JP2009001432A - 水素発生材料組成物および水素の製造方法 - Google Patents

水素発生材料組成物および水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水素発生反応の制御が容易な水素発生材料組成物および水素の製造方法を提供する。
【解決手段】 特定の金属粉末と、水の共存下において所定の転移温度以下で親水性を呈しかつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーとを含有する水素発生材料組成物、および、前記水素発生材料組成物と水とを反応させるか、または、特定の金属粉末を含有する水素発生材料組成物と前記親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有する水とを反応させる水素の製造方法により、前記課題を解決する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、水と反応して水素を発生させる水素発生材料組成物と、水素の製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピューター、携帯電話などのコードレス機器の普及に伴い、その電源である二次電池は、ますます小型化、高容量化が要望されている。現在、エネルギー密度が高く、小型軽量化を図り得る二次電池としてリチウムイオン二次電池が実用化されており、ポータブル電源としての需要が増大している。しかし、使用されるコードレス機器の種類によっては、このリチウムイオン二次電池では未だ十分な連続使用時間を保証する程度までには至っていない。
このような状況の中で、前記の要望に応え得る電池の一例として、固体高分子型燃料電池が挙げられる。電解質に固体高分子電解質、正極活物質に空気中の酸素、負極活物質に燃料(水素、メタノールなど)を用いる固体高分子型燃料電池は、リチウムイオン二次電池よりも高エネルギー密度化が期待できる電池として注目されている。燃料電池は、燃料および酸素の供給さえ行えば連続的に使用することができる。
燃料電池については、使用する燃料に関していくつかの候補が挙げられているが、それぞれ種々の問題点を有しており、最終的な決定が未だなされていない。
燃料に水素を用いる燃料電池としては、例えば、高圧タンクまたは水素吸蔵合金タンクに蓄えた水素を供給する方法が一部で実用化されているが、体積および重量が大きくなりエネルギー密度が低下するため、ポータブル電源用途には適さないという欠点を有している。
また、燃料電池の燃料として、炭化水素系燃料を用い、それを改質して水素を取り出す方法もあるが、改質装置が必要となり改質装置への熱の供給および断熱などの問題があるため、やはりポータブル電源用途には不適である。この他、燃料としてメタノールを用い、直接電極でメタノールを燃料として反応させる直接メタノール型燃料電池もあり、これは小型化が容易で、将来のポータブル電源として期待されているが、メタノールのクロスオーバーによる電圧の低下およびエネルギー密度の減少という問題がある。
このような状況下において、水と、例えばアルミニウム、マグネシウム、ケイ素、亜鉛などの金属からなる水素発生物質とを、100℃以下の低温で化学反応させて水素を発生させ、この水素を燃料電池の燃料に適用する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1では、前記のような金属からなる水素発生物質を、触媒の存在下で、pH4〜10の水と反応させる水素の製造方法を提案しており、前記触媒の添加剤として、ポリエチレングリコールなどの水溶性有機化合物を使用することで、水素発生物質である金属と触媒とを粉砕した際に生成する金属の新たな表面(酸化されていない表面)をコートして、その状態を維持できるとしている。
特表2004−505879号公報
ところで、前記のような金属からなる水素発生物質と水とによる水素発生反応は、発熱を伴うため、反応系内の温度の上昇と共に反応速度が急激に高まって、より激しく発熱するようになるなど、制御が困難となる虞がある。
水素発生物質と水とによる水素発生反応を制御するには、例えば、水素発生物質へ水を供給する際に、水供給ポンプなどの機械的制御手段を用いて、水の供給量を調節する方法が考えられる。しかしながら、水素発生反応の制御に前記のような機械的制御手段が必須になると、水素製造を行う水素製造装置や、これを燃料供給源とする燃料電池において、サイズや重量の増大の原因となるため、例えば、小型化・軽量化が求められるポータブル電源用途などへの適用の際には非常に不利になる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水素発生反応の制御が容易な水素発生材料組成物および水素の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の水素発生材料組成物は、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの1種以上の金属元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属の粉末と、水の共存下において所定の転移温度以下で親水性を呈しかつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーとを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の水素の製造方法は、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの1種以上の金属元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属の粉末を少なくとも含む水素発生材料組成物と、水とを反応させて水素を発生させる水素の製造方法であって、前記水素発生材料組成物および前記水の少なくとも一方に、水の共存下において所定の転移温度以下で親水性を呈しかつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有させることを特徴とする。
