JP2007289647A - 歯列矯正装置、及び歯列矯正方法 - Google Patents

歯列矯正装置、及び歯列矯正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】治療期間を大幅に短縮することができ、かつ、患者の負担を軽減する。
【解決手段】交流信号生成部30は、交流信号をコイル20に流し、コイル20に交流磁界を発生させる。人物Zは、永久磁石10が取り付けられたマウスピース40を歯に装着し、コイル20内に顔を入れる。これにより、永久磁石10はコイル20によって発生された交流磁界により振動し、人物Zの歯に振動を与える。そのため、矯正器具による矯正効果が高まる結果、歯列矯正の治療時間を大幅に短縮することができる。また、磁界によってコイル20を振動させているため、マウスピース40に電力供給線などを接続することが不要となり、治療負担を軽減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、人物等の動物の歯列を矯正する歯列矯正装置、及び歯列矯正方法に関する。
従来、歯列矯正装置としては、ワイヤーを用いたものがあり、ワイヤーの戻り力で歯列に一定力(静荷重)を付与することで、歯並びや咬み合わせを治すようにしたものがある。すなわち、歯列に一定力を付与すると、歯茎の中で歯を支えている歯槽骨が徐々にリモデリングすることで、歯列矯正ができるという原理に基づくものである。
しかし、ワイヤーを用いた歯列矯正では、治療期間が非常に長く(早くて6箇月、通常は数年)、患者にとって大きな負担となっている。また痛みを伴うことから治療を希望しないことも多い。
このような歯列矯正の期間を短縮するために、図17(a)に示すように、歯列に一定力を加えたサンプルAと、歯列に振動力を加えたサンプルBとを比較すれば、振動力を加えたサンプルBの方が期間の短縮に効果があるという研究がなされている(非特許文献1)。
同様に、図17(b)に示すように、歯列に一定力を加えたサンプルCと、歯列に一定力+振動力を加えたサンプルDとを比較すれば、一定力+振動力を加えたサンプルDの方が期間の短縮に効果があるという研究もなされている(非特許文献2)。
これらの研究によれば、歯列矯正の期間が約1/2〜1/3に大幅に短縮されることになる。それのみではなく、振動力を付与するのは、非特許文献1では1日に1.5時間だけで良く、非特許文献2では2週間に1回で2分間だけで良いとなっている。つまり、非特許文献1では1日に1.5時間だけの治療を継続すれば良く、非特許文献2では2週間に1回で2分間だけの治療を継続すれば良いことになる。
これらの研究から、歯列にワイヤー等で一定力を付与するだけよりも、振動力を付与する方が歯列矯正の期間の大幅な短縮に効果があることを理解できる。
清水:日矯歯誌45:56−72,1986 大前他:日本矯正歯科学会雑誌,60(4):201,2001
ところで、これらの研究成果を実際の治療に応用する種々の試みがなされているが、患者の負担を軽減させるという点において、更に改良の余地が残されている。
本発明の目的は、治療期間を大幅に短縮することができ、かつ、患者の負担を軽減させることができる歯列矯正装置を提供することである。
本発明による歯列矯正装置は、歯列を矯正する歯列矯正装置であって、磁界を生成する磁界生成手段と、前記磁界生成手段により生成された磁界によって振動し、歯列を矯正するための矯正器具が装着された歯を振動させる磁性体とを備えることを特徴とする。
本発明による歯列矯正方法は、磁界生成手段が、歯列に装着された磁性体を磁界により振動させ、前記歯列に振動を与えて、前記歯列を矯正することを特徴とする。
これらの構成によれば、磁界生成手段により磁界を生成し、磁性体を振動させ、矯正器具が装着された歯を振動させる。そのため、矯正器具による矯正作用を促進させ、歯列矯正の治療期間を短縮化することができる。ここで、磁界生成手段は、磁界により磁性体に振動を与えるため、磁性体と磁界生成手段とを物理的に直接接続しなくとも、磁界を振動させることができる。その結果、給電を行うための配線等が不要となることに加えて、患者は、磁界生成手段を装用する必要がなくなる。従って、磁界生成手段により生成される磁界が及ぶ空間内であれば、患者は自由に移動することが可能となり、配線に煩わされることなく治療の負担を低減させることができる。
また、上記構成において、前記磁界生成手段は、互いの軸心が交差する2個の円形コイルからなる2軸の電気コイルを用いて、磁界を生成することが好ましい。
この構成によれば、ある平面上の任意の方向に磁性体を振動させることができる。
また、上記構成において、前記磁界生成手段は、互いの軸心が交差する3個の円形コイルからなる3軸の電気コイルを用いて、磁界を生成することが好ましい。
この構成によれば、空間上の任意の方向に磁性体を振動させることができる。
