JP2007305257A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁変換特性および歩留まりが改良された磁気記録媒体および前記磁気記録媒体を安価に大量に製造し得る手段の提供。
【解決手段】非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体。前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた磁気特性を有する磁気記録媒体およびその製造方法に関するものであり、特に、電磁変換特性および歩留まりが改良され、更に生産性に優れた磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
近年、繰り返しコピーによる信号の劣化の改善を目的として磁気記録媒体のデジタル化が進んでいる。それに伴い、記録データ量が増えることにより、媒体の記録密度の高密度化が求められている。高記録密度化のためには、媒体の厚み損失、自己減磁損失を考慮する必要があり、磁性層の薄膜化が望まれている。
しかし、磁性層が薄膜化すると、磁性層表面に非磁性支持体の表面性が影響を及ぼし電磁変換特性が悪化することがある。近年、このような非磁性支持体の表面性の影響を防ぐために、支持体表面に、例えば熱硬化性樹脂を下塗りとして用いた非磁性層を設け、これを介して磁性層を設けることが提案されている。例えば、特許文献1および2には、このような重層構成の磁気記録媒体を塗設する方法として、非磁性支持体上に非磁性粒子を熱可塑性樹脂バインダー中に分散させた非磁性層塗布液を塗布し、非磁性層が湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層塗布液を塗布する方法(以下、「同時重層」ともいう)が開示されている。
特開昭63−191315号公報 特開昭63−191318号公報
しかし、上記のように非磁性層と磁性層とを各層の塗布液が湿潤状態にあるうちに重層塗布する方法は、非磁性層と磁性層の界面の混ざり合いが生じる。この界面の混ざり合いは、特に、磁性層を薄膜化すると、電磁変換特性および歩留まり悪化の原因となる。
それに対し、非磁性支持体上に一旦非磁性層塗布液を塗布、乾燥して非磁性層を形成した後に、非磁性層の上に磁性層を形成する方法(以下、「逐次重層」ともいう)は、非磁性層と磁性層の界面の混ざり合いを低減することができるため、電磁変換特性および歩留まりの改良に有効である。また、この手法において、より低い濃度の磁性層塗布液を非磁性層の上に塗布して磁性層を作製することが、磁性層の薄膜化に有効な手段である。
しかしながら、塗布、乾燥して形成した非磁性層の上に、低い濃度の磁性層塗布液を塗布し、磁性層が湿潤状態にあるうちに磁場による強磁性粒子の配向処理を施すと、強磁性粒子同士の凝集(配向凝集)を引き起こしやすくなり、これが電磁変換特性劣化の原因となる。
かかる状況下、本発明は、電磁変換特性および歩留まりが改良された磁気記録媒体を提供することを目的としてなされたものである。
また、本発明は、前記磁気記録媒体を安価に大量に製造し得る手段を提供することを更なる目的とする。
上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、
前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
[2]前記結合剤成分は、前記樹脂からなる[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記結合剤成分は、前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物である[1]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記結合剤成分は、前記樹脂、熱硬化性官能基を有する化合物および他の樹脂成分の反応生成物である[1]に記載の磁気記録媒体。
[5]前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である[1]〜[4]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[6]前記磁性層は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7]前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である[1]〜[6]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[8]前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[9]前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[10]非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成し、次いで、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末と結合剤を含み、該結合剤は少なくとも質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
[11]前記磁性層形成用塗布液の塗布後、配向処理を施すことを更に含む[10]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[12]前記磁性層形成用塗布液は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する[10]または[11]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[13]前記磁性層形成用塗布液中の強磁性粉末に対する結合剤の吸着量は、強磁性粉末1000mgあたり80mg以上である[10]〜[12]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[14]前記磁性層形成用塗布液の固形分濃度は、5〜25質量%の範囲である[10]〜[13]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[15]前記磁性層形成用塗布液の塗布は、100m/分以上の塗布速度で行われる[10]〜[14]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[16]前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である[10]〜[15]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[17]前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む[10]〜[16]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[18]前記結合剤は、熱硬化性官能基を有する化合物を更に含む[10]〜[17]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[19]前記非磁性層および磁性層の形成は、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行われ、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得る[10]〜[18]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[20]前記非磁性層および磁性層の形成は、連続走行する非磁性支持体上で行われ、
前記磁性層形成用塗布液の塗布は、塗布ヘッド内に送液した磁性層形成用塗布液を、前記非磁性支持体上に形成された非磁性層と塗布ヘッド先端のリップ面とを近接させた状態で、前記塗布ヘッドの塗布用スリットから所望の膜厚の磁性層を形成するために要する塗布量よりも過剰に非磁性層上に吐出するとともに、前記非磁性支持体の走行方向から見て前記塗布用スリットよりも下流側に設けた回収用スリットから過剰に塗布した磁性層形成用塗布液を吸い取ることによって行われ、かつ
前記吸い取りは、前記回収用スリットの吸い取り口での液圧力をP(MPa)としたとき、下記式(I)を満足するように行われる[10]〜[19]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
0.05>P≧0 (I)
[21]前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である[10]〜[20]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
[22]前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である[10]〜[21]のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
本発明によれば、強磁性粒子の配向処理を施した際の強磁性粒子同士の凝集(配向凝集)を改良することができ、これにより電磁変換特性および歩留まりが良好な磁気記録媒体を提供することができる。
さらに、本発明では、非磁性層および磁性層の形成を、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行い、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得ることにより、前記磁気記録媒体を安価に大量に製造することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

[磁気記録媒体]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体である。前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液(以下、「非磁性層塗布液」ともいう)を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液(以下、「磁性層塗布液」ともいう)を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含む。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成(逐次重層)されたものである。
前述のように、同時重層では、非磁性層と磁性層との界面の混ざり合いが生じ、特に薄層磁性層を有する磁気記録媒体においては、この界面の混ざり合いが電磁変換特性および歩留まり悪化の原因となる。それに対し、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、界面の混ざり合いが低減されるため、電磁変換特性および歩留まりを改良することができる。
