JP2009013449A - 扁平銀粉、扁平銀粉の製造方法、及び導電性ペースト - Google Patents

扁平銀粉、扁平銀粉の製造方法、及び導電性ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】スクリーン印刷によって回路形成するための導電性ペーストに用いる銀粉を、より安価に製造し、また、良好な粒度分布を備える銀粉を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の扁平銀粉は、湿式還元法により得られる扁平形状の粒子からなり、前記扁平形状の粒子は、走査型電子顕微鏡像(SEM)の画像解析により得られる一次粒子の平均長径が0.1μm〜1.0μmであり、前記一次粒子の平均厚さが10nm〜100nmであり、前記平均長径のCV値が0.3以下であることを特徴とする。また、かかる扁平銀粉と、その製造方法を採用し、これにより得られた扁平銀粉を含む導電性ペーストを採用することにより、高品質な導電性ペーストを製造可能とする。また、本発明の扁平銀粉の製造方法は、特定の湿式還元法を採用することにより、前記扁平銀粉を効率的に製造することが可能である。
【選択図】図1

Description

本件出願に係る発明は、扁平銀粉、扁平銀粉の製造方法、並びにその扁平銀粉を含有する導電性ペーストに関し、特に、湿式還元法により製造する微粒な扁平銀粉に関する。
近年、電子機器等において形成する配線回路等は、微細配線下での低抵抗化と接続信頼性がより重要になってきている。スクリーン印刷法等により、導電性ペーストを用いて形成した回路(導体)は、粒子間の物理的な接触によって電気的導電性を得ている。したがって、導電性ペーストに含まれる粒子の粒径や形状等によって、粒子相互の接触状態が大きな影響を受け、形成導体の抵抗値が変動する。また同時に、低温焼結でも高い導電性を示すことが求められる。
従来、湿式法、アトマイズ法、電解法等により得られる球状銀粉に各種樹脂や分散剤等を配合し、導電性ペーストに加工されて用いられることが多い。導電性ペーストの原料に球状銀粉を用いた場合、ペーストの材料である樹脂中への分散性は高く、ペースト粘度の制御は容易である。その一方で、当該導電性ペーストを使用して形成した導体を流れる電流は球状粒子相互の物理的接触により伝達されるため、球状銀粉を用いると、導通パスが三次元網目状の複雑な経路となり、電気抵抗が比較的高くなる傾向にある。
上述した球状銀粉の欠点を補うものとして、粒子形状を扁平化したフレーク状銀粉がある。従来、フレーク状銀粉は、銀粒子を物理的に塑性加工することにより製造される。このフレーク状銀粉は、粒子同士が面と面とで接触できるので、球状銀粉に比べて、より大きな接触面積を確保できる。そのため、このような銀粉を材料とした導電性ペーストは、球状銀粉を材料とした導電性ペーストを用いて形成した導体膜と比べて、銀濃度が同じであっても、導電性の高い導電膜の形成が可能で、電気抵抗の低い導電膜が得やすくなる。
例えば、特許文献1は、フレーク状銀粉末の製造方法に関するものであって、湿式法を用いて製造した銀粒子を洗浄、乾燥させ、この銀粒子を粉砕してフレーク状にする技術が開示されている。また、特許文献2は、アトマイズ法、電解法または化学還元法などの方法で得られた粒状銀粉のフレーク化技術に関し、より薄くて細かいフレーク状銀粉を製造するために、高遠心力下でボールミルを用いてフレーク化を促進させる技術が開示されている。一方で、従来のフレーク状銀粉は、ビーズミルや振動ミル等を用いて、原料粉に強い応力を加えて扁平状にするため、長辺が1μmを上回る大きなものしか得られない上に、複数個の粒子が重なり合って扁平化された数十ミクロンの粗大な粒子を含むブロードな粒度となる傾向がある。このような粗大フレーク状銀粒子が多く含まれる場合には、スクリーンの目詰まりが生じ、スクリーン印刷法での使用に耐えない。したがって、高度な微細配線を描画するための導電性ペーストの材料として適さない。
