JP2008106952A - 電気炉用排ガスの冷却装置および冷却方法 - Google Patents

電気炉用排ガスの冷却装置および冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い冷却性能と省スペース性、さらにはコスト削減を実現できる電気炉用排ガスの冷却装置および冷却方法を提供する。
【解決手段】電気炉から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔の後段に接続された複数の冷却ゾーン14A〜Cから構成される電気炉用排ガスの冷却装置であって、冷却ゾーンは、各々、排ガスの流れ方向に並列に接続された冷却用パイプ3−イと、前記冷却用パイプの外側に設置された温度計測手段7と、前記冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段8a〜fを備え、共通の手段として、前記スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、前記冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発するように、各冷却ゾーンに備えられたスプレー式冷却手段の冷却水量を制御する冷却水量制御手段を備えたことを特徴とする電気炉用排ガスの冷却装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属の溶解、精錬等に用いられる電気炉から発生する排ガスの冷却装置および冷却方法に関し、特に、電気炉から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔の後段に接続された冷却用パイプを外側から水冷する方式の電気炉用排ガスの冷却装置および冷却方法に関する。
従来、電気炉等から排出される排ガスの冷却技術としては、(1)水冷ジャケット方式もしくは冷却用パイプを並列につないだパイプ式ダクトもしくは水冷管との接触により抜熱する間接水冷方式等の間接水冷タイプ、(2)排ガスに直接散水スプレー水を吹き込み抜熱する直接散水スプレー冷却タイプ、および、(3)複数の冷却用パイプを並列的に接続して外気により空冷する空冷タイプが一般的に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、(1)の間接水冷タイプは、冷却水を大量に使用する必要があり、また、一般に溶接構造からなる水冷ジャケット等においては溶接部からの水漏れが発生し、その補修等や保守に多大な労力を費やしている。
また、(2)の直接散水スプレー冷却タイプでは、散水スプレーによりスプレー水を直接排ガス内に吹き込むため、水の蒸発熱が排ガスの冷却に直接寄与するため冷却効率が高く、その分、(1)の間接水冷タイプに比べ冷却水の使用量が少なくて済む。しかし、冷却塔や排ガスダクトへのダストの付着、蒸発しきれないスプレー水によるドレンの発生等、あるいは冷却装置に一般的に後続配置されるバグフィルターにおいては水分の結露による濾布へのダスト付着が発生し、濾布の目詰まり防止など保守に多大な労力を費やしている。
一方、(3)の空冷タイプの代表的な技術としては特許文献1に開示されているが、これは、複数の冷却用パイプを並列に接続して外気との接触面積、すなわち、冷却面積を増大させ、これにより外気にて空冷する方式である。したがって、(1)の間接水冷タイプや(2)の直接散水スプレー冷却タイプと異なり冷却水を使用しないため、水漏れ、ダストの付着等のトラブルは発生しない。さらに、冷却用パイプに縦型パイプを使用する場合には、ダイオキシン(DXN)の再合成の触媒となり得るダストの冷却用パイプへの付着がほとんど発生しないため、ダイオキシン(DXN)の再合成が少ないという利点がある。
しかしながら、特許文献1に代表される空冷タイプは、冷却性能が水冷方式に比べて低いため、必然的に大量の伝熱面積が必要となる。したがって、冷却設備の高さ、例えば前記した複数の冷却用パイプを並列に接続してなる冷却用パイプの必要高さを高く設定する必要があり、冷却設備の設備費が増大する問題がある。
また、空冷タイプでは、冷却用パイプを構成する材料の使用限界から冷却用パイプへの入り側排ガス温度を一般的に400℃程度に減温させて運転しているため、具体的には、燃焼塔から冷却用パイプまでの間に排ガス温度を400℃程度に下げるため、燃焼塔と冷却用パイプとの間には長い排ガスパイプを設ける必要があり、その分、冷却装置全体として広大な設置場所が必要となり、設置場所に制限を受けるという欠点があった。