なお、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、非磁性層と磁性層の混ざり合いが少ないため、媒体を磁性層表面から深さ方向に向かってエッチングして組成を分析すると、界面を境界として明らかな組成の違いが観察される。それに対し、同時重層された磁気記録媒体では、非磁性層と磁性層との界面で混ざり合いが生じているため、同様に分析を行っても界面では明らかな組成の違いは見られない。よって、この違いにより同時重層された媒体と逐次重層された媒体を容易に判別することができる。
また、同一の塗布液を用いて同一の厚さの磁性層を形成する場合、同時重層により形成した媒体と逐次重層により形成した媒体とでは、非磁性層と磁性層の界面の界面変動の値は逐次重層により形成した媒体の方が小さくなる。よって、非磁性層と磁性層の界面の界面変動の違いによっても、逐次重層により形成された媒体と同時重層により形成された媒体とを判別することができる。例えばテープ状媒体の非磁性層と磁性層の界面の界面変動は、以下の方法により測定することができる。
磁気記録媒体(テープ)の長手方向の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて10万倍の倍率で観察する。断面の切削においてテープの包埋処理にエポキシ樹脂を用いる。長さ10μmにおける断面を画像解析装置で解析し、磁性層厚みdとその標準偏差σを求め、(σ/d)×100(%)として界面変動率を求める。
例えば、磁性層塗布液の処方等にもよるが、例えば磁性層の厚みが80nm程度の場合、同時重層により形成された磁気記録媒体では、前記界面変動は30〜45%程度であるのに対し、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、前記界面変動は、5〜30%程度である。
更に、本発明の磁気記録媒体は、磁性層の結合剤に、質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含む。前述のように、逐次重層により形成された磁気記録媒体では、磁性層塗布液の塗布後、磁場配向処理を施すと、強磁性粉末粒子同士の凝集(配向凝集)が生じる場合がある。この配向凝集は、特に薄層磁性層を形成するために低濃度の磁性層塗布液を使用する場合に顕著に生じる。これは、濃度が薄くなるほど配向処理時の磁力によって強磁性粉末粒子が動き易くなるため、容易に凝集し易くなるからである。
前記配向凝集防止のため、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子に対する結合剤の吸着量を増やすことが考えられる。そのために、低分子量の結合剤に多量の極性基を導入することも考えられるが、多量の極性基の導入により結合剤の親水性が増し、環境耐久性(高湿度)が悪化するおそれがある。また、磁性層塗布液に添加する結合剤量を増やすことにより、強磁性粉末粒子に対する結合剤の吸着量を増大させることも考えられるが、多量の結合剤の添加により磁性層中の結合剤に対する強磁性粉末粒子の比率が低くなるため電磁変換特性上好ましくない。
そこで、本発明では、配向凝集を低減ないしは防止するために、磁性層結合剤として、質量平均分子量(Mw)が12万以上である、従来磁気記録媒体に結合剤として使用されていた樹脂と比べて分子量の大きな樹脂を構成成分として含む結合剤成分を使用する。前記分子量を有する樹脂は、強磁性粉末粒子に対する吸着性が高いため、磁性層塗布液成分として前記樹脂を使用することにより、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子に対する結合剤の吸着量を増大させることができる。こうして結合剤の吸着量が増大することにより、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子同士の立体反発力が増大するため、配向処理時の強磁性粉末粒子同士の配向凝集を抑制することができると考えられる。
なお、磁性層成分として前記樹脂が含まれていることは、例えば磁性層中の結合剤をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析することにより確認することができる。
前記の質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂は、上記分子量を有するものであれば特に限定されるものではないが、強磁性粉末粒子の微細分散適性、耐久適性(温湿度環境適性)等の点からは、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテートであることが好ましく、特に、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂であることが更に好ましく、ポリウレタン系樹脂であることが最も好ましい。ポリウレタン系樹脂の構造は、特に限定されず、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。また、本発明では、質量平均分子量が12万以上の樹脂を複数種組合わせて用いることも可能である。
前記樹脂の質量平均分子量(Mw)は、12万以上である。前記樹脂の質量平均分子量が12万未満では、強磁性粉末粒子に対する吸着性に乏しく、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子に対する結合剤の吸着量を増大させることが困難となる。また、前記樹脂の質量平均分子量は、溶解性や合成の容易性等を考慮すると、50万以下であることが好ましい。前記質量平均分子量は、好ましくは12万〜30万、より好ましくは15万〜25万である。
前記樹脂は、ガラス転移温度が−50〜150℃であることが好ましく、より好ましくは0℃〜100℃、更に好ましくは30℃〜90℃である。破断伸びは100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)であることが好ましい。前記樹脂は、公知の方法で合成することができ、また市販品として入手可能なものもある。
前記結合剤成分は、前記樹脂からなることができる。つまり、前記結合剤成分は、前記樹脂そのものであることができる。また、前記結合剤成分は、前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物であることもできる。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に形成された非磁性層上に、磁性層塗布液を塗布および乾燥することにより形成される。前記磁性層塗布液に、熱硬化性官能基を有する化合物を添加せずに前記樹脂を加えて磁性層を形成すれば、前記結合剤成分として、前記樹脂そのものを含む磁気記録媒体が得られる。一方、磁性層塗布液に前記樹脂とともに熱硬化性官能基を有する化合物を添加すれば、塗布後の加熱(カレンダー処理、加熱処理等)により硬化反応(架橋反応)が進むため、前記結合剤成分として、前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物を含む磁気記録媒体が得られる。なお、後述するように、磁性層塗布液に前記樹脂および硬化性官能基を有する化合物以外の樹脂成分を添加する場合には、前記反応生成物には、前記樹脂、熱硬化性官能基を有する化合物および他の樹脂成分の共重合体が含まれ得る。
前記熱硬化性官能基を有する化合物としては、熱硬化性官能基としてイソシアネート基を含有する化合物を用いることが好ましい。中でも、前記化合物としては、ポリイソシアネート類が好ましく、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。
これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つまたはそれ以上の組合せて用いることができる。
前記結合剤は、前記結合剤成分以外に他の結合剤成分を含むこともできる。前記結合剤成分と併用可能な他の結合剤成分としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。併用される熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、−100〜200℃であることが好ましく、より好ましくは−50〜150℃である。
併用可能な熱可塑性樹脂の具体例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン系樹脂、各種ゴム系樹脂、セルロースエステルなどがある。
また、併用可能な熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。
以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン系樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。特に好ましくは塩化ビニル系樹脂である。塩化ビニル系樹脂を併用することで、強磁性粉末の分散性を更に高めることができるため、電磁変換特性の向上およびヘッド汚れの改良に有効である。
磁性層に使用可能なすべての結合剤成分について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、SH、CNなどから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることができる。このような極性基の量は、例えば10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
前記結合剤成分の具体的な例としては、ユニオンカーバイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化社製、ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製MX5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310、F210などが挙げられる。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層に、前記の質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を強磁性粉末に対して2.5質量%以上含むことが好ましい。つまり、本発明の磁気記録媒体は、強磁性粉末に対して2.5質量%以上の前記樹脂を含む磁性層塗布液を用いて形成されたものであることが好ましい。強磁性粉末に対して2.5質量%以上の前記樹脂を含む磁性層塗布液は、強磁性粉末に対する結合剤の吸着量が多く、配向凝集を効果的に抑制することができる。磁性層中の前記樹脂量は、強磁性粉末に対して4〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましい。なお、併用される結合剤成分の好ましい含有量については、後述する。
本発明の磁気記録媒体における磁性層の厚さは、例えば10〜300nmである。本発明では、質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を磁性層に使用することにより、上記範囲の厚さを有する比較的薄い磁性層を、逐次重層により形成する際に配向凝集を抑制することができ、これにより高い電磁変換特性を有する磁気記録媒体を得ることができる。磁性層の厚さは、好ましくは30〜150nm、より好ましくは40〜100nmである。
