JP2008024287A - ハイブリッド電気自動車の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンと第1及び第2のMG(モータジェネレータ)を搭載したハイブリッド電気自動車において、第1のMGでエンジンを始動する際に車輪の駆動軸のトルク変動を精度良く抑制できるようにする。
【解決手段】第1のMGのトルクでエンジンをクランキングしてエンジンを始動する際に、エンジンのクランク角に応じて第1のMGのトルク(クランキングトルク)を補正してエンジン回転速度上昇量が変動しないようにすることで、慣性トルクの変動を低減する。この第1のMGのトルク制御で慣性トルクの変動を低減して駆動軸に作用するクランキング反力トルクの変動を低減した上で、そのクランキング反力トルク(つまり変動の小さいトルク)を打ち消すように第2のMGのトルクを制御する。これにより、駆動軸に作用するクランキング反力トルクを第2のMGのトルク制御で精度良く打ち消して、駆動軸のトルク変動を精度良く抑制する。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関と第1のモータジェネレータと車輪の駆動軸とを動力分割機構を介して連結すると共に該駆動軸に第2のモータジェネレータを連結したハイブリッド電気自動車の制御装置に関するものである。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請からハイブリッド電気自動車の需要が急速に拡大している。現在、市販されているハイブリッド電気自動車は、特許文献1(特開2005−90307号公報)に記載されているように、内燃機関と、主に発電機として使用される第1のMG(モータジェネレータ)と、主に車輪を駆動する第2のMGとを備え、内燃機関のクランク軸を動力分割機構である遊星ギヤ機構のプラネタリギヤのキャリアに連結し、この遊星ギヤ機構のサンギヤに第1のMGを連結すると共に、リングギヤに第2のMGと車輪の駆動軸を連結した方式のものが多い。
この方式のハイブリッド電気自動車では、図2及び図3に示すように、第1のMGでエンジン(内燃機関)をクランキングしてエンジンを始動する際には、第1のMGのトルクTmg1 (つまりクランキングトルク)の一部が遊星ギヤ機構によって駆動軸に伝達されると共に、クランキングによる回転速度変化によって第1のMG及びエンジンの慣性(イナーシャ)による慣性トルクが発生するため、駆動軸には、第1のMGから伝達されるトルクと慣性トルクとを合計したクランキング反力トルクTepが作用する。
しかし、図3及び図4に示すように、クランキング時のエンジンの筒内圧力変動によってエンジンの回転速度変化量Dne(回転速度上昇量)が変動すると、慣性トルクが変動して、駆動軸に作用するクランキング反力トルクTepが変動するため、何もしないと、駆動軸のトルクTd が変動して不快な車両振動が発生する可能性がある。
この対策として、上記特許文献1では、第1のMGでエンジンをクランキングしてエンジンを始動する際に、第1のMGから駆動軸に伝達されるトルクと、クランキングによって変動する慣性トルク(脈動トルク)を、第2のMGのトルクで打ち消すように第2のMGのトルクを制御して駆動軸のトルク変動を抑制するようにしている。
特開2005−90307号公報
しかし、上記特許文献1では、クランキングによって大きく変動する慣性トルク(脈動トルク)を第2のMGのトルクで打ち消す必要があるため、大きく変動する慣性トルクを第2のMGのトルク制御で精度良く打ち消して駆動軸のトルク変動を精度良く抑制するには、第2のMGのトルク制御の演算周期を高速化する必要があり、制御装置の演算負荷が増大するという欠点がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、駆動軸のトルク変動を精度良く抑制することができると共に、制御装置の演算負荷を低減することができるハイブリッド電気自動車の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関と第1のモータジェネレータ(以下「第1のMG」と表記する)と車輪の駆動軸とを動力分割機構を介して連結すると共に該駆動軸に第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)を連結したハイブリッド電気自動車の制御装置において、第1のMGのトルクで内燃機関を始動する際に該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように第1のMGトルク制御手段で第1のMGのトルクを制御し、第1のMGのトルクで内燃機関を始動する際に駆動軸に作用するトルクを打ち消すように第2のMGトルク制御手段で第2のMGのトルクを制御するようにしたものである。
