JP2008274792A - 流体噴射ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】シート磨耗を悪化させることなく、シール特性を向上させ、また、弁体の開弁初期の微小リフト時に、微小隙間を流れる流体供給を容易にして良好な噴霧微粒化を得、微小量噴射時の精度向上が可能な燃料噴射ノズル1を提供する。
【解決手段】ノズルボディ9の円錐形の弁座22に設けられた第1噴孔7の開口部の上流側に第1シール部S1と、開口部の下流側に第2シール部S2とを有する2点シール構造のシール部を設け、第1シール部S1と第2シール部S2との間に、高圧流体が第1噴孔7へ流入するのを遮断するように第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、第1弁体10と弁座22とが面状に当接する当接部Aと、開口部と第1シール部S1との間、あるいは、開口部と第2シール部S2との間、の少なくとも一方に、内部に高圧流体を貯留する貯留室Qと、当接部Aを通じ、貯留室Qと開口部との間を高圧流体が流通する連通路Rとを設けた。
【選択図】図1
【解決手段】ノズルボディ9の円錐形の弁座22に設けられた第1噴孔7の開口部の上流側に第1シール部S1と、開口部の下流側に第2シール部S2とを有する2点シール構造のシール部を設け、第1シール部S1と第2シール部S2との間に、高圧流体が第1噴孔7へ流入するのを遮断するように第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、第1弁体10と弁座22とが面状に当接する当接部Aと、開口部と第1シール部S1との間、あるいは、開口部と第2シール部S2との間、の少なくとも一方に、内部に高圧流体を貯留する貯留室Qと、当接部Aを通じ、貯留室Qと開口部との間を高圧流体が流通する連通路Rとを設けた。
【選択図】図1
Description
本発明は、流体噴射ノズルに関する。
〔従来の技術〕
流体噴射ノズルは、流体を噴霧微粒化して噴射供給を行うものであり、種々の産業分野で使用されている。自動車関連分野では、流体として燃料を使用する内燃機関の燃料噴射装置の燃料噴射弁に広く適用されている。近年、環境改善のために内燃機関(以下、エンジンという)の排気ガスの規制が年々強化されており、PM排出量、NOx排出量およびCO2排出量の低減が課題として開発が進められている。
流体噴射ノズルは、流体を噴霧微粒化して噴射供給を行うものであり、種々の産業分野で使用されている。自動車関連分野では、流体として燃料を使用する内燃機関の燃料噴射装置の燃料噴射弁に広く適用されている。近年、環境改善のために内燃機関(以下、エンジンという)の排気ガスの規制が年々強化されており、PM排出量、NOx排出量およびCO2排出量の低減が課題として開発が進められている。
特に、ディーゼルエンジンは、この課題に対し、噴射流体の高圧化、多段噴射化等の対応が検討され、多段噴射化対応では、燃料噴射弁は開閉弁の応答性向上による多段噴射間隔の短縮化、および多段噴射時に使用する微少量噴射の精度向上など精密制御技術の向上が求められている。
従来から、ディーゼルエンジンでは、エンジンの低回転域での噴霧微粒化や、高回転域での短期間多量噴射などに対応するため、可変噴孔式の燃料噴射ノズルが用いられている。可変噴孔式の燃料噴射ノズルとは、少なくとも先後2段階に分けて順次に開放される複数の噴孔を有し、噴射量に応じて開放する噴孔数を変えることができるものである。
従来の可変噴孔式の燃料噴射ノズル110(以下、ノズル110と呼ぶ)は、図7に示すように、内部に案内孔123が形成されたノズルボディ103を有しており、この案内孔123の燃焼室側の端部が弁座122によって制限され、この弁座122には少なくとも1つの噴孔101が形成され、さらに、弁中空ニードル104を有しており、この弁中空ニードル104が案内孔123内で長手方向にリフト可能に配置されており、かつ、弁中空ニードル104の弁座122に面した端部130が弁シール面128を形成しており、この弁シール面128には噴孔101の上流側の第1シール域124および下流側の第2シール域125が形成されており、弁中空ニードル104が弁座122に当接(着座)すると、第1、第2シール域124、125と弁シール面128とは弁座122との間にシール部S11、S12を形成して2点シール構造を構成し、噴孔101へ高圧燃料が流入するのを遮断するようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に開示されるノズル110では、図7に示すように、弁シール面128に3つの円錐面が形成され、各円錐面の頂点に向う円錐角度は互いに異なる角度にて形成され、各円錐面の移行部には縁部が形成される。この縁部が第1、第2シール域124、125を構成し、第1、第2シール域124、125の間には、例えば、特許文献2に開示されるような円環状の環状溝構造を備えるのでなく、円錐面状のままで当接部を形成し、当接部が弁シール面128をなし、弁シール面128のシール面圧を低下させ、所定のシール面圧に抑えて、シールを得るとともに、過剰な磨耗が阻止されるとしている。
〔従来技術の不具合〕
しかし、シール面圧を低下させシート磨耗の抑制が容易となるものの、弁シール面128にて噴孔101を塞ぐ面シール構造では、弁中空ニードル104の開弁初期の微小リフト時に、微小隙間を通過する燃料の流通抵抗が大きくなって、結果、噴孔101へ流入する燃料圧力を低下させてしまい、開口部に流入する高圧燃料が不十分となって良好な噴霧微粒化が得られないという問題がある。
特表2005−530091号公報
特表2006−505745号公報
しかし、シール面圧を低下させシート磨耗の抑制が容易となるものの、弁シール面128にて噴孔101を塞ぐ面シール構造では、弁中空ニードル104の開弁初期の微小リフト時に、微小隙間を通過する燃料の流通抵抗が大きくなって、結果、噴孔101へ流入する燃料圧力を低下させてしまい、開口部に流入する高圧燃料が不十分となって良好な噴霧微粒化が得られないという問題がある。
弁座に当接する弁体の端部に、異なる円錐角度の円錐面の移行部に形成される縁部をシート部として噴孔の上流側の第1シール域と下流側の第2シール域とを形成してシールする2点シール構造の流体噴射ノズルにおいて、経時的なシート磨耗を抑制するために、噴孔を塞ぐ面状の当接部からなる弁シール面を第1シール域と第2シール域との間に形成して、噴孔に当接してシール面圧を低下させたのでは、開弁初期の微小リフト時において、微小隙間を通過する流体の流通抵抗が大きくなり、開口部に流入する高圧流体が不十分となって、良好な噴霧微粒化が得られず問題である。よって、シート磨耗は抑制しつつ、高シール性は確保して、開弁初期の微小リフト時において、良好な噴霧微粒化が得られて微小量噴射の精度向上を図ることができる流体噴射ノズルの提供が課題となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、シート磨耗を悪化させることなく、シール特性を向上させ、また、弁体の開弁初期の微小リフト時に、微小隙間を流れる流体供給を容易にして良好な噴霧微粒化を得、微小量噴射時の精度向上が可能な流体噴射ノズルの提供を目的とする。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の手段によれば、噴孔が形成されるノズルボディと、ノズルボディの内部に移動可能に収容される弁体とを備え、弁体とノズルボディとの当接または離間により、噴孔を開閉して高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断または許容するシール部としての機能を具備し、シール部が、噴孔の開口部の上流側に設けられる第1シール部と開口部の下流側に設けられる第2シール部とを有する流体噴射ノズルにおいて、弁体は、ノズルボディに当接した時に、第1シール部と第2シール部との間で弁体とノズルボディとが面状に当接する当接部を有し、弁体がノズルボディに当接した時に、内部に高圧流体を貯留する貯留室が、第1シール部と開口部との間、あるいは、第2シール部と開口部との間、の少なくとも一方に形成されることを特徴としている。
請求項1に記載の手段によれば、噴孔が形成されるノズルボディと、ノズルボディの内部に移動可能に収容される弁体とを備え、弁体とノズルボディとの当接または離間により、噴孔を開閉して高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断または許容するシール部としての機能を具備し、シール部が、噴孔の開口部の上流側に設けられる第1シール部と開口部の下流側に設けられる第2シール部とを有する流体噴射ノズルにおいて、弁体は、ノズルボディに当接した時に、第1シール部と第2シール部との間で弁体とノズルボディとが面状に当接する当接部を有し、弁体がノズルボディに当接した時に、内部に高圧流体を貯留する貯留室が、第1シール部と開口部との間、あるいは、第2シール部と開口部との間、の少なくとも一方に形成されることを特徴としている。
これにより、弁体とノズルボディとが面状に当接する当接部を設けることによって、シール面圧を低下でき、第1シール部と第2シール部を所定のシール面圧値に抑えることで、十分なシール性を確保できるとともに、シート磨耗の促進を抑制できる。さらに、貯留室を備えることにより噴孔への流体流れが容易になるので、開弁初期の微小リフト時に良好な噴霧微粒化を得ることができ、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の手段によれば、当接部は、弁体とノズルボディとが初期当接した時に、当接部とノズルボディとの間に僅かな隙間が形成され、初期当接の後、さらに弁体がノズルボディに接近してノズルボディに安定当接した時に、弁体とノズルボディとが面状に当接するように形成されることを特徴としている。
