JP2008200439A - インプラント固定部材およびその製造方法 - Google Patents

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Takuji Umezawa
卓史 梅沢
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Abstract

【課題】歯科・口腔外科におけるインプラント治療において、歯槽骨または顎骨を補填・再生し、該骨組織を強化させて、インプラントを安定的に支持することができ、かつ、任意な形状に加工容易なインプラント固定部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】気孔率が60%以上80%以下、かつ、平均気孔径が100μm以上600μm以下であり、隣接する気孔間に連通孔を有するハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体顆粒同士を生体吸収性材料により接合し、インプラント固定部材を構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、より詳細には、インプラント治療において、歯槽骨または顎骨のインプラント埋め込み部を補強するための歯科領域向けインプラント固定部材およびその製造方法に関する。
近年、新たな歯科治療方法として、インプラント治療が開発され、注目されている。このインプラント治療は、歯槽骨または顎骨に、人工歯根となる金属を埋め込み、この金属を土台として、天然歯と同様の人工歯を取り付ける方法である。
インプラントは、義歯に比べ、安定性に優れ、噛む力も十分に保持することができ、また、外見上も不自然さがなく、自分の歯のように噛むことができるという利点を有している。
しかしながら、インプラント治療においては、インプラントを十分に支持することができる歯槽骨または顎骨が、十分な量で残っていることが必要である。
前記歯槽骨は、歯に依存した組織、すなわち、歯のない所には存在せず、生まれつき歯がない場合には形成されない。また、抜歯後そのまま放置すると、刺激に対して無感覚となり、歯槽骨は吸収されて痩せ衰えてしまう。
さらに、重度の歯周病や事故等により、歯槽骨や顎骨は周囲組織に吸収されたり、損傷してしまう場合もある。
このように、歯槽骨や顎骨の量や状態が十分でない場合には、そのままの状態で、インプラントを埋め込むことは困難である。
このため、インプラント治療を行う前に、例えば、上顎の歯槽骨が痩せてしまった場合は、ソケットリフトやサイナスリフト(上顎洞底挙上術)と呼ばれる方法により、歯根を植立できるように、歯槽骨の厚みを増加させる処置が行われる。
また、下顎の場合は、骨が不足している部分には、ハイドロキシアパタイト等の顆粒を充填させることにより痩せた骨を補填したり、自家骨を移植する等の処置を施している。
ところで、前記ハイドロキシアパタイトは、骨の主な組成成分であり、自家骨等との適合性を有し、また、経時的な生体組織への吸収により定着する等の特性を有しているものである。しかも、そのセラミックスは、優れた強度特性、生体為害性がないという利点を有していることから、従来から、人工骨の好適な材料として利用されている。
さらに、ハイドロキシアパタイトセラミックスの中でも、特に、骨を形成する細胞が内部まで侵入しやすく、また、該細胞に栄養分等を十分に供給することができることから、気孔率が高く、かつ、各気孔が全体にわたって連通している構成からなるセラミックス多孔体が好適であるとの提案が既になされている(例えば、特許文献1等参照。)。
また、生体親和性および機械的強度が高いものとして、金属基体表面に、ディオプサイトを主体とする結晶化ガラスからセラミックス被覆層を形成したインプラント等も提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
特許第3400740号公報 特開平6−197947号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載されているようなインプラントであっても、インプラントの人工歯根の基体金属自体は結晶化ガラスからなるセラミックス被覆層に覆われたままの状態である。このように、人工物であり、しかも、結晶化ガラスの前記セラミックスが、骨として機能するまでには長時間を要するため、患者に与える負担は大きいものと考えられる。