この構成では、第1のMGのトルクで内燃機関を始動する際に、内燃機関の回転速度変化量が変動しないように第1のMGのトルクを制御することで、内燃機関の回転速度変化量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減することができ、ひいては駆動軸に作用するトルク(=第1のMGから伝達されるトルク+慣性トルク)の変動を低減することができる。このように第1のMGのトルク制御で、慣性トルクの変動を低減して、駆動軸に作用するトルクの変動を低減した上で、その駆動軸に作用するトルク(つまり変動の小さいトルク)を打ち消すように第2のMGのトルクを制御することで、第2のMGのトルク制御をあまり高速化しなくても、駆動軸に作用するトルクを第2のMGのトルク制御で精度良く打ち消すことが可能となる。これにより、第1のMGのトルクで内燃機関を始動する際に、駆動軸のトルク変動を精度良く抑制することができると共に、制御装置の演算負荷を軽減することができる。
更に、請求項2,3のように、第1のMGのトルクで内燃機関を停止する際に該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように第1のMGのトルクを制御し、第1のMGのトルクで内燃機関を停止する際に駆動軸に作用するトルクを打ち消すように第2のMGのトルクを制御するようにしても良い。
このようにすれば、第1のMGのトルクで内燃機関を停止する際に、第1のMGのトルク制御で、慣性トルクの変動を低減して、駆動軸に作用するトルクの変動を低減した上で、その駆動軸に作用するトルクを打ち消すように第2のMGのトルクを制御することで、駆動軸に作用するトルクを第2のMGのトルク制御で精度良く打ち消すことが可能となり、第1のMGのトルクで内燃機関を停止する際に、駆動軸のトルク変動を精度良く抑制することができると共に、制御装置の演算負荷を軽減することができる。
また、内燃機関の回転速度変化量が変動しないように第1のMGのトルクを制御する具体的な方法としては、請求項4のように、内燃機関のクランク角に応じて第1のMGのトルクを補正することで該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように制御するようにしても良い。第1のMGのトルクで内燃機関を始動(又は停止)する際に、第1のMGのトルクをほぼ一定にした場合、内燃機関の各気筒の圧縮行程後半で回転速度変化量が減少し、各気筒の膨張行程前半で回転速度変化量が増加するという現象が発生するため、各気筒の圧縮行程後半に相当するクランク角で第1のMGのトルクを増量補正して内燃機関の回転速度変化量の減少を防止し、各気筒の膨張行程前半に相当するクランク角で第1のMGのトルクを減量補正して内燃機関の回転速度変化量の増加を防止すれば、内燃機関の回転速度変化量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減することができる。
或は、請求項5のように、内燃機関の回転速度変化量を目標回転速度変化量に一致させるように第1のMGのトルクをフィードバック制御することで該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように制御するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の回転速度変化量を目標回転速度変化量に一致させることができ、内燃機関の回転速度変化量の変動を確実に抑制して、慣性トルクの変動を確実に低減することができる。
また、請求項6のように、内燃機関の回転速度が共振周波数帯域のときに該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように第1のMGのトルクを制御するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の始動時(又は停止時)に内燃機関の回転速度が共振周波数帯域を通過する際の共振ショックを低減することができる。
この場合、請求項7のように、内燃機関の回転速度に基づいて共振周波数帯域であるか否かを判定するようにすると良い。このようにすれば、内燃機関の回転速度が共振周波数帯域であるか否かを精度良く判定することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を2つの実施例1,2を用いて説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図9に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてハイブリッド電気自動車の駆動システムの概略構成を説明する。ハイブリッド電気自動車には、内燃機関であるエンジン11と第1のモータジェネレータ(以下「第1のMG」と表記する)12と第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)13が搭載され、エンジン11と第2のMG13が車輪14を駆動する動力源となる。エンジン11のクランク軸15の動力は、動力分割機構である遊星ギヤ機構16で二系統に分割される。この遊星ギヤ機構16は、中心で回転するサンギヤ17と、このサンギヤ17の外周を自転しながら公転するプラネタリギヤ18と、このプラネタリギヤ18の外周を回転するリングギヤ19とから構成され、プラネタリギヤ18には図示しないキャリアを介してエンジン11のクランク軸15が連結され、リングギヤ19には第2のMG13の回転軸と車輪14の駆動軸20が連結され、サンギヤ17には、主に発電機として使用する第1のMG12の回転軸が連結されている。
