JP2009018402A - 締め付け工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】外形寸法および外形形状が異なる複数種類の締結用機械部品を、十分なトルクを付与して締め付けることが可能な締め付け工具を提供する。
【解決手段】締め付け工具1に、長条体群11と、長条体群11を束ねてその長手方向に摺動可能に収容する収容孔12aおよび収容孔12aの長手方向にテーパした外周面12bを有し収容孔12aから外周面12bまで到達する切れ目12c・12c・・・により小片12d・12d・・・に分割された内側拘束部材12と、収容孔12aに収容された長条体群11をその先端部が収容孔12aの開口部から突出する方向に付勢するエアバッグ13と、内側拘束部材12の外周面12bに対応してテーパした内周面14bを有する嵌合孔14aが形成され嵌合孔14aの内周面14bと内側拘束部材12の外周面12bとが当接するように内側拘束部材12を嵌合孔14aに嵌装する外側拘束部材14と、を具備した。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばボルト、ネジ、ビス、ナット等の締結用機械部品を締め付ける締め付け工具の技術に関する。
より詳細には、外形寸法または外形形状が異なる複数種類の締結用機械部品を締め付け可能な締め付け工具に関する。
従来、例えばボルト、ネジ、ビス、ナット等の締結用機械部品を締め付ける締め付け工具として、ドライバ、レンチ、スパナ等が知られている。
通常、締結用機械部品を確実に締め付けるためには締め付け工具により締結用機械部品に十分な(大きい)締付トルクを付与しなければならず、その前提条件として締め付け工具における締結用機械部品との係合部が締結用機械部品の外形寸法および外形形状に対して精度良く(隙間無く)係合することが必要である。
また、締結用機械部品の外形寸法および外形形状は多種多様であることから、通常は各種類の締結用機械部品の外形寸法および外形形状に適合した専用の締め付け工具を用いて締め付け作業が行われる。
しかし、同一の作業工程内で外形寸法および外形形状が異なる複数種類の締結用機械部品の締め付けを行う場合には、作業者は対象となる複数種類の締結用機械部品のそれぞれに適合する複数の締め付け工具を用意し、これらを持ち替えて締め付けを行う必要があり、作業性が良くないという問題を有する。
また、複数種類の締め付け工具を用意することは作業工程における管理の負担(備品管理の負担)が大きいという問題を有する。
上記複数種類の締め付け工具を用意することに伴う問題を解決する締め付け工具の一例として、モンキーレンチやソケットレンチが挙げられる。
モンキーレンチはボルトとの係合部である一対の顎のうち、一方が他方に接近する方向または他方から離間する方向に移動することにより一対の顎の間隔を変更することが可能であり、ひいては頭部の外形寸法が異なる複数種類のボルトを締め付けることが可能である。
ソケットレンチは、作業者が手で握るハンドルと、ハンドルの先端部に着脱可能に固定される複数のソケットと、を具備し、複数のソケットにはそれぞれ異なる外形寸法および外形形状のボルトの頭の形状に適合する(隙間無く係合する)孔が形成される。ハンドルの先端部に固定するソケットを適宜交換することにより、ソケットレンチは外形寸法および外形形状が異なる複数種類のボルトを締め付けることが可能である。
しかし、モンキーレンチは、(a)一対の顎がボルトの頭の六つの側面(係合面)のうち二つの面にしか係合しないため、メガネレンチ等の他の締め付け工具に比べてボルトに大きなトルクを付与して締め付けることが困難であること、(b)一対の顎のうち移動する方の顎はその構造上、モンキーレンチの本体との間のガタが大きいため、締め付け時にボルトの頭を傷めやすいこと、といった問題を有する。
また、ソケットレンチは、(α)作業者が手で握るハンドル部分は同一であるが、結局は複数のソケットを用意しなければならず、作業工程における管理の負担(備品管理の負担)が大きいこと、(β)ソケットを交換する作業が煩雑であること、といった問題を有する。
上記複数種類の締め付け工具を用意することに伴う問題を解決する締め付け工具の他の例として、特許文献1乃至特許文献4に記載の技術が挙げられる。
特許文献1に記載の技術は、締結用機械部品たるボルトとの係合部が複数の長条体を束ねたものからなり、当該複数の長条体の先端部にボルトの頭部が押し付けられると、当該複数の長条体のうち先端部がボルトの頭部に当接するものがその長手方向かつボルトから退避する方向に摺動するとともに、摺動しなかった長条体のうち摺動した長条体に隣接するものの側面がボルトの頭部の側面(係合面)に当接し、ボルトとの係合部がボルトの外形寸法および外形形状に適合する締め付け工具である。