請求項2に記載の手段によれば、当接部は、弁体とノズルボディとが初期当接した時に、当接部とノズルボディとの間に僅かな隙間が形成され、初期当接の後、さらに弁体がノズルボディに接近してノズルボディに安定当接した時に、弁体とノズルボディとが面状に当接するように形成されることを特徴としている。
これにより、面状に当接する当接部にてシール面圧を低下でき、一方、第1シール部および第2シール部はミクロ的な弾性変形が許容されるので、シート磨耗に至ることのない所定の面圧値を確保することが容易になって、よりシール特性が向上できる。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載の手段によれば、貯留室は、第1シール部と開口部との間に設けられる上流貯留室と、第2シール部と開口部との間に設けられる下流貯留室とを有することを特徴としている。
これにより、開弁初期の微小リフト時に、第1シール部および第2シール部の微小隙間を通過して流入する高圧流体が、上流貯留室と下流貯留室の双方に貯留した流体を供給できるので、噴孔への流体流れが容易になって、良好な噴霧微粒化がより得やすくなる。
請求項3に記載の手段によれば、貯留室は、第1シール部と開口部との間に設けられる上流貯留室と、第2シール部と開口部との間に設けられる下流貯留室とを有することを特徴としている。
これにより、開弁初期の微小リフト時に、第1シール部および第2シール部の微小隙間を通過して流入する高圧流体が、上流貯留室と下流貯留室の双方に貯留した流体を供給できるので、噴孔への流体流れが容易になって、良好な噴霧微粒化がより得やすくなる。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載の手段によれば、上流貯留室の貯留容積と下流貯留室の貯留容積とは、略同容積に設定されることを特徴としている。
これにより、噴射初期時の噴射圧力ムラの発生を抑制することができるので、上流および下流からの流体流れを均等化しやすく、また、流体流れに乱れを生じにくくするので、微小リフト時の噴霧特性が良好となり、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
請求項4に記載の手段によれば、上流貯留室の貯留容積と下流貯留室の貯留容積とは、略同容積に設定されることを特徴としている。
これにより、噴射初期時の噴射圧力ムラの発生を抑制することができるので、上流および下流からの流体流れを均等化しやすく、また、流体流れに乱れを生じにくくするので、微小リフト時の噴霧特性が良好となり、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載の手段によれば、高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断するように弁体とノズルボディとを当接させた時に、当接部を通じ、貯留室と開口部との間を高圧流体が流通する連通路を有することを特徴としている。
請求項5に記載の手段によれば、高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断するように弁体とノズルボディとを当接させた時に、当接部を通じ、貯留室と開口部との間を高圧流体が流通する連通路を有することを特徴としている。
これにより、開弁初期の微小リフト時に、第1シール部および第2シール部の微小隙間を通過して流入する高圧流体が、貯留室と開口部との連通面積が拡大されるため、貯留した流体を多量に、かつ、即座に供給ができ、噴孔への迅速な流体流れが可能となる。従って、良好な噴霧微粒化がより得やすくなり、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の手段によれば、当接部と連通路とは、隣り合って交互に複数組配設されることを特徴としている。
これにより、周方向に複数個配置される噴孔からの流体の噴霧微粒化を均等に、かつ、良好にすることができ、噴射量のバラツキを小さく抑えて、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
請求項6に記載の手段によれば、当接部と連通路とは、隣り合って交互に複数組配設されることを特徴としている。
これにより、周方向に複数個配置される噴孔からの流体の噴霧微粒化を均等に、かつ、良好にすることができ、噴射量のバラツキを小さく抑えて、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の手段によれば、連通路は、弁体の軸方向線に対して傾斜して設けられることを特徴としている。
これにより、当接部に付設する連通路の加工工数が大幅に低減できる。
請求項7に記載の手段によれば、連通路は、弁体の軸方向線に対して傾斜して設けられることを特徴としている。
これにより、当接部に付設する連通路の加工工数が大幅に低減できる。
〔請求項8の手段〕
請求項8に記載の手段によれば、当接部は、高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断するように弁体とノズルボディとを当接させた時に、弁体の軸方向位置における開口部が設けられるその全開口部を含む全周に渡る領域のみにて弁体とノズルボディとを当接状態とし、かつ、弁体が開口部の全開口断面のうち、一部の開口断面を閉塞するように設けられ、第1シール部および第2シール部との間における、当接部が設けられる以外の領域が貯留室になるように形成されることを特徴としている。
請求項8に記載の手段によれば、当接部は、高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断するように弁体とノズルボディとを当接させた時に、弁体の軸方向位置における開口部が設けられるその全開口部を含む全周に渡る領域のみにて弁体とノズルボディとを当接状態とし、かつ、弁体が開口部の全開口断面のうち、一部の開口断面を閉塞するように設けられ、第1シール部および第2シール部との間における、当接部が設けられる以外の領域が貯留室になるように形成されることを特徴としている。
これにより、停止時においても貯留室と開口部は連通する構成であるため、貯留される流体は開口部まで直接に充満する状態となり、従って、起動時の噴射初期時において、微小リフトであっても貯留した流体を多量に、かつ、即座に供給ができ、噴孔への迅速な流体流れが可能となる。従って、良好な噴霧微粒化がより得やすくなり、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔請求項9の手段〕
請求項9に記載の手段によれば、当接部は、高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断するように弁体とノズルボディとを当接させた時に、弁体の軸方向位置における開口部が設けられるその全開口部を含む全周に渡る領域にて弁体とノズルボディとを非当接状態とし、かつ、弁体が開口部の全開口断面を閉塞しないように形成されることを特徴としている。
請求項9に記載の手段によれば、当接部は、高圧流体が噴孔へ流入するのを遮断するように弁体とノズルボディとを当接させた時に、弁体の軸方向位置における開口部が設けられるその全開口部を含む全周に渡る領域にて弁体とノズルボディとを非当接状態とし、かつ、弁体が開口部の全開口断面を閉塞しないように形成されることを特徴としている。
これにより、弁体が開口部の全開口断面を閉塞しないので、停止時においても貯留室と開口部は連通する構成となって、貯留される流体は開口部まで直接に充満する状態となり、従って、起動時の噴射初期時において、微小リフトであっても貯留した流体を多量に、かつ、即座に供給ができ、噴孔への迅速な流体流れが可能となる。従って、良好な噴霧微粒化がより得やすくなり、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔請求項10の手段〕
請求項10に記載の手段によれば、弁体は、噴孔の中で先に開放される第1噴孔を開閉する第1弁体と、第1弁体に収容され、第1弁体と同軸方向に移動して、第1噴孔よりも後に開放される第2噴孔を開閉する第2弁体とからなり、第1弁体が当接部を有し、第1弁体がノズルボディに当接した時に、貯留室が形成されることを特徴としている。
請求項10に記載の手段によれば、弁体は、噴孔の中で先に開放される第1噴孔を開閉する第1弁体と、第1弁体に収容され、第1弁体と同軸方向に移動して、第1噴孔よりも後に開放される第2噴孔を開閉する第2弁体とからなり、第1弁体が当接部を有し、第1弁体がノズルボディに当接した時に、貯留室が形成されることを特徴としている。
これにより、請求項1に記載の手段と同様な作用、効果を奏する。
この発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。実施例1では、流体噴射ノズルは、自動車分野に適用され、流体として燃料を使用する内燃機関の燃料噴射装置に適用して好適な燃料噴射ノズルについてのものである。
〔実施例1の構成〕
本実施例の燃料噴射ノズルの構成を図1を参照して説明する。図1(a)は、燃料噴射ノズルと燃料噴射弁と燃料噴射装置の構成を模式的に示す模式断面図であり、図1(b)は、燃料噴射ノズルの要部の拡大断面図である。