したがって、インプラントを安定的に支持し、良好な生体適合性を得るためにも、インプラントは直接埋め込まれることが理想であり、そのためには、インプラント埋め込み部には、該埋め込み部の種々の形状に応じて、十分な量および状態の歯槽骨または顎骨を形成し、該骨組織を強化させる技術が求められていた。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、上記のような優れた特性を有するハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体を用いて、歯科・口腔外科におけるインプラント治療において、歯槽骨または顎骨を補填・再生し、該骨組織を強化させて、インプラントを安定的に支持することができ、かつ、任意な形状に加工容易なインプラント固定部材およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係るインプラント固定部材は、歯槽骨または顎骨のインプラント固定部材であって、ハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体顆粒の集合体からなり、隣接する前記顆粒同士が接合されていることを特徴とする。
このようなセラミックス多孔体を、インプラント固定部材として使用することにより、骨の再生が促進され、内側に埋め込まれるインプラントを安定的に支持することができる程度の強度の骨を早期に形成することができる。
前記セラミックス多孔体顆粒は、気孔率が60%以上80%以下、かつ、平均気孔径が100μm以上600μm以下であり、隣接する気孔間に連通孔を有するものであることが好ましい。
多孔体顆粒の気孔状態を上記のような構成とすることにより、骨の再生効果を高めることができ、該固定部材の内側に埋め込まれるインプラントを安定的に支持することができる程度の強度を有する骨の形成の促進させることができる。
また、前記顆粒同士は、生体吸収性材料で接合されていることが好ましい。
これにより、接合部が体内に残留することがなく、また、生体に吸収された部分に、生体組織が侵入し、より骨形成を促進することができる。
また、本発明に係るインプラント固定部材の製造方法は、上記インプラント固定部材の製造方法において、前記セラミックス多孔体顆粒は、セラミックス多孔質焼結体同士をポット内で回転させて、鋭利な部分を削いで作製することを特徴とする。
鋭利な部分が少ない顆粒であれば、口腔内を傷つけるおそれがなく、また、型内において接合させる際、顆粒の充填密度を高くすることができる。
前記ポットとしては、多孔体顆粒中にポット由来の不純物の混入を防止する観点から、セラミックス製容器を用いることが好ましい。
また、前記ポットは、内面に凸部を有するものであることが好ましい。
このような形状のポットを用いることにより、顆粒同士の接触および衝突頻度が増大し、鋭利な部分が削がれた好適な形状の顆粒を迅速に調製することができる。
上述したとおり、本発明に係るインプラント固定部材によれば、セラミックス多孔体顆粒の所要量を適宜調整することにより、インプラントの埋め込み部の種々の形や大きさに容易に対応することができる。また、顆粒を接合体とすることにより、目的箇所以外への顆粒の飛散を防止することができ、しかも、骨の再生が促進され、該固定部材の内側に埋め込まれるインプラントを安定的に支持することができる程度の強度の骨を早期に形成することができる。
したがって、前記インプラント固定部材によれば、歯槽骨または顎骨の補填・再生の促進を図ることができ、該骨組織が強化され、インプラントを安定的に支持することができる程度にまで、早期に強度を向上させることができるため、インプラント治療を効果的に行うことができる。
また、本発明に係るインプラント固定部材の製造方法によれば、上記のようなインプラント固定部材を構成する上で好適な多孔体顆粒を容易に作製することができる。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
本発明に係るインプラント固定部材は、ハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体顆粒の集合体からなり、隣接する前記顆粒同士が接合されているものであり、歯槽骨または顎骨のインプラント固定部材に適用される。
上記のように、インプラント固定部材を顆粒の接合体により構成することにより、インプラントの埋め込み部の形状や大きさに応じた所定の型に合わせて、必要な多孔体顆粒の量を適宜調整することができ、所望の形状および大きさで、インプラント固定部材を容易に得ることができる。
また、顆粒を接合体とすることにより、目的箇所以外への顆粒の飛散を防止することができる。
