JP2007305257A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体。前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含む。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、前記磁気記録媒体を安価に大量に製造し得る手段を提供することを更なる目的とする。
[1]非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、
前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[2]前記結合剤成分は、前記樹脂からなる[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記結合剤成分は、前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物である[1]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記結合剤成分は、前記樹脂、熱硬化性官能基を有する化合物および他の樹脂成分の反応生成物である[1]に記載の磁気記録媒体。
[5]前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[6]前記磁性層は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7]前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である[1]〜[6]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[8]前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[9]前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[10]非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成し、次いで、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末と結合剤を含み、該結合剤は少なくとも質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[11]前記磁性層形成用塗布液の塗布後、配向処理を施すことを更に含む[10]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[12]前記磁性層形成用塗布液は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する[10]または[11]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[13]前記磁性層形成用塗布液中の強磁性粉末に対する結合剤の吸着量は、強磁性粉末1000mgあたり80mg以上である[10]〜[12]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[14]前記磁性層形成用塗布液の固形分濃度は、5〜25質量%の範囲である[10]〜[13]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[15]前記磁性層形成用塗布液の塗布は、100m/分以上の塗布速度で行われる[10]〜[14]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[16]前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である[10]〜[15]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[17]前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む[10]〜[16]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[18]前記結合剤は、熱硬化性官能基を有する化合物を更に含む[10]〜[17]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[19]前記非磁性層および磁性層の形成は、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行われ、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得る[10]〜[18]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[20]前記非磁性層および磁性層の形成は、連続走行する非磁性支持体上で行われ、
前記磁性層形成用塗布液の塗布は、塗布ヘッド内に送液した磁性層形成用塗布液を、前記非磁性支持体上に形成された非磁性層と塗布ヘッド先端のリップ面とを近接させた状態で、前記塗布ヘッドの塗布用スリットから所望の膜厚の磁性層を形成するために要する塗布量よりも過剰に非磁性層上に吐出するとともに、前記非磁性支持体の走行方向から見て前記塗布用スリットよりも下流側に設けた回収用スリットから過剰に塗布した磁性層形成用塗布液を吸い取ることによって行われ、かつ
前記吸い取りは、前記回収用スリットの吸い取り口での液圧力をP(MPa)としたとき、下記式(I)を満足するように行われる[10]〜[19]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
0.05>P≧0 (I)
[21]前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である[10]〜[20]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[22]前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である[10]〜[21]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
さらに、本発明では、非磁性層および磁性層の形成を、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行い、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得ることにより、前記磁気記録媒体を安価に大量に製造することができる。
[磁気記録媒体]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体である。前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液(以下、「非磁性層塗布液」ともいう)を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液(以下、「磁性層塗布液」ともいう)を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含む。
