JP2008043133A - 揺動アクチュエータ装置およびレーザ加工装置 - Google Patents

揺動アクチュエータ装置およびレーザ加工装置 Download PDF

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聡一 遠山
Konosuke Kitamura
幸之助 北村
Akira Doi
昭 土居
Hirotake Hirai
洋武 平井
Kenta Seki
健太 関
Yoshiaki Kano
善明 加納
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Abstract

【課題】可動磁石式の揺動アクチュエータにおける永久磁石の温度上昇を抑制し、例えばガルバノミラーの位置決め動作を高速かつ連続に行う場合でも、加工スループットや穴位置精度が劣化せず、信頼性の高い加工を実現できる揺動アクチュエータ装置及びレーザ加工装置を提供すること。
【解決手段】ケース41を冷却する冷却ジャケット43と、コイル33とケース41に接触する伝熱バイパス手段50、51とを設け、伝熱バイパス手段50、51により、コイル33で発生する熱をケース41に導き、コイル33の温度上昇を抑制する。また、コイル33と対向する永久磁石30に径方向の溝300〜302を設け、永久磁石30に渦電流が発生することを防止する。溝の深さは永久磁石30の体積抵抗率と透磁率とコイル33に通電する電流の基本周波数との関数で表される表皮深さ以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイルを固定子とし、永久磁石を可動子として回転軸に固定し、可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置及びこのような揺動アクチュエータ装置を使用したレーザ加工装置に関する。
プリント配線板の製造工程において穴あけ加工を行うレーザ加工装置では、被加工物の複数の加工位置にレーザ光を次々と照射するための位置決め制御機構が必要であり、高い加工スループットと高精度な加工を実現するためにガルバノスキャナ装置が多く用いられている。ガルバノスキャナ装置は、ガルバノミラーを負荷要素として回転軸に固定した揺動アクチュエータ装置と、ミラーの角度を指令値に追従制御するサーボ制御装置と、から構成される。
レーザ加工装置は、通常、階層的な制御構造を有する数値制御(NC)装置であって、ガルバノスキャナ装置はその最下位の階層に含まれる。上位階層の制御装置(以下、「上位制御」と呼ぶ)では、プリント配線板のCAM(Computer Aided Manufacturing)データに基づき、二次元の穴位置座標が加工される順番でNCプログラムに記述される。加工が始まると、上位制御はNCプログラム中の穴位置座標を次々に座標変換し、ガルバノスキャナ装置に対して時系列的な角度指令データを送信する。穴を真円に加工するには、ガルバノミラーが角度指令データで指定された角度で静止した後に、レーザ光を照射する必要がある。このため角度指令データの送信とレーザ光の照射制御は、上位制御の内部で同期を取って行われる。ガルバノスキャナ装置は、ガルバノミラーの角度が角度指令データに対して誤差無く位置決めするように動作する。特許文献1には、ガルバノスキャナ装置を用いたレーザ加工装置のスループットを向上するため、穴加工の順序を最適化する技術が開示されている。
揺動アクチュエータ装置として、電磁式アクチュエータが多く用いられている。電磁式アクチュエータには、固定子の永久磁石とヨーク間のエアギャップに磁界を形成し、その中で可動コイルがフレミングの左手の法則を原理として駆動トルクを発生して回転軸に伝達する可動コイル式アクチュエータと、固定子をコイル、可動子を永久磁石とし、フレミングの左手の法則の反作用による駆動トルクを永久磁石で受けて回転軸に伝達する可動磁石式アクチュエータと、がある。特許文献2と特許文献3には、可動磁石式アクチュエータに関する技術が開示されている。特許文献4には、可動コイル式アクチュエータに関する技術が開示されている。これらのアクチュエータでは位置決め応答性を高めるため、永久磁石の材料として高い残留磁束密度と保磁力を有するネオジウム−鉄−ホウ素など希土類系磁石が多く用いられる。非特許文献1には、ネオジウム−鉄−ホウ素磁石の減磁曲線や温度特性係数などが示されている。
