特徴とする。
第1の発明に係る切削加工方法によれば、被加工物に凹部を形成する切削加工方法において、前記凹部の隅R部の径と同じ径を有する第1切削工具を用いて前記凹部の壁部及び前記隅R部が形成されるように溝を切削し、前記第1切削工具の径よりも大きい径を有する第2切削工具を用いて前記溝により区画された部分を切削して前記凹部の底部を形成するようにしたことにより、前記第1切削工具は前記溝内に配置されることになるので振動が抑制され安定した切削加工を行うことができる。
第2の発明に係る切削加工方法によれば、第1の発明に係る切削加工方法において、前記第1切削工具の径と同じ径、または、前記第1切削工具の径よりも小さい径を有する第3切削工具を用いて前記凹部の仕上げ加工を行うようにしたことにより、更に加工面の面精度を向上させることができる。
以下、本発明に係る切削加工方法について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る切削加工方法を模式的に示した図、図2は各工程における加工条件を示した図、図3は溝加工時の切削工具にかかる負荷を示した図、図4は本発明の一実施例に係る切削加工方法で切削加工したワークの斜視図、図5(a),(b)は本発明の一実施例に係る切削加工方法に用いられるボールエンドミルの側面図、図6は大小ボールエンドミルの装着状態を示した図である。
本発明の一実施例に係る切削加工方法においては、例えば、図5(a),(b)に示す小径ボールエンドミル(第1切削工具)21及び大径ボールエンドミル(第2切削工具)31を用いて、図4に示すワーク(被加工物)11に凹状のポケット部12を形成する場合について説明する。
図4に示すワーク11は、プレス用金型や射出成形用金型等に使用されるものであって、A7075−T651のアルミニウム合金で形成されている。ワーク11にはポケット部12が形成されており、このポケット部12は縦横の長さが20mmで、深さが10mmのポケット形状をなしている。即ち、ポケット部12は前記ポケット形状をなすような壁部13及び底部15を有している。また、隣接する壁部13によって形成される角部には、R1.5の隅R部14が形成されている。
一方、図5(a)に示すように、小径ボールエンドミル21は、その先端に2枚の刃からなる刃部22を有すると共に、直径D=3mm、ボール半径R=1.5mm、有効長L=30mmで形成されている。即ち、小径ボールエンドミル21における、有効長Lと工具径Dとの比率L/Dは10となっている。また、図5(b)に示すように、大径ボールエンドミル31は、その先端に2枚の刃からなる刃部32を有すると共に、直径D=6mm、ボール半径R=3.0mm、有効長L=30mmで形成されている。即ち、大径ボールエンドミル31のL/Dは5となっている。
そして、ボールエンドミル21,31は、図6に示すマシニングセンタ41のスピンドル42に着脱可能に装着される。また、マシニングセンタ41には、回転可能に支持される主軸を介してスピンドル42に接続される回転用モータ(図示省略)と、スピンドル42に装着されるボールエンドミル21,31に向けてエアを噴射するエアノズル43と、スピンドル42に装着されるボールエンドミル21,31を水平面内で直交するX軸及びY軸と鉛直なZ軸との3軸方向に移動させる3軸駆動装置(図示省略)と、この3軸駆動装置を数値制御するNC制御装置(図示省略)とが設けられている。
従って、ボールエンドミル21,31を用いてワーク11にポケット部12を形成する場合には、先ず、ワーク11をマシニングセンタ41の取付部にセットすると共に、スピンドル41にボールエンドミル21,31のいずれか一方を装着させる。次いで、回転用モータを駆動させてボールエンドミル21,31を所定回転数で回転させながら、予めNC制御装置に入力されるポケット形状に関する数値データに基づいて3軸駆動装置を移動させることにより、ワーク11に所定のポケット形状を形成することができる。
次に、図1,2を用いて本発明の一実施例に係る切削加工方法について説明する。
先ず、図1(a)に示すように、ワーク11をマシニングセンタ41にセットする。
次いで、図1(b)に示すように、第1工程の溝加工工程(壁部及び隅R部仕上げ加工工程)では、隅R部14のR1.5と同じボール半径(半径)R1.5を有する小径ボールエンドミル21を用いて、壁部13及び隅R部14が形成されるように溝部16を切削する。この溝部16の深さ(切込量)は10mmで、溝幅は小径ボールエンドミル21の直径Dと同じ3mmとなるので、ワーク11の略中央部には、縦横の長さが14mmで、高さが10mmの島部17が形成される。また、図2に示すように、このときの小径ボールエンドミル21は、回転数が15000rpm、送り速度が500mm/minに設定されており、加工時間は10分となる。
即ち、小径ボールエンドミル21の直径Dと溝部16の溝幅とは略同一の長さになるので、切削時の小径ボールエンドミル21は溝部16を削りながらも、この溝部16内に配置されることになる。これにより、小径ボールエンドミル21は、壁部13の切削時においては壁部13と島部17の壁部とにより両側から挟まれる一方、隅R部14の切削時においては隅R部14と島部17の隅R部とにより両側から挟まれることになる。従って、ボールエンドミル21の送り方向に垂直な方向への変動が抑制されることになり、びびり振動が抑制され、安定した切削軌道で切削加工を行えるので、荒加工をすることなく、壁部13及び隅R部14を形成させることができる。
次いで、図1(c)に示すように、第2工程の島部荒加工工程では、大径ボールエンドミル31を用いて島部17を削る。島部17を削るときには、最終形状となる部分以外は加工精度が必要ないため、底部15の仕上げ代となる高さ0.5mm程の残部18を残して荒加工する。これにより、図2に示すように、大径ボールエンドミル31は、回転数が15000rpmで設定されるものの、荒加工の分、送り速度が1200mm/minに設定されており、加工時間は3分となる。
