JP2009052500A - エンジン始動装置及びエンジン始動方法 - Google Patents

エンジン始動装置及びエンジン始動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リコイルスタータを備えるエンジンの始動性を向上させて、容易に始動させることができるエンジン始動装置及びエンジン始動方法を提供する。
【解決手段】リコイルスタータ102のリコイルロープ114には、圧縮行程上死点DPCから4ストロークエンジンEの始動操作を開始するのに好適な始動操作開始位置P2までクランク軸30を回転させるのに必要な長さ位置にマーク120が付設されている。リコイルロープ114を引いてピストン35が圧縮行程上死点DPC付近に位置するクランク軸30の初期位置P1まで回転させ、再びリコイルロープ114をマーク120の位置まで引いて初期位置P1から始動操作開始位置P2まで回転させた後、更にリコイルロープ114を引いて始動操作開始に好適な始動操作開始位置P2からクランク軸30を回転させて4ストロークエンジンEを始動させる。
【選択図】図9

Description

本発明は、エンジン始動装置及びエンジン始動方法に関し、より詳細には、リコイルスタータによって4ストロークエンジンを始動させるエンジン始動装置及びエンジン始動方法に関する。
従来、バギー車等に搭載されるエンジンや農具用のエンジンは、リコイルスタータを備え、使用者がリコイルロープを引くことによってエンジンを始動するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。リコイルスタータを備えるエンジンは、リコイルスタータの始動操作によって発電機を回転させて電力を得る。そして、得られた電力により点火動作、また、電子燃料噴射装置を備える場合には燃料供給を行う。特許文献1に記載のエンジン始動装置では、エンジンの回転速度に関して点火時期が設定された点火マップから最適な点火時期を選択して点火制御するようにしたエンジンの始動装置が開示されている。
特開2005−155375号公報
特許文献1に開示されているエンジンの始動装置は、最適な点火時期を選択して点火制御しているが、始動操作開始時、即ち、リコイルロープを引き始めるときのクランク軸回転位置が制御されておらず、毎回異なるクランク軸回転位置から回転が開始されるので、始動性にばらつきが生じ、さらなる改善の余地があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リコイルスタータを備えるエンジンの始動性を向上させて、容易に始動させることができるエンジン始動装置及びエンジン始動方法を提供することにある。
本発明の上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ピストン及びクランク軸を備えた4ストロークエンジンと、リコイルロープが巻き掛けられ、一方向の回転だけを伝達するラチェット機構を介してクランク軸に連結されたリコイルスタータと、クランク軸の回転に連動して発電する発電機と、発電機の出力電力を電源とする制御装置によって制御されてピストンの圧縮行程上死点付近で点火する点火装置と、を備え、リコイルロープを引くことによりクランク軸を回転させて4ストロークエンジンを始動させるエンジン始動装置であって、ピストンが圧縮行程上死点付近に位置する時のクランク軸の回転位置から4ストロークエンジンの始動操作を開始するクランク軸の回転位置までクランク軸を回転させるのに必要なリコイルロープの長さを報知する報知手段を有することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、報知手段は、リコイルロープの先端付近から、ピストンが圧縮工程上死点付近から次の排気工程上死点付近に移行するためにクランク軸を回転させるのに必要な長さのリコイルロープの位置に設けられたマークであることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2の構成に加えて、エンジン始動装置は、4ストロークエンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置をさらに備え、制御装置は、4ストロークエンジンの始動操作が開始された後、ピストンが最初の上死点を越えた後の所定の位置で燃料噴射装置から燃料を噴射して4ストロークエンジンに供給し、次の圧縮行