JP2007328096A - 回折光学素子とその作製方法および光学モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、表面にレリーフパターンが形成されている回折光学素子201において、前記レリーフパターン202上に、使用する波長の最小波長よりも短いピッチを有する微細周期構造203を形成し、該微細周期構造203のピッチ、幅、高さ(または深さ)などのパラメータを変えることにより微細周期構造203における有効屈折率の波長依存性を調整する。これにより、所望の複数波長あるいは波長範囲において回折効率がより高い回折光学素子201を実現することが可能となり、また、より自由に設計することが可能な回折光学素子を提供することが可能となる。
【選択図】図3
Description
素子を通過する光の位相変調量の最大値φは、
φ=(n−1)d/λ 式(2)
で表される。
ここで、nは材料の屈折率、dはレリーフ構造の最大深さである。これを用い、m次の回折効率ηmは、以下の式(3) のように表される。
この問題を解決し、広い波長域で利用可能とした回折光学素子が特許文献1(特許第3717555号公報)に提案されている。
ただし、λ1>λ>λ2:λ1,λ2はそれぞれ使用波長の下限および上限の光の波長である。
そこで本発明の第5の課題は、このような問題を解決し、広い波長域で表面反射が低減されている、高効率な回折光学素子を提供することである。
しかしながら、通常の回折レンズでは単一波長で良い回折効率を有し、他の波長では回折効率が低いため、フレアや色むら、光利用効率の低下、などの原因となっていた。
そこで本発明の第6の課題は、このような問題を解決し、広い波長域で高い回折効率を有する回折光学素子(例えば回折レンズ)を提供することである。
そこで本発明の第12の課題は、低コストで生産性に優れる、広い波長域で利用可能な回折光学素子を提供することである。
また、本発明の第15の課題は、量産性に優れた回折光学素子の作製方法を提供することである。
さらに本発明の第16の課題は、高機能であり、かつ小型・軽量化された光学モジュールを提供することである。
本発明の第1の手段は、表面にレリーフパターンが形成されている回折光学素子において、前記レリーフパターン上に、使用する波長の最小波長よりも短いピッチを有する微細周期構造が形成されており、前記レリーフパターン部の屈折率n1および、前記微細周期構造部における有効屈折率neffが、次の式(1) を満たすことを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段の回折光学素子において、前記微細周期構造が、素子平面内で略等しい高さになるよう形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第1乃至第3のいずれか1つの手段の回折光学素子において、前記微細周期構造が、柱状または空孔の2次元アレイ状周期構造となっていることを特徴とする。
さらに本発明の第6の手段は、第1乃至第5のいずれか1つの手段の回折光学素子において、前記微細周期構造は、表面側がより細くなっていることを特徴とする。
また、本発明の第8の手段は、第1乃至第6のいずれか1つの手段の回折光学素子において、前記レリーフパターンは、1次元または2次元の周期構造であることを特徴とする。
さらに本発明の第9の手段は、第1乃至第6のいずれか1つの手段の回折光学素子において、前記レリーフパターンは、鋸歯状の構造であることを特徴とする。
さらにまた、本発明の第10の手段は、第1乃至第6のいずれか1つの手段の回折光学素子において、前記レリーフパターンが、所定の形状にビームを整形するよう設計された構造であることを特徴とする。
また、本発明の第12の手段は、第1乃至第11のいずれか1つの手段の回折光学素子において、2種類以上の材料によって形成されていることを特徴とする。
さらに本発明の第13の手段は、第1乃至第11のいずれか1つの手段の回折光学素子において、単一の材料により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第15の手段は、第1乃至第14のいずれか1つの手段の回折光学素子において、少なくとも1面に薄膜層が形成されていることを特徴とする。
本発明の回折光学素子の構造を作製するには、凸部の高さが等しいため、凹部のみ深さを制御して作製してやれば良い。よって、リソグラフィによって本発明の形状を作製するには、基板上に平坦に塗布されたレジストに対して、凹部を形成したい箇所に深さに応じて強度を調整した電子線を照射し、現像した後に、エッチングを行えばよい。あるいは、転写によって本発明の構造を作製する際に、型となる構造は底面が等しく高さが異なる構造となる。このような型構造は底面と高さの両方が異なる構造に対して作製が容易である。
回折レンズはアッベ数が負の値を持つことから、屈折レンズと組み合わせて使用することで効率的に色収差の補正が可能であることが知られているが、第7の手段の回折光学素子は、広い波長域で高い回折効率を有する素子であり、フレアや色むらや光利用効率の低下が少ない回折レンズとして使用可能である。