また特許文献5には、永久磁石を回転子に備えたモータにおいて、永久磁石に生じる渦電流損を低減するために、永久磁石を軸方向又は周方向に複数個に分割し、分割した永久磁石間に絶縁体を設ける技術が開示されている。
特開2003−245843号公報 特許第3199813号公報 特表2003−522968号公報 特開2005−348462号公報 特開2005−354899号公報 Hi-Dong Chai著、Electromechanical Motion Devices、Chap.8、Prentice-Hall、1998年
ガルバノスキャナ装置の位置決め応答性、つまり単位時間あたりに実施可能な位置決め動作の回数は、レーザ加工装置のスループットを左右する重要なファクタである。特許文献1に開示されている加工順序最適化技術を用いると、ストロークの短い位置決め動作の発生頻度が高くなり、スループットが向上する。この場合、ガルバノスキャナ装置は移動距離が短い位置決め動作を高速に行うため、最大加速→最大減速→停止を繰り返す。ガルバノミラー停止後のレーザ照射は短時間で終わるので、コイル電流が0[A]になる時間は非常に短く、大きな銅損、すなわちコイルに流す電流によるジュール熱が発生する。この熱が永久磁石に伝わると、非特許文献1に述べられているように減磁する。特にネオジウム−鉄−ホウ素磁石は、他の磁石素材に比べて可逆的減磁の温度係数が大きく、温度上昇10°Cごとに残留磁束密度が1.2[%]、保磁力が6[%]低下する。このためサーボ制御を行うフィードバックループのゲインが低下し、ガルバノミラーの整定動作にオーバーシュートなどの過渡応答が生じ、位置決めに要する時間が長くなる。
また、渦電流損も永久磁石の温度上昇の原因になる。前述のような最大加速→最大減速→停止を繰り返し行う場合、コイルには高周波成分を含む電流が流れる。また、パルス幅変調方式で電流を供給する場合には、変調周波数の成分が電流に含まれる。コイルが作る磁束はこれらの交流成分で変化するので、コイルと対向する永久磁石に渦電流が生じ、この渦電流によるジュール熱で永久磁石の温度が上昇する。したがって、揺動アクチュエータ装置で高い位置決め応答性を実現するには、冷却が不可欠である。
特許文献2には、コイルからハウジングを介してアクチュエータ外部の構造体に伝熱する技術が開示されている。また特許文献3には、アクチュエータ外部にヒートシンクと冷却ファンを設ける技術が開示されている。可動磁石式アクチュエータでは、固定子を構成する部品としてコイルの外側に磁束を通すヨークがあり、ヨークは鉄系材料で形成されているため熱伝導性が悪いが、特許文献2および特許文献3には、ヨークの熱伝導性の悪さを解決する技術は示されていない。また特許文献4には、可動磁石式アクチュエータのコイルの熱を逃がす技術が開示されていない。
さらに特許文献5に開示された技術では、回転子に固定する永久磁石を軸方向に分割するため、回転子のねじり剛性が低下することが懸念される。背景技術で述べたように、揺動アクチュエータ装置では可動子の角度がサーボ制御されるので、可動子のねじり振動に関する固有振動数はサーボ制御の帯域に影響を与える。すなわち、ねじり剛性が小さいと固有振動数も低くなるため、サーボ制御のフィードバックループを安定に保つには、帯域を狭める必要がある。帯域を狭めると、位置決め応答性が制限されたり、可動子に作用する摩擦等の外乱を受けて位置決め精度が劣化し易くなるという課題が生じる。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、可動磁石式アクチュエータにおける永久磁石の温度上昇を抑制し、例えばガルバノミラーの位置決め動作を高速かつ連続に行う場合でも、加工スループットや穴位置精度が劣化せず、信頼性の高い加工を実現できる揺動アクチュエータ装置及びレーザ加工装置を提供するにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1の手段は、回転軸とこの回転軸の回りに配置された永久磁石とからなる可動子と、該可動子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記可動子と前記固定子を収納するハウジングとを備え、前記可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、伝熱バイパス手段、を設け、前記伝熱バイパス手段により、前記コイルと前記ハウジングとを熱的に接続した、ことを特徴とする。