前述のように、同時重層では、非磁性層と磁性層との界面の混ざり合いが生じ、特に薄層磁性層を有する磁気記録媒体においては、この界面の混ざり合いが電磁変換特性および歩留まり悪化の原因となる。それに対し、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、界面の混ざり合いが低減されるため、電磁変換特性および歩留まりを改良することができる。
なお、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、非磁性層と磁性層の混ざり合いが少ないため、媒体を磁性層表面から深さ方向に向かってエッチングして組成を分析すると、界面を境界として明らかな組成の違いが観察される。それに対し、同時重層された磁気記録媒体では、非磁性層と磁性層との界面で混ざり合いが生じているため、同様に分析を行っても界面では明らかな組成の違いは見られない。よって、この違いにより同時重層された媒体と逐次重層された媒体を容易に判別することができる。
また、同一の塗布液を用いて同一の厚さの磁性層を形成する場合、同時重層により形成した媒体と逐次重層により形成した媒体とでは、非磁性層と磁性層の界面の界面変動の値は逐次重層により形成した媒体の方が小さくなる。よって、非磁性層と磁性層の界面の界面変動の違いによっても、逐次重層により形成された媒体と同時重層により形成された媒体とを判別することができる。例えばテープ状媒体の非磁性層と磁性層の界面の界面変動は、以下の方法により測定することができる。
磁気記録媒体(テープ)の長手方向の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて10万倍の倍率で観察する。断面の切削においてテープの包埋処理にエポキシ樹脂を用いる。長さ10μmにおける断面を画像解析装置で解析し、磁性層厚みdとその標準偏差σを求め、(σ/d)×100(%)として界面変動率を求める。
例えば、磁性層塗布液の処方等にもよるが、例えば磁性層の厚みが80nm程度の場合、同時重層により形成された磁気記録媒体では、前記界面変動は30〜45%程度であるのに対し、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、前記界面変動は、5〜30%程度である。
そこで、本発明では、配向凝集を低減ないしは防止するために、磁性層結合剤として、質量平均分子量(Mw)が12万以上である、従来磁気記録媒体に結合剤として使用されていた樹脂と比べて分子量の大きな樹脂を構成成分として含む結合剤成分を使用する。前記分子量を有する樹脂は、強磁性粉末粒子に対する吸着性が高いため、磁性層塗布液成分として前記樹脂を使用することにより、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子に対する結合剤の吸着量を増大させることができる。こうして結合剤の吸着量が増大することにより、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子同士の立体反発力が増大するため、配向処理時の強磁性粉末粒子同士の配向凝集を抑制することができると考えられる。
なお、磁性層成分として前記樹脂が含まれていることは、例えば磁性層中の結合剤をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析することにより確認することができる。
磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、磁性層中の強磁性粉末の分散性、磁性層に添加する研磨剤やカーボンブラックの粒子サイズと添加量を調整することで適宜制御可能であり、強磁性粉末の微細分散性を良くする、研磨剤やカーボンブラックの粒子サイズを小さくする、添加量を減らすことで中心線平均表面粗さ(Ra)を低減できる。
また、カレンダー処理工程でも中心線平均表面粗さ(Ra)を低減でき、線圧力を上げる、圧力負荷時間を長くする、処理温度を上げることでも中心線平均表面粗さ(Ra)を低減できる。
次に、本発明の磁気記録媒体の各層の詳細を説明する。
本発明の磁気記録媒体において、磁性層に含まれる強磁性粉末としては、六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末を挙げることができる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層を有する。前記非磁性層は、少なくとも非磁性粉末と結合剤を含む層であることができる。以下に、非磁性層の詳細について説明する。
非磁性層は、実質的に非磁性であれば、特に制限されるものではなく、実質的に非磁性である範囲で磁性粉末を含むこともできる。「実質的に非磁性である」とは、磁性層の電磁変換特性を実質的に低下させない範囲で非磁性層が磁性を有することを許容するということであり、例えば残留磁束密度が0.01T以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe以下)であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。
非磁性層に使用可能なポリイソシアネートとしては、先に磁性層成分として記載したものを挙げることができる。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層および/または非磁性層にカーボンブラックを含むことができる。使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒子径は5〜300nm、好ましくは10〜250nm、更に好ましくは20〜200nmであることがそれぞれ好ましい。pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ccであることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化成工業社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15、RAVEN−MT−P、日本EC社製ケッチェンブラックEC等が挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性粉末または非磁性粉末に対する量の0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減(易滑性付与)、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。また、非磁性層にカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。また、非磁性層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。従って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは磁性層、非磁性層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明において、磁性層および/または非磁性層に使用できるカーボンブラックについては、例えば、「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