特許文献2乃至特許文献4に記載の技術は、特許文献1における長条体に相当する部材を長手方向かつボルトに接近する方向に付勢する付勢手段(バネ、エアバッグ等)を具備し、複数の長条体の先端部にボルトの頭部を押し付けたときには当該複数の長条体のうち先端部がボルトの頭部に当接するものが付勢する手段の付勢力に抗して長手方向かつボルトから退避する方向に摺動し、複数の長条体の先端部にボルトの頭部が押し付けられている状態が解除されると、それまで退避していた複数の長条体が付勢手段の付勢力により摺動して元の位置に戻る締め付け工具である。
特許文献2乃至特許文献4に記載の技術は、複数の長条体の先端部にボルトの頭部を押し付けないときには複数の長条体の長手方向における先端部の位置(高さ)が揃っている。
そのため、特許文献1に記載の締め付け工具の如く、異なる外形寸法および外形形状のボルトを締め付ける作業を行う度に退避した位置にある長条体を作業者が手で押して元の位置に戻し、複数の長条体の端部を揃えるといった煩雑な作業を行う必要が無く、その分特許文献1に記載の締め付け工具よりも作業性に優れる。
しかし、特許文献1乃至特許文献4に記載の技術は、ボルトとの係合部がボルトの外形寸法および外形形状に容易に適合するためには隣接する長条体同士が容易に摺動可能でなければならず、長条体同士が容易に摺動可能であるためには隣接する長条体の間にある程度の隙間を確保しなければならない。
そうすると、ボルトの締め付け時にボルトの側面(係合面)に当接する長条体が長手方向に垂直な方向(側方)に移動または変形(弾性変形または塑性変形)してしまい、ボルトに十分なトルクを付与して締め付けることが困難になるという問題を有する。
特開平11−179671号公報 登録実用新案第3043313号公報 実開昭62−58165号公報 特開昭48−90097号公報
本発明は以上の如き状況に鑑み、外形寸法および外形形状が異なる複数種類の締結用機械部品を、十分なトルクを付与して締め付けることが可能な締め付け工具を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
締結用機械部品を締め付ける締め付け工具であって、
複数の長条体と、
前記複数の長条体を束ねてその長手方向に摺動可能に収容する収容孔および前記収容孔の長手方向にテーパした外周面を有し、前記収容孔から前記外周面まで到達する複数の切れ目により複数の小片に分割された内側拘束部材と、
前記内側拘束部材の収容孔に収容された複数の長条体を、その先端部が前記収容孔の開口部から突出する方向に付勢する付勢部材と、
前記内側拘束部材の外周面に対応してテーパした内周面を有する嵌合孔が形成され、当該嵌合孔の内周面と前記内側拘束部材の外周面とが当接するように前記内側拘束部材を前記嵌合孔に嵌装する外側拘束部材と、
を具備するものである。
請求項2においては、
前記複数の長条体は、
前記収容孔に収容される位置が前記収容孔の中心線から離れるほどその断面寸法が大きいものである。
請求項3においては、
前記複数の長条体は、
その断面寸法が前記締結用機械部品における係合面の幅の2分の1未満であるものである。
請求項4においては、
前記複数の長条体はバネ用鋼からなるものである。
請求項5においては、
前記内側拘束部材の外周面に雄ネジが形成されるとともに前記外側拘束部材の嵌合孔の内周面に雌ネジが形成され、前記外側拘束部材が前記内側拘束部材に螺合するものである。
請求項6においては、
前記内側拘束部材の収容孔の内周面に、前記複数の長条体のうち前記収容孔の内周面に対向するものを係止する係止溝を形成するものである。
請求項7においては、
前記内側拘束部材を構成する複数の小片のそれぞれを前記内側拘束部材の収容孔の半径方向に摺動可能かつ前記収容孔の中心線の周方向に移動不能に支持するとともに前記複数の長条体を支持する支持部材を具備するものである。
請求項8においては、
前記支持部材に固定されるハンドルを具備するものである。
請求項9においては、
前記ハンドルはラチェット機構を介して前記支持部材に固定されるものである。
本発明は、外形寸法および外形形状が異なる複数種類の締結用機械部品を、十分なトルクを付与して締め付けることが可能である、という効果を奏する。
以下では図1乃至図9を用いて本発明に係る締め付け工具の実施の一形態である締め付け工具1について説明する。
締め付け工具1は締結用機械部品を締め付けるための工具である。
ここで、「締結用機械部品」は、締め付け工具による締め付けの対象であり、物品等を他の物品等に固定するために用いられる部品である。締結用機械部品の具体例としては、ボルト、ネジ、ビス、ナット等が挙げられる。
