JP2008202995A - 光電流を用いた披検物質の特異的検出方法、それに用いられるパッド、センサユニット、および測定装置 - Google Patents

光電流を用いた披検物質の特異的検出方法、それに用いられるパッド、センサユニット、および測定装置 Download PDF

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允 戸次
Hitoshi Ohara
仁 大原
Shuji Sonezaki
修司 曾根崎
Yoshimasa Yamana
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Abstract

【課題】 増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出において、装置構造および検出手順を大幅に簡素化することができ、また、被検物質の点着から検出までの時間短縮を達成することが可能なセンサチップおよび測定装置を提供する。
【解決手段】 本発明のパッドは、被検物質の特異的な結合を本パッドを用いることにより行うことができ、さらに電解液の代わりに電解質含有パッドとしても使用することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電流を用いて、核酸、外因性内分泌撹乱物質、抗原等の特異的結合性を有する被検物質を特異的に検出する方法、それに用いられるパッド、センサユニット、および測定装置に関する。
近年、人の疾病の病症および進度に対する予測を可能にするホルモン、タンパク質を簡便で安価に検出できる検査システムの考案が試みられている。また、ダイオキシンを始めとする外因性内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の生殖系及び神経系等への障害が社会問題化しており、その検出方法が望まれている。
また、増感色素を用いてか光から電気エネルギーを発生させる太陽電池の原理を利用して、増感色素の光励起により生じる光電流を、披検物質(DNA、蛋白などの生体分子)の検出に利用する提案がなされている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。さらに、免疫クロマト法の原理を利用し、ホルモン、蛋白質、酵素等のような分析物質を電気化学的に検出する方法が行われている(特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
特開2002-181777号公報 特開2005-251426号公報 特開2006-507491号公報 特開2001-337065号公報 特開平8-327582号公報 特表2006-524815号公報
上述したように光電流を用いて被検物質(DNA、蛋白などの生体分子)を特異的に検出する際、これまでは電解液を満たしたセンサユニットを用いて行われていた。しかしこの場合センサユニットの液漏れ、センサユニット内への送液に時間がかかる、構成が複雑である送液機構を検出装置に保持させる必要がある、送液機構を保持することにより検出装置が大型となるなどの問題があった。また、簡便に検出でき、装置構成を簡単にする目的で、行われてきた免疫クロマト法の原理を利用し、ホルモン、蛋白質、酵素等のような分析物質を電気化学的に検出する方法は、標識検出物の分離を吸収パッドにより行う必要があり、装置構造の複雑化、被検物質の点着から検出まで時間がかかるといった問題があった。
本発明者らは、今般、被検物質を特異的に反応させるための媒体及び電解質媒体としての役割を持つ吸水性のパッドを用いて、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出を行った。この検出法を用いることで、電解液の代わりに電解質含有パッドを使用することができ、装置構造および検出手順を大幅に簡素化することができた。また従来のイムノクロマト法では必要であった標識検出物の分離に必要な吸収パッドを必要としない構造のパッドを使用することができ、装置構造の簡素化および被検物質の点着から検出までの時間短縮ができるとの知見を得た。さらに、本技術を用いて光電流を検出した場合、特異的に結合していない標識検出物由来の光電流はほとんど検出されず、精度良い検出を行うことができるとの知見も得た。
したがって、本発明は、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出において、装置構造および検出手順を大幅に簡素化することを目的としている。
すなわち、本発明による、光電流を用いた被検物質の特異的検出方法は、
被検物質が直接または間接的に特異的に結合したプローブ物質を表面に備え、かつ該結合により増感色素が固定されてなる作用電極と、対電極とを上記パッドに接触した状態で、電解質存在下、前記作用電極に光を照射して前記増感色素を光励起させ、該光励起された増感色素から前記作用電極への電子移動に起因して前記作用電極と前記対電極との間に流れる光電流を検出することを含んでなる。ここで、特異的結合は、被検物質が直接または間接的に結合可能なプローブ物質を表面に備えた作用電極を前記パッドに接触させた後、被検物質および溶媒を少なくとも含有してなる試料液を前記パッドに含浸させて行われる。また、前記増感色素および電解質は、それぞれ試料液またはパッドのいずれかに含有される。
また、本発明のパッドは、電解質の存在下、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられるパッドであって、
吸水性物質を含んでなり、被検物質、増感色素および電解質の媒体としての役割を有するパッドである。
本発明のパッドは、単一又は複数用いても良い。また、本発明のパッドには、増感色素および/または電解質をさらに含んでもよい。
さらに、本発明による、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられるセンサユニットは、
作用電極と、
前記電極と対向して設けられる対電極と、
前記作用電極および前記対電極の間に挟持される、上記パッドと
を備えてなり、前記作用電極および前記対電極の各電極表面が前記パッドと接触してなるものである。
また、本発明の他の態様によるセンサユニットは、
作用電極および対電極がパターニングされてなる電極ユニットと、
前記作用電極および前記対電極の各電極表面に接触して設けられる上記パッドと
を備えてなり、前記作用電極および前記対電極の各電極表面が前記パッドと接触してなるものである。
さらに、本発明による、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられる測定装置は、
上記センサユニットと、
前記作用電極に光を照射するための光源と、
前記作用電極と前記対電極との間を流れる電流を測定する電流計と
を備えたものである。
本発明によれば、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出において、本発明のパッドを用いることで装置構造および検出手順を大幅に簡素化することができ、また、試料液の点着から検出までの時間短縮を達成することができ、さらに、被検物質の検出を精度よく行うことができる。
パッド
本発明に用いるパッドは、増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出において電解液の代わりに電解質含有パッドを使用することができる。さらに、本発明のパッドは、被検物質、増感色素および電解質の媒体として用いられる。被検物質を含む試料液をパッドに含浸させることで、被検物質とプローブ物質との特異的な結合をパッド上で行うことができる。このパッドには、電解質および増感色素を含んでも良い。また、被検物質の特異的検出において複数のパッドを用いることで、それぞれに異なる物質を含ませておくことができる。例えば、パッドを二枚用いる場合は、一方に電解質を、他方に増感色素を含ませておき、これらのパッドを重ね合わせた状態で検出に供することができる。
本発明において電解質は、パッド中を自由に移動して増感色素、作用電極、および対電極との間で電子の授受に関与できるものであれば限定されず、幅広い種類の電解質が使用可能である。好ましい電解質は、光照射により励起された色素に電子を供与するための還元剤(電子供与剤)として機能できる物質であり、そのような物質の例としては、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI)、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化アンモニウム(NHI)、テトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ヒドロキノン、K[Fe(CN)]・3HO、フェロセン−1,1´−ジカルボン酸、フェロセンカルボン酸、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、トリエチルアミン、チオシアネートアンモニウム、ヒドラジン(N)、アセトアルデヒド(CHCHO)、N,N,N´,N´−テトラメチル−p−フェニレンジアミン二塩酸塩(TMPD)、L−アスコルビン酸、亜テルル酸ナトリウム(NaTeO)、塩化鉄(II)四水和物(FeCl・4HO)、EDTA、システイン、トリエタノールアミン、トリプロピルアミン、ヨウ素を含むヨウ化リチウム(I/LiI)、トリス(2-クロロエチル)リン酸塩(TCEP)、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエタノールアミン、二酸化チオ尿素、(COOH)、HCHO、およびこれらの組合せが挙げられ、より好ましくは、NaI、KI、CaI、LiI、NHI、テトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、および亜硫酸ナトリウム(NaSO)、およびこれらの混合物であり、さらに好ましくは、テトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)である。
