JP2007335404A - プラズマディスプレイ用基板、その製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル、並びに無機物層及びその変質防止方法 - Google Patents

プラズマディスプレイ用基板、その製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル、並びに無機物層及びその変質防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の手法に代替可能であり、無機物層の変質を十分に防止したプラズマディスプレイ用基板を提供する。
【解決手段】本発明は、絶縁基板10と、その絶縁基板10の主面上に設けられた電極と、上記主面及び上記電極の表面を被覆してなり無鉛低融点ガラスを含有する無機物層40とを備え、上述の電極が、銀電極30と、その銀電極30に電気的に導通するように配置された透明電極20とを含むプラズマディスプレイ用基板1を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイ用基板、その製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル、並びに無機物層及びその変質防止方法に関するものである。
従来、平板ディスプレイの1つとして、プラズマ放電により発光する蛍光体を設けて多色表示を可能にしたプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;以下、「PDP」と表記する。)が知られている。PDPは、ガラス基板からなる前面板と背面板とが互いに平行にかつ対向して配設され、両者がその間に設けられたバリアリブにより一定の間隔に保持された構造を有しており、前面板、背面板及びバリアリブに囲まれた放電空間には、表示のための電極、誘電体層及び蛍光体等が付設されるとともに、放電のための放電ガスが封入されている。そして、PDPは、プラズマ放電によって放電ガスから発生した紫外線を吸収した蛍光体が発光することにより、多色表示する。このような構造を有するPDPは、例えば、ガラス基板上に電極及び誘電体層が設けられた前面基板と、ガラス基板上に電極及びバリアリブが設けられた背面基板とを、誘電体層及びバリアリブが互いに対向するように貼り合わせて得られる。この場合、背面基板において、バリアリブで形成された溝の底面及びバリアリブの壁面に蛍光体層が形成される。
ところで、プラズマディスプレイパネルは、通常、例えば上記誘電体層等の各種透明部材の材料として低融点ガラスを多用している。このようなガラスの低融点化は、ガラスに鉛を含有することにより達成している。ところが近年、欧州RoHS規制に代表される、材料成分に関する規制への対応や環境保護の観点から、種々の鉛含有材料が無鉛化されつつある。このことを考慮して、プラズマディスプレイパネルの部材材料に用いられる低融点ガラスに対しても無鉛化が強く要望されており、種々の材料で検討が行われてきた。
しかしながら、特に、銀を導電性成分として含有する電極を被覆するように無鉛低融点ガラスを含有する無機物層を形成した場合、その無機物層が変質してしまう。無機物層は、通常、その前駆体となるガラス成分を含むペーストを上述の電極の表面等上に塗布した後、加熱焼成することにより得られる。無機物層の変質は、この加熱焼成の過程で粘度が低下したガラス成分の反応性が、従来の有鉛低融点ガラスと比較して高く、銀がこのガラス成分と反応しながらそこに拡散してしまうために発生する。
この変質は、特にプラズマディスプレイパネルの前面板における上述の誘電体層で容易に観察される。具体的には、拡散した銀が原子コロイドを形成し、上記誘電体層を黄色に着色してしまう。プラズマディスプレイパネルの前面板は、蛍光体から発した光を透過させ、画像を表示させる部材であるため、その光を十分透過可能なように高い透明性が必要とされる。したがって、この前面板における透明な誘電体層が着色した場合、観察者が視認する表示画像の品質、特に色の再現性に直接影響を及ぼす。このような誘電体層の着色に対して、これまで種々の検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、無鉛低融点ガラスの組成を工夫して銀原子の反応を低減することで、銀原子の透明誘電体層への拡散を抑制しようと試みている。
特開2005−343730号公報
しかしながら、特許文献1に記載の手法は、銀を導電性成分として含有する電極に直接接触する材料、並びにそれらを形成する際の形状及び順序を特定する手法である。また、特許文献2に記載の手法は、銀を含有する材料に接触する材料、特に低融点ガラスの組成を制御することで、黄変防止を試みている。そのため、これらの文献に記載の手法では、電気特性等の画像の表示に必須の性能と黄変の防止とを両立させる必要性から、組成又は形状が限定的となる等設計上の制約が多いという問題点がある。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、上述の従来の手法に代替可能であり、上記無機物層の変質を十分に防止したプラズマディスプレイ用基板、その製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル、並びに無機物層及びその変質防止方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、絶縁基板と、その絶縁基板の主面上に設けられた電極と、上記主面及び上記電極の表面を被覆してなり無鉛低融点ガラスを含有する無機物層とを備え、上述の電極が、銀電極と、その銀電極に電気的に導通するように配置された透明電極とを含むプラズマディスプレイ用基板を提供する。
