JP2009052004A - 蛍光体および波長変換器ならびに発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 初期における発光強度を高く維持できるとともに、高温多湿雰囲気での発光強度の経時的劣化を抑制できる蛍光体および波長変換器ならびに発光装置を提供する。
【解決手段】 Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1(M1は、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種)とを含有する複合酸化物からなる蛍光体であって、X線吸収端近傍構造スペクトル(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)による2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する3価のEuイオンの濃度が1〜10%であることを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】 Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1(M1は、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種)とを含有する複合酸化物からなる蛍光体であって、X線吸収端近傍構造スペクトル(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)による2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する3価のEuイオンの濃度が1〜10%であることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
本発明は、紫外線又は可視光を吸収し、長波長の可視光を発する蛍光体およびLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)などの発光素子から発せられる光を波長変換して外部に取り出す蛍光体を含有する波長変換器、さらに波長変換器を搭載した発光装置に関する。
半導体材料からなる発光素子(以下「LEDチップ」とも言う)は、小型で電力効率が良く鮮やかに発色する。LEDチップは、製品寿命が長い、オン・オフ点灯の繰り返しに強い、消費電力が低い、という優れた特徴を有するため、液晶等のバックライト光源や蛍光ランプ等の照明用光源への応用が期待されている。
LEDチップの発光装置への応用は、LEDチップの光の一部を蛍光体で波長変換し、当該波長変換された光と波長変換されないLEDチップの光とを混合して放出することにより、LEDチップの光とは異なる色を発光する発光装置として既に製造されている。
この発光装置は、青色LEDチップ上に(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12の組成式で表されるYAG系蛍光体等の黄色成分の蛍光体を形成したものである。
この発光装置では、発光素子から発する光が黄色成分の蛍光体に照射されると、黄色成分の蛍光体は励起されて可視光を発し、この可視光が出力として利用される。ところが、発光素子の明るさを変えると、青色と黄色との光量比が変化するため、白色の色調が変化し、演色性に劣るといった問題があった。
そこで、このような課題を解決するために、発光素子として400nm以下のピークを有する紫色LEDチップを用いるとともに、波長変換器には3種類の蛍光体を高分子樹脂中に混ぜ込んだ構造を採用し、紫色光を赤色、緑色、青色の各波長に変換して白色を発光することが提案されている(特許文献1参照)。これにより、演色性を向上することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の発光装置では、励起光400nm付近の紫外域領域に対する赤色成分の蛍光体の発光効率が低いため、白色光の効率を向上できないという問題があった。
このような状況を鑑み、赤色成分の蛍光体の開発が行われており、例えば、非特許文献1には、Ba3−x−yEuxMnyMgSi2O8の化学式で表される珪酸塩系蛍光体が報告されている。
特開2002−314142号公報
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサイエティ(Journal of Electrochemical Society)、1968年、P773-778
しかしながら、非特許文献1に開示されるような、Eu、Mg、Mn、Si、Baを含有する珪酸塩系蛍光体においては、初期における発光強度は高いものの、高温多湿雰囲気において発光強度の低下が大きく、耐湿性が低いという問題があった。これにより、例えば浴場などの高温多湿雰囲気では、Eu、Mg、Mn、Si、Baを含有する珪酸塩系蛍光体の発光強度の経時的劣化が激しいという問題があった。
