JP2009006709A - 熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂を、最大射出圧力がPである射出成形機の金型キャビティに充填する充填工程と、前記熱可塑性樹脂の充填を実質的に停止して、保持する第一保圧工程と、この第一保圧工程を経た前記熱可塑性樹脂を加圧して保持する第二保圧工程と、を有する。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、機械的物性、温度特性や硬度を備えたポリプロピレン樹脂成形体として、ポリプロピレン樹脂と核剤とを含有する組成物を成形して得られる成形体を、155℃〜170℃の範囲で、熱処理して製造されるポリプロピレン樹脂成形体が記載されている。
かかる状況の下、本発明の目的は、剛性及び衝撃強度に優れる熱可塑性樹脂成形体及びその製造方法を提供することにある。
要件(1)Lc/La≦1.50
要件(2)Lc≧10.0
要件(3)F1≧0.07
要件(4)F2≧0.06
〔上記要件(1)から要件(4)において、Laは、小角X線散乱プロファイルから算出した長周期間隔と、示差走査熱量分析により測定した融解熱量を用いて算出した結晶化度と、を用いて算出した結晶ラメラ間距離(単位:nm)を表し、Lcは、前記結晶ラメラ間距離と前記長周期間隔より算出した結晶ラメラの厚み(単位:nm)を示し、F1は、波数997cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示し、F2は、波数973cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示す。〕
要件(2)Lc≧10.0
要件(3)F1≧0.07
要件(4)F2≧0.06
要件(5)La≧8.0
〔上記要件(2)から要件(5)において、Laは、小角X線散乱プロファイルから算出した長周期間隔と、示差走査熱量分析により測定した融解熱量を用いて算出した結晶化度と、を用いて算出した結晶ラメラ間距離(単位:nm)を表し、Lcは、前記結晶ラメラ間距離と前記長周期間隔より算出した結晶ラメラの厚み(単位:nm)を示し、F1は、波数997cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示し、F2は、波数973cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示す。〕
また、「成形体前駆体」とは、第二保圧工程を経て形成された成形体、即ち熱処理工程を経る前の成形体をいう。
また、「結晶ラメラ」とは、熱可塑性樹脂成形体において、樹脂を形成している重合体の分子鎖が、折りたたまれて形成された結晶をいう。
また「長周期間隔」とは、結晶ラメラ−非晶領域−結晶ラメラの積層構造において、個々の結晶ラメラの重心間距離をいう。また、「結晶ラメラ間距離(La)」とは、上記積層構造における結晶ラメラ同士の距離、即ち非晶領域の厚さをいう。そして、「結晶ラメラの厚み(Lc)」とは、個々の結晶ラメラの厚さをいう。
本発明に係る熱可塑性樹脂成形体(以下、単に成形体ともいう)の製造方法は、充填工程と、第一保圧工程と、第二保圧工程と、を有する。
ここで、「充填工程」とは、熱可塑性樹脂(以下、単に樹脂ともいう)を金型に充填する工程をいう。
充填工程における樹脂の形態は、成形体にしたときの、重合体の分子鎖の配向度(F1及びF2)をより高くすることができる、という観点から、実質的に溶融状態であることが好ましい。ここで「実質的に溶融状態」とは、樹脂が全体として流動性を有している状態をいう。即ち、樹脂を形成している重合体の全ての分子鎖が、激しく熱運動をしている状態のみをいうものではない。
ここで、「充填を実質的に停止」するとは、樹脂を充填するためのノズルに圧力がほとんど加わっておらず、ノズルの先端から樹脂が射出されていないか、あるいは金型キャビティ内にすでに充填された樹脂への影響を与えない程度にわずかに射出されている状態をいう。
保圧時の圧力は、金型キャビティの大きさによって異なるが、上記充填工程における最大射出圧力Pの5%以下であることが好ましく、2%以下であることが好ましく、0%であることがより好ましい。また、保圧時間(保持時間)は、2秒以上30秒以下であることが好ましく、3秒以上20秒以下であることがより好ましい。
また保圧時間(保持時間)は、0.5秒〜60秒であることが好ましく、1秒〜50秒であることがより好ましい。また、保圧時の金型の温度は10℃〜70℃であることが好ましく、20℃〜60℃であることが好ましい。
