JP2007294398A - 有機デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高品質な保護膜を有する有機デバイスを製造する。
【解決手段】有機素子を形成した有機素子基板W1 上に保護膜を成膜する。この成膜工程で、有機素子基板W1 の裏面側に設けた導電性裏板11を、基板周縁部に当接される外周部と、基板中央部に当接される中央部とに分割し、中央部に−10V、外周部に−5Vのバイアス電圧を印加する。これによって、放電手段12によるプラズマ電位に対する有機素子基板W1 の電位差を基板全体で均一化し、成膜される保護膜の膜厚分布を±2%以内に抑える。
【選択図】図1
【解決手段】有機素子を形成した有機素子基板W1 上に保護膜を成膜する。この成膜工程で、有機素子基板W1 の裏面側に設けた導電性裏板11を、基板周縁部に当接される外周部と、基板中央部に当接される中央部とに分割し、中央部に−10V、外周部に−5Vのバイアス電圧を印加する。これによって、放電手段12によるプラズマ電位に対する有機素子基板W1 の電位差を基板全体で均一化し、成膜される保護膜の膜厚分布を±2%以内に抑える。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)あるいは有機FET等の有機デバイスの製造方法に関するものである。
有機ELは一対の電極とその間に配置される有機化合物層とから構成された有機素子(有機EL素子)を有し、その有機素子の上に保護膜(パッシベーション膜)を設けることが知られている(特許文献1参照)。有機素子は水分や酸素に対する耐性が極めて悪いので、その特性を維持するために保護膜には高度な防湿性や防酸化性が要求される。また、有機素子は、保護膜等の成膜中の熱やプラズマダメージなどに極めて弱く、これらの影響如何では劣化をきたし充分な特性を発揮できなくなる弱点をもつ。
従来の成膜技術においては、防湿性や防酸化性を有する保護膜を成膜するために、被保護体を高温にして低圧力下においてスパッタ、CVD等によって成膜する方法が採用されてきた。例えば、スパッタやプラズマCVDを利用した技術は特許文献2および特許文献3に開示されている。
特開2003−217829号公報
特開2004−339581号公報
特開2004−006444号公報
しかし、有機EL等の有機素子に保護膜を形成する場合は、有機化合物が劣化をきたさない程度に低温で、プラズマダメージが少ない条件で行われなければならない。従来の技術によって有機デバイスの保護膜を形成しようとすると、有機化合物が熱劣化やプラズマダメージによる変性や分解を起こしてしまう。そのようなことが起らないように低温または低電力条件で保護膜を形成すると、防湿性の高い緻密な保護膜の形成が困難となる。さらに、プラズマが基板や放電空間の形状の影響を受けて膜厚ムラを生じやすくなり、保護膜の特性である防湿性能を安定して得ることができない。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、有機素子上に、安定した防湿性能を有する保護膜を形成することのできる有機デバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の有機デバイスの製造方法は、基板と、一対の電極と前記一対の電極の間に有機化合物層を有する有機素子と、前記有機素子を覆う保護膜と、を備えた有機デバイスの製造方法において、前記基板上の前記有機素子に前記保護膜を成膜する成膜工程を有し、前記成膜工程において、前記基板の裏側に配置される導電性部材の、前記基板と重なる中央領域と、前記中央領域の周辺の外周領域に、個別にバイアス電圧を印加した状態で、前記基板上の前記有機素子に前記保護膜を成膜することを特徴とする。
保護膜形成時のプラズマ電位を、基板面内において中心部から周辺部まで均一化することができる。これによって、保護膜の膜厚分布を絶対値で2%以内に抑えることが可能となり、防湿性能の高い有機デバイスを実現できる。
本発明に係る有機デバイスの製造方法を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、有機ELや有機FET等の有機デバイスの有機素子を覆う保護膜を、スパッタやCVD法(化学気相成長法)のプラズマ放電により成膜するためのチャンバー10は、通常導電性の筐体で区分されアース電位にある。チャンバー10内にプラズマを封じ込め、基板上に有機素子を形成した有機素子基板W1 に保護膜が堆積される。チャンバー10は、プロセスガスを導入するためのガス供給手段10aと、排気手段10bとを備え、保護膜は原料となる成分がチャンバー10内で電荷を帯びた状態で有機素子上に堆積されて得られる膜である。
有機素子基板W1 の表面電位は周囲の筐体電位とは異なり、誘電体を有する有機素子上に保護膜を形成しようとすると筐体電位の影響を受けた基板周辺部と中心部では成膜速度が異なるため、均一な膜厚および膜質の保護膜を形成することが困難となる。
