JP2009010475A - スピーカアレイ装置、信号処理方法およびプログラム - Google Patents

スピーカアレイ装置、信号処理方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の音響ビームの放音状況に応じて、各々の音響ビームに対応する境界条件の緩和の程度を制御することができるスピーカアレイ装置、信号処理方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明のスピーカアレイ装置1は、チャンネルごとに放出すべき音響ビームの指向方向、経路長に基づいて決定した窓関数を当該チャンネルに対応する増幅部に適用し、当該窓関数に基づいて設定された増幅率でオーディオ信号を増幅し、各チャンネルのオーディオ信号をスピーカごとに加算して各スピーカから放音することにより、チャンネルごとに適した指向特性、すなわち境界条件の緩和の程度が異なる音響ビームを放音することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、スピーカアレイによるサラウンド再生技術に関する。
遅延アレイ方式のスピーカシステムは、線状や面状に配置した複数のスピーカから、同じオーディオ信号を空間上の焦点に同時に到達するように、少しずつ異なる遅延時間を与えて出力することにより、焦点周辺の音響エネルギーが同相加算により強められ、その結果焦点方向への強い指向性を有する音響ビームを作り出す技術を用いている。マルチチャンネルのオーディオ信号のそれぞれに対して、このような遅延処理を行い、全てのチャンネルにおいて遅延処理した信号を加算してスピーカに供給することにより、出力されたマルチチャンネルに係る音響ビームは、それぞれ異なる指向性を持たせて同時に出力することができる(例えば、特許文献1)。
特開2006−25153号公報
ところで、スピーカアレイのアレイ長は有限であるため、スピーカアレイの外周側でゲインを漸減させて境界条件を緩和しないと、サイドローブが発生してしまう。メインローブを壁面反射して利用者に音響ビームを到達させると、壁方向に音像定位をさせることができるが、サイドローブの発生態様によっては、サイドローブによる音が直接利用者に到達してしまうことがあり、壁方向への音像定位が阻害される。一方、境界条件を緩和すると、緩和しない場合に比べてサイドローブを減少させることができるが、ゲインを低くしているために最大出力音圧が低くなってしまう。また、メインローブが拡がってしまい、指向性が弱くなってしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、複数の音響ビームの放音状況に応じて、各々の音響ビームに対応する境界条件の緩和の程度を制御することができるスピーカアレイ装置、信号処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明は、スピーカを複数有し、前記各スピーカからの放音によって、オーディオ信号の複数のチャンネルの各々に対応する方向に音響ビームを放出するスピーカアレイと、複数のチャンネルのオーディオ信号のうち、一のチャンネルのオーディオ信号が入力される入力手段と、当該チャンネルに対応して設定される遅延時間の組に基づいて遅延時間が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の遅延手段を有する遅延手段群と、当該チャンネルに対応して設定される窓関数に基づいて増幅率が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の増幅手段を有する増幅手段群とを有し、当該入力手段から入力されたオーディオ信号に対して、前記遅延手段群による遅延処理と前記増幅手段群による増幅処理を行う信号処理手段を、前記各チャンネルの数に対応して複数有する信号処理手段群とを具備し、少なくとも一の信号処理手段に設定される窓関数は、他の信号処理手段に設定される窓関数とは異なることを特徴とするスピーカアレイ装置を提供する。
また、別の好ましい態様において、前記信号処理手段群の各信号処理手段は、当該信号処理手段が有する入力手段から入力される一のチャンネルのオーディオ信号を、当該チャンネルに対応して設定される時間の遅延処理を行う第2遅延手段と、前記第2遅延手段に設定される時間に基づいて、当該第2遅延手段を有する信号処理手段に設定される窓関数を決定する決定手段とをさらに具備してもよい。