さらに、燃焼塔の排ガス温度、換言すると排ガスパイプの入り側排ガス温度は、燃焼塔の燃焼状態によって大きく変動するため、排ガスパイプと冷却用パイプの双方について燃焼塔から排出される排ガス温度に対する余裕を持たせる熱設計が必要となった。これは、前記した冷却設備の設備費が増大する問題や、設置場所に制限を受けるという問題を解決するうえでの阻害要因となっていた。
特開平10−89665号公報
本発明の解決すべき課題は、高い冷却性能と省スペース性、さらにはコスト削減を実現できる電気炉用排ガスの冷却装置および冷却方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく、様々な実験的検討および理論的検討を重ねた結果、以下の技術的知見を得た。
(a)前記したように、単に複数の冷却用パイプを並列に接続して外気により空冷する空冷タイプでは冷却性能が低く、装置の設置スペースも大であり、一方、冷却水を使用する水冷タイプでは、冷却性能が高い反面、冷却水を使用することによる弊害が生じるが、所定の条件で空冷タイプと水冷タイプを結合させると、高い冷却性能と省スペース性、さらにはコスト削減を実現できること。
(b)具体的には、冷却用パイプの外側表面に対しスプレーノズルから冷却水を噴射すれば冷却性能が向上することは想像するに難しくないが、冷却性能を上げるために冷却水量を増加し過ぎると、冷却効率が低下する弊害や、スプレー噴射した冷却水が冷却用パイプの外側表面から流れ落ちて、冷却パイプが浸漬して保守に多大な労力を費やす弊害が生じて、空冷タイプと水冷タイプを結合させるメリットは生じない。しかしながら、スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度が150℃以上を維持するようにスプレー式冷却手段の冷却水量を制御すれば、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水は瞬時に蒸発して、スプレー噴射した冷却水が冷却用パイプの外側表面から流れ落ちることはないこと。すなわち、空冷タイプの課題であった冷却性能と水冷タイプの課題であった保守性の双方が向上すること。
(c)また、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水は瞬時に蒸発することから、沸騰熱伝達による冷却により前記冷却用パイプが冷やされ、対流伝熱である従来の空冷の冷却用パイプと比較すると数倍の熱伝達係数となり、より冷やされた冷却用パイプの中を通る排ガスが効率的に冷却されること。すなわち、空冷タイプの課題であった冷却効率が向上すること。
(d)スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度が150℃以上を維持するようにスプレー式冷却手段の冷却水量を制御することにより、ひいては、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発するように冷却水量を制御することにより、空冷タイプの課題であった冷却性能が向上するのであるから、冷却用パイプ等の必要段数を少なくすることができ、省スペース性、さらにはコスト削減をも合わせて実現できること。
(e)さらには、燃焼塔から排出される排ガス温度が燃焼塔の燃焼状態によって大きく変動するため、排ガスパイプと冷却用パイプの双方について燃焼塔から排出される排ガス温度に対して余裕を持たせた熱設計が必要となり、その結果として冷却装置が大型化する問題については、冷却用パイプ内を流通する排ガスの流れ方向に複数の冷却ゾーンを設定することにより、この問題が解決されること。
例えば、排ガスの流れ方向に初段、中段、後段の3段からなる冷却ゾーンを設定した場合、冷却用パイプへの入り側排ガス温度が400℃の場合には、初段で400℃から300℃への減温、中段で300℃から250℃への減温、後段で250℃から200℃への減温という具合に、あるいは、冷却用パイプへの入り側排ガス温度が600℃の場合には、初段で600℃から400℃への減温、中段で400℃から300℃への減温、後段で300℃から200℃への減温という具合に、各冷却ゾーンを通過する排ガスの温度を任意に制御することができるので、燃焼塔から排出される排ガス温度に対して余裕を持たせる熱設計が不要となること。
具体的には、従来に比し排ガスの冷却効率が高く、しかも各冷却ゾーンを通過する排ガスの温度を任意に制御することができるので、冷却装置の入り側温度(冷却開始温度)を高温側にシフトすることが可能となり、これにより、燃焼塔から冷却用パイプまでの間に設置されて排ガス温度を400℃程度に下げるための排ガスパイプを短くすることができ、これにより設置場所の制限緩和やコスト削減を達成できること。