また、上記構成において、前記磁界生成手段は、ヘルムホルツコイルを用いて磁界を生成することが好ましい。
この構成によれば、磁界強度が均一である領域が広くなり、不意に頭部が運動しても安定したトルクで磁性体を振動させることができ、患者の治療負担をより低減させることができる。
また、上記構成において、前記磁性体は、前記歯に装着されるマウスピースに取り付けられることが好ましい。
この構成によれば、磁性体がマウスピースに取り付けられているため、患者は磁性体を歯に容易に装着することができる。
また、上記構成において、前記矯正器具は、ワイヤーと前記ワイヤーを歯に固定するブラケットとを備え、前記磁性体は、前記ワイヤーの全部、又は前記ワイヤーの一部を構成することが好ましい。
この構成によれば、矯正器具と磁性体とを兼用させることができる。
また、上記構成において、前記矯正器具は、ワイヤーと前記ワイヤーを歯に固定するブラケットとを備え、前記磁性体は、前記ブラケットの全部、又は前記ブラケットの一部を構成することが好ましい。
この構成によれば、矯正器具と磁性体とを兼用させることができる。
また、上記構成において、前記磁界は、向きが1方向であり、かつ、大きさが周期的に変化する磁界である交番磁界であることが好ましい。
この構成によれば、磁性体を直線的に振動させることができる。
また、上記構成において、前記磁界は、ある面上に向きが回転し、かつ大きさが周期的に変化する磁界であることが好ましい。
この構成によれば、振動方向が経時的に変化するように磁性体を振動させることができる。
また、上記構成において、前記磁界生成手段は、0.15mT以上、0.18mT以下の磁界を生成することが好ましい。
この構成によれば、0.15mT以上、0.18mT以下の磁界を歯に与えると、骨化促進効果を与えることが知られているため、かかる範囲の磁界を与えることにより、磁性
体を介して歯を機械的に振動させることとの相乗効果により、骨化促進効果を高め、治療期間をより短縮化することができる。
本発明によれば、磁界生成手段により磁界を生成し、磁性体を振動させ、矯正器具が装着された歯を振動させる。そのため、矯正器具による矯正作用を促進させ、歯列矯正の治療期間を短縮化することができる。ここで、磁界生成手段は、磁界により磁性体に振動を与えるため、磁性体と磁界生成手段とを物理的に直接接続しなくとも、磁界を振動させることができる。その結果、給電を行うための配線等が不要となることに加えて、患者は、磁界生成手段を装用する必要がなくなる。従って、磁界生成手段により生成される磁界が及ぶ空間内であれば、患者は自由に移動することが可能となり、配線に煩わされることなく治療の負担を低減させることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による歯列矯正装置1の全体構成図を示している。歯列矯正装置1は、永久磁石(磁性体)10、コイル20、及び交流信号生成部30を備えている。永久磁石10は、人物Zの歯に装着されるマウスピース40に取り付けられ、コイル20により発生した交流磁界によって振動し、歯列3を振動させる。なお、永久磁石10としては、鉄を含むフェライト磁石や、最大エネルギー積(BH)max[J/m]の非常に大きなネオジウム−鉄−ボロン系やサマリウム−コバルト系の希土類の磁石などを用いることが好ましい。
コイル20は、円形コイルから構成され、軸心C1が水平方向を向くように配設され、交流信号生成部30により生成された交流信号により交流の磁界を発生させ、永久磁石10を振動させる。詳細には、コイル20は、筒状のボビン22と、ボビン22に対して所定の巻き数で巻き回された電線21とを備えている。ボビン22の直径は、人物Zの顔の断面のサイズよりも大きなサイズである。
交流信号生成部30は、周波数が例えば、50〜150Hz程度の交流信号をコイル20に供給することにより、コイル20に磁界を発生させる。なお、コイル20の巻き数と、交流信号生成部30が生成する交流信号の振幅とは、コイル20の軸心C1における磁界の実効値又は振幅が、0.15mT〜0.18mT、より好ましくは、0.16mT〜0.17mTとなるような値が予め設定されている。なお、交流信号生成部30とコイル20とは、磁界生成手段の一例に相当する。歯に対して0.15mT〜0.18mTの磁界を与えると、骨化促進効果が高まることに関しては、「T. Takano-Yamamoto, et. al.,“Effect of a Pulsing Electromagnetic Field on Demineralized Bone-matrix-induced Bone Formation”, J. Dent. Res., Vol. 71, No. 12, pp. 1920-1925, 1992」に掲載されている。これにより、0.15mT〜0.18mTの磁界を歯列3に与えることと、永久磁石10によって機械的刺激を与えることとの相乗効果により、治療期間をより短縮することができる。