また、別の好ましい態様において、前記決定手段は、設定された時間が最も長い第2遅延手段を有する信号処理手段に設定される窓関数を、複数の増幅手段に各々設定される増幅率が同一の増幅率となる窓関数として決定してもよい。
また、別の好ましい態様において、前記スピーカアレイの複数のスピーカは、直線状に配置され、前記決定手段は、前記第2遅延手段を有する信号処理手段に設定される窓関数を、当該第2遅延手段に設定された時間が短いほど、前記直線状に配置されたスピーカの両端側のスピーカに対応する増幅手段に設定される増幅率が、中央のスピーカに対応する増幅手段に設定される増幅率よりも小さくなる窓関数として決定してもよい。
また、別の好ましい態様において、前記各チャンネルに対応して放音される各々の音響ビームが、前記スピーカアレイから利用者に到達するまでの到達時間を測定する測定手段によって測定された到達時間に基づいて、前記各チャンネルに対応する信号処理手段が有する第2遅延手段における遅延処理の時間を設定する設定手段をさらに具備してもよい。
また、別の好ましい態様において、前記複数のスピーカの音量レベルを制御する音量制御手段と、前記音量制御手段が制御する音量レベルに基づいて、前記各信号処理手段に設定される窓関数を修正する修正手段とをさらに具備してもよい。
また、別の好ましい態様において、前記各チャンネルに対応する音響ビームの方向に基づいて、前記各チャンネルに対応する信号処理手段に設定される窓関数を決定する決定手段をさらに具備してもよい。
また、本発明は、スピーカを複数有し、前記各スピーカからの放音によって、オーディオ信号の複数のチャンネルの各々に対応する方向に音響ビームを放出するスピーカアレイを有するスピーカアレイ装置に用いられる信号処理方法において、複数のチャンネルのオーディオ信号のうち、一のチャンネルのオーディオ信号が入力される入力過程と、当該チャンネルに対応して設定される遅延時間の組に基づいて遅延時間が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の遅延過程を有する遅延過程群と、当該チャンネルに対応して設定される窓関数に基づいて増幅率が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の増幅過程を有する増幅過程群とを有し、当該入力過程において入力されたオーディオ信号に対して、前記遅延過程群による遅延処理と前記増幅過程群による増幅処理を行う信号処理過程を、前記各チャンネルの数に対応して複数有する信号処理過程群とを備え、少なくとも一の信号処理過程に設定される窓関数は、他の信号処理過程に設定される窓関数とは異なることを特徴とする信号処理方法を提供する。
また、本発明は、スピーカを複数有し、前記各スピーカからの放音によって、オーディオ信号の複数のチャンネルの各々に対応する方向に音響ビームを放出するスピーカアレイを有するスピーカアレイ装置を制御するコンピュータに、複数のチャンネルのオーディオ信号のうち、一のチャンネルのオーディオ信号が入力される入力機能と、当該チャンネルに対応して設定される遅延時間の組に基づいて遅延時間が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の遅延機能を有する遅延機能群と、当該チャンネルに対応して設定される窓関数に基づいて増幅率が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の増幅機能を有する増幅機能群とを有し、当該入力機能において入力されたオーディオ信号に対して、前記遅延機能群による遅延処理と前記増幅機能群による増幅処理を行う信号処理機能を、前記各チャンネルの数に対応して複数有する信号処理機能群とを実現させ、少なくとも一の信号処理機能に設定される窓関数は、他の信号処理機能に設定される窓関数とは異なることを特徴とするプログラムを提供する。
本発明によれば、複数の音響ビームの放音状況に応じて、各々の音響ビームに対応する境界条件の緩和の程度を制御することができるスピーカアレイ装置、信号処理方法およびプログラムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<実施形態>