この電荷を帯びた状態の成分を有機素子に均一に引き寄せるために、有機素子基板W1 の中心部裏面と周辺部裏面に個別に対応するように分割した2つの導電部位からなる導電性裏板(導電性部材)11を配設する。
裏板とは、基板(有機素子基板)の被成膜面に対する裏側に配置される板のことである。基板の被成膜面とは、本実施形態において有機デバイスが配置されている側の面のことであり、基板の被成膜面に膜を形成するということは、有機デバイスを膜で覆うことができるということである。
裏板が導電性であり、領域ごとにバイアス電圧を個別に印加することができる。より具体的には、導電性裏板は、導電性裏板面内に基板が配置され基板と重なる中央領域と、中央領域の周辺に相当する外周領域とに区別される。外周領域とはより具体的には幅のある枠形状の領域であり、導電性裏板はそれぞれの領域ごとにバイアス電位を個別に印加することができる。
そして、放電手段12による保護膜の成膜中の基板電位が基板面内(基板中心と基板周辺)で均一になるように、導電性裏板11の各導電部位ごとに制御されたバイアス電圧を印加する。例えば、各導電部位ごとに20%以上の異なる電圧を印加する。
この際、基板の配置される位置は、成膜される面(被成膜面)が下向きであってもかまわない。
これによって、有機素子上に均一な保護膜を形成できる。そして、プラズマ空間内の粒子のうち、保護膜の成分になりうる粒子が有機素子に均等に引き寄せられひずみのない堆積膜が形成されるため、保護膜の特性である防湿性能が向上する。保護膜を均一にすることで、有機ELの場合は輝度ムラのない均一な発光が得られるという利点もある。
保護膜の特性である防湿性能とは、より具体的には保護膜で封止した素子が60℃、90%の恒温高湿度加速耐久時間500時間以上を経て発光時にダークスポットを生じない性能である。より好ましくは1000時間以上を経て発光時にダークスポットを生じない性能である。この耐久時間の数値500時間以上とは、有機素子基板の中心部と周辺部に分割して基板電位が均一になるようにバイアス電圧を印加した状態で成膜を行わなければ達成し得ない数値である。
また、バイアス電圧を印加するということは保護膜が直接堆積される対象の電位を制御することである。その結果、成膜速度が速くなるという利点がある。より具体的には、バイアス電圧を印加した状態とは電位をプラズマ電位に対して電位差を1V以上異ならせることである。
保護膜が直接堆積される対象は、有機素子の一対の電極の少なくとも一方の電極、より具体的には上部電極であったり、あるいはその上にさらに配置される別の層である。
上記の保護膜は、窒化シリコンあるいは窒化酸化シリコンからなる膜、あるいはこれら組成にさらに水素等が付加された膜等であり、スパッタやCVD法により成膜される。
保護膜の上にさらに別の部材、例えばカバーガラスとして用いられるガラスや樹脂が配置されることもある。
有機ELに搭載する有機素子の場合は、一対の電極とその間に配置される発光層である有機化合物層とから少なくとも構成される。この場合の保護膜は有機素子(有機EL素子)を覆うように配置される。
有機FETの場合は、ソース、ゲート、ドレイン各電極と、ソースドレイン電極間に配置される有機半導体層とから少なくとも構成される。保護膜はゲート電極側に配置されていてもよい。あるいはゲート電極とは反対側に配置されてもよい。
有機素子は、基板面内に複数離間して配置されていてもよい。このように同一面内に有機素子が複数設けられていることを有機素子アレイと呼ぶ。
そして保護膜は、複数の有機素子を跨いで配置された構成、すなわち有機素子アレイ上を覆う構成であってもよい。その場合は、さらにアレイより外にも配置されている、すなわちアレイ面積よりも大きい面積で保護膜が配置されていることが有機素子アレイをより保護するという点で好ましい。
さらに、保護膜はアレイ面積が2インチ角以上の大型のアレイ上に好ましく配置することができる。アレイが大型になると保護膜の特性である防湿性能が厳しく要求されるため、本実施の形態による保護膜が好ましく用いられる。
また、基板は多数枚をそれぞれ複数の導電性裏板に配置して成膜を行うこともできる。
このような、大型アレイや複数基板に対応して成膜を行う際には、成膜される面が下向きとなる形態で行われることが基板の取扱上好ましい。
2インチ角TFT基板の上に次の公知の材料を用いて基板上に有機EL素子を作製した。すなわち第一の電極としてCrを配設したTFT基板にUV/オゾン洗浄処理を施した上に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層からなる有機発光層をそれぞれ以下の材料によって真空蒸着法で形成した。
正孔輸送層には、下記化学式1で表されるαNPDを50nmの膜厚で成膜した。
発光層には下記化学式2で表されるアルミキレート錯体(Alq3)と化学式3で表されるクマリン6を100:6の重量比率で共蒸着し50nmの膜厚で形成した。
電子輸送層には化学式4で表されるフェナントロリン化合物を10nmの膜厚で形成した。