程上死点付近で点火するように、燃料噴射装置及び点火装置を制御することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、ピストン及びクランク軸を備えた4ストロークエンジンと、クランク軸の回転に連動して発電する発電機と、発電機の出力電力を電源とする制御装置によって制御されてピストンの圧縮行程上死点付近で点火する点火装置と、を備え、クランク軸を回転させて4ストロークエンジンを始動させるエンジン始動方法であって、ピストンが圧縮行程上死点付近に位置するクランク軸の回転位置にクランク軸の初期位置を設定する工程と、ピストンが圧縮行程上死点付近から次の上死点付近まで移動するようにクランク軸を初期位置から始動操作開始位置まで回転する始動準備工程と、クランク軸を始動操作開始位置からさらに回転させ、発電機で発電し、燃料を4ストロークエンジンに供給して点火装置によって点火する始動工程と、を備えることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ピストンが圧縮行程上死点付近に位置する時のクランク軸の回転位置から4ストロークエンジンの始動操作を開始するのにリコイルロープを引き始めるクランク軸の回転位置までクランク軸を回転させるのに必要なリコイルロープの長さを報知する報知手段を有する。従って、エンジンの始動操作に先立ってクランク軸をピストンが圧縮行程上死点に位置する時の回転位置まで回転させておき、リコイルロープを該長さまで引く操作を行うことで、クランク軸を4ストロークエンジンの始動操作を開始するのに好適な始動操作開始位置まで回転させることができる。そして、この始動操作開始位置からリコイルロープを引いてエンジンの始動操作を行えば、始動性が良好な一定の位置からクランク軸を回転させることができ、容易に且つ安定してエンジンを始動させることができる。
請求項2に係る発明によれば、報知手段は、リコイルロープの先端から、ピストンが圧縮工程上死点付近から次の排気工程上死点付近に移行するためにクランク軸を回転させるのに必要なリコイルロープの位置に設けられたマークであるので、発電機による発電、燃料の供給、点火装置による点火を順に行うことができ、リコイルスタータによる始動のばらつきを低減して容易にエンジンの始動を行える。また、エンジン始動時の動作を制御する高価な制御装置を用いず、安価な装置によって始動性の良好なエンジン始動装置が得られる。
請求項3に係る発明によれば、エンジン始動装置は、4ストロークエンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置をさらに備え、制御装置は、4ストロークエンジンの始動操作が開始された後、ピストンが最初の上死点を越えた後の所定の位置で燃料噴射装置から燃料を噴射して4ストロークエンジンに供給し、次の圧縮行程上死点付近で点火するように、燃料噴射装置及び点火装置を制御する。従って、燃料噴射装置を使用した場合には、点火装置と燃料噴射装置の両方を発電機の出力電力で動作させることになるが、燃料噴射タイミングと点火タイミングとを分けることにより、消費電力を分散させて制御装置で使用される電力を確保することができ、安定した始動制御を行うことができる。
請求項4に係る発明によれば、ピストンが圧縮行程上死点付近に位置するクランク軸の回転位置にクランク軸の初期位置を設定する工程と、ピストンが圧縮行程上死点付近から次の上死点付近まで移動するようにクランク軸を初期位置から始動操作開始位置まで回転させる始動準備工程と、クランク軸を始動操作開始位置からさらに回転させ、発電機で発電し、燃料を4ストロークエンジンに供給して点火装置によって点火する始動工程と、を備える。従って、エンジンの始動のばらつきを低減させて始動性を向上させることができる。
以下、本発明に係るエンジン始動装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態に係る水冷式のエンジンEが搭載された不整地走行用車両1の車体カバー等を外した状態の側面図を図1に、同平面図を図2に示す。なお、本実施形態においては、車両の前進方向を向いた状態を基準にして前後左右を決めることとする。
図1及び図2に示すように、不整地走行用車両1は、鞍乗り型の4輪車で、不整地用の低圧のバルーンタイヤが装着される左右一対の前輪FW及び左右一対の後輪RWが、車体フレーム2の前後に懸架される。