本発明の好ましい態様によれば、パッドは、20%以上の含水率を有するのが好ましく、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。このような含水率であると、光電流を検出した際に高い光電流を検出することができ、検出感度が向上する。含水率は(1mm 辺りの含水量)/(吸水性物質の密度)より求める。なお、ここで言う含水率は光電流を検出する際のパッドの含水率であって、保管時に上記含水率を満たしていなくてもよい。
本発明のパッドの形態としては、作用電極および対電極との良好な密着性が確保されるように各電極との接触部分が平滑な平面とされているのが好ましい。したがって、作用電極と対電極との間に挟み込んで使用する場合には、密着性に影響しないように均一な厚みを有する形態とするのが好ましい。一方、作用電極および対電極が同一平面状にパターニングされてなる電極ユニットを使用する場合には、少なくとも電極ユニットと接触する片側面のみが平滑な平面とされていればよく、厚さや厚さの均一性は特段問題とならない。
本発明の好ましい態様によれば、パッドは0.01〜10mmの厚さを有するのが好ましく、より好ましくは0.1〜3mmの厚さを有する。このような厚さであるとパッドを単独で取り扱うのに適した強度が得られやすいので、作用電極と対電極の間に容易に挟み込んだり、取り外したりでき、あるいは持ち運んだりすることができ、その結果、センサユニット構造および検出手順を大幅に簡素化できる。また、光電流測定に悪影響を与えることもない。
本発明においてパッドは吸水性物質を含んでなる。吸水性物質は、綿、麻、ウール、絹、セルロースなどの天然繊維;ろ紙、製紙などに用いられるパルプ繊維;レーヨンなどの再生繊維;ろ紙などに用いられるガラス繊維;フェルト、スポンジなどに用いられる合成繊維から選択される少なくとも一種の繊維を含んでなるのが好ましく、適度な強度、含水量、電極への密着性を示す吸水性物質であれば限定されない。なお、繊維の加工方法は特定の加工方法に限定されない。
本発明の好ましい態様によれば、パッドはシート状である。好ましい例としては、ろ紙、メンブレンフィルター、ガラスフィルター、ろ布などが挙げられ、より好ましくはろ紙、メンブレンフィルターである。
光電流を用いた被検物質の特異的検出
前述の通り、本発明のパッドは増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられるものである。この増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出方法について、以下に具体的に説明する。
本発明による、光電流を用いた被検物質の特異的検出方法は、
被検物質が直接または間接的に特異的に結合可能なプローブ物質を表面に備えた作用電極を上記パッドに接触させ、前記パッドに試料液を含浸させた後、プローブ物質との特異的結合により増感色素が固定されてなる前記作用電極に光を照射して前記増感色素を光励起させ、該光励起された増感色素から前記作用電極への電子移動に起因して前記作用電極と前記パッドに接触した対電極との間に流れる光電流を検出すること
を含んでなるものである。
この方法にあっては、まず、被検物質および溶媒を少なくとも含む試料液と、作用電極とを用意する。ここで、溶媒は被検物質、増感色素、および電解質を溶解または分散可能な液体であって、水および/または水性溶媒であり、好ましくは水である。本発明に用いる作用電極は、被検物質と直接または間接的に特異的な結合が可能なプローブ物質を表面に備えた電極である。すなわち、プローブ物質は、被検物質と直接、特異的に結合する物質のみならず、被検物質を受容体蛋白質分子等の媒介物質に特異的に結合させて得られる結合体と特異的に結合可能な物質であってよい。次いで、増感色素の共存下、試料液を作用電極に接触させて、プローブ物質に被検物質を直接または間接的に特異的に結合させ、この結合により増感色素を作用電極に固定させる。増感色素は、光励起に応じて作用電極に電子を放出可能な物質であり、被検物質の特異的検出法がサンドイッチ法である場合、プローブ物質は1次抗体で、増感色素は2次抗体に標識されてなり、被検物質の特異的検出法がレセプター結合アッセイである場合、プローブ物質としてペプチド、タンパク質、DNAを用いて、増感色素はレセプタータンパク質に標識されてなり、被検物質の特異的検出法が競合法である場合、増感色素はプローブ物質に特異的に結合可能な第二の被検物質に標識される。
なお、増感色素で標識された物質および電解質は試料液またはパッドいずれに含まれてもよい。
そして、作用電極をパッドに接触させた後、作用電極に光を照射して増感色素を光励起させると、光励起された増感色素から電子受容物質へ電子移動が起こる。この電子移動に起因して作用電極と対電極との間に流れる光電流を検出することにより、被検物質を高い感度および精度で検出することができる。また、この検出電流は試料液中の被検試料濃度との高い相関関係を有しているので、測定された電流量または電気量に基づき被検試料の定量測定を行うことができる。
センサユニットおよび測定装置
本発明のパッドを用いることにより、構造が大幅に簡素化された安価でかつ小型のセンサユニットないし測定装置を構築することができる。これは、本発明のパッドの使用により、作用電極と対電極との間に電解液を充填して行われる従来法において必要とされていた、電解液を送液する機構(例えばポンプ、バルブ、およびそれらの制御機構)、液漏れ防止機構(例えばパッキン)、および電解液の廃液処理といった複雑な機構ないし工程が不要となり、また被検物質の特異的な結合をパッド上で行うことにより、非常に簡素なリアクター機構となる。
本発明の第一の態様によるセンサユニットは、作用電極と、作用電極と対向して設けられる対電極と作用電極との間に挟持されるパッドとを備えてなり、作用電極表面がパッドと接触してなるものである。本発明の第一の態様によるセンサユニットは、さらに対電極を備えても良く、この場合、パッドはさらに対電極と接触している。すなわち、作用電極の表側(被検物質が固定化されている側)と対電極の導電面(白金など)が対向し、パッドと接触する配置になっている。図1、図2に第一の態様によるセンサユニットの断面図および分解図を示す。図1に示されるセンサユニット10にあっては、作用電極11が対電極12の下方に位置し、作用電極11および対電極12の間にパッド13が挟持される。また、センサユニット10は、作用電極11を支持する押さえ部材14を備える。センサユニット10の最上部には、押さえ部材14に向かって、対電極12、パッド13、および作用電極11を互いに密着させるように下方に押さえる対向部材15が設けられる。本発明のセンサユニットにあっては、各部品が積み上げられる順序は図示例に限定されず、図1に示される順序と逆の順序で上下逆さとなるように積み上げられてもよく、この場合には、対電極を支持する対向部材と、対向部材に向けて、対電極、パッド、および作用電極を互いに密着させるように押さえる押さえ部材とがさらに設けられる構成とすればよい。また、図示例では各部材が水平に配置されているが、各部材を立てた状態で配置してもよい。押さえ部材14には、光励起のための光を通すための開口部または透光部をさらに備えてなるのが好ましい。図2に示されるセンサユニット10´には図1のセンサユニットおいて、吸水性物質により形成した2枚のパッド13´a、13´b、を用いた際のセンサユニットの断面図および分解図を示す。パッド以外の構成においては前述した図1の態様と同様の構成である。なお、作用電極の電流計と接続するための接点は、コンタクトプローブ16、コンタクトプローブ16´で行うのが好ましく、対電極においても同様である。