電磁変換特性は磁気記録媒体の磁性層の表面粗さに影響され、表面を平滑にすることでより高い電磁変換特性が得られる。電磁変換特性に影響を与える表面粗さは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価できる。磁性層の表面は、中心線平均表面粗さ(Ra)が低いほど好ましい。磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmであることが好ましく、2.0〜10.0nmであることがより好ましく、2.5〜7.0nmであることが更に好ましく、2.8〜5.0nmであることが特に好ましい。
磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、磁性層中の強磁性粉末の分散性、磁性層に添加する研磨剤やカーボンブラックの粒子サイズと添加量を調整することで適宜制御可能であり、強磁性粉末の微細分散性を良くする、研磨剤やカーボンブラックの粒子サイズを小さくする、添加量を減らすことで中心線平均表面粗さ(Ra)を低減できる。
また、カレンダー処理工程でも中心線平均表面粗さ(Ra)を低減でき、線圧力を上げる、圧力負荷時間を長くする、処理温度を上げることでも中心線平均表面粗さ(Ra)を低減できる。
次に、本発明の磁気記録媒体の各層の詳細を説明する。
(磁性層)
本発明の磁気記録媒体において、磁性層に含まれる強磁性粉末としては、六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末を挙げることができる。
本発明に用いられる六方晶フェライトとしては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等が挙げられる。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo,Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti,Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn,Ni−Ti−Zn,Nb−Zn−Co、SbーZn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
粒子サイズは六角板径で10〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜60nmであり、特に好ましくは10〜50nmである。特にトラック密度を上げるためMRヘッドで再生する場合、低ノイズにする必要があるため、板径は40nm以下であることが好ましい。10nmより小さいと熱揺らぎのため安定な磁化が望めない。100nmを越えるとノイズが高く、いずれも高密度磁気記録には向かない。板状比(板径/板厚)は1〜15であることが好ましい。より好ましくは1〜7である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性を得ることが困難となる。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は10〜100m2/gを示す。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
一般に、抗磁力Hcが500〜5000エルステッド(40〜398kA/m)程度の六方晶フェライト粉末は作製可能である。Hcは高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。本発明で使用される六方晶フェライトのHcは2000〜4000Oe(160〜320kA/m)程度であることが好ましく、より好ましくは2200〜3500Oe(176〜280kA/m)である。ヘッドの飽和磁化が1.4テスラを越える場合は、2200Oe(176kA/m)以上にすることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは40〜80A・m2/kgであることが好ましい。σsは高い方が好ましいが微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が良く知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。六方晶フェライトを分散する際に六方晶フェライト粉末表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては、無機化合物、有機化合物を使用することができる。主な化合物としてはSi、Al、P、等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。量は六方晶フェライト粉末に対して0.1〜10質量%とすることができる。六方晶フェライト粉末のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。六方晶フェライト粉末に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0質量%が選ばれる。六方晶フェライトの製法としては、(1)酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。
磁性層に使用する強磁性金属粉末は、特に制限されるべきものではないが、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末を用いることが好ましい。これらの強磁性金属粉末には、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量はFeに対して0原子%以上40原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15原子%以上35原子%以下、より好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は1.5原子%以上12原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、特に好ましくは4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子%以上12原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上9原子%以下である。
これらの強磁性金属粉末には、あとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
強磁性金属粉末には少量の水酸化物、または酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末は公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeまたはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末には、公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施すこともできる。
磁性層に使用される強磁性金属粉末のBET法による比表面積は、45〜100m2/gであることが好ましく、より好ましくは50〜80m2/gである。45m2/g以上であれば低ノイズであり、100m2/g以下であれば良好な表面性を得ることができる。強磁性金属粉末の結晶子サイズは80〜180Åであることが好ましく、より好ましくは100〜180Å、更に好ましくは110〜175Åである。強磁性金属粉末の長軸長は0.01μm以上0.15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.02μm以上0.15μm以下であり、さらに好ましくは0.03μm以上0.12μm以下である。強磁性金属粉末の針状比は3以上15以下であることが好ましく、さらには5以上12以下であることが好ましい。強磁性金属粉末のσsは100〜180A・m2/kgであることが好ましく、より好ましくは110〜170A・m2/kg、更に好ましくは125〜160A・m2/kgである。強磁性金属粉末の抗磁力は2000〜3500Oe(160〜280kA/m)であることが好ましく、更に好ましくは2200〜3000Oe(176〜240kA/m)である。
強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2%とすることが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化することが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12とすることができ、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末に対し0.1〜10%とすることができ、表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着量が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性金属粉末は可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特性に影響を与えることは少ない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少ないほうが好ましく、その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。また形状については先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、0.8以下であることが好ましい。強磁性金属粉末のHcの分布を小さくすることが好ましい。尚、SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなどの方法がある。
(非磁性層)
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層を有する。前記非磁性層は、少なくとも非磁性粉末と結合剤を含む層であることができる。以下に、非磁性層の詳細について説明する。
非磁性層は、実質的に非磁性であれば、特に制限されるものではなく、実質的に非磁性である範囲で磁性粉末を含むこともできる。「実質的に非磁性である」とは、磁性層の電磁変換特性を実質的に低下させない範囲で非磁性層が磁性を有することを許容するということであり、例えば残留磁束密度が0.01T以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe以下)であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。