車体フレーム2は、複数種の鋼材を結合して構成され、エンジンE及び変速機Tをクランクケース31内に一体に構成したパワーユニットPが搭載されるセンタフレーム部3、センタフレーム部3の前部に連接され前輪FWを懸架するフロントフレーム部4、センタフレーム部3の後部に連接されてシート7を支持するシートレール6を有するリヤフレーム部5からなる。
センタフレーム部3は、左右一対のアッパパイプ3aが前後を下方へ屈曲されて略3辺をなし、他の略1辺を左右一対のロアパイプ3bが連結して側面視で概ね矩形をなし、左右両パイプをクロスメンバが連結して構成されている。
ロアパイプ3bの後部の斜め上方へ屈曲して延びた部分に固着されたピボットプレート8には、前端を軸支されたスイングアーム9が揺動自在に設けられ、スイングアーム9の後部とリヤフレーム部5との間にリヤクッション10が介装されている。スイングアーム9の後端に設けられた後ファイナルリダクションギヤユニット19に後輪RWが懸架されている。
左右のアッパパイプ3aの前端部間に架設されたクロスメンバの幅方向中央にステアリングコラム11が支持されており、同ステアリングコラム11で操舵可能に支承されるステアリングシャフト12の上端部に操向ハンドル13が連結され、ステアリングシャフト12の下端部は前輪操舵機構14に連結される。
パワーユニットの前面図である図3をも参照して、パワーユニットPのエンジンEは、水冷式で単気筒4ストロークエンジンであり、クランク軸30を車体前後方向に指向させた所謂縦置きの姿勢で、センタフレーム部3に搭載される。
パワーユニットPの変速機Tは、エンジンEのクランク軸30を軸支するクランク室Cの左側(図3の右側)のミッション室Mに配置され、変速機Tから前後方向に指向した出力軸15が前後に突出している。出力軸15の回転動力は、出力軸15の前端から前ドライブシャフト16および前ファイナルリダクションギヤユニット17を介して左右の前輪FWに伝達され、出力軸15の後端から後ドライブシャフト18および前記後ファイナルリダクションギヤユニット19を介して左右の後輪RWに伝達される。
エンジンEは、クランクケース31にシリンダブロック32,シリンダヘッド33,シリンダヘッドカバー34が順に重ねられて鉛直方向に対して左に傾いて立設されている。シリンダヘッド33から後方に延出する吸気管20がスロットルボディ21を介してエアクリーナ22に接続され、シリンダヘッド33から前方に延出した排気管23が左側に湾曲して後方に向かい、エアクリーナ22の左側を後方に延びて排気マフラー24に接続する。
車体フレーム2のセンタフレーム部3には、パワーユニットPの上方に燃料タンク25が支持され、同燃料タンク25の前部下方には燃料ポンプ26が配設され、車体フレーム2のフロントフレーム部4にはラジエータ27が支持されている。
次に、パワーユニットPの構成について図3及び図4に基づいて説明する。図3はパワーユニットの前面図であり、図4は図3におけるIV−IV線での内燃機関の動力伝達機構の断面図である。パワーユニットPのクランク室Cおよびミッション室Mを構成するクランクケース31は、シリンダブロック32のシリングボアの中心軸線を通り車体前後方向に指向したクランク軸30と直交する面で前後に分割された前クランクケース31Fと後クランクケース31Rから構成される。
図3及び図4に示すように、シリンダブロック32からシリンダスリーブ32aがクランクケース31に嵌入しており、シリンダスリーブ32aに摺動自在にピストン35が嵌合している。クランク軸30の前後一対のクランクウエブ30w、30w間に架設されたクランクピン37と、ピストン35に設けられたピストンピン36との間をコネクティングロッド38が連結している。クランク軸30は、クランクウエブ30w、30wの前後で前クランク−ス31Fと後クランクケース31Rに主軸受39,39を介して軸支される。
図3において、クランク軸30の右下方(図3では左下方)には、クランク軸30と平行なバランサ軸40が位置している。バランサ軸40は、その両端が前クランクケース31Fと後クランクケース31Rに設けられた軸受(図示せず)によって軸支される。バランサ軸40の中央にはバランサウエイト40wが形成されており、後部にはドリブンギヤ42bが嵌着されて、クランク軸30に嵌着されたドライブギヤ42aと噛合する。