この熱処理工程は、樹脂の結晶化温度以上、融点以下の温度で行われる事が好ましい。具体的には、例えばプロピレン系樹脂を用いて成形体を得る場合、熱処理温度は、結晶化温度である約120℃よりも高く、融点である約170℃よりも低い温度であり、125℃〜165℃であることが好ましく、135℃〜160℃であることがより好ましく、150℃〜160℃であることが更に好ましい。このような温度で熱処理を行うことにより、機械的物性、特に剛性を向上させることが可能となる。
示差走査熱量分析計を用い、成形体前駆体のアイゾット試験片を所定量アルミ製パンに封入した後、下記段階A〜Cのように温度変化させる。融点は段階B中に観測されるヒートフロー曲線の吸熱ピークとして、結晶化温度は段階C中に観測されるヒートフロー曲線の発熱ピークとして、それぞれ求める。また、ガラス転移点は段階B中の階段状変化部分から補外ガラス転移開始温度と補外ガラス転移終了温度を求め、これらから算出する。尚、このときの昇降温速度は、10℃/分である。
段階A:室温〜−90℃
段階B:−90℃〜200℃
段階C:200℃〜40℃
これらの樹脂は、単独重合体だけではなく、後述するような他の化合物との共重合体であってもよい。他の化合物としては、例えば、エチレン、炭素数4以上のα−オレフィン等が挙げられる。
重合触媒としては、例えば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と、(b)有機アルミニウム化合物と、(c)電子供与体成分とからなる触媒系が挙げられる。この触媒系としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報、特開平10−212319号公報等に記載されているように、Si−O結合を有する有機ケイ素化合物と必要に応じ、エステル化合物の存在下、一般式Ti(OR1)aX4-a(R1は炭素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、aは0<a≦4の数字を表す。)で表されるチタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、四塩化チタンと必要に応じ、エステル化合物の存在下で処理することにより得られる三価のチタン化合物含有固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、電子供与性化合物と、を含有するα−オレフィン重合用触媒系が挙げられる。
上記の樹脂以外の樹脂としては、例えば、エラストマー等が挙げられる。また、添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、無機充填剤、有機充填剤等が挙げられる。
上述のように本発明はまた、少なくとも下記の要件(1)〜要件(4)、又は要件(2)〜要件(5)のいずれかを満足する樹脂成形体(以下、単に成形体ともいう)である。
要件(1)Lc/La≦1.50
要件(2)Lc≧10.0
要件(3)F1≧0.07
要件(4)F2≧0.06
要件(5)La≧8.0
〔上記要件(1)から要件(5)において、Laは、小角X線散乱プロファイルから算出した長周期間隔と、示差走査熱量分析により測定した融解熱量を用いて算出した結晶化度と、を用いて算出した結晶ラメラ間距離(単位:nm)を表し、Lcは、前記結晶ラメラ間距離と前記長周期間隔より算出した結晶ラメラの厚み(単位:nm)を示し、F1は、波数997cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示し、F2は、波数973cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示す。〕
また、上記要件(2)において、結晶ラメラの厚み(Lc)を10.0nm以上とすることにより、得られる成形体の曲げ弾性率を十分なものとすることができる。結晶ラメラ厚み(Lc)として、好ましくは10.0nm〜25.0nmであり、より好ましくは10.5nm〜24.5nmであり、更に好ましくは11.0nm〜24.0nmである。
また、上記要件(4)において、配向度(F2)を0.06以上とすることにより、得られる成形体の衝撃強度を十分なものとすることができる。配向度(F2)として、好ましくは0.06〜0.50であり、より好ましくは0.07〜0.50であり、更に好ましくは0.07〜0.40である。
長周期間隔は、小角X線散乱プロファイルを測定し、得られたピークに対応する散乱角と、下記のBraggの式とを用いて算出される。
Lp(nm)=λ/2sinθ
〔式中、λは波長(本発明では0.154(nm)を用いる)、θは散乱角をそれぞれ表す。〕
