JP2009041124A - 可染性ポリプロピレン繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維中にポリエステル組成物を微細に分散させた染色性が良好なポリプロピレン繊維を開発する。
【解決手段】下記1)〜5)の要件を備えた可染性ポリプロピレン繊維およびその製造方法。
1)繊維中のポリエステル組成物の直径が200nm以下
2)繊維中のポリエステル組成物の分散度が60%以下
3)ポリエステル組成物の含有量が3質量%以上30質量%以下
4)ポリエステル組成物の融点が200℃以下
5)分散剤を0.01質量%以上10質量%以下の範囲で含有する
【選択図】なし

Description

本発明は、カーペット用長繊維、衣料用繊維のほか各種染色糸に用いる染色性ポリプロピレン繊維に関する。
従来、ポリプロピレン繊維は酸及びアルカリ薬品に対して耐久性が高いなどの特徴を活かして、養生ネット等産業資材向け用途として多く使用されてきた。ポリプロピレン繊維は難染色性繊維ではあるが、顔料原着を行うことによって、産業資材用途と同様にカーペット用途や衣料用途等の分野においても利用されてきた。このような中で、近年、多品種化・小ロット化が進む傾向にあり、原着繊維においてはタフト製品やテキスタイルにおいて、顧客の要望に合わせて色合いを変えることが難しいために、さらに、染色性と耐色性を備えたポリプロピレン繊維が強く求められるようになってきた。また、顔料原着により製造されるポリプロピレン繊維は、単糸繊度及び繊度の細い繊維の製造が難しく、特に衣料用途分野においては、柔らかい風合いのテキスタイルを得るための細繊度原糸が求められている。
このように染色性に優れたポリプロピレン繊維が求められてきていることから、多くの研究者によりポリプロピレン繊維の可染性向上についての検討がされている。例えば、ポリプロピレンに対して1〜20重量%のポリエステルを含有するフィラメントよりなる易染糸が提案され、この易染糸は染着性が優れていると同時に、ポリエステルの含有比率によって、染着度を任意に調整することができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリオレフィンを海成分とする繊維に可染性ポリマー、例えばポリアミドあるいはポリエステルを島成分として含有する可染性ポリオレフィン繊維が開発され、この繊維は、分散染料によく染色され、撥水性、非吸湿性に優れているとされている(例えば、特許文献2、3参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ポリプロピレン中のポリエステルの分散が不十分であるため製糸性が悪く、単糸繊度5dtex以下の原糸を得ることが困難であるので、衣料用途などには実用化されていない。また、特許文献2においては、ポリプロピレン中のポリエステルの分散サイズを微小化するために分散剤を添加しているが、その分散サイズは最小でも0.2μmのものしか得られていない。
また、特許文献3においては、ポリアルキレングリコール成分を共重合したポリエステルを用いているが、十分な染色性は得られなかった。
特開平06−025912号公報 特開平04−209824号公報 特開2006−002275号公報
本発明の目的は、染色性に優れたポリプロピレン繊維を得ることにあり、ポリプロピレン繊維中にポリエステル組成物を微細に分散させる技術を開発することによって、染色性が良好で細繊度のポリプロピレン繊維を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、ポリプロピレン繊維中に分散させるポリエステル組成物について検討したところ、特定の径、分散度、あるいはその含有量等を選択することによって、染色性が良好で細繊度のポリプロピレン繊維を得ることに成功した。
すなわち、本発明の第一の要旨は、下記1)〜5)の要件を備えた可染性ポリプロピレン繊維を提供することにある。
1)繊維中のポリエステル組成物の直径が200nm以下
2)繊維中のポリエステル組成物の分散度が60%以下
3)ポリエステル組成物の含有量が3質量%以上30質量%以下
4)ポリエステル組成物の融点が200℃以下
5)分散剤を0.01質量%以上10質量%以下の範囲で含有する
また、本発明の第二の要旨は、分散剤を含有するポリエステル組成物及びポリプロピレンを含有する組成物を溶融混練することによる前記可染性ポリプロピレン繊維の製造方法。