また、本発明の第2の手段は、回転軸とこの回転軸の回りに配置された永久磁石とからなる可動子と、該可動子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記可動子と前記固定子を収納するハウジングとを備え、前記可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、前記永久磁石に、前記固定子側に開口し、深さが前記永久磁石の体積抵抗率と透磁率と前記コイルに通電する電流の基本周波数との関数で表される表皮深さ以上である径方向の溝を形成したことを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1又は第2の手段に係る揺動アクチュエータ装置をレーザ加工装置が備えていることを特徴とする。
上記第1の手段により、コイルの温度上昇を抑えることができるので、結果として永久磁石の温度上昇を抑制できる。また、前記第2の手段により、永久磁石に発生する渦電流損を低減できるだけでなく、ねじり振動の固有振動数の低下を抑制できる。この結果、揺動アクチュエータ装置の安定した位置決め応答性を実現できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る可動磁石式の揺動アクチュエータ装置の正面断面図、図2は図1における磁気回路部分の断面図である。
ガルバノミラー10はミラーマウント11を介して回転軸20の一方の端部に固定されている。回転軸20は、玉軸受21と玉軸受25に支持され、滑らかな揺動動作を行うことができる。
玉軸受21は軸受ハウジング22に、玉軸受25は軸受ハウジング26に、それぞれ保持されている。波座金23は玉軸受21の外輪を図の右方に付勢し、玉軸受21に予圧を付している。軸受ハウジング22、26は、熱伝導率の高い材料(アルミニウム系または銅系)で形成されている。
内径が回転軸20の外径よりも僅かに(数μm)大径である円筒形の永久磁石30は、接着等により、回転軸20と同軸かつ回転軸20の軸方向予め定める位置に固定されている。永久磁石30には円周方向の3本の溝300、301、302を備えている。溝の詳細については後述する。
回転軸20の他方の端部には、ハブ61を介して、表面にスリット(図示省略)を有するエンコーダ板60が固定されている。エンコーダ板60のスリットと対向する位置にはセンサヘッド62が配置されている。センサヘッド62はセンサベース63に保持されている。センサベース63は軸受ハウジング26に固定されている。エンコーダ板60とセンサヘッド62は、ガルバノミラー10の角度変位をフィードバック制御するための、ロータリエンコーダを形成している。
玉軸受21と永久磁石30との間には、玉軸受21の内輪の肩であるカラー24とカラー31が、玉軸受25と永久磁石30との間には、玉軸受25の内輪の肩であるカラー27とカラー32が、それぞれ配置されている。
エアギャップ39を介し、永久磁石30と対向する位置には、コイル33とヨーク34が回転軸20の軸線Oと同軸に配置されている。ヨーク34は、渦電流を抑えるため、高透磁率で軟磁性の鉄系の薄板を軸線O方向に積層したものであり、外径はケース41(ハウジング)の内径よりも僅かに(数μm)小径である。ヨーク34は、軸線O方向の一方の端部(図示の場合、右側の端部)がケース41の内径部に設けられたフランジ41aに、他方の端部がヨーク押さえリング35に、それぞれ接触するようにしてケース41に保持されている。ケース41は、熱伝導率の高い材料(アルミニウム系または銅系)で形成されている。フランジ41aの内径は、後述する円筒形の一部に形成されたコイル33の外径よりも大径である。