本発明の第二の態様によるセンサユニットは、作用電極および対電極が同一平面上にパターニングされてなる電極ユニットと、作用電極および対電極の各電極表面に接触して設けられるパッドとを備えてなる。図3〜6に第二の態様によるセンサユニットの断面図および分解図を示す。図3に示されるセンサユニット20にあっては、電極ユニット21と対向して対向部材22が設けられ、電極ユニット21および対向部材22の間にパッド23が挟持される。また、センサユニット20は、電極ユニット21を支持する押さえ部材24を備える。すなわち、押さえ部材24上に被検物質を固定化した側が上になるように電極ユニット21が配置され、対向部材22は、押さえ部材24に向けて、電極ユニット21およびパッド23を互いに密着させるように押さえつける。図4に示されるセンサユニット20´には図3のセンサユニットおいて、吸水性物質により形成した2枚のパッド23´a、23´b、を用いた際のセンサユニットの断面図および分解図を示す。パッド以外の構成においては前述した図3の態様と同様の構成である。一方、図5に示されるセンサユニット30にあっては、電極ユニット31には電極ユニットを支持する対向部材34がさらに設けられ、押さえ部材32が、対向部材34に向けて、パッド33および電極ユニット31を互いに密着させるように押さえる。すなわち、対向部材34上に、被検物質を固定化した側が上になるように電極ユニット31が置かれ、電極ユニット31上にパッド33が配置される。図6に示されるセンサユニット30´には図5のセンサユニットおいて、吸水性物質により形成した2枚のパッド33´a、33´bを用いた際のセンサユニットの断面図および分解図を示す。本発明のセンサユニットにあっては、各部品が積み上げられる順序は図示例に限定されず、図3〜6に示される順序と逆の順序で上下逆さとなるように積み上げられてもよい。また、図示例では各部材が水平に配置されているが、各部材を立てた状態で配置してもよい。押さえ部材24,24´、32、32´は、光励起のための光を通すための1つ以上の開口部または透光部をさらに備えてなるのが好ましい。なお、図5、図6に示されるセンサユニット30、センサユニット30´では照射光がパッドを通過することになるので、着色性を有する電解質等を使用する場合には光強度の減衰が問題とならないように、光源や電解質濃度を適宜調整するのが好ましい。なお、作用電極及び対電極の電流計と接続するための接点は、コンタクトプローブ25、25´、35、35´で行うのが好ましく、対電極においても同様である。
第一の態様および第二の態様のいずれにおいても、センサユニット10、10´、20、20´、30、30´には、作用電極に光を照射するための光源17、17´、27、27´、37、37´と、作用電極と対電極との間を流れる電流を測定する電流計(図示せず)とがさらに設けられ、測定装置として構築されることができる。電流計はnAレベルの検出可能なものが好ましい。このような構成において、光源からの光は作用電極の表面に照射される。なお、図1〜4に示されるセンサユニット10、10´、20、20´において、光源17、17´、27、27´からの光は作用電極11、11´、電極ユニット21、21´の裏側より照射され、透明な作用電極11、11´、電極ユニット21、21´を透過して作用電極11、11´、電極ユニット21、21´の表面に到達する。一方、図5および6に示されるセンサユニット30、30´にあっては、光源37,37´からの光は押さえ部材32、32´の開口部を通過して電極ユニット31、31´の表面に到達する。こうして作用電極に到達した光による増感色素の光励起により発生する光電流値は電流計で検出されることができる。作用電極および対極を電流計に接続する手段は限定されるものではなく、例えば、リード線を直接接続する、あるいは図示例のようにコンタクトプローブ16、16´、25、25´、35、35´を介して接続することなどの手段を採用することができる。特に、測定毎に着脱する作用電極については、コンタクトプローブを用いることで作用電極の着脱が容易になるという利点がある。
本発明の別の好ましい態様によれば、複数のセンサユニットを組み合わせた測定装置を作製することも可能である。その場合、センサユニットには光源があらかじめ複数個設けられてなり、かつ、測定装置が、該複数個の光源を切り換えて照射する機構をさらに備えてなることができる。
さらに本発明の好ましい態様によれば、複数のセンサユニットを組み合わせた測定装置にはXY移動機構(図示せず)が取り付けられ、光源およびセンサユニットをXY方向に相対的に移動させて、光源が作用電極上をXY方向に走査移動しながら照射できるように構成されるのが好ましい。これにより、複数のセンサユニット上の被検物質固定化スポットに光を照射することができる。特に、本発明のセンサユニットでは電解液の送液が不要なため構造が簡素化されたため、センサユニット自体のXY移動も容易に行うことができる。この場合、XY移動機構はコンピュータや装置に組み込まれるソフトウェアによって、移動速度、移動経路などを指定できるように構成されるのが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、光照射に伴い発生する電流値が電流計で測定され、その結果がコンピュータや装置内のメモリに送られて、順次データ保存できるようにされるのが好ましい。このようにしてメモリ内に保存された光電流値は、数値もしくはリアルタイム表示の経時変化グラフとしてディスプレイに表示させることができる。得られたデータより、光非照射時と光照射時の電流値を適切なデータポイントより読み取り、その差を用いて、試料中の物質濃度定量を行うことができる。また、これらのデータの読み取りから定量までをもソフトウェア上で自動処理させることもできる。
被検物質およびプローブ物質
本発明における被検物質としては、プローブ物質と特異的な結合性を有する物質であれば特に限定ない。本方法では、被検物質と直接または間接的に特異的に結合可能なプローブ物質を作用電極表面に担持させておくことにより、被検物質をプローブ物質に直接または間接的に特異的に結合させて検出することが可能となる。
すなわち、本発明にあっては、被検物質およびプローブ物質として互いに特異的に結合可能なものを選択することができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、特異的な結合性を有する物質を被検物質とし、被検物質と特異的に結合する物質をプローブ物質として作用電極に担持させるのが好ましい。これにより、作用電極上に被検物質を直接、特異的に結合させて検出することができる。被検物質を直接、特異的に結合させる態様の被検物質およびプローブ物質の組合せの好ましい例としては、抗原および抗体の組合せが挙げられる。一方で被検物質を間接的に特異的に結合可能にプローブ物質に結合させる態様の被検物質およびプローブ物質の組合せの好ましい例としては、以下に示すサンドイッチ法を採用した場合の例やレセプター結合アッセイを採用した場合の例があげられる。
測定方法
本発明のパッドを用いた測定方法にあっては、先ず、被検物質が直接または間接的に特異的に結合するプローブ物質を作用電極表面に固定させる。
こうして被検物質と直接または間接的に特異的に結合するプローブ物質が固定化された作用電極をパッドに接触させ、被検物質を含む試料液を点着後、直接的若しくは間接的な特異的結合により増感色素が作用電極に固定される。
本発明の好ましい態様によれば、被検物質に抗原を用いて、免疫アッセイ、特にサンドイッチ法を採用した場合、以下のような態様をとり得る。1次抗体をプローブ物質とし、被検物質である抗原が1次抗体に特異的に結合後、増感色素で標識された2次抗体が前記抗原と特異的結合により作用電極に固定化される。この態様における被検物質である抗原および増感色素で標識された2次抗体のプローブ物質である1次抗体への固定化工程を図7に示す。図7に示されるように、増感色素40で標識された2次抗体41が、被検物質である抗原42存在下、抗体43に特異的に結合する。
本発明の好ましい態様によれば、被検物質に抗原を用いて、さらに競合的イムノアッセイを採用した場合、以下のような態様をとり得る。抗体であるプローブ物質に対し、被検物質である抗原と、被検物質と同様の結合能を有し、かつ増感色素で標識された第二の被検物質である抗原を用いて、抗体であるプローブ物質に競合的に結合させ、増感色素が作用電極に固定化される。この態様における被検物質である抗原および増感色素で標識された第二の被検物質である抗原のプローブ物質である抗体への固定化工程を図8に示す。図8に示されるように、増感色素で標識された第二の被検物質である抗原141と、色素標識されていない被検物質である抗原142とが競合して抗体143に特異的に結合する。
本発明にあっては、被検物質とプローブ物質がの特異的結合が間接的なものであってもよい。すなわち、レセプター結合アッセイを採用した場合、プローブ物質である核酸(ペプチド、タンパク質などでも構わない)が固定された作用電極に被検物質であるリガンドと特異的に結合する増感色素が標識されたレセプタータンパク質を共存させ、リガンドの存在下で、増感色素が固定化される。この態様における被検物質であるリガンドの作用電極への固定化工程を図9に示す。図9に示されるように、被検物質であるリガンド341は、まず、増感色素342が標識されたレセプタータンパク質343に特異的に結合する。そして、リガンドが結合されたレセプタータンパク質344がプローブ物質である二本鎖の核酸345に特異的に結合する。
また、さらに、オープンサンドイッチ法によるイムノアッセイも本方法に適用可能である。この場合、プローブ物質である抗体のH鎖またはL鎖が固定化された作用電極に、被検物質である抗原と特異的に結合する増感色素が標識された抗体のL鎖またはH鎖を共存させ、被検物質の存在下で、増感色素が固定化される。この態様における被検物質である抗原の作用電極への固定化工程を図10に示す。図10に示されるように、被検物質である抗原441は、増感色素442が標識された抗体のL鎖443(またはH鎖)存在下、プローブ物質である抗体のH鎖444に(またはL鎖)に特異的に結合する。
こうして被検物質が増感色素と共に固定された作用電極を、電解質存在下、光を照射して増感色素を光励起させ、光励起された増感色素から作用電極への電子移動に起因して作用電極と、パッドに接触した対電極との間に流れる光電流を電流計により検出する。