第1のMG12と第2のMG13は、それぞれインバータ27,28を介してバッテリ29と電力を授受するようになっている。また、エンジン11には、クランク軸15が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ31が取り付けられ、このクランク角センサ31の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。更に、第1のMG12と第2のMG13には、それぞれロータの回転位置を検出する回転位置センサ32,33が取り付けられ、これらの回転位置センサ32,33の出力信号に基づいて第1のMG12の回転速度と第2のMG13の回転速度が検出される。
ハイブリッドECU30は、ハイブリッド電気自動車全体を総合的に制御するコンピュータであり、アクセル開度を検出するアクセルセンサ21、自動変速機のシフトレンジを検出するシフトスイッチ22、ブレーキ操作を検出するブレーキスイッチ23等の各種のセンサやスイッチの出力信号を読み込んで、車両の運転状態を検出し、要求走行モードを判定する。このハイブリッドECU30は、エンジン11の運転を制御するエンジンECU24と、第1のMG12の運転を制御する第1のMG−ECU25と、第2のMG13の運転を制御する第2のMG−ECU26との間で制御信号を送受信し、各ECU24〜26によって要求走行モードに応じてエンジン11と第1のMG12と第2のMG13の運転を制御する。
例えば、発進時や低中速走行時(エンジン11の燃費効率が悪い領域)は、エンジン11を停止させた状態に維持して第2のMG13の動力のみで走行するモータ走行モードを選択する。このモータ走行モードでは、第2のMG13の動力のみで駆動軸20を駆動して車輪14を駆動する。この際、第2のMG13の回転力の一部が遊星ギヤ機構16のリングギヤ19に伝達され、それによってリングギヤ19が回転してプラネタリギヤ18が自転し、サンギヤ17が回転することで、第1のMG12が駆動されて回転する。
また、モータ走行モード中にエンジン11を始動する場合には、第1のMG12にトルクを発生して、遊星ギヤ機構16のサンギヤ17にトルクを作用させ、それによってサンギヤ17の外周に沿ってプラネタリギヤ18の公転速度を変化させることで、エンジン11のクランク軸15を回転駆動してエンジン11を始動する。
通常走行時は、エンジン11の燃費効率が最大となるように、エンジン11のクランク軸15の動力を遊星ギヤ機構16によって第1のMG12側と駆動軸20側(第2のMG13の回転軸側)の二系統に分割し、その一方の系統の出力で駆動軸20を駆動して車輪14を駆動し、他方の系統の出力で第1のMG12を駆動し、それによって発電した電力を第2のMG13に供給して第2のMG13の動力でも車輪14を駆動する。
急加速時は、最もトルクが要求されるため、通常走行時の発電電力の他にバッテリ29の直流電力も加えてインバータ28で交流電力に変換して第2のMG13に供給し、第2のMG13を運転する。これより、エンジン11と第2のMG13の両方の動力で駆動軸20を駆動して車輪14を駆動することで、加速性能を向上させる。
減速時や制動時には、車輪14が第2のMG13を駆動して発電機として作動させ、車両の減速エネルギや制動エネルギを電力に変換してバッテリ29に充電する。
ところで、図2及び図3に示すように、第1のMG12でエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際には、第1のMG12のトルクTmg1 (つまりクランキングトルク)の一部が遊星ギヤ機構16によって駆動軸20に伝達されると共に、クランキングによる回転速度変化によって第1のMG12及びエンジン11の慣性(イナーシャ)による慣性トルクが発生するため、駆動軸20には、第1のMG12から伝達されるトルク(−Kgear×Tmg1 )と慣性トルク(Kinr ×Dne)とを合計したクランキング反力トルクTepが作用する。
Tep=(−Kgear×Tmg1 )+(Kinr ×Dne)
ここで、Kgearはサンギヤ17とリングギヤ19との間のギヤ比(但し、リングギヤ19と駆動軸20が減速機構を介して連結されている場合には減速機構の減速比も考慮に入れた値とする)、Kinr は第1のMG12及びエンジン11のイナーシャに基づいた係数、Dneはエンジン回転速度Ne の変化量(上昇量)である。