ヨーク押さえリング35の外径はケース41の内径よりも僅かに(数μm)小径で、熱伝導率の高い材料(アルミニウム系または銅系)で形成されている。ケース41と軸受ハウジング26との間には熱伝導率の高い材料(ここでは、銅)で形成された伝熱バイパス手段51が、軸受ハウジング22とヨーク押さえリング35との間には熱伝導率の高い材料で形成された伝熱バイパス手段50が、それぞれ配置されている。伝熱バイパス手段50、51は断面がT字形の円筒形であり、大径部の外径はケース41の内径よりも僅かに(数μm)小径で、小径部の外径はコイル33の内径よりも僅かに(数μm)小径である。
ここで、伝熱バイパス手段50の大径部の厚さは、ケース41の左端からフランジ41aの左端までの距離からヨーク34とヨーク押さえリング35の厚さを差し引いた距離よりも僅かに厚い。また、伝熱バイパス手段51の大径部の厚さは、ケース41の右端からフランジ41aの右端までの距離よりも僅かに厚い。すなわち、伝熱バイパス手段50、ヨーク押さえリング35、ヨーク34、フランジ41aおよび伝熱バイパス手段51の軸線O方向の厚さの和は、ケース41の軸線O方向の長さよりも長い。したがって、図示を省略するボルトにより軸受ハウジング22および軸受ハウジング26をケース41に固定すると、軸受ハウジング22、伝熱バイパス手段50、ヨーク押さえリング35、ヨーク34、フランジ41a、伝熱バイパス手段51および軸受ハウジング26は軸線O方向に密着する。また、回転軸20は、軸受ハウジング22と永久磁石30との間に配置されるカラー24とカラー31、また、軸受ハウジング26と永久磁石30との間に配置されるカラー32とカラー27により、軸線O方向に位置決めされる。
なお、ヨーク34の外周とケース41の内周との間、コイル33と伝熱バイパス手段50、51との間、伝熱バイパス手段50,51の大径部とケース41との間、伝熱バイパス手段50とヨーク押さえリング35との間、ヨーク押さえリング35の外周とケース41の内周との間、ヨーク34とヨーク押さえリング35との間およびヨーク34とフランジ41aとの間には、それぞれ熱伝導率の高い部材(例えば、グリース)が薄く塗布されており、各構成要素間の接触面の熱抵抗を抑えるように構成されている。また、軸受ハウジング26の端部には、ロータリエンコーダを防塵するためのスリーブ64と蓋65が配置されている。
ケース41の外周には、熱伝導性シート材42を介して、熱伝導率の高い材料(ここでは、銅)で形成された冷却ジャケット43が着脱自在に配置されている。冷却ジャケット43は、直径に関して対称な冷却ジャケット43Rと冷却ジャケット43Lおよび蝶番44とから構成され、蝶番44を閉じたとき、冷却ジャケット43は熱伝導性シート材42を介してケース41の外周に密着する。冷却ジャケット43には破線で示す流路が形成されている。そして、図示を省略する冷却水供給手段から供給された冷却水は、冷却ジャケット43R、43Lにそれぞれ接続された配管45から冷却ジャケット43の内部に入り、冷却ジャケット43を冷却した後、冷却ジャケット43R、43Lにそれぞれ接続された配管46から排出される。
図2に示すように、永久磁石30は中心角90°の4極の磁石片を組み合わせたものであり、各磁石片は半径方向に着磁されている。永久磁石30のN極からエアギャップ39に出た磁束303、304、305、306は、コイル33と交差し、ヨーク34を通ってS極に戻り、閉ループを描く。
次に、コイル33について説明する。
図3は、素材としてのコイルの形状を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
同図(a)に示すように、素材としてのコイルは、銅などの素線を扁平な方形枠状に巻いたものである。このような素材としてのコイルをヨーク34の内径に合わせて円弧状に曲げ、4個を電気的に接続すると共に有効長が回転軸20と平行になるようにして、ヨーク34の内周面に熱伝導率の高い接着剤により接着されている。磁束303、304、305、306とコイル33の有効長に流れる電流は直交するので、コイル33に電流を供給すると、永久磁石30には接線方向の電磁力が作用する。この電磁力により回転軸20が回転し、ガルバノミラー10を角度変位させる。同図(a)に端部として示す部分は、それぞれ伝熱バイパス手段50、51と接触する部分である。
次に、伝熱経路について説明する。
図4は、本発明の揺動アクチュエータ装置の伝熱経路を簡略化して示す模式図である。上記発明が解決しようとする課題で述べたように、熱源はコイル33のジュール熱(図中の記号Q)と永久磁石30の渦電流損(図中の記号Q)である。