以下では、締め付け工具1により六角ボルト2(図7および図8参照)を締め付ける場合について説明する。
図1および図2に示す如く、締め付け工具1は主として係合部10、ハンドル部20を具備する。
係合部10は締結用機械部品たる六角ボルト2(図7および図8参照)に係合するものであり、主として長条体群11、内側拘束部材12、エアバッグ13、外側拘束部材14、支持部材15等を具備する。
長条体群11は本発明に係る複数の長条体の実施の一形態である。
図1および図2に示す如く、長条体群11はそれぞれが略円柱形状の部材であり、その直径により長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・に分けられる。
長条体群11は長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・にそれぞれ対応する直径のバネ用鋼からなる線材を所定の長さに切断することにより得られる。
ここで、バネ用鋼材の例としては、SUP3、SUP4、SUP5、SUP6、SUP7、SUP9、SUP9A、SUP10、SUP11A等(JIS G 4801)が挙げられる。
また、バネ用鋼からなる線材の例としては、SUS302−WPA、SUS302−WPB、SUS304−WPA、SUS304−WPB、SUS316−WPA、SUS631J1−WPC等のバネ用ステンレス鋼線(JIS G 4314)が挙げられる。
本発明に係る長条体を構成する材料は、その性質上、(a)弾性変形可能であること、(b)側方(長手方向に垂直な方向)からの外力が繰り返し加えられても塑性変形し難い(へたらない)こと、(c)締結用機械部品に十分なトルクを伝達可能な程度の強度を有すること、が求められ、これら(a)乃至(c)の条件を満たす材料であることが望ましい。
バネ用鋼材(バネ用ステンレス鋼線)は比較的安価で調達容易であることから、長条体を構成する材料として好ましい。
ただし、他の鉄鋼材料等であっても、適宜熱処理等を施すことにより上記(a)乃至(c)の条件を満たす材料とすることが可能であることから、本発明に係る長条体を構成する材料はバネ用鋼に限定されるものではない。
内側拘束部材12は本発明に係る内側拘束部材の実施の一形態である。
図1乃至図3に示す如く、内側拘束部材12は上下に貫通する孔である収容孔12aおよび外周面12bを有する略リング状の部材を、収容孔12aから外周面12bまで到達する複数の切れ目12c・12c・・・により計12個の小片12d・12d・・・に分割したものである。
収容孔12aは長条体群11を収容するための孔であり、内側拘束部材12の上下に貫通している。
図2に示す如く、収容孔12aに束ねた状態で収容された長条体群11の長手方向は、収容孔12aの中心線30と平行となる。
また、収容孔12aに束ねた状態で収容された長条体群11は、それぞれ長条体群11の長手方向に摺動可能である。
図1および図2に示す如く、収容孔12aに束ねた状態で収容された長条体群11は、長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・の順に内側拘束部材12の収容孔12aの内周面に近い位置(収容孔12aの中心線30から離れた位置)となるように配置される。
また、図1に示す如く、長条体群11のそれぞれの直径(断面寸法)は、長条体11a、長条体11b、長条体11c、長条体11dの順に大きい。
外周面12bは内側拘束部材12の外周を成す面である。図2に示す如く、外周面12bは、収容孔12aの長手方向、より厳密には内側拘束部材12の上面から下面に向かって拡径するようにテーパしている。
また、図2および図4に示す如く、外周面12bには雄ネジ12eが形成される。
なお、本発明に係る内側拘束部材を構成する小片の数は、複数の長条体を確実に(十分なトルクを付与可能に)締結用機械部品に係合させる観点からは2個以上であれば良く、本実施例の内側拘束部材12の如く計12個の小片12d・12d・・・に分割された構成に限定されるものではない。
エアバッグ13は本発明に係る付勢部材の実施の一形態である。
図2に示す如く、内側拘束部材12の収容孔12aに収容された長条体群11を、その先端部が収容孔12aの下側の開口部から突出する方向(本実施例の場合、図2において紙面下向き)に付勢するものである。
本実施例のエアバッグ13は空気が封入されたゴム製の袋であり、その外形は背の低い略円柱形状である。エアバッグ13の下面には内側拘束部材12の収容孔12aに収容された長条体群11の基端部(長条体群11の端部のうち、先端部の反対側となる端部)が接着等の手段により固定される。