クランク軸30の右斜め上方には、クランク軸30と平行な動弁系のカム軸43が位置し、カム軸43の両端は前クランクケース31Fと後クランクケース31Rに設けられた軸受(図示せず)によって軸支されている。カム軸43は、図示しない減速比1/2の減速機構を介してクランク軸30に連結され、クランク軸30から回転が伝達される。カム軸43のカムロブ43a,43bには、吸気弁54及び排気弁55を開閉させる動弁機構51に駆動力を伝達するプッシュロッド45の下端が当接している。
動弁機構51は、両端がシリンダヘッドカバー34に支持されたロッカアーム軸52に揺動自在に嵌合するロッカアーム53を備え、プッシュロッド45の上端がロッカアーム53の一端53aに当接する。ロッカアーム53の他端53bは、シリンダヘッド33に配設された吸気弁54及び排気弁55の上端に当接して押圧する。これにより、クランク軸30が2回転するとカム軸43が1回転し、カムロブ43a,43bに設定されたリフトに従ってロッカアーム53がロッカアーム軸52を中心として揺動し、所定のタイミングで吸気弁54及び排気弁55を押圧して吸気ポート60及び排気ポート61を開閉制御する。
シリンダヘッド33には、吸気ポート60に連通する吸気管62が接続される。吸気管62の側面には、所定のタイミングで吸気管62内に燃料を噴射する燃料噴射装置63が配設されている。燃料噴射装置63より上流側の吸気管62内には、バタフライバルブ64が設けられ、該バタフライバルブ64を開閉することにより、吸気ポート60に供給する空気量が制御される。また、シリンダヘッド33の上部には点火装置130(図3参照)が配置されて、吸気管62から供給された空気を含む燃料(混合ガス)に点火する。燃料噴射装置63による燃料噴射タイミング及び点火装置による点火タイミングは、マイクロコンピュータを含んで構成された制御装置であるECU140(図1及び図2参照)によって制御される。
クランク軸30の左方(図3では右方)には、変速機Tが配設され、メイン軸46,カウンタ軸47,中間軸48が変速ギヤ機構を構成し、シフトドラム49の駆動で変速がなされ、出力軸15に伝達される。
図4を参照して、遠心式の発進クラッチ56は、クランク軸30と一体に回転する入力部材としてのクラッチインナ56iと、径方向外方でクラッチインナ56iを囲む出力部材としての椀状のクラッチアウタ56oと、クラッチインナ56iに枢支されて遠心力により径方向外方に揺動してクラッチアウタ56oに接触して接続する遠心ウエイトとしてのクラッチシュー56sとを備え、クランク軸30に回転自在に軸支された円筒ギヤ部材57にクラッチアウタ56oのボス部がスプライン嵌合している。円筒ギヤ部材57の駆動ギヤ57aから変速機Tに動力が伝達される。
変速機Tのメイン軸46は、第1メイン軸46aと、第1メイン軸46aの外周に部分的に回転自在に嵌合する第2メイン軸46bとからなり、第2メイン軸46bが前クランクケース31Fに軸受85を介して軸支され、第1メイン軸46aの後端が後クランクケース31Rに軸受86を介して軸支されている。
第1メイン軸46aには第2メイン軸46bと並んで前側に入力スリーブ80が回転自在に嵌合され、入力スリーブ80の中央に円板状のディスクプレート81が嵌着され、ディスクプレート81の外周に設けられた従動ギヤ82が駆動ギヤ57aと噛合する。
ディスクプレート81の前後には、第1変速クラッチ91と第2変速クラッチ92が配設されている。第1変速クラッチ91と第2変速クラッチ92は、同一構造の油圧式の多板摩擦クラッチである。
前側に配置された第1変速クラッチ91は、発進クラッチ56の後側に隣接しており、前方に開口した椀状のクラッチアウタ91oが入力スリーブ80の前側に一体に嵌着され、クラッチインナ91iが第1メイン軸46aに一体に嵌着されている。一方、後側に配置された第2変速クラッチ92は、後方に開口した椀状のクラッチアウタ92oが入力スリーブ80の後側に一体に嵌着され、クラッチインナ92iが第2メイン軸46bの軸受85より前方に延出した部分に一体に嵌合されている。
従って、第1変速クラッチ91を接続状態とし第2変速クラッチ92を切断状態とすれば、従動ギヤ82に入力された動力は、第1変速クラッチ91を介して第1メイン軸46aに伝達され、逆に第1変速クラッチ91を切断状態とし第2変速クラッチ92を接続状態とすれば、第2変速クラッチ92を介して第2メイン軸46bに伝達される。
第1メイン軸46aと第2メイン軸46bのミッション室M内に延出する部分に対して、平行に並んで軸受95,96により軸支されたカウンタ軸47(および中間軸48)との間に、変速段を設定する歯車列の集合である変速歯車列群T1が構成されている。第1変速クラッチ91を介した第1メイン軸46aの歯車列は1速,3速,5速の変速段を構成し、第2変速クラッチ92を介した第2メイン軸46bの歯車列は2速,4速,リバースの変速段を構成するようになっている。