本発明は、このプラズマディスプレイ用基板を備えるプラズマディスプレイパネルを提供する。
また、本発明は、絶縁基板と、その絶縁基板の主面上に設けられ、かつ、銀電極とその銀電極に電気的に導通するように配置された透明電極とを含む電極とを備える構造体における上記主面及び上記電極の表面上に、樹脂及び無鉛低融点ガラスを含む樹脂組成物からなる層を形成する工程と、上述の層を加熱し無鉛低融点ガラスを溶融して無機物層を形成する工程とを有するプラズマディスプレイ用基板の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、絶縁基板と、その絶縁基板の主面上に設けられた銀電極と、上記主面及び上記銀電極の表面を被覆してなり無鉛低融点ガラスを含有する無機物層とを備える構造体における無機物層の変質を防止する方法であって、樹脂及び無鉛低融点ガラスを含む樹脂組成物からなる層の加熱により無機物層を形成する前に、透明電極を銀電極と導通するように設ける工程を有する無機物層の変質防止方法を提供する。
また、本発明は上述の無機物層の変質防止方法により変質が防止された無機物層を提供する。
本発明によると、無機物層を形成する際の加熱焼成時に、銀電極よりも無機物層内への拡散速度の速い物質が、銀に優先して無機物層中に拡散する。このような物質は例えば透明電極に含まれる。これにより、無機物層中への銀の拡散に伴う黄変などの無機物層の変質を十分に抑制することができる。したがって、無機物層が無鉛低融点ガラスを含有していても、その無機物層の変質は十分に防止される。その結果、誘電体層として機能するこのような無機物層を備えたプラズマディスプレイ用基板は、変色が抑制され、電気特性を損なわず、かつ環境汚染への影響を低減したものとなる。同様に、かかるプラズマディスプレイ用基板を備えたプラズマディスプレイパネルも、従来の有鉛材料を使用したものと比較して、環境汚染に与える影響は少ない。
本発明において、透明電極がITO電極であると、本発明による上記効果をより一層有効に発揮できるため好ましい。
本発明によれば、上述の従来の手法に代替可能であり、上記無機物層の変質を十分に防止したプラズマディスプレイ用基板、その製造方法及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル、並びに無機物層及びその変質防止方法を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。また、本明細書における「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係るプラズマディスプレイ用基板を概略的に示した断面図である。図1に示されるプラズマディスプレイ用基板1は、絶縁基板であるガラス基板10と、そのガラス基板10の主面上に設けられた透明電極20と、ガラス基板10の主面及び透明電極20の表面を部分的に覆うようにして設けられた銀電極30と、ガラス基板10の主面、並びに透明電極20及び銀電極30の表面を被覆してなる無機物層40とを備える。
ガラス基板10としては、後述する加熱焼成の際に生じ得る歪みが実用上問題ない範囲のものであれば特に制限はなく、必要に応じて任意の寸法及び形状を有することができる。そのようなガラス基板10としては、例えば、旭硝子社製、商品名「PD−200」が入手可能である。
透明電極20は、銀電極30と電気的に導通するように配置されている。ここで、「電気的に導通する」とは、二端子法等に基づき、抵抗測定装置の片方の端子を透明電極20上に配置し、もう一方の端子を銀電極30上に配置して測定した電気抵抗が0〜10Ωの範囲内である場合をいう。なお、この電気抵抗は、0(測定限界下限)〜10Ωが好ましく、0〜10Ωがより好ましく、0〜10Ωが特に好ましい。
透明電極20は、後述する銀電極30を構成する銀よりも無機物層40の前駆体である樹脂組成物層41内への拡散速度の速い物質を含むものであれば特に限定されない。プラズマディスプレイ用基板1がプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と表記する。)の前面板として用いられる場合、画像の視認性、特に色再現性及び輝度に対してなるべく影響を及ぼさないことが求められる。このような観点から、透明電極20は、無機物層40だけでなくガラス基板10の変色も抑制し、かつ画像表示に必要な発光の制御に用いられるものであることが好ましい。そのような透明電極20としては、例えばITO(インジウム錫酸化物)電極、酸化錫電極及び酸化亜鉛電極が挙げられる。これらの中ではITO電極が好適に用いられる。