上記の知見に基づき、本発明者は、上記課題を解決することのできる電気炉用排ガスの冷却装置および冷却方法に想到した。その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)電気炉から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔の後段に接続された複数の冷却ゾーンから構成される電気炉用排ガスの冷却装置であって、排ガスの流れ方向に複数段に接続された冷却ゾーンは、各々、排ガスの流れ方向に並列に接続された冷却用パイプと、前記冷却用パイプの外側に設置された温度計測手段と、前記冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段を備え、共通の手段として、前記スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、前記冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発するように、各冷却ゾーンに備えられたスプレー式冷却手段の冷却水量を制御する冷却水量制御手段を備えたことを特徴とする電気炉用排ガスの冷却装置。
(2)電気炉から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔の後段に並列に接続された冷却用パイプ内を流通する排ガスを冷却する電気炉用排ガスの冷却方法であって、冷却用パイプ内を流通する排ガスの流れ方向に複数の冷却ゾーンを設定し、各冷却ゾーンの冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段の冷却水量を、冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発するように制御して、各冷却ゾーンを通過する排ガスの温度を制御することを特徴とする電気炉用排ガスの冷却方法。
(A)本発明によれば、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水は瞬時に蒸発することから、沸騰熱伝達による冷却により前記冷却用パイプが冷やされ、対流伝熱である従来の空冷の冷却用パイプと比較すると数倍の熱伝達係数となり、冷却用パイプの中を流通する排ガスを効率的に冷却することができる。
(B)また、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水は、冷却用パイプの中を流通する高温の排ガスによって加熱され、高温状態となっている冷却用パイプの表面で瞬時に蒸発するため、スプレー噴射した冷却水が冷却用パイプの外側表面から流れ落ちることはなく、水冷方式で問題となっていた装置全体としての保守が容易となる。
(C)すなわち、本発明によれば、空冷タイプの課題であった冷却性能と水冷タイプの課題であった保守性の双方が向上することから、冷却設備の高さ、段数、例えば前記複数の冷却用パイプを並列に接続してなる冷却用パイプの必要段数が少なくすることができる。これは、冷却設備のコスト削減に資するのみならず、設置場所に制限を受けるという問題を根本的に解決するものであり、省スペース性も同時に達成するものである。
以下、図1〜図11を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3を配設した電気炉設備の概略正面図であり、図2は本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3を配設した電気炉設備の概略平面図である。また、図3は本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の一形態を示す概略正面図であり、図4は本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の一形態を示す概略断面図である。
図1〜図4に示すように、本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3は、電気炉1から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔2の後段に接続された複数の冷却ゾーン14A〜14Cから構成される電気炉用排ガスの冷却装置である。すなわち、本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3においては、冷却用パイプ内を流通する排ガスの流れ方向に複数の冷却ゾーンを設定しているが、これが本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の特徴のひとつである。