本発明によれば、水素発生反応の制御が容易な水素発生材料組成物および水素の製造方法を提供することができる。そのため、本発明を適用する水素製造装置および該水素製造装置を水素供給源とする燃料電池では、水素発生反応を制御するに当たり、例えば、水素発生物質となる金属粉末に水を供給する際に水供給量を制御するための水供給ポンプなどの機械的な制御手段を省略できるため、小型化・軽量化を図ることができる。
本発明は、水素発生物質として作用する金属粉末を含む水素発生材料組成物と水とを反応させて水素を発生させる水素発生反応の系内に、水の共存下において、所定の転移温度以下で親水性を呈しかつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマー(以下、「熱可逆型ポリマー」と省略する場合がある)を存在させる点に特徴を有している。
親水性−疎水性熱可逆型ポリマーは、水の共存下において、所定の温度(すなわち、前記転移温度)以下では親水性が強くなり、前記温度を超えると疎水性が強くなる性質を有している。よって、前記の通り水素発生反応は発熱反応であるため、水素発生材料組成物と水との反応が開始した段階では、反応系内の熱可逆型ポリマーは親水性を呈し、例えば、水素発生反応に供される水中に溶解したり分散したりする。そして、水素発生反応が進行し、反応系内の温度が上昇して熱可逆型ポリマーの転移温度を超えると、熱可逆型ポリマーが親水性から疎水性に転じて析出したり凝集したりするなどして、水素発生材料組成物中の金属粉末の周りに付着したり、金属粉末同士を凝集させたりする。そのため、金属粉末と水との接触面積が小さくなることから、水素発生量が減り、反応系内の更なる温度上昇が抑制されるため、安全に水素製造を行うことができる。
一方、水素発生反応が抑制されることで、反応系内の温度が低下して熱可逆型ポリマーの転移温度以下になると、熱可逆型ポリマーが、疎水性から親水性に転じて水中に溶解したり分散したりするため、金属粉末と水との接触面積が大きくなって、水素発生量が増加する。
このように、本発明では、熱可逆型ポリマーの親水性・疎水性の温度依存性を利用することで、例えば水素発生材料組成物に供給する水量を調節する水供給ポンプなどの機械的制御手段を用いなくても、水素発生反応を容易に制御することが可能であり、水素製造を安全に継続することができる。
親水性−疎水性熱可逆型ポリマーの転移温度としては、水素発生反応時における熱暴走をより良好に防止する観点から、100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましい。なお、熱可逆型ポリマーの転移温度が低すぎると、水素発生反応の進行を阻害する虞があることから、その転移温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。
水の共存下において、所定の転移温度以下で親水性を呈し、かつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーとしては、例えば、アクリルアミド類をモノマーとする単独重合体または共重合体が挙げられ(なお、本明細書でいう「アクリルアミド類」とは、アクリルアミドおよびその誘導体、並びにメタクリルアミドおよびその誘導体を意味している)、より詳細には、下記の(1)〜(3)のポリマーが例示できる。
(1)単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類をモノマーとする単独重合体、または2種以上の前記モノマーから形成される共重合体。
(2)単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類と、前記アクリルアミド類以外のビニル化合物とをモノマーとする共重合体。
(3)単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類と、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物とをモノマーとする共重合体。
(1)および(2)の態様の熱可逆型ポリマーを形成するための、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類としては、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドとメタクリルアミドとを意味する。以下同じ。]、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−アクロイルピロリジン、N−アクロイルピペリジンなどが挙げられる。
(1)および(2)の態様の熱可逆型ポリマーを形成するに当たっては、前記のアクリルアミド類を、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記のアクリルアミド類の単独重合体は、それぞれ固有の転移温度を有しており、水が存在する環境下において、前記転移温度以下では親水性を呈し、前記転移温度を超えると疎水性を呈するようになる。
(2)の態様の熱可逆型ポリマーを形成するための、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類以外のビニル化合物としては、例えば、下記の親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物、親油性ビニル化合物などが挙げられる。