しかし、図3及び図4に示すように、クランキング時のエンジン11の筒内圧力変動によってエンジンの回転速度Ne の上昇量Dneが変動すると、慣性トルク(Kinr ×Dne)が変動して、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepが変動するため、何もしないと、駆動軸20のトルクTd が変動して不快な車両振動が発生する可能性がある。
そこで、ハイブリッドECU30は、後述する図6のクランキングトルク算出プログラムを実行することで、第1のMG12のトルクでエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際に、エンジン11のクランク角に応じて基本クランキングトルクTcrkbs を補正してエンジン回転速度上昇量を変動させないようなクランキングトルクTcrk を求める。このクランキングトルクTcrk を発生するように第1のMG12のトルクを制御することで、エンジン回転速度上昇量の変動をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減する。これらの機能が特許請求の範囲でいう第1のMGトルク制御手段としての役割を果たす。
第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に、図4に示すように、第1のMG12のトルク(クランキングトルク)をほぼ一定にした場合、エンジン11の各気筒の圧縮行程後半でエンジン回転速度上昇量が減少し、各気筒の膨張行程前半でエンジン回転速度上昇量が増加するという現象が発生するため、本実施例1では、図5に示すように、各気筒の圧縮行程後半に相当するクランク角で第1のMG12のトルク(クランキングトルク)を増量補正してエンジン回転速度上昇量の減少を防止し、各気筒の膨張行程前半に相当するクランク角で第1のMG12のトルク(クランキングトルク)を減量補正してエンジン回転速度上昇量の増加を防止することで、エンジン回転速度上昇量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減する。
このようにして、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度上昇量が変動しないように第1のMG12のトルクを補正することで、エンジン回転速度上昇量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減することができ、ひいては駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTep(=第1のMG12から伝達されるトルク+慣性トルク)の変動を低減することができる。
更に、ハイブリッドECU30は、後述する図7の反力キャンセルトルク算出プログラムを実行することで、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に、第1のMG12から伝達されるトルクと同じ大きさの基本反力キャンセルトルクTcsbsを算出すると共に、第1のMG12及びエンジン11の慣性による慣性トルクTinr を算出し、基本反力キャンセルトルクTcsbsから慣性トルクTinr を減算して反力キャンセルトルクTcs(つまり駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepと同じ大きさで逆向きのトルク)を求める。この反力キャンセルトルクTcsを第2のMG13の要求トルクに加算したトルクを発生するように第2のMG13のトルクを制御することで、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepを第2のMG13のトルクで打ち消す。これらの機能が特許請求の範囲でいう第2のMGトルク制御手段としての役割を果たす。
前述した第1のMG12のトルク制御で、慣性トルクの変動を低減して、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepの変動を低減した上で、そのクランキング反力トルクTep(つまり変動の小さいトルク)を打ち消すように第2のMG13のトルクを制御することで、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepを第2のMG13のトルク制御で精度良く打ち消すことができる。
以下、ハイブリッドECU30が実行する図6のクランキングトルク算出プログラム及び図7の反力キャンセルトルク算出プログラムの処理内容を説明する。
[クランキングトルク算出]
図6に示すクランキングトルク算出プログラムは、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に所定周期で(例えば5msec毎に)実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、今回の制御に必要なパラメータ、例えば、エンジン回転速度Ne やクランク角等を読み込む。