燃料噴射ノズル1(以下、ノズル1と呼ぶ)は、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)、例えば、多気筒ディーゼルエンジンのような直噴型エンジン(図示せず)の各気筒に搭載され、燃焼室に燃料を噴射供給するものである。また、エンジンの低回転域における噴霧微粒化や、高回転域における短期間多量噴射に対応するため、噴射量に応じて開放する噴孔数を変えることができる可変噴孔式である。
本実施例の燃料噴射ノズルの構成を図1を参照して説明する。図1(a)は、燃料噴射ノズルと燃料噴射弁と燃料噴射装置の構成を模式的に示す模式断面図であり、図1(b)は、燃料噴射ノズルの要部の拡大断面図である。
燃料噴射ノズル1(以下、ノズル1と呼ぶ)は、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)、例えば、多気筒ディーゼルエンジンのような直噴型エンジン(図示せず)の各気筒に搭載され、燃焼室に燃料を噴射供給するものである。また、エンジンの低回転域における噴霧微粒化や、高回転域における短期間多量噴射に対応するため、噴射量に応じて開放する噴孔数を変えることができる可変噴孔式である。
そして、ノズル1は図示しない電子制御装置(ECU)からの指令に応じて作動、作動停止を繰り返す電磁弁2とともに燃料噴射弁3を構成する。また、燃料噴射弁3から噴射される燃料は、周知の噴射ポンプ(図示せず)により高圧化して吐出された高圧燃料であり、周知のコモンレール4を介してノズル1に供給される。すなわち、燃料噴射弁3は、噴射ポンプやコモンレール4等とともに、エンジンに燃料を噴射供給する燃料噴射装置を構成し、ノズル1は、噴射ポンプやコモンレール4等を所定の供給源として高圧燃料の供給を受ける。
ノズル1は、図1(a)に示すように、先後2段階に分けて開放される第1、第2噴孔7、8を有するノズルボディ9、第1、第2噴孔7、8の中で先に開放される第1噴孔7を開閉する第1弁体10、第1噴孔7よりも後に開放される第2噴孔8を開閉するとともに、第1弁体10と同軸方向に移動する第2弁体11とからなる。第1、第2弁体10、11の他方端がノズルボディ9の他方端に備えた弁座22に当接(着座)して第1、第2噴孔7、8へ燃料が流入するのを遮断し、また、弁座22と離間(離座)して第1、第2噴孔7、8へ燃料が流入するのを許容する。このとき、第1、第2弁体10、11の他方端が弁座22に当接して燃料が流入するのを遮断する機能を具備した構造部分をシール部と呼称する。また、シール部を構成する第1、第2弁体10、11の当接部分をシート部と呼称する。
ノズルボディ9は、有底の略中空円筒状体であって、内部に第1弁体10および第2弁体11を往復移動可能に収容する案内孔12と、弁座22と、第1噴孔7および第2噴孔8とが形成されている。この案内孔12は、ノズルボディ9の内部に軸方向に延びており、第1弁体10および第2弁体11を軸方向移動可能に収容している。また、案内孔12は、一方の端部側が背圧室17に接続し、他方の端部側が弁座22に接続している。
弁座22は、図1(b)に示すように、略円錐形に形成されており、弁座22の燃料流れの下流側に向って、第1噴孔7、第2噴孔8の順に形成され、第1噴孔7が弁座22の外側に位置するように設けられている。また、弁座22には、内側ニードルとしての第2弁体11および外側ニードルとしての第1弁体10が着座または離座して、燃料が流入するのを遮断または許容する各シール部が構成されている。
第1弁体10は、図1(a)に示すように、略円筒状に形成されており、所定の隙間を介して案内孔12に遊嵌されている。第1弁体10の反噴孔側には背圧室17内の圧力を受ける第1上端面31が形成され、第1弁体10の噴孔側には、弁座22に対向し、略円錐形の第1下端面32が形成されている。
第1下端面32は、図1(b)に示すように、弁座22と同様な略円錐形の傾斜面を有する当接面32が形成され、この略円錐形の当接面32の上流側および下流側には、略円錐形の頂点に向う円錐角度が互いに異なる角度にて形成される略円錐形の傾斜面33、34が形成される。各円錐形の傾斜面33、34の移行部には縁部が構成されて、この縁部が弁座22に当接する第1シート部32a、32bを形成する。
そして、この第1シート部32a、32bが弁座22に当接して、燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断する第1噴孔7の上流側に第1シール部S1と、また、第1噴孔7の下流側に第2シール部S2の2点シール構造のシール部を形成する。このとき、第1弁体10は着座または離座することにより、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容するが、2点シール構造のシール部を設けるのは、第1噴孔7の下流側で、第1弁体10と第2弁体11との間に形成された所定の隙間の燃料通路18からの高圧燃料の流入も可能であって、この高圧燃料が流入するのを遮断するために、第1噴孔7を挟んで上下流側にてシール部を形成する2点シール構造が必要となるものである。なお、第1下端面32と弁座22の間には、着座または離座により拡縮する隙間(第1隙間)16が形成され、第1隙間16が燃料を流通させる燃料経路を構成する。
上記するように略円錐形の傾斜面の傾きを僅かに変えて、各略円錐形の傾斜面33、34の移行部に第1シート部32a、32bを形成し、この第1シート部32a、32bを略円錐形の傾斜面の弁座22に当接することで、燃料が流入するのを遮断または許容する2点シール構造のシール部を構成している。これは従来と変わらないが、特に、本実施例では、さらに、第1シート部32a、32bのシート磨耗の促進を抑制するため、面状に当接してシール面圧の低下を可能とする当接部Aを、凹溝部Uを介して第1シート部32a、32bの間に配置させたことが特徴である。
以下に、この構成を図2に従って詳しく説明する。図2(a)は、ノズル1の弁部の拡大構成図であり、右半分に着座時を断面図にて、左半分に離座時を断面せずに模式的に並べて示したものであり、図2(b)は、ノズル1の弁部を他方側からみた平面図である。
第1シート部32a、32bは、図2(a)に示すように、各シート部32a、32bを基点として略円錐形の傾斜面、つまり、円錐面がなす頂角が弁座22のなす頂角と僅かに異なって形成することで理論的には円形状の線シール部を構成する。この各円形状の線シール部を基点として互いに向い合う方向に所定の幅と深さを有する2つの凹溝部U(以下、外側の凹溝部Uを第1凹溝部U1、内側を第2凹溝部U2と呼ぶ)が設けられている。また、第1、第2凹溝部U1、U2の間には、弁座22に面状に当接する当接部Aが形成され、第1、第2凹溝部U1、U2の有する凹溝幅だけ縮小された有効幅Hを有している。
面状に当接する当接部Aは、第1シート部32a、32bの2点シール構造(以下、外側2点シール構造と呼ぶ)がなす仮想円錐面Bと合致させている。これにより、第1シート部32a、32bの間に第2シート部35a、35bの2点シール構造(以下、内側2点シール構造と呼ぶ)と、この内側2点シール構造の第2シート部35a、35bの間に面シール部38が構成される。第1シート部32a、32bが弁座22に当接または離間することにより、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する第1、第2シール部S1、S2と、第2シート部35a、35bが弁座22に当接または離間することにより、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する第3シール部S3、第4シール部S4とが形成される。さらに、当接部Aの面シール部38が弁座22の第1噴孔7の開口部の外側周縁である開口周縁部に当接または離間して、より確実に燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断または許容するものとなっている。
しかし、実際の第1、第2凹溝部U1、U2の加工において、第1シート部32a、32bを線シール部のまま凹溝加工することは、極めて困難である。従って、第1シート部32a、32bが許容面幅以下(例えば、最大50μm)となるまで凹溝加工の基点位置をずらせて加工することが許容され、実現性のある加工法が採用される。好ましくは、第1シート部32a、32bがミクロ的に僅かに弾性変形もしくはなじみ変形することを想定して、初期当接したときに、当接部Aにおける第1弁体10と弁座22とは、僅かな隙間(例えば、数μm程度)を有して離間するように設けられ、初期当接の状態よりさらに第1弁体10と弁座22とが接近して安定位置に安定当接したときに、第1シート部32a、32bの面幅が許容面幅(例えば、最大50μm)以下で弁座22に当接するように、予め当接部Aを仮想円錐面Bより僅かに低く(深く)削り込む構成であってもよい。いずれにしても、第1弁体10が弁座22に着座して、当接部Aが面シール部38によってシール面圧を低下させ、さらに、第1シート部32a、32bがミクロ的に弾性変形やなじみ変形、あるいは、軽微な当たり(初期)磨耗を呈して、所定の面圧値以上に面圧を上昇させるものではないが、必要最小限の所定の面圧値(許容面圧値と呼ぶ)を確保しやすくして、シート磨耗を抑制した上で高シール性を確保する構成であればよい。