カウンタ軸47の後クランククース31Rから後方へ突出した後端には駆動ギヤ97が嵌着され、カウンタ軸47と平行に配設された出力軸15に嵌着される従動ギヤ98が駆動ギヤ97と噛合して、減速された動力が出力軸15に伝達されるようになっている。
図3に示すように、シフトドラム49は、前クランククース31Fと後クランククース31Rに回転自在に架設され、シフトドラム49の外周面に形成された3条のシフト溝に、ガイド軸50に摺動自在に支持されたシフトフォーク50a,50b,50cの各シフトピンが嵌合しており、シフトドラム49の回動によりシフト溝にガイドされて軸方向に移動するシフトフォーク50aがメイン軸46上のシフターを軸方向に移動させ、シフトフォーク50b,50cがカウンタ軸47上のシフターを軸方向に移動させて噛み合う変速ギヤの組を変更する。
後クランククース31Rの前側合わせ面に、前クランククース31Fの後側合わせ面を重ね合わせて締結し、クランク軸30のクランクウエブ30w、バランサ軸40のバランサウエイト40w、カム軸43のカムロブ43a,43b等および変速歯車列群T1を内部に収容してクランククース31が構成される。
そして、前クランククース31Fの前方にスペーサ65を介して前ケースカバー66が被せられる。スペーサ65は前クランククース31Fの前面の周縁部が前方へ延長した延長部材であって、このスペーサ65にドライサンプ式潤滑系のオイルポンプユニット(図示せず)が構成されるとともに、オイルクンク(図示せず)の一部が形成される。
前ケースカバー66の前壁67には、クランク軸30の前端を軸支する軸受68、第1メイン軸46aの前端を軸支する軸受69が配設されている。図5に示すように、軸受69を支持する前壁67の軸受円筒部70が外側に延出して形成された外側円筒部71は、内部が軸受円筒部70の内部と隔壁70aで仕切られ、前端開口を蓋部材72で閉塞されており、この内空間が仕切り部材73によって前室71aと後室71bに仕切られている。
一方、第1メイン軸46aの前部に前端から軸孔74が第2変速クラッチ92の位置まで穿孔されていて、前記前室71aから仕切り部材73を貫通して軸孔74に挿入された長尺の導通内管75が、第1変速クラッチ91と第2変速クラッチ92の中間位置まで達して配設され、後端がシール部材75aで軸孔74に支持されている。同長尺の導通内管75の外周に同軸に配置された短尺の導通外管76が、隔壁70aに前端を嵌入して軸孔74に挿入され、後端がシール部材76aで軸孔74に支持されている。
外側円筒部71の前室71aと後室71bには、それぞれ油圧制御弁ユニット(図示せず)から油圧が供給される。後室71bに油圧が供給されると、短尺の導通外管76と導通内管75との間を圧油が通り、シール部材75aの手前から第1変速クラッチ91に供給されて第1変速クラッチ91を接続状態とすることができる。
また、前室71aに油圧が供給されると、長尺の導通内管75を圧油が通り、シール部材75aより後方の軸孔74から第2変速クラッチ92に供給されて第2変速クラッチ92を接続状態とすることができる。
前記した第1変速クラッチ91を介した第1メイン軸46aの歯車列の1速、3速、5速の変速段と、第2変速クラッチ92を介した第2メイン軸46bの歯車列2速、4速、リバースの変速段とが、油圧制御弁ユニットの制御により交互に切り換えられて変速が円滑に行われる。
また、クランク軸30の後端には、発電機101と、エンジン始動装置であるリコイルスタータ102と、後クランクケース31Rに取り付けられるスタータモータ(図示せず)の回転をクランク軸30に伝達する始動用被動ギヤ77とが設けられる。被動ギヤ77は、一方向クラッチ78を介して発電機101のフライホイール103に結合される。
クランク軸30の後端に形成されたテーパ部には、椀型に形成されたフライホイール103のボス部103aが嵌合固定されてクランク軸30と一体に回転する。フライホイール103の椀型内周面には、複数個のフェライトマグネット104が円周方向に所定の間隔で固定されている。複数個のフェライトマグネット104の半径方向内側には、後クランククース31Rに固定されたコイル105がフェライトマグネット104に対向配置されており、フェライトマグネット104とコイル105とによって発電機101が構成される。即ち、クランク軸30が回転してフェライトマグネット104の磁力がコイル105を横切ることにより、コイル105に起電力が発生する。