親水性ビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ヒドロキシジメチル(メタ)アクリレート[(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートとを意味する。以下同じ。]、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
イオン性ビニル化合物としては、例えば、アクリル酸およびその塩;メタクリル酸およびその塩;スチレンスルホン酸およびその塩;2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸およびその塩;アミン類[N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど]およびその塩;などが挙げられる。
親油性ビニル化合物としては、例えば、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート類;アクリロニトリル;塩化ビニル;酢酸ビニル;スチレン;α−メチルスチレン;などが挙げられる。
(2)の態様の熱可逆型ポリマーを形成するに当たっては、前記の単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類以外のビニル化合物を、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)の態様の熱可逆型ポリマーでは、単独重合体の場合には、モノマーとなる前記アクリルアミド類(単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類)の選択により、転移温度を調整することができ、また、共重合体の場合には、モノマーとなる前記アクリルアミド類の組み合わせの選択により、転移温度を調整することができる。例えば、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類を2種以上用いて形成される共重合体の熱可逆型ポリマーでは、それぞれのアクリルアミド類から形成される単独重合体の転移温度と、共重合体組成との間に加成性が成り立つことが多い。そのため、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類を2種以上用いて形成される共重合体の熱可逆型ポリマーの場合には、重合に使用するアクリルアミド類それぞれの単独重合体の転移温度を把握しておけば、アクリルアミド類の組成比の調節によって、重合後の熱可逆型ポリマーの転移温度を調整できる。
(2)の態様の熱可逆型ポリマーでは、モノマーとなる前記アクリルアミド類(単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類)や、その他のビニル化合物(前記アクリルアミド類以外のビニル化合物)の組み合わせを選択したり、これらのモノマーの組成比を調節したりすることによって、転移温度を調整することができる。なお、(2)の態様の熱可逆型ポリマーでは、前記の単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類以外のビニル化合物として、前記の親水性ビニル化合物を使用すると、通常、転移温度は、使用する前記アクリルアミド類(単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類)の単独重合体の転移温度よりも上昇する傾向にあり、他方、少量の親油性ビニル化合物を使用すると、通常、転移温度は、使用する前記アクリルアミド類の単独重合体の転移温度よりも低下する傾向にある。なお、親油性ビニル化合物を多量に使用してポリマーを形成すると、水不溶性となり、熱可逆性のないポリマーとなる虞がある。
(2)の態様の熱可逆型ポリマーを重合するに際しては、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類以外のビニル化合物の共重合割合は、これらビニル化合物の種類などにもよるが、例えば、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類と、前記アクリルアミド類以外のビニル化合物との合計100モル%中、90モル%以下とすることが好ましく、60モル%以下とすることがより好ましい。なお、本発明に係る熱可逆型ポリマーは、(1)の態様、すなわち、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類のみから形成される単独重合体または共重合体でもよいため、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類と、前記アクリルアミド類以外のビニル化合物との合計100モル%中における前記ビニル化合物の共重合割合の下限値は0モル%であってもよい。
(3)の態様の熱可逆型ポリマーを形成するための、熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(3)の態様の熱可逆型ポリマーを形成するための、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物としては、例えば、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチルヘキシロキシプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−フルフリルメタクリルアミド、N−アクリロイル−2,6−ジメチルモルホリン、N−クロロプロピルアクリルアミド、N−メチルチオプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリレート類およびメタクリレート類;アクリロニトリル;塩化ビニル;酢酸ビニル;スチレン;α−メチルスチレン;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(3)の態様の熱可逆型ポリマーでは、モノマーとなる前記アクリルアミド類(熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類)、および単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物の組み合わせを選択したり、これらのモノマーの組成比を調節したりすることによって、転移温度を調整することができる。