本実施例の場合、六角ボルト2による外力が長条体群11に作用していない状態では長条体群11の先端部が収容孔12aの下側の開口部から実際に突出することはなく、長条体群11の先端部は内側拘束部材12の下面(収容孔12aの下側の開口部)と略同じ高さに配置され、六角ボルト2による外力が長条体群11に作用した状態(図7および図8参照)では、長条体群11を構成する複数の長条体のうち先端部が六角ボルト2に当接しているものについては収容孔12aの下側の開口部から退避した位置に移動する。
なお、本発明に係る付勢部材は、本実施例のエアバッグ13の如く内部に封入された気体の圧力により複数の長条体を付勢する構成に限定されず、例えば各長条体の基端部に一端が固定された巻きバネや略円柱形状に成形された樹脂製のスポンジの如く付勢部材を構成する材料の弾性力により複数の長条体を付勢する構成等、内側拘束部材の収容孔に収容された複数の長条体を、当該複数の長条体の先端部が収容孔の開口部から突出する方向に付勢することが可能な他の構成でも良い。
外側拘束部材14は本発明に係る外側拘束部材の実施の一形態である。
図2および図5に示す如く、外側拘束部材14は略リング状の部材であり、外側拘束部材14には上下に貫通する嵌合孔14aが形成される。嵌合孔14aの内周面14bは、内側拘束部材12の外周面12bに対応して嵌合孔14aの上側開口部から下側開口部に向かって拡径するようにテーパしている。
嵌合孔14aの内周面14bには雌ネジ14cが形成され、雌ネジ14cが雄ネジ12eに係合することにより外側拘束部材14が内側拘束部材12に螺合する。
その結果、内側拘束部材12は外側拘束部材14の嵌合孔14aに嵌装され、外側拘束部材14の嵌合孔14aの内周面14bと内側拘束部材12の外周面12bとが当接する。
支持部材15は本発明に係る支持部材の実施の一形態である。
支持部材15は内側拘束部材12を構成する計12個の小片12d・12d・・・のそれぞれを内側拘束部材12の収容孔12aの半径方向(中心線30に垂直な方向)に摺動可能かつ内側拘束部材12の収容孔12aの中心線の周方向に移動不能に支持するとともに、長条体群11を支持するものである。
図2および図6に示す如く、支持部材15は略円柱形状の部材であり、その下面の中央部に開口する収容凹部15aが形成される。収容凹部15aはエアバッグ13を収容するための凹みである。支持部材15の収容凹部15aに収容されたエアバッグ13の上面は支持部材15に接着等の手段により固定される。
従って、エアバッグ13の下面に固定される長条体群11は、エアバッグ13を介して支持部材15に(脱落不能に)支持されることとなる。
支持部材15の下面周縁部には、収容凹部15aから支持部材15の外周面まで到達する係合溝15b・15b・・・が形成される。係合溝15bの形状は、支持部材15の半径方向(内側拘束部材12の中心線30に一致する支持部材15の中心線31に垂直な方向)から見て、支持部材15の下面側の開口部が狭く、上部にて広くなった略T字型である。
また、図4に示す如く、内側拘束部材12を構成する小片12dの上面には、内側拘束部材12の内周面から外周面12bまで延びた係合突起12fが形成される。係合突起12fは外周面12bから見て基部が細く、上端部が拡がった略T字型の形状を有し、支持部材15の係合溝15bに係合する。
その結果、係合突起12fにより係合溝15bにより支持部材15に係合する小片12dは、係合溝15bの長手方向すなわち支持部材15の半径方向(中心線31に垂直な方向)に摺動可能である。
図1および図2に示す如く、ハンドル部20は本発明に係るハンドルの実施の一形態であり、係合部10(より厳密には、支持部材15)に固定される部材である。
ハンドル部20は主としてハンドル本体21、ラチェット機構22を具備する。
ハンドル本体21は棒状の部材であり、その一端にラチェット機構22のラチェット本体22aが固定される。
ラチェット機構22はラチェット本体22aおよびラチェット軸22bを有する。
ラチェット本体22aはハンドル本体21に固定される。ラチェット軸22bはラチェット本体22aから突出し、ラチェット軸22bの先端部は支持部材15に相対回転不能かつ着脱可能に固定される。
従って、ハンドル部20はラチェット機構22を介して支持部材15に固定される。
ラチェット軸22bの中心線はハンドル本体21の長手方向に対して垂直であり、内側拘束部材12の中心線30と一直線となる。
ラチェット機構22は、(i)ラチェット本体22aに対してラチェット軸22bが正転可能かつ逆転不能な状態、または(ii)ラチェット本体22aに対してラチェット軸22bが逆転可能かつ正転不能な状態、のいずれかを切り替えることが可能である。
作業者がハンドル部20を手に持って六角ボルト2を係合部10に係合させ、係合部10を中心として(ラチェット軸22bがラチェット本体22aに対して回転不能な方向に)回転させることにより、係合部10に係合している六角ボルト2にトルクが付与され、六角ボルト2が締め付けられる。