以上により構成された歯列矯正装置1において、マウスピース40を装着した人物Zは、コイル20の軸心C1上であって、コイル20の中心に口が位置するように、コイル20内に顔を入れる。これにより、マウスピース40に取り付けられた永久磁石10に交流磁界が作用し、永久磁石10が振動することで、歯列3が振動する。ここで、人物Zは、歯列3に矯正器具(図2参照)を取り付けている。そのため、歯列3には、永久磁石10による振動と、矯正器具による矯正力とが加わることになる。その結果、矯正器具による歯列矯正作用が促進され、歯列矯正の治療期間を大幅に短縮化することが可能となる。
なお、図1において、人物Zを横たわらせるベッドを配設してもよい。この場合、ベッドの高さは、人物Zの口がコイル20の中心軸上に位置するような高さを有することが好ましい。また、図1において、コイル20の軸心C1が鉛直方向を向くようにコイル20を配設してもよい。この場合、人物Zは、起立姿勢でコイル20の内部に顔を入れるようになる。そして、この場合、人物Zの身長に合わせて、コイル20の高さが調節可能な調節機構(図略)をコイル20に取り付けてもよい。更に、コイル20の軸心C1が鉛直方向を向くようにコイル20を配設する場合、人物Zを起立させるのではなく、椅子に座らせても良い。こうすることで、人物Zの負担をより軽減させることができる。
図2は、図1に示す人物Zの矯正器具が装着された下顎側の歯列3を示した図である。歯列3の各歯3a〜3nのうち、奥歯3a,3nを除いた歯3b〜3mの外面部には、ブラケット(ワイヤー係止用金具)4がそれぞれ固定され、ワイヤー5は、各ブラケット4によって歯列3に係止されている。そして、ワイヤー5の戻り力で歯列3に一定力(静荷重)を付与することで、歯並びや咬み合わせを治すことができる。なお、ブラケット4とワイヤー5とは、矯正器具に相当する。ブラケット4を固定する歯やワイヤー5を係止するブラケット4は、図1に例示したものに限られるものではない。
図3は、図2に示す歯列3に図1に示すマウスピース40を装着した状態を示した図である。図3に示すように、マウスピース40の歯3f,3iの位置には、外側に突出した、凸部41が形成され、永久磁石10は、この凸部41の内側に取り付けられている。従って、コイル20により交流磁界が付与されると、永久磁石10は凸部41内において振動し、歯列3が振動される。
図4は、マウスピース40を表面から見たときの分解斜視図を示している。また、図5は、マウスピース40を裏面から見たときの分解斜視図を示している。マウスピース40は、歯列3に直接被せる内側マウスピース43と、内側マウスピース43の外側に被せる外側マウスピース42とを備え、外側マウスピース42と内側マウスピース43とを内外に二重に重ね合わせた構造を有している。
内側マウスピース43と外側マウスピース42の材料としては、マウスピース材料として普通に用いられ、衛生面の安全性が保証された材料、例えば高分子材料であるEVA(エチレン酢酸ビニル樹脂)、熱可塑性プラスチック、熱可塑性選エラストマー、シリコーンゴム等の材料を用いることが、歯や歯肉へのアレルギー等の影響を抑えることができるので好ましい。
なお、外側マウスピース42と内側マウスピース43との材料としてはEVAシートに限られるものではないが、EVAシートは電気的絶縁性が確保され、断熱材としも機能するためにより好ましい。特に内側マウスピース43にEVAシートを用いると、内側マウスピース43に軟質性を持たせることができ、これによって、永久磁石10からの振動力によって、歯3i,3fの付近の損傷を防止することが可能となる。
図5に示すように、外側マウスピース42の凸部41に永久磁石10を入れ、内側マウスピース43を外側マウスピース42に貼り合わせる。これにより、永久磁石10がマウスピース40に取り付けられることになる。ここで、外側マウスピース42と内側マウスピース43とは、例えば、超音波用着等を用いて気密に接合して一体化される。ここで、気密とは、実際には、水分が侵入しないように、水密が保たれるレベル以上に接合されていることを示す。これにより、外側マウスピース42と内側マウスピース43との内面に唾液や洗浄水等が侵入することが防止され、凸部41の内部に唾液や洗浄水等が侵入することが防止される。なお、永久磁石10に対して、凸部41及び内側マウスピース43を密着させると、永久磁石10の振動が規制される虞があるため、凸部41のサイズは、永久磁石10のサイズに対して永久磁石10が可動できる範囲分大きなサイズにすることが好ましい。