また、第1弁体10に付設して、第1噴孔7を挟んで燃料流れの上下流側の略対称に設けた第1、第2凹溝部U1、U2は、第1シート部32a、32bおよび第2シート部35a、35bが弁座22に当接するときに、燃料を貯留する貯留室Q(以下、第1凹溝部U1に形成される貯留室Qを第1貯留室Q1、第2凹溝部U2に形成される貯留室Qを第2貯留室Q2と呼ぶ)を形成する。この貯留室Qは、燃料噴射の初期時における良好な噴霧を促進する燃料の供給を容易にするものである。従って、燃料噴射初期の微小リフト時の燃料噴霧特性を向上させるために、燃料を貯留する第1、第2貯留室Q1、Q2は、当接部Aの許容面圧値を下回る範囲で、第1噴孔7の開口周縁部まで接近して形成されることが望ましく、当接部Aに形成される面シール部38の有効幅Hを可能な限り小さく設定することがポイントとなる。これにより、微小リフト時の微小隙間を流れる燃料の流通抵抗を減少させるとともに、貯留された燃料を多量に、かつ、即座に燃料を第1噴孔7へ流入させて、良好な噴霧微粒化を得ることが可能となる。
以上、本実施例では、外側2点シール構造の内側に、2つの第1、第2凹溝部U1、U2を第1噴孔7を挟んで略対称に設けて、さらに内側2点シール構造を構成する。そして、この内側2点シール構造の間に当接部Aを設けて面シール部38を形成し、シール面圧を低下させ、各2点シール構造の各シール部のシール面圧を所定の面圧値に抑えることによって、シート磨耗の促進を抑制する。また、当接部Aが着座したときに、燃料が貯留する第1、第2貯留室Q1、Q2を設けることにより、微小リフト時の燃料供給を容易にして、燃料噴霧特性の向上を図ることを特徴としている。
当接部Aと第1シート部32a、32bとの相対位置、および当接部Aの有効幅Hは、主に、低下させるべき面圧、つまり、シート磨耗の促進が抑制できる許容面圧値の大きさによって決定される。よって、有効幅Hを大きくせざるを得ない場合があるが、当接部Aは第1シート部32a、32bの間にあればよく、従って、凹溝部Uは第1シート部32a、32bと第1噴孔7との間の少なくとも一方側に設けられていればこと足りるものである。また、有効幅Hが小さい場合、凹溝部Uは双方側に設けることが可能となって、好適には、噴射初期時の噴射圧力ムラを生じさせないように、第1噴孔7の上下流側に備える第1、第2貯留室Q1、Q2との距離を2分する位置に当接部Aの中心が位置して、併せ、第1、第2貯留室Q1、Q2も第1噴孔7の中心軸に対して上下流側に略対称に位置して、第1、第2貯留室Q1、Q2の貯留容積を略同容積に設定することが好ましい。
なお、第1、第2貯留室Q1、Q2は、凹状の溝形状になる第1、第2凹溝部U1、U2より構成されるが、第1、第2凹溝部U1、U2は、その溝断面形状が凹状に限ることなく、円弧状や三角、四角およびそれ以上の多角形状であってもよい。好ましくは、微小リフト時に燃料が滑らかに第1、第2貯留室Q1、Q2に流入する迎え角を形成する断面形状が好適である。
本実施例では、さらに、図2に示すように、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断するように第1弁体10を弁座22に当接させた時に、当接部Aを通じ、貯留室Qと第1噴孔7の開口部との間を高圧燃料が流通するように、当接部Aの円錐形の傾斜面に、円錐傾斜面が構成する頂角方向(軸方向)に沿うスリット状の複数のU字形溝を放射状に配設した連通路Rを構成している。
スリット状のU字形溝は、好ましくは、第1、第2貯留室Q1、Q2を形成する第1、第2凹溝部U1、U2の溝深さ並みの深さを有し、これ以上の深さを有していても、第1、第2凹溝部U1、U2の形成の基点とする第1シート部32a、32bを超えない長さであれば、これに限ることはない。また、スリット状のU字形溝の幅は、第1噴孔7の開口部径より大きくてもよく、また、小さくても複数のU字形溝の配列ピッチ(間隔)が第1噴孔7の開口部径より小さければよく、当接部Aと連通路Rとは、隣り合って交互に複数組配設されれば、複数の第1噴孔7の開口部は周方向に複数組配設されたいずれかの連通路Rと必ず連通する構成となっている(図2(b)参照)。
これにより、連通路Rは、第1、第2貯留室Q1、Q2と第1噴孔7の開口部との燃料が流通する流通面積を大きくするため、第1、第2貯留室Q1、Q2に貯留された燃料を多量に、かつ、即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。従って、連通路Rを構成するスリット状のU字形溝は、第1弁体10側に付設することに限定せず、弁座22側に付設されていてもよい。また、その断面形状はU字形に限ることなく、三角、四角およびそれ以上の多角形状であってもよい。
なお、当接部Aの円錐傾斜面に設けたスリット状のU字形溝は、円錐傾斜面が構成する頂角方向、つまり軸方向(図示縦方向)に沿って放射状に配設した縦溝であるが、これに限ることなく、軸方向に傾斜して放射状に配列する斜溝(例えば、図3(a)参照)、あるいは、この斜溝が互いに逆方向に傾斜して交差する格子状の斜溝であってもよい。また、傾斜に代えて、円錐傾斜面にU字形溝をらせん状に配列するらせん溝(例えば、図3(b)参照)でもよい。これにより、軸方向の縦溝加工に比し、加工工数の低減が期待できる。
また、図3(c)に示すように、本実施例の縦溝の軸方向の略中央で、第1噴孔7の中心位置を結ぶ周方向に連続する少なくとも1本のU字形横溝Tを設けた横溝構造であってもよい。この構造によれば、複数の第1噴孔7への噴射のための燃料供給が縦溝のみならず横溝Tによって連通して供給されるので、微小リフト時における燃料噴霧がより良好となる。さらに、少なくとも1本の横溝Tを付設することで、縦溝の溝幅や配列ピッチ等の制約が解消されて、例えば、少なくとも1つ以上の縦溝と少なくとも1本の横溝Tとの溝配置により、複数の第1噴孔7への噴射のための燃料供給が可能となる。好ましくは、縦溝は第1噴孔7と同数かそれ以下で、横溝Tは略中央に1本設けることが好適であり、本構成の採用にて大幅に連通路Rの加工工数の低減が期待できる。
また、図1に示すように、第1上端面31と背圧室17との間には、背圧室17を形成するスリーブ19が配置されており、スリーブ19と第1弁体10側に固定される座20との間に、付勢手段としての第1スプリング5が配置されている。第1スプリング5は、弁座22に着座する着座方向(閉弁方向)に第1弁体10を付勢するように構成される。背圧室17内の圧力を調整することにより、第1弁体10を軸方向に往復移動させる。なお、第1弁体10の外周と、その外周に対向するノズルボディ9の案内孔12の内周との間には、燃料通路23が形成されている。この燃料通路23は、燃料溜り室14を介して供給された高圧の燃料を第1噴孔7へ導く燃料経路を構成する。
第2弁体11は、略円柱状に形成されており、第1弁体10の内部に往復移動可能に収容されている。詳しくは第1弁体10の案内孔13に往復移動可能に収容されている。第2弁体11の噴孔側には、弁座22に対向し、第2下端面42が形成されている。第2下端面42は、弁座22に対して僅かに傾斜するように、つまり、円錐傾斜面がなす頂角が僅かに大きくなるように形成されている。
従って、第3シート部42aが第2弁体11の外周側に形成されて、第3シート部42aが弁座22に着座または離座することにより、第2噴孔8へ燃料が流入するのを遮断または許容する。このとき、第2噴孔8の上流側は、第3シート部42aが着座することにより、第2噴孔8へ燃料が流入するのを遮断する第5シール部S5を形成する。第5シール部S5は、弁座22の第2噴孔8の外周側、つまり、燃料流れの上流側に形成され、第2弁体11が弁座22に着座することにより、上流側からの高圧燃料の第2噴孔8への燃料の流入を遮断することができる。なお、第2下端面42と弁座22の間には、着座および離座により拡縮する隙間(第2隙間)27が形成され、第2隙間27が燃料を流通させる燃料経路を構成する。
また、第2弁体11の反噴孔側には、背圧室17内の圧力を受ける第2上端面41が形成され、第2上端面41より所定の距離だけ離れた位置に、第2上端面41より広面積の鍔部43が設けられている。鍔部43と背圧室17との間には、付勢手段としての第2スプリング6が、弁座22に着座する着座方向(閉弁方向)に第2弁体11を付勢するように配置されている。背圧室17内の圧力を調整することにより、第2弁体11を軸方向に往復移動させることが可能となる。なお、第1弁体10の案内孔13の内周と第2弁体11の外周との間には、燃料通路18が形成されている。この燃料通路18は、背圧室17の比較的高圧の燃料を第1、第2噴孔7、8へ導く燃料経路を構成する。
弁ボディ30には、背圧室17が備えられ、背圧室17には、燃料供給通路24とリターン通路25とが接続されている。その燃料供給通路24には入口絞り28が、リターン通路25には出口絞り29が設けられている。なお、燃料供給通路24は、背圧室17と燃料溜り室14へ高圧燃料を供給するために高圧燃料通路15から分岐されている。リターン通路25は背圧室17の余剰燃料を燃料タンク26へ戻すリターン燃料経路と接続している。そして、弁ボディ30にノズルボディ9がリテーニングナット40によって螺合、締結され燃料噴射弁3が構成される。
なお、このリターン燃料経路の下流側には、リターン通路25と燃料タンク26側の低圧通路との連通、遮断を切替える電磁二方弁21が設けられている。入口絞り28と出口絞り29の流路断面積の面積比を電磁弁2によって調整することによって、背圧室17の高圧燃料の流入量と流出量のバランスが調整できる。従って、背圧室17の燃料圧力の上昇、下降速度が調整できる。なお、背圧室17は、第1弁体10と第2弁体11に着座方向(閉弁方向)の圧力を作用させる共用の圧力制御室となっている。