本発明に用いられる研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるためには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/g、であることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT60、HIT70、HIT80、HIT100、レイノルズ社製、ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製、WA10000、上村工業社製、UB20、日本化学工業社製、G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製、TF100、TF140、イビデン社製、ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製、B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
本発明において磁性層および非磁性層には、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ添加剤を使用することができる。具体的には、二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の厚さは、例えば2〜100μm、好ましくは2〜80μmである。コンピューターテープの場合、非磁性支持体の厚さは、3.0〜6.5μmが好ましく、更に好ましくは、3.0〜6.0μm、特に好ましくは、4.0〜5.5μmである。
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気記録媒体(磁気テープ)は、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。
本発明において、非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ガラス転移温度が100℃以上の支持体を用いることが好ましく、ポリエチレンナフタレート、アラミドなどの高強度支持体を用いることが特に好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため、特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。
磁性層塗布液、更には非磁性層塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁性粉末、非磁性粉体、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は強磁性粉末または非磁性粉体と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30質量%以上が好ましい)および強磁性粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理することができる。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液および非磁性層塗布液を分散させるためにはガラスビーズを用いることができ、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズを用いることが好ましい。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
更に、本発明は、非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成し、次いで、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法に関する。前記磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末と結合剤を含み、該結合剤は少なくとも質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含む。前述の本発明の磁気記録媒体は、前記製造方法により製造することができる。
前記化合物を含む磁性層塗布液を使用すれば、塗布後の加熱により前記樹脂と前記化合物との架橋反応が進み、結果的に前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物を含む磁性層が得られる。この磁性層は、前記樹脂そのものを含む磁性層と比べて塗膜強度が高いため、より耐久性の高い磁気記録媒体を得ることができる。前記磁性層塗布液が熱硬化性官能基を有する化合物を含む場合、その含有量は、磁性層に含有されるすべての結合剤に対して5〜40質量%とすることが好ましく、10〜30質量%とすることが更に好ましく、15〜25質量%とすることが特に好ましい。
前述のように、前記磁性層塗布液は、前記樹脂とともに他の結合剤成分(熱硬化性官能基含有化合物、樹脂成分等)を含むことができる。その詳細は先に記載した通りである。前記質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂の添加による配向凝集防止効果と電磁変換特性を両立する上では、前記質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂に対する他の結合剤成分の量は、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることが更に好ましく、20〜40質量%であることが最も好ましい。また、磁性層塗布液中の前記樹脂以外の結合剤成分の含有量は、該成分の添加効果を得る上では、強磁性粉末に対して2.5質量%以上とすることが好ましく、4〜40質量%とすることがより好ましく、5〜30質量%とすることが更に好ましく、5〜25質量%とすることが特に好ましい。
非磁性層および磁性層の作製においては、エクストルージョン塗工方式、ロール塗工方式、グラビア塗工方式、マイクログラビア塗工方式、エアーナイフ塗工法式、ダイ塗工法式、カーテン塗工法式、ディップ塗工法式、ワイヤーバー塗工方式など公知の手法を用いることができる。磁性層の作製においてはエクストルージョン塗工方式を用いることが好ましい。
0.05>P≧0 (I)
PIN≧−0.02 (II)
前記塗工方式の詳細は、特開2003−236452号公報に記載されている。
下記強磁性金属粒子、リン酸系分散剤、フェニルホスホン酸、ポリウレタン系樹脂PU1、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いて、公知のオープンニーダーで混練分散した。作製した混練物に下記α−アルミナ、カーボンブラックを添加して、公知のダイノミル(直径0.5mmのジルコニアビーズ)で分散処理し、強磁性金属粒子の分散液を作製した。
強磁性金属粒子(針状) 100部
組成 Fe/Co=100/25
抗磁力Hc 215kA/m(2700Oe)
比表面積(BET法) 70m2/g
表面処理剤 Al2O3、SiO2、Y2O3
平均長軸長 45nm
平均針状比 4
飽和磁化σs 110A・m2/kg(110emu/g)
リン酸系分散剤 5部
ポリウレタン系樹脂PU1(質量平均分子量(Mw)=12万 25部