上記以外には、特許文献3に極薄板状銀粉に関する開示があり、また、特許文献4には、湿式法により略板状の銀粒子を得る技術が開示されている。
特開2003−321706号公報 特開2003−55701号公報 特開2005−285673号公報 特開2005−105376号公報
上記の通り、フレーク状、極薄板状、板状等、比較的扁平な形状を呈する銀粉、あるいは物理処理法や湿式法等の手段による銀粉の製造方法に関して、種々の先行技術が開示されている。しかし、面方向径(本発明でいう平均長径)だけみても、特許文献2または特許文献3開示の銀粉では、粒度が大きすぎて、20μm以下の超微細回路形成への利用には不向きである。また、特許文献4に開示の銀粉では、粒子径は細かいものの、粒度のバラツキが大きく、微細配線形成時に配線幅のバラツキや、配線の表面粗さの不均一性の原因となり、設計に応じた抵抗値が得られにくい傾向がある。
したがって、従来技術における銀粉は、粒子形状が均整で、サブミクロンレベルの面方向径と数十nm程度の厚みを有し、かつ粒子径のバラツキが少なくシャープな粒度分布を有するものとは言いがたく、所望の導電性ペーストに好適な銀粉並びにその製造方法が望まれていた。
本発明の目的は、上記特性を満足する扁平銀粉、その好適な製造方法、並びに、導電性ペーストを提供することにある。
そこで、本発明者は、鋭意研究を行った結果、以下の扁平銀粉、扁平銀粉の製造方法、及びこの扁平銀粉を含む導電性ペーストを採用することで上記課題を達成するに到った。
本発明に係る銀粉: 本発明に係る銀粉は、湿式還元法により得られる扁平形状の粒子からなる扁平銀粉であって、走査型電子顕微鏡像(SEM)の画像解析により得られる一次粒子の平均長径が0.1μm〜1.0μmであり、前記一次粒子の平均厚さが10nm〜100nmであり、前記平均長径のCV値が0.3以下であることを特徴とする。
そして、本発明に係る扁平銀粉は、より好ましくは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法によるD50=0.1μm〜0.8μmである。
本発明に係る扁平銀粉の製造方法: 上記扁平銀粉の製造方法であって、硝酸銀と、銀イオン1molあたり0.5mol〜1.0molのクエン酸と、銀イオン1molあたり20g〜40gのゼラチンとを含む銀イオン含有溶液に、
前記銀イオン含有溶液の銀イオン1molに対して0.4mol〜0.7molのアスコルビン酸系還元剤を含む還元剤含有溶液を添加することを特徴とする。
また、本発明に係る扁平銀粉の製造方法では、前記銀イオン含有溶液が、0.01mol/l〜0.3mol/lの硝酸銀を含有することが好ましい。
本発明の導電性ペースト: 本発明に係る導電性ペーストは、上述の扁平銀粉を含有することを特徴とする。
本発明に係る扁平銀粉は、粒子形状が均整で、サブミクロンレベルの面方向径と数十nm程度の厚みを有し、かつ粒子径のバラツキが少なくシャープな粒度分布を有するものであることから、超微細回路形成可能な導電性ペースト用に好適である。
以下、本発明に係る扁平銀粉、扁平銀粉の製造方法及び導電性ペーストの最良の実施の形態に関して説明する。
<扁平銀粉の形態>
本発明に係る扁平銀粉は、湿式還元法によって得られ、粒子形状が扁平形状である。ここで言う扁平形状とは、粒子が扁平化し、略平板状の形状である。更に、この扁平銀粉は、走査型電子顕微鏡像の画像解析により得られる一次粒子の平均長径が0.1μm〜1.0μm、前記一次粒子の平均厚さが10nm〜100nm、前記平均長径のCV値が0.3以下である非常に微粒な扁平銀粉である。