そして、排ガスの流れ方向に複数段に接続された冷却ゾーン14A〜14Cは、各々、排ガスの流れ方向に並列に接続された冷却用パイプ3−イ〜3−ハと、前記冷却用パイプの外側に設置された温度計測手段7と、前記冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段8を備えている。
なお、冷却ゾーンは、図3〜図4に示すような初段、中段、後段からなる3段構成に限られるものではなく、電気炉1から発生する排ガスの温度、設定する冷却手段の冷却性能、あるいは電気炉用排ガス冷却装置3を配設する電気炉の設備等の状況に応じて適宜自由に設定することができる。以下、冷却ゾーンを3段構成した場合について説明する。また、図2および図4においては冷却用パイプが排ガスパイプ11より3条に分岐しているが、同様の理由により、分岐数はこれに限定されるものではない。
冷却用パイプの材質としては特に限定されるものではなく、鋼管、冷却速度の速い銅管、あるいは、その他の管材を用いることができる。
また、冷却用パイプの形状としては、省スペースを達成するために図3に示すような側面形状が逆U字形の構成とすることが望ましい。また、冷却用パイプの内部形状としては特に限定されるものではなく、パイプ内壁面になんら加工を施していないものを用いることができるが、図示していないが内部に螺旋状の突起あるいは溝等を設けられていて、冷却用パイプ内を通過する際に排ガスが螺旋状に移動できるように加工されたものを用いることが好ましい。この場合、冷却用パイプ内を通過する排ガスが冷却用パイプ内を乱流状態で移動するので、冷却用パイプの内壁面に満遍なく接触して伝熱することができる。
本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3は、前記冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段8を備えるが、図3〜図4に示す本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の概略図は、冷却手段8としてリング状の給水ヘッダー管8a〜8fと、当該給水ヘッダー管8a〜8fの内周面に設置された複数のスプレーノズル12を採用した場合の一例を示したものである。
スプレーノズル12の取付け位置としては、図5に示すように複数のスプレーノズル12から噴霧、散水された水摘により冷却用パイプの外周面部を隙間無く覆うような位置に設置することが望ましい。換言すると、複数のスプレーノズル12から冷却水を噴射した際に、冷却用パイプの外周面部を隙間無く冷却することができる数のスプレーノズル12を設置することが望ましい。
同様に、リング状の給水ヘッダー管8a〜8fの取付け位置としては、上下の給水ヘッダー管に設けている複数スプレーノズル12から噴霧・散水された水摘により冷却用パイプの外周面部を上下方向に隙間無く覆うような位置に設置することが望ましい。換言すると、給水ヘッダー管8a〜8fの内周面に設置した複数のスプレーノズル12から冷却水を噴射した際に、冷却用パイプの外周面部を上下方向に隙間無く冷却することができる数の給水ヘッダー管を設置することが望ましい。
スプレーノズル12からの冷却水の適正噴射圧は、0.098〜0.98MPaの範囲が好ましい。0.98MPaを超えると、噴射された水滴が冷却用パイプの外側表面に衝突したときの衝撃が大きく再飛散が生じ、冷却効率が低下すると共に冷却用パイプの設置場所が水により浸漬し、環境を悪化させる。また、保守性が低下する。よって噴射圧の上限は0.98MPa以下である。一方、噴射圧が低すぎると均一なる水滴の噴霧が生成されず、冷却効率が低下する。よって噴射圧の下限は0.098以上必要である。したがって、給水ヘッダー管8a〜8fの内周面に設置するスプレーノズル12としては、0.098〜0.98MPaの噴射圧を実現できる各種工業用に使用されている汎用スプレーノズルを使用することが望ましい。
上記した各冷却ゾーンに備えられたスプレー式冷却手段8、すなわち、給水ヘッダー管8a〜8fの内周面に設置されたスプレーノズル12の冷却水量は、本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3が備える冷却水量制御手段9によって制御される。
スプレーノズル12の冷却水量としては、前記スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、前記冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発することができる水量に設定することが重要であり、これは本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の特徴のひとつである。