光照射により系内を流れる光電流は電流計により測定される。これにより、被検物質を検出することができる。その際の電流値は作用電極上にトラップされた増感色素の量を反映する。例えば、被検物質が抗原の場合、抗体に特異的に結合した抗体の量が、電流値となり反映される。したがって、得られた電流値から被検物質を定量することができる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、電流計が、得られた電流量または電気量から試料液中の被検物質濃度を算出する手段をさらに備えてなるのが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、光電流を検出する工程が、電流値を測定し、得られた電流値または電気量から試料液中の被検物質濃度を算出することができる。この被検物質濃度の算出は、予め作成された被検物質濃度と電流値または電気量との検量線と、得られた電流値または電気量とを対比することにより行うことができる。本発明の方法にあっては、電流値は作用電極上にトラップされた増感色素の量が反映されるので、被検物質濃度に対応した正確な電流値が得られるため、定量測定に適する。
本発明の好ましい態様によれば、競合法を採用した場合、被検物質である抗原または一本鎖の核酸と増感色素を標識した抗原または一本鎖の核酸を競合させてプローブ物質に特異的に結合させると、検出される電流値と増感色素を標識した抗原または一本鎖の核酸の濃度との間に相関関係が得られる。つまり、増感色素で標識されていない被検物質の数が増加するにつれ、プローブ物質に特異的に結合する競合物質の数が減少するため、色素標識されていない被検物質濃度の増加につれて、検出電流値が減少する検量線を得ることができる。したがって、増感色素で標識されていない被検物質の検出および定量が可能となる。
増感色素
本発明にあっては、被検物質の存在を光電流で検出するために、増感色素の共存下、プローブ物質に被検物質を直接または間接的に特異的に結合させて、該結合により増感色素を作用電極に固定させる。そのために、本発明にあっては、増感色素は、図7〜10に示されるように1次抗体、抗原、リガンド、レセプタータンパク質、一本鎖の核酸、抗体のH鎖、抗体のL鎖などの親和性物質に標識されていることが好ましい。
本発明に用いる増感色素は、光励起に応じて作用電極に電子を放出可能な物質であり、光源の照射による光励起状態への遷移が可能であり、かつ励起状態から作用電極に電子注入できる電子状態を採りうるものであればよい。したがって、用いる増感色素は、作用電極、特に電子受容層との間において上記電子状態をとることができるものであればよいことから、多種の増感色素が使用可能であり、高価な色素を使用する必要がない。
増感色素の具体例としては、金属錯体や有機色素が挙げられる。金属錯体の好ましい例としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン;クロロフィルまたはその誘導体;ヘミン、特開平1−220380 号公報や特表平5−504023 号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄及び亜鉛の錯体(例えばシス−ジシアネート−ビス(2、2´−ビピリジル−4、4´−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))があげられる。有機色素の好ましい例としては、メタルフリーフタロシアニン、9−フェニルキサンテン系色素、シアニン系色素、メタロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、アクリジン系色素、オキサジン系色素、クマリン系色素、メロシアニン系色素、ロダシアニン系色素、ポリメチン系色素、インジゴ系色素等が挙げられる。
作用電極およびその製造
本発明に用いる作用電極は、上記プローブ物質を表面に備えた電極であり、プローブ物質を介して固定された増感色素が光励起に応じて放出する電子を受容可能な電極である。したがって、作用電極の構成および材料は、使用される増感色素との間で上記電子移動が生じるものであれば限定されず、種々の構成および材料であってよい。
本発明の好ましい態様によれば、作用電極が増感色素の光励起に応じて放出する電子を受容可能な電子受容物質を含んでなる電子受容層を有し、この電子受容層の表面にプローブ物質が備えられてなるのが好ましい。また、本発明のより好ましい態様によれば、作用電極が導電性基材をさらに含んでなり、この導電性基材上に電子受容層が形成されてなるのが好ましい。この態様の電極は図7〜10に示される。図7〜10に示される作用電極123は、導電性基材125と、この導電性基材上に形成され、電子受容物質を含んで成る電子受容層126とを備えてなる。そして、電子受容層126の表面にプローブ物質が担持される。
本発明における電子受容層は、プローブ物質を介して固定された増感色素が光励起に応じて放出する電子を受容可能な電子受容物質を含んでなる。すなわち、電子受容物質は、光励起された標識色素からの電子注入が可能なエネルギー準位を取り得る物質であることができる。ここで、光励起された標識色素からの電子注入が可能なエネルギー準位(A)とは、例えば、電子受容性材料として半導体を用いる場合には、伝導帯(コンダクションバンド:CB)を意味し、電子受容性材料として金属を用いる場合には、フェルミ準位を意味し、電子受容性材料として有機物もしくはC60等の分子状無機物を用いる場合には、最低非占有分子軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital:LUMO)を意味する。すなわち、本発明に用いる電子受容物質は、このAの準位が、増感色素のLUMOのエネルギー準位よりも卑な準位、換言すれば、増感色素のLUMOのエネルギー準位よりも低いエネルギー準位を有するものであればよい。
電子受容物質の好ましい例としては、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体;チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物半導体;チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等のペロブスカイト型半導体;カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物半導体;カドミウム、鉛のセレン化物半導体;カドミウムのテルル化物半導体;亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物半導体;ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物の化合物半導体;金、白金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、ニッケル等の金属;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール等の有機物ポリマー;C60、C70等の分子状無機物が挙げられ、より好ましくは、シリコン、TiO、SnO、Fe、WO、ZnO、Nb、チタン酸ストロンチウム、酸化インジウム、CdS、ZnS、PbS、Bi、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS、CuInSe、C60であり、さらに好ましくは、TiO、ZnO、SnO、Fe、WO、Nb、チタン酸ストロンチウム、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS、CuInSeであり、最も好ましくはTiOである。なお、上記の列挙した半導体は、真性半導体および不純物半導体のいずれであってもよい。
本発明の好ましい態様によれば、電子受容物質は半導体であるのが好ましく、より好ましくは酸化物半導体であり、さらに好ましくは金属酸化物半導体であり、最も好ましくはn型金属酸化物半導体である。この態様によれば、半導体のバンドギャップの利用により、色素から効率良く電子を取り出すことができる。また、多孔体あるいは表面の凹凸形状といった構造を有する半導体の使用により、表面積の大きい作用電極を作製することができ、プローブ固定化量を増加させることができる。
本発明の好ましい態様によれば、半導体の伝導帯の電位は、増感色素のLUMOの電位よりも低いことが好ましく、より好ましくは、増感色素のLUMO>半導体の伝導帯>電解質の酸化還元電位>増感色素のHOMOの関係を満たす電位である。このような関係にあることで、効率良く電子を取出すことが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、電子受容層が半導体からなる場合、層表面をカチオン化処理しても良い。カチオン化により、プローブ物質(DNA,タンパク質など)を高い効率で電子受容層に吸着させることが可能となる。カチオン化は、例えばアミノシランなどのシランカップリング剤、カチオンポリマー、4級アンモニウム化合物、などを電子受容層表面に作用させることにより行うことができる。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、電子受容物質として、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)またはフッ素がドープされた酸化スズ(FTO)を用いることができる。ITOおよびFTOは電子受容層のみならず導電性基材としても機能する性質を有するため、これらの材料を使用することにより導電性基材を用いることなく電子受容層のみで作用電極として機能させることができる。