平均長径が0.1μm未満の場合には、相対的に粒子の厚さも薄く、粒子の粒度が小さくなるため、ペースト化した時の粘度が高くなり、導電性ペーストの材料として適さない。一方、平均長径が1.0μmを上回ると、スクリーン印刷で目詰まりが生じるような大きな粒度の粒子となり、導電性ペーストとして適さない。なお、一次粒子の平均長径は、より好ましくは、0.2μm〜0.5μmである。
また、一次粒子の平均厚さが10nm〜100nmであるので、充填性、導通確保の点で、導電性ペーストの材料として好適である。一次粒子の平均厚さが10nm未満であると、粒子が薄すぎて、相対的に粒子の粒度も小さくなるため、ペースト化した時の粘度が高くなり導電性ペーストの材料として適さない。一方、一次粒子の平均厚さが100nmを上回る扁平粒子は、相対的に粒子の粒度も大きくなるため、スクリーン印刷での目詰まりの原因となるために適さない。なお、一次粒子の平均厚さは、より好ましくは、30nm〜100nmである。
そして、CV値は、粉体の一次粒子の平均長径とその標準偏差σとを用いて、CV値=標準偏差σ/平均長径で表される関係式で算出されるものであり、このCV値の値が小さい程、粉粒の粒径が揃っており、大きなバラツキがないことを意味している。本発明に係る扁平銀粉の平均長径のCV値は0.3以下と小さく、粒径が揃っており、粒度のバラツキが小さいものである。
また、本発明に係る扁平銀粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径がD50=0.1μm〜0.8μmとすることが好ましい。このような扁平銀粉であれば、CV値が0.3以下であることとあいまって、凝集度合も小さく、かつ粒度分布が非常にシャープな扁平銀粉と言える。このような扁平銀粉は、導電性ペーストの材料として考えると、ペースト粘度の変動が少なく、かつ、粒子同士の接触面積が大きく、接触効率が高くなるので導通を確保しやすくなる。その結果、導電性ペースト中の銀粉の充填量を少なくしても、良好な導電性能が得られる。したがって、導電性ペーストのコストを削減することができる。更に、導電性ペーストのフィラーの量の設計幅が広くなり、導電性ペーストの粘度の制御が容易で、導電性ペーストのチキソ性を良好な状態にコントロールできる。
更に、本発明に係る扁平銀粉は、アスペクト比([平均長径(nm)]/[平均厚さ(nm)])が2〜20であると、より好ましい。アスペクト比がこの範囲内にあると、粒子が扁平形状である特徴を損なわず、導電性が確保できると同時に、スクリーン印刷での微細配線に好適なペーストを製造できる。なお、より好ましいアスペクト比の値は2〜10の範囲である。
本発明に係る扁平銀粉は湿式還元法により得られるものである。物理的作用により扁平粒子化する銀粉は、原材料である銀粉粒子の大きさにより、扁平粒子の大きさの下限が規定されることとなるので、本発明に係る形状混合銀粉の様な微細形状の扁平粒子の製造は困難である。したがって、本発明に係る扁平銀粉は、極めて微細な粒子で、かつ、粒度分布がシャープな特徴を有し、導電性ペーストの様な高い導電性が求められる用途に好適である。
本発明において、一次粒子の平均長径とは、走査型電子顕微鏡像により得られる任意の一次粒子50個の面方向長径から算出した平均値である。同様に、平均厚さとは、まず銀粉をエポキシ樹脂で固めた試料の断面を走査型電子顕微鏡(倍率10000倍)で直接観察し、任意の一次粒子50個の厚さから算出した平均値である。なお、本件明細書においては、上記平均長径及び平均厚さは、2000倍の走査型電子顕微鏡写真を、画像解析装置IP−1000PC(旭エンジニアリング株式会社製)を用いて、粒子解析することにより求められる。
なお、本件明細書におけるレーザー回折散乱式粒度分布測定法は、銀粉0.1gをSNディスパーサント5468(サンノプコ社製)の0.1%水溶液と混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所製 US−300T)で5分間分散させた後、屈折率に1.51を採用して日機装社製マイクロトラック9320HRA X−100を用いて測定したものである。