本発明は、初期における発光強度を高く維持できるとともに、高温多湿雰囲気での発光強度の経時的劣化を抑制できる蛍光体および波長変換器ならびに発光装置を提供することを目的とする。
本発明者は、高温多湿雰囲気における発光強度の経時的劣化について鋭意検討した結果、蛍光体の発光強度という観点からは2価のEuイオン単独からなる方が良いが、発光強度の経時的劣化という観点からは、3価のEuイオンを所定量含む方が良いことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の蛍光体は、Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1(M1は、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種)とを含有する複合酸化物からなる蛍光体であって、X線吸収端近傍構造スペクトル(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)による2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する前記3価のEuイオンの濃度が1〜10%であることを特徴とする。
このような蛍光体では、2価のEuイオンが多いので蛍光体の発光強度を高く維持できるとともに、3価のEuイオンの濃度が1〜10%であるため、発光強度の経時的劣化を抑制することができる。
すなわち、蛍光体の発光強度は、2価のEuイオン量に支配されるため、その量が多い程、発光強度は高くなるが、一方で、耐熱性が低下する。そこで、本発明では、3価のEuイオンの濃度を1〜10%とすることにより、発光強度を高く維持した状態で、発光強度の経時的劣化を抑制することができる。
また、本発明の蛍光体は、多数の蛍光体粒子から構成されるとともに、該蛍光体粒子は、Eu、Mnを含有するM1 3MgSi2O8からなるコア部と、該コア部の周囲に前記コア部を取り囲むように形成され、Eu、Mnを含有するM1MgSiO4からなるシェル部とを備えてなることを特徴とする。
このような蛍光体では、コア部の周囲に、コア部を取り囲むようにM1MgSiO4からなるシェル部が形成されているため、コア部から外部への例えばBa等のM1の拡散が抑制され、高温多湿雰囲気であってもBaの外部への拡散を抑制でき、高温多湿雰囲気での劣化を抑制できる。
M1の蛍光体粒子外部への拡散を抑制することにより、高温多湿雰囲気での発光強度の経時的劣化を抑制できる理由は明らかではないが、本発明者等は、M1 3MgSi2O8よりも安定に存在するM1MgSiO4により、このシェル部のM1MgSiO4からM1が外部に拡散することを抑制できるとともに、コア部のM1 3MgSi2O8からのM1も、シェル部のM1MgSiO4によりM1が外部に拡散することを抑制でき、これにより、3価のEuよりも不安定であるが、発光するために必要な2価のEu量の経時的減少を防止でき、発光強度の経時的劣化を抑制できると考えている。したがって、シェル部のM1MgSiO4の存在により、これ以上の2価のEu量の経時的減少を防止でき、一定量の2価のEu量を確保できるとともに、発光強度の経時的劣化を抑制することができる。
本発明の波長変換器は、透明マトリクス中に蛍光体が分散しており、該蛍光体により光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、前記蛍光体は、上記蛍光体を含有していることを特徴とする。また、本発明の発光装置は、励起光を発する化合物半導体からなる発光素子と、該発光素子と電気的に接続され、かつ外部と接続するための導体と、前記励起光の波長を変換する上記波長変換器とを基板に備えてなることを特徴とする。このような波長変換器、発光装置では、上記した蛍光体を用いることにより、発光効率を高く維持できるとともに、耐湿性の経時的劣化を抑制できる。
本発明の蛍光体は、2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する3価のEuイオンの濃度を1〜10%とすることにより、発光強度を高く維持した状態で、発光強度の経時的劣化を抑制することができる。このような蛍光体を用いた波長変換器、発光装置では、発光効率を高く維持できるとともに、耐湿性の経時的劣化を抑制できる。
本発明の蛍光体は、Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1(M1は、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種)とを含有する複合酸化物(珪酸塩系蛍光体)からなり、M1 3MgSi2O8:Eu、Mnで表されるもので、この蛍光体は、赤色の光を発するものである。