また、第9の手段の回折光学素子においては、第1乃至第6のいずれか1つの手段の構成および効果に加え、前記レリーフパターンは、鋸歯状の構造であることにより、広帯域・高効率なグレーティングとして機能させることができる。これによって、透過型の素子によって分光することが可能となり、分光光学系の小型化を達成することも可能である。
このような構造は特に白色光をいわゆるトップハットなビームパターンに均質化するときに有効である。また、波長によって均質領域のずれが生じるが、中心部では広い波長域で均質化された領域を得ることができる。
また、第13の手段の回折光学素子においては、第1乃至第11のいずれか1つの手段の構成および効果に加え、単一の材料で構成されることにより、型からの転写による作製が可能となり、量産性に優れた回折光学素子を実現することができる。
まず、第1〜第4、第9、第12、第13の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
本発明の回折光学素子に用いる波長以下の微細周期構造(以下、サブ波長構造と呼ぶ)に関して、その特性を図1のような1次元周期構造を用いて説明する。図1は本発明に係る回折光学素子101の1次元周期構造102の断面を模式的に表した断面図である。通常、図1に示すような周期構造102に光を入射した際には、回折光が生じる。この回折光の回折角θは、入射光の波長をλ、周期構造102のピッチをpとして以下のような式(7) で表される。ここで、mはm次の回折光を表す。
sinθ=mλ/p 式(7)
材料として、SCHOTT社製のガラス:LASF31(nd=1.88,νd=41)を例に設計を行った。サブ波長構造部としては前述したものと同じピッチp=300nm、周期構造の幅a=180nmとしたとき、その有効屈折率の波長依存性は前述したとおり図2となる。図3に、このピッチpと幅aを持つサブ波長構造203と階段状の表面レリーフ構造202とを組み合わせた構造を持つ回折光学素子201を示す。このような構造では、入射光を特定次数の回折光のみに集中させることが可能であり、すなわち入射光を特定の方向に偏向させることができる。
このとき、TE偏光(TM偏光と直交する偏光成分)においては回折効率が最適化されておらず、TM偏光でのみ広い波長域で高い回折効率を有することになる。このように、特定の偏光のみに対して高い回折効率を有する回折光学素子が実現可能となる。
石英基板の表面にレリーフ構造をエッチングで形成した後に、光硬化性樹脂でレリーフ構造を埋め平坦化する。その後に微細周期構造状のパターンで露光を行い、光硬化性樹脂を硬化させた後に、未露光部を除去する。これによって、レリーフ構造部は石英で、サブ波長構造部が光硬化性樹脂で出来た構造が作製される。
また、このようなレリーフ構造あるいはサブ波長構造は、素子全面に形成されている必要は無く、光束有効範囲内の一部に形成されているものでも良い。あるいは、素子の両面にこのような構造が形成されているものでも良い。
なお、図3、図5では、サブ波長構造203,303が素子上で高さが等しくなるように示したが、素子全体の高さが空間的に異なる構造でも良い。
次に第5、第11の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
2次元周期のサブ波長構造を用いた回折光学素子501の実施例の全体像を図7(a)に、その断面図を図7(b)に示す。ここでは構造は微細なピッチを有する2次元周期の円状ホールアレイ502が、空間的に深さが異なって配置されている構造となっている。このような2次元周期のサブ波長構造においても、前述した実施例1の1次元構造と同様に有効屈折率が波長依存性を示すことが非特許文献3(J.Opt.Soc.Am.A 15(6) 1577-1587 (1998))などに示されている。
よって、このような構造においても、広い波長域で高い回折効率を得ることが可能な回折光学素子を提供することができる。
次に第6の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
本実施例の回折光学素子を図9に示す。この回折光学素子201は、図3と同様にサブ波長構造203と階段状の表面レリーフ構造202とを組み合わせた構造を持つが、サブ波長構造203の先端部に、先端が徐々に細くなった構造204が設けてある。このような構造とすることで、広い波長域の光に対して素子表面におけるフレネル反射を低減せしめることが可能となる。より望ましくは、サブ波長構造部203において、レリーフ構造202の最も高い点よりも上部で徐々に構造204が細くなっているのがよい。
石英基板上にレジストを塗布した後に、電子線の強度を変えながら露光を行う。レジストを現像すると、照射した電子線の強度に応じて微細な凹凸を有する構造が得られる。これをマスクとしてドライエッチングを行い、レジストの凹凸を石英上に転写する。このとき、ドライエッチングの条件を最適化することにより、先端部が細い形状を形成することが可能である。このようにして、図9に示したような、サブ波長構造203の先端部に、先端が徐々に細くなった構造204を作製することができる。なお、エッチングによって先端部がとがった錘形状を有する構造を作製する方法は、例えば特許文献4(特開2001−272505公報)に開示されている。