〔実施例1の作用〕
上記の構成を有するノズル1の作動について、図1、および図4を参照して説明する。ここで、図4は、燃料噴射ノズルの弁部とシール部の作動を示す部分拡大断面図であり、(a)は噴射停止時を、(b)は第1噴孔のみの開弁時を、(c)は第2噴孔の開弁時を示すものである。なお、図4(a)〜(c)には、図1と実質的に同一構成部分に同一符号を付している。
上記の構成を有するノズル1の作動について、図1、および図4を参照して説明する。ここで、図4は、燃料噴射ノズルの弁部とシール部の作動を示す部分拡大断面図であり、(a)は噴射停止時を、(b)は第1噴孔のみの開弁時を、(c)は第2噴孔の開弁時を示すものである。なお、図4(a)〜(c)には、図1と実質的に同一構成部分に同一符号を付している。
(噴射停止時)
図1、および図4(a)に示すように、コモンレール4に蓄圧された高圧燃料は、高圧燃料通路15および燃料供給通路24を通って、背圧室17と燃料溜り室14に供給される。このとき、電磁弁2には通電されていないので、電磁二方弁21は閉弁状態である。従って、第1、第2弁体10、11は高圧燃料による付勢力と第1スプリング5、および第2スプリング6による付勢力により弁座22に着座されて、第1弁体10の第1シート部32a、32bは弁座22とシール面圧を発生して、第1、第2シール部S1、S2からなる外側2点シール構造によって、専ら、第1噴孔7へ高圧燃料が流入するのを遮断して、さらに、シール面圧は当接部Aの面シール部38によって所定の面圧値に低下され、第1噴孔7は当接部Aで塞がれるので、燃料は第1噴孔7より噴射されることはない。また、同様に、第2弁体11の第3シート部42aは弁座22と所定の面圧を発生して、第5シール部S5からなる第2噴孔8へ燃料が流入するのを遮断する線シール構成のシール部を形成するので、燃料流れの下流となる第2噴孔8より燃料が噴射されることはない。
図1、および図4(a)に示すように、コモンレール4に蓄圧された高圧燃料は、高圧燃料通路15および燃料供給通路24を通って、背圧室17と燃料溜り室14に供給される。このとき、電磁弁2には通電されていないので、電磁二方弁21は閉弁状態である。従って、第1、第2弁体10、11は高圧燃料による付勢力と第1スプリング5、および第2スプリング6による付勢力により弁座22に着座されて、第1弁体10の第1シート部32a、32bは弁座22とシール面圧を発生して、第1、第2シール部S1、S2からなる外側2点シール構造によって、専ら、第1噴孔7へ高圧燃料が流入するのを遮断して、さらに、シール面圧は当接部Aの面シール部38によって所定の面圧値に低下され、第1噴孔7は当接部Aで塞がれるので、燃料は第1噴孔7より噴射されることはない。また、同様に、第2弁体11の第3シート部42aは弁座22と所定の面圧を発生して、第5シール部S5からなる第2噴孔8へ燃料が流入するのを遮断する線シール構成のシール部を形成するので、燃料流れの下流となる第2噴孔8より燃料が噴射されることはない。
(第1噴孔のみの開弁時)
図1、および図4(b)に示すように、ECUからの指令に応じて電磁弁2に通電し、電磁二方弁21が開弁すると、リターン通路25を通じて背圧室17から背圧燃料が排出され背圧が低下する。なお、この背圧の低下は、入口絞り28と出口絞り29の面積比に応じて所定の下降速度で低下する。背圧室17内の燃料圧力が第1弁体10の開弁圧まで低下すると、第1弁体10がリフトされ、第1シート部32a、32bが弁座22から離座し、第1弁体10が開弁される。このため、第1噴孔7から噴射が開始され、第1弁体10のリフトとともに第1噴孔7からの噴射量(第1噴射率と呼ぶ)は増加する。
図1、および図4(b)に示すように、ECUからの指令に応じて電磁弁2に通電し、電磁二方弁21が開弁すると、リターン通路25を通じて背圧室17から背圧燃料が排出され背圧が低下する。なお、この背圧の低下は、入口絞り28と出口絞り29の面積比に応じて所定の下降速度で低下する。背圧室17内の燃料圧力が第1弁体10の開弁圧まで低下すると、第1弁体10がリフトされ、第1シート部32a、32bが弁座22から離座し、第1弁体10が開弁される。このため、第1噴孔7から噴射が開始され、第1弁体10のリフトとともに第1噴孔7からの噴射量(第1噴射率と呼ぶ)は増加する。
このとき、第1噴孔7の開放直後は、第1噴孔7の有効断面積(第1噴孔有効面積)よりも第1シール部S1の弁体10と弁座22との第1隙間16の有効面積(第1隙間有効面積)の方が小さいため、第1噴射率は第1隙間有効面積に支配される。従って、噴射初期時の微小リフトでは、第1隙間有効面積は僅かであり、この僅かな第1隙間16を流通する燃料は極微量となるものの、第1、第2貯留室Q1、Q2が備えられていることより、燃料供給が多量に、かつ、即座に実行されて、微小リフトでありながら所定の第1噴射率を得ることができるとともに、良好な噴霧特性を発揮することができる。その後、この第1隙間有効面積は第1弁体10のリフトとともに増加するので、第1噴射率は増加を続ける。
そして、第1隙間有効面積が第1噴孔7の第1噴孔有効面積よりも大きくなると、第1噴射率は、この第1噴孔有効面積に支配され、この第1噴孔有効面積は第1弁体10のリフトにかかわらず一定であるため、第1噴射率は増加することなく一定となる。
(第2噴孔の開弁時)
図1、および図4(c)に示すように、さらに、背圧室17内の燃料圧力が低下して第2弁体11の開弁圧まで低下すると、第2弁体11がリフトを開始し、第3シート部42aが弁座22から離座して、第2弁体11が開弁される。第2弁体11が開弁されると、背圧室17および燃料通路18の燃料が第2噴孔8に流入し、燃料が第2噴孔8から噴射される。このとき、第2噴孔8の開放直後は、第2噴孔8の有効断面積(第2噴孔有効面積)よりも第5シール部S5の第2弁体11と弁座22との第2隙間27の有効面積(第2隙間有効面積)の方が小さいため、第2噴孔8から噴射量(第2噴射率と呼ぶ)はこの第2隙間有効面積に支配される。この第2隙間有効面積は第2弁体11のリフトとともに増加するので、第2噴射率は増加を続ける。
図1、および図4(c)に示すように、さらに、背圧室17内の燃料圧力が低下して第2弁体11の開弁圧まで低下すると、第2弁体11がリフトを開始し、第3シート部42aが弁座22から離座して、第2弁体11が開弁される。第2弁体11が開弁されると、背圧室17および燃料通路18の燃料が第2噴孔8に流入し、燃料が第2噴孔8から噴射される。このとき、第2噴孔8の開放直後は、第2噴孔8の有効断面積(第2噴孔有効面積)よりも第5シール部S5の第2弁体11と弁座22との第2隙間27の有効面積(第2隙間有効面積)の方が小さいため、第2噴孔8から噴射量(第2噴射率と呼ぶ)はこの第2隙間有効面積に支配される。この第2隙間有効面積は第2弁体11のリフトとともに増加するので、第2噴射率は増加を続ける。
そして、第2隙間有効面積が第2噴孔8の第2噴孔有効面積よりも大きくなると、第2噴射率は、第2噴孔有効面積に支配され、この第2噴孔有効面積は第2弁体11のリフトにかかわらず一定であるため、第2噴射率は増加することなく一定となる。この第2噴射率の増加、一定特性は、第1噴射率と変わるところはないが、第2噴射率の増加、一定特性は、エンジンの高回転域での短期間多量噴射などに対応されて、結果、第1、第2噴射率特性の和がエンジンの各気筒内に噴射される。
(噴射終了時)
図1に示すように、ECUからの指令に応じて電磁二方弁21が作動を停止し閉弁すると、リターン通路25による背圧燃料の排出が停止し、燃料供給通路24を通じて高圧燃料が背圧室17に背圧燃料として供給され、背圧が増加する。この結果、まず、第1弁体10において、閉弁方向に作用する付勢力が開弁方向に作用する付勢力よりも大きくなり、第1弁体10が下降を開始する。次に、第2弁体11において、閉弁方向に作用する付勢力が開弁方向に作用する付勢力よりも大きくなり、第2弁体11が下降を開始する。
図1に示すように、ECUからの指令に応じて電磁二方弁21が作動を停止し閉弁すると、リターン通路25による背圧燃料の排出が停止し、燃料供給通路24を通じて高圧燃料が背圧室17に背圧燃料として供給され、背圧が増加する。この結果、まず、第1弁体10において、閉弁方向に作用する付勢力が開弁方向に作用する付勢力よりも大きくなり、第1弁体10が下降を開始する。次に、第2弁体11において、閉弁方向に作用する付勢力が開弁方向に作用する付勢力よりも大きくなり、第2弁体11が下降を開始する。
このとき、第1隙間有効面積が第1噴孔有効面積よりも小さくなると、第1噴射率は、第1隙間有効面積に支配されるようになり、第1噴射率が減少を開始する。そして、第1隙間有効面積は第1弁体10の下降とともに減少するので、第1噴射率は減少を続ける。そして、第1弁体10が弁座22に着座し第1噴孔7が閉鎖される。これにより、第1噴射率が0となる。
また、第2隙間有効面積が第2噴孔有効面積よりも小さくなると、第2噴射率は、第2隙間有効面積に支配されるようになり、第2噴射率が減少を開始する。そして、第2隙間有効面積は第2弁体11の下降とともに減少するので、第2噴射率は減少を続ける。そして、第2弁体11が弁座22に着座し第2噴孔8が閉鎖される。これにより、第2噴射率が0となり、全体の噴射率も0となる。
〔実施例1の効果〕