さらに電子注入層として上記のフェナントロリン化合物と炭酸セシウムCs2 CO3 を100:1の重量比で共蒸着し40nmの膜厚で形成した。
この上にスパッタ法によるITO薄膜である第二の電極を220nmの膜厚で成膜し画素を形成した。
その後、図1に示す装置において、基板裏面側の導電性裏板11によるバイアス電圧を印加しながら、有機素子基板W1 上にPE−CVD法によるパッシベーション膜(保護膜)を700nmの膜厚で形成した。
この有機素子(有機デバイス)は、アレイ面積が2インチ角以上(対角線が2インチ以上の略正方形面積)の大型のアレイのことである。基板上にこの有機素子が配置されており、従って基板はこのアレイ面積よりも大きく一辺が90mmである。
パッシベーション膜はチャンバー10内においてガス供給手段10a、放電手段12、排気手段10bによりそれぞれSiH4 ガス4sccm、N2 ガス200sccm、高周波電力40W、圧力70Paの条件の下で室温で成膜した。このとき基板裏面に配設された導電性裏板11の、□60mm(1辺が60mmの正方形)の中央部の導電部位(中央領域)およびこれとは絶縁された外周30mm幅にわたる外周部の導電部位(外周領域)にそれぞれ直流電圧−10V、−5Vを印加した。
この中央部の導電部位と有機素子基板W1
が重なるように導電性裏板11を配置する。
が重なるように導電性裏板11を配置する。
こうして作製したサンプルに60℃、90%の恒温高湿耐久試験を行い、一定時間後に発光してダークスポットの数を計測したところ、恒温高湿耐久時間1000時間までダークスポットは検出されなかった。
(比較例)
実施例と同様の方法で第二の電極まで形成した有機素子基板W0 を、図2に示すチャンバー110に導入して、有機素子基板W0 にバイアス電圧を印加しない状態で、放電手段112に高周波電力を印加して、パッシベーション膜(保護膜)を実施例と同様に成膜した。こうして作製したサンプルに60℃、90%の恒温高湿耐久試験を行い、一定時間後に発光してダークスポットの数を計測したところ、恒温高湿耐久時間100時間にてダークスポットが検出された。
実施例と同様の方法で第二の電極まで形成した有機素子基板W0 を、図2に示すチャンバー110に導入して、有機素子基板W0 にバイアス電圧を印加しない状態で、放電手段112に高周波電力を印加して、パッシベーション膜(保護膜)を実施例と同様に成膜した。こうして作製したサンプルに60℃、90%の恒温高湿耐久試験を行い、一定時間後に発光してダークスポットの数を計測したところ、恒温高湿耐久時間100時間にてダークスポットが検出された。
以上の結果から、基板裏面に分布を有するバイアス電圧を印加しながら成膜した保護膜を有する有機デバイスは、バイアス電圧を印加しないものよりも防湿性能が向上することがわかった。
上記実施例によって作製した有機ELサンプルの保護膜の膜厚分布を測定したところ、±2%の範囲にあることがわかった。
一方、上記比較例の方法で作製した有機ELサンプルの保護膜の膜厚分布を測定したところ±10%のばらつきをもつことが判明した。このサンプルの保護膜は外周部が厚く中心部が薄く形成されることが確認された。実施例と比較例の膜厚分布を図3のグラフにまとめた。
次に、上記実施例および比較例において作製した有機ELサンプルの保護膜の断面をTEM観察した。それぞれの断面写真を図4と図5に示す。倍率はいずれも10万倍である。
図4に示すように、実施例で得た有機EL素子の場合、下地層である有機素子界面から上層である保護膜表面までの間一定膜厚で滑らかに成膜されていることが確認できた。
一方、図5に示すように、上記比較例の方法で作製した有機EL素子の保護膜の断面をTEM観察したところ、保護膜厚の厚い外周部と薄い中心部の間において、下地層である有機素子との界面を起点として、保護膜の表面に向かって縦方向にのびる複数の断層が生じていることが確認された。
このことから、膜厚分布を均一にするための上記バイアス電圧の印加が、保護膜の膜質についても断層の無い均質な保護膜を実現できるという、いわば予期せぬ効果を得る手段として有効であることがわかった。
10 チャンバー
10a ガス供給手段
10b 排気手段
11 導電性裏板
12 放電手段
10a ガス供給手段
10b 排気手段
11 導電性裏板
12 放電手段
Claims (1)
- 基板と、一対の電極と前記一対の電極の間に有機化合物層を有する有機素子と、前記有機素子を覆う保護膜と、を備えた有機デバイスの製造方法において、
前記基板上の前記有機素子に前記保護膜を成膜する成膜工程を有し、
前記成膜工程において、前記基板の裏側に配置される導電性部材の、前記基板と重なる中央領域と、前記中央領域の周辺の外周領域に、個別にバイアス電圧を印加した状態で、前記基板上の前記有機素子に前記保護膜を成膜することを特徴とする有機デバイスの製造方法。
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