本実施形態に係るスピーカアレイ装置1の概略について図1を用いて説明する。スピーカアレイ装置1は、複数のチャンネル(C:センタ、FL:フロントLch、FR:フロントRch、SL:リアLch、SR:リアRch)を有するオーディオ信号が入力され、複数の方向に指向させた音響ビーム(以下、音響ビームが放出される方向を指向方向という)を放出することができるスピーカアレイユニット2を前面に有する。
本実施形態においては、スピーカアレイ装置1は、図1に示すように、部屋100の中心方向にスピーカアレイユニット2を向けた状態で設置され、スピーカアレイユニット2から、チャンネルC以外のチャンネルFL、FR、SL、SRのオーディオ信号をそれぞれ壁面方向の4方向に音響ビームとして放出するとともに、チャンネルCのオーディオ信号については、スピーカアレイ装置1の背面側に点音源を想定して波面合成を行ってスピーカアレイ装置1の前面方向に放音する。
そして、壁面方向に放出された各音響ビームは部屋100の壁面で反射し、利用者200へ到達する。このため、利用者200は、あたかも壁面から放音されているような感覚となる。すなわち、利用者200は、スピーカアレイ装置1から直接聞こえる音のほか、仮想スピーカ300−FL、300−FR、300−SL、300−SRから音が聞こえるように感じることになる。
次に、スピーカアレイ装置1の構成について図2を用いて説明する。スピーカアレイユニット2は、直線状に同一方向を向いて配置されたスピーカ2−1、2−2、・・・、2−21を有し、両端のスピーカはスピーカ2−1、2−21となっている。各スピーカ2−1、2−2、・・・2−21はパワーアンプを有し、パワーアンプは、制御部6の制御によって増幅率が設定される。そして、各スピーカ2−1、2−2、・・・2−21は、供給されたオーディオ信号を、設定された増幅率で増幅して放音する。
信号分配部3は、複数チャンネルを有するオーディオ信号Sinが入力される。そして、入力されたオーディオ信号Sinをチャンネルごとに分離して信号処理部4に供給する。以下、チャンネルごとに分離されたオーディオ信号をそれぞれ、オーディオ信号Sc(チャンネルC)、オーディオ信号Sfl(チャンネルFL)、オーディオ信号Sfr(チャンネルFR)、オーディオ信号Ssl(チャンネルSL)、オーディオ信号Ssr(チャンネルSR)という。
信号処理部(信号処理手段群)4は、各チャンネルに対応する信号処理回路4−C、4−FL、4−FR、4−SL、4−SRを有し、信号分配部3から供給されたオーディオ信号のうち、対応するチャンネルのオーディオ信号が、それぞれの信号処理回路に供給される。例えば、オーディオ信号Scは、信号処理回路4−Cへ供給される。以下、信号処理回路について図3を用いて説明するが、各信号処理回路4−C、4−FL、4−FR、4−SL、4−SRは、入力されるオーディオ信号が異なるだけで、その機能は共通であるため、代表して信号処理回路4−FLについて説明する。
信号処理回路(信号処理手段)4−FLは、距離補正回路(第2遅延手段、入力手段)41−FL、遅延部(遅延手段群)42−FLおよび増幅部(増幅手段群)43−FLを有する。遅延部42−FLは、遅延回路(遅延手段)42−FL−1、42−FL−2、・・・、42−FL−21を有する。増幅部43−FLは、増幅回路(増幅手段)43−FL−1、43−FL−2、・・・、43−FL−21を有する。遅延回路、増幅回路、スピーカは各々対応し、遅延回路42−FL−1の出力は、増幅回路43−FL−1に供給され、増幅回路43−FL−1の出力は、スピーカ2−1に供給される。
距離補正回路41−FLは、信号分配部3から供給されたチャンネルFLのオーディオ信号Sflが入力され、制御部6の制御によって設定された時間(以下、補正時間という)の遅延処理を入力されたオーディオ信号Sflに対して行って遅延部42−FLに出力する。ここで、当該時間は以下のように設定される。
オーディオ信号Sflに係る放音は、図1に示すように、壁面に一度反射して利用者200に到達する一方、オーディオ信号Scに係る放音は、直接利用者200に到達する。また、オーディオ信号Sslは壁面に二度反射して利用者200に到達する。このようにそれぞれ音の経路長が異なり、放音されてから利用者200に到達に要する時間(以下、到達時間という)がチャンネルによって異なることになる。この到達時間の違いに基づいて、各距離補正回路に設定される補正時間が決まる。