図6は、交流信号発生部30の詳細な構成を示すブロック図である。交流信号生成部30は、制御装置31、D/Aコンバータ32、及びアンプ33を備えている。制御装置31は、液晶パネル等の表示装置、マウス及びキーボード等の入力装置、CPU、ROM、RAM、並びにハードディスク等を備えるパーソナルコンピュータから構成され、デジタルの交流信号を生成し、D/Aコンバータ32に出力する。
ハードディスクには、入力装置を用いて入力された交流信号の振幅、及び周波数等に従って、交流信号を生成する交流信号生成プログラムが記憶されており、CPUはこの交流信号生成プログラムを実行することで、ユーザにより振幅等が設定されたデジタルの交流信号をD/Aコンバータ32に出力する。
D/Aコンバータ32は、制御装置31と、例えばUSBケーブルを介して接続され、制御装置31から出力されたデジタルの交流信号を、デジタル/アナログ変換して、アナログの交流信号を生成し、アンプ33に出力する。アンプ33は、D/Aコンバータ32から出力されたアナログの交流信号を所定の利得で増幅し、コイル20に出力する。
図7(a)は、コイル20によって発生された磁界Hが、永久磁石10に及ぼす作用を示した図であり、図7(b)は、コイル20によって発生された磁界の経時的変化を示すグラフである。なお、図7(a)に示す+Xは軸心C1の手前向きの方向を示し、−Xは+Xに対して正反対(180度)の方向を示している。コイル20内には、ボビン22の周方向に沿って、電流が流れるため、コイル20の中心付近には、軸心C1方向に磁界Hが発生するが、コイル20には交流信号が流れるため、コイル20の内部には、軸心C1方向上で大きさが周期的に変化する磁界Hが発生する。具体的には、図7(b)に示すように、時刻t1において+X方向を向いていた磁界Hは、時刻t2に向かうにつれてサインカーブに従って減少していき、時刻t2において0となる。そして、磁界Hは、時刻t3に向かうにつれて、サインカーブに従って、−X方向に増大していき、時刻t3において、ピークに到達した後、再度、サインカーブに従って減少していく。
従って、X方向に対して、磁気モーメントMの向きが直交するように、永久磁石10を配置すれば、永久磁石10は、磁界Hが+X方向を向いているときは、鉛直下向きに磁界Hと磁気モーメントMとの積に比例する大きさのトルクTを受け、磁界Hが−X方向を向いているときは、鉛直方向に磁界Hと磁気モーメントMとの積に比例する大きさのトルクTを受けることで矢印符号Bで示すように振動する。
交流信号の周波数を大きくすると磁界の向きの変化が速くなる結果、永久磁石10を高速に振動させることができる。これは、永久磁石10の質量や形状等の条件によりその上限周波数は制約されるものの、交流信号の周波数を調整することで、永久磁石10が振動する速度を制御することが可能であることを意味する。また、コイル20により発生される磁界Hの強さはコイル20に通電する交流信号(交流電流)の実効値に比例するため、トルクTの大きさは、永久磁石10の磁気モーメントMが一定であるとすると、交流信号の実効値によって調整することが可能となる。
以上のことから、コイル20に通電する交流信号の周波数と実効値を調整することにより、永久磁石10の機械的振動を外部のコイル20によって制御することが可能となり、永久磁石10が取り付けられたマウスピース40の装着者である人物Zの歯に機械的刺激(振動)を付与することができる。
このように、実施の形態1による歯列矯正装置1によれば、コイル20により磁界Hを発生させて、永久磁石10を振動させ、矯正器具が装着された歯を振動させる。そのため、矯正器具による矯正作用を促進させ、歯列矯正の治療期間を短縮化することができる。ここで、永久磁石10は、磁界Hにより振動されているため、永久磁石10とコイル20とを物理的に直接接続しなくとも、磁界Hを振動させることができる。その結果、給電を行うための配線等が不要となることに加えて、人物Zは、磁界生成手段を装用する必要がなくなる。従って、コイル20により生成される磁界Hが及ぶ空間内であれば、患者は自由に移動することが可能となり、配線に煩わされることなく治療の負担を低減させることができる。
更に、外側マウスピース42と内側マウスピース43との間に、永久磁石10を埋め込む構造を採用しているため、永久磁石10が直接人物Zに触れることを防止することができる。その結果、唾液によって永久磁石10が溶出し、溶出した成分が人物Zに悪影響を与えることを回避することができる。また、永久磁石10に鉄が含まれると、水分に曝されることによって、永久磁石10が腐食する虞があるが、永久磁石10はマウスピース40内に隔離するように取り付けられているため、マウスピース40を水で洗浄することも可能となりメンテナンスが容易になる。
なお、本実施の形態では、マウスピース40として、歯列3全体を覆うマウスピースを例示したが、これに限定されず、矯正対象となる歯が含まれるように、歯列3の一部を覆うサイズのものであってもよいし、矯正対象となる歯のみを覆うサイズであってもよい。
