JP2009054384A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法 Download PDF

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Yoshio Mitsutake
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健之 山木
Masahiro Nakamura
将啓 中村
Nobuhiro Ide
伸弘 井出
Nobuhiro Ito
宜弘 伊藤
Hiroya Tsuji
博也 辻
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Abstract

【課題】有機EL素子の基板と大気との間に光拡散層等を設けることで本来基板内を導波する光を外部に取り出して光取り出し効率を向上するにあたり、発光源と光反射性の電極の表面との間の寸法を広い範囲のなかで設定することで、外部に出射する光の成分の量を向上することができる有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法を提供する。
【解決手段】有機発光層5の厚みを異ならせた複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する。各有機エレクトロルミネッセンス素子について、基板6の表面に有機発光層5から基板6内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段12を設けて、この光取出し手段12から出射する光の成分の量を計測する。これに前記出射する光の成分の量と、有機発光層5の厚みとの関係を導出し、この関係に基づいて、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の有機発光層5の厚みを設計することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射・屈折角を乱れさせる領域を設けて光取り出し効率を向上する場合に、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射される光の成分の量が所望の程度になるように有機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光層の厚みを設計する有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法に関する。
図2は基板6上に光透過性の電極1、ホール輸送層8、発光層3、電子輸送層9、光反射性の電極2が順次形成された有機エレクトロルミネッセンス素子である。この図2により従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法を説明する。
特許文献1では、光反射性の電極2と、これに隣接する有機層4(ここでは電子輸送層9)の界面で光が反射する際には、外面反射であるので反射前後で位相シフトπが生じることを前提とし、発光層3から基板6側へ向かう光21と、発光層3から光反射性の電極2へ向かった後にこの電極2の表面で反射されてから基板6側に向かう光22とが干渉して強め合うようにするために、発光層3における発光源10と光反射性の電極2の表面との間の膜厚dに屈折率を乗じて導出される光学膜厚Dを光の波長λの1/4の奇数倍と略等しくなるようにし、これにより基板6から正面方向に外部に出射する光の成分の量が極大値となるようにすることができることが開示されている。
しかし、特許文献2で説明されているように、光反射性の電極2の表面で生じる位相シフトはπではなく、有機層4(電子輸送層9)の屈折率n1と消衰係数k1、並びに光反射性の電極2の屈折率n2と消衰係数k2に基づき、次の式(1)で表される位相シフトφである。
Figure 2009054384
特許文献2ではこの位相シフトφを考慮して、基板6から外部へ出射する光の成分の量が極大値となるようにするために、発光源10から電極2の表面までの光学膜厚Dが次の式(2)〜(4)を満たすようにすることが記載されている。
2π/9≦φ≦15π/18 …(2)
F=φ×λ/4π …(3)
0.73F≦D≦1.15F …(4)
ここで、図2において有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層3の発光源10から斜めに発光した光23の伝搬について説明する。尚、実際には発光源10から光反射性の電極2へ向かう光も存在するが、ここでは省略している。屈折率の高い媒質から屈折率の低い媒質へ光が伝搬するとき、その界面では媒質間の屈折率により、スネルの法則から臨界角が決定され、その臨界角以上の光は界面で全反射して、屈折率の高い媒質に閉じ込められ、導波光として失われる。例えば、図2の有機エレクトロルミネッセンス素子で、基板6の屈折率が1.5である場合に、基板6から屈折率1.0の大気11へと出射する光の臨界角は約42°である。つまり、発光源10からの発光した光23が基板6から大気11へ出射するとき、大気11への入射角θが約42°より大きい光は基板6に閉じ込められ、導波光として失われる。立体角を考慮すると、基板6まで伝搬してきた光のうち、基板6から大気11へ出射する光の割合は約26%となり、残りの約74%は基板6に閉じ込められ、導波光として失われる。
この導波光を外部へ取り出すための手法として、例えば図3の有機エレクトロルミネッセンス素子のように基板6と大気11の間に反射・屈折角を乱れさせる領域7を形成することが挙げられる。この場合、スネルの法則を崩して、本来導波光として全反射される約42°以上の光の伝搬角を変化させることができ、これにより光の屈折角を変化させて全反射条件にある光を減らすことができる。このような手法としては、例えば透光性基体上に単粒子層を並べた拡散部材による光拡散層を形成する方法(特許文献3)が挙げられる。
このような光拡散層を形成する場合に、基板6の中で導波する光を効率良く取り出すための設計方法が特許文献4で提案されている。これは基板6から大気11へ出射される発光光の正面輝度値と50〜70°方向の輝度値が次の式(5)の関係を満たすようにし、或いは更に発光源10と光反射性の電極2の表面との間の寸法をd、発光層3に用いている発光材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ、発光層3と光反射性の電極2との間の有機層4の屈折率をnとした場合に次の式(6)の関係を満たすようにするものである。