極性基−SO3Na;70eq./トン含有)
α−アルミナ モース硬度9(平均粒径0.1μm) 5部
カーボンブラック(平均粒径0.08μm) 0.3部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 150部
ブチルステアレート 1.5部
ステアリン酸 0.5部
メチルエチルケトン 330部
シクロヘキサノン 170部
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)15部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Bを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)8部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)10部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量;8万)8部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Cを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU3(質量平均分子量(Mw);24万)12部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)10部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)3部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Dを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)6部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)6部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Eを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリエステル系樹脂(質量平均分子量(Mw);14万、極性基−SO3Na;75eq./トン含有)7部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)7部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)8部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Fを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、セルロースジアセテート(質量平均分子量(Mw);20万)20部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Gを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU4(質量平均分子量(Mw);30万)2.5部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)7部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)12部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)2.5部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Hを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1 6部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)6部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Iを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)25部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Jを作製した。
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)15部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部、に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Kを作製した。
下記非磁性金属粒子、カーボンブラック、リン酸系分散剤、フェニルホスホン酸、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いて、公知のオープンニーダーで混練分散した。
作製した混練物を公知のダイノミル(直径0.5mmのジルコニアビーズ)で分散処理して、非磁性粒子の分散液を作製した。
非磁性粒子 αFe2O3(針状) 80部
比表面積(BET法) 52m2/g
表面処理剤 Al2O3、SiO2
平均長軸長 100nm
pH 9.0
タップ密度 0.8g/cc
DBP吸油量 27〜38g/100g
カーボンブラック 20部
平均一次粒子径 16μm
DBP吸油量 120mL/100g
pH 8.0
比表面積(BET法) 250m2/g
揮発分 1.5%
リン酸系分散剤 3部
ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製) 12部
ポリウレタン系樹脂 7.5部
(分岐測鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系、極性基−SO3Na基:70eq./トン含有)
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 150部
ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製) 5部
ブチルステアレート 1.5部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 5部
シクロヘキサノン 75部
下記原材料、溶媒を公知の手法により混練処理した後、公知のダイノミル(直径0.5mmのジルコニアビーズ)を用いて分散処理した。
カーボンブラックA(平均粒径0.04μm) 100部
カーボンブラックB(平均粒径0.1μm) 5部
非磁性粒子 αFe2O3 20部
(平均粒径:0.11μm、モース硬度:5、pH:9.0)
α−アルミナ(平均粒径0.2μm) 1部
ニトロセルロース(セルノバBTH1/2、旭化成社製) 60部
ポリウレタン系樹脂 45部
銅フタロシアニン系分散剤 5部
オレイン酸銅 5部
沈降性硫酸バリウム 5部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
ポリエステル系樹脂(バイロン300、東洋紡社製) 5部
ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製) 15部
(実施例1−1)