<扁平銀粉の製造形態>
本発明の扁平銀粉の製造方法は、湿式還元法を採用しており、銀イオンを含有する銀イオン含有溶液と還元剤含有溶液とにより還元反応を行わせる方法による。以下、本発明に係る扁平銀粉の製造に用いる銀イオン含有溶液、還元剤含有溶液に関して詳細に説明する。
銀イオン含有溶液: 本発明に係る扁平銀粉の製造において、銀イオン含有溶液には、硝酸銀と、クエン酸とゼラチンとを含む溶液を用いる。
クエン酸は、錯化剤として銀イオン含有溶液に添加され、クエン酸錯体が形成される。この結果、還元剤含有溶液と混合すると、還元反応による粒子析出を安定化させることができる。クエン酸としては、無水クエン酸の他、例えば、クエン酸一水和物、クエン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を用いることも可能である。なお、クエン酸は、銀イオン含有溶液中に、銀イオン1molあたり0.5mol〜1.0mol含有していることが必要である。クエン酸含有量が上記範囲を外れると、粒度分布のバラツキが大きくなり、均一な扁平粒子が得られず、球状粉や異形粉等が混在することになる。すなわち、クエン酸をこのような範囲で添加することにより、還元反応時に、反応液のpHが下がり、還元反応速度を制御しやすくなる。また、扁平粒子を形成する結晶面の成長が促進されるので、扁平粒子が、微粒且つ粒径が揃った状態で形成される。
ゼラチンは、銀イオン含有溶液と還元剤含有溶液との反応により還元析出する粒子の立体障害として寄与し、粒子同士の凝集を防止して、析出した粒子の分散状態を好適に保つことができる。量的には、還元析出する銀粒子量を考慮して、銀イオン含有溶液は、銀イオン1molあたりゼラチンを20g〜40g含有していることが必要である。このゼラチン含有量が20gを下回る場合には、還元析出粒子の立体障害として寄与することができないため、凝集を防止する効果が得られない。一方、ゼラチン含有量が40gを超える場合には、銀の還元析出反応を阻害する要因となり、還元析出反応が遅くなると共に、得られる銀粉の粒度分布はブロードとなる。したがって、ゼラチン含有量が上記範囲から外れると、均一な扁平粒子が得られなくなる。なお、銀イオン含有溶液に含む硝酸銀は、銀の供給源として用い、硝酸銀濃度が0.01mol/l〜0.3mol/lの範囲であることが好ましい。ここで、硝酸銀濃度が0.01mol/lを下回る場合には、工業的に求められる生産性を維持できない。一方、硝酸銀濃度が0.3mol/lを超えると、還元析出する粒子同士の凝集が顕著となり、粒子分散性に優れた扁平銀粉を得ることができなくなる。
還元剤含有溶液: 本発明に係る銀粉の製造においては、還元剤含有溶液として、アスコルビン酸系還元剤を含む水溶液を用いる点が特徴の一つである。アスコルビン酸系還元剤は、比較的還元力が弱いので緩やかな還元反応を起こさせる。これにより、還元析出する核生成を適正にし、析出した核の成長を促進させることができる。そして、溶媒としての水に還元剤としてのアスコルビン酸系還元剤を溶解させた状態で用いることにより、銀イオン含有溶液と還元剤含有溶液とを混合する際の、反応系内における還元剤の偏在をなくし、均一な反応が可能となる。アスコルビン酸系還元剤としてはアスコルビン酸の他、例えば、アスコルビン酸の異性体であるイソアスコルビン酸、及びそれらのナトリウム塩等を用いることも可能である。