次に第7、第14の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
本実施例の回折光学素子701としては、図10(a)に示すように、レリーフ構造部702が同心円状のいわゆる回折レンズ形状を有している。また、レリーフ構造は量子化されていて、階段状の形状となっていてもよい。
このような回折レンズは、通常利用される屈折レンズと組み合わせることにより色収差を効率的に補正することが可能である。さらには、屈折系のレンズと本実施例の回折レンズとを一体化して、図10(b)に示すように、回折レンズ形状を有する面と反対側の面が曲面704を有した構造であると、その曲面704を屈折レンズ(レンズ面)として機能させることができ、レンズを別に設ける必要がなく、素子数を減らすことが可能となる。
次に第8の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
本実施例の回折光学素子801を図11に示す。この回折光学素子801では、レリーフ構造802も周期構造をしており、その上にサブ波長構造803が設けられている。このような構造によって入射光は複数の光に分岐することができる。図11のようなレリーフ構造802を持つ回折光学素子801では、0次光と1次光、−1次光の3つに光を分岐することができ、レリーフ構造802の高さを最適に設定することで、3つの強度を同じにすることも可能である。また、レリーフ構造802を2次元的な周期構造とすることで、2次元的に光を分けることも可能である。
次に第10の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
本実施例の回折光学素子は、レリーフパターンが図12(a)に示すような構造となっている。図12(a)はいわゆる計算機合成ホログラム(CGH)パターンであり、色の濃淡がレリーフパターンの深さを表しているものである。図12(a)の形状を有するレリーフパターン上にサブ波長構造が形成された回折光学素子では、白色の平行光が入射すると、特定の距離において、各波長における図12(b)のような形状が再生されることになる。このように、レリーフパターンにホログラムパターンを用いることで、ビームを任意の形状に整形することが可能な回折光学素子を作製することが可能である。
これらの計算方法に関しては、それぞれ非特許文献4(Appl.Opt. 33,863-867 (1994))、非特許文献5(Opt.Eng. 19, 297-305 (1980))に詳しく記載されている。
反復フーリエ変換法は、大きな画素数のホログラムもシミュレーテッドアニーリング法に対して短時間で計算できるため、より好ましい。
次に第15の手段に係る回折光学素子の実施例について説明する。
本実施例の回折光学素子901は、図13(a)に示すように、微細なサブ波長構造902が形成されている面上に薄膜903が形成されている構造となっている。サブ波長構造902はアスペクトが比較的高い構造であるため傷つきやすい。これに対して、図13(a)に示すように、サブ波長構造902上に薄膜903が形成されていることで保護膜の役割を果たすことができ、信頼性・耐久性を向上させることが可能である。この薄膜903はどのような組成のものでも問題は無いが、使用波長域に対して透過率を有することが必要である。あるいは、単なる保護膜に限らず、誘電体や樹脂によって反射防止用の膜を形成することも可能である。あるいは、単層の膜ではなく、図12(b)に示すように多層膜904とすることで、バンドパスフィルタの機能や、偏光分離の機能などを付け加えることも可能であり、より高機能な素子とすることができる。これらの単層膜903や多層膜904は、構造が形成されていない面にも付け加えることができ、これによって回折光学素子を高機能化することができる。
次に第16の手段に係る回折光学素子の作製方法の実施例を図14を用いて説明する。
図14(a)に示すように、金属などによって形成された型1101を用い、これに樹脂等からなる転写材1102を流し込み、さらに転写材1102を硬化させた後に、型1101から離型することで、回折光学素子1103を容易に得ることが可能である。この方法は、型1101を1度作ることができれば、何度も再利用して転写することが可能であるため、非常に量産性に優れており、低コストな作製方法である。
転写材料としては、熱可塑性の樹脂、光硬化性の樹脂などの高分子材料の他、有機・無機の混合材料であるゾル・ゲル材料や、低融点ガラスなどを利用することができる。硬化方法は材料に対して最適なものが選ばれるものであるが、通常は熱インプリント法もしくは光インプリント法のどちらかが用いられる。熱インプリント法では、熱可塑性の材料を用い、高温で型に密着させた後に、温度を下げ離型を行う。光インプリント法では、光硬化性の樹脂またはゾル・ゲル材料などを用い、型に材料を流し込んだ後に、主に紫外線を照射することで材料を硬化させ、その後、離型を行う。