ヨーク34は鉄系材料であり熱伝導率が低いが、本発明では、コイル33が熱伝導率が高い伝熱バイパス手段50、ヨーク押さえリング35および伝熱バイパス手段51に接続されており、また、伝熱バイパス手段50、ヨーク押さえリング35および伝熱バイパス手段51がケース41に接触しているので、ジュール熱Qはケース41に速やかに伝達され、冷却水を介してアクチュエータの外部に除去される。すなわち、コイル33のジュール熱を冷却手段に伝える経路が、ヨーク34経由と伝熱バイパス手段51,伝熱バイパス手段50およびヨーク押さえリング35経由で並列になり、この経路の熱抵抗が小さくなる。この結果、コイル33の温度上昇は小さい。この場合、ケース41と軸受ハウジング22および軸受ハウジング26とが軸線O方向に接触するようにすると、コイル33で発生した熱は軸受ハウジング22と軸受ハウジング26を介してケース41に流れるので、コイル33の温度上昇をさらに小さくすることができる。
また、フランジ41aの内径をコイル33の外径よりも僅かに(数μm)大径として、両者間に熱伝導率の高いグリースを塗布することにより、さらに冷却効率を向上させることができる。
次に、永久磁石30に設けた溝300、301、302について説明する。
コイル33に流す電流の交流成分によって永久磁石30内部で磁束が変化するので、永久磁石30に渦電流が発生し、渦電流損Qが熱として発生する。永久磁石30で発生した渦電流損Qは、回転軸20を介して揺動アクチュエータ装置の周囲の空気に逃げると考えられる。エアギャップ39の熱抵抗310は大きいので、渦電流損Qの熱が冷却ジャケット43で冷却されることはあまり期待できない。このため渦電流損Qに対しては渦電流自体を低減する必要がある。
渦電流はいわゆる表皮に発生するので、溝の深さを表皮よりも深くすれば、渦電流を切断することができ、損失を低減することができる。
上記表皮深さdは、電磁気学で知られている表皮深さの計算式で算出することができ、式1で表される。また、表面からの深さ(距離)をδとすると、深さδの電流密度は、表面に対してe(-d/d)に減衰する。
表皮深さd=√(2ρ/ωμ) ・・・(式1)
ここで、ρとμは永久磁石の材料定数であり、ρは体積抵抗率、μは透磁率である。またeは自然対数の底、ωは磁束変化の角周波数である。
以下、さらに具体的に説明する。
図5は、コイル33に流す電流波形の模式図である。
同一方向の短い位置決め動作を連続して行う場合、最大加速→最大減速→停止を1周期とする電流波形になる。この電流波形をフーリエ級数展開すると、基本周波数成分は周期Tsの逆数1/Ts[Hz]なので、磁束変化の角周波数はω=2π/Ts[rad/s]である。上記の計算式によれば、角周波数ωが低いほど表皮深さdが大きいので、電流の基本周波数成分に合わせて溝の深さを設計するのが合理的である。
例えば、永久磁石30としてネオジウム−鉄−ホウ素磁石を用いる場合、
ρ=1.5×10−6[Ωm]、μ=1.4×10−6[H/m]
である。
そこで、永久磁石30がネオジウム−鉄−ホウ素磁石であり、位置決め応答性1/Ts=2kHzとするならば、表皮深さdは13mmになる。そこで、この場合、溝300〜302の深さを13mm以上に設計する。溝の幅としては0.5mm以下で十分である。
この場合、渦電流が多く流れ易い個所に集中して溝を設けるようにすると、効率良く渦電流を低減できる。すなわち、図1において溝300、301、302を設けないと仮定すると、永久磁石30の長軸方向の中央付近で渦電流の電流密度が高くなる。そこで、渦電流の電流密度が高くなる部分に溝を集中的に設けると、効率良く渦電流を低減できる。
なお、溝の数を増すほど渦電流損を低減できるが、溝の幅によってトルク定数が減少する。そこで、トルク定数の減少を抑えるために、電気抵抗の大きな磁石、例えばボンド磁石を溝内に充填してもよい。
また、永久磁石30の厚さ寸法が表皮深さdより小さい場合は、永久磁石30のねじり剛性の低下がガルバノミラーの位置決めに悪影響を及ぼさない範囲(例えば、溝の底面と回転軸20との距離が永久磁石30の厚さの10〜30%)に抑えるようにするとよい。