銀電極30は、実用上問題ない程度の低抵抗率を有し、導電性を付与する材料として銀を主成分として含むものであれば特に限定されない。このような銀電極30としては、ガラス基板10上の所望の位置に蒸着法、スパッタ法等により直接形成される銀電極が挙げられる。あるいは銀電極30として、銀粉末を低融点ガラスの粉末及び結着樹脂と共に混合してなるペーストをガラス基板10上の所望の位置に塗布した後、焼成して得られる銀電極であってもよい。
無機物層40は、無鉛であって、かつ400〜700℃程度の温度範囲内に軟化点を有する低融点ガラスを含有するものである。この無機物層40は、例えば、下記のようにして形成される。
まず、図2に概略断面図で示すように、上述のガラス基板10と、そのガラス基板10の主面上に設けられた透明電極20と、ガラス基板10の主面及び透明電極20の表面を部分的に覆うようにして設けられた銀電極30とを備える構造体100を準備する。
次に、無機物層40の前駆体となる樹脂組成物を準備する。樹脂組成物は、無機粉末及び熱分解性樹脂を含有するものである。無機粉末は上述の無鉛低融点ガラスを構成するものであれば特に限定されない。そのような無機粉末としては、例えば、酸化ビスマス−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(Bi−B−SiO系)ガラス粉末、酸化ビスマス−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(Bi−B−SiO−Al系)ガラス粉末、酸化ビスマス−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(Bi−ZnO−B−SiO系)ガラス粉末、酸化ビスマス−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(Bi−ZnO−B−SiO−Al系)ガラス粉末等が挙げられる。
なお、これらのガラス粉末(ガラスフリット)は、上述の成分を主成分として、アルカリ金属酸化物(NaO、KO等)を添加した組成であってもよい。
無機粉末を構成する粒子の平均粒径は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。この平均粒径が0.1μm未満であると、無機物層40に残留する気泡が増加し、光線の直線透過率が低下する傾向にあり、10μmを越えると、樹脂組成物中での分散性が低下する傾向にある。
無機粉末の軟化点は、400〜700℃であると好ましく、400〜600℃であるとより好ましい。無機粉末の軟化点が400℃未満であると、樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」という。)を後述のように加熱焼成する際に、熱分解性樹脂が完全に分解除去されない段階で無機粉末が溶融しやすくなる傾向にある。こうなると、形成される無機物層40中に熱分解性樹指の一部が残留し、その結果、無機物層40が所望の性能を有し難くなる傾向にある。
一方、無機粉末の軟化点が700℃を超えると、樹脂組成物層を700℃よりも高温で加熱焼成する必要がある。そのため、ガラス基板10に歪みなどが発生しやすくなる傾向にある。特に、PDPへの適用を考慮すると、軟化点が上記温度範囲にある低融点ガラスフリットを無機粉末として用いることが好ましい。
無機粉末を構成する粒子の形状は特に限定されず、例えば球状、針状、板状、不定形状等が挙げられる。
無機粉末は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。すなわち、異なる組成、異なる軟化点、異なる形状及び/又は異なる平均粒径を有する無機粉末を2種以上組み合わせて用いてもよい。
熱分解性樹脂は、後述する加熱焼成の際に熱分解する樹脂であって、樹脂組成物中で上記無機粉末と化学的に安定して共存できるものであれば特に限定されない。ただし、溶剤又は必要に応じて樹脂組成物に添加される各種添加剤など、樹脂組成物中の他の成分との相溶性に優れていることが好ましい。
熱分解性樹脂の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹指及びポリエステル樹脂が挙げられる。これらの中では(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂の原料となるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸−ブチル、(メタ)アクリル酸(2−エチル)ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートに代表される(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて重合させてもよい。