以下では、図2、図7および図8を用いて締め付け工具1による六角ボルト2の締め付け作業の手順について説明する。
図2に示す如く、締め付け作業前の状態(初期状態)では、外側拘束部材14は内側拘束部材12の上端部近傍に螺合している。
図7に示す如く、内側拘束部材12の中心線30(支持部材15の中心線31)と六角ボルト2の中心線35とを一直線にした状態で六角ボルト2の頭部2aを長条体群11に押し付けると、長条体群11を構成する長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・のうち、先端部が六角ボルト2の頭部2aに当接している長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・については、エアバッグ13の付勢力に抗して収容孔12aの下側の開口部から退避した位置に摺動する。
図7に示す状態から、外側拘束部材14を中心線30(31)を中心として内側拘束部材12に対して回転させると、図8に示す如く外側拘束部材14は内側拘束部材12に螺合しつつ下方に移動する。
図8に示す如く、外側拘束部材14が内側拘束部材12に螺合しつつ下方に移動すると、内側拘束部材12の外周面12bは内側拘束部材12の上面から下面に向かって拡径するようにテーパしているため、内側拘束部材12を構成する小片12d・12d・・・は、支持部材15に係合しつつ中心線30に近付く方向に摺動し、内側拘束部材12の収容孔12aの直径が小さくなる。
なお、隣り合う小片12d・12dの間の切れ目12c(図3参照)はある程度の隙間を有しており、小片12dが中心線30に近付く方向に摺動しても隣り合う他の小片12dに当接することはない(他の他の小片12dに干渉して中心線30に近付く方向に摺動することが妨げられることはない)。
図8に示す如く、内側拘束部材12を構成する小片12d・12d・・・が支持部材15に係合しつつ中心線30に近付く方向に摺動し、内側拘束部材12の収容孔12aの直径が小さくなると、収容孔12aに収容される長条体群11を構成する長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・が隣り合うもの同士で当接する。
その結果、長条体群11を構成する長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・のうち、先端部が六角ボルト2の頭部2aに当接していない長条体11a・11a・・・および長条体11b・11b・・・(特に、中心線30に近い長条体11b・11b・・・)は、六角ボルト2の頭部2aの側面(係合面)に当接し、図7に示す状態に比べて六角ボルト2の頭部2aの側面と長条体群11との間の隙間がほとんど無い状態となる。
また、収容孔12aの内周面と当該内周面に当接する長条体(主として長条体11a・11a・・・)の間、隣り合う長条体の間、六角ボルト2の頭部2aの側面と当該側面に当接する長条体(主として長条体11b・11b・・・)との間で大きな摩擦力が発生する。
このようにして、係合部10は六角ボルト2に強固に係合した状態となる。
図8に示す状態で作業者がハンドル本体21を持って中心線30(中心線31)を中心にハンドル本体21を回転させると、係合部10は六角ボルト2に強固に係合しているため、六角ボルト2に十分なトルクが付与され、六角ボルト2が締め付けられる。
以上の如く、締め付け工具1は、
締結用機械部品の実施の一形態たる六角ボルト2を締め付ける締め付け工具であって、
長条体群11(長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・)と、
長条体群11を束ねて長条体群11の長手方向に摺動可能に収容する収容孔12aおよび収容孔12aの長手方向にテーパした外周面12bを有し、収容孔12aから外周面12bまで到達する計12箇所の切れ目12c・12c・・・により計12個の小片12d・12d・・・に分割された内側拘束部材12と、
内側拘束部材12の収容孔12aに収容された長条体群11を、長条体群11の先端部が収容孔12aの開口部から突出する方向に付勢するエアバッグ13と、
内側拘束部材12の外周面12bに対応してテーパした内周面14bを有する嵌合孔14aが形成され、嵌合孔14aの内周面14bと内側拘束部材12の外周面12bとが当接するように内側拘束部材12を嵌合孔14aに嵌装する外側拘束部材14と、
を具備するものである。