公知の手法で易接着処理を施したポリエチレンナフタレート(PEN)支持体(厚さ5μm)上に、上記で作製した非磁性層塗布液を乾燥後の膜厚が1.0μmになるように公知の手法により塗布、乾燥して、非磁性層を作製した。
作製した非磁性層の上に、上記で作製した磁性層塗布液Aを乾燥後の膜厚が0.07μmとなるように特開2003−236452号公報記載の手法を用いて塗布した。磁性層が湿潤状態にある磁性層塗布液の塗布後(0.5秒後)に0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向処理し、次いで乾燥して磁性層を作製した。塗布速度は300m/分とした。
磁性層とは反対側のPEN支持体上に、上記で作製したバックコート層塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように公知の手法により塗布、乾燥して、バックコート層を作製した。
尚、PEN支持体を送り出してから巻き取るまでの間に、非磁性層、磁性層、バックコート層の順に3つの層を塗設した。
金属ロール(温度100℃)から構成される7段のカレンダ処理機(線圧300kg/cm)で、処理速度150m/分で表面平滑化処理を実施した。次いで、70℃、40時間で熱処理を実施した後、1/2インチ幅にスリットして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Bを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Cを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Dを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Eを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Fを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Gを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Hを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Iを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Jを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Kを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2で作製した磁気記録媒体について、以下の項目の評価を行った。
(1)磁場配向に伴う強磁性金属粒子の凝集状態の評価
磁気記録媒体の磁性層表面を走査型電子顕微鏡(SEM、倍率1万倍)で観察して、磁気記録媒体の塗布方向に強磁性金属粒子同士の凝集(配向凝集)が存在するかどうか観察した。配向凝集の程度を3段階で評価した。
1:配向凝集が全くない(例えば実施例1−2(図1))
2:配向凝集は殆ど存在しない(例えば実施例1−1(図2))
3:顕著な配向凝集が全面に存在する(例えば比較例1−1(図3))
(2)結合剤吸着量の評価
作製した磁性層塗布液において、遠心分離機を用いて塗布液中の強磁性金属粒子を沈降させた。上澄み液の固形分濃度を測定して、強磁性金属粒子1000mgに対する結合剤の吸着量を算出した。遠心分離機として日立分離用小型超遠心機(CS150GXL、(株)日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、10万回転で100分間の遠心分離処理を実施した。
(3)磁気特性の評価
磁気特性を振動試料型磁力計(VSM−P7、東英工業(株)製)と同社製データ処理装置を用いて、印荷磁場79.6kA/m(10kOe)で測定した。φm(単位面積当たりの磁化量)、SQ(角形比)を算出した。
(4)表面粗さの評価
作製した磁気記録媒体において、原子間力顕微鏡(AFM)(ナノスコープ3、デジタルインスツルメンツ社製)を用いて、磁性層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)評価した。 稜角70°の四角錐のSiNの探針を用いて、40μm平方角(1600μm2)におけるRaを測定した。
(5)電磁変換特性の評価
作製した磁気記録媒体において、Standard ECMA−319 Annex Bに記載の方法で電磁変換特性を評価した。BBSNRをSN比とした。富士写真フイルム製LTO−Gen1テープに対するSN比の差を求めた。数値が高い方が電磁変換特性に優れている。
(6)エラー発生率の評価
作製した磁気記録媒体において、上記LTO−Gen1ドライブを用いて、線記録密度144kbpiの信号を8−10変換PRI等化方式で記録した後、LTO−Gen1(IBM社製)ドライブで記録信号を読みとり、エラー発生率を測定した。数値が低い方がエラーの発生が少ない。
(7)磁気ヘッドの汚れの評価
作製した磁気記録媒体において、公知のMRヘッドを搭載したドライブを用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で再生、及び、巻き戻し操作を繰り返し100回行い、走行後に磁気ヘッドに付着した汚れの程度を顕微鏡で観察して5段階で評価した。磁気ヘッドに付着した汚れが少ないほど好ましい。
1:汚れが無い
2:汚れが殆ど存在しない
3:微量の汚れが存在する
3:若干の汚れが存在する
5:多量の汚れが存在する
(評価結果)
各試料についての評価試験結果を表1に示す。
一方、比較例1−1、1−2においては、顕著な配向凝集が観察された。強磁性金属粒子1000mgに対して、吸着している結合剤の質量が80mgより少なく、強磁性金属粒子同士の間に働く立体反発効果が低かったことにより配向凝集が発生したと考えられる。
実施例1−1〜1−9、及び、比較例1−1、1−2における中心線平均表面粗さ(Ra)は2.8〜4.8nmの範囲であった。
電磁変換特性、エラー発生率に関しては実施例1−1〜1−9において、比較例1−1、1−2よりも良好な結果が得られた。配向凝集の発生が電磁変換特性、エラー発生率を悪化させており、配向凝集を改良できた実施例1−1〜1−9において良好であったと考えられる。
磁気ヘッドの汚れに関しては、磁性層結合剤としてポリ塩化ビニル系樹脂を併用した実施例1−2〜1−6、1−8、1−9において、極めて良好であった。さらに、磁性層にポリ塩化ビニル系樹脂と熱硬化性官能基含有化合物を添加した実施例1−5、1−6、1−8、1−9において、特に良好であった。
また、磁性層塗布液A〜Kについて、磁性層塗布液の固形分濃度10〜25質量%の範囲で変更し、また磁性層塗布液の塗布速度を100m/分以上の種々の塗布速度に変更して作製した磁気記録媒体においても、同様の結果が得られた。
尚、実施例1−1で使用した非磁性層塗布液と磁性層塗布液A〜Kを用いて、同時重層塗布方式で、実施例1−1と同様の磁性層厚の磁気テープ試料の作製を試みたが、塗布スジが顕著に発生し、諸性能を評価可能な試料を作製することは困難であった。これは、非磁性層が湿潤状態にあるうちに磁性層塗布液を塗布(同時重層)したことによる非磁性層と磁性層の混ざり合いが原因の塗布スジであった。このように、同時重層塗布方式は、塗布性が液物性(濃度や粘度)に大きく影響されるため、薄層磁性層において高い電磁変換特性を得るための磁性層塗布液の調製が難しいと考えられる。