このような蛍光体を構成する多数の蛍光体粒子は、平均粒子径が0.1〜50μm、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは1〜20μmであることが好ましい。この範囲とすることにより、後述する波長変換器の光透過性をそれほど低下させることなく、発光装置の発光効率の低下を抑制できる。
そして、本発明の蛍光体は、X線吸収端近傍構造スペクトル(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)による2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する3価のEuイオンの濃度が1〜10%であることを特徴とする。言い換えれば、発光強度に影響を与える2価のEuイオンの濃度は90〜99%である。
そして、本発明の蛍光体は、X線吸収端近傍構造スペクトル(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)による2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する3価のEuイオンの濃度が1〜10%であることを特徴とする。言い換えれば、発光強度に影響を与える2価のEuイオンの濃度は90〜99%である。
2価のEuイオン濃度と3価のEuイオン濃度は、XANESによって測定することができ、例えば、Eu3+の全Euに占める割合は、図1に示すように、Eu−L3吸収端のXANESスペクトルのピーク分離を利用した定量的解析法により算出できる。これは吸収端近傍に現れる鋭いピークをガウス分布関数またはローレンツ分布関数で、高エネルギー側のなだらかな吸収を示す連続状態への遷移をarctangent項で近似し、未知試料のXANESスペクトルをデコンボリューションすることによって分離する方法である。XANESは、各元素の特性吸収端とその近傍に現れる共鳴吸収ピークの総称で、その元素の価数や構造を敏感に反映している。一般に、希土類のL3吸収端XANESスペクトルに現れる強い共鳴ピークエネルギーは、希土類元素の価数によって決まることが知られており、Euの場合、Eu2+のピークはEu3+のピークより約8eV低いエネルギーを持つので、2つを分離して定量することが可能である。ピーク高さとEu2+、Eu3+の濃度が比例関係にあると仮定して、Eu3+の占有イオン濃度を(Eu3+ピーク高さ)/(Eu2+ピーク高さ+Eu3+ピーク高さ)として定義した。
また、本発明では、蛍光体粒子31は、図2に示すように、コア部33と、該コア部33の周囲にコア部33を取り囲むように形成されたシェル部35とから構成されていることが望ましい。M1としてはBaであることが望ましい。尚、図2(a)では、便宜上、2つの蛍光体粒子が接合したものを示すが、蛍光体粒子はそれぞれ分離した状態が通常である。
コア部33には亀裂37が形成されており、中央部には直線状亀裂37aが一定方向に形成され、外周部には、直線状亀裂37aを連結するような環状亀裂37bが形成されている。環状亀裂37bは、言い換えれば、直線状亀裂37aを取り囲むように形成されている。コアシェル構造を有するか否かは、環状亀裂37bの有無により確認することができる。
このコア部33は、Eu、Mnを含有するM1 3MgSi2O8から形成されており、直線状亀裂37a、環状亀裂37bおよびその近傍にはBa元素が多く存在している。Eu、Mnを含有するM1 3MgSi2O8とは、Ba3MgSi2O8結晶のBaサイトの一部または全部がSrまたはCaで置換される場合があり、このBa3MgSi2O8結晶中にEu、Mnが固溶していることを意味する。Ba3MgSi2O8結晶中には、Euは2価として存在する。
シェル部35は、Eu、Mnを含有するM1MgSiO4から形成されており、Eu、Mnを含有するM1MgSiO4とは、BaMgSiO4結晶のBaサイトの一部または全部がSrまたはCaで置換される場合があり、このBaMgSiO4結晶中にEu、Mnが固溶していることを意味する。BaMgSiO4結晶中にはEuは3価として存在する。
このような蛍光体粒子31では、コア部33の周囲に、コア部33を取り囲むようにM1MgSiO4からなるシェル部35が形成されているため、コア部33から外部へのBaの拡散が抑制され、高温多湿雰囲気であってもBaの外部への拡散を抑制でき、高温多湿雰囲気での発光強度の経時的劣化を抑制できる。