前記インプラント固定部材に用いられるセラミックス多孔体顆粒は、ハイドロキシアパタイトからなるものである。
ハイドロキシアパタイトは、骨の主組成成分であり、強度等の機械的特性にも比較的優れており、生体適合性に優れた好適な材質である。また、数年経つと、徐々に生体組織に吸収され、生体骨との代替性にも優れているという特長も有しているものである。
なお、前記ハイドロキシアパタイトは、その一部の水酸基またはリン酸基の一部が、炭酸基で置換されたものであってもよい。
また、前記ハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体顆粒は、気孔率が60%以上80%以下、かつ、平均気孔径が100μm以上600μm以下であり、隣接する気孔間に連通孔を有するものであることが好ましい。
このような構造のセラミックス多孔体の顆粒により、インプラント固定部材を構成することにより、ハイドロキシアパタイト自体が有する骨の再生効果をより高めることができ、該固定部材の内側に埋め込まれるインプラントを安定的に支持することができる程度の強度を有する骨を早期に形成させることができる。
前記多孔体顆粒は、気孔率が60%未満である場合は、該固定部材の内部に、細胞が侵入し、付着することが困難となり、また、血液等の循環も困難となる。
一方、前記気孔率が80%を超える場合は、該部材の十分な強度が得られず、破損しやすくなる。
また、前記多孔体顆粒の平均気孔径は100μm以上600μm以下であり、隣接する気孔間に連通孔を有するものであることが好ましい。
上記のような気孔径および連通状態とすることにより、細胞の侵入容易性、侵入速度、培養速度の促進等を図ることができ、全体として骨の再生を促進することができる。
上記のようなハイドロキシアパタイトのセラミックス多孔体自体の製造方法は、限定されるものではなく、既知の方法を用いることができるが、特に、ハイドロキシアパタイトを含むスラリーの撹拌起泡により形成されることが好ましい。
撹拌起泡によれば、上記のようなインプラント固定部材として好適な高気孔率、気孔性状等を容易に制御することができ、また、比較的高強度の多孔体を得ることができる。
上記した撹拌起泡によるハイドロキシアパタイトのセラミックス多孔体の製造方法としては、例えば、上記特許文献1(特許第3400740号公報)に記載されているような方法を用いることができる。具体的な製造方法を以下に示す。
まず、分散剤が添加された水に、ハイドロキシアパタイト粉末と、ポリエチレンイミン等の架橋性樹脂を添加し、撹拌混合して、原料スラリーを調製する。
さらに、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の起泡剤を添加し、撹拌起泡させて、気泡の均質化および安定化を図り、泡沫スラリーを調製する。
次に、この泡沫スラリーに、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の架橋剤(ゲル化剤)を添加して、撹拌混合して、多孔質スラリーを調製する。
そして、この多孔質スラリーを注型して成形し、泡構造を維持した状態の多孔質ゲル化体(架橋体)とした後、焼成することにより、セラミックス多孔体が得られる。
上記のようにして得られたセラミックス多孔体(セラミックス多孔質焼結体)は、切断粉砕等により、所望のサイズの顆粒に加工される。
その際、本発明に係るインプラント固定部材に用いるための顆粒は、前記セラミックス多孔質焼結体同士をポット内で回転させて、鋭利な部分を削いで調製することが好ましい。
前記顆粒が鋭利な部分を有していると、口腔内を傷つけるおそれがある。また、鋭利な部分が少なければ、顆粒を型内において接合させる際、多く充填させることができ、タップ密度を高くすることができる。
なお、前記顆粒のサイズは、取扱い性、充填性等の観点から、粒径5〜0.5mmであることが好ましい。
前記ポットとしては、アルミナまたはジルコニア等のセラミックス容器を用いることが好ましい。
ポリエチレン等のようなプラスチック容器を用いると、プラスチック部分が剥げやすく、多孔体顆粒中にポット由来の不純物が混入しやすくなる。
また、前記ポット内面には、凸部を有していることが好ましい。
この凸部によって、ポット内の顆粒同士の接触および衝突頻度が増大し、鋭利な部分が削がれた好適な形状の顆粒を迅速に調製することができる。
ハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体顆粒の具体的な製造方法としては、例えば、上述したような既知の方法を用いて作製した気孔率75%、平均気孔径150μmのハイドロキシアパタイト多孔質焼結体の3mm角ブロックを、内面に凸部を多数有するアルミナポットに入れて回転させる。これにより、鋭利な部分を削がれた顆粒が調製される。