実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2において、磁性層塗布液中のα−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.1μm)をα−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.15μm)に変更した以外は、全く同様にして磁気記録媒体を作製した。
作製した磁気記録媒体において、実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と同様の評価を行った。
磁性層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が3.5〜6.8nmの磁気記録媒体が得られた。
磁場配向に伴う強磁性金属粒子の凝集、結合剤の吸着量、電磁変換特性、エラー発生率、磁気ヘッドの汚れ、は実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と全く同様の傾向を示す結果が得られた。
一方、中心線平均表面粗さ(Ra)が高くなったことで、電磁変換特性が若干悪くなる傾向を示したが、磁気記録媒体の電磁変換特性上は許容されるものであった。磁気ヘッドの汚れは改良される傾向を示した。
実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2において、α−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.1μm)をα−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.2μm)に変更した以外は、全く同様にして磁気記録媒体を作製した。
作製した磁気記録媒体において、実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と同様の評価を行った。
磁性層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が4.5〜8.8nmの磁気記録媒体が得られた。
磁場配向に伴う強磁性金属粒子の凝集、結合剤の吸着量、電磁変換特性、エラー発生率、磁気ヘッドの汚れ、は実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と全く同様の傾向を示す結果が得られた。一方、中心線平均表面粗さ(Ra)が高くなったことで、電磁変換特性がさらに若干悪くなる傾向を示したが、磁気記録媒体の電磁変換特性上は許容されるものであった。磁気ヘッドの汚れはさらに改良される傾向を示した。
Claims (22)
- 非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、
前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含むことを特徴とする磁気記録媒体。 - 前記結合剤成分は、前記樹脂からなる請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記結合剤成分は、前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記結合剤成分は、前記樹脂、熱硬化性官能基を有する化合物および他の樹脂成分の反応生成物である請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成し、次いで、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末と結合剤を含み、該結合剤は少なくとも質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁性層形成用塗布液の塗布後、配向処理を施すことを更に含む請求項10に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層形成用塗布液は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する請求項10または11に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層形成用塗布液中の強磁性粉末に対する結合剤の吸着量は、強磁性粉末1000mgあたり80mg以上である請求項10〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層形成用塗布液の固形分濃度は、5〜25質量%の範囲である請求項10〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層形成用塗布液の塗布は、100m/分以上の塗布速度で行われる請求項10〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である請求項10〜15のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む請求項10〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記結合剤は、熱硬化性官能基を有する化合物を更に含む請求項10〜17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記非磁性層および磁性層の形成は、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行われ、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得る請求項10〜18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記非磁性層および磁性層の形成は、連続走行する非磁性支持体上で行われ、
前記磁性層形成用塗布液の塗布は、塗布ヘッド内に送液した磁性層形成用塗布液を、前記非磁性支持体上に形成された非磁性層と塗布ヘッド先端のリップ面とを近接させた状態で、前記塗布ヘッドの塗布用スリットから所望の膜厚の磁性層を形成するために要する塗布量よりも過剰に非磁性層上に吐出するとともに、前記非磁性支持体の走行方向から見て前記塗布用スリットよりも下流側に設けた回収用スリットから過剰に塗布した磁性層形成用塗布液を吸い取ることによって行われ、かつ
前記吸い取りは、前記回収用スリットの吸い取り口での液圧力をP(MPa)としたとき、下記式(I)を満足するように行われる請求項10〜19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
0.05>P≧0 (I) - 前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である請求項10〜20のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である請求項10〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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