例えば、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物の中でも、親水性を示すビニル化合物を少量使用した場合には、通常、転移温度が上昇する傾向にあり、他方、親油性を示すビニル化合物を少量使用した場合には、通常、転移温度が低下する傾向にある。なお、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物として、親水性を示すビニル化合物を多量に使用してポリマーを形成すると水溶性となり、親油性を示すビニル化合物を多量に使用してポリマーを形成すると水不溶性となって、何れも熱可逆性のないポリマーとなる虞がある。
(3)の態様の熱可逆型ポリマーを重合するに際しては、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類の共重合割合は、これらアクリルアミド類や、組み合わせるビニル化合物(単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物)の種類などにもよるが、例えば、単独で重合して熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類と、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物との合計100モル%中、40モル%以上とすることが好ましく、60モル%以上とすることがより好ましく、また、99モル%以下とすることが好ましく、95モル%以下とすることがより好ましい。
なお、本発明に係る親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが単独重合体[(1)の態様のうちの単独重合体]の場合には、転移開始から終了までの温度幅が非常に狭く、この熱可逆型ポリマーを水素発生反応系内に存在させた際には、水素発生反応の進行による反応系内の温度上昇の際に、狭い温度幅で完全に疎水性を呈するようになるといった特徴がある。他方、本発明に係る親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが共重合体[(1)の態様のうちの共重合体、(2)の態様の熱可逆型ポリマー、および(3)の態様の熱可逆型ポリマー]の場合には、転移開始から終了までの温度幅が、単独重合体のものに比べて広く、これらの熱可逆型ポリマーを水素発生反応系内に存在させた際には、水素発生反応の進行による反応系内の温度上昇の際に、単独重合体のものよりも広い温度域にわたって温度の上昇と共に疎水性を呈するようになるといった特徴がある。よって、水素発生反応が行われる環境などに応じて、適切な特性を有する熱可逆型ポリマーを選択することが可能であり、より安全に水素発生反応を制御することができる。
親水性−疎水性熱可逆型ポリマーの重合方法には、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、パール重合法など、ビニル化合物をモノマーとして用いる公知の各種重合法を採用することができ、中でも溶液重合法が好ましい。以下、溶液重合法により熱可逆型ポリマーを重合する場合を中心に、詳細に説明する。
重合に使用する溶媒については特に制限は無く、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;二塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素含有炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;などが挙げられる。これらの溶媒は1単独で用いてもよく、重合に支障が無ければ2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエンなど)が特に好ましい。
反応溶液(モノマーの前記溶媒溶液)中のモノマー濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であって、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
重合開始方法については、ビニル化合物の溶液重合法で採用されている公知の各種方法、例えば、ラジカル重合開始剤の共存下で反応溶液を加熱する方法、反応溶液に放射線または電子線を照射する方法、光増感剤の共存下で反応溶液に光照射する方法などを採用することができる。
ラジカル重合開始剤を使用する重合開始方法を採用する場合に使用可能なラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸などのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、過酢酸などの過酸化物系重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダなどの過硫酸系重合開始剤;過酸化水素−Fe(II)塩・過酸化水素−L−アスコルビン酸、過硫酸アンモニウム−亜硫酸ナトリウム、硫酸セリウムとアルコール、硝酸第二セリウムアンモニウム、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリンなどのレドックス系重合開始剤;などが挙げられる。これらの中でも、アゾ系重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリルなど)や、レドックス系重合開始剤(硝酸第二セリウムアンモニウムなど)が特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