電子受容物質として半導体または金属を用いる場合、その半導体または金属は単結晶および多結晶のいずれであってもよいが、多結晶体が好ましく、さらに緻密なものよりも多孔性を有するものが好ましい。これにより、比表面積が大きくなり、被検物質および増感色素を多く吸着させて、より高い感度および精度で被検物質を検出することができる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、電子受容層が多孔性を有しており、各孔の径が3〜1000nmであるのが好ましく、より好ましくは、10〜100nmである。
本発明の好ましい態様によれば、電子受容層を導電性基材上に形成した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この表面積の上限には特に限定されないが、通常1000倍程度であろう。電子受容層を構成する電子受容物質の微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、より好ましくは8〜100nmであり、さらに好ましくは20〜60nmである。また、分散物中の電子受容性物質の微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜100μmであることが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の電子受容物質の微粒子を併用して、電子受容層を形成してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、作用電極が導電性基材をさらに含んでなり、電子受容層が導電性基材上に形成されてなるのが好ましい。本発明に使用可能な導電性基板としては、チタン等の金属のように支持体そのものに導電性があるもののみならず、ガラスもしくはプラスチックの支持体の表面に導電材層を有するものであってよい。この導電材層を有する導電性基板を使用する場合、電子受容層はその導電層上に形成される。導電材層を構成する導電材の例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等の金属;炭素、炭化物、窒化物等の導電性セラミックス;およびインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの、酸化スズにアンチモンをドープしたもの、酸化亜鉛にガリウムをドープしたもの、または酸化亜鉛にアルミニウムをドープしたもの等の導電性の金属酸化物が挙げられ、より好ましくは、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、酸化スズにフッ素をドープした金属酸化物(FTO)である。ただし、前述した通り、電子受容層自体が導電性基材としても機能する場合にあっては導電性基材は省略可能である。また、本発明において、導電性基材は、導電性を確保できる材料であれば限定されず、それ自体では支持体としての強度を有しない薄膜状またはスポット状の導電材層も包含するものとする。
本発明の好ましい態様によれば、導電性基材が実質的に透明、具体的には、光の透過率が10%以上であるのが好ましく、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。また、本発明の好ましい態様によれば、導電材層の厚みは、0.02〜10μm程度であるのが好ましい。さらに、本発明の好ましい態様によれば、導電性基材の表面抵抗が100Ω/cm以下であり、さらに好ましくは40Ω/cm以下であるのが好ましい。導電性基材の表面抵抗の下限は特に限定されないが、通常0.1Ω/cm程度であろう。
導電性基材上への電子受容層の好ましい形成方法の例としては、電子受容物質の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、半導体微粒子の前駆体を導電性支持体上に塗布し空気中の水分によって加水分解して微粒子膜を得る方法(ゾル−ゲル法)、スパッタリング法、CVD法、PVD法、蒸着法などが挙げられる。電子受容物質としての半導体微粒子の分散液を作成する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。このときの分散媒としては水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレート剤などを分散助剤として使用してもよい。
電子受容物質の分散液またはコロイド溶液の塗布方法の好ましい例としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、電子受容層が半導体微粒子からなる場合、電子受容層の膜厚が0.1〜200μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1〜100μmであり、さらに好ましくは1〜30μm、最も好ましくは2〜25μmである。これにより、単位投影面積当たりのプローブ物質および固定される増感色素量を増加して光電流量を多くするとともに、電荷再結合による生成した電子の損失をも低減することができる。また、導電性基材1m当たりの半導体微粒子の塗布量は0.5〜400gであるのが好ましく、より好ましくは5〜100gである。
本発明の好ましい態様によれば、電子受容物質がインジウム−スズ複合酸化物(ITO)または酸化スズにフッ素をドープした金属酸化物(FTO)を含んでなる場合、電子受容層の膜厚が1nm以上であるのが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。
本発明の好ましい態様によれば、半導体微粒子を導電性基材上に塗布した後に加熱処理を施すのが好ましい。これにより、粒子同士を電気的に接触させ、また、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させることができる。好ましい加熱処理温度は、40〜700度であり、より好ましくは100〜600度である。また、好ましい加熱処理時間は10分〜10時間程度である。
また、本発明の別の好ましい態様によれば、ポリマーフィルムなど融点や軟化点の低い導電性基材を用いる場合にあっては、熱による劣化を防止するため、高温処理を用いない方法により膜形成を行うのが好ましく、そのような膜形成方法の例として、プレス、低温加熱、電子線照射、マイクロ波照射、電気泳動、スパッタリング、CVD、PVD、蒸着等の方法が挙げられる。
こうして得られた作用電極の電子受容層の表面にはプローブ物質が担持される。作用電極へのプローブ物質の担持は公知の方法に従い行うことができる。本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質として一本鎖の核酸を用いる場合には、作用電極表面に酸化層を形成させておき、この酸化層を介して核酸プロ−ブと作用電極とを結合させることにより行うことができる。このとき、核酸プローブの作用電極への固定化は、核酸の末端に官能基を導入することにより行うことができる。これにより、官能基が導入された核酸プロ−ブはそのまま固定化反応により担体上に固定化されることができる。核酸末端への官能基の導入は、酵素反応もしくはDNA合成機を用いて行なうことができる。酵素反応において用いられる酵素としては、例えば、タ−ミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラ−ゼ、ポリAポリメラ−ゼ、ポリヌクレオチドカイネ−ス、DNAポリメラ−ゼ、ポリヌクレオチドアデニルトランスフェラ−ゼ、RNAリガ−ゼを挙げることができる。また、ポリメラ−ゼチェインリアクション(PCR法)、ニックトランスレ−ション、ランダムプライマ−法により官能基を導入することもできる。官能基は、核酸のどの部分に導入されてもよく、3´末端、5´末端もしくはランダムな位置に導入することができる。
本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質の作用電極への固定化のため官能基として、アミン、カルボン酸、チオール基、水酸基、リン酸等が好適に使用できる。また、本発明の好ましい態様によれば、プローブ物質を作用電極に強固に固定化するためには、作用電極とプローブ物質の間を架橋する材料を使用することも可能である。そのような架橋材料の好ましい例としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤や、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマーが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、プロ−ブ物質の固定化を物理吸着という、より簡単な操作で効率よく行うことも可能である。電極表面へのプロ−ブの物理吸着は、例えば、以下のように行なうことができる。まず、電極表面を、超音波洗浄器を用いて蒸留水およびアルコ−ルで洗浄する。その後、電極をプロ−ブ物質を含有する緩衝液に挿入してプロ−ブ物質を担体表面に吸着させる。