そして、この還元剤含有溶液は、銀イオン含有溶液の銀イオン1molに対して0.4〜0.7molのアスコルビン酸系還元剤を含む水溶液を用いることが必要である。必要とする還元剤の量は、還元対象となる銀イオンの総量によって異なる。しかしながら、上記銀イオン含有溶液に含まれる銀イオン1molに対して、還元剤含有溶液のアスコルビン酸系還元剤濃度が0.4mol未満の場合には、還元析出速度が遅くなる以上に、還元剤含有溶液としての使用量が増加して、廃液処理の負荷が顕著となるために好ましくない。これに対し、銀イオン含有溶液中の銀イオン1molに対する還元剤含有溶液のアスコルビン酸系還元剤濃度が0.7molを超える場合には、銀イオン含有溶液と還元剤含有溶液とを反応させる際に、アスコルビン酸系還元剤濃度が濃いために、反応系内における還元剤の偏在を速やかに消失させることが困難となり、得られる銀粒子の分散性を阻害し、その結果、均一な扁平粒子とならず、球状粉や異形粉等が混在することとなる。
還元剤含有溶液添加から扁平銀粉を得るまでの工程: 上述の銀イオン含有溶液に還元剤含有溶液を撹拌しつつ添加して、銀粒子を還元析出させる。本発明に係る扁平銀粉の製造方法においては、反応性の観点から、銀イオン含有溶液と還元剤含有溶液とをそれぞれ40℃〜80℃の液温で混合するのが好ましい。
また、還元剤含有溶液の添加時間については特に限定しないが、時間を掛けて連続して徐々に添加することにより最終的に所定量を添加する方法を用いると、還元剤含有溶液の添加に伴う反応系の温度変化の影響を防止して、還元反応が安定し、析出粒子の均質化を図ることができて製造安定性に優れるものとなる。なお、例えば、一括添加等、還元剤含有溶液の銀イオン含有溶液への還元剤含有溶液の添加が早急な場合、銀イオン含有溶液の液温変動が大きくなりやすく、これが反応に影響して粒子径のバラツキが生じやすくなり、粒度分布がブロードになる傾向がある。したがって、反応時の液温変動の影響を考慮した還元剤含有溶液の好ましい添加方法としては、15分〜120分掛けて徐々に添加することが好ましい。
そして、銀イオン含有溶液に還元剤含有溶液を添加した以降も、還元反応の起こっている混合溶液は、還元析出反応が充分に終了するまで撹拌を行うことが好ましい。このような操作により当該混合溶液において還元析出反応が進み、析出した粒子同士の接触を防止して、凝集を起こさず、粒子分散性の高い状態を保つことができる。その後、従来の湿式還元法と同様に粒子を沈降させ、上澄みを抜き、濾過、洗浄、乾燥工程を経て扁平銀粉を得る。
本発明に係る扁平銀粉の製造方法では、銀イオン含有溶液にクエン酸とゼラチンとを含み、かつ、還元剤含有溶液にアスコルビン酸系還元剤を含ませ、これらを上述の組成及び配合量で用いることにより、核粒子の生成とその成長とのバランスが好適に保たれる。その結果、微細な粒子からなる扁平銀粉を、優れた粒度分布で析出させることができる。
即ち、従来技術では、扁平粒子を得ることは可能であっても、還元速度のバラツキや反応諸条件の選択が不適切なことに起因して、得られる粒子の粒度や形状にバラツキが生じやすかった。本発明に係る扁平銀粉は、還元剤の選択並びに使用量を検討した結果、クエン酸とゼラチンとを含む銀イオン含有溶液及びアスコルビン酸系還元剤を含む還元剤含有溶液を上記の配合とすることにより、還元速度を一定に制御すると同時に、扁平粒子を形成する結晶面の優先的な成長を促すことが可能となる結果、微粒均一な扁平銀粉の生成を可能とした。更に、厚さ方向の成長を実現でき、特許文献3に示されるような極薄板状品より、厚みと面方向の成長のバランスが取れた扁平銀粉を得ることができる。このような扁平銀粉であれば、導電性ペーストに用いた場合に、粒子分散性に優れるとともに、接触面を確保できるので、導電性を向上させることができる。
<導電性ペーストの形態>
本発明に係る導電性ペーストは、上記扁平銀粉と、樹脂成分と、有機溶剤とを含んでなるものである。ここで、上記扁平銀粉を導電性ペーストに用いることで、上述の通り、形成される導体の低抵抗化を図ることができるので、導電性ペーストを構成する成分に特段の限定は必要ない。しかし、上記扁平銀粉をフィラーとして用いる場合に、良好な分散性を保ち、ファインピッチ回路の形成に好適な組成を採用することが好ましい。そのような好適な樹脂成分としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂から選ばれる1種以上を含む組成が挙げられる。