熱可逆型ポリマーを重合する場合の重合温度は、採用する重合方法や使用する重合開始方法、ラジカル重合開始剤を使用する場合にはその種類などに応じて変動することがあるが、通常、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
なお、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーは、例えば、熱可逆型増粘剤として、特開昭64−14276号公報や特開平2−75682号公報により公知であり、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを重合するに当たっては、これらの文献を参考にすることができる。また、アルドリッチ社などから市販品として入手可能な熱可逆型ポリマーもある。
本発明において、水素発生物質として作用する金属粉末には、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムといった金属;アルミニウム、亜鉛、カルシウムおよびマグネシウムの中の1種以上の金属元素を主体とする合金;の粉末が使用される。
アルミニウム、亜鉛、カルシウムおよびマグネシウムの中の1種以上の金属元素を主体とする合金の場合には、主体となる前記の各金属元素以外の元素については特に限定されない。ここで、「主体」とは、合金全体に対して80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有されていることを意味する。
アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムといった金属や、アルミニウム、亜鉛、カルシウムおよびマグネシウムの中の1種以上の元素を主体とする合金は、常温では水と反応しにくいが、加熱することにより水との発熱反応が容易となる物質である。なお、本明細書において常温とは、20〜30℃の範囲の温度である。
例えば、アルミニウムと水の場合、水素および酸化生成物を生成する反応は次式のようになる。
2Al+6HO → Al・3HO+3H (1)
2Al+4HO → Al・HO+3H (2)
2Al+3HO → Al+3H (3)
なお、前記の金属の粉末や合金の粉末(以下、前記金属の粉末と前記合金の粉末を纏めて「金属粉末」という)は、表面に酸化皮膜を形成して安定化する。このため、水素発生物質の粒径をできるだけ小さくし、反応面積を大きくすることが好ましい。例えば、金属粉末の形態としては、0.1〜100μmの粒径の粒状またはフレーク状であることが好ましく、粒径は、0.1〜50μmであることがより好ましい。金属粉末の粒径が100μm以下であることにより、スムーズに水素発生が起こるからである。更に金属粉末の粒径を小さくすると水素発生速度が増加するが、0.1μmより粒径が小さくなると、引火性が高まり取り扱いが困難になる。また、嵩密度が小さくなるため、金属粉末の充填密度が低下し、エネルギー密度が低下しやすくなる。このため、金属粉末の粒径は、0.1μm以上とすることが好ましい。
なお、本明細書でいう金属粉末の粒径は、平均粒径であり、体積基準の積算分率50%における粒子直径の値を意味している。平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法などを用いることができる。具体的には、水などの液相に分散させた測定対象物質にレーザー光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法である。レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、日機装株式会社製の「マイクロトラックHRA」などを用いることができる。
また、前記の金属粉末を、水と反応して発熱する発熱材料(前記金属粉末以外の材料)と共に用いることにより、低温(例えば5℃程度)の水を供給しても、前記発熱材料の発熱によって反応系内の温度を高めて、迅速な水素発生を可能にできる。
水と反応して発熱する発熱材料は、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムなどのように、水との反応により水酸化物となったり、水和することにより発熱するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、塩化物、硫酸化合物などを例示することができる。また、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化リチウムなどの金属水素化物などのように水との反応により水素を生成しつつ発熱するものも発熱材料としても用いることができる。
なお、例えば発熱材料に関して、鉄粉のように酸素と反応して発熱するものも知られている。しかし、鉄粉を発熱材料として使用する場合には、反応時に酸素を導入しなければならず、金属粉末と発熱材料が同一の反応容器内に配される場合は、発生する水素の純度が低下したり、金属粉末が酸素によって酸化されて水素発生量が低下したりするなどの問題が生じやすくなる。そのため、発熱材料としては、水と反応して発熱する材料が好適に用いられる。
水素を製造するに当たっては、前記金属粉末を少なくとも含む水素発生材料組成物に水を供給することにより、金属粉末と水とを反応させて水素を発生させる。
水素発生材料組成物は、前記金属粉末の他に、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーも含むもの、すなわち、本発明の水素発生材料組成物であってもよく、また、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含まないものであってもよい。なお、いずれの場合でも、水素発生材料組成物は、前記発熱材料も含有していることが好ましい。