このような冷却水量であれば、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水は、冷却用パイプの中を流通する高温の排ガスによって加熱され、高温状態となっている冷却用パイプの表面で瞬時に蒸発する。したがって、スプレー噴射した冷却水が冷却用パイプの外側表面から流れ落ちることはなく、装置全体としての保守が容易となる。
また、このような冷却水量であれば、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水は瞬時に蒸発することから、沸騰熱伝達による冷却により前記冷却用パイプが冷やされ、対流伝熱である従来の空冷の冷却用パイプと比較すると数倍の熱伝達係数となり、冷却用パイプの中を流通する排ガスを効率的に冷却することができる。
さらには、前記したように空冷タイプの課題であった冷却性能と水冷タイプの課題であった保守性の双方が向上することから、冷却設備の高さ、段数、例えば前記複数の冷却用パイプを並列に接続してなる冷却用パイプの必要段数が少なくなり、冷却設備のコスト削減に資するのみならず、省スペース性も同時に実現することができる。
図6は、各冷却ゾーンにおける冷却パイプ内の排ガス温度を示すグラフの一例であり、実線は冷却水量制御手段9によって各冷却ゾーンに備えられたスプレーノズル12の冷却水量を制御した場合、細線はスプレーノズル12からの冷却水の噴射を行わなかった場合(従来の空冷に相当)の排ガス温度を各々示す。図6から明らかなように、本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の冷却性能は高いため、例えば、入り側排ガス温度が400℃で、これを200℃まで減温させようとする場合に、冷却用パイプの必要段数を従来の3段から2段程度というように必要段数を少なくすることができる。
また、図7は、各冷却ゾーンにおける冷却パイプ内の排ガス温度を示すグラフの別の一例であり、燃焼塔の排ガス温度が燃焼塔の燃焼状態によって大きく変動して、冷却装置の入り側排ガス温度が600℃程度の高温になった場合を示したものである。そして、実線は冷却水量制御手段9によって各冷却ゾーンに備えられたスプレーノズル12の冷却水量を制御した場合、細線はスプレーノズル12からの噴射を行わなかった場合(従来の空冷に相当)の排ガス温度を各々示す。図7から明らかなように、本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3の冷却性能は高いため、例えば、入り側排ガス温度が通常の400℃を大きく超えて600℃程度となった場合であっても、これを200℃まで減温可能であることがわかる。これは、冷却装置の入り側の温度(冷却開始温度)を高温側にシフトすることが可能であることを意味するものである。
したがって、従来の空冷方式のように燃焼塔から排出される排ガス温度に対して余裕を持たせる熱設計が不要となり、例えば、燃焼塔から冷却用パイプまでの間に設置されて排ガス温度を400℃程度に下げるための排ガスパイプ11を短くすることができ、これにより排ガスパイプ11を含めた冷却装置全体としての設置場所の制限を緩和することができる。
さらに、更に上記高温側温度域にて冷却を行うことにより、触媒となり得るダストが少ない箇所で再合成しやすい温度域を冷却できるためDXNの再合成を更に少なくすることができ、DXNの排出量を削減することができる。
図7に示したように、燃焼塔の排ガス温度が燃焼塔の燃焼状態によって大きく変動して、冷却装置の入り側排ガス温度が600℃程度の高温となる場合があることから、あるいは、図6に示したような通常の入り側排ガス温度であっても、各冷却ゾーンにおける排ガスの冷却効率を最適化するために、各冷却ゾーンに備えられたスプレー式冷却手段の冷却水量は排ガス温度に基づいて制御することが望ましい。したがって、排ガスの流れ方向に複数段に接続された冷却ゾーンは、各々温度計測手段7を備えることが望ましい。
また、前記したように本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置3は、スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、前記冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発することができる冷却水量に設定するので、各冷却ゾーンが温度計測手段7を備えることにより、計測した排ガス温度を入力とするフィードバック制御が可能であり、冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持する制御も容易となる。