本発明の蛍光体は、M1 3−aEuaMg1−bMnbSicO8の化学組成(但し、aは0<a≦1.5、bは0<b≦0.5、cは1.905≦c≦2.205を満足する値である)を有することが望ましい。これにより、化学量論組成に近く、励起光を赤色に変換することのできる結晶が再現よく形成され、赤色以外の変換光の発生を抑制することができる。
Euのモル比aは、M1 3−aEuaMg1−bMnbSicO8中で0<a≦1.5を満たせばよい。しかし、発光中心イオンEu2+のモル比aが小さすぎると、発光強度が小さくなる傾向があり、一方、多すぎても、濃度消光と呼ばれる現象によりやはり発光強度が小さくなる傾向がある。下限としては0.01≦aが好ましく、上限としてはa≦1が好ましい。さらに、aは、0.05≦a≦0.20の範囲にあることが望ましい。
Mnのモル比は0<b≦0.5を満たせばよい。しかし本発明の蛍光体は励起光源の照射を受けて励起したEu2+のエネルギーがMn2+に移動し、Mn2+が赤発光しているものと考えられているため、Mnの組成によりエネルギー移動の程度が異なる。それゆえ効率よく赤色発光強度を得るには、0.01≦b≦0.3のMn組成が好ましい。さらに、bは、0.075≦b≦0.100を満足することが望ましい。また、cは、1.905≦c≦2.205を満足すればよい。
本発明の蛍光体は、Eu、Mnが固溶したM1 3MgSi2O8結晶を主たる結晶とするものであり、M1 2MgSi2O7結晶、M1 2SiO4結晶、M1MgSiO4結晶が存在することがあるが、M1 2MgSi2O7結晶、M1 2SiO4結晶については実質的に存在しないことが望ましい。なお、Eu、Mnは、賦活剤として機能するものである。
すなわち、Eu、Mnを賦活剤として含有するM1 3MgSi2O8結晶の2θ=31.5°〜32°付近で検出されるピークのX線(Cu−Kα)回折強度をAとし、M1 2MgSi2O7結晶の2θ=27.7°〜28.2°でのピークのX線回折強度をBとし、M1 2SiO4結晶の2θ=29.2°〜29.8°でのピークのX線回折強度をCとし、M1MgSiO4結晶の2θ=28.0°〜28.4°でのピークのX線回折強度をDとしたときB/(A+B+C+D)が0.1以下であり、C/(A+B+C+D)が0.1以下であり、D/(A+B+C+D)が0.3以下であることが望ましい。
このような範囲になる蛍光体は、Eu、Mnを賦活剤として含有するBa3MgSi2O8結晶以外からの緑色発光を抑制でき、純粋な赤色発光スペクトルに近い変換光が得られる。
本発明の蛍光体は、先ず、Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1(M1は、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種)とを含有する複合酸化物を作製し、この複合酸化物を、湿度60〜95%における雰囲気で温度50〜100℃で50〜150時間熱処理することにより得ることができる。
複合酸化物は、例えば、Ba、Mg、Eu、Mn、Siの元素源化合物を、下記の(A)又は(B)の混合法により調整した混合物を焼成することにより製造することができる。
(A):ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒を用いる粉砕とリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合と合わせた乾式混合法。
(B):粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いて、水等を加えてスラリー状態又は溶液状態で、粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と攪拌棒等により混合し、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
これらの混合法の中で、特に、賦活剤の元素化合物においては、少量の化合物を全体に均一に混合、分散させる必要があることから液体媒体を用いるのが好ましく、又、他の元素化合物において全体に均一な混合が得られる面からも、後者湿式混合法が好ましい。
加熱処理方法としてはアルミナや石英製の坩堝やトレイ等の耐熱容器中で、1000℃〜1300℃で、酸素、窒素、水素、アルゴン、等の気体の単独或いは混合雰囲気下、1〜24時間、加熱することによりなされる。酸化性雰囲気で焼成した場合には、還元処理することが必要である。
また、加熱プロセス中の構成成分の蒸発を抑制するために、埋め焼き、マイクロ波焼成、共剤を用いて熱処理を行っても良い。
尚、前記加熱雰囲気としては、賦活元素が発光に寄与するイオン状態(価数)を得るために必要な雰囲気が選択される。本発明における2価のEu,Mn等の場合には、一酸化炭素、窒素、水素、アルゴン等の中性もしくは還元性雰囲気下が好ましい。