また、上記熱分解性樹脂としては、上述の(メタ)アクリル酸エステルのようなモノマーの他、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンモノマー、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等におけるポリマー鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基を有するマクロモノマ一、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有モノマー等のモノマーを、単独又は複数種で重合させて得られる樹脂であってもよい。
熱分解性樹脂は、その重量平均分子量が40000〜400000であると好ましい。この重量平均分子量が40000を下回ると、樹脂組成物の流動性が高くなり樹脂組成物層を安定的に形成し難くなる傾向にある。重量平均分子量が400000を超えると、樹脂組成物の粘性が高くなり塗布性が低下する傾向にある。なお、本明細書において重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線を基に推定した重量平均分子量(Mw)である。
同様の観点から、ガラス基板10等上に樹脂組成物を直接塗布して、樹脂組成物層を形成する場合、熱分解性樹脂の重量平均分子量は100000〜300000であるとより好ましく、150000〜250000であると更に好ましい。
あるいは、樹脂組成物層を備えるフィルム状エレメントを作製し、その層をガラス基板10上にラミネートする場合、熱分解性樹脂の重量平均分子量は50000〜150000であるとより好ましく、60000〜100000であると更に好ましい。この重量平均分子量が150000を超えると、フィルム状エレメントにおける樹脂組成物層の膜厚均一性が低下する傾向にある。
上述の熱分解性樹脂は市販のものを入手してもよく、常法により合成してもよい。
樹脂組成物は、上述の無機粉末及び熱分解性樹脂に加えて、染料、発色剤、可塑剤、顔料、重合禁止剤、表面改質剤、安定剤、熱硬化剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。ただし、樹脂組成物の熱分解特性に悪影響を及ぼす可能性を考慮し、慎重に選定する必要がある。
樹脂組成物は、その塗布性をより良好にするために溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、樹脂を合成する際に用いた溶媒であってもよく、この溶媒とは別に樹脂組成物に添加してもよい。
溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラメチルスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、メチルアルコール、エチルアルコール及びターピネオール(α−、β−、γ−及びそれらの混合物)が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ガラス基板10等上に樹脂組成物を直接塗布して、樹脂組成物層を形成する場合、溶剤は比較的高沸点であることが好ましい。具体的には、溶剤の沸点が80〜200℃であることが好ましく、90〜170℃であることがより好ましく、120〜160℃であることが更に好ましい。この沸点が80℃未満では、溶媒の蒸気圧により20℃程度でも溶媒の蒸発量が多くなり、塗布後のレベリング性が得られず、樹脂組成物層表面の凹凸が激しくなる傾向がある。一方、沸点が200℃を超えると溶剤を揮発除去するのに必要な加熱温度が高くなり、無機物層40を形成する際の熱コストが高くなる傾向にある。
樹脂組成物層を備えるフィルム状エレメントを作製し、その層をガラス基板10上にラミネートする場合、溶剤の沸点は40〜150℃であることが好ましく、50〜120℃であることがより好ましい。この沸点が40℃を下回るとフィルム状エレメントを作製する際に樹脂組成物からの溶剤の揮発が顕著になるため、フィルム状エレメントおける樹脂組成物層の表面凹凸の程度が大きくなる傾向にある。また、沸点が150℃を超えると、溶剤を揮発除去するのに必要な温度が高くなるか又は揮発時間が長くなるため、フィルム状エレメントを作製する工程のコストが高くなり、生産効率が低下する傾向にある。
上記樹脂組成物中、無機粉末の含有量は熱分解性樹脂100質量部に対して、100〜400質量部であることが好ましい。
次いで、図3に概略断面図で示すように、上述の構造体100におけるガラス基板10の主面、並びに透明電極20及び銀電極30の表面上(以下、単に「ガラス基板10等上」という。)に、上記樹脂組成物層41を形成して構造体101を得る。
ガラス基板10等上に樹脂組成物を直接塗布して樹脂組成物層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法及びカーテンコート法が挙げられる。
ガラス基板10等上に塗布された樹脂組成物は、加熱により溶剤を除去される。この溶剤の加熱除去には、熱風対流式乾燥機、ホットプレート乾燥機、遠赤外線乾燥機等の加熱処理が用いられてもよい。また、溶剤を除去するための加熱温度は、100〜150℃であると好ましく、加熱時間は1分間〜1時間であると好ましい。