例えば、全てのチャンネルが同時に放音された場合には、利用者200には、チャンネルC、(FL+FR)、(SL+SR)の順に音が到達する。そのため、距離補正回路41−FLに設定される補正時間は、最後に利用者200に到達するオーディオ信号(チャンネル(SL+SR))と距離補正回路41−FLに係るオーディオ信号(チャンネルFL)との到達時間の差として設定される。なお、一番遅く利用者200に到達するオーディオ信号に対応するチャンネルSL、SRに係る距離補正回路41−SL、41−SRに設定される補正時間は、原則として0として設定されることになる。一方、この補正時間は、オフセットをかけることで所定の時間として設定することもでき、この場合には、距離補正回路41−FLなどの他の距離補正回路に設定される補正時間は、上記のようにして設定した時間に対して当該所定の時間を加算するようにしてオフセットをかけた時間とすればよい。
ここで、上記の到達時間については、様々な算出方法があるが、本実施形態においては、予め部屋100の形状、利用者200の位置、スピーカアレイ装置1の設置位置および向きの情報(以下、部屋情報という)が、操作部7の操作によって予め記憶部8に記憶され、当該部屋情報に基づいて、制御部6がオーディオ信号のチャンネルごとに音響ビームの指向方向を決定するとともに、当該音響ビームの経路長と音速とから到達時間を算出することによって行われる。
各遅延回路42−FL−1、42−FL−2、・・・、42−FL−21は、距離補正回路41−FLから出力されたオーディオ信号Sflが供給され、当該オーディオ信号Sflに対して、制御部6に設定された時間(以下、遅延時間という)の遅延処理を行って出力する。ここで、遅延時間については、以下のように設定される。
制御部6は、上述のように部屋情報に基づいて決定した音響ビームの指向方向うち、オーディオ信号Sflに係る音響ビームの指向方向または焦点と、各スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21の空間座標とに基づいて、スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21の各々から放出されるオーディオ信号Sflの遅延すべき時間を算出し、各々のスピーカに対応する遅延すべき時間を遅延時間の組として決定する。そして、制御部6は、決定した遅延時間の組に基づいて、各スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21に対応する各遅延回路42−FL−1、42−FL−2、・・・、42−FL−21に遅延時間を設定する。
すなわち、スピーカ2−1から放出されるオーディオ信号Sflの遅延すべき時間は、遅延回路42−FL−1の遅延時間として設定される。同様にして、他の遅延回路に設定される遅延時間は、当該遅延時間が設定される遅延回路において遅延処理したオーディオ信号が供給されるスピーカに係る遅延時間となる。なお、チャンネルCのオーディオ信号Scについては、スピーカアレイ装置1の背面側に点音源を想定して波面合成を行って正面方向に放音するため、当該点音源の位置と各スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21の空間座標とに基づいて、スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21の各々から放出されるオーディオ信号Scの遅延すべき時間を算出する。
各増幅回路43−FL−1、43−FL−2、・・・、43−FL−21は、各々の増幅回路に対応する各遅延回路42−FL−1、42−FL−2、・・・、42−FL−21から出力されたオーディオ信号Sflに対して、制御部6に設定された増幅率で増幅処理を行って出力する。そして、当該出力は、各増幅回路43−FL−1、43−FL−2、・・・、43−FL−21に対応する各スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21に供給される。以下、設定される増幅率について説明する。
制御部6は、予め設定された窓関数に基づいて増幅率を設定する。窓関数は、図4に示すように、増幅部の各増幅回路に設定する増幅率を表している。図中の横軸の増幅回路nは、増幅部43−FLの増幅回路において、増幅回路43−FL−nを示し、n=11であれば、中央のスピーカ2−11に対応する増幅回路43−FL−11を示している。そして、縦軸はnに対応する増幅回路に設定する増幅率を示している。