また、マウスピース40の形状は、矯正対象となる歯列に適合した形状を有してもよいし、マウスピース40がもつ弾性力を矯正力として利用するために、矯正前の歯列3とはわずかに異なり、かつ、矯正目標となる歯列3の形状を有するものであってもよい。この場合、マウスピース40が矯正器具となるため、ワイヤー5等は不要となる。
更に、本実施の形態では、永久磁石10が2箇所に取り付けられたマウスピース40を例示したが、これは一例にすぎず、永久磁石10を1箇所に取り付けてもよいし、3箇所以上取り付けても良い。また、永久磁石10が歯列3の表面側に位置するように、永久磁石10を取り付けたが、これに限定されず、永久磁石10を歯列3の裏側(舌側)の側面に取り付けても良い。更に、永久磁石10が歯の冠部に位置するように、永久磁石10をマウスピースの頂部に取り付けても良い。
更に、本実施の形態では、外側マウスピース42と内側マウスピース43との間に永久磁石10が取り付けられているが、これに限定されず、一重構造のマウスピースに取り付けてもよい。
(実施の形態2)
図8は実施の形態2による歯列矯正装置1aのコイル20aを示した図である。実施の形態2による歯列矯正装置1aは、実施の形態1の歯列矯正装置1のコイル20を、図8に示すような2個の円形コイル210,220により構成したことを特徴とする。なお、実施の形態2の歯列矯正装置1aは、コイル20a以外の部分については、実施の形態1の歯列矯正装置1と大きな違いがないため、重複する部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
図8に示すようにコイル210は、ボビン211とボビン211に巻き回された電線212とを備えている。ボビン211の直径は、実施の形態1のボビン22とほぼ同一の大きさである。コイル220は、ボビン211とボビン211に巻き回された電線212とを備えている。ボビン221の直径は、ボビン211の直径とほぼ同一である。又、ボビン211と221との幅dはほぼ同一である。
図9は、実施の形態2による交流信号生成部30aのブロック図を示している。交流信号生成部30aは、実施の形態1による交流信号生成部30に対して、2個のアンプ33,34を備えていることを特徴とする。制御装置31は、コイル210に対応するデジタルの交流信号A1とコイル220に対応するデジタルの交流信号A2とを生成し、D/Aコンバータ32に出力する。ここで、制御装置31は、デジタルの交流信号A1,A2を時分割多重して、D/Aコンバータ32に出力する。D/Aコンバータ32は、マルチプレクサ321と、チャンネルCH0に対応するD/Aコンバータ322と、チャンネルCH1に対応するD/Aコンバータ323とを備える。
マルチプレクサ321は、制御装置31の制御の下、デジタルの交流信号A1を、D/Aコンバータ322に出力し、デジタルの交流信号A2をD/Aコンバータ323に出力する。D/Aコンバータ322は、制御装置31の制御の下、デジタルの交流信号A1をアナログ/デジタル変換して、アンプ33に出力する。D/Aコンバータ323は、制御装置31の制御の下、デジタルの交流信号A2をデジタル/アナログ変換して、アンプ34に出力する。アンプ33,34は各々、交流信号A1,A2を所定の利得で増幅し、コイル210,220に出力する。
図8に示すように、コイル210の軸心C210は、コイル210の中心Oにおいて、コイル210の軸心C220と直交している。従って、コイル210とコイル220の各々に流れる交流信号A1,A2の振幅、位相、周波数を適当な値に設定することで、軸心C210と軸心C220と含む水平面S1上の任意の方向に磁界を発生させることができる。
例えば、コイル210とコイル220とに通電する交流信号(交流電流)A1,A2の周波数を同一とし、それらの位相差を0とすると、図7(b)に示すように、1方向に変化する磁界Hが発生する。このように、向きが1方向であり、周期的に大きさが変化する磁界Hを交番磁界という。なお、交番磁界は交流磁界の特殊な場合である。
また、コイル210とコイル220とに通電する交流信号(交流電流)A1,A2の周波数は同じであるが、それらの位相差が90度であるとき、磁界Hの向きは、図8に示すように水平面S1上を回転する。この回転方向は、交流信号A1,A2のうちどちらの位相が進んでいるかによって決定される。
更に、コイル210とコイル220とに通電する交流信号A1,A2の周波数に整数比の関係があるとき、発生する磁界Hは、向きが水平面S1上を回転し、かつ大きさが周期的に変化する。そして、磁気モーメントMの方向を適当に設定することで、永久磁石10に与えるトルクTの向きを制御でき、永久磁石10の振動方向を調整することができる。なお、磁気モーメントMの向きは、マウスピース40への永久磁石10の埋め込む向きを変えたり、人物の顔の向きを変えたりすることによって調整すればよい。