樹脂組成物層を備えるフィルム状エレメントを作製し、その層をガラス基板10上にラミネートする場合、まず、フィルム状エレメントを作製する。フィルム状エレメントは、好適には、支持体と、支持体上に設けられた樹脂組成物層と、樹脂組成物層上に積層されたカバーフィルムとから構成されている。
支持体としては、フィルム状のものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。また、支持体は表面を離型処理されていることが好ましい。
カバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。また、カバーフィルムは表面が離型処理されていることが好ましい。なお、フィルム状エレメントは、このカバーフィルムを備えていなくてもよい。
フィルム状エレメントは、例えば、支持体上に、上述の樹脂組成物を塗布し、塗膜を加熱して溶剤を揮発除去することにより樹脂組成物層を形成した後、樹脂組成物層上にカバーフィルムを積層することにより得られる。樹脂組成物の塗布方法及び溶剤の揮発除去方法はガラス基板10等上に樹脂組成物を直接塗布する場合と同様であればよい。ただし、溶媒を揮発除去する際の加熱温度は60〜130℃であることが好ましい。
次に、得られたフィルム状エレメントのカバーフィルムを剥離しながら、ラミネータの積層ロールにより樹脂組成物層をガラス基板10等上に圧着(ラミネート)して積層する。
積層ロールの圧着圧力としては、線圧で、50N/m〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10N/m〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10N/m〜4×10N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、樹脂組成物層41と構造体100とが十分に密着できない傾向にあり、1×10N/mを超えると、フィルム状エレメントがエッジフュージョンを起こす傾向にある。
積層ロールの温度は、80〜130℃とすることが好ましい。この温度が、80℃未満であると、樹脂組成物層41の構造体100への密着性が低下する傾向にあり、130℃を超えると、樹脂組成物層41の流動性が過剰となり、ラミネート時にエッジフュージョンを起こす傾向にある。また、積層ロールの速度は、0.3〜3m/分が好ましい。この速度が、0.3m/分未満であると、樹脂組成物層41に対する加熱と加圧の時間が長いことからエッジフュージョンを起こす傾向にあり、3m/分を超えると、樹脂組成物層41の構造体100への密着性の確保が困難となる傾向にある。
上述のようにしてガラス基板10等上に樹脂組成物層41を形成した後、図4に概略断面図で示すように、樹脂組成物層41を加熱焼成して無機物層40を形成する。こうしてプラズマディスプレイ用基板102を得る。この際、樹脂組成物層41中の熱分解性樹脂が分解除去されると共に、無機粉末が溶融する。そのため、無機物層40中の大部分の成分は無機粉末を構成する低融点ガラスとなる。
加熱焼成は、例えば、電気炉中で構造体101ごと加熱する方法により行うことができる。焼成温度としては、最高温度を400〜700℃とすることが好ましく、450〜600℃とすることがより好ましい。また、焼成時間としては、5分〜6時間程度が好ましい。また、本実施形態においては、焼成は大気中で行われてもよい。
無機物層40の厚みは特に限定されないが、例えば10〜50μm程度であってもよい。
プラズマディスプレイ用基板102は、プラズマディスプレイ用基板1と同様のものである。無機物層40が低融点ガラスで構成されているため、プラズマディスプレイパネルの誘電体層として機能する。この場合、プラズマディスプレイ用基板102はプラズマディスプレイ用の前面板として好適に用いることができる。
上述のようにして得られた無機物層40は、銀電極を構成する銀に起因した変質が防止される。また、本発明の好適なプラズマディスプレイパネルは、上述のプラズマディスプレイ用基板1を備えるものである。このプラズマディスプレイパネルは、前面板又は背面板として、上記プラズマディスプレイ用基板1を備える以外は、公知のプラズマディスプレイパネルと同様の構成であればよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
例えば、本発明の別の実施形態において上述の透明電極に代えて、別の導電体を用いてもよい。あるいは、本発明に係る絶縁基板は上記ガラス基板に限定されない。これらは、用途によっては透明性を有していなくてもよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ガラス基板(旭硝子社製、商品名「PD−200」、厚さ2.7mm)の主面上に、平面T字型にITO電極を設けた。次いで、ITO電極の平面T字型の縦棒部分の末端に一部が重なるようにして、銀ペーストから形成された銀電極を上記縦棒部分と直交する平面直線状に設け、図2に断面を示す構造体100と同様の構成を有する構造体を得た。