次いで、図1(d)に示すように、第3工程の底部仕上げ加工工程(残部削除加工工程)では、同じく大径ボールエンドミル31を用いて底部15が形成されるように残部18を削る。このように、底部15が形成されることで、ポケット部12の形状が完成される。また、図2示すように、大径ボールエンドミル31は、第1工程で使用されるボールエンドミル21よりも剛性が高いので、回転数が15000rpm、送り速度が1200mm/minに設定されており、加工時間は3分となる。即ち、この第3工程では、第2工程と同じ大径ボールエンドミル31を使用しているので、第2工程が終了すると、工具交換を行わずに直ちに実行される。しかも、第2工程において残部18の高さを極力抑えるように切削しているので、第2工程と同じ加工条件を用いて切削できる。
そして、図1(e)に示すように、第4工程の全仕上げ加工工程では、再び小径ボールエンドミル21を用いて工具交換による段差を除去すると共に、面精度が高くなるように切削する。このとき、小径ボールエンドミル21は、隅R部14のR1.5と同じボール半径(半径)R1.5を有しているので、隅R部14の仕上げ加工も容易に行える。また、図2に示すように、小径ボールエンドミル21は第1工程と同じ加工条件に設定されている。
従って、本発明に係る切削加工方法によれば、ポケット部12の壁部13及び隅R部14の切削において、小径ボールエンドミル21は溝部16内でガイドされることになり、溝部16の壁部、即ち、壁部13、隅R部14及び島部17がびびり振動を抑制する剛性メンバとなるので、小径ボールエンドミル21の剛性やL/Dに関係なく安定した切削加工を行うことができる。なお、溝部16の切削加工を行う場合、切り粉が溜り易くなり加工面の悪化が懸念されるが、図6に示すように、エアノズル43により切削方向と同じ向きにエアを噴射することにより、切り粉を容易に排出することができる。
また、図3に示すように、従来の切削加工方法(図中の2点鎖線)では、隅R部において切削工具に急激な負荷がかかることになるので、切削工具の破損及び撓みに繋がるおそれがあった。一方、本発明に係る切削加工方法(図中の実線)では、溝部16の切削時においては切込量が一定となることから、小径ボールエンドミル21の前面にワーク11が均一に接触することになるので、従来よりも大きくはなるが、急激な変化はなく、負荷バランスを小さくする(負荷変動を小さくする)ことができる。この結果、切削工具の破損及び撓みを防止できるだけでなく、切削加工中の発熱量が略一定となり、熱バランスが飽和してかえって安定した切削を行うことができる。
また、従来のように多種類の切削工具を使用し、いくつもの工程を踏まえて少しずつ隅R部を小さくしていたのに対し、本発明に係る切削加工方法では、2種類のボールエンドミル21,31を使用し、各ボールエンドミル21,31の加工条件を1つにしている。従って、使用する切削工具の削減、工程短縮、加工時間の短縮、NCプログラム作成の簡素化を図ることができる。しかも、2種類のボールエンドミル21,31しか使用しないので、工具交換による取付誤差や工具寸法のばらつきといった問題が低減されることになり、精度のよい切削加工を行うことができる。
更に、本発明に係る切削加工法を用いれば、5軸駆動装置を備えた工作機械や放電加工機を使用せずにポケット部12を切削加工することができる。
なお、第4工程の全仕上げ加工工程において、隅R部14のR1.5と同じボール半径(半径)R1.5を有する小径ボールエンドミル21を用いたが、隅R部14のR1.5、即ち、小径ボールエンドミル21のボール半径(半径)R1.5よりも小さいボール半径(半径)を有するボールエンドミル(第3切削工具)を用いても構わない。これにより、更に仕上げ加工精度を向上させることができる。また、本実施形態では、ボールエンドミルを用いたが、フラットエンドミル等の他のエンドミルを用いても構わない。
切り取った被加工物を再利用できるようにした切断加工(穴開け加工)に適用することができる。
本発明の一実施例に係る切削加工方法を模式的に示した図である。 各工程における加工条件を示した図である。 溝加工時の切削工具にかかる負荷を示した図である。 本発明の一実施例に係る切削加工方法で切削加工したワークの斜視図である。 (a)は本発明の一実施例に係る切削加工方法に用いられる小径ボールエンドミルの側面図、(b)は同じく大径ボールエンドミルの側面図である。 大小ボールエンドミルの装着状態を示した図である。
符号の説明
11 ワーク
12 ポケット部
13 壁部
14 隅R部
15 底部
16 溝部
17 島部
18 残部
21 小径ボールエンドミル
22 刃部
31 大径ボールエンドミル
32 刃部
41 マシニングセンタ
42 スピンドル
43 エアノズル

Claims (2)

  1. 被加工物に凹部を形成する切削加工方法において、
    前記凹部の隅R部の径と同じ径を有する第1切削工具を用いて前記凹部の壁部及び前記隅R部が形成されるように溝を切削し、
    前記第1切削工具の径よりも大きい径を有する第2切削工具を用いて前記溝により区画された部分を切削して前記凹部の底部を形成するようにした
    ことを特徴とする切削加工方法。
  2. 請求項1に記載の切削加工方法において、
    前記第1切削工具の径と同じ径、または、前記第1切削工具の径よりも小さい径を有する第3切削工具を用いて前記凹部の仕上げ加工を行うようにした
    ことを特徴とする切削加工方法。
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