図4に示す窓関数は、3種類の窓関数W1、W2、W3を例示している。窓関数W1は、増幅回路に応じて増幅率を変更しない窓関数である。一方、窓関数W2、W3は、両端側に位置するスピーカに対応する増幅回路であるほど、増幅率が漸減する窓関数であって、境界条件を緩和した窓関数となっている。以下、これらの窓関数を適用した場合の影響について説明する。
スピーカアレイユニット2の長さは有限長であるため、窓関数を適用しない場合(図4における窓関数W1)には、サイドローブと呼ばれる音響ビームの指向方向とは別の方向にも放音される現象が発生する。このときに、音響ビームの指向方向を壁方向へ向けるなどした場合には、スピーカアレイ装置1の正面方向にいる利用者200の方向には、サイドローブの影響による音が到達してしまい、仮想スピーカの壁定位感が阻害される。また、特定周波数の強いサイドローブの影響を受けるとf特の乱れにより音質が低下する。そこで、境界条件を緩和する窓関数(図4における窓関数W1、W2)を適用すると、サイドローブが低減される一方、音響ビームの指向角を表すメインローブが拡がり、また、増幅率を低減させていることにより最大出力音圧も低下してしまう。
ここで、チャンネルFL、FRにおいては、音響ビームの指向方向の角度が大きく(利用者200がいる正面方向を基準)なり、利用者200から離れた方向に音響ビームを放出するから、サイドローブの影響を受けやすいが、メインローブが拡がっていてもその影響を受けにくい。また、チャンネルSL、SRに比べて、音響ビームの経路長が短く音圧の減衰が少ないため、最大出力音圧は低めでもよい。このため、チャンネルFL、FRに対応する増幅部43−FL、43−FRには、サイドローブを低減するために境界条件を緩和した窓関数W2を適用する。
一方、チャンネルSL、SRにおいては、音響ビームの指向方向の角度が小さく、利用者200の近くを通過させて壁に反射させるように音響ビームを放出するから、サイドローブの影響を受けにくいが、メインローブが拡がっていると壁に反射させる前に利用者200に聞こえてしまう。また、チャンネルFL、FRに比べて、音響ビームの経路長が長く減衰が大きいため、最大出力音圧を高くする必要がある。このため、チャンネルSL、SRに対応する増幅部43−SL、43−SRには、メインローブの拡がりを抑えるとともに、最大出力音圧を確保するために境界条件を緩和せず、音圧重視の窓関数W1を適用する。
このように、本実施形態においては、チャンネルFL、FRに対応する増幅部43−FL、43−FRには、窓関数W2を適用し、チャンネルSL、SRに対応する増幅部43−SL、43−SRには窓関数W1を適用するようにして、増幅部によって適用する窓関数を異なったものとする。なお、どのような窓関数を適用するかについては、各チャンネルの音響ビームの指向方向、経路長に基づいて決定すればよく、例えば、サイドローブの影響を主とする場合には、音響ビームの指向方向と利用者200の方向との相対関係に基づいて窓関数を決定すればよい。また、出力音圧の影響を主とする場合には、音圧の減衰に影響を与える経路長に基づいて窓関数を決定すればよい。ここで、上述したように経路長については、補正時間とも関係するから、補正時間に基づいて決定してもよい。なお、音圧の減衰は壁面の反射によっても発生するから、壁面の反射率についても加味してもよい。この場合には、壁面の反射率についても部屋情報に含まれるようにすればよい。
そして、チャンネルCのオーディオ信号Scについては、スピーカアレイ装置1の背面側に点音源を想定して波面合成を行って正面方向に放音するため、他のチャンネルとは遅延の方式が異なるが、境界条件を緩和することにより、音質を向上させることができる。また、利用者200までの経路長も短く音圧の減衰も少ないから、窓関数の設計自由度が高く、所望の音質、音圧が得られるように決定した窓関数が適用される。以上が信号処理部4の説明である。
図2に戻って説明を続ける。加算器5は、信号処理部4から出力される各オーディオ信号のうち、同一のスピーカに供給されるオーディオ信号を加算して、当該スピーカに供給する。例えば、増幅回路43−C−1、43−FL−1、43−FR−1、43−SL−1、43−SR−1から出力されたオーディオ信号は、加算器5によって加算され、スピーカ2−1へ供給される。そして、各スピーカ2−1、2−2、・・・、2−21は、供給されたオーディオ信号を放音することにより、図1に示したようにチャンネルごとに異なる態様の音響ビーム(チャンネルFL、FR、SL、SR)を放出するとともにチャンネルCの放音を行う。