非磁性層に用いられる非磁性粉末は、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物から選択することができる。無機化合物としては、例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどを単独または組合せで使用することができる。特に好ましいものは、粒度分布が小さく、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいものは二酸化チタン、α−酸化鉄である。これら非磁性粉末の粒子サイズは0.005〜2μmであることが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。非磁性粉末の粒子サイズは0.01μm〜0.2μmであることが特に好ましい。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下であることが好ましく、針状金属酸化物である場合は、長軸長が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。タップ密度は0.05〜2g/mlであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性粉末の含水率は0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性粉末のpHは2〜11であることができ、5.5〜10の間が特に好ましい。
非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/gであることが好ましく、より好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜70m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.004μm〜1μmであることが好ましく、0.04μm〜0.1μmであることが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は5〜100ml/100gであることが好ましく、より好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。モース硬度は4以上10以下のものが好ましい。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μmol/m2であることが好ましく、より好ましくは2〜15μmol/m2、更に好ましくは3〜8μmol/m2である。pHは3〜6の間が好ましい。これらの非磁性粉末の表面には表面処理を施すことによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnO、Y23を存在させることが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、更に好ましいのはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナを存在させた後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製αヘマタイトDPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−500BX、DBN−SA1、DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、αヘマタイトE270、E271、E300、E303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、αヘマタイトα−40、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2 P25、宇部興産製100A、500A、およびそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
また、非磁性層には有機質粉末を目的に応じて、添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記載されているようなものが使用できる。
非磁性層に使用される結合剤としては、磁性層に使用可能な結合剤成分として記載された熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を用いることができる。非磁性層中の結合剤含有量は、非磁性粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲とすることができる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。非磁性層にポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0℃〜100℃、更に好ましくは30℃〜90℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)のものを用いることが好ましい。
非磁性層に添加する結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、またはそれ以外の樹脂の量、各樹脂の分子量、極性基量、または先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じて変えることはもちろん可能であり、公知技術を適用できる。例えば、ヘッドに対するヘッドタッチを良好にするためには、非磁性層の結合剤量を多くして柔軟性を持たせることができる。
非磁性層に使用可能なポリイソシアネートとしては、先に磁性層成分として記載したものを挙げることができる。
(カーボンブラック)
本発明の磁気記録媒体は、磁性層および/または非磁性層にカーボンブラックを含むことができる。使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒子径は5〜300nm、好ましくは10〜250nm、更に好ましくは20〜200nmであることがそれぞれ好ましい。pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ccであることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化成工業社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15、RAVEN−MT−P、日本EC社製ケッチェンブラックEC等が挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性粉末または非磁性粉末に対する量の0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減(易滑性付与)、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。また、非磁性層にカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。また、非磁性層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。従って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは磁性層、非磁性層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明において、磁性層および/または非磁性層に使用できるカーボンブラックについては、例えば、「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
(研磨剤)
本発明に用いられる研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるためには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/g、であることがそれぞれ好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT60、HIT70、HIT80、HIT100、レイノルズ社製、ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製、WA10000、上村工業社製、UB20、日本化学工業社製、G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製、TF100、TF140、イビデン社製、ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製、B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
(添加剤)
本発明において磁性層および非磁性層には、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ添加剤を使用することができる。具体的には、二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。
これらの具体例としては、脂肪酸では、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2ーエチルヘキシルステアレート、2ーオクチルドデシルパルミテート、2ーヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリデシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレイル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、などが挙げられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン系界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン系界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。一般には潤滑剤の総量は、強磁性粉末または非磁性粉末に対し、0.1〜50質量%、好ましくは2〜25質量%の範囲とすることができる。
また、本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層塗布液および非磁性層塗布液製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。本発明は、公知の有機溶剤を使用することができ、例えば特開昭6−68453に号公報記載の溶剤を用いることができる。
(層構成)
本発明の磁気記録媒体において、非磁性支持体の厚さは、例えば2〜100μm、好ましくは2〜80μmである。コンピューターテープの場合、非磁性支持体の厚さは、3.0〜6.5μmが好ましく、更に好ましくは、3.0〜6.0μm、特に好ましくは、4.0〜5.5μmである。
非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。下塗り層の厚みは、例えば0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.5μmである。本発明の磁気記録媒体は、支持体両面に非磁性層と磁性層を設けてなるディスク状媒体であっても、片面のみに設けたテープ状媒体またはディスク状媒体でもよい。この場合、帯電防止やカール補正などの効果を出すために非磁性層、磁性層側と反対側にバックコ−ト層を設けてもかまわない。この厚みは、例えば0.1〜4μm、好ましくは0.3〜2.0μmである。これらの下塗層、バックコート層は公知のものが使用できる。