親水性−疎水性熱可逆型ポリマーも含む水素発生材料組成物を用いて水素を製造する場合には、前記水素発生材料組成物に水を供給すればよく、これにより水素発生反応を良好に制御しつつ、水素製造を行うことができる。
他方、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含まない水素発生材料組成物を用いて水素を製造する場合には、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有する水を水素発生材料組成物に供給すればよく、これにより水素発生反応を良好に制御しつつ、水素製造を行うことができる。熱可逆型ポリマーを含有する水においては、熱可逆型ポリマーは溶解していてもよく、分散していてもよい。また、この場合、水素発生材料組成物は、金属粉末のみから構成されていてもよく、例えば、前記のように、金属粉末と発熱材料とを含んでいてもよい。
なお、水素発生材料組成物においては、金属粉末と熱可逆型ポリマーや発熱材料とは、均一に分散していてもよく、不均一に分散していても構わない。例えば、発熱材料については、水素発生反応を生じさせる反応容器内において、最初に水が供給される箇所(例えば、後記の水供給管の管口部近傍)に偏在させることにより、最初に発熱材料と水とを反応させ、これにより生じる反応熱を金属粉末と水との水素発生反応の開始に利用できるため、水の供給から水素発生が開始するまでの時間を、より短くすることができる。
また、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含まない水素発生材料組成物を用いて水素を製造する場合に供給する水には、常に親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有させておく必要は無く、水素発生反応を制御するのに十分な量の熱可逆型ポリマーが反応系内に供給された後は、熱可逆型ポリマーを含有しない水を供給して水素製造を継続してもよい。
水素製造時の反応系内の温度や水素発生速度の制御は、水素発生材料組成物に含有させたり水素発生材料組成物に供給する水に含有させる親水性−疎水性熱可逆型ポリマーの量や、前記熱可逆型ポリマーの転移温度の選択によって行うことができる。水素製造時の反応系内の温度は、あまり高くなりすぎると、水素発生反応が急激に進行して制御が困難になることがあるため、反応系内の温度が120℃以下となるように熱可逆型ポリマーの使用量や転移温度を調節することが好ましく、反応時に使用する水が蒸発して失われるのをより防ぐためには、反応系内の温度が100℃以下となるように熱可逆型ポリマーの使用量や転移温度を調節することがより好ましい。また、水素発生反応の効率の観点からは、反応系内の温度が40℃以上となるように熱可逆型ポリマーの使用量や転移温度を調節することが好ましい。なお、水素製造時の反応系内の温度を前記のように制御するには、熱可逆型ポリマーには、前記の好適な転移温度を有するものを使用することが好ましい。
水素製造時に使用する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーの量としては、熱可逆型ポリマーの使用による効果をより確実に確保する観点からは、水素発生物質として機能する金属粉末100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、熱可逆型ポリマーを、このような使用量となるように、水素発生材料組成物に含有させたり、水素発生材料組成物に供給する水に含有させたりすればよい。他方、熱可逆型ポリマーの使用量をあまり多くしても効果が飽和するため、金属粉末100質量部に対して、熱可逆型ポリマーの量を、50質量部以下とすることが好ましく、45質量部以下とすることがより好ましく、熱可逆型ポリマーを、このような使用量となるように、水素発生材料組成物に含有させたり、水素発生材料組成物に供給する水に含有させたりすればよい。
また、水素発生材料組成物に発熱材料を使用する場合には、水素発生材料組成物が熱可逆型ポリマーを含有する場合、含有しない場合のいずれにおいても、金属粉末と発熱材料との合計100質量%中、金属粉末の量を85質量%以上とすることが好ましい。金属粉末と発熱材料の合計中の金属粉末量が少なすぎると、水素発生量が低下することがある。
水素製造を行う水素製造装置としては、特に制限は無く、例えば、水素発生材料組成物を収容する容器(水素発生材料組成物収容容器)を備え、その内部に水を供給して水素発生材料組成物と反応させ、生成する水素を取り出す機構を有する水素製造装置が使用できる。
水素発生材料組成物収容容器の形態は特に限定されないが、水の供給口と水素の排出口を備え、内部を密閉可能にして水および水素が外部に漏れないような構造とすることが望ましい。水素発生材料組成物収容容器に用いる材質は水および水素を透過しにくく、かつ100℃程度に加熱しても破損しない材質であれば特に限定されない。例えば、耐熱ガラス、チタン、ニッケルなどの金属およびポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂を用いることができる。