さらに、本発明の第三の要旨は、ポリエステル組成物、ポリプロピレン及び分散剤を含有する組成物を溶融混練することによる前記可染性ポリプロピレン繊維の製造方法。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維は、特定の直径のポリエステル組成物が、特定の含有量で、且つ、特定の分散率で分散されていることにより、従来のポリプロピレン繊維にない極めて優れた染色性を有する。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維は、繊維中のポリエステル組成物の直径が200nm以下であることが必要である。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維は、ポリプロピレンのマトリックス相とポリエステル組成物の分散相からなり、ポリエステル組成物が可染性を発現する。本発明においては、ポリエステル組成物が微小サイズで繊維中に分散するようにモルフォロジーを制御することが重要なポイントである。
本発明において「分散」とは、ポリエステル組成物がポリプロピレンのマトリックス中に島状に独立して存在することをいい、分散相の形状は球状や棒状、フィブリル状(微小繊維状)などいずれでもよい。ポリエステル組成物の分散サイズを小さくすると、ポリエステル組成物の表面積が大きくなるので、染料が効率的にポリエステル組成物中に浸透しやすくなり濃色に染色することが可能になる。繊維を濃色に染色することができるということは、染色条件の変更によって色合いの調整幅が広くなることのほか、ポリエステル組成物の添加量が少なくても所望の染色濃度を発現できるようになることを意味する。また、ポリエステル組成物の分散サイズを小さくすると、ポリプロピレンと混合して製糸する際に溶融ポリマーの均質性が向上するので、紡糸〜延撚工程で単糸切れなどの不具合が発生しなくなり、細繊度の繊維を安定して得ることが可能となる。
繊維中にポリエステル組成物を分散させるためには、紡糸工程で溶融混練する際に各ポリマーの溶融粘度が同程度であるのが好ましい。本発明においては、融点が200℃以下のポリエステル組成物を用い、さらにポリプロピレンとポリエステル組成物との相溶性を向上する効果をもつ分散剤を併せて添加することにより、従来技術に比べてポリエステル組成物の分散サイズを大幅に小さくできることを見出した。
後述の方法で製糸すると、ポリエステル組成物は繊維軸方向に伸張された形態となるが、分散相の表面積は直径とほぼ相関するので、分散サイズは繊維の横断面における分散相の直径で規定される。本発明において、分散相の直径は200nm以下であることが必須である。分散相の直径が200nmより大きい場合には、ポリエステル組成物の分散性が悪くなり紡糸工程においてノズル孔よりポリマーを吐出して巻き取られるまでのドラフトにおいて溶融張力が安定せず、巻き取られた未延伸糸に太細が発生し、延撚工程において単糸切れ、毛羽発生の原因となり、品質の高い繊維を得ることが困難であった。分散相の直径を200nm以下にすることにより、細繊度原糸の製糸安定性を確保することができ本発明に至ったのである。分散相の直径は、繊維軸に垂直な断面(横断面)を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより測定することができる。
さらに、ポリエステル組成物により形成される分散相は、繊維中、繊維間および繊維の長手方向に均一に分布していることも重要なポイントである。ポリエステル組成物が均一に分散されていることにより、染色濃度のムラが低減されて織編物の色合いが均質化されるほか、染色条件の変更による染色濃度の制御がし易くなるという利点がある。
ポリエステル組成物を均一に分布させるためには、溶融混練を十分に行うのが好ましく、後述のように、予め2軸押出機などによりポリプロピレン中にポリエステル組成物を分散させたブレンドチップを作製し、紡糸工程で押出機により再度溶融混練するのが好ましい。
なお、ポリプロピレンとポリエステル組成物とをチップブレンドして紡糸機の押出機に直接投入することもできるが、その場合には予めそれぞれのチップを十分に混合しておく重要である。ポリエステル組成物の分布の均一性は、後述のように繊維内のポリエステル組成物をTEMまたはSEMで観察し、画像解析によって分散度を計測することにより評価できる。このとき、単繊維の内部だけでなく、マルチフィラメントを構成する別の繊維や長さ方向で別の場所から採取した試料を測定することにより、繊維間及び経時的な均一性を評価する。