図8は冷却水量制御手段9による制御内容を模式的に示す説明図である。冷却水量制御手段9は、各冷却ゾーン14A、14B、14Cが備える温度計測手段7によって計測された排ガス温度に基づいて、図示していない給水元管を経て各々の長尺形状の給水ヘッダー管8A〜8Cへ供給する冷却水量を設定し、当該設定値に応じて図8に示す各冷却水の流量調整弁15の開度が設定される。各々の長尺形状の給水ヘッダー管8A〜8Cへ供給された冷却水は、給水分岐管13を経由して複数のリング状の給水ヘッダー管8a〜8fに供給され、その後、複数のスプレーノズル12から冷却用パイプの外側表面に向けて散水、噴霧される。
冷却水量制御手段9は、冷却用パイプ内での排ガス流量、排ガスの比熱、各冷却ゾーンにおける冷却用パイプにおける伝熱面積、冷却用パイプの材質、給水温度、冷却水の比熱などの各種パラメータ値より一般の伝熱計算を用いて冷却水量を算出するが、以上の計算式、算出結果、判断事項は予め冷却水量制御手段9に組み込まれている。なお、温度計測手段7によって計測した排ガス温度を入力とするフィードバック制御が可能であるため、この場合、前記算出結果の計算誤差を修正することが可能であり、冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持する制御が容易となる。
冷却水量制御手段9は、前記したように排ガスの比熱や冷却水の比熱等をパラメータとする一般の伝熱計算を用いて冷却水量を算出するものであるため、特に限定されるものではなく、例えば、パーソナルコンピュータを用いることができる。
また、温度計測手段7としても特に限定されるものではなく、600℃に耐え得る温度計や温度センサー等を用いることができる。なお、温度計測手段7は、保守の容易性から冷却用パイプの外側に設置することが望ましい。
以上は、冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段8として、リング状の給水ヘッダー管8a〜8fと当該給水ヘッダー管の内周面に設置された複数のスプレーノズル12を採用した場合の一例について説明したが、冷却用パイプの外側表面を水冷する方法は、これに限定されるものではない。例えば、図9〜図11に示す態様で冷却することができる。図9は本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置の別の一形態を示す概略正面図であり、図10は本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置の別の一形態を示す概略断面図である。また、図11は冷却用パイプの冷却方法、より具体的にはスプレーノズル12からの冷却水の噴射の様子を模式的に示した図である。
すなわち、図9に示すように、各冷却ゾーンを構成する逆U字形の冷却用パイプの凹部に、冷却用パイプと平行となるように給水ヘッダー管を立設し、当該給水ヘッダー管に設置したスプレーノズル12から水平方向かつ最近接の冷却用パイプの外側表面の所定範囲に向け、冷却水を噴射するようにしてもよい。例えば、図9〜図11に示す冷却用パイプは、縦横方向に等間隔に立設して配置しているので、この場合には、1つのスプレーノズル12から水平方向に4方向に冷却水を噴射することにより、4組のスプレーノズル12で一本の冷却用パイプの外周をカバーすることができる。すなわち、4組のスプレーノズル12から噴霧、散水された水摘により1本の冷却用パイプの外周面部を隙間無く覆うことができる。また、スプレーノズル12から冷却水を噴射した際に、冷却用パイプの外周面部を上下方向に隙間無く冷却することができる数のスプレーノズル12を鉛直方向に設置することが望ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、本実施例の条件は、本発明の実施可能性および顕著な効果を立証するために採用した一条件であり、本発明は、この一条件に限定されるものではない。
まず、冷却用パイプ3−イ、3−ロ、3−ハの条件については、形状が逆U字形で鋼板製、板厚が12mm、内径0.5m、高さ30m、逆U字の段数が3段で、分岐(並列)の数を3条のものを用意した。
リング状の給水ヘッダー管8a〜8fの条件については、内径が0.8mのものを用意し、当該給水ヘッダー管8a〜8fにスプレーノズル12を10個均等に配置し、冷却用パイプの垂直直胴部25mの範囲に、前記スプレーノズル12を設けた給水ヘッダー管8a〜8fを上下方向0.3mの間隔で、冷却用パイプ1本当たり84個配置した。