非磁性層の厚みは通常、0.2〜5.0μm、好ましくは0.3〜3.0μm、さらに好ましくは0.4〜2.0μmである。なお、非磁性層は実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、または意図的に少量の磁性体を含んでも、本発明の効果を示すものであり、本発明と実質的に同一の構成と見なすことができることは言うまでもない。なお、磁性層の厚みについては、先に記載の通りである。
(バックコート層)
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気記録媒体(磁気テープ)は、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。
バックコート層に添加することができる無機粉末としては、平均粉体サイズが80〜250nmでモース硬度が5〜9の無機粉末が挙げられる。無機粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、酸化クロム(Cr23)、TiO2等を使用することができ、中でもα−酸化鉄、α−アルミナを用いることが好ましい。
バックコート層に使用するカーボンブラックは、磁気記録媒体に通常使用されているものを広く用いることができる。例えば、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。バックコート層の凹凸が磁性層に写らないようにするために、カーボンブラックの粒径は0.3μm以下にすることが好ましい。特に好ましい粒径は、0.01〜0.1μmである。また、バック層におけるカーボンブラックの使用量は、光学透過濃度(マクベス社製TR−927の透過値)が2.0以下になる範囲にすることが好ましい。
走行耐久性を向上させる上で、平均粒子サイズの異なる2種類のカーボンブラックを使用することが有利である。この場合、平均粒子サイズが0.01から0.04μmの範囲にある第1のカーボンブラックと、平均粒子サイズが0.05から0.3μmの範囲にある第2のカーボンブラックとの組合せが好ましい。第2のカーボンブラックの含有量は、無機粉末と第1のカーボンブラックとの合計量を100質量部として、0.1〜10質量部が適しており、0.3〜3質量部が好ましい。結合剤の使用量は、無機粉末とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜40質量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜32質量部にする。バックコート層用の結合剤には、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用いることができる。
(非磁性支持体)
本発明において、非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ガラス転移温度が100℃以上の支持体を用いることが好ましく、ポリエチレンナフタレート、アラミドなどの高強度支持体を用いることが特に好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため、特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。
非磁性支持体としては、WYKO社製光干渉式表面粗さ計HD−2000で測定した中心面平均表面粗さ(Ra)が8.0nm以下、好ましくは4.0nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下のものを使用することが好ましい。これらの支持体は単に中心面平均表面粗さ(Ra)が小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。支持体の最大高さRmaxは1μm以下、十点平均粗さRzは0.5μm以下、中心面山高さはRpは0.5μm以下、中心面谷深さRvは0.5μm以下、中心面面積率Srは10%以上、90%以下、平均波長λaは5μm以上、300μm以下であることがそれぞれ好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールすることができ、0.01μmから1μmの大きさのものを各々を0.1mm2あたり0個から2000個の範囲でコントロ−ルすることができる。
本発明に用いられる支持体のF−5値は好ましくは5〜50kg/mm2(49〜490MPa)である。また、支持体の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は5〜100kg/mm2(49〜980MPa)、弾性率は100〜2000kg/mm2(0.98〜19.6GPa)であることがそれぞれ好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であることが好ましく、より好ましくは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であることが好ましく、より好ましくは10-5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
(塗布液の製造)
磁性層塗布液、更には非磁性層塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁性粉末、非磁性粉体、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は強磁性粉末または非磁性粉体と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30質量%以上が好ましい)および強磁性粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理することができる。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液および非磁性層塗布液を分散させるためにはガラスビーズを用いることができ、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズを用いることが好ましい。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
[磁気記録媒体の製造方法]
更に、本発明は、非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成し、次いで、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法に関する。前記磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末と結合剤を含み、該結合剤は少なくとも質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含む。前述の本発明の磁気記録媒体は、前記製造方法により製造することができる。
前記磁性層塗布液は、質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含む。前述のように、前記樹脂を含むことにより、磁性層塗布液における強磁性粉末に対する結合剤の吸着量を増大させることができ、これにより配向凝集を低減ないし防止することができる。前記の質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂の詳細は、先に説明した通りである。
前記磁性層塗布液中の前記の質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂の含有量については、先に記載の通りである。また、前記磁性層塗布液は、前記樹脂とともに熱硬化性官能基を有する化合物を含むこともできる。その詳細も前述の通りである。
前記化合物を含む磁性層塗布液を使用すれば、塗布後の加熱により前記樹脂と前記化合物との架橋反応が進み、結果的に前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物を含む磁性層が得られる。この磁性層は、前記樹脂そのものを含む磁性層と比べて塗膜強度が高いため、より耐久性の高い磁気記録媒体を得ることができる。前記磁性層塗布液が熱硬化性官能基を有する化合物を含む場合、その含有量は、磁性層に含有されるすべての結合剤に対して5〜40質量%とすることが好ましく、10〜30質量%とすることが更に好ましく、15〜25質量%とすることが特に好ましい。
また、良好な電磁変換特性を確保するためには、磁性層塗布液中の強磁性粉末に対する全結合剤量は、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましく、20〜30質量%であることが最も好ましい。
前述のように、前記磁性層塗布液は、前記樹脂とともに他の結合剤成分(熱硬化性官能基含有化合物、樹脂成分等)を含むことができる。その詳細は先に記載した通りである。前記質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂の添加による配向凝集防止効果と電磁変換特性を両立する上では、前記質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂に対する他の結合剤成分の量は、10〜80質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることが更に好ましく、20〜40質量%であることが最も好ましい。また、磁性層塗布液中の前記樹脂以外の結合剤成分の含有量は、該成分の添加効果を得る上では、強磁性粉末に対して2.5質量%以上とすることが好ましく、4〜40質量%とすることがより好ましく、5〜30質量%とすることが更に好ましく、5〜25質量%とすることが特に好ましい。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、磁性層塗布液中に前記の質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を添加することにより、特に薄層磁性層を形成するために低濃度の磁性層塗布液を使用する際に生じる配向凝集を効果的に抑制することができる。磁性層塗布液の固形分(強磁性粉末、結合剤など)の濃度は、磁性層の厚さによって適宜調整することができ、例えば10〜25質量%、更には10〜23質量%、特に12〜20質量%とすることができる。このように比較的低濃度の磁性層塗布液を使用する際に、本発明の適用が有効である。また、このように低濃度の磁性層塗布液を使用することにより形成される磁性層の厚さは、例えば10〜300nm、好ましくは20〜200nm、より好ましくは30〜100nmである。
前述のように、質量平均分子量12万以上の樹脂は、強磁性粉末粒子に対する吸着性が高いため、前記樹脂を含む結合剤を使用することにより、磁性層塗布液中での強磁性粉末粒子に対する結合剤の吸着量を増大させることができる。前記磁性層塗布液における強磁性粉末に対する結合剤の吸着量は、強磁性粉末1000mgあたり80mg以上であることが好ましく、更に好ましくは100mg以上、特に好ましくは120mg以上である。前記吸着量は多いほど好ましいが、実用上、その上限値は例えば300mg程度である。前記吸着量は、磁性層塗布液を遠心分離装置により遠心分離して強磁性粉末粒子を沈降させ、上澄み液中の結合剤濃度を測定することで求めることができる。