(正面輝度値)<(50〜70°方向の輝度値) …(5)
(3/n)λ<d<(0.5/n)λ …(6)
この設計方法によれば、正面方向の光は干渉により弱め合うが、通常は導波光として素子内に閉じ込められる広角度成分の光が強めあい、この光を光拡散層を設けることで外部に出射することで全体的な光の取り出し効率を向上しようというものである。
特開2000−243573号公報 特開2004−165154号公報 特開2001−356207号公報 特開2004−296423号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、光反射性の電極2での反射の際の位相シフトが正確に考慮されておらず、この方法に従って発光源10から光反射性の電極2の表面までの寸法を設計しても、基板6から正面方向に外部へ出射する光の成分の量を極大値とすることができない。
また、特許文献2に記載の方法では、上記位相シフトを正確に考慮していることから、基板6から外部へ正面方向に出射する光の成分の量が極大値となるように設計することができるが、基板6を導波して失われる約70%の光の成分は考慮されておらず、このため光拡散層を設けて本来失われる光を取り出すようにした場合には、光取出し効率が必ずしも最も高くなるとはいえない。
また、特許文献4に記載の方法では、光拡散層を設けることで基板6を導波して失われる光を取り出す際に、光取り出し効率を向上することができるが、干渉効果によって変化する光の成分の量の一つの極大値のみを導出するものであって、発光源10と光反射性の電極2の表面との間の寸法を前記極大値とすることができない場合、例えば発光層3を複数層設ける場合のように発光源10と光反射性の電極2の表面との間の寸法が前記極大値を取り得る寸法を超えざるを得ないような場合には対応することができないものであった。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板と大気との間に光拡散層等を設けることで本来基板を導波する光を外部に取り出して光取り出し効率を向上するにあたり、発光源と光反射性の電極の表面との間の寸法を広い範囲のなかで設定することで、外部に出射する光の成分の量を向上することができる有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法は、光透過性の電極1と光反射性の電極2との間に有機発光層5を設けると共に前記光透過性の電極1の有機発光層5とは反対側の表面に光透過性の基板6を設けて構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、有機発光層5の厚みを異ならせた複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、各有機エレクトロルミネッセンス素子について、基板6の表面に有機発光層5から基板6内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段12を設けて、この光取出し手段12から出射する光の成分の量を計測することで、前記出射する光の成分の量と、有機発光層5の厚みとの関係を導出し、この関係に基づいて、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の有機発光層5の厚みを設計することを特徴とする。
請求項2に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法は、光透過性の電極1と光反射性の電極2との間に有機発光層5を設けると共に前記光透過性の電極1の有機発光層5とは反対側の表面に光透過性の基板6を設けて構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、有機発光層5の厚みを異ならせた複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、各有機エレクトロルミネッセンス素子について、基板6の表面に有機発光層5から基板6内部に到達する光の略全部を取り出すための光取出し手段12を設けて、この光取出し手段12から出射する光の成分の量と、前記光取出し手段12を設けない場合に基板6から出射する光の成分の量とを計測することで、光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差と、有機発光層5の厚みとの関係を導出し、この関係に基づいて、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の有機発光層5の厚みを設計することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、基板6に光取出し手段12を設ける場合には有機発光層5から基板6内に到達した光の殆どが光取出し手段12から出射されるため、この光取出し手段12から出射される光の成分の量は、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6の表面を大気11に直接曝して有機発光層5を発光させた場合に基板6から出射される光の成分の量と、このとき基板6から出射せずに基板6内を導波する光の成分の量とを併せたものにほぼ一致し、このような光取出し手段12から出射する光の成分の量と、有機発光層5の厚みとの関係から有機発光層5の厚みを決定することで、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設けた場合の出射光の光の成分の量が所望の程度になるようにすることができるものであり、またこのとき有機発光層5の広い厚み範囲に亘って前記関係を導出しておけば、広い厚み範囲に亘って有機発光層5の厚みを設計することができるものである。