この後、ステップ102に進み、エンジン回転速度Ne 等に基づいて基本クランキングトルクTcrkbs を算出する。図8のタイムチャートに示すように、基本クランキングトルクTcrkbs は、エンジン11のクランキング開始直後に基本クランキングトルクTcrkbs が最大値付近まで急増加し、その後、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域を通過するまで基本クランキングトルクTcrkbs が最大値付近に保持されるように設定する。これにより、エンジン回転速度Ne を速やかに上昇させて共振周波数帯域を速やかに通過させるようにする。エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域を通過した後は基本クランキングトルクTcrkbs が徐々に減少するように設定する。
この後、ステップ103に進み、現在のエンジン回転速度Ne が共振周波数帯域(例えば300rpm付近の帯域)であるか否かを判定する。
このステップ103で、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域であると判定された場合には、ステップ104に進み、図9に示すトルク補正量V1 のマップを参照して、現在のエンジン11のクランク角に応じたトルク補正量V1 を算出する。図9に示すトルク補正量V1 のマップは、エンジン11の各気筒の圧縮行程後半に相当するクランク角のときにトルク補正量V1 がプラス値となり、各気筒の膨張行程前半に相当するクランク角のときにトルク補正量V1 がマイナス値となるように設定されている。
尚、クランキング開始直前のエンジン停止位置(クランク角)とクランキング開始からの経過時間に基づいてトルク補正量V1 を設定することで、図9と同じように、クランク角に応じてトルク補正量V1 を変化させるようにしても良い。
一方、上記ステップ103で、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域ではないと判定された場合には、ステップ105に進み、トルク補正量V1 を0に設定する。
この後、ステップ106に進み、基本クランキングトルクTcrkbs にトルク補正量V1 を加算して最終的なクランキングトルクTcrk を求める。
Tcrk =Tcrkbs +V1
このクランキングトルクTcrk を発生するように第1のMG12のトルクを制御する。これにより、第1のMG12のトルクでエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域のときには、エンジン11の各気筒の圧縮行程後半に相当するクランク角でクランキングトルクTcrk を増量補正してエンジン回転速度上昇量の減少を防止し、各気筒の膨張行程前半に相当するクランク角でクランキングトルクTcrk を減量補正してエンジン回転速度上昇量の増加を防止することで、エンジン回転速度上昇量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減する。
[反力キャンセルトルク算出]
図7に示す反力キャンセルトルク算出プログラムは、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に所定周期で(例えば5msec毎に)実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、クランキングトルクTcrk (第1のMG12のトルク)にギヤ比Kgearを乗算して、第1のMG12から伝達されるトルクと同じ大きさの基本反力キャンセルトルクTcsbsを求める。
Tcsbs=Tcrk ×Kgear
この後、ステップ202に進み、今回のエンジン回転速度Ne と前回のエンジン回転速度Ne(i-1)との差を求め、それをエンジン回転速度Ne の上昇量Dneとする。
Dne=Ne −Ne(i-1)
この後、ステップ203に進み、第1のMG12及びエンジン11のイナーシャに基づいた係数Kinr にエンジン回転速度Ne の上昇量Dneを乗算して、第1のMG12及びエンジン11の慣性による慣性トルクTinr を求める。
Tinr =Kinr ×Dne
尚、係数Kinr は、予め設計データや実験データ等に基づいて算出した値がハイブリッドECU30等のROMに記憶されている。
この後、ステップ204で、基本反力キャンセルトルクTcsbsから慣性トルクTinr を減算して反力キャンセルトルクTcs(つまり駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepと同じ大きさで逆向きのトルク)を求める。
Tcs=Tcsbs−Tinr