上記のようにして、Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1とを含有する複合酸化物を作製し、次に、この複合酸化物を、湿度60〜95%における雰囲気で温度50〜100℃で50〜150時間熱処理することにより、本発明の蛍光体を得ることができる。即ち、複合酸化物の湿度60〜95%における雰囲気で温度50〜100℃で50〜150時間熱処理することにより、Eu、Mnを含有するBa3MgSi2O8(複合酸化物)からBaが拡散を始め、M1 3MgSi2O8より安定なM1MgSiO4が生成を始め、3価として存在するEu量が増加を始める。さらに高温高湿処理を継続すると、蛍光体粒子に亀裂37が形成されるとともに、コア部33の周囲に、M1 3MgSi2O8より安定なM1MgSiO4からなるシェル部35が形成される。このようなコアシェル構造を有する蛍光体粒子を発光装置に用いた場合、M1MgSiO4からなるシェル部35により、これ以上のコア部33からのBaの拡散が抑制され、耐久性を大幅に向上することができる。
次に、本発明の波長変換器、さらに該波長変換器を搭載した発光装置を、図面を用いて説明する。図3は、本発明の発光装置11の一実施形態を示す概略断面図である。図3によれば、本発明の発光装置11は、電極13が形成された基板15と、基板15上に設けられている発光素子17と、基板15上に発光素子17を覆うように形成された1層の波長変換器19と、光を反射する反射部材21とを備えている。
波長変換器19は、例えば、透明マトリクス中に、430nmから490nmの蛍光を発する青色蛍光体(図示せず)、520nmから570nmの蛍光を発する緑色蛍光体(図示せず)、600nmから650nmの蛍光を発する赤色蛍光体(図示せず)が含有されており、これらの蛍光体により、光源である発光素子17から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する。
青色蛍光体は、400nm前後の励起効率が高い材料からなる。一方、緑色蛍光体は、400nmから460nmまでの光で励起される材料からなる。また、赤色蛍光体は、400nmから460nmだけでなく、550nm付近の光でも励起される材料からなる。
この波長変換器19において、赤色蛍光体として、本発明の蛍光体を用いることで、本発明の波長変換器19および発光装置11を容易に作製することができる。
波長変換器19は、蛍光体を均一に分散および担持し、かつ蛍光体の光劣化を抑制することができるため、高分子樹脂やガラス材料などの透明マトリクス中に分散して形成することが好ましい。高分子樹脂膜、ゾルゲルガラス薄膜などのガラス材料としては、透明性が高く、かつ加熱や光によって容易に変色しない耐久性を有するものが望ましい。
高分子樹脂膜は、材料は特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ポリアリレート、さらにこれら材料の誘導体が用いられる。特に、350nm以上の波長域において優れた光透過性を有していることが好ましい。このような透明性に加え、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂がより好適に用いられる。
ガラス材料は、シリカ、チタニア、ジルコニア、さらにそれらのコンポジット系を例示できる。ガラス材料中に蛍光体をそれぞれ単独で分散させて形成する。高分子樹脂膜と比較して、光、特に紫外線に対する耐久性が高く、さらに熱に対する耐久性が高いことから、製品の長寿命化を実現できる。また、ガラス材料は、安定性を向上させることができることから、信頼性に優れた発光装置を実現できる。
波長変換器19は、ゾルゲルガラス膜などのガラス材料または高分子樹脂膜を用いて、塗布法により形成することができる。一般的な塗布法であれば限定されないが、ディスペンサーによる塗布が好ましい。例えば、液状で未硬化の樹脂、ガラス材料、または溶剤で可塑性を持たせた樹脂およびガラス材料に、蛍光体を混合することにより製造することができる。未硬化の樹脂としては、例えばシリコーン樹脂が使用できる。これらの樹脂は2液を混合して硬化させるタイプのものであっても1液で硬化するタイプのものであっても良く、2液を混合して硬化させるタイプの場合、両液にそれぞれ蛍光体を混練してもよく、あるいはどちらか一方の液に蛍光体を混練しても構わない。また、溶剤で可塑性を持たせた樹脂としては例えばアクリル樹脂を使用することができる。
硬化した波長変換器19は、未硬化状態でディスペンサー等の塗布法を使用するなどして、フィルム状に成形したり、所定の型に流し込んで固めることで得られる。樹脂およびガラス材料を硬化させる方法としては、熱エネルギーや光エネルギーを使う方法がある他、溶剤を揮発させる方法がある。