本発明において、繊維中のポリエステル組成物の分散度は60%以下であることが必要である。分散度が60%よりも大きくなると、ポリエステル組成物の分布ムラが生じるようになるため紡糸工程で糸切れが発生し易く、製糸性が低下するので好ましくない。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維に添加されるポリエステル組成物の量は、3重量%以上30重量%以下であることが必要である。さらに製糸安定性、染色性の点から5重量%以上15重量%以下の範囲が好ましい。ポリエステル組成物の添加量が3重量%未満の場合には、繊維を染色した際に十分な染色濃度が得られない。またポリエステル組成物の添加量が30重量%を越える場合には、工業的に生産するに十分な製糸安定性が得られない。
ポリエステル組成物は、ジカルボン酸類又はそのエステル形成誘導体とジオール又はそのエステル形成誘導体を原料として重縮合反応によって製造される線状飽和ポリエステルであればよく、特に制限されるものではないが、融点が200℃を超える場合は通常の溶融紡糸の条件でポリプロピレンとポリエステル組成物とを均一に溶融混練することが難しくなるので、本発明においては、融点が200℃以下のものが用いられる。
特に、融点が低いポリブチレンテレフタレートを主体とするものが好ましく、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよいが、ポリプロピレンへの分散性の点から共重合成分としてアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、p―オキシエトキシ安息香酸等のジカルボン酸類またはそのエステル形成誘導体成分、またはポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサンメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール成分を含んでいるものが好ましい。ポリアルキレングリコールには、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシアルキレングリコール、p―キシレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等のジオール又はそのエステル形成誘導体成分を含んでいてもよい。これらの共重合成分は互いに1種ずつ用いてもよいし、2種以上用いることもできる。
さらに、本発明におけるポリエステル組成物には、ポリエステルが実質上線状である範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸モノカリウム塩等の多価カルボン酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物を少量共重合させてもよい。
本発明においては、ポリエステル組成物の分散サイズを小さくするために、マトリックス相のポリプロピレンとの相溶性を向上する目的で、分散剤が0.01〜10重量%の範囲で添加される。分散剤としては、ポリプロピレンとポリエステル組成物との相溶性を向上するものであれば特に制限はない。使用される分散剤としては、ポリプロピレン系樹脂に無水マレイン酸等の酸無水物、飽和或いは不飽和カルボン酸類、ビニル化合物等がそれぞれ、或いは同時にグラフト重合などの方法で置換された反応生成物等が好適に使用される。
また、本発明の可染性ポリプロピレン繊維は、酸化チタン或いは硫酸バリウムなどの粒子が添加されていても何ら問題はなく、また、抗酸化剤、艶消剤、難燃剤等通常用いられる添加剤を添加することも可能である。さらに、衣料用途向けの場合には、特に綿素材と併せて使用された際にタンブラー乾燥等で過熱されたときの自己酸化発熱を抑制するために、0.1重量%以上のヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。該ヒンダードアミン系光安定剤の添加量が0.1重量%未満では、酸化発熱を防止することが困難である。製糸安定性、経済性の点から5.0重量%以下の範囲であることが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤としては、公知のヒンダードアミン系安定剤であれば、その化学構造等は特に制限されることはないが、分子量1000以上の高分子量型ヒンダードアミン系安定剤が好ましい。分子量1000未満のヒンダードアミン系安定剤では、溶融紡糸或いは延伸工程、繊維形態になってからの通常の洗濯或いは有機溶剤を利用したクリーニングにより、安定剤が繊維内部から溶出しやすくなり、特に、衣料品としては十分な耐光及び耐熱安定性が不足し、自己酸化発熱を起こし易くなる。