図6に示すように、フライホイール103の外周面には、円周方向の所定の角度範囲において所定の間隔(例えば、30°間隔)で配置された複数(本実施形態では、9つ)の突起部106が形成され、突起部106の回転軌跡の円周方向外方には、パルスセンサ107が配置されている。パルスセンサ107は、突起部106が近傍を通過するごとにこれを検出して制御装置に検出信号を送信する。制御装置は、これによってクランク軸30の位相を検出して燃料噴射装置63の燃料噴射タイミング、及び点火装置の点火タイミング等を制御する。
フライホイール103のボス部103aには、リコイルスタータ102の椀型に形成されたリコイルプーリ108のボス108aが固定されてクランク軸30と一体に回転する。また、図7に示すように、リール110は、後クランククース31Rに固定されたリコイルスタータケース111の支持軸112に回転自在に嵌合する。支持軸112とクランク軸30とは、同一軸心上に配置されている。椀型のリコイルプーリ108とリール110との間には、ラチェット機構113が介装されている。ラチェット機構113は、リール110の一方向の回転(後述するリコイルロープ114が引かれたときの回転方向)をリコイルプーリ108に伝達し、他方向の回転はリール110が空転して伝達しないように構成されている。
断面略U字型に形成されたリール110のプーリ部110aには、リコイルロープ114が複数回巻き掛けられ、その先端にノブ115が固着されている(図8参照)。ノブ115は、リコイルスタータケース111の外部に配置されて手動操作可能である。リール110とリコイルスタータケース111の間に設けられたリターンスプリング116は、リール110が自由になったとき、リール110をリコイルロープ114が手動操作されたときと逆方向に回転させて元の位置に戻す。即ち、このとき、リール110の逆方向の回転はラチェット機構113によりクランク軸30には伝達されない。
リコイルロープ114の途中には、報知手段としてのマーク120が付設されている。マーク120としては、リコイルロープ114に巻きつけられるテープや、直接ロープ114を着色するものであっても良い。リコイルロープ114の先端付近からマーク120が付設される位置までのロープ長さLは、エンジンEのピストン35が圧縮行程上死点付近に位置する時のクランク軸30の回転位置からエンジンEの始動操作を開始するのにリコイルロープ114を引き始めるのに好適なクランク軸30の回転位置まで回転させるのに必要な長さ、即ち、ピストン35が圧縮工程上死点付近から次の排気工程上死点付近に移行するためにクランク軸30を回転させるときのリール110の周長に設定されている。
次に、本発明の始動装置によって4ストロークエンジンを始動させる方法について説明する。図9は燃料噴射装置を備えるエンジンをリコイルスタータによって始動させる工程を示す概念図である。
リコイルスタータ102を備える4ストロークエンジンEを始動させるには、リコイルロープ114を引いてクランク軸30を回転させ、発電機101によって発電した電力が安定した後、ECUで各部を制御しながら所定のタイミングで燃料噴射装置63から燃料を噴射し、次いで点火装置で混合ガスに点火してエンジンEを始動させる。
しかし、停止状態にある4ストロークエンジンEのクランク軸30の回転位置は、エンジンEを停止させたときの状態によって異なり、一定ではない。この状態からリコイルスタータ102のリコイルロープ114を引いても、始動開始位置がその都度異なるので、エンジンEがスムースに始動しない場合があり、何回もリコイルロープ114を操作することとなる。
本発明のエンジン始動方法は、以下の各工程に従って始動させる方法である。
(I) 位相合わせ工程
図9に示すように、先ず、リコイルスタータ102のリコイルロープ114をゆっくりと引いて、ピストン35がいずれかの工程で停止している位置にあるクランク軸30を、ピストンが圧縮行程上死点DPC付近に位置する初期位置P1まで回転させる。圧縮行程上死点DPCの付近では、クランク軸30に空気(混合ガス)を圧縮する抵抗が作用するので回転トルクが大きくなる。従って、リコイルロープ114にも大きな力が加わり、使用者は容易に圧縮行程上死点DPCを認識することができる。