(塗布方法)
非磁性層および磁性層の作製においては、エクストルージョン塗工方式、ロール塗工方式、グラビア塗工方式、マイクログラビア塗工方式、エアーナイフ塗工法式、ダイ塗工法式、カーテン塗工法式、ディップ塗工法式、ワイヤーバー塗工方式など公知の手法を用いることができる。磁性層の作製においてはエクストルージョン塗工方式を用いることが好ましい。
磁性層の形成には、塗布用スリットと回収用スリットの2つのスリットを有し、塗布用スリットから過剰に吐出してウエブに塗布した塗布液の過剰分を回収用スリット内に吸い取るようにした塗工方式を用いることが好ましい。更に、前記塗工方式において、回収用スリットで過剰な塗布液を吸い取る圧力条件の最適化を図ることにより、より極薄で塗布ムラのない磁性層を得ることのできる塗工方式を用いることがより好ましい。
具体的には、非磁性層および磁性層の形成を、連続走行する非磁性支持体上で行い、磁性層塗布液の塗布を、塗布ヘッド内に送液した磁性層形成用塗布液を、前記非磁性支持体上に形成された非磁性層と塗布ヘッド先端のリップ面とを近接させた状態で、前記塗布ヘッドの塗布用スリットから所望の膜厚の磁性層を形成するために要する塗布量よりも過剰に非磁性層上に吐出するとともに、前記非磁性支持体の走行方向から見て前記塗布用スリットよりも下流側に設けた回収用スリットから過剰に塗布した磁性層塗布液を吸い取ることによって行い、かつ前記吸い取りを、前記回収用スリットの吸い取り口での液圧力をP(MPa)としたとき、下記式(I)を満足するように行うことが好ましい。
0.05>P≧0 (I)
更に、前記塗工方式において、過剰に塗布した磁性層塗布液を吸い取りポンプによって吸い取る場合には、吸い取りポンプの吸い込み口側圧力をPIN(MPa)としたとき、下記式(II)を満足するように吸い取りを行うことが好ましい。
PIN≧−0.02 (II)
前記塗工方式の詳細は、特開2003−236452号公報に記載されている。
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法では、非磁性層および磁性層の形成を、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行い、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得ることが好ましい。ロール形態に巻かれた非磁性支持体を送り出して非磁性層を形成した後、一旦巻き取り再度非磁性支持体を送り出して磁性層を形成する方法では、安価に大量の磁気記録媒体を製造することは困難である。それに対し、上記のように、ロール形態に巻かれた非磁性支持体を送り出して非磁性層を形成した後に、非磁性支持体を一度も巻き取らずに磁性層を形成することにより、磁気記録媒体を安価に大量生産することができる。また、非磁性支持体の送り出しから巻き取りまでの間に、非磁性層および磁性層以外の層も形成することが好ましい。例えば、下塗り層、バックコート層を設ける場合は、それらの層の形成も非磁性支持体の送り出しから巻き取りまでの間に行うことが好ましい。
また、生産性向上のために、磁性層塗布液の塗布の塗布速度は、100m/分以上とすることが好ましい。より好ましくは200m/分以上、更に好ましくは300m/分以上、特に好ましくは400m/分以上である。塗布速度が速いほど生産性向上には有利である。但し、塗布速度が速すぎると塗布故障(塗布スジ、塗布ムラ)が発生しやすくなるため、塗布速度は700m/分以下とすることが好ましい。
磁性層中の強磁性粉末を所望の配向状態とするために、通常、磁性層塗布液の塗布後、磁性層塗布液が湿潤状態にあるうちに配向処理が施される。前述のように、本発明では、質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を磁性層塗布液に添加することにより、配向処理による強磁性粉末粒子同士の凝集(配向凝集)を低減ないしは防止することができる。なお、ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。六方晶フェライトの場合は一般的に面内および垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向をしてもよい。また、磁気テープの場合はコバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に配向することができる。
各層形成用塗布液の乾燥は、例えば塗布された塗布液上に温風を吹き付けることにより行うことができる。乾燥風の温度は60℃以上とすることが好ましい。また、乾燥風の風量は、塗布量および乾燥風の温度に応じて設定すればよい。なお、磁性層塗布液の塗布後、配向処理のために磁石ゾーンに導入する前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
上記塗布、乾燥後、通常、磁気記録媒体にカレンダー処理を施す。カレンダー処理ロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロ−ルを用いることができる。特に両面磁性層とする場合は金属ロ−ル同士で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm(196kN/m)以上、さらに好ましくは300kg/cm(294kN/m)以上である。
以下に、本発明の具体的実施例および比較例を挙げるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」の表示は、「質量部」を示す。
(磁性層塗布液Aの作製)
下記強磁性金属粒子、リン酸系分散剤、フェニルホスホン酸、ポリウレタン系樹脂PU1、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いて、公知のオープンニーダーで混練分散した。作製した混練物に下記α−アルミナ、カーボンブラックを添加して、公知のダイノミル(直径0.5mmのジルコニアビーズ)で分散処理し、強磁性金属粒子の分散液を作製した。
強磁性金属粒子(針状) 100部
組成 Fe/Co=100/25
抗磁力Hc 215kA/m(2700Oe)
比表面積(BET法) 70m2/g
表面処理剤 Al23、SiO2、Y23
平均長軸長 45nm
平均針状比 4
飽和磁化σs 110A・m2/kg(110emu/g)
リン酸系分散剤 5部
ポリウレタン系樹脂PU1(質量平均分子量(Mw)=12万 25部
極性基−SO3Na;70eq./トン含有)
α−アルミナ モース硬度9(平均粒径0.1μm) 5部
カーボンブラック(平均粒径0.08μm) 0.3部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 150部
作製した上記分散液に、下記ブチルステアレート、ステアリン酸、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを添加して攪拌し、公知の超音波分散機で分散処理した。平均孔径1μのフィルターで濾過して磁性層塗布液Aを作製した。磁性層塗布液Aの固形分濃度は14.6質量%であった。
ブチルステアレート 1.5部
ステアリン酸 0.5部
メチルエチルケトン 330部
シクロヘキサノン 170部
(磁性層塗布液Bの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)15部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Bを作製した。
(磁性層塗布液Cの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)8部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)10部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量;8万)8部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Cを作製した。
(磁性層塗布液Dの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU3(質量平均分子量(Mw);24万)12部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)10部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)3部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Dを作製した。
(磁性層塗布液Eの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)6部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)6部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Eを作製した。
(磁性層塗布液Fの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリエステル系樹脂(質量平均分子量(Mw);14万、極性基−SO3Na;75eq./トン含有)7部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)7部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)8部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Fを作製した。
(磁性層塗布液Gの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、セルロースジアセテート(質量平均分子量(Mw);20万)20部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Gを作製した。
(磁性層塗布液Hの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU4(質量平均分子量(Mw);30万)2.5部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)7部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)12部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)2.5部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Hを作製した。