本発明の燃料噴射ノズル1は、第1噴孔7と弁座22を備えるノズルボディ9と、ノズルボディ9内部に移動可能に収容される第1弁体10と、第1弁体10と弁座22との当接により、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断するシール部であって、第1噴孔7の開口部の上流側に設けられる第1シール部S1と、下流側に設けられる第2シール部S2とを有する2点シール構造のシール部を設け、第1シール部S1と第2シール部S2との間に、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断するように第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、第1弁体10と弁座22とが面状に当接する当接部Aと、第1シール部S1と第1噴孔7の開口部との間、あるいは、第2シール部S2と第1噴孔7の開口部との間の少なくとも一方に、第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、内部に燃料を貯留する貯留室Qとを形成している。
本発明の燃料噴射ノズル1は、第1噴孔7と弁座22を備えるノズルボディ9と、ノズルボディ9内部に移動可能に収容される第1弁体10と、第1弁体10と弁座22との当接により、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断するシール部であって、第1噴孔7の開口部の上流側に設けられる第1シール部S1と、下流側に設けられる第2シール部S2とを有する2点シール構造のシール部を設け、第1シール部S1と第2シール部S2との間に、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断するように第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、第1弁体10と弁座22とが面状に当接する当接部Aと、第1シール部S1と第1噴孔7の開口部との間、あるいは、第2シール部S2と第1噴孔7の開口部との間の少なくとも一方に、第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、内部に燃料を貯留する貯留室Qとを形成している。
第1弁体10と弁座22とが面状に当接する当接部Aを設けることによって、シール面圧を低下でき、第1シール部S1と第2シール部S2を所定のシール面圧に抑えることで、十分なシール性を確保できるとともに、シート磨耗の促進を抑制できる。さらに、貯留室Qを設けることにより第1噴孔7への燃料供給が容易になるので、開弁初期の微小リフト時に良好な噴霧微粒化を得ることができ、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
また、第1噴孔7の上流側の第1シール部S1と第1噴孔7の開口部との間に第1貯留室(上流貯留室)Q1と、下流側の第2シール部S2と第1噴孔7の開口部との間に第2貯留室(下流貯留室)Q2とを2つ設けて、それぞれの貯留室Q1、Q2の貯留容積を略同容積に設定しているので、微小リフト時の第1シール部S1および第2シール部S2の微小隙間を通過して流入する高圧燃料が、それぞれの貯留室Q1、Q2の貯留燃料をより供給し易くなって、しかも、それぞれの貯留燃料を均等に供給して、噴射初期時の噴射圧力ムラの発生を抑制することができるので、良好な噴霧微粒化がより得やすく、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
また、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断するように第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、当接部Aを通じ、貯留室Qと第1噴孔7の開口部との間を高圧燃料が流通するように連通路Rを設け、当接部Aと連通路Rとは、隣り合って交互に複数組配設されている。従って、貯留室Qと第1噴孔7の開口部との連通面積が拡大され、かつ、周方向に均等に配設されるので、微小リフト時の第1シール部S1および第2シール部S2の微小隙間を通過して流入する高圧燃料が、より多量に、即座に、かつ、バラツキなしに第1噴孔7へ流入することができる。従って、良好な噴霧微粒化がより得やすくなり、微小量噴射時の精度向上が可能となる。
〔実施例2の構成〕
本発明の実施例2を図5に示す。図5は、ノズル1の要部を示す拡大断面図と平面図である。実施例1と実質的に同一構成部分に同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
本発明の実施例2を図5に示す。図5は、ノズル1の要部を示す拡大断面図と平面図である。実施例1と実質的に同一構成部分に同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
実施例1のノズル1では、第1噴孔7の開口部の上流側に、第1弁体10と弁座22との当接により、高圧燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断する第1シール部S1と、下流側に第2シール部S2とを有する2点シール構造のシール部を設け、第1シール部S1と第2シール部S2との間に、着座する第1弁体10と弁座22とが面状に当接し、第1噴孔7の開口部の全開口断面に当接する当接部Aと、第1噴孔7の開口部と第1シール部S1との間、あるいは、第2シール部S2との間の少なくとも一方に、第1弁体10と弁座22とを当接させた時に、内部に燃料を貯留する貯留室Qとを設け、貯留室Qと第1噴孔7の開口部との間を、高圧燃料が流通する連通路Rを設けている。
本実施例では、面状に当接する当接部Aが、第1噴孔7の開口部の全開口断面に当接する実施例1とは異なって、第1噴孔7の開口部の一部の開口断面のみに当接するように構成される。そして、当接部Aの面シール部38が所定の面圧値以下となるように当接部Aの有効幅Hを設定し、少なくとも当接部Aが設けられる以外の領域は、貯留室Qとして設定される。従って、第1シール部S1および第2シール部S2との間に形成される2つの貯留室Qの少なくとも一方は、第1噴孔7の開口部の上流側あるいは下流側にラップして、停止時においても貯留室Qと第1噴孔7の開口部とが連通するようになっている。
図5に示すように、第1シート部32a、32bが、弁座22と当接または離間可能に配置され、燃料の流入を遮断または許容する第1シール部S1、第2シール部S2を形成している。第1シート部32a、32bは、各シート部32a、32bを基点として円錐形の傾斜面、つまり、円錐面がなす頂角が弁座22のなす頂角と僅かに異なって形成することで理論的には円形状の線シール部を構成する。この円形状の線シール部を基点として互いに向い合う方向に所定の幅と深さを有する2つの第1凹溝部U1、第2凹溝部U2が、第1噴孔7の開口中心部近傍まで、少なくとも開口周縁部を跨いで延在して設けられている。第1、第2凹溝部U1、U2によって、当接部Aは2つの凹溝部U1、U2の拡大した溝幅だけ縮小された有効幅Hを有する面シール部38を形成している。すなわち、当接部Aは第1噴孔7の開口部の全開口断面に当接するのではなく開口中心部を周方向に連ねて円環状の面シール部38にて開口部の一部の開口断面に当接し、開口部の周辺は、常に、第1凹溝部U1、第2凹溝部U2のいずれか、あるいは双方と連通するように構成されている。
これにより、第1シート部32a、32bの2点シール構造(以下、外側2点シール構造と呼ぶ)の間に第2シート部35a、35bの2点シール構造(以下、内側2点シール構造と呼ぶ)と、この内側2点シール構造の第2シート部35a、35bの間に面シール部38が形成される。そして、第1シート部32a、32bが弁座22に当接または離間することにより、第1、第2シール部S1、S2を形成して、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容すると同時に、第2シート部35a、35bが弁座22に当接または離間することにより、第3、第4シール部S3、S4を形成して、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する。さらに、当接部Aの面シール部38が弁座22の第1噴孔7の開口中心部に当接または離間して、シール面圧を低下させるとともに、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する構成となっている。
このとき、当接部Aの面シール部38は、第1噴孔7の開口部の一部の開口断面のみに当接する有効幅Hしか有していないので、内側2点シール構造の第3シール部S3、第4シール部S4とともに、直接的に第1噴孔7の開口部を遮断するものではない。第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容をするのは、専ら、外側2点シール構造の第1シール部S1、第2シール部S2にてなされる。しかし、当接部Aの面シール部38は、所定の有効幅Hを有しているので、シール面圧を低下させることができ、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する外側2点シール構造のシール部を所定のシール面圧に抑えることで、十分なシール性を確保できるとともに、シート磨耗の促進を抑制できる。