そして、上記樹脂成分を含む導電性ペーストに含まれる扁平銀粉の含有量は、導電性や、回路の膜密度を考慮すると80wt%以上が好ましい。ここで、扁平銀粉の含有量が80wt%未満だと、焼結後の回路の膜密度が低下して比抵抗が高くなる。ペーストの膜密度を確保しつつ、ペーストの粘度上昇を抑制するためには、85wt%〜90wt%がより好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
0.3mol/lの硝酸銀溶液2Lに、クエン酸一水和物100g及びゼラチン15gを添加し、この銀イオン含有溶液を50℃に加熱保持した。また、還元剤含有溶液としてアスコルビン酸53gを2Lの水に溶解させたものを作成し、この還元剤含有溶液も50℃に加熱保持した。次に、銀イオン含有溶液を撹拌しながら還元剤含有溶液を30分掛けて連続添加した。添加終了後も、50℃に保温した状態で1時間撹拌し、扁平銀粒子を得た。これを限外濾過によって洗浄し、余分な不純物を除去した後、乾燥させて扁平銀粉を得た。本実施例における主な調製条件を表1に示す。
本実施例で得られた扁平銀粉の粉体特性に関して、一次粒子の平均長径、一次粒子の平均厚さ、アスペクト比、比表面積、タップ密度、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径D50の値を表2に示す。
なお、タップ密度は、パウダーテスターPT−E(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定したものである。比表面積は、試料3.00gを70℃で10分間脱気処理を行った後、モノソーブ(カンタクロム社製)を用いてBET1点法で測定したものである。
また、以下の方法でCV値を算出した。即ち、粉体の一次粒子の平均長径とその標準偏差σとを用いて、CV値=標準偏差σ/平均長径で算出した。一次粒子の平均長径及びこれに基づく標準偏差σは、前述の画像解析装置を用いることにより得られる。実施例の場合、平均長径は281nm、標準偏差σは69.68であり、その結果、CV値は0.25と小さな値となり、粒度分布のバラツキが小さく、粒径の均一性に優れた銀粉であった。実施例の銀粉のCV値の結果を表3に示す。
また、本実施例で得られた扁平銀粉の走査型電子顕微鏡像を図1に示す。図1を見ると、扁平形状で、粒子の表面が滑らかであり、粒径が比較的揃った扁平銀粉であることが分かる。更に、図1に示す扁平銀粉は、凝集がほとんど見られない点も特徴である。
また、本実施例で得られた扁平銀粉50gと、エポキシ樹脂2gと、ブチルカルビトール5gとを、3本ロールで混練してペーストを作成した。このペーストの粘度を、東機産業社製の粘度計であるRE−105Uを用いて、温度25℃、1rpmの回転数で測定した。次に、このペーストを用いてスクリーン印刷によって、幅100μm、厚み10μmのパターンをガラス基板上に印刷し、空気中250℃で1時間焼成を行った。得られたパターンの比抵抗値をHEWLETT PACKARD社製ミリオームメーター4338Bで測定した。以上の結果は表2にまとめて示す。
実施例の導電性ペーストは、粒子形状が均整で、サブミクロンレベルの面方向径と数10nm程度の厚みを有し、かつ、シャープな粒度分布を有している扁平銀粉を用いたので、微粒な扁平銀粉を用いているにも拘わらず比抵抗、粘度共に、実用性に優れたレベルの値を示していると言える。したがって、実施例の扁平銀粉は、微細配線等の形成に優れ、かつ、良好な導電性及び印刷性能を備えており、微細配線形成のための導電性ペーストの材料として好適である。
比較例
[比較例1]