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維の原料となるポリプロピレンは、公知のポリプロピレンが制限なく使用される。例えば、ホモポリプロピレン、或いは共重合可能なエチレン、ブテン−1などの他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらのポリプロピレンを単独あるいは2種以上の組合せで使用してもよい。さらにポリプロピレンのメルトフローレート(以下MFRと略称する)は、7g/10min以上60g/10min未満にあることが好ましい。該ポリプロピレンのMFRが7g/10min未満の場合には、製糸可能な紡糸温度が高くなるために、顔料や添加剤が熱分解することがあるので好ましくない。またMFRが60g/10min以上の場合には、紡糸工程でのドローダウンが大きくなり、製糸安定性を損なうので好ましくない。製糸安定性の面からMFRは20g/10min以上40g/10min以下の範囲であることが好適である。なお、MFRは、JIS K 7210に準拠し、測定温度230℃、測定荷重2.16kgの条件で測定される。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維を得るためにポリエステル組成物をポリプロピレンに添加する方法については、紡糸工程の溶融押出しの前にポリプロピレンとポリエステル組成物とを十分にチップブレンドして溶融押出機内で混練する方法を用いることができるが、繊維中でポリエステル組成物をより均一に分布させるために、予め2軸押出機などによりポリプロピレン中にポリエステル組成物を分散させたブレンドチップを作製し、紡糸工程で再度溶融混練するのが好ましい。
また、ポリエステル組成物の分散サイズを小さくするための分散剤を添加する方法については特に制限はなく、ポリエステル組成物を重合する工程で添加してもよく、またポリエステル組成物とポリプロピレンとを溶融混練する工程で添加してもよい。
本発明の可染性ポリプロピレン繊維の製造は、一般的な溶融紡糸及び延伸方法により行われる。通常公知の紡糸工程で製糸すればよく、1軸或いは2軸押出機により溶融混練された原料をノズルから押出し、紡糸油剤を給油し、糸条を巻き取ることより未延伸糸を得る。
未延伸糸はそのまま連続工程で延伸してもよく、或いは一旦巻取った後、エージングを行った後延伸してもよい。延伸工程は1段或いは2段以上の多段であってもよく、多段延伸における延伸倍率比の設定も特に限定されない。また延伸工程で接触或いは非接触型の熱源を用いても何ら問題ない。延伸時の延伸ローラー温度は60℃以上155℃以下の範囲が好ましい。延伸ローラー温度が60℃より低い場合は、延伸時に単糸切れが多発するために好ましくない。ローラー温度が155℃を超える場合には、断糸が発生しローラーに原糸が巻きついた時など、ローラー上で原糸が融解し、製糸工程の管理面で不都合が生じる。延伸倍率についても溶融紡糸されたフィラメントの破断伸度の範囲で任意に設定することが可能である。最終的に繊維の強伸度は特に限定されることはない。
さらに本発明の可染性ポリプロピレン繊維は、捲縮付与加工を行っても問題はない。延伸糸を公知の仮撚り技術で加工してもよく、延伸工程から連続で捲縮付与加工を行ってもよい。
本発明によれば、顔料原着による着色では製糸が困難であった単繊維繊度が5dtex以下の細繊度の可染性ポリプロピレン繊維を得ることが可能となり、本発明の可染性ポリプロピレン繊維を用いた織編物は、風合いの良いファブリックが得られるばかりでなく、前述の光安定剤を添加することによって酸化発熱も起こらず、特に衣料用途にも好適に用いられるものである。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、各物性の測定、評価は次の方法でおこなった。
1)ポリエステル組成物の融点
ポリエステル組成物を約10mg秤量してAl製サンプルパンに入れ、DSC(セイコー製 DSC220)により、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気(窒素流量100ml/min)の条件で室温〜300℃の温度範囲でDSC測定し、結晶の融解に起因する吸熱のピーク温度から求めた。
2)製糸性
紡糸巻取り速度 500m/min、延撚速度400m/minの速度で、84dtex36フィラメント(単糸繊度2.33dtex)の原糸が得られるように製糸を行い、細繊度原糸の製糸安定性の検討を行った。紡糸工程、または延伸工程において単糸切れ、毛羽等が発生して、工業的に安定に製糸ができないと判断される場合には製糸性を×とし、そのような不具合がまれに発生する場合は△、全く発生しない場合は○と評価した。