図10は、制御装置31の表示部に表示される交流信号A1,A2を設定するための操作画面を示した図である。図10に示す操作画面には、2つの波形表示欄G1,G2と、3つの設定欄G3〜G5とを備えている。
設定欄G3〜G5には、それぞれ、位相、電圧、及び周波数を設定する欄が設けられている。交流信号A1の位相、電圧、及び周波数は、設定欄G3を操作することで設定することができ、交流信号A2の位相、電圧、及び周波数は、設定欄G4を操作することで設定することができる。
設定欄G3〜G5は同一構成であるため、設定欄G3のみ説明する。設定欄G3は左端に表示され、交流信号A1に対して設定された位相、電圧(振幅)、及び周波数を数値表示する数値表示欄W1〜W3を備えている。数値表示欄W1〜W3の右側には、スライドバーSL1〜SL3が表示されている。このスライドバーSL1〜SL3はマウスでドラッグ可能となっている。数値表示欄W1〜W3には、スライドバーSL1〜SL3のドラッグ量に応じた数値が表示される。例えば、位相を調整するためのスライドバーSL1は、左端に位置するとき、数値表示欄W1には0と表示され、右端に位置するとき、数値表示欄W1には360度と表示されというように、ユーザはスライドバーSL1をドラッグすることで、交流信号A1の位相を設定することができる。なお、数値表示欄W1〜W3に直接数値を入力しても、位相、振幅、及び周波数を設定することができる。
設定欄G3〜G5の右側には、交流信号の振幅スケールを設定するための電圧レンジ欄が表示されている。例えば、電圧レンジが−10V〜+10Vに設定されている場合、数値表示欄W2には、0〜10の範囲で数値を表示させることができ、交流信号A1の振幅を設定することが可能となる。
スライドバーSL1〜SL3の右側には、交流信号A1の波形を定めるための出力波形欄W4が表示されている。この出力波形欄W4には、予め定められた波形の中からいずれかの波形を選択できるようなプルダウンメニューが表示されるようになっている。
波形表示欄G1は、縦軸が電圧を示し、横軸が位相を示し、設定欄G3〜G5で設定された、3つの交流信号の波形が表示される。実施の形態2では、2個のコイル210,220を用いるため、図10では、設定欄G3,G4で設定された交流信号A1,A2の波形が表示されている。なお、後述する実施の形態3のように3個のコイルを使用する場合は、3個目のコイルに対する交流信号A3は、設定欄G5を操作することで設定される。
制御装置31は、設定欄G3〜G5で設定された交流信号A1〜A3を合成し、波形表示欄G2に表示する。波形表示欄G2は、コイル20aを真上から見たときの合成波形を示し、縦軸がCH1、すなわち、コイル220を示し、横軸がCH0、すなわち、コイル210を示している。例えば、図10に示すように、交流信号A2の位相を交流信号A1の位相に対して90度ずらした場合、コイル210とコイル220との合成磁界は、水平面S1上で反時計回りの方向に回転するため、波形表示欄G2において、磁界Hを示す扇形の領域D1が反時計回りに回転する。
以上説明したように、実施の形態2による歯列矯正装置1aによれば、コイル20aは2個のコイル210,220を備えているため、1方向に大きさが周期的に変化する交番磁界、水平面S1上で方向が回転する磁界、又は水平面S1上で方向が回転し、かつ、大きさが周期的に変化する磁界を発生させることができるため、永久磁石10を種々のパターンで振動させることができる。
なお、実施の形態2において、コイル210,220は、中心Oにおいて、軸心C210と軸心C220とが直交するように配置されているが、これに限定されず、中心Oにおいて、軸心C210と軸心C220とが90度以外の方向で交差するように配置しても良い。
また、図11に示すように、コイル210とコイル220とを同軸上に配列し、コイル20aをヘルムホルツコイルとしてもよい。この場合、コイル20aの中心付近の磁界Hの強さが一定となる領域が増大し、永久磁石10の振動を安定させることができる。そのため、人物Zの頭部が多少動いても、永久磁石10に作用する磁界は変化しなくなり、不意の頭部運動に対しての頑健性が得られ、より均一なトルクを永久磁石10に付与することが可能となる。
更に、図12に示すように、人物Zが頭を置く枕(ヘッドレスト)400の両側壁401,402に同軸上に直径が例えば100mmのコイル210,220を配置してもよい。この場合、永久磁石10が取り付けられたマウスピース40を装着した人物Zが枕400に頭を置いて横たわると、コイル210,220によって発生された交流の磁界Hによって、永久磁石10が振動し、人物Zの歯を振動させることができる。これにより、人物Zの負担を軽減させることができる。
(実施の形態3)