(磁性層塗布液Iの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1 6部、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU2(質量平均分子量(Mw);17万)6部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部に変更した以外は磁性層塗布液A作製時の強磁性金属粒子の分散液作製と同様にして強磁性金属粒子の分散液を作製した。作製した上記分散液に、ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製)4部を添加した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Iを作製した。
(磁性層塗布液Jの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)25部に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Jを作製した。
(磁性層塗布液Kの作製)
磁性層塗布液Aのポリウレタン系樹脂PU1 25部を、ポリウレタン系樹脂PU1と同様の分子構造を有するポリウレタン系樹脂PU5(質量平均分子量(Mw);8万)15部、ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製)9部、に変更した以外は磁性層塗布液Aの作製と同様にして磁性層塗布液Kを作製した。
(非磁性層塗布液の作製)
下記非磁性金属粒子、カーボンブラック、リン酸系分散剤、フェニルホスホン酸、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いて、公知のオープンニーダーで混練分散した。
作製した混練物を公知のダイノミル(直径0.5mmのジルコニアビーズ)で分散処理して、非磁性粒子の分散液を作製した。
非磁性粒子 αFe23(針状) 80部
比表面積(BET法) 52m2/g
表面処理剤 Al23、SiO2
平均長軸長 100nm
pH 9.0
タップ密度 0.8g/cc
DBP吸油量 27〜38g/100g
カーボンブラック 20部
平均一次粒子径 16μm
DBP吸油量 120mL/100g
pH 8.0
比表面積(BET法) 250m2/g
揮発分 1.5%
リン酸系分散剤 3部
ポリ塩化ビニル系樹脂(MR110、日本ゼオン社製) 12部
ポリウレタン系樹脂 7.5部
(分岐測鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系、極性基−SO3Na基:70eq./トン含有)
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサノン 150部
作製した上記分散液に、下記ポリイソシアネート、ブチルステアレート、ステアリン酸、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを添加して攪拌し、公知の超音波分散機で分散処理した。平均孔径1μmのフィルターで濾過して非磁性層塗布液を作製した。
ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製) 5部
ブチルステアレート 1.5部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 5部
シクロヘキサノン 75部
(バックコート層塗布液の作製)
下記原材料、溶媒を公知の手法により混練処理した後、公知のダイノミル(直径0.5mmのジルコニアビーズ)を用いて分散処理した。
カーボンブラックA(平均粒径0.04μm) 100部
カーボンブラックB(平均粒径0.1μm) 5部
非磁性粒子 αFe23 20部
(平均粒径:0.11μm、モース硬度:5、pH:9.0)
α−アルミナ(平均粒径0.2μm) 1部
ニトロセルロース(セルノバBTH1/2、旭化成社製) 60部
ポリウレタン系樹脂 45部
銅フタロシアニン系分散剤 5部
オレイン酸銅 5部
沈降性硫酸バリウム 5部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
作製した分散液に下記原材料を加えて攪拌処理した。平均孔径1μmのフィルターで濾過してバックコート層塗布液を作製した。
ポリエステル系樹脂(バイロン300、東洋紡社製) 5部
ポリイソシアネート(コロネートL、日本ポリウレタン社製) 15部
(磁気記録媒体の作製−1)
(実施例1−1)
公知の手法で易接着処理を施したポリエチレンナフタレート(PEN)支持体(厚さ5μm)上に、上記で作製した非磁性層塗布液を乾燥後の膜厚が1.0μmになるように公知の手法により塗布、乾燥して、非磁性層を作製した。
作製した非磁性層の上に、上記で作製した磁性層塗布液Aを乾燥後の膜厚が0.07μmとなるように特開2003−236452号公報記載の手法を用いて塗布した。磁性層が湿潤状態にある磁性層塗布液の塗布後(0.5秒後)に0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向処理し、次いで乾燥して磁性層を作製した。塗布速度は300m/分とした。
磁性層とは反対側のPEN支持体上に、上記で作製したバックコート層塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように公知の手法により塗布、乾燥して、バックコート層を作製した。
尚、PEN支持体を送り出してから巻き取るまでの間に、非磁性層、磁性層、バックコート層の順に3つの層を塗設した。
金属ロール(温度100℃)から構成される7段のカレンダ処理機(線圧300kg/cm)で、処理速度150m/分で表面平滑化処理を実施した。次いで、70℃、40時間で熱処理を実施した後、1/2インチ幅にスリットして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−2)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Bを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−3)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Cを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−4)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Dを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−5)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Eを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−6)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Fを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−7)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Gを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−8)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Hを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例1−9)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Iを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例1−1)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Jを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例1−2)
磁性層塗布液Aに代えて磁性層塗布液Kを用いた以外は、実施例1−1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(磁気記録媒体の評価)
実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2で作製した磁気記録媒体について、以下の項目の評価を行った。
(1)磁場配向に伴う強磁性金属粒子の凝集状態の評価
磁気記録媒体の磁性層表面を走査型電子顕微鏡(SEM、倍率1万倍)で観察して、磁気記録媒体の塗布方向に強磁性金属粒子同士の凝集(配向凝集)が存在するかどうか観察した。配向凝集の程度を3段階で評価した。
1:配向凝集が全くない(例えば実施例1−2(図1))
2:配向凝集は殆ど存在しない(例えば実施例1−1(図2))
3:顕著な配向凝集が全面に存在する(例えば比較例1−1(図3))
(2)結合剤吸着量の評価
作製した磁性層塗布液において、遠心分離機を用いて塗布液中の強磁性金属粒子を沈降させた。上澄み液の固形分濃度を測定して、強磁性金属粒子1000mgに対する結合剤の吸着量を算出した。遠心分離機として日立分離用小型超遠心機(CS150GXL、(株)日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、10万回転で100分間の遠心分離処理を実施した。
(3)磁気特性の評価
磁気特性を振動試料型磁力計(VSM−P7、東英工業(株)製)と同社製データ処理装置を用いて、印荷磁場79.6kA/m(10kOe)で測定した。φm(単位面積当たりの磁化量)、SQ(角形比)を算出した。
(4)表面粗さの評価
作製した磁気記録媒体において、原子間力顕微鏡(AFM)(ナノスコープ3、デジタルインスツルメンツ社製)を用いて、磁性層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)評価した。 稜角70°の四角錐のSiNの探針を用いて、40μm平方角(1600μm2)におけるRaを測定した。
(5)電磁変換特性の評価
作製した磁気記録媒体において、Standard ECMA−319 Annex Bに記載の方法で電磁変換特性を評価した。BBSNRをSN比とした。富士写真フイルム製LTO−Gen1テープに対するSN比の差を求めた。数値が高い方が電磁変換特性に優れている。
(6)エラー発生率の評価
作製した磁気記録媒体において、上記LTO−Gen1ドライブを用いて、線記録密度144kbpiの信号を8−10変換PRI等化方式で記録した後、LTO−Gen1(IBM社製)ドライブで記録信号を読みとり、エラー発生率を測定した。数値が低い方がエラーの発生が少ない。
(7)磁気ヘッドの汚れの評価
作製した磁気記録媒体において、公知のMRヘッドを搭載したドライブを用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で再生、及び、巻き戻し操作を繰り返し100回行い、走行後に磁気ヘッドに付着した汚れの程度を顕微鏡で観察して5段階で評価した。磁気ヘッドに付着した汚れが少ないほど好ましい。
1:汚れが無い
2:汚れが殆ど存在しない
3:微量の汚れが存在する
3:若干の汚れが存在する
5:多量の汚れが存在する
(評価結果)