3)分散相の直径評価
繊維試料を電子顕微鏡用エポキシ系樹脂で包埋したのち繊維の横断面を面出しし、0.5%四酸化ルテニウム水溶液に室温で一晩浸漬して分散相を染色した。さらに、ダイヤモンドナイフを装着したミクロトームにより、切削速度0.4mm/secの条件で約70nmの厚さの切片を切り出した。得られた切片をTEM観察用メッシュに載せ、(株)日立製 H−7600 透過型電子顕微鏡により、加速電圧80kVの条件で観察した。観察倍率20,000〜50,000倍で任意の繊維断面を撮影し、画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)を用いて分散相を抽出したのち、その面積を100個以上計測して円換算直径を算出し、平均値d(nm)を求めた。
4)分散相の分散度の評価
上述のTEM観察の際に観察倍率3,000〜5,000倍で単繊維の全体像を撮影し、画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)を用いて繊維の外形および分散相を抽出したのち、繊維の全面を埋め尽くすまで抽出オブジェクトの非接合膨張処理を行った。この操作により各々の分散相が占有する領域が得られ、その面積が分散相の疎密状態に対応する。マルチフィラメントを構成する複数の繊維や長さ方向の別の位置から採取した10〜20本の繊維について画像解析を行ってトータルの面積分布を求め、それらの平均値A(nm2 )および標準偏差SD(nm2 )から、次式により分散度(%)を算出した。よって、分散度の数値が大きいと分散相の分布に疎密があることを示し、数値が小さいと分散相が均一に分布していることを示す。
分散度(%)=SD/A×100
5)染色性
得られた繊維より筒編地を作成し、染色を行う編地に対して2wt%重量の分散染料(チバガイギー社製テラシールブルー)を250mlの水に溶解して染料溶液を作成した。筒編地と染料溶液を染色浴に投入し、常圧100℃で30分浸漬して染色を行い、その後洗浄剤1%を含む水浴に70℃で30分間保持した後、水洗、乾燥した。得られた染色糸の染色性を目視評価した。染色後の繊維を目視で判定し下記3段階に分け評価した。
×:着色なし、もしくは一部が淡色に着色
△:比較的淡色に着色
○:期待する濃度に着色
[実施例1]
酸成分としてテレフタル酸ジメタノール29.2モル%、イソフタル酸ジメタノール12.5モル%、グリコール成分としてブタンジオールを58.3モル%の割合で重合釜に投入し、さらにテトラブトキシチタンを500ppm触媒として加え、200℃まで徐々に加熱し、エステル交換反応を行った。さらに220℃まで加熱し、無水マレイン酸をグラフト重合したポリプロピレン組成物(1)(東洋化成工業製 トーヨータックH−1100)を、ポリエステル樹脂理論収量の10質量%の割合で添加した。さらに重合釜を減圧し、250℃まで加熱することにより、ポリエステル成分の重縮合を行い、分散剤添加イソフタル酸を30モル%共重合したポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の融点は、174℃であった。該ポリエステル組成物と、ホモポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製 製品名:SA03、MFR30g/10分(以下 SA03と標記する。))を、ポリエステル組成物が10質量%となるように2軸押出機により240℃で溶融混練し、冷却後ペレタイズを行い、ポリエステル組成物の濃度が10質量%のポリプロピレンチップを得た。
該ポリプロピレンチップを紡糸機の1軸押出機に投入し、1軸押出機により230℃で溶融混練したポリマーを、ギヤポンプで定量しながら、ホール径0.6mm、ホール数36である紡糸ノズルから吐出量10.5g/minで押出し、紡糸油剤を付与しながら500m/minの速度で巻き取った。得られた未延伸糸をローラー上で80℃で加熱しながら、400m/minで2.5倍に延伸し、84dtex36フィラメントの可染性ポリプロピレン繊維を得た。
製糸性および得られた繊維の染色性はいずれも○で、繊維中のポリエステル組成物の分散サイズは115nm、分散度は56%であった。
[実施例2]