上記のようにして得られた顆粒同士の接合には、リン酸三カリウム等の生体吸収性材料を用いることが好ましい。
接合部が体内に残留することがなく、また、生体に吸収された部分に、生体組織が侵入し、より骨形成を促進することができる。
具体的には、前記顆粒を所定の大きさの型にタッピングして詰め、その中に、β−リン酸三カルシウムのスラリーを流し込み、乾燥した後、この乾燥体を1100℃で焼成することにより、顆粒の接合体からなるインプラント固定部材が得られる。
このような製造方法によれば、型の形状や大きさに応じて、必要な多孔体顆粒の量を適宜調整することにより、顆粒接合体からなる所望の形状のインプラント固定部材を容易に作製することができる。
上記のようなインプラント固定部材を用いたインプラント治療手順を以下に説明する。
まず、歯槽骨または顎骨にドリルで孔をあけ、該孔に前記インプラント固定部材を埋入し、歯肉で一旦閉鎖し、粘膜を縫合する。1〜3ヶ月程度で、前記固定部材の全体に骨細胞が増殖し、該固定部材の内部にも骨が形成される。この骨は、すべてまたはほとんどが自家骨により形成される。これにより、歯槽骨または顎骨の強化が図られる。
次に、前記インプラント固定部材が埋入された部分の粘膜を切開し、前記インプラント固定部材にドリルで孔をあけ、インプラントを埋め込む。この部分を再び、歯肉で閉鎖し、粘膜を縫合して、1〜3ヶ月程度、インプラントと骨とをしっかりと結合させる。
その後、埋まっているインプラントの頭部を露出させ、人工歯を接続するための土台を取り付ける。そして、人工歯の型を取り、装着して、インプラント治療が終了する。
前記インプラント固定部材は、骨に埋入された後、表面が口腔内に露出した状態であると、セラミックス多孔体内部に骨が形成される前に、雑菌が侵入して繁殖しやすく、感染症を引き起こすおそれがあるため、骨が再生されるまで、歯肉で閉鎖し、粘膜を縫合しておくことが好ましい。
また、雑菌の繁殖を防止し、感染症の発生を抑制するために、前記インプラント固定部材に、殺菌作用のある銀イオン等を添加しておいてもよい。
前記インプラント固定部材のサイズは、インプラント埋め込み部の歯槽骨または顎骨の量および状態に応じて適宜調整するが、通常は、高さ10mm程度であり、全体が歯槽骨または顎骨内に埋入されるようにする。
また、インプラントの周囲に、強化された骨を十分に形成させるためには、厚さ1mm以上の上記のようなインプラント固定部材が、該インプラント周囲に一様にあることが好ましい。
また、前記インプラント固定部材は、歯肉や粘膜を傷つけることのないように、面取りし、角部も丸みを帯びた形状としておくことが好ましい。
なお、上記のようなインプラント固定部材は、その内側に、予めインプラントが埋め込まれているインプラント複合材として構成することもできる。すなわち、骨にインプラントを埋め込む前に予め、インプラントとその固定部材とを一体化させておいてもよい。
これにより、口腔内における施術を省略することができ、しかも、上記した本発明に係るインプラント固定部材を用いているため、インプラントを安定的に支持するための自家骨の再生も行われ、治療の簡便化、短縮化を図ることができる。

Claims (6)

  1. 歯槽骨または顎骨のインプラント固定部材であって、ハイドロキシアパタイトセラミックス多孔体顆粒の集合体からなり、隣接する前記顆粒同士が接合されていることを特徴とするインプラント固定部材。
  2. 前記セラミックス多孔体顆粒は、気孔率が60%以上80%以下、かつ、平均気孔径が100μm以上600μm以下であり、隣接する気孔間に連通孔を有するものであることを特徴とする請求項1記載のインプラント固定部材。
  3. 前記顆粒同士が、生体吸収性材料で接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のインプラント固定部材。
  4. 請求項1記載のインプラント固定部材の製造方法において、前記セラミックス多孔体顆粒は、セラミックス多孔質焼結体同士をポット内で回転させて、鋭利な部分を削いで作製することを特徴とするインプラント固定部材の製造方法。
  5. 前記ポットとして、セラミックス製容器を用いることを特徴とする請求項4記載のインプラント固定部材の製造方法。
  6. 前記ポットは、内面に凸部を有するものであることを特徴とする請求項4または請求項5記載のインプラント固定部材の製造方法。
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