この反力キャンセルトルクTcsを第2のMG13の要求トルクに加算したトルクを発生するように第2のMG13のトルクを制御することで、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepを第2のMG13のトルクで打ち消す。
以上説明した本実施例1では、図5のタイムチャートに示すように、第1のMG12のトルクでエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際に、エンジン11のクランク角に応じて第1のMG12のトルク(クランキングトルク)を補正することでエンジン回転速度上昇量が変動しないようにしたので、エンジン回転速度上昇量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減することができ、ひいては駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTep(=第1のMG12から伝達されるトルク+慣性トルク)の変動を低減することができる。
このように、第1のMG12のトルク制御で、慣性トルクの変動を低減して、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepの変動を低減した上で、そのクランキング反力トルクTep(つまり変動の小さいトルク)を打ち消すように第2のMG13のトルクを制御するようにしたので、第2のMG13のトルク制御をあまり高速化しなくても、駆動軸20に作用するクランキング反力トルクTepを第2のMG13のトルク制御で精度良く打ち消すことが可能となる。これにより、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に、駆動軸20のトルク変動を精度良く抑制して車両振動を低減することができると共に、ハイブリッドECU30やMG−ECU26の演算負荷を軽減することができる。また、慣性トルクの計算値が実際の慣性トルクに対して若干ずれたとしても、慣性トルクの変動を低減することができるため、車両振動を低減することができる。
また、本実施例1では、第1のMG12のエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域のときにエンジン回転速度上昇量が変動しないように第1のMG12のトルクを制御するようにしたので、エンジン始動時にエンジン回転速度Ne が共振周波数帯域を通過する際の共振ショックを低減することができる。
次に、図10を用いて本発明の実施例2を説明する。
前記実施例1では、第1のMG12でエンジン11を始動する際に、エンジン11のクランク角に応じて第1のMG12のトルクを補正することでエンジン回転速度上昇量が変動しないようにしたが、本実施例2では、図10のクランキングトルク算出プログラムを実行することで、第1のMG12でエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度の上昇量を目標上昇量に一致させるように第1のMG12のトルクをF/B(フィードバック)制御することでエンジン回転速度上昇量が変動しないようにしている。
図10に示すクランキングトルク算出プログラムは、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に所定周期で(例えば5msec毎に)実行される。本プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、今回の制御に必要なパラメータ、例えば、エンジン回転速度Ne やクランク角等を読み込む。
この後、ステップ302に進み、エンジン回転速度Ne 等に基づいて基本クランキングトルクTcrkbs を算出した後、ステップ303に進み、今回のエンジン回転速度Ne と前回のエンジン回転速度Ne(i-1)との差を求め、それをエンジン回転速度Ne の上昇量Dneとする。
Dne=Ne −Ne(i-1)
この後、ステップ304に進み、現在のエンジン回転速度Ne が共振周波数帯域(例えば300rpm付近の帯域)であるか否かを判定する。
このステップ304で、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域であると判定された場合には、ステップ305に進み、共振周波数帯域であると判定された直後の初回の演算周期であるか否かを判定し、初回の演算周期であれば、ステップ306に進み、エンジン回転速度Ne の上昇量Dneに係数Kを乗算して、エンジン回転速度Ne の目標上昇量Dnet を求める。
Dnet =K×Dne
クランキング時の筒内圧力変動が小さいエンジン11の場合には、係数Kを固定値としても良いが、クランキング時の筒内圧力変動が大きいエンジン11の場合には、エンジン11の各気筒の圧縮行程後半に相当するクランク角のときに係数Kを大きくし、各気筒の膨張行程前半に相当するクランク角のときに係数Kを小さくするようにすると良い。各気筒の圧縮行程後半でエンジン回転速度上昇量が減少し、各気筒の膨張行程前半でエンジン回転速度上昇量が増加するという特性があるため、各気筒の圧縮行程後半で係数Kを大きくし、各気筒の膨張行程前半で係数Kを小さくすることで、目標上昇量Dnet をほぼ一定にすることができる。