クランク軸30を初期位置P1まで回転させた後、リコイルロープ114を元の位置に戻すと、ラチェット機構113及びリターンスプリング116の作用によってクランク軸30は初期位置P1に停止したまま、リール110が回転してリコイルロープ114がプーリ部110aに巻き取られる。
尚、初期位置P1は、リコイルロープ114を解放したとき、圧縮行程上死点DPCを僅かに乗り越える回転位置とするのがよい。
(II) 始動準備工程
次いで再びリコイルロープ114を、リコイルロープ114に付設されたマーク120の位置まで引く。マーク120が付設されている位置は、エンジンEのピストン35が圧縮行程上死点DPC付近に位置する時のクランク軸30の回転位置からエンジンEの始動操作を開始するのにリコイルロープ114を引き始めるのに好適なクランク軸30の回転位置(即ち、ピストン35が次の上死点である排気工程上死点DPE付近に位置する時のクランク軸30の始動操作開始位置P2)まで回転させるのに必要なリール110の周長に設定されているので、クランク軸30は初期位置P1から始動操作開始位置P2まで回転する。これにより、クランク軸30の回転位置が始動操作開始に好適な位置に設定される。そして、リコイルロープ114を元の位置に戻す。
(III) 始動工程
そして、再びリコイルロープ114を勢いよく引いてクランク軸30を回転させると、フライホイール103が回転して発電機101が発電を開始する。この電力によってECUが立ち上がり、各部の制御が開始される。なお、図9中、PLはパルスセンサ107から出力されるクランク軸30の回転信号、INJはECUから出力される燃料噴射指令信号、IGNはECUから出力される点火指令信号IGNを示している。
クランク軸30が始動操作開始位置P2から最初の上死点である圧縮行程上死点DPC1を越えた後の所定の位置に達すると、ECUからの燃料噴射指令パルス信号INJPに基づいて、このタイミングで燃料噴射装置63から吸気管62内に燃料が噴射される。そして、続く吸気行程で吸気管62内で生成された混合ガスが取り込まれ、圧縮工程で圧縮された後、圧縮行程上死点DPC2の直前で、ECUからの点火指令パルス信号IGNPに基づいて点火装置によって混合ガスに点火される。そして、混合ガスの燃焼による膨張行程に入り、クランク軸30に回転力が付与される。次いで、排気工程で燃焼ガスが外部へ排気されてエンジンEが始動する。
以上説明したように、本実施形態のエンジン始動装置(リコイルスタータ102)によれば、リコイルロープ114に、圧縮行程上死点DPCから4ストロークエンジンEの始動操作を開始するのに好適な始動操作開始位置P2までクランク軸30を回転させるのに必要な長さ位置にマーク120が付設されているので、常に始動性が良好な始動操作開始位置P2からエンジンEの始動操作を行うことができ、容易に且つ安定してエンジンEを始動させることができる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、燃料噴射装置63を備える4ストロークエンジンEについて説明したが、本発明は、図10に示すように、キャブレタ150を備える4ストロークエンジンについても適用可能である。
即ち、キャブレタを備える4ストロークエンジンでは、バタフライバルブ64の開閉によって流量が調整されて吸気管62内を流れる空気流によってキャブレタ150から燃料が混合されて供給される点で、上述した燃料噴射装置63を備えるエンジンEと異なる。
このため、図11に示すように、キャブレタ150を備えるエンジンEの始動操作も、燃料噴射装置63を備えるエンジンEと全く同様に、位相合わせ工程(I)、始動準備工程(II)、及び始動工程(III)の順に行われ、ECUからの燃料の供給制御が不要となる。
また、上記の実施形態においては、エンジンは不整地走行用車両に搭載された4ストロークエンジンとして説明したが、これに限定されず、4ストロークエンジンであればどのような用途、例えば、農用、船舶用等の用途に適用されるエンジンであってもよく、同様の効果を奏する。
また、本発明のエンジンの始動方法は、リコイルスタータに限定されるものでなく、例えば、キックスタータのような手動操作の場合も含まれる。
また、上記実施形態では、クランク軸30を初期位置P1から始動操作開始位置P2まで回転させるのに必要なリコイルロープの長さ位置にマーク120を付設するようにしたが、これに限定されず、所定のリコイルロープの長さ位置を音や光等の他の報知手段によって使用者に報知するようにしてもよい。