また、プローブ物質の担持後、ブロッキング剤を添加することにより、非特異的な吸着を抑制することができる。使用可能なブロッキング剤としては、プローブ物質が担持されていない電子受容層表面のサイトを埋めることができ、かつ電子受容物質に対して化学吸着あるいは物理吸着等により吸着可能な物質であれば限定されないが、好ましくは化学結合を介して吸着可能な官能基を有する物質である。ブロッキング剤の例としては、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、ピリジル基、アミド等の官能基を有する物質が挙げられる。
対電極
本発明に用いる対電極は、電解液に接触させた場合に作用電極との間に電流が流れることができるものであれば特に限定されず、金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、セラミックス等が使用可能である。また、対電極としての金属薄膜を5μm以下、好ましくは3nm〜3μmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成して作成することもできる。対電極に使用可能な材料の好ましい例としては、白金、金、パラジウム、ニッケル、カーボン、ポリチオフェン等の導電性ポリマー、酸化物、炭化物、窒化物等の導電性セラミックス等が挙げられ、より好ましくは、白金、カーボンであり、最も好ましくは白金である。これらの材料は電子受容層の形成方法と同様の方法により薄膜形成が可能である。
電極ユニット
本発明の好ましい態様によれば、作用電極および対電極が同一平面上にパターニングされてなる電極ユニットを使用してもよい。好ましい電極ユニットは、絶縁基板と、絶縁基板上に局所的に設けられる、増感色素が光励起に応じて放出する電子を受容可能な電子受容物質を含んでなる電子受容層を備えた作用電極と、絶縁基板の作用電極と同一面上に、作用電極と離間して設けられる対電極とを備えてなる。そのような電極ユニットの一例が図11に示される。図11に示される電極ユニット71は、絶縁基板72と、作用電極73と、対電極74とを備えてなる。絶縁基板72は、作用電極72と対電極73とを短絡させないように絶縁性を有する基板である。作用電極73は、絶縁基板72上に局所的に設けられ、増感色素が光励起に応じて放出する電子を受容可能な電子受容物質を含んでなる電子受容層を備えてなる。対電極74は、絶縁基板72の作用電極73と同一面上に、作用電極73と離間して設けられる。そして、作用電極73および対電極74の各々から延出するようにリード線73´、74´がそれぞれ設けられる。
このように、電極ユニットは、同一平面上に作用電極と対電極とを備えた一体型の電極部材であり、これを用いることにより、センサユニットの設計および材料選択の自由度が格段に広がり、センサユニットの生産性、性能、使い易さを大幅に改善できる。すなわち、本発明による電極ユニットは一体型の電極部材であり二枚の電極を対向させる必要が無いため、光源を電極ユニットの表面に対向させる構成を容易に採ることができる。その結果、作用電極を透明な材料に限らずセラミックスやプラスチック等の不透明な材料で構成することが可能となるので、電極材料の選択の自由度も広がる。また、光源からの作用電極表面の直接照射により、電極裏面から照射した際に起こる透明電極材料の透過度に起因する光の損失を無くすこともできるので、より精度の高い測定も期待できる。さらには、本発明による電極ユニットは一体型の電極部材であるため、作用電極、対電極、およびリード線を一工程の導通パターニングで形成することが可能となるため、電極の生産性が向上する。また、電極ユニットに対向させる材料は導電性を有する必要がないため、透明プラスチック、ガラスなどの汎用される材料を用いる事ができ、セルの生産性も向上する。
例1.タンパク質の検出
(1)ビオチン標識DNA固定化作用電極の作製
作用電極用のガラス基材として、フッ素をドープした酸化スズ(F-SnO2:FTO)コートガラス(エイアイ特殊硝子社製、U膜、シート抵抗:12Ω/□、形状:50mm×26mm)を用意した。このガラス基材をアセトン中で15分間、続いて超純水中で15分間超音波洗浄を施して、汚れおよび残存有機物の除去を行った。このガラス基材を5Mの水酸化ナトリウム水溶液中で15分間振盪させた。その後、水酸化ナトリウムの除去のために超純水中での5分間の振盪を水を入れ替えて3回行った。ガラス基材を取り出して空気を吹き付けて残水を飛散させた後、ガラス基材を無水メタノールに浸漬させて脱水した。
95%メタノール5%超純水を溶媒として、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を2vol%となるように加え、室温下で5分間の攪拌を行って、カップリング処理用の溶液を調製した。このカップリング処理用溶液に上記ガラス基材を浸漬させ、ゆっくりと15分間振盪させた。次いで、ガラス基材を取り出し、メタノール中で10回ほど振盪させて余剰なカップリング処理用溶液を除く操作を、メタノールを3回換えて行った。その後、ガラス基材を110℃で30分間保持してカップリング剤をガラス基材に結合させた。ガラス基材を室温下で冷却した後、直径3mmの大きさの開口部が形成された粘着性シール(厚さ:0.5mm)を載置して密着させた。続いて、1μMに濃度調整したビオチン標識ssDNA(25mer)を95℃で10分間保持した後、直ちに氷上に移して10分間保持してDNAを変性させた。この変性DNAを先に用意したガラス上のシールの開口部にそれぞれ5μlずつ充填し、95℃で10分保持して溶媒を蒸発させた。その後、UVクロスリンカー(UVP社CL-1000型)で120mJの紫外光を照射して、ビオチン標識ssDNAをガラス基材に固定化した。シールを各ガラス基材から剥がし、各ガラス基材を0.2%SDS溶液中で15分間×3回振盪させ、超純水を3回入れ替えて濯いだ。これらのガラス基材を沸騰水に2分間浸漬させて取り出した後、空気を吹き付けて残水を飛散させた。続いて、各ガラス基材を4℃の無水エタノールに1分間浸漬させて脱水し、空気を吹き付けて残留エタノールを飛散させた。こうして、ビオチン標識DNA固定化作用電極を得た。
(2)例1A.吸水性物質と電解質を含むパッドを用いての光電流検出(競合法)。
i.パッドの作製
0.4Mのテトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)を含む水溶液を調製した。この水溶液に43mm×16mmに切った厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(アトー株式会社製)を浸漬させて、50℃で2時間乾燥させてパッドを得た。
ii.光電流測定
本実験で使用したセンサユニットの断面図および分解図を図12に示す。その実施の形態は上記(1)で作製したビオチン標識DNA固定化作用電極51と、ガラス板上に白金が蒸着されてなる対電極52とを用意した。両電極間に上記iで作製したパッド53を挟み、密着させた。その後、競合物質と想定した10μg/mlに調製したローダミン標識ストレプトアビジン溶液(溶媒組成:10mM HEPES P.H.7.4、150mM NaCl、0.05%Tween溶液)と被検物質と想定した10μg/ml、1μg/ml、0μg/mlに調製したストレプトアビジン溶液(溶媒組成:10mM HEPES P.H.7.4、150mM NaCl、0.05%Tween溶液)を1:1に混合させて作製した混合液54を500μlそれぞれパッドの端部に滴下し染み込ませた。この時、作用電極のDNAが固定化された面と対電極の白金蒸着面とが対向するように配置した。両電極を電気化学アナライザーに接続した状態で、作用電極にレーザー光源55(出力60mW、照射領域の直径1mm、波長530nmの緑色レーザー)を照射し、その時に観察される電流値を記録した。なお、図12中の56は押さえ部材、57は対向部材、58は電解質、59はビオチン標識DNA、60はローダミン標識ストレプトアビジン、61はストレプトアビジンを示す。
結果を図13に示す。図13に示されるように、滴下した混合液54中のストレプトアビジン溶液の濃度が増加すると、光電流の減少が認められた。
(3)例1B.吸水性物質、電解質、増感色素が標識された親和性物質を含むパッドを用いての光電流検出(競合法)
i.パッドの作製
0.4Mのテトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)を含む水溶液を調製した。この水溶液に43mm×16mmに切った厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(アトー株式会社製)を浸漬させて、50℃で2時間乾燥させてパッド(1)を得た。その後、10μg/mlに調製したローダミン標識ストレプトアビジン溶液(溶媒組成:10mM HEPES P.H.7.4、150mM NaCl、0.05%Tween溶液)500μlを31mm×16mmに切った厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(アトー株式会社製)に滴下し、50℃で2時間乾燥させてパッド(2)を得た。
ii.光電流測定