水素発生装置の一例の断面模式図を図1に示す。なお、図1では、各構成要素の理解を容易にする目的で、一部の構成要素(管)については、断面であることを示す斜線を付していない。この水素製造装置は、水素発生材料組成物6を収容する収容容器2と蓋3とを備えた反応容器1と、蓋3に設けられた水の供給管4を通じて水7を反応容器1内に供給する水を収容するための水収容容器8とを有しており、発生した水素は、蓋3に設けられた水素の排出管5を通じて外部に取り出すことができるものである(図1中の矢印は、発生した水素の流れる方向を示している)。本発明では、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーの使用によって水素発生反応の制御が可能であるため、例えば、水収容容器8から反応容器1へ水を供給するに当たり、その供給量を制御できるような水供給ポンプを使用しなくてもよく、その場合には、カートリッジタイプの水収容容器などにより、水収容容器と反応容器との内部の圧力差を利用して水を供給したり、水収容容器に弾性物(ゴムなど)で構成された容器(風船状容器)を使用するなどにより弾性物の弾性を利用して反応容器に水を供給したりする手段が採用できる。なお、本発明では、水素発生材料組成物への水供給ポンプを用いた水の供給を排除している訳ではなく、水供給ポンプを使用した場合でも、水供給ポンプによって水の供給量を厳密に制御することなく、水素発生反応を容易に制御できる。
また、先に記載した通り、水素発生材料組成物に前記の発熱材料を含有させる場合には、水供給管4の管口部(反応容器1内の管口部)近傍に発熱材料を偏在させることで、水の供給から水素発生が開始するまでの時間をより短くすることができる。
本発明により製造される水素は、例えば炭化水素系燃料の改質で得られる水素において問題とされるCOおよびCOを含まない。そのため、100℃以下で作動する固体高分子型燃料電池において、前記ガスによる被毒の問題が発生せず、また、反応に水が関与するため、ガス中に適度な水分を含んでおり、水素を燃料とする燃料電池において非常に有用である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
N−メトキシエトキシプロピルアクリルアミド7.52g、アゾビスイソブチロニトリル0.03gおよびジオキサン20mlをアンプルに入れ、液体窒素を用いて減圧脱気した後封管し、温度60℃で90分間反応させた。反応後、アンプルを開封し、ジエチルエーテル中に沈殿させて重合体(親水性−疎水性熱可逆型ポリマー)6.80gを得た。この重合体の転移温度は79℃であった。
10gの水に前記の重合体2gを投入して溶解させ、得られた水溶液を50℃までに加熱してから、5gのアルミニウム粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%、平均粒径3μm)を入れたタンク内に添加して水素を発生させ、水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化と、単位時間(1分)毎の水素発生量とを測定した。
実施例2
実施例1と同様にして合成した重合体(親水性−疎水性熱可逆型ポリマー)を乾燥後、平均粒径が3μmになるまで粉砕した。粉砕後の重合体2gと、実施例1で使用したものと同じアルミニウム粉末5gとを混合して水素発生材料組成物を調製した。
前記の水素発生材料組成物を入れたタンクに、更に50℃の水10gを添加して水素を発生させ、水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化と、単位時間(1分)毎の水素発生量とを測定した。
実施例3
N−メトキシエトキシプロピルアクリルアミド7.20g、エチルアクリレート0.30g、アゾビスイソブチロニトリル0.08gおよびジオキサン20mlをアンプルに入れ、液体窒素を用いて減圧脱気した後封管し、温度60℃で90分間反応させた。反応後、アンプルを開封し、ジエチルエーテル中に沈殿させて共重合体(親水性−疎水性熱可逆型ポリマー)5.70gを得た。この共重合体の転移温度は77℃であった。
10gの水に前記の共重合体2gを投入して溶解させ、得られた水溶液を50℃までに加熱してから、5gのアルミニウム粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%、平均粒径3μm)を入れたタンク内に添加して水素を発生させ、水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化と、単位時間(1分)毎の水素発生量とを測定した。
実施例4
ベンゼン23.33gを入れたアンプル中に、N,N−ジメチルアクリルアミド9.00g、スチレン1.00g、アゾビスイソブチロニトリル0.10gを入れてこれらをベンゼンに溶解させ、窒素置換を行った後封管し、温度60℃で8時間反応させた。反応度、アンプルを開封し、ベンゼンを一旦乾燥させた後アセトン溶液とし、これをn−ヘキサン中に混合して共重合体(親水性−疎水性熱可逆型ポリマー)を沈殿させて単離した。得られた共重合体の収量は8.35gであり、転移温度は51℃であった。
10gの水に前記の共重合体2gを投入して溶解させ、得られた水溶液を50℃までに加熱してから、5gのアルミニウム粉末(高純度化学研究所製、純度99.9%、平均粒径3μm)を入れたタンク内に添加して水素を発生させ、水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化と、単位時間(1分)毎の水素発生量とを測定した。
比較例1
実施例1で用いたものと同じアルミニウム粉末を入れたタンクに、50℃の水10gを添加して水素を発生させ、水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化と、単位時間(1分)毎の水素発生量とを測定した。
実施例1〜4および比較例1の結果から得られた水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化を図2に、水素製造開始からの経過時間に対する単位時間当たりの水素発生量の変化を図3に示す。