さらに、本発明のエンジン始動方法は、クランク軸を初期位置に設定する工程と、クランク軸を始動操作開始位置まで回転させる始動準備工程と、を制御装置によって制御されるような構成であってもよく、例えば、エンジン停止時にこれらの工程を経てクランク軸を始動操作開始位置で停止するように制御してもよい。
本発明の始動装置を有するエンジンが搭載された不整地走行用車両の車体カバー等を外した状態の側面図である。 図1に示す不整地走行用車両の平面図である。 エンジンを部分的に省略して示すパワーユニットの前面図である。 図3に示すパワーユニットのIV−IV線断面図である。 図4のV部拡大断面図である。 フライホイールの側面図である。 図4のVII部拡大断面図である。 リコイルスタータのリコイルロープに付設されるマークを説明するための図である。 本発明の始動装置により、燃料噴射装置を備えるエンジンを始動させる工程を示す概念図である。 本発明の変形例に係る、キャブレタを備えるエンジンの断面図である。 本発明の始動装置により、キャブレタを備えるエンジンを始動させる工程を示す概念図である。
符号の説明
30 クランク軸
35 ピストン
63 燃料噴射装置
101 発電機
102 リコイルスタータ(エンジン始動装置)
110 リール
113 ラチェット機構
114 リコイルロープ
120 マーク
DPC 圧縮行程上死点
DPE 排気工程上死点
E 4ストロークエンジン
P1 初期位置
P2 始動操作開始位置

Claims (4)

  1. ピストン及びクランク軸を備えた4ストロークエンジンと、
    リコイルロープが巻き掛けられ、一方向の回転だけを伝達するラチェット機構を介して前記クランク軸に連結されたリコイルスタータと、
    前記クランク軸の回転に連動して発電する発電機と、
    前記発電機の出力電力を電源とする制御装置によって制御されて前記ピストンの圧縮行程上死点付近で点火する点火装置と、
    を備え、前記リコイルロープを引くことにより前記クランク軸を回転させて前記4ストロークエンジンを始動させるエンジン始動装置であって、
    前記ピストンが圧縮行程上死点付近に位置する時の前記クランク軸の回転位置から前記4ストロークエンジンの始動操作を開始する前記クランク軸の回転位置まで前記クランク軸を回転させるのに必要な前記リコイルロープの長さを報知する報知手段を有することを特徴とするエンジン始動装置。
  2. 前記報知手段は、前記リコイルロープの先端付近から、前記ピストンが圧縮工程上死点付近から次の排気工程上死点付近に移行するために前記クランク軸を回転させるのに必要な長さの前記リコイルロープの位置に設けられたマークであることを特徴とする請求項1に記載のエンジン始動装置。
  3. 前記エンジン始動装置は、前記4ストロークエンジンに燃料を噴射する燃料噴射装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記4ストロークエンジンの始動操作が開始された後、前記ピストンが最初の上死点を越えた後の所定の位置で前記燃料噴射装置から前記燃料を噴射して前記4ストロークエンジンに供給し、次の前記圧縮行程上死点付近で点火するように、前記燃料噴射装置及び前記点火装置を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジン始動装置。
  4. ピストン及びクランク軸を備えた4ストロークエンジンと、
    前記クランク軸の回転に連動して発電する発電機と、
    前記発電機の出力電力を電源とする制御装置によって制御されて前記ピストンの圧縮行程上死点付近で点火する点火装置と、
    を備え、前記クランク軸を回転させて前記4ストロークエンジンを始動させるエンジン始動方法であって、
    前記ピストンが前記圧縮行程上死点付近に位置する前記クランク軸の回転位置に前記クランク軸の初期位置を設定する工程と、
    前記ピストンが前記圧縮行程上死点付近から次の上死点付近まで移動するように前記クランク軸を前記初期位置から始動操作開始位置まで回転する始動準備工程と、
    前記クランク軸を前記始動操作開始位置からさらに回転させ、発電機で発電し、前記燃料を前記4ストロークエンジンに供給して前記点火装置によって点火する始動工程と、を備えることを特徴とするエンジン始動方法。
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