尚、クランキング開始直前のエンジン停止位置(クランク角)とクランキング開始からの経過時間に基づいて係数Kを設定することで、各気筒の圧縮行程後半で係数Kを大きくし、各気筒の膨張行程前半で係数Kを小さくするようにしても良い。
この後、ステップ307に進み、エンジン回転速度Ne の目標上昇量Dnet を上限ガード値GDH及び下限ガード値GDLでガード処理することで、目標上昇量Dnet が過大又は過小になることを防止する。これにより、F/B補正量が過剰に大きくなってエンジン回転速度上昇量が変動してしまうことを防止する。
この後、ステップ308に進み、目標エンジン回転速度Netの初期値として現在のエンジン回転速度Ne を代入する。
Net=Ne
一方、上記ステップ305で、共振周波数帯域であると判定された直後の初回の演算周期ではない(つまり共振周波数帯域であると判定された後の2回目以降の演算周期である)と判定された場合には、ステップ309に進み、前回の目標エンジン回転速度Net(i-1) に目標上昇量Dnet を加算して今回の目標エンジン回転速度Netを求める。
Net=Net(i-1) +Dnet
この後、ステップ310に進み、前記実施例1で説明した図9のトルク補正量V1 のマップを参照して、現在のエンジン11のクランク角に応じたトルク補正量V1 を算出した後、ステップ311に進み、目標エンジン回転速度Netと実エンジン回転速度Ne とに基づいて、目標エンジン回転速度Netと実エンジン回転速度Ne との偏差が小さくなるようにF/B補正量V2 を算出することで、エンジン回転速度Ne の上昇量Dneを目標上昇量Dnet に一致させるようにF/B補正量V2 を設定する。
一方、上記ステップ304で、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域ではないと判定された場合には、ステップ312に進み、トルク補正量V1 を0に設定した後、ステップ313に進み、F/B補正量V2 を0に設定する。
この後、ステップ314に進み、基本クランキングトルクTcrkbs にトルク補正量V1 とF/B補正量V2 を加算して最終的なクランキングトルクTcrk を求める。
Tcrk =Tcrkbs +V1 +V2
このクランキングトルクTcrk を発生するように第1のMG12のトルクを制御することで、エンジン回転速度Ne の上昇量Dneを目標上昇量Dnet に一致させるように第1のMG12のトルクをF/B制御してエンジン回転速度上昇量が変動しないようにする。
以上説明した本実施例2では、第1のMG12のトルクでエンジン11をクランキングしてエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度Ne の上昇量Dneを目標上昇量Dnet に一致させるように第1のMG12のトルクをF/B制御してエンジン回転速度上昇量が変動しないようにしたので、エンジン回転速度上昇量の変動を確実に抑制して、慣性トルクの変動を確実に低減することができる。
尚、上記各実施例1,2では、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に、エンジン回転速度Ne が共振周波数帯域のときにエンジン回転速度上昇量が変動しないように第1のMG12のトルクを制御するようにしたが、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際に、クランキング中の全領域又はその一部の領域でエンジン回転速度上昇量が変動しないように第1のMG12のトルクを制御するようにしても良い。
また、上記各実施例1,2では、エンジン回転速度に基づいて共振周波数帯域であるか否かを判定するようにしたが、エンジン回転速度と相関関係のある情報(例えば、第1のMG12の回転速度、クランキング開始からの経過時間等)に基づいて共振周波数帯域であるか否かを判定するようにしても良い。
また、上記各実施例1,2では、第1のMG12のトルクでエンジン11を始動する際の制御に本発明を適用したが、第1のMG12のトルクでエンジン11を停止する際の制御に本発明を適用しても良い。つまり、第1のMG12のトルクでエンジン11を停止する際に、エンジン回転速度下降量が変動しないように第1のMG12のトルクを制御することで、エンジン回転速度下降量をほぼ一定にして、慣性トルクの変動を低減し、この第1のMG12のトルク制御で、慣性トルクの変動を低減して、駆動軸20に作用するトルクの変動を低減した上で、その駆動軸20に作用するトルク(つまり変動の小さいトルク)を打ち消すように第2のMG13のトルクを制御するようにしても良い。