図13は、実施の形態3による歯列矯正装置1bのコイル20bを示した図である。実施の形態3によるコイル20bは、3個のコイル210,220,230を備えることを特徴とする。なお、実施の形態3において、実施の形態1,2と同一のものは、同一の符号を付し説明を省略する。
コイル210〜230は、軸心C210〜C230が、中心Oにおいて互いに直交するように配置されている。なお、コイル230は、実施の形態2に示すコイル210,220と同一構成であるため、説明を省略する。コイル210〜230の巻き数は同一であり、各々の直径もほぼ同一であり、幅dもほぼ同一である。
図14は、実施の形態3による交流信号生成部30bのブロック図を示している。実施の形態3による交流信号生成部30bは、実施の形態2による交流信号生成部30bに対して、コイル230に対応するD/Aコンバータ324を備えると共に、コイル230に対応するアンプ35を備えることを特徴とする。
制御装置31は、3個のコイル210〜230の各々に供給するデジタルの交流信号A1〜A3を生成し、時分割多重によりマルチプレクサ321に出力する。マルチプレクサ321は、制御装置31の制御の下、アナログの交流信号A1〜A3をそれぞれ、D/Aコンバータ322〜324に出力する。D/Aコンバータ322〜324は、それぞれ、デジタルの交流信号A1〜A3をデジタル/アナログ変換して、アンプ33〜35に出力する。アンプ33〜35は、それぞれ、交流信号A1〜A3を所定の利得で増幅し、コイル210〜230に出力する。
ユーザは、図10に示す操作画面において、交流信号A1〜A3の位相、電圧(振幅)、及び周波数を設定することで、3次元空間内の任意の方向に、磁界Hを発生させることができる。つまり、実施の形態2では、水平面S1上でしか磁界Hを発生させることができなかったが、このように3個のコイル210〜230を設けることにより、水平面S1に対して中心Oを通って交差する任意の平面内において、磁界Hを1方向に変化させたり、回転させたりすることが可能となる。
以上説明したように、実施の形態3による歯列矯正装置1bによれば、3個のコイル210〜230を備えているため、磁界Hが振動するパターンのバリエーションをより増大させることが可能となり、永久磁石10をより多くのパターンで振動させることができる。
(実施の形態4)
実施の形態4による歯列矯正装置1cは、矯正器具と磁性体とを兼用したことを特徴とする。図15は、実施の形態4による歯列矯正装置1cの矯正器具が取り付けられた下顎側の歯列3を示した図である。なお、実施の形態4において、実施の形態1〜3と同一のものは同一の符号を付し、説明を省略する。
実施の形態4による矯正器具は、ワイヤー5が磁性体で構成されている。そのため、ワイヤー5に実施の形態1〜3で示す交流磁界を印加すると、ワイヤー5は振動し、歯列3に機械的振動を付与することになる。すなわち、歯列3は、ワイヤー5からの戻り力とワイヤーからの機械的振動とが付与され、実施の形態1〜3の場合と同様に、歯列矯正作用が促進されることになる。そして、ワイヤー5を磁性体により構成しているため、矯正器具と磁性体とを兼用させることができ、矯正器具に加えて別途、永久磁石を採用する必要がなくなり、部品点数を削減することができる。また、患者の口内に取り付けられる部品が少なくなるため、患者に対する不快感をより軽減させることができる。
なお、ワイヤー5の全体を磁性体で構成することに代えて、ワイヤー5において、矯正対象となる歯に対向する領域のみを磁性体により構成してもよい。例えば図15に示す3fが矯正対象の歯であるとすると、ワイヤー5において、歯3fに対向する領域5aのみを磁性体により構成してもよい。この場合、領域5aを磁化されたワイヤー切片で構成し、それ以外のワイヤー5の領域を磁化されていないワイヤー切片で構成し、これらのワイヤー切片を溶接する等して接続することで、ワイヤー5を構成すればよい。
更に、磁化されたワイヤー5を用いることなく、全部又は一部が磁化されたブラケットを用いることで、矯正器具と磁性体とを兼用させてもよい。この場合、矯正対象となる歯に取り付けられるブラケットを磁化されたブラケットで構成する、或いは、ブラケットの一部に磁石を取り付けて構成し、他の歯を磁化されていないブラケットにより構成すればよい。図16は、磁化されたブラケットが採用された矯正器具を下顎の歯列3に装着した場合を示した図である。図16に示す歯3fが矯正対象の歯であるとすると、歯3fに取り付けられるブラケット4aを磁性体で構成する。ブラケット4aに実施の形態1〜3で示す交流磁界を印加すると、ブラケット4aは、交流磁界によって振動し、歯列3に機械的振動を付与することになる。すなわち、歯列3は、ワイヤー5からの戻り力とブラケット4aからの機械的振動とが付与され、実施の形態1〜3の場合と同様に、歯列矯正作用が促進されることになる。そして、ブラケット4aを磁性体により構成しているため、矯正器具と磁性体とを兼用させることができ、矯正器具に加えて別途、永久磁石を採用する必要がなくなり、部品点数を削減することができる。また、患者の口内に取り付けられる部品が少なくなるため、患者に対する不快感を軽減させることができる。