このように、スピーカアレイ装置1は、チャンネルごとに放出すべき音響ビームの指向方向、経路長に基づいて決定した窓関数を当該チャンネルに対応する増幅部に適用し、当該窓関数に基づいて設定された増幅率でオーディオ信号を増幅し、各チャンネルのオーディオ信号をスピーカごとに加算して各スピーカから放音することにより、チャンネルごとに適した指向特性、すなわち境界条件の緩和の程度が異なる音響ビームを放音することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
<変形例1>
実施形態においては、放出される音響ビームは、チャンネルFL、FR、SL、SRに対応する4の音響ビームであったが、2以上の異なる方向に放音される音響ビームであれば、異なる窓関数を適用することができるから、本発明の効果を得ることができる。
<変形例2>
実施形態においては、チャンネルFL、FRで同じ窓関数を用い、チャンネルSL、SRで同じ窓関数を用いていたが、図5に示すような部屋100におけるスピーカアレイ装置1の配置である場合には、音響ビームの指向方向、経路長が変わるから、それぞれ異なる窓関数としてもよい。
<変形例3>
窓関数は、入力されるオーディオ信号Sinの内容によって変化させてもよい。例えば、映画を視聴するときのオーディオ信号と音楽を聴くときのオーディオ信号において、窓関数を変化させてもよいし、求める音質に応じて変化させてもよい。この場合、記憶部8にこれらの使用態様(映画、音楽、ゲーム、高音質、低音質、サラウンド重視など)と窓関数の設定値または設定変更量を対応付けたテーブルを記憶しておき、利用者は操作部7を操作して使用態様を選択すればよい。そして、制御部6は記憶部8に記憶されたテーブルを参照し、選択された使用態様と対応する窓関数の設定値または設定変更量に応じて、窓関数を決定すればよい。
<変形例4>
実施形態においては、音響ビームの指向方向、経路長を算出するために部屋情報を用いていたが、別の方法で算出してもよい。例えば、部屋100にスピーカアレイ装置1を設置し、利用者200の部分に測定手段であるマイクロフォンを設置する。そして、スピーカアレイ装置1から様々な方向へ音響ビームを放出し、マイクロフォンで収音する。制御部6は、マイクロフォンに到達した音響ビームに対応する指向方向を収音の音量レベルに基づいて認識するとともに、当該音響ビームが放音されてからマイクロフォンまでの到達時間を計測する。到達時間が判明すれば、経路長を算出することができる。これにより、制御部6は、音響ビームの指向方向、経路長を認識することができる。
<変形例5>
スピーカから放音される音量を指定するボリュームを操作部7に設け、ボリュームが指定した音量レベルになるように各スピーカ2−1、2−2、・・・、2−12のパワーアンプを制御するとともに、決定した窓関数を合わせて修正してもよい。例えば、増幅部43−SLに適用される窓関数が図4における窓関数W1が適用されていた場合、ボリュームにより低い音量レベルが指定されたときには、窓関数をW2に近づけるように変化させてもよい。また、同様に増幅部43−FLに窓関数W2が適用されていた場合には、窓関数をW3に近づけるように変化させてもよい。すなわち音量レベルが低くなったときには、両端側のスピーカに対応する増幅率が小さくなるように境界条件を緩和して窓関数を決定しなおせばよい。このように、低い音量レベルであれば、最大出力音圧が必要でなくなるから、サイドローブの低減の影響を大きくした窓関数を決定し、音質を向上させることもできる。
<変形例6>
実施形態においては、信号処理回路においては、距離補正回路における処理、遅延部における処理、増幅部における処理の順に行っていたが、必ずしもこの順で処理をしなくてもよい。また、距離補正回路における遅延処理と遅延部における遅延処理を1の遅延処理としてまとめてもよい。このようにしても、実施形態と同様な効果を得ることができる。
<変形例7>
実施形態においては、スピーカアレイユニット2は、直線状に配置された21台のスピーカ2−1、2−2、・・・、2−21を有していたが、どのような数であってもよいし、配置についても直線状に限られず、スピーカアレイを構成する態様であれば、どのような態様であってもよい。例えば、直線状に配置されたスピーカを複数段並列に並べてもよい。また、異なる径のスピーカを用いて、オーディオ信号の周波数帯域に応じて使い分けるようにしてもよい。この場合は、オーディオ信号を複数の周波数帯域に分割するフィルタを設けて、分割されたオーディオ信号の各々に対して、実施形態における処理を行って周波数帯域に応じたスピーカに供給されるようにすればよい。