これとは別に、NaO−B−SiO−ZnO系の無鉛低融点ガラスからなる無機粉末240質量部と、熱分解性樹脂であるメタクリル酸2−エチルヘキシルポリマー(重量平均分子量:70000)100質量部と、溶剤であるトルエン140質量部とを含有する樹脂組成物を準備した。この樹脂組成物を、支持体であるPETフィルム上に塗布した後、更に加熱して溶剤を除去した。こうして、支持体フィルム上に樹脂組成物層を備えたフィルム状エレメントを得た。
次いで、上述のようにして得られた構造体におけるガラス基板の主面、並びにITO電極及び銀電極の表面上に、フィルム状エレメントの樹脂組成物層が密着するようにラミネート法を用いて積層した。その後、PETフィルムを剥離除去して図3に断面を示す構造体101と同様の構成を有する構造体を得た。
この構造体を、熱風対流式焼成炉を用いて、最高温度580℃で30分間保持して加熱焼成し、樹脂組成物層から無機物層(誘電体層)を形成した。こうして、図1に断面を示すディスプレイ用基板1と同様の構成を有するディスプレイ用基板を得た。
得られたディスプレイ用基板の無機物層の表面に、白色標準板(硫酸バリウム)を密着させた。一方、ガラス基板の表面、すなわち、ガラス基板の無機物層を形成した側とは反対側の面には、測色計(コニカ・ミノルタ社製、商品名「CM−512m3」)の測定窓を密着させた。その後、ディスプレイ用基板のb*値を測定したところ、b*値は4.37であった。b*値は概ね5.0を下回れば表示品質には問題ないことから、無機物層の黄変は十分抑制されたといえる。
(比較例1)
ガラス基板上にITO電極を設けなかった以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用基板を得た。このディスプレイ用基板は、その断面を図5に概略的に示すように、ガラス基板10の主面上に銀電極30が設けられ、更にガラス基板10の主面上及び銀電極の表面上に無機物層40が設けられたディスプレイ用基板103であった。
得られたディスプレイ用基板について、実施例1と同様にしてb*値を測定したところ、b*値は14.30であった。無機物層は明らかな黄色を呈しており、黄変が顕著であった。
本発明の好適な実施形態に係るディスプレイ用基板を示す概略断面図である。 本発明の好適な実施形態に係るディスプレイ用基板を形成するための構造体を示す概略断面図である。 本発明の好適な実施形態に係るディスプレイ用基板を形成するための構造体を示す概略断面図である。 本発明の好適な実施形態に係るディスプレイ用基板を示す概略断面図である。 比較例に係るディスプレイ用基板を示す概略断面図である。
符号の説明
1、102…ディスプレイ用基板、10…ガラス基板、20…透明電極、30…銀電極、40…無機物層、41…樹脂組成物からなる層、100、101…構造体。

Claims (9)

  1. 絶縁基板と、その絶縁基板の主面上に設けられた電極と、前記主面及び前記電極の表面を被覆してなり無鉛低融点ガラスを含有する無機物層と、を備え、
    前記電極が、銀電極と、その銀電極に電気的に導通するように配置された透明電極と、を含む
    プラズマディスプレイ用基板。
  2. 前記透明電極がITO電極である、請求項1記載のプラズマディスプレイ用基板。
  3. 絶縁基板と、その絶縁基板の主面上に設けられ、かつ、銀電極とその銀電極に電気的に導通するように配置された透明電極とを含む電極と、を備える構造体における前記主面及び前記電極の表面上に、樹脂及び無鉛低融点ガラスを含む樹脂組成物からなる層を形成する工程と、
    前記層を加熱し前記無鉛低融点ガラスを溶融して無機物層を形成する工程と、を有する
    プラズマディスプレイ用基板の製造方法。
  4. 前記透明電極がITO電極である、請求項3記載のプラズマディスプレイ用基板の製造方法。
  5. 絶縁基板と、その絶縁基板の主面上に設けられた銀電極と、前記主面及び前記銀電極の表面を被覆してなり無鉛低融点ガラスを含有する無機物層と、を備える構造体における前記無機物層の変質を防止する方法であって、
    樹脂及び無鉛低融点ガラスを含む樹脂組成物からなる層の加熱により前記無機物層を形成する前に、透明電極を前記銀電極と導通するように設ける工程を有する無機物層の変質防止方法。
  6. 前記透明電極がITO電極である、請求項5記載の無機物層の変質防止方法。
  7. 前記無機物層はプラズマディスプレイパネルの誘電体層として機能するものである、請求項5又は6に記載の無機物層の変質防止方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の無機物層の変質防止方法により変質が防止された無機物層。
  9. 請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイ用基板を備えるプラズマディスプレイパネル。
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