本発明の実施の形態1による歯列矯正装置1の全体構成図を示している。 図1に示す人物Zの下顎側の歯列3を示した図である。 図2に示す歯列3に図1に示すマウスピース40を装着した状態を示した図である。 マウスピース40を表面から見たときの分解斜視図を示している。 マウスピース40を裏面から見たときの分解斜視図を示している。 交流信号発生部30の詳細な構成を示すブロック図である。 (a)は、コイル20によって発生された磁界Hが、永久磁石10に及ぼす作用を示した図であり、(b)は、コイル20によって発生された磁界の経時的変化を示すグラフである。 実施の形態2による歯列矯正装置1aのコイル20aを示した図である。 実施の形態2による交流信号生成部30aのブロック図を示している。 制御装置31の表示部に表示される交流信号A1,A2を設定するための操作画面を示した図である。 コイル20aをヘルムホルツコイルとしたときの図を示している。 コイル20aを人物Zが頭を置く枕(ヘッドレスト)400の両側壁401,402に配置したときの図を示している。 実施の形態3による歯列矯正装置1bのコイル20bを示した図である。 実施の形態3による交流信号生成部30bのブロック図を示している。 実施の形態4による歯列矯正装置1cの矯正器具が取り付けられた下顎側の歯列3を示した図である。 実施の形態4による歯列矯正装置1cの矯正器具の他の例を示した図である。 従来技術を説明する図である。
符号の説明
1,1a,1b,1c 歯列矯正装置
3 歯列
4 ブラケット
5 ワイヤー
10 永久磁石
20,20a,20b コイル
21 電線
22 ボビン
30,30a,30b 交流信号生成部
31 制御装置
32,322,323,324 D/Aコンバータ
33,34,35アンプ
40 マウスピース
41 凸部
42 外側マウスピース
43 内側マウスピース
210,220,230 コイル
321 マルチプレクサ
400 枕
A1,A2,A3 交流信号

Claims (11)

  1. 歯列を矯正する歯列矯正装置であって、
    磁界を生成する磁界生成手段と、
    前記磁界生成手段により生成された磁界によって振動し、歯列を矯正するための矯正器具が装着された歯を振動させる磁性体とを備えることを特徴とする歯列矯正装置。
  2. 前記磁界生成手段は、互いの軸心が交差する2個の円形コイルからなる2軸の電気コイルを用いて、磁界を生成することを特徴とする請求項1記載の歯列矯正装置。
  3. 前記磁界生成手段は、互いの軸心が交差する3個の円形コイルからなる3軸の電気コイルを用いて、磁界を生成することを特徴とする請求項1記載の歯列矯正装置。
  4. 前記磁界生成手段は、ヘルムホルツコイルを用いて磁界を生成することを特徴とする請求項1記載の歯列矯正装置。
  5. 前記磁性体は、歯に装着されるマウスピースに取り付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  6. 前記矯正器具は、ワイヤーと前記ワイヤーを歯に固定するブラケットとを備え、
    前記磁性体は、前記ワイヤーの全部、又は前記ワイヤーの一部を構成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  7. 前記矯正器具は、ワイヤーと前記ワイヤーを歯に固定するブラケットとを備え、
    前記磁性体は、前記ブラケットの全部、又は前記ブラケットの一部を構成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  8. 前記磁界は、向きが1方向であり、かつ大きさが周期的に変化する磁界である交番磁界であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  9. 前記磁界は、ある面上で向きが回転し、かつ大きさが周期的に変化する磁界であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  10. 前記磁界生成手段は、0.15mT以上0.18mT以下の磁界を生成することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の歯列矯正装置。
  11. 磁界生成手段が、歯列に装着された磁性体を磁界により振動させ、前記歯列に振動を与えて、前記歯列を矯正することを特徴とする歯列矯正方法。
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