また、さらに、当接部Aの円錐傾斜面に、円錐傾斜面が構成する頂角方向に沿うスリット状の複数のU字形溝を放射状に付設して連通路Rを構成してもよい。連通路Rの配設は、当接部Aの有効幅Hがシート磨耗の促進を抑制する許容面圧値の設定次第で大きくなる場合であって、第1、第2凹溝部U1、U2の溝幅が第1噴孔7の開口部の一部と僅かしか連通しない場合に、特に、有効である。よって、第1、第2貯留室Q1、Q2と第1噴孔7の開口部との連通面積が拡大するので、第1、第2貯留室Q1、Q2に貯留された燃料を多量に、かつ、即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。従って、第1、第2凹溝部U1、U2と第1噴孔7の開口部とのラップによる連通に加えて、連通路Rによる流通が確保できるので、より微小リフト時からの噴霧特性を向上しやすくなる。
本実施例が実施例1と異なるのは主にこのことのみで、他の構成は変わるところはなく、連通路Rの配設に係るU字形溝の深さおよび幅等の条件も変わるところはない。従って、実施例1と同様の作用、効果を奏する。つまり、当接部Aの面シール部38はシール面圧を低下させ、2点シール構造の各シール部のシール面圧を所定の面圧値に抑えることによって、シート磨耗の促進を抑制し、また、当接部Aが着座したときに、第1噴孔7の開口部の一部と第1、第2貯留室Q1、Q2の少なくとも一方とが連通しているため、また、好ましくは、連通路Rによって各貯留室Q1、Q2と開口部との流通が確保できるので、第1、第2貯留室Q1、Q2に貯留された燃料を多量に、かつ、即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。また、実施例1に比べ、弁体の構成が簡素化でき、加工工数の低減が可能となる。
〔実施例3の構成〕
本発明の実施例3を図6に示す。図6は、実施例3におけるノズル1の要部を示す拡大断面図と平面図である。実施例1と実質的に同一構成部分に同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
本発明の実施例3を図6に示す。図6は、実施例3におけるノズル1の要部を示す拡大断面図と平面図である。実施例1と実質的に同一構成部分に同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
本実施例では、実施例1のノズル1のように、面シール部38を有する当接部Aが第1噴孔7の開口部の全開口断面に当接するものでもなく、また、実施例2のように一部の開口断面のみに当接するものでもない。当接部Aと弁座22とを当接させた時に、第1噴孔7の開口部に対向する面シール部38は、開口部の全開口断面とは非当接状態を形成し、開口部を挟んで開口部の上流および下流側の開口周縁部と当接する構成となっている。
つまり、詳しくは、図6に示すように、第3貯留室Q3が第1、第2貯留室Q1、Q2と同様、第3凹溝部U3によって形成されている。そして、当接部Aは、第3凹溝部U3によって略中心部において2つに分割されて、第1噴孔7を挟んで上流側の第1当接部A1、および下流側の第2当接部A2を構成し、第1、第2当接部A1、A2は、所定の面圧値以下となるように各当接部A1、A2の有効幅H1、H2を有した面シール部38を形成して、好ましくは、上流側の第1当接部A1もしくは下流側の第2当接部A2に、第3貯留室Q3が第1、第2貯留室Q1、Q2と連通する連通路Rを設けた構成となっている。
第1シート部32a、32bが、弁座22と当接および離間可能に配置され、燃料の流入を遮断および許容する第1シール部S1、第2シール部S2を形成している。第1シート部32a、32bは、各シート部32a、32bを基点として円錐形の傾斜面、つまり、円錐面がなす頂角が弁座22のなす頂角と僅かに異なって形成することで理論的には円形状の線シール部を構成する。この円形状の線シール部を基点として互いに向い合う方向に所定の幅と深さを有する2つの第1凹溝部U1、第2凹溝部U2が、第1噴孔7の開口周縁部まで設けられている。第1、第2凹溝部U1、U2によって、当接部Aは2つの凹溝部U1、U2の溝幅だけ縮小されるものの第1噴孔7の開口周縁部に当接する幅広の当接部Aを形成する(ここまでは実施例1と同じ態様である)。
そして、本実施例では、さらに、当接部Aの略中央部で第1噴孔7の開口部に対向する位置に、開口周縁部と当接する面シール部38を上流側および下流側にそれぞれ形成して、第1当接部A1と第2当接部A2を形成する第3凹溝部U3を設けている。つまり、第1噴孔7の開口部は、当接部Aにて当接されるのではなく、開口周縁部を上流側は第1当接部A1にて、下流側は第2当接部A2にて当接されて、第1噴孔7の開口部は、開口部を挟んで開口部の上流および下流側の第1当接部A1と第2当接部A2との間に形成される第3貯留室Q3と連通する状態で閉塞するように構成されている。
これにより、第1シート部32a、32bの2点シール構造(以下、外側2点シール構造と呼ぶ)の間に第2シート部35a、35bの2点シール構造(以下、内側2点シール構造と呼ぶ)と、この内側2点シール構造の間に第4シート部36a、36bの2点シール構造(以下、最内側2点シール構造と呼ぶ)が構成される。また、第2シート部35aと第4シート部36aとの間(つまり、第1当接部A1)、および第2シート部35bと第4シート部36bとの間(つまり、第2当接部A2)にそれぞれ面シール部38が構成される。
従って、第1シート部32a、32bが弁座22に当接または離間することにより、第1、第2シール部S1、S2を形成して、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する。また、第2シート部35a、35bが弁座22に当接または離間することにより、第3、第4シール部S3、S4を形成して、さらに、第4シート部36a、36bが弁座22に当接または離間することにより、第6、第7シール部S6、S7を形成する。よって、原理的には、2点シール構造の3重化構成によりシールを直列化するので、高シール性が得られやすいが、後述するように、第1、第2当接部A1、A2に連通路Rを設ける場合には、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容するのは、専ら、第1、第2シール部S1、S2の外側2点シール構造にてなされる構成となっている。
このとき、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断するに際し、第1、第2当接部A1、A2の各面シール部38は、第1噴孔7の開口周縁部と当接してシール面圧を低下させることができ、第1噴孔7へ燃料が流入するのを遮断または許容する2点シール構造の各シール部を所定のシール面圧値に抑えることで、高シール性を確保できるとともに、シート磨耗の促進を抑制できる。また、第1噴孔7の開口部に対向して第3貯留室Q3を設けているため、貯留された燃料を即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。
また、さらに、当接部Aの円錐傾斜面に、円錐傾斜面が構成する頂角方向に沿うスリット状の複数のU字形溝を、実施例1と同様に、放射状に付設して連通路Rを構成してもよい。スリット状のU字形溝は、第1、第2当接部A1、A2の有効幅H1、H2が許容面圧値の設定次第で大きくなる場合であって、従って、第1、第2貯留室Q1、Q2から第3貯留室Q3への燃料流れの流通抵抗が増加して、噴射圧力が低下する場合に、特に有効であり、第1、第2貯留室Q1、Q2と第3貯留室Q3との連通面積を拡大させるため、第1、第2貯留室Q1、Q2に貯留された燃料を流通抵抗もなく多量に、かつ、即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。従って、第1、第2当接部A1、A2の有効幅H1、H2が許容面圧値の設定次第で小さくて済む場合でも、第1、第2貯留室Q1、Q2と第3貯留室Q3との連通面積を拡大させるため、より微小リフト時の噴霧特性を向上しやすくなる。
なお、本実施例では、当接部Aを2つの第1、第2当接部A1、A2に分割し、2つの当接部A1、A2の間に第3貯留室Q3を設けて第1噴孔7の開口部と連通させているが、これに限ることなく、当接部Aをさらに2つ以上の多数に分割して、それに伴い貯留室Qで接続する構成であってもよい。また、2つに分割した第1、第2当接部A1、A2は、その有効幅H1、H2が必ずしも等幅である必要はなく、また、有限幅である必要はない。つまり、当接部Aのシール面圧が所定の面圧値以下に低下できるならば、有効幅H1と有効幅H2の幅が異なっていてもよく、また、幅なしの線シール部のみで少なくとも互いの貯留室が接続する構成であってもよい。
本実施例が実施例1と異なるのは主にこのことのみで、他の構成および条件は変わるところはない。従って、実施例1と同様の作用、効果を奏する。
シート磨耗の促進を抑制する許容面圧値以下となす面シール部38の有効幅H1を有する第1当接部A1と有効幅H2を有する第2当接部A2との間に第3貯留室Q3を設けて、第1噴孔7の開口周縁部に当接して、燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断する構成であり、第1、第2当接部A1、A2を通じて、第1、第2貯留室Q1、Q2と第3貯留室Q3とを燃料が流通する連通路Rを設けているので、第1、第2貯留室Q1、Q2に貯留された燃料を多量に、かつ、即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。また、実施例1に比べ、弁体の構成が簡素化でき、加工工数の低減が可能となる。