比較例1は、実施例で銀イオン含有溶液に添加したクエン酸を添加しない例である。即ち、硝酸銀溶液にゼラチンのみ添加した銀イオン含有溶液を用いた。なお、還元剤含有溶液及び扁平銀粉の取得手順は実施例と同様であるので説明を割愛し、調製条件を表1に示す。
比較例1で得られた銀粉の走査型電子顕微鏡像を図2に示す。なお、本比較例1で得られた銀粉の粉体特性については、実施例と比較可能な粉体特性が得られないため、粉体特性の評価は行わなかった。
[比較例2]
比較例2では、特許文献4に開示の実施例をトレースして銀粉を製造した。即ち、水100重量部に、高分子化合物として、ゼラチンを0.3重量部溶解させ、得られた水溶液に、硝酸銀を0.24重量部添加、溶解し、液温を60℃に保持した後、還元剤としてアスコルビン酸を0.03重量部添加し、2時間撹拌させながら反応させた。
比較例2で得られた銀粉を、実施例と同じ方法で評価を行った。この結果、平均長径は127nm、標準偏差σは60.21、CV値は0.47となった。
表2から明らかなように、実施例の扁平銀粉は、サブミクロンレベルの面方向径と数10nm程度の厚みを有しており、微粒ながら面方向と厚み方向の粒度バランスが取れている。また、表3に示した通り、CV値が低いことから、一次粒子径のバラツキが少なく、シャープな粒度分布を有するのみならず、写真やD50値からも明らかなように低凝集なものである。
これに対し、図2から明らかなように、比較例1の銀粉は凝集の大きな塊状を呈するものであり、その他評価を行うまでもなく、実施例より粉体特性の劣るものであった。これは、クエン酸を反応液に添加していないことに起因して、キレート効果が得られず、核粒子の量と粒子の成長とのバランスが崩れているものと考えられる。
また、比較例2の銀粉は、CV値が高く、一次粒子径のバラツキが大きく、粒度分布がブロードで、D50値も大きく、凝集気味であることがうかがえる。
本発明に係る扁平銀粉は、湿式還元法を用いて良好な反応条件で製造することにより、微細かつ表面平滑な粒子で、粒度分布がシャープな扁平銀粉となり、導電性に優れた扁平銀粉を製造することができる。したがって、本発明は、高品質化と低コスト化を併せて実現できる導電性材料の提供に貢献することができる。
実施例で得られた扁平銀粉の走査型電子顕微鏡像である。 比較例1で得られた銀粉の走査型電子顕微鏡像である。

Claims (5)

  1. 湿式還元法により得られる扁平形状の粒子からなる扁平銀粉であって、
    走査型電子顕微鏡像(SEM)の画像解析により得られる一次粒子の平均長径が0.1μm〜1.0μmであり、
    前記一次粒子の平均厚さが10nm〜100nmであり、
    前記平均長径のCV値が0.3以下であることを特徴とする扁平銀粉。
  2. レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50=0.1μm〜0.8μmであることを特徴とする請求項1に記載の扁平銀粉。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の扁平銀粉の製造方法であって、
    硝酸銀と、銀イオン1molあたり0.5mol〜1.0molのクエン酸と、銀イオン1molあたり20g〜40gのゼラチンとを含む銀イオン含有溶液に、
    前記銀イオン含有溶液の銀イオン1molに対して0.4mol〜0.7molのアスコルビン酸系還元剤を含む還元剤含有溶液を添加することを特徴とする扁平銀粉の製造方法。
  4. 前記銀イオン含有溶液が、0.01mol/l〜0.3mol/lの硝酸銀を含有することを特徴とする請求項3に記載の扁平銀粉の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の扁平銀粉を含有することを特徴とする導電性ペースト。
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