電極13を形成する導体は、発光素子17を電気的に接続するための導電路としての機能を有し、導電性接合材で発光素子17と接続されている。導体としては、例えば、W、Mo、Cu、Ag等の金属粉末を含むメタライズ層を用いることができる。導体は、基板15がセラミックスから成る場合、その上面に配線導体がタングステン(W),モリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等から成る金属ペーストを高温で焼成して形成され、基板5が樹脂から成る場合、銅(Cu)や鉄(Fe)−ニッケル(Ni)合金等から成るリード端子がモールド成型されて基板5の内部に設置固定される。
基板15は、熱伝導性に優れ、かつ全反射率の大きいことが求められるため、例えばアルミナ、窒素アルミニウム等のセラミック材料の他に、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂が好適に用いられる。
発光素子17は、蛍光体の励起を効率的に行なうことができるため、中心波長が370〜420nmの光を発する半導体材料を備えた発光素子を用いている。これにより、出力光の強度を高め、より発光強度の高い発光装置を得ることが可能となる。
発光素子17は、上記中心波長を発するものが好ましいが、発光素子基板表面に、半導体材料からなる発光層を備える構造(図示せず)を有していることが、高い外部量子効率を有する点で好ましい。このような半導体材料として、ZnSeや窒化物半導体(GaN等)等種々の半導体を挙げることができるが、発光波長が上記波長範囲であれば、特に半導体材料の種類は限定されない。これらの半導体材料を有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタシャル成長法等の結晶成長法により、発光素子基板上に半導体材料からなる発光層を有する積層構造を形成すれば良い。発光素子基板は、結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるために、例えば窒化物半導体からなる発光層を表面に形成する場合、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、ZrB2、GaNおよび石英等の材料が好適に用いられる。
発光素子17と波長変換器19の側面には、必要に応じて、光を反射する反射部材21を設け、側面に逃げる光を前方に反射し、出力光の強度を高めることができる。反射部材11の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)およびこれらの積層構造物や合金、さらにアルミナセラミックス等のセラミックス、またはエポキシ樹脂等の樹脂を用いることができる。
本発明の発光装置は、図3に示すように、波長変換器19を発光素子17上に設置することにより得られる。波長変換器19を発光素子17上に設置する方法としては硬化したシート状の波長変換器19を発光素子17上に設置することが可能であるほか、液状の未硬化の材料を発光素子17上に設置した後、硬化させて設置することも可能である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の蛍光体及び波長変換器ならびに発光装置を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
炭酸バリウム粉末、炭酸ストロンチウム粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化マグネシウム粉末、二酸化珪素粉末、酸化ユウロピウム粉末、酸化マンガン粉末を用いて、化学式M1 3−aEuaMg1−bMnbSicO8におけるa、b、cが表1の組成となるように秤量し、さらに塩化アンモニウムを所定量添加し、ポリポット中で混合し、乾燥後、大気雰囲気下1150℃で3時間焼成した。その後、12%の水素を含む窒素ガス流下1250℃で9時間加熱することにより、Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1とを含有する複合酸化物を作製し、この複合酸化物を、表1に示す湿度および温度の、高温高湿漕で、表1に示す時間熱処理した。
そして、得られた蛍光体について、L3吸収端XANESスペクトルにより、蛍光体の3価イオン濃度(2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する前記3価のEuイオン量)を測定し、その結果を表2に記載した。
また、温度85℃で湿度85%の雰囲気で100時間保持した時の耐湿性を、600から640nm領域の蛍光ピークの蛍光強度として評価した。評価は、初期の蛍光強度と、温度85℃で湿度85%の雰囲気で100時間保持した後の蛍光強度を求め、表2に記載した。蛍光強度は、島津製作所製蛍光分光光度計RF−5300PCで求めた。すなわち、蛍光体粉末を専用の蛍光体セルに充填し、この蛍光体セルを試料測定部にセットし、波長300〜800nmの範囲で蛍光スペクトルを測定し、蛍光ピーク波長の蛍光強度を求めた。