本実験で使用したセンサユニットの断面図および分解図を図14に示す。その実施の形態は上記(1)で作製したビオチン標識DNA固定化作用電極51´と、ガラス板上に白金が蒸着されてなる対電極52´とを用意した。パッド(1)53´−aを対電極側に、パッド(2)53´−bを作用電極側に挟み、密着させた。その後、被検物質と想定した10μg/ml、1μg/ml、0μg/mlに調製したストレプトアビジン溶液(溶媒組成:10mM HEPES P.H.7.4、150mM NaCl、0.05%Tween溶液)54´を700μlずつパッド(2)の端部に滴下し、パッド(1)、パッド(2)に水を染み込ませた。この時、作用電極のDNAが固定化された面と対電極の白金蒸着面とが対向するように配置した。両電極を電気化学アナライザーに接続した状態で、作用電極にレーザー光源55´(出力60mW、照射領域の直径1mm、波長530nmの緑色レーザー)を照射し、その時に観察される電流値を記録した。なお、図14中の56´は押さえ部材、57´は対向部材、58´は電解質、59´はビオチン標識DNA、60´はローダミン標識ストレプトアビジン、61´はストレプトアビジンを示す。
結果を図15に示す。図15に示されるように、滴下した溶液中のストレプトアビジン濃度が高くなると、光電流が減少した。さらに、複数のパッドを用いても、検出可能であることが明らかになった。
例2.DNA検出による電解質含有パッドの条件検討(参考例)
(1)色素標識DNA固定化作用電極の作製
作用電極用のガラス基材として、フッ素をドープした酸化スズ(F-SnO2:FTO)コートガラス(エイアイ特殊硝子社製、U膜、シート抵抗:12Ω/□、形状:50mm×26mm)を用意した。このガラス基材をアセトン中で15分間、続いて超純水中で15分間超音波洗浄を施して、汚れおよび残存有機物の除去を行った。このガラス基材を5Mの水酸化ナトリウム水溶液中で15分間振盪させた。その後、水酸化ナトリウムの除去のために超純水中での5分間の振盪を水を入れ替えて3回行った。ガラス基材を取り出して空気を吹き付けて残水を飛散させた後、ガラス基材を無水メタノールに浸漬させて脱水した。
95%メタノール5%超純水を溶媒として、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を2vol%となるように加え、室温下で5分間の攪拌を行って、カップリング処理用の溶液を調製した。このカップリング処理用溶液に上記ガラス基材を浸漬させ、ゆっくりと15分間振盪させた。次いで、ガラス基材を取り出し、メタノール中で10回ほど振盪させて余剰なカップリング処理用溶液を除く操作を、メタノールを3回換えて行った。その後、ガラス基材を110度で30分間保持してカップリング剤をガラス基材に結合させた。ガラス基材を室温下で冷却した後、直径3mmの大きさの開口部が形成された粘着性シール(厚さ:0.5mm)を載置して密着させた。続いて、100 nMに濃度調整した5´末端ローダミン標識ssDNA(25mer)と、100 nMに濃度調整した非標識ssDNA(24mer)を95度で10分間保持した後、直ちに氷上に移して10分間保持してDNAを変性させた。この変性DNAを先に用意したガラス上のシールの開口部にそれぞれ5μlずつ充填し、95度で10分保持して溶媒を蒸発させた。その後、UVクロスリンカー(UVP社CL-1000型)で120mJの紫外光を照射して、標識ssDNA及び非標識ssDNAを各ガラス基材に固定化した。シールを各ガラス基材から剥がし、各ガラス基材を0.2%SDS溶液中で15分間×3回振盪させ、超純水を3回入れ替えて濯いだ。これらのガラス基材を沸騰水に2分間浸漬させて取り出した後、空気を吹き付けて残水を飛散させた。続いて、各ガラス基材を4度の無水エタノールに1分間浸漬させて脱水し、空気を吹き付けて残留エタノールを飛散させた。こうして、色素標識DNA固定化作用電極、ssDNA固定化作用電極を得た。ここで使用したプローブDNAの塩基配列は下記の通りである。
5´末端ローダミン標識ssDNA(プローブ1):5´-Rho-GCGGCATGAACCTGAGGCCCATCCT-3´
非標識ssDNA(プローブ2):5´-TTGAGCAAGTTCAGCCTGGTTAAG-3´
(2)電解質含有パッドの作製
0.2M、0.4M、および0.6Mのテトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)を含む水溶液を調製した。この水溶液に26mm×20mmに切った厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(CB-13A;アトー株式会社)を浸漬させて、軽く水切りをし、電解質含有パッドを得た。
(3)例2A.電解質濃度の検討
上記(1)で作製した色素標識DNA固定化作用電極と、ガラス板上に白金が蒸着されてなる対電極とを用意した。両電極間に上記(2)で作製した電解質含有パッドを挟み、密着させた。この時、作用電極のssDNAが固定化された面と対電極の白金蒸着面とが対向するように配置した。両電極を電気化学アナライザーに接続した状態で、作用電極にレーザー光源(出力60mW、照射領域の直径1mm、波長530nmの緑色レーザー)を照射し、その時に観察される電流値を記録した。
結果を図16に示す。図16に示されるように、テトラプロピルアンモニウムヨージドの濃度に依存して光電流の増加が認められたが、いずれの濃度のテトラプロピルアンモニウムヨージドおいても測定に使用可能であることが明らかになった。
(4)例2B.各種電解質の検討
各種電解質を用いて光電流測定を行った。具体的には、吸水性物質としてろ紙を用い、各還元剤の濃度を0.2Mに固定して、電解質含有パッドを作製した。電解質としては、NaI、KI、CaI、LiI、NHI、テトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)、チオ硫酸ナトリウム(Na)および亜硫酸ナトリウム(NaSO)を用いた。これらの各種電解質と水を含む電解液を作製し、26mm×20mmに切った厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(CB-13A;アトー株式会社)を浸漬させて、軽く水切りをし、電解質含有パッドを得た。色素標識DNA固定化作用電極の作製は(1)と同様にして行い、ローダミン標識ssDNA濃度が10nM、およびローダミン非標識ssDNA濃度100nMの各溶液を用いて作製した作用電極も作製して(3)と同様に光電流測定を行った。
結果を図17に示す。図17に示されるように、検討したいずれの電解質でも、ssDNA固定化量に依存して光電流の増加が認められ、測定に使用可能であることが明らかになった。
(5)例2C.電解質含有パッドの厚さの検討
固定化するssDNA濃度を100nMと1μMの2濃度としたこと以外は(1)と同様にして、色素標識DNA固定化作用電極を作製した後、0.2Mの濃度のテトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)と水により電解液を作製し、厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(CB-13A;アトー株式会社)を1枚、2枚重ね、3枚重ねし、それぞれ電解液に浸漬させて電解質含有パッドを作製した。その後、作製した固定化濃度の異なる作用電極と、厚さの異なる各電解質含有パッドを用いて、(3)と同様にして光電流を測定した。
結果を図18に示す。図18に示されるように、0.9mm〜2.7mmの電解質含有パッド厚さの全域にわたって、光電流値への影響はほとんど認められなかった。したがって、十分な強度を得る観点から電解質含有パッド厚さを厚くしても、光電流値検出への悪影響は無いことが推察される。
(6)例2D.各種パッドの検討
厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(CB-13A;アトー株式会社)、フェルト(厚さ:1mm、密度:0.00049g/mm3)、ボール紙(厚さ:0.5mm、密度:0.00071g/mm3)、ガラス繊維ろ紙(GF/D;Whatman:厚さ:0.68mm)、パルプ繊維及び合成繊維を含むコート紙(厚さ:0.14mm、密度:0.00111g/mm3)、弗素樹脂を主に含んでなるメンブレンフィルター(JCWP09025;MILLIPORE:厚さ:0.1mm)を用いた以外は(3)と同様にして光電流の測定を行った。色素標識DNA固定化作用電極の作製は(1)と同様にして行い、ローダミン標識ssDNA濃度が100nM、および1μMの各溶液と、非標識ssDNA濃度が100nMを用いて作製した作用電極も作製して(1)同様に光電流測定を行った。電解液は0.2Mのテトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)を含む水溶液を用いた。
結果を図19に示す。図19に示されるように、すべてのパッドにおいて、ssDNA固定化量に依存して光電流の増加が認められ、電解質含有パッドとして使用可能であることが明らかになった。
(7)例2E.電解質含有パッドの含水率の検討
i.含水率の測定
まず、26mm×20mmに切った厚さ0.9mmのブロッティング用ろ紙(CB-13A;アトー株式会社)に0.4Mのテトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)を含む水溶液を500μl滴下し、ろ紙を完全に電解液に浸した。こうして、電解液が含浸されたろ紙を作製した。次に、各含浸されたろ紙を0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、1.25時間、1.5時間、それぞれ50度で乾燥させた。乾燥後のろ紙の重量を測定し、テトラプロピルアンモニウムヨージドの重量を除いた後、1mm3 辺りの含水量を計算した。その後、(1mm3 辺りの含水量)/(ろ紙密度)の割合を計算し電解質含有パッドの含水率とした。なおブロッティング用ろ紙の密度は0.00049g/mm3である。