結晶ラメラ間距離は、上記方法により算出した長周期間隔(Lp)と、示差走査熱量分析により測定した融解熱量を用いて算出した結晶化度(χ)と、を用いて求める。
La(nm)=Lp(1−0.01×χ)
そしてLcは、LpとLaの差に該当するため、上記の方法により算出したLpとLaより求める。
χ(%)=ΔHm/ΔH0m×100
〔結晶化度100%時の融解熱量(ΔH0m)は、W.R.KrigbaumらによってJounal Polymer Science,3,767(1965)に記載された値(208J/g)を用いる。〕
F=(D−1)/(D+2)
なお、赤外二色比(D)は、偏光子を回転させ最大透過率と最小透過率の比(最大透過率/最小透過率)として算出する。本発明では997(cm-1)と973(cm-1)について、それぞれ赤外二色比(D)を測定し、997(cm-1)で測定し、算出した配向度をF1と、973(cm-1)で測定し、算出した配向度をF2とする。
なお、本発明に係る樹脂成形体は、射出成形体であることが好ましい。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
ASTM D1238に準拠して測定した。測定温度230℃、荷重21Nの条件で測定した。
ASTM D790に準拠し、射出成形により成形された3.2mm厚の試験片を使用して、23℃における曲げ弾性率を測定した。
JIS−K−7110に準拠し、射出成形により成形された3.2mm厚の、成形後にノッチ加工を行った試験片を使用して、23℃におけるアイゾット衝撃強度を測定した。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dl、0.2g/dlおよび0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。固有粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
結晶化度(χ)は、下記式[1]から算出した。
χ(%)=ΔHm/ΔH0m×100 式[1]
(式中、結晶化度100%時の融解熱量(ΔH0m)は、W.R.KrigbaumらによってJounal Polymer Science,3,767(1965)に記載された値(208J/g)を用いた。ΔHmは、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製のmDSC(Q100)を用い、成形したアイゾット試験片中央をカッターでスライスすることによって作成した薄切片約6mgをアルミ製パンに封入した後、室温から10℃/分で200℃まで昇温し、昇温時の100〜180℃の間に観測されるヒートフロー曲線の融解ピークの面積から算出した。)
長周期間隔は、リガク製 NANO―Viewer(MicroMax−007)を用いて、試験片をThrough−View測定することによって小角X線散乱パターンを測定し、Braggの式に従って、下記式[2]によって算出した。
Lp(nm)=λ/2sinθ 式[2]
(式中、λは波長(0.154(nm))、θは散乱角をそれぞれ表す。)
結晶ラメラ厚み(Lc)および結晶ラメラ間距離(La)は、結晶化度(χ)と長周期間隔(Lp)から下記式[3−1]および[3−2]によって算出した。
Lc(nm)=Lp×0.01×χ 式[3−1]
La(nm)=Lp(1−0.01×χ) 式[3−2]
配向度(F)は下記の手順によって求めた。
ミクロトームによりMD(流動)方向に1mm、ND(厚み)方向に3mm、MD(幅)方向に6μmの薄片を作成した。
(8−2)
顕微IR(日本分光(株)製 IMV−400)を用いて、(8−1)にて作成した薄片の表層(MD方向端面)から500μmの位置での赤外2色比(D)を求めた。赤外2色比(D)は偏光子を回転させ最大透過率と最小透過率の比(最大透過率/最小透過率)として算出した。997(cm-1)と973(cm-1)についてそれぞれ赤外2色比(D)を測定した。
(8−3)
配向度(F1及びF2)は赤外2色比(D)から下記式[4]によって算出した。
F(−)=(D−1)/(D+2) 式[4]
熱処理は、ギアオーブン中の、ステンレス製のたて20cm、横20cm、高さ2cmの容器の中に試験片を静置し、縦22cm、横22cm、厚み0.5cmのステンレス製の板で蓋をした後、実施した。熱処理の温度、時間を表1に示した。
固有粘度が2.0dl/gで、MFRが3g/10分で、アイソタクチック・ペンタッド分率が0.975であるプロピレン単独重合体。
固有粘度が1.5dl/gで、MFRが8g/10分で、アイソタクチック・ペンタッド分率が0.980であるプロピレン単独重合体。