各試料についての評価試験結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含有する実施例1−1〜1−9において強磁性金属粒子同士の凝集(配向凝集)が改良された。特に、強磁性金属粒子1000mgに対して、吸着している結合剤の質量が100mgを越える実施例1−2〜1−5、1−7、1−9では、配向凝集は全くみられなかった。これは、結合剤の吸着量が多いほど、強磁性金属粒子同士の間に働く立体反発効果が高く、配向凝集を改良する効果が強まったことに起因していると考えられる。
一方、比較例1−1、1−2においては、顕著な配向凝集が観察された。強磁性金属粒子1000mgに対して、吸着している結合剤の質量が80mgより少なく、強磁性金属粒子同士の間に働く立体反発効果が低かったことにより配向凝集が発生したと考えられる。
実施例1−1〜1−9、及び、比較例1−1、1−2における中心線平均表面粗さ(Ra)は2.8〜4.8nmの範囲であった。
電磁変換特性、エラー発生率に関しては実施例1−1〜1−9において、比較例1−1、1−2よりも良好な結果が得られた。配向凝集の発生が電磁変換特性、エラー発生率を悪化させており、配向凝集を改良できた実施例1−1〜1−9において良好であったと考えられる。
磁気ヘッドの汚れに関しては、磁性層結合剤としてポリ塩化ビニル系樹脂を併用した実施例1−2〜1−6、1−8、1−9において、極めて良好であった。さらに、磁性層にポリ塩化ビニル系樹脂と熱硬化性官能基含有化合物を添加した実施例1−5、1−6、1−8、1−9において、特に良好であった。
また、磁性層塗布液A〜Kについて、磁性層塗布液の固形分濃度10〜25質量%の範囲で変更し、また磁性層塗布液の塗布速度を100m/分以上の種々の塗布速度に変更して作製した磁気記録媒体においても、同様の結果が得られた。
尚、実施例1−1で使用した非磁性層塗布液と磁性層塗布液A〜Kを用いて、同時重層塗布方式で、実施例1−1と同様の磁性層厚の磁気テープ試料の作製を試みたが、塗布スジが顕著に発生し、諸性能を評価可能な試料を作製することは困難であった。これは、非磁性層が湿潤状態にあるうちに磁性層塗布液を塗布(同時重層)したことによる非磁性層と磁性層の混ざり合いが原因の塗布スジであった。このように、同時重層塗布方式は、塗布性が液物性(濃度や粘度)に大きく影響されるため、薄層磁性層において高い電磁変換特性を得るための磁性層塗布液の調製が難しいと考えられる。
(磁気記録媒体の作製−2)
実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2において、磁性層塗布液中のα−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.1μm)をα−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.15μm)に変更した以外は、全く同様にして磁気記録媒体を作製した。
(磁気記録媒体の評価)
作製した磁気記録媒体において、実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と同様の評価を行った。
(評価結果)
磁性層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が3.5〜6.8nmの磁気記録媒体が得られた。
磁場配向に伴う強磁性金属粒子の凝集、結合剤の吸着量、電磁変換特性、エラー発生率、磁気ヘッドの汚れ、は実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と全く同様の傾向を示す結果が得られた。
一方、中心線平均表面粗さ(Ra)が高くなったことで、電磁変換特性が若干悪くなる傾向を示したが、磁気記録媒体の電磁変換特性上は許容されるものであった。磁気ヘッドの汚れは改良される傾向を示した。
(磁気記録媒体の作製−3)
実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2において、α−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.1μm)をα−アルミナ(モース硬度9、平均粒径0.2μm)に変更した以外は、全く同様にして磁気記録媒体を作製した。
(磁気記録媒体の評価)
作製した磁気記録媒体において、実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と同様の評価を行った。
(評価結果)
磁性層表面の中心線平均表面粗さ(Ra)が4.5〜8.8nmの磁気記録媒体が得られた。
磁場配向に伴う強磁性金属粒子の凝集、結合剤の吸着量、電磁変換特性、エラー発生率、磁気ヘッドの汚れ、は実施例1−1〜1−9、および、比較例1−1、1−2と全く同様の傾向を示す結果が得られた。一方、中心線平均表面粗さ(Ra)が高くなったことで、電磁変換特性がさらに若干悪くなる傾向を示したが、磁気記録媒体の電磁変換特性上は許容されるものであった。磁気ヘッドの汚れはさらに改良される傾向を示した。
本発明によれば、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を高い生産性をもって提供することができる。
配向凝集が全くない磁性層表面のSEM写真(実施例1−2)を示す。 配向凝集が殆ど存在しない磁性層表面のSEM写真(実施例1−1)を示す。 顕著な配向凝集が全面に存在する磁性層表面のSEM写真(比較例1−1)を示す。

Claims (22)

  1. 非磁性支持体上に非磁性層と磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
    前記磁気記録媒体は、前記非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成した後に、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより形成されたものであり、
    前記磁性層は、強磁性粉末および結合剤を含み、該結合剤は質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を構成成分として含む結合剤成分を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記結合剤成分は、前記樹脂からなる請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記結合剤成分は、前記樹脂と熱硬化性官能基を有する化合物との反応生成物である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記結合剤成分は、前記樹脂、熱硬化性官能基を有する化合物および他の樹脂成分の反応生成物である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記磁性層は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 非磁性支持体上に非磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥して非磁性層を形成し、次いで、該非磁性層上に、磁性層形成用塗布液を塗布および乾燥することにより磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性層形成用塗布液は、強磁性粉末と結合剤を含み、該結合剤は少なくとも質量平均分子量(Mw)が12万以上の樹脂を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  11. 前記磁性層形成用塗布液の塗布後、配向処理を施すことを更に含む請求項10に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  12. 前記磁性層形成用塗布液は、前記樹脂を前記強磁性粉末に対して2.5質量%以上含有する請求項10または11に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  13. 前記磁性層形成用塗布液中の強磁性粉末に対する結合剤の吸着量は、強磁性粉末1000mgあたり80mg以上である請求項10〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 前記磁性層形成用塗布液の固形分濃度は、5〜25質量%の範囲である請求項10〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  15. 前記磁性層形成用塗布液の塗布は、100m/分以上の塗布速度で行われる請求項10〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  16. 前記樹脂は、ポリウレタン系樹脂である請求項10〜15のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  17. 前記結合剤は、塩化ビニル系樹脂を更に含む請求項10〜16のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  18. 前記結合剤は、熱硬化性官能基を有する化合物を更に含む請求項10〜17のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  19. 前記非磁性層および磁性層の形成は、非磁性支持体原反ロールから送り出された非磁性支持体上で連続して行われ、前記非磁性層および磁性層形成後、非磁性支持体を巻き取ることにより磁気記録媒体原反ロールを得て、該ロールの一部を裁断することによりテープ状またはディスク状磁気記録媒体を得る請求項10〜18のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  20. 前記非磁性層および磁性層の形成は、連続走行する非磁性支持体上で行われ、
    前記磁性層形成用塗布液の塗布は、塗布ヘッド内に送液した磁性層形成用塗布液を、前記非磁性支持体上に形成された非磁性層と塗布ヘッド先端のリップ面とを近接させた状態で、前記塗布ヘッドの塗布用スリットから所望の膜厚の磁性層を形成するために要する塗布量よりも過剰に非磁性層上に吐出するとともに、前記非磁性支持体の走行方向から見て前記塗布用スリットよりも下流側に設けた回収用スリットから過剰に塗布した磁性層形成用塗布液を吸い取ることによって行われ、かつ
    前記吸い取りは、前記回収用スリットの吸い取り口での液圧力をP(MPa)としたとき、下記式(I)を満足するように行われる請求項10〜19のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
    0.05>P≧0 (I)
  21. 前記磁性層の厚さは、10〜300nmの範囲である請求項10〜20のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  22. 前記磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は、1.0〜10.0nmの範囲である請求項10〜21のいずれか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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