ii.光電流測定
i.で作製した各含水率の電解質含有パッドにより例1と同様にして光電流を検出した。
結果を図20に示す。図20に示されるように、電解質含有パッドの含水率が高いほど、光電流が高いことがわかる。また、含水率が2.2%の時は光電流を検出できなかったが、含水率が25.3%の時には光電流が検出できた。以上のことから、光電流が検出可能な電解質含有パッドは、含水率が少なくとも20%以上であることが望ましい。
1枚の吸水性物質により構成されたパッドを用いた本発明の第一の態様によるセンサユニットおよび測定前後の一例を示す図であり、a)は組み立て後の断面図を、b)は組み立て前の分解図を示す。 2枚の吸水性物質により構成されたパッドを用いた本発明の第一の態様によるセンサユニットおよび測定前後の一例を示す図であり、a)は組み立て後の断面図を、b)は組み立て前の分解図を示す。 1枚の吸水性物質により構成されたパッドを用いて、電極ユニット裏側から光を照射した、本発明の第二の態様によるセンサユニットおよび測定前後の一例を示す図であり、a)は組み立て後の断面図を、b)は組み立て前の分解図を示す。 2枚の吸水性物質により構成されたパッドを用いて、電極ユニット裏側から光を照射した、本発明の第二の態様によるセンサユニットおよび測定前後の一例を示す図であり、a)は組み立て後の断面図を、b)は組み立て前の分解図を示す。 1枚の吸水性物質により構成されたパッドを用いて、電極ユニット表側から光を照射した、本発明の第二の態様によるセンサユニットおよび測定前後の一例を示す図であり、a)は組み立て後の断面図を、b)は組み立て前の分解図を示す。 2枚の吸水性物質により構成されたパッドを用いて、電極ユニット表側から光を照射した、本発明の第二の態様によるセンサユニットおよび測定前後の一例を示す図であり、a)は組み立て後の断面図を、b)は組み立て前の分解図を示す。 被検物質が抗原であり、プローブ物質が前記抗原に対して特異的に結合する1次抗体で、増感色素が2次抗体に標識された場合における被検物質および増感色素のプローブ物質への固定化工程を図7に示す。 互いに競合する特異的結合性を有する被検物質および第二の被検物質が抗原であり、プローブ物質が抗体である場合の、被検物質のプローブ物質への固定化工程を示す図である。 被検物質がリガンドであり、媒介物質が受容体蛋白質分子であり、プローブ物質が二本鎖の核酸である場合における、被検物質のプローブ物質への固定化工程を示す図である。 被検物質が抗原であり、プローブ物質が抗体のH鎖(またはL鎖)である場合において、抗体のL鎖(またはH鎖)共存下、被検物質のプローブ物質への固定化工程を示す図である。 電極ユニットの一例を示す図である。 例1Aの実験にて用いられた、吸水性物質と電解質を含むパッドを用いた場合における、センサユニットの断面図および分解図を示す図である。 例1Aにおいて得られた、吸水性物質と電解質を含むパッドを用いた場合における、各ストレプトアビジン濃度において測定された光電流値を示す図である。 例1Bの実験にて用いられた、吸水性物質、電解質、増感色素が標識された親和性物質を含むパッドを用いた場合における、センサユニットの断面図および分解図を示す図である。 例1Bにおいて得られた、吸水性物質、電解質、増感色素が標識された親和性物質を含むパッドを用いた場合における、各ストレプトアビジン濃度において測定された光電流値を示す図である。 例2Aにおいて得られた、電解質含有パッドを用いた際の、100nMのssDNA及び100nMのローダミン標識ssDNAにおける、各テトラプロピルアンモニウムヨージド(NPrI)濃度において測定された光電流値を示す図である。 例2Bにおいて得られた、0nM、10nM、および100nMの各ローダミン標識ssDNA濃度における、各種電解質を用いた場合の光電流値を示す図である。 例2Cにおいて得られた、100nMおよび1μMの各ローダミン標識ssDNA濃度における、電解質含有パッドの厚さと光電流値との関係を示す図である。 例2Dにおいて得られた、100nMのssDNA、100nM、および1μMの各ローダミン標識ssDNA濃度における、各電解質含有パッドを用いた場合の光電流値を示す図である。 例2Eにおいて得られた、電解質含有パッドの含水率と光電流値との関係を示す図である。

Claims (19)

  1. 被検物質が直接または間接的に、特異的に結合したプローブ物質を表面に備え、かつ該結合により増感色素が固定されてなる作用電極と、対電極とを、吸水性のパッドに接触した状態で、
    電解質存在下、前記作用電極に光を照射して前記増感色素を光励起させ、該光励起された増感色素から前記作用電極への電子移動に起因して前記作用電極と前記対電極との間に流れる光電流を検出することにより、被検物質を特異的に検出する方法であって、
    前記結合は、
    被検物質が直接または間接的に結合可能なプローブ物質を表面に備えた作用電極を前記パッドに接触させ、
    被検物質および溶媒を少なくとも含有してなる試料液を前記パッドに含浸させて行われ、
    前記増感色素および前記電解質は、それぞれ前記試料液またはパッドのいずれかに含有される、方法。
  2. 前記増感色素は、プローブ物質と直接または間接的に特異的結合が可能な親和性物質に標識されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記パッドは、光電流を検出する際に20%以上の含水率を有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記パッドを複数用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4にいずれか一項に記載される方法に用いられるパッドであって、
    吸水性物質を少なくとも含んでなる、パッド。
  6. 増感色素および/または電解質をさらに含んでなる、請求項5に記載のパッド。
  7. 前記増感色素は、プローブ物質と直接または間接的に特異的結合が可能な親和性物質に標識されている、請求項6に記載のパッド。
  8. 0.01〜10mmの厚さを有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のパッド。
  9. 前記吸水性物質が、天然繊維、パルプ繊維、再生繊維、ガラス繊維、及び合成繊維からなる群から選択される少なくとも一種の繊維である、請求項5〜8のいずれか一項に記載のパッド。
  10. 前記パッドが、ろ紙、メンブレンフィルター、ガラスフィルター、ろ布からなる群から選択される少なくとも1種のシートである、請求項請求項5〜9のいずれか一項に記載のパッド。
  11. 増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられるセンサユニットであって、
    作用電極と、
    前記作用電極および対電極の間に挟持される請求項5〜10に記載のパッドと
    を備えてなり、前記作用電極の表面が前記パッドと接触してなる、センサユニット。
  12. さらに対電極を備えてなり、前記対電極が前記パッドと接触してなる、請求項11に記載のセンサユニット。
  13. 前記対電極を支持する支持基材と、
    前記支持基材に向けて、前記作用電極、前記パッド、および前記対電極を互いに密着させるように押さえる押さえ部材と
    をさらに備えてなる、請求項12に記載のセンサユニット。
  14. 増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられるセンサユニットであって、
    作用電極および対電極が同一平面上にパターニングされてなる電極ユニットと、
    前記作用電極および前記対電極の各電極表面に接触して設けられる、請求項5〜10に記載のパッドを備えてなる、センサユニット。
  15. 前記電極ユニットと対向して設けられる対向部材をさらに備えてなり、
    前記電極ユニットと前記対向部材との間に前記パッドが挟持される、請求項14に記載のセンサユニット。
  16. 前記対向部材に向けて、前記電極ユニットおよび前記パッドを互いに密着させるように押さえる押さえ部材をさらに備えてなる、請求項15に記載のセンサユニット。
  17. 前記電極ユニットを支持する支持基材をさらに備えてなり、かつ、
    前記対向部材が、前記支持基材に向けて、前記パッドおよび前記電極ユニットを互いに密着させるように押さえる押さえ部材として機能する、請求項15に記載のセンサユニット。
  18. 前記電極ユニットを支持する支持基材と、
    前記支持基材に向けて、前記電極ユニットを密着させるように押さえる押さえ部材とをさらに備えてなり、
    前記パッドが前記電極ユニット上に載置されてなる、請求項14に記載のセンサユニット。
  19. 増感色素の光励起により生じる光電流を用いた被検物質の特異的検出に用いられる測定装置であって、
    請求項11〜18のいずれか一項に記載されるセンサユニットと、
    前記作用電極に光を照射するための光源と、
    前記作用電極と前記対電極との間を流れる電流を測定する電流計と
    を備えた、測定装置。
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