また、蛍光体を構成する蛍光体粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を確認することにより、組織がコア部とシェル部から構成されているか確認し、表2に記載した。コア部には亀裂が形成されていた。
また、コア部とシェル部の結晶相をX線回折測定により観察し、コア部がEu、Mnを含有するM1 3MgSi2O8から形成されており、シェル部が、Eu、Mnを含有するM1MgSiO4から形成されていることを確認した。
また、複合酸化物について熱処理をしない点を除いて、上記実施例と同様にして比較例の試料を作製し、これについても、上記実施例と同様にして評価し、表1、2の試料No.1として記載した。試料No.5のL3吸収端XANESスペクトル結果を図4に示す。
表1、2から、本発明の試料では、3価のEuイオンの濃度を1〜10%とすることにより、初期の蛍光強度が70以上と高く、しかも、温度85℃で湿度85%の雰囲気で100時間保持した後の蛍光強度も60以上と高いことが判る。これにより、発光強度を高く維持した状態で、発光強度の経時的劣化を抑制できることが判る。
これに対して、熱処理しない場合の試料No.1では、3価のEuイオンの濃度が0.5%と低く、初期の蛍光強度が90と高いものの、耐湿性が低いことが判る。逆に、熱処理時間が長すぎた場合には、3価のEuイオンの濃度が20%と高く、初期の蛍光強度が低いことが判る。
11・・・発光装置
13・・・電極
15・・・基板
17・・・発光素子
19・・・波長変換器
33・・・コア部
35・・・シェル部
13・・・電極
15・・・基板
17・・・発光素子
19・・・波長変換器
33・・・コア部
35・・・シェル部
Claims (4)
- Euと、Mgと、Mnと、Siと、M1(M1は、Ba、SrおよびCaの少なくとも1種)とを含有する複合酸化物からなる蛍光体であって、X線吸収端近傍構造スペクトル(X-ray Absorption Near Edge Structure:XANES)による2価のEuイオンおよび3価のEuイオンの合量に対する前記3価のEuイオンの濃度が1〜10%であることを特徴とする蛍光体。
- 多数の蛍光体粒子から構成されるとともに、該蛍光体粒子は、Eu、Mnを含有するM1 3MgSi2O8からなるコア部と、該コア部の周囲に前記コア部を取り囲むように形成され、Eu、Mnを含有するM1MgSiO4からなるシェル部とを備えてなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
- 透明マトリクス中に蛍光体が分散しており、該蛍光体により光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、前記蛍光体は、請求項1または2に記載の蛍光体を含有していることを特徴とする波長変換器。
- 励起光を発する化合物半導体からなる発光素子と、該発光素子と電気的に接続され、かつ外部と接続するための導体と、前記励起光の波長を変換する請求項3に記載の波長変換器とを基板に備えてなることを特徴とする発光装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2007222985A JP2009052004A (ja) | 2007-08-29 | 2007-08-29 | 蛍光体および波長変換器ならびに発光装置 |
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ID=40503362
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Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011144244A (ja) * | 2010-01-13 | 2011-07-28 | National Printing Bureau | 残光性発光体とその作製方法、残光性発光インキ組成物及び真偽判別印刷物 |
| JP2015140424A (ja) * | 2014-01-30 | 2015-08-03 | 信越化学工業株式会社 | 複フッ化物蛍光体の製造方法 |
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2007
- 2007-08-29 JP JP2007222985A patent/JP2009052004A/ja active Pending
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