<変形例8>
実施形態における構成は、スピーカアレイユニット2を有するスピーカアレイ装置を制御するコンピュータ400が、プログラムを実行することにより実現させるようにしてもよい。具体的には、以下のようにすればよい。コンピュータ400は、CPU401、記憶手段402、操作手段403、外部機器と接続するためのインターフェイス404を有する。操作手段403は、実施形態における操作部7の機能を有し、記憶手段402は、ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶手段であって、実施形態における記憶部8の機能を有する。また、記憶手段402のROMは、プログラムが記憶されている。CPU401は、記憶手段402に記憶されたプログラムを実行し、記憶手段402のRAMに、実施形態における信号分配部3、信号処理部4、加算器5、制御部6の機能を実現する。そして、インターフェイス404から入力されたオーディオ信号をコンピュータ400によって実現された機能によって信号処理し、当該信号処理されたオーディオ信号をインターフェイス404に接続されるスピーカアレイユニット2に対して供給する。このようなプログラムについては、記憶手段402に記憶されている場合だけでなく、データ入力手段を設け、様々な記録媒体に記録した状態で提供されてもよいし、ネットワークに接続可能な通信部を設け、通信部を介してネットワーク経由でコンピュータにダウンロードしてもよい。
実施形態に係るスピーカアレイ装置の放音についての説明図である。 実施形態に係るスピーカアレイ装置の構成を示すブロック図である。 実施形態に係る信号処理部の構成を示すブロック図である。 増幅部に適用される窓関数の一例を示す説明図である。 変形例2に係るスピーカアレイ装置の放音についての説明図である。 変形例8に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1…スピーカアレイ装置、2…スピーカアレイユニット、2−1〜2−21…スピーカ、3…信号分配部、4…信号処理部、4−C,4−FL,4−FR,4−SL,4−SR…信号処理回路、41−FL…距離補正回路、42−FL…遅延部、42−FL−1〜42−FL−21…遅延回路、43−FL…増幅部、43−FL−1〜43−FL−21…増幅回路、5…加算器、6…制御部、7…操作部、8…記憶部、100…部屋、200…利用者、300−FL,300−FR,300−SL,300−SR…仮想スピーカ、400…コンピュータ、401…CPU、402…記憶手段、403…操作手段、404…インターフェイス

Claims (9)

  1. スピーカを複数有し、前記各スピーカからの放音によって、オーディオ信号の複数のチャンネルの各々に対応する方向に音響ビームを放出するスピーカアレイと、
    複数のチャンネルのオーディオ信号のうち、一のチャンネルのオーディオ信号が入力される入力手段と、当該チャンネルに対応して設定される遅延時間の組に基づいて遅延時間が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の遅延手段を有する遅延手段群と、当該チャンネルに対応して設定される窓関数に基づいて増幅率が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の増幅手段を有する増幅手段群とを有し、当該入力手段から入力されたオーディオ信号に対して、前記遅延手段群による遅延処理と前記増幅手段群による増幅処理を行う信号処理手段を、前記各チャンネルの数に対応して複数有する信号処理手段群と
    を具備し、
    少なくとも一の信号処理手段に設定される窓関数は、他の信号処理手段に設定される窓関数とは異なる
    ことを特徴とするスピーカアレイ装置。
  2. 前記信号処理手段群の各信号処理手段は、当該信号処理手段が有する入力手段から入力される一のチャンネルのオーディオ信号を、当該チャンネルに対応して設定される時間の遅延処理を行う第2遅延手段と、
    前記第2遅延手段に設定される時間に基づいて、当該第2遅延手段を有する信号処理手段に設定される窓関数を決定する決定手段と
    をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカアレイ装置。