このように構成することにより、六角ボルト2における締め付け工具1との係合部位である頭部2aの外形寸法が変化したり、頭部2aの外形形状が変化したり(例えば、六角ボルト2の中心線35の長手方向から見て頭部2aの形状が六角形から四角形となった場合等)した場合であっても、係合部10が六角ボルト2の頭部2aに強固に係合するので、六角ボルト2に十分なトルクを付与して締め付けることが可能である。
また、締め付け工具1の長条体群11を構成する長条体11a・11a・・・、長条体11b・11b・・・、長条体11c・11c・・・および長条体11d・11d・・・は、収容孔12aに収容される位置が収容孔12aの中心線30から離れるほどその断面寸法が大きい(長条体11aの断面寸法>長条体11bの断面寸法>長条体11cの断面寸法>長条体11dの断面寸法)ものである。
このように構成することは、以下の利点を有する。
すなわち、一般的にボルト等の締結用機械部品は、その直径(断面寸法)が大きくなるほど締め付け時に必要なトルクも大きくなるが、締結用機械部品の直径、ひいては締結用機械部品における締め付け工具との係合部の直径の増大に応じて締結用機械部品における締め付け工具との係合部に当接する長条体の直径(断面寸法)も増大して締結用機械部品における締め付け工具との係合部に当接する長条体の強度が向上する。
その結果、締結用機械部品の断面寸法の増大に応じて締め付け時により大きなトルクを付与することが可能である。
なお、ボルト等の締結用機械部品における締め付け工具との係合面(本実施例の場合、六角ボルト2の頭部2aの側面)に当接する長条体の断面寸法は、極力大きい方がその強度が向上する反面、長条体の断面寸法を過大とすると締め付け工具との係合部位とこれに当接する長条体との間の隙間が大きくなり、十分なトルクを伝達することが困難となる。
従って、ボルト等の締結用機械部品における締め付け工具との係合面に当接する長条体の断面寸法は、締結用機械部品における係合面の幅の2分の1未満(少なくとも二本の長条体が締結用機械部品における係合面に当接する程度)という条件を満たす範囲で極力大きくすることが好ましい。
また、締め付け工具1の長条体群11は、バネ用鋼からなるものである。
このように構成することにより、長条体群11が弾性変形可能であり、側方(長手方向に垂直な方向)からの外力が繰り返し加えられても塑性変形し難く、かつ締結用機械部品に十分なトルクを伝達可能な程度の強度を有することが可能である。
また、締め付け工具1は、
内側拘束部材12の外周面12bに雄ネジ12eが形成されるとともに外側拘束部材14の嵌合孔14aの内周面14bに雌ネジ14cが形成され、外側拘束部材14が内側拘束部材12に螺合するものである。
このように構成することにより、外側拘束部材14を内側拘束部材12に対して回転させるだけで容易に内側拘束部材12の収容孔14aの直径を変化させる(ひいては、長条体群11に含まれる個々の長条体同士を相互に当接させて強固に拘束する)ことが可能である。
なお、本実施例では外側拘束部材14が内側拘束部材12に螺合する構成とすることによりに内側拘束部材12の収容孔14aの直径を変化させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、他の方法で外側拘束部材を内側拘束部材の収容孔の長手方向に移動させて収容孔の直径を小さくすることにより長条体同士を相互に当接させて強固に拘束した状態とし、その状態で外側拘束部材を内側拘束部材に対して相対移動不能に固定する構成としても、同様の効果を奏する。
また、締め付け工具1は、
内側拘束部材12を構成する計12個の小片12d・12d・・・のそれぞれを内側拘束部材12の収容孔12aの半径方向(中心線30に垂直な方向)に摺動可能かつ内側拘束部材12の収容孔12aの中心線の周方向に移動不能に支持するとともに、長条体群11を支持する支持部材15を具備するものである。
このように構成することにより、内側拘束部材12を構成する計12個の小片12d・12d・・・を長条体群11を取り囲む位置に保持することが可能であるとともに、長条体群11を内側拘束部材12の収容孔12aに収容された状態で(脱落不能に)保持することが可能である。
また、締め付け工具1は、
支持部材15に固定されるハンドル部20を具備するものである。
このように構成することにより、作業者がハンドル部20を持って締め付け工具1を回転させ、六角ボルト2を締め付けるためのトルクを容易に付与することが可能である。
また、締め付け工具1のハンドル部20(ハンドル本体21)はラチェット機構22を介して支持部材15に固定されるものである。
このように構成することにより、六角ボルト2を締め付ける際に、ハンドル部20を所定の回転角度だけ回転させるたびに締め付け工具1の係合部10を一度六角ボルト2の頭部2aから外して再度六角ボルト2の頭部2aに係合させる作業を行う必要が無く、作業性に優れる。