図6は、永久磁石30に設ける溝の他の例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
円周方向の溝300、301、302に代えて、軸線O方向に溝331,332を設けても、渦電流30Aのループを切断することができる。この場合、図示のように、円周方向の溝301等と溝331等の両者を設けてもよい。
この実施形態では、各構成要素の径方向の隙間を微小距離にしたので、熱抵抗を小さくすることができる。
なお、隙間に塗布する部材の熱伝導率が高い場合は、各構成要素の径方向の隙間を大きな値にして構わない。
また、ヨーク34の外径をケース41の内径よりも僅かに大径にしておき、ヨーク34をケース41に圧入するようにしてもよい。
また、ケース41に冷却ジャケット43を外接することに代えて、ケース41に流路を設け、ケース41を直接冷却するようにしてもよい。
また、冷却ジャケット43に供給する冷媒は水に限らず、気体であってもよい。
上記背景技術で説明したように、プリント配線板の製造工程において穴あけ加工を行うレーザ加工装置では、ガルバノミラーを負荷要素として回転軸に固定した揺動アクチュエータ装置と、ミラーの角度を指令値に追従制御するサーボ制御装置と、から構成されるガルバノスキャナ装置により、レーザ光を加工位置に位置決めする。したがって、このようなレーザ加工装置に本発明に係る揺動アクチュエータ装置を採用すると、ガルバノミラーの位置決め動作を高速かつ連続に行う場合でも、加工スループットや穴位置精度が劣化せず、信頼性の高い加工を実現できる。
本発明に係る可動磁石式の揺動アクチュエータ装置の正面断面図である。 図1における磁気回路部分の断面図である。 素材としてのコイルの形状を示す図である。 本発明に係る揺動アクチュエータ装置の伝熱経路を簡略化して示す模式図である。 コイルに流す電流波形の模式図である。 本発明の他の実施例を示す図である。
符号の説明
30 永久磁石
33 コイル
41 ケース
43 冷却ジャケット
50 伝熱バイパス手段
51 伝熱バイパス手段
300〜302 溝

Claims (7)

  1. 回転軸とこの回転軸の回りに配置された永久磁石とからなる可動子と、該可動子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記可動子と前記固定子を収納するハウジングとを備え、前記可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、
    伝熱バイパス手段、を設け、
    前記伝熱バイパス手段により、前記コイルと前記ハウジングとを熱的に接続した、
    ことを特徴とする揺動アクチュエータ装置。
  2. 前記ハウジングを冷却するための冷却手段を設けた、
    ことを特徴とする請求項1に記載の揺動アクチュエータ装置。
  3. 回転軸とこの回転軸の回りに配置された永久磁石とからなる可動子と、該可動子の周りに配置されコイルとヨークとからなる固定子と、前記可動子と前記固定子を収納するハウジングとを備え、前記可動子を予め定める角度範囲内で揺動させる揺動アクチュエータ装置において、
    前記永久磁石に、前記固定子側に開口し、深さが前記永久磁石の体積抵抗率と透磁率と前記コイルに通電する電流の基本周波数との関数で表される表皮深さ以上である径方向の溝を形成した、
    ことを特徴とする揺動アクチュエータ装置。
  4. 前記溝を前記回転軸の軸線方向の中央付近に、2以上設けた、
    ことを特徴とする請求項3に記載の揺動アクチュエータ装置。
  5. 前記溝に非導電性磁石を充填した、
    ことを特徴とする請求項3に記載の揺動アクチュエータ装置。
  6. 演算された前記溝の深さが前記永久磁石の半径方向の厚み以上である場合は、前記溝の深さを前記永久磁石の半径方向の厚みから予め定める値を差し引いた深さとする、
    ことを特徴とする請求項3に記載の揺動アクチュエータ装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の揺動アクチュエータ装置を備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
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