  3. 前記決定手段は、設定された時間が最も長い第2遅延手段を有する信号処理手段に設定される窓関数を、複数の増幅手段に各々設定される増幅率が同一の増幅率となる窓関数として決定する
    ことを特徴とする請求項2に記載のスピーカアレイ装置。
  4. 前記スピーカアレイの複数のスピーカは、直線状に配置され、
    前記決定手段は、前記第2遅延手段を有する信号処理手段に設定される窓関数を、当該第2遅延手段に設定された時間が短いほど、前記直線状に配置されたスピーカの両端側のスピーカに対応する増幅手段に設定される増幅率が、中央のスピーカに対応する増幅手段に設定される増幅率よりも小さくなる窓関数として決定する
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスピーカアレイ装置。
  5. 前記各チャンネルに対応して放音される各々の音響ビームが、前記スピーカアレイから利用者に到達するまでの到達時間を測定する測定手段によって測定された到達時間に基づいて、前記各チャンネルに対応する信号処理手段が有する第2遅延手段における遅延処理の時間を設定する設定手段をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のスピーカアレイ装置。
  6. 前記複数のスピーカの音量レベルを制御する音量制御手段と、
    前記音量制御手段が制御する音量レベルに基づいて、前記各信号処理手段に設定される窓関数を修正する修正手段と
    をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のスピーカアレイ装置。
  7. 前記各チャンネルに対応する音響ビームの方向に基づいて、前記各チャンネルに対応する信号処理手段に設定される窓関数を決定する決定手段をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のスピーカアレイ装置。
  8. スピーカを複数有し、前記各スピーカからの放音によって、オーディオ信号の複数のチャンネルの各々に対応する方向に音響ビームを放出するスピーカアレイを有するスピーカアレイ装置に用いられる信号処理方法において、
    複数のチャンネルのオーディオ信号のうち、一のチャンネルのオーディオ信号が入力される入力過程と、当該チャンネルに対応して設定される遅延時間の組に基づいて遅延時間が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の遅延過程を有する遅延過程群と、当該チャンネルに対応して設定される窓関数に基づいて増幅率が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の増幅過程を有する増幅過程群とを有し、当該入力過程において入力されたオーディオ信号に対して、前記遅延過程群による遅延処理と前記増幅過程群による増幅処理を行う信号処理過程を、前記各チャンネルの数に対応して複数有する信号処理過程群と
    を備え、
    少なくとも一の信号処理過程に設定される窓関数は、他の信号処理過程に設定される窓関数とは異なる
    ことを特徴とする信号処理方法。
  9. スピーカを複数有し、前記各スピーカからの放音によって、オーディオ信号の複数のチャンネルの各々に対応する方向に音響ビームを放出するスピーカアレイを有するスピーカアレイ装置を制御するコンピュータに、
    複数のチャンネルのオーディオ信号のうち、一のチャンネルのオーディオ信号が入力される入力機能と、当該チャンネルに対応して設定される遅延時間の組に基づいて遅延時間が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の遅延機能を有する遅延機能群と、当該チャンネルに対応して設定される窓関数に基づいて増幅率が各々設定され、前記複数のスピーカの各々に対応する複数の増幅機能を有する増幅機能群とを有し、当該入力機能において入力されたオーディオ信号に対して、前記遅延機能群による遅延処理と前記増幅機能群による増幅処理を行う信号処理機能を、前記各チャンネルの数に対応して複数有する信号処理機能群と
    を実現させ、
    少なくとも一の信号処理機能に設定される窓関数は、他の信号処理機能に設定される窓関数とは異なる
    ことを特徴とするプログラム。
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