プロピレン系樹脂としてPP−1を使用し、射出成形機(東芝機械製 IS100EN)を用いシリンダー温度220℃、射出時間25秒、冷却時間25秒に設定し、表1記載の条件で試験片を成形した。充填後(射速35%)、圧力0で10秒保持した(第一保圧工程)後、保圧(圧力50%)を行った(第二保圧工程)。その試験片をギアオーブンにて、表1の条件で熱処理を行った。熱処理後の試験片を用いて、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を測定した。結果を表2に示した。
表1記載の内容で試験片の成形と熱処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示した。
表3、5記載の内容で試験片の成形と熱処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして行なった。結果を表4、6に示した。
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂を、最大射出圧力がPである射出成形機の金型キャビティに充填する充填工程と、
前記熱可塑性樹脂の充填を実質的に停止して、保持する第一保圧工程と、
この第一保圧工程を経た前記熱可塑性樹脂を加圧して保持する第二保圧工程と、を有する熱可塑性樹脂成形体の製造方法。 - 前記第一保圧工程における圧力は、前記最大射出圧力の5%以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記第一保圧工程における保圧時間は、2秒以上である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記第二保圧工程により形成された成形体前駆体を熱処理する熱処理工程を更に有する請求項1から3いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂はプロピレン系樹脂であり、このプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、ASTMD790の測定条件下で15g/10分以下である請求項1から4いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 前記第二保圧工程における圧力は、前記最大射出圧力Pの15%以上である請求項1から5いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
- 請求項1から6いずれかに記載の製造方法により製造された熱可塑性樹脂成形体であって、
下記の要件(1)から要件(4)を満足するものである熱可塑性樹脂成形体。
要件(1)Lc/La≦1.50
要件(2)Lc≧10.0
要件(3)F1≧0.07
要件(4)F2≧0.06
〔上記要件(1)から要件(4)において、
Laは、小角X線散乱プロファイルから算出した長周期間隔と、示差走査熱量分析により測定した融解熱量を用いて算出した結晶化度と、を用いて算出した結晶ラメラ間距離(単位:nm)を表し、
Lcは、前記結晶ラメラ間距離と前記長周期間隔より算出した結晶ラメラの厚み(単位:nm)を示し、
F1は、波数997cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示し、
F2は、波数973cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示す。〕 - 請求項1から6いずれかに記載の製造方法により製造された熱可塑性樹脂成形体であって、
下記の要件(2)から要件(5)を満足するものである熱可塑性樹脂成形体である。
要件(2)Lc≧10.0
要件(3)F1≧0.07
要件(4)F2≧0.06
要件(5)La≧8.0
〔上記要件(2)から要件(5)において、
Laは、小角X線散乱プロファイルから算出した長周期間隔と、示差走査熱量分析により測定した融解熱量を用いて算出した結晶化度と、を用いて算出した結晶ラメラ間距離(単位:nm)を表し、
Lcは、前記結晶ラメラ間距離と前記長周期間隔より算出した結晶ラメラの厚み(単位:nm)を示し、
F1は、波数997cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示し、
F2は、波数973cm-1で測定した赤外二色比により算出した配向度を示す。〕
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2008
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