次に第17の手段に係る光学モジュールの実施例について説明する。
上述したような実施例の回折光学素子は、他の光学素子と組み合わせることによって高機能でかつ小型・軽量な光学モジュールとして使用可能である。先に述べたように、屈折レンズと本発明の回折光学素子(例えば回折レンズ)とを組み合わせることで、効率的に色収差低減を行うことが可能な光学モジュールとすることができる。
また、実施例1〜7で説明した回折光学素子や、それを用いた光学モジュールは、撮像光学系、投影光学系、画像処理装置などの各種の光学機器に応用することができる。
2:レンズ
3:受光素子(ラインセンサー)
4:複数の波長を有する光
5:光学モジュール
101:回折光学素子
102:微細周期構造(サブ波長構造)
201:回折光学素子
202:階段状の表面レリーフ構造
203:サブ波長構造
204:先端が徐々に細くなった構造
301:回折光学素子
302:鋸歯状のレリーフ構造
303:サブ波長構造
401:回折光学素子
402:凹凸が周期的でないレリーフ構造
501:回折光学素子
502:円状ホールアレイ
601:回折光学素子
602:ピラー形状の周期構造
701:回折レンズ形状を有する回折光学素子
702:同心円状のレリーフ構造
703:サブ波長構造
704:曲面(レンズ面)
801:回折光学素子
802:周期構造のレリーフ構造
803:サブ波長構造
901:回折光学素子
902:サブ波長構造
903:単層の薄膜(単層膜)
904:多層膜
1101:型
1102:転写材
1103:回折光学素子
1201:基板
1202:レジスト材料
1203:電子線
1204:レジスト
1205:金属膜
1206:金属型
Claims (17)
- 請求項1記載の回折光学素子において、
前記微細周期構造のピッチおよび幅が全範囲にわたって略等しいことを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1または2記載の回折光学素子において、
前記微細周期構造が、素子平面内で略等しい高さになるよう形成されていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記微細周期構造が、1次元の格子周期構造となっていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記微細周期構造が、柱状または空孔の2次元アレイ状周期構造となっていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記微細周期構造は、表面側がより細くなっていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記レリーフパターンは、同心円状の構造であることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記レリーフパターンは、1次元または2次元の周期構造であることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記レリーフパターンは、鋸歯状の構造であることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
前記レリーフパターンが、所定の形状にビームを整形するよう設計された構造であることを特徴とする回折光学素子。 - 表面にレリーフパターンが形成されている回折光学素子において、
前記レリーフパターン上に、使用する波長の最小波長よりも短いピッチを有する微細周期構造が等ピッチで2次元周期状に形成されていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
2種類以上の材料によって形成されていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
単一の材料により形成されていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
少なくとも1面が曲面であることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の回折光学素子において、
少なくとも1面に薄膜層が形成されていることを特徴とする回折光学素子。 - 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の回折光学素子を作製する作製方法において、
前記回折光学素子の構造を作製する際に、高さが空間的に異なる1次元または2次元の周期構造を有する構造体を型として、該型の形状を転写する工程が含まれていることを特徴とする回折光学素子の作製方法。 - 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の回折光学素子と、少なくとも1枚以上のレンズと、受光素子とを有することを特徴とする光学モジュール。
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