図2および図3から明らかなように、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを使用せずに水素製造を行った比較例1では、タンク温度が上昇し、また、単位時間当たりの水素発生量も非常に多くなっており、水素発生反応が制御できずに熱暴走を起こしている。これに対し、親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有する水を使用した実施例1、3、4、および親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有する水素発生材料組成物を使用した実施例2では、タンク温度および単位時間当たりの水素発生量が安定しており、水素発生反応が良好に制御できている。
本発明において使用可能な水素製造装置の一例を示す断面模式図である。 実施例および比較例の水素発生試験の結果から得られた水素製造開始からの経過時間に対するタンクの温度変化を示すグラフである。 実施例および比較例の水素発生試験の結果から得られた水素製造開始からの経過時間に対する単位時間当たりの水素発生量の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 反応容器
2 水素発生材料組成物収容容器
3 蓋
4 水供給管
5 水素排出管
6 水素発生材料組成物
7 水
8 水収容容器

Claims (12)

  1. アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの1種以上の金属元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属の粉末と、水の共存下において所定の転移温度以下で親水性を呈しかつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーとを含有することを特徴とする水素発生材料組成物。
  2. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、少なくともアクリルアミド類をモノマーとする単独重合体または共重合体である請求項1に記載の水素発生材料組成物。
  3. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、単独で重合して親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類をモノマーとする単独重合体、または2種以上の前記モノマーから形成される共重合体である請求項2に記載の水素発生材料組成物。
  4. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、単独で重合して親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類と、前記アクリルアミド類以外のビニル化合物とをモノマーとする共重合体である請求項2に記載の水素発生材料組成物。
  5. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、単独で重合して親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類と、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物とをモノマーとする共重合体である請求項2に記載の水素発生材料組成物。
  6. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーにおける転移温度が、50〜100℃である請求項1〜5のいずれかに記載の水素発生材料組成物。
  7. アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムおよびこれらの1種以上の金属元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属の粉末を少なくとも含む水素発生材料組成物と、水とを反応させて水素を発生させる水素の製造方法であって、
    前記水素発生材料組成物および前記水の少なくとも一方に、水の共存下において所定の転移温度以下で親水性を呈しかつ前記転移温度を超えると疎水性を呈する親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを含有させることを特徴とする水素の製造方法。
  8. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、アクリルアミド類をモノマーとする単独重合体または共重合体である請求項7に記載の水素の製造方法。
  9. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、単独で重合して親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類をモノマーとする単独重合体、または2種以上の前記モノマーから形成される共重合体である請求項8に記載の水素の製造方法。
  10. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、単独で重合して親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを形成し得るアクリルアミド類と、前記アクリルアミド類以外のビニル化合物とをモノマーとする共重合体である請求項8に記載の水素の製造方法。
  11. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーが、単独で重合して親水性−疎水性熱可逆型ポリマーを形成し得ないアクリルアミド類と、単独で重合して水不溶性の重合体を形成し得るビニル化合物とをモノマーとする共重合体である請求項8に記載の水素の製造方法。
  12. 親水性−疎水性熱可逆型ポリマーにおける転移温度が、50〜100℃である請求項7〜11のいずれかに記載の水素の製造方法。
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