なお、図9に示す如く、内側拘束部材12の収容孔12aの内周面に、長条体群11のうち内側拘束部材12の収容孔12aの内周面に対向するもの(長条体11a・11a・・・)を係止する係止溝12g・12g・・・を形成しても良い。
このように構成することにより、内側拘束部材12の収容孔12aの内周面と長条体群11との間の当接部位で長条体群11が内側拘束部材12の中心線30の周方向にスリップすることを防止することが可能であり、締め付け時に六角ボルト2に更に大きなトルクを付与することが可能である。
本発明に係る締め付け工具の実施の一形態を示す底面図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態を示す側面断面図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態における内側拘束部材の底面図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態における小片の斜視図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態における外側拘束部材の底面図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態における支持部材を示す図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態をボルトに押し付けた状態を示す側面断面図。 本発明に係る締め付け工具の実施の一形態をボルトに係合した状態を示す側面断面図。 本発明に係る締め付け工具における内側拘束部材の別実施例を示す底面図。
符号の説明
1 締め付け工具
2 六角ボルト(締結用機械部品)
2a 頭部
11 長条体群
11a 長条体
11b 長条体
11c 長条体
11d 長条体
12 内側拘束部材
12a 収容孔
12b 外周面
12c 切れ面
12d 小片
13 エアバッグ(付勢部材)
14 外側拘束部材
14a 嵌合孔
14b 内周面

Claims (9)

  1. 締結用機械部品を締め付ける締め付け工具であって、
    複数の長条体と、
    前記複数の長条体を束ねてその長手方向に摺動可能に収容する収容孔および前記収容孔の長手方向にテーパした外周面を有し、前記収容孔から前記外周面まで到達する複数の切れ目により複数の小片に分割された内側拘束部材と、
    前記内側拘束部材の収容孔に収容された複数の長条体を、その先端部が前記収容孔の開口部から突出する方向に付勢する付勢部材と、
    前記内側拘束部材の外周面に対応してテーパした内周面を有する嵌合孔が形成され、当該嵌合孔の内周面と前記内側拘束部材の外周面とが当接するように前記内側拘束部材を前記嵌合孔に嵌装する外側拘束部材と、
    を具備する締め付け工具。
  2. 前記複数の長条体は、
    前記収容孔に収容される位置が前記収容孔の中心線から離れるほどその断面寸法が大きい請求項1に記載の締め付け工具。
  3. 前記複数の長条体は、
    その断面寸法が前記締結用機械部品における係合面の幅の2分の1未満である請求項2に記載の締め付け工具。
  4. 前記複数の長条体はバネ用鋼からなる請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の締め付け工具。
  5. 前記内側拘束部材の外周面に雄ネジが形成されるとともに前記外側拘束部材の嵌合孔の内周面に雌ネジが形成され、前記外側拘束部材が前記内側拘束部材に螺合する請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の締め付け工具。
  6. 前記内側拘束部材の収容孔の内周面に、前記複数の長条体のうち前記収容孔の内周面に対向するものを係止する係止溝を形成する請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の締め付け工具。
  7. 前記内側拘束部材を構成する複数の小片のそれぞれを前記内側拘束部材の収容孔の半径方向に摺動可能かつ前記収容孔の中心線の周方向に移動不能に支持するとともに前記複数の長条体を支持する支持部材を具備する請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の締め付け工具。
  8. 前記支持部材に固定されるハンドルを具備する請求項7に記載の締め付け工具。
  9. 前記ハンドルはラチェット機構を介して前記支持部材に固定される請求項8に記載の締め付け工具。
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