本発明の実施例1におけるハイブリッド電気自動車の駆動システムの概略構成を示す図である。 クランキング時の各部の回転速度の関係を示す共線図である。 駆動軸に作用するクランキング反力トルクTepを説明するための図である。 比較例におけるエンジン始動時の制御の一例を示すタイムチャートである。 実施例1におけるエンジン始動時の制御の一例を示すタイムチャートである。 実施例1のクランキングトルク算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の反力キャンセルトルク算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 基本クランキングトルクの挙動の一例を示すタイムチャートである。 トルク補正量のマップの一例を概念的に示す図である。 実施例2のクランキングトルク算出プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…第1のMG、13…第2のMG、16…遊星ギヤ機構(動力分割機構)、17…サンギヤ、18…プラネタリギヤ、19…リングギヤ、20…駆動軸、24…エンジンECU、25…第1のMG−ECU、26…第2のMG−ECU、27,28…インバータ、29…バッテリ、30…ハイブリッドECU(第1のMGトルク制御手段,第2のMGトルク制御手段)、31…クランク角センサ、32,33…回転位置センサ

Claims (7)

  1. 内燃機関と第1のモータジェネレータ(以下「第1のMG」と表記する)と車輪の駆動軸とを動力分割機構を介して連結すると共に該駆動軸に第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)を連結したハイブリッド電気自動車の制御装置において、
    前記第1のMGのトルクで前記内燃機関を始動する際に該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように該第1のMGのトルクを制御する第1のMGトルク制御手段と、
    前記第1のMGのトルクで前記内燃機関を始動する際に前記駆動軸に作用するトルクを打ち消すように前記第2のMGのトルクを制御する第2のMGトルク制御手段と
    を備えていることを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
  2. 前記第1のMGトルク制御手段は、前記第1のMGのトルクで前記内燃機関を停止する際に該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように該第1のMGのトルクを制御し、
    前記第2のMGトルク制御手段は、前記第1のMGのトルクで前記内燃機関を停止する際に前記駆動軸に作用するトルクを打ち消すように前記第2のMGのトルクを制御することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
  3. 内燃機関と第1のモータジェネレータ(以下「第1のMG」と表記する)と車輪の駆動軸とを動力分割機構を介して連結すると共に該駆動軸に第2のモータジェネレータ(以下「第2のMG」と表記する)を連結したハイブリッド電気自動車の制御装置において、
    前記第1のMGのトルクで前記内燃機関を停止する際に該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように該第1のMGのトルクを制御する第1のMGトルク制御手段と、
    前記第1のMGのトルクで前記内燃機関を停止する際に前記駆動軸に作用するトルクを打ち消すように前記第2のMGのトルクを制御する第2のMGトルク制御手段と
    を備えていることを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
  4. 前記第1のMGトルク制御手段は、前記内燃機関のクランク角に応じて前記第1のMGのトルクを補正することで該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
  5. 前記第1のMGトルク制御手段は、前記内燃機関の回転速度変化量を目標回転速度変化量に一致させるように前記第1のMGのトルクをフィードバック制御することで該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
  6. 前記第1のMGトルク制御手段は、前記内燃機関の回転速度が共振周波数帯域のときに該内燃機関の回転速度変化量が変動しないように前記第1のMGのトルクを制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
  7. 前記第1のMGトルク制御手段は、前記内燃機関の回転速度に基づいて共振周波数帯域であるか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
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