そして、冷却用パイプの外側表面を直接水冷する前記各々の水冷却手段での冷却水量を、冷却時の冷却用パイプの外側表面温度が常時150℃以下とならないよう、各々の冷却ゾーンにおいて増減制御、具体的には前記スプレーノズル12からの冷却水の給水量を排ガス温度が高い冷却ゾーン14Aでの給水量を一番多く、温度が低い冷却ゾーン14Cでの給水量を一番少なくなるように各ゾーンにて制御した。
また、各々の比較例においては、本発明例と同一の設備を使用したが、上記の水冷を実施せず従来の空冷冷却のみとした。
表1から明らかなように、本発明例1〜4においては本発明特有の効果を奏していることを確認することができる。すなわち、前記スプレーノズル12から連続的に噴射したスプレー水は瞬時に蒸発し、各冷却用パイプの表面において該スプレー水の再飛散および落下が全く生じることが無かった。さらに、その時の冷却効率は、本発明例1〜4に示すように、入り口排ガス温度T1が600℃程度の従来に比し高温であっても、出口温度T3は比較例1〜比較例2に示す200℃程度となり、本発明の効果の大きさが現れている。
本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置を配設した電気炉設備の概略正面図である。 本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置を配設した電気炉設備の概略平面図である。 本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置の一形態を示す概略正面図である。 本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置の一形態を示す概略断面図である。 冷却手段であるスプレーノズルの設置例を示す模式図である。 各冷却ゾーンにおける冷却パイプ内の排ガス温度を示すグラフの一例である。 各冷却ゾーンにおける冷却パイプ内の排ガス温度を示すグラフの別の一例である。 冷却水量制御手段による制御内容を模式的に示す説明図である。 本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置の別の一形態を示す概略正面図である。 本発明に係る電気炉用排ガス冷却装置の別の一形態を示す概略断面図である。 冷却用パイプの冷却方法を示す模式図である。
符号の説明
1 電気炉
2 燃焼塔
3 排ガス冷却装置
3−イ,3−ロ,3−ハ 冷却用パイプ
4 送風機
5 集塵機
6 建屋集塵装置
7 温度計測手段
8 冷却手段
8A,8B,8C 長尺形状の給水ヘッダー管
8a,8b,8c,8d,8e,8f リング状の給水ヘッダー管
9 冷却水量制御手段
10 ダスト排出装置
11 排ガスパイプ
12 スプレーノズル
13 給水分岐管
14A,14B,14C 冷却ゾーン
15 冷却水の流量調整弁

Claims (2)

  1. 電気炉から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔の後段に接続された複数の冷却ゾーンから構成される電気炉用排ガスの冷却装置であって、
    排ガスの流れ方向に複数段に接続された冷却ゾーンは、各々、
    排ガスの流れ方向に並列に接続された冷却用パイプと、
    前記冷却用パイプの外側に設置された温度計測手段と、
    前記冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段を備え、
    共通の手段として、前記スプレー式冷却手段による冷却時に前記冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、前記冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発するように、各冷却ゾーンに備えられたスプレー式冷却手段の冷却水量を制御する冷却水量制御手段を備えたことを特徴とする電気炉用排ガスの冷却装置。
  2. 電気炉から発生する排ガスを燃焼させる燃焼塔の後段に並列に接続された冷却用パイプ内を流通する排ガスを冷却する電気炉用排ガスの冷却方法であって、
    冷却用パイプ内を流通する排ガスの流れ方向に複数の冷却ゾーンを設定し、
    各冷却ゾーンの冷却用パイプの外側表面を水冷するスプレー式冷却手段の冷却水量を、冷却用パイプの外側表面温度を150℃以上に維持して、冷却用パイプの外側表面に付着した冷却水が瞬時に蒸発するように制御して、
    各冷却ゾーンを通過する排ガスの温度を制御することを特徴とする電気炉用排ガスの冷却方法。
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