シート磨耗の促進を抑制する許容面圧値以下となす面シール部38の有効幅H1を有する第1当接部A1と有効幅H2を有する第2当接部A2との間に第3貯留室Q3を設けて、第1噴孔7の開口周縁部に当接して、燃料が第1噴孔7へ流入するのを遮断する構成であり、第1、第2当接部A1、A2を通じて、第1、第2貯留室Q1、Q2と第3貯留室Q3とを燃料が流通する連通路Rを設けているので、第1、第2貯留室Q1、Q2に貯留された燃料を多量に、かつ、即座に第1噴孔7へ流入させ、微小リフト時の噴霧特性をより向上させることが可能となる。また、実施例1に比べ、弁体の構成が簡素化でき、加工工数の低減が可能となる。
〔他の実施例〕
実施例1ないし実施例3のノズル1は、所謂可変噴孔式ノズルの第1弁体10(外側ニードル)による第1噴孔7(外側噴孔)を挟んで上下流側をシールする2点シール構造について適用したが、これに限らず、外側噴孔の上流側は外側ニードルの、そして下流側は内側ニードルの1点シール構造により構成される可変噴孔式ノズルのシールを目的とする場合に適用してもよい。また、可変噴孔式ノズル以外の通常の2点シール構造にも適用でき、同様な作用効果を奏することができる。また、実施例1ないし実施例3のノズル1は、流体が燃料を使用した場合について説明したが、燃料以外の他の流体についても適用可能なことはいうまでもない。
実施例1ないし実施例3のノズル1は、所謂可変噴孔式ノズルの第1弁体10(外側ニードル)による第1噴孔7(外側噴孔)を挟んで上下流側をシールする2点シール構造について適用したが、これに限らず、外側噴孔の上流側は外側ニードルの、そして下流側は内側ニードルの1点シール構造により構成される可変噴孔式ノズルのシールを目的とする場合に適用してもよい。また、可変噴孔式ノズル以外の通常の2点シール構造にも適用でき、同様な作用効果を奏することができる。また、実施例1ないし実施例3のノズル1は、流体が燃料を使用した場合について説明したが、燃料以外の他の流体についても適用可能なことはいうまでもない。
1 燃料噴射ノズル(ノズル)
7 第1噴孔(外側噴孔)
8 第2噴孔
9 ノズルボディ
10 第1弁体(外側ニードル)
11 第2弁体(内側ニードル)
22 弁座
38 面シール部(当接面)
A 当接部
A1 第1当接部
A2 第2当接部
Q 貯留室
Q1 第1貯留室(上流貯留室)
Q2 第2貯留室(下流貯留室)
Q3 第3貯留室
R 連通路
S シール部
S1 第1シール部
S2 第2シール部
S3 第3シール部
S4 第4シール部
S5 第5シール部
S6 第6シール部
S7 第7シール部
7 第1噴孔(外側噴孔)
8 第2噴孔
9 ノズルボディ
10 第1弁体(外側ニードル)
11 第2弁体(内側ニードル)
22 弁座
38 面シール部(当接面)
A 当接部
A1 第1当接部
A2 第2当接部
Q 貯留室
Q1 第1貯留室(上流貯留室)
Q2 第2貯留室(下流貯留室)
Q3 第3貯留室
R 連通路
S シール部
S1 第1シール部
S2 第2シール部
S3 第3シール部
S4 第4シール部
S5 第5シール部
S6 第6シール部
S7 第7シール部
Claims (10)
- 噴孔が形成されるノズルボディと、
前記ノズルボディの内部に移動可能に収容される弁体とを備え、
前記弁体と前記ノズルボディとの当接または離間により、前記噴孔を開閉して高圧流体が前記噴孔へ流入するのを遮断または許容するシール部としての機能を具備し、
前記シール部が、前記噴孔の開口部の上流側に設けられる第1シール部と前記開口部の下流側に設けられる第2シール部とを有する流体噴射ノズルにおいて、
前記弁体は、前記ノズルボディに当接した時に、前記第1シール部と前記第2シール部との間で前記弁体と前記ノズルボディとが面状に当接する当接部を有し、
前記弁体が前記ノズルボディに当接した時に、内部に高圧流体を貯留する貯留室が、前記第1シール部と前記開口部との間、あるいは、前記第2シール部と前記開口部との間、の少なくとも一方に形成されることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項1に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記当接部は、前記弁体と前記ノズルボディとが初期当接した時に、前記当接部と前記ノズルボディとの間に僅かな隙間が形成され、
初期当接の後、さらに前記弁体が前記ノズルボディに接近して前記ノズルボディに安定当接した時に、前記弁体と前記ノズルボディとが面状に当接するように形成されることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項1または請求項2に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記貯留室は、
前記第1シール部と前記開口部との間に設けられる上流貯留室と、
前記第2シール部と前記開口部との間に設けられる下流貯留室と、を有することを特徴
とする流体噴射ノズル。 - 請求項3に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記上流貯留室の貯留容積と前記下流貯留室の貯留容積とは、略同容積に設定されることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の流体噴射ノズルにおいて、
高圧流体が前記噴孔へ流入するのを遮断するように前記弁体と前記ノズルボディとを当接させた時に、前記当接部を通じ、前記貯留室と前記開口部との間を高圧流体が流通する連通路を有することを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項5に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記当接部と前記連通路とは、隣り合って交互に複数組配設されることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項6に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記連通路は、前記弁体の軸方向線に対して傾斜して設けられることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項6または請求項7に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記当接部は、高圧流体が前記噴孔へ流入するのを遮断するように前記弁体と前記ノズルボディとを当接させた時に、前記弁体の軸方向位置における前記開口部が設けられるその全開口部を含む全周に渡る領域のみにて前記弁体と前記ノズルボディとを当接状態とし、かつ、前記弁体が前記開口部の全開口断面のうち、一部の開口断面を閉塞するように設けられ、
前記第1シール部および前記第2シール部との間における、前記当接部が設けられる以外の領域が前記貯留室になるように形成されることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項6または請求項7に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記当接部は、高圧流体が前記噴孔へ流入するのを遮断するように前記弁体と前記ノズルボディとを当接させた時に、前記弁体の軸方向位置における前記開口部が設けられるその全開口部を含む全周に渡る領域にて前記弁体と前記ノズルボディとを非当接状態とし、かつ、前記弁体が前記開口部の全開口断面を閉塞しないように形成されることを特徴とする流体噴射ノズル。 - 請求項1に記載の流体噴射ノズルにおいて、
前記弁体は、前記噴孔の中で先に開放される第1噴孔を開閉する第1弁体と、
前記第1弁体に収容され、前記第1弁体と同軸方向に移動して、前記第1噴孔よりも後に開放される第2噴孔を開閉する第2弁体とからなり、
前記第1弁体が前記当接部を有し、
前記第1弁体が前記ノズルボディに当接した時に、前記貯留室が形成されることを特徴とする流体噴射ノズル。
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|---|---|---|---|
| JP2007116836A JP2008274792A (ja) | 2007-04-26 | 2007-04-26 | 流体噴射ノズル |
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2012017732A (ja) * | 2010-07-07 | 2012-01-26 | Waertsilae Switzerland Ltd | 内燃機関のための燃料噴射機 |
| CN108799600A (zh) * | 2018-06-29 | 2018-11-13 | 万向钱潮股份有限公司 | 汽车abs用线性常开电磁阀 |
| CN110407292A (zh) * | 2018-04-28 | 2019-11-05 | 芜湖美的厨卫电器制造有限公司 | 射流器及软水阀 |
-
2007
- 2007-04-26 JP JP2007116836A patent/JP2008274792A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| CN110407292B (zh) * | 2018-04-28 | 2024-02-20 | 芜湖美的厨卫电器制造有限公司 | 射流器及软水阀 |
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