酸成分としてテレフタル酸ジメタノール29.2モル%、イソフタル酸ジメタノール12.5モル%、グリコール成分としてブタンジオールを58.3モル%の割合で重合釜に投入し、さらにテトラブトキシチタンを500ppm触媒として加え、200℃まで徐々に加熱し、エステル交換反応を行った。さらに重合釜を減圧し、250℃まで加熱することにより、ポリエステル成分の重縮合を行い、イソフタル酸を30モル%共重合したポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の融点は、174℃であった。該ポリエステル組成物のチップを140℃で3時間減圧乾燥させた後、該ポリエステル組成物が10質量%、分散剤として未変性ポリプロピレンに、水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル及び芳香族ビニル化合物がグラフト重合されたポリプロピレン組成物(2)を5質量%、さらにSA03を85質量%の割合でチップブレンドしたものを、2軸押出機により230℃の温度で溶融混練し、冷却後ペレタイズを行い、ポリエステル組成物の濃度が10質量%のポリプロピレンチップを得た。
該ポリプロピレンチップを実施例1と同様の方法で製糸を行い、84dtex36フィラメントの原糸を得た。
製糸性および得られた繊維の染色性はいずれも○で、繊維中のポリエステル組成物の分散サイズは44nm、分散度は42%であった。
[実施例3]
ポリエステル組成物を重合する際の組成を酸成分テレフタル酸ジメタノール33.3モル%、イソフタル酸ジメタノール8.3モル%とした以外は、実施例2と同様の方法により84dtex36フィラメントの原糸を得た。ポリエステル組成物の融点は192℃であった。
製糸性は○、得られた繊維の染色性は○で、繊維中のポリエステル組成物の分散サイズは60nm、分散度は53%であった。
[比較例1]
実施例2で得たポリエステル組成物を10質量%、SA03を90質量%の割合でチップブレンドしたものを2軸押出機により230℃の温度で溶融混練し、冷却後ペレタイズを行い、ポリエステル組成物の濃度が10質量%のポリプロピレンチップを得た。得られたポリプロピレンチップを実施例1及び2と同様の方法で製糸を行った。
紡糸段階でノズル吐出孔から巻取りまでのドラフト間での斑が大きく、延伸工程でポリエステル成分の剥離、単繊維切れによる毛羽の発生が散見された。
このため製糸性は△とした。得られた繊維の染色性は○であった。繊維中のポリエステル組成物の分散サイズは275nm、分散度は67%であった。
[比較例2]
ポリエステル組成物を重合する際の組成を酸成分テレフタル酸ジメタノール37.5モル%、イソフタル酸ジメタノール4.2モル%とした以外は、実施例2と同様の方法により84dtex36フィラメントの原糸を得た。ポリエステル組成物の融点は209℃であった。
製糸性は○で概ね良好であったが、得られた繊維の染色性は△で、相対的に淡色にしか染色できなかった。繊維中のポリエステル組成物の分散サイズは180nm、分散度は56%であった。
[比較例3]
ポリエステル組成物を重合する際の組成を酸成分テレフタル酸ジメタノール41.7モル%とした以外は、実施例2と同様の方法により84dtex36フィラメントの原糸を得た。ポリエステル組成物の融点は209℃であった。
製糸においては、紡糸段階で糸切れが多発し、安定に製糸は不可であった。このため製糸性は×となった。得られた繊維の染色性は△で、相対的に淡色にしか染色できなかった。繊維中のポリエステル組成物の分散サイズは215nmであった。
以上、各実施例及び比較例に記載のポリプロピレン繊維の組成、製糸性、染色性等について、表1に纏めて示す。
Figure 2009041124
以上詳細に説明したように、本発明により、ポリプロピレン繊維中に特定の径のポリエステル組成物が、特定の含有量と分散率で含有することによって、染色性に優れた細繊度のポリプロピレン繊維を開発することができた。従って、かかる可染性ポリプロピレン繊維は、細繊度であり、特に、衣料品に向けた繊維として需要が期待される。

Claims (3)

  1. 下記1)〜5)の要件を備えた可染性ポリプロピレン繊維。
    1)繊維中のポリエステル組成物の直径が200nm以下
    2)繊維中のポリエステル組成物の分散度が60%以下
    3)ポリエステル組成物の含有量が3質量%以上30質量%以下
    4)ポリエステル組成物の融点が200℃以下
    5)分散剤を0.01質量%以上10質量%以下の範囲で含有する
  2. 分散剤を含有するポリエステル組成物及びポリプロピレンを含有する組成物を溶融混練することを特徴とする前記可染性ポリプロピレン繊維の製造方法。
  3. ポリエステル組成物、ポリプロピレン及び分散剤を含有する組成物を溶融混練することを特徴とする前記可染性ポリプロピレン繊維の製造方法。
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