請求項2に係る発明によれば、光取出し手段12を設けた場合にこの光取出し手段12から出射される光の成分の量は、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6の表面を大気11に直接曝して有機発光層5を発光させた場合に基板6から出射される光の成分の量と、基板6から出射せずに基板6内を導波する光の成分の量とを併せたものにほぼ一致し、この光の成分の量から光取出し手段12を設けない場合に出射する光の成分の量を差し引いたものは、基板6内に到達する光のうちの大きな割合を占めている本来基板6内を導波する光の成分の量にほぼ一致するものであり、この光の成分の量は、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合に出射する光の成分の量を反映することとなるため、このような光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差と、有機発光層5の厚みとの関係から有機発光層5の厚みを決定することで、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設けた場合の出射光の光の成分の量が所望の程度になるようにすることができるものであり、またこのとき有機発光層5の広い厚み範囲に亘って前記関係を導出しておけば、広い厚み範囲に亘って有機発光層5の厚みを設計することができるものである。
以下、本発明の実施をするための最良の形態について説明する。
図2に有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明な基板6の一面側に、光透過性の電極1、有機発光層5、光反射性の電極2が、この順に順次積層成形されている。前記有機発光層5は、発光材料を含む発光層3に必要に応じて電子注入層、電子輸送層9、正孔注入層、ホール輸送層8等、適宜の有機層4を積層して構成される。図示の例では、光反射性の電極2と発光層3との間に電子輸送層9を介在させ、光透過性の電極1と発光層3との間にホール輸送層8を介在させている。
有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各層の材質は、有機エレクトロルミネッセンス素子に適用されている適宜のものを採用することができ、特に制限されない。
有機エレクトロルミネッセンス素子の設計にあたっては、まず有機発光層5の厚みが異なる複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する。
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射される光の成分の量には、発光層3内の発光源10から基板6側に向けて出射される光と、この発光源10から光反射性の電極2へ向けて出射された後、この電極表面で基板6側に向けて反射する光による多重干渉が大きく影響を及ぼす。
そこで、有機発光層5の厚みを異ならせるにあたっては、発光層3よりも光反射性の電極2側に設けられている有機層4の厚みを異ならせるなどして、有機発光層5中の発光源10と光反射性の電極2との間の寸法を異ならせた有機エレクトロルミネッセンス素子を作製することが好ましく、図2に示す例では電子輸送層9の厚みを異ならせた複数のエレクトロルミネッセンス素子を作製することが好ましい。
このように作製された各有機エレクトロルミネッセンス素子について、図1に示すように有機発光層5から基板6内部に到達する光を取り出すための光取出し手段12を、基板6の表面に設け、この状態で電極1,2間に電圧を印加し、有機発光層5を発光させる。そして、このとき光取出し手段12から出射する光の成分の量を計測する。
光取出し手段12としては、有機発光層4から基板6内部に到達した光の略全部を取り出すものを設ける。このとき、好ましくは基板6内部に到達した光の80%以上を取り出すことが可能なものを設けるものである。
上記光取出し手段12としては適宜のものを挙げることができるが、例えば基板6の屈折率と同一又は近似する屈折率を有する半球レンズ12aを用いることができる。このとき半球レンズ12aの屈折率は、基板6の屈折率に対して±0.05の範囲であることが好ましい。特に好ましくは基板6と同一の材質で形成された半球レンズ12aを用いる。この半球レンズ12aは一面側が平面に形成され、他面側が球面に形成されている。この半球レンズ12aは、一般には球面側から入射した光を集光するレンズとして用いられるものであるが、ここでは平面側を基板6の表面と密接させ、この平面側から入射した光を球面側から出射させる。このような半球レンズ12aを設けると、例えば基板6の屈折率が1.5とすると本来はスネルの法則により基板6から大気11側へ出射する光の臨界角は約42°となり、入射角θが臨界角よりも小さい光23は大気11側に出射されるが、入射角θが臨界角よりも大きい光23は基板6と大気11との界面で全反射して基板6内を導波して失われるが、前記半球レンズ12aを設けることで本来全反射するはずの光23も半球レンズ12aへ入射される。また半球レンズ12aへ入射した光23は球面側から出射するため、半球レンズ12aから大気11への入射角が低減され、半球レンズ12aへ入射した光23の殆どを球面側から大気11に出射することができる。
ここで、光取出し手段12としての半球レンズ12aの寸法は、基板6の端面側から出射する入射角の大きい光の成分までも半球レンズ12a内に入射されるように十分な大きさを有することが好ましい。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6の厚みが0.7mm、一辺の長さをLとすると、基板6の端部から半球レンズ12aへ入射角89°の光まで入射させる場合には、半球レンズ12aが2×0.7×tan89°+L=80+L(mm)又はそれよりも大きい直径を有することが好ましい。
このように半球レンズ12aを設ける場合には基板6の表面に直接半球レンズ12aを配置しても良いが、半球レンズ12aと基板6との間に基板6の屈折率と同一又は近似する屈折率を有する適宜のマッチングオイルを介在させても良い。マッチングオイルとしては脂肪族炭化水素系溶剤等を用いることができるが、このときマッチングオイルの屈折率は、基板6の屈折率に対して好ましくは±0.05の範囲、更に好ましくは±0.01の範囲となるようにする。この場合、半球レンズ12aと基板6との間に空気が介在することを防止して、このような空気が介在することにより半球レンズ12aに入射される光が減少することを防止することができる。
半球レンズ12aから出射される光の成分の量は、例えば積分球を用いて、輝度計やPMA等により計測することができる。このとき光の成分の量としては、必要に応じて光のエネルギー(放射束)、光束、光子数等から適宜選択して計測することができる。
また、光取出し手段12としては上記半球レンズ12aのほか、適宜のものを用いることができる。例えば基板6と同一又は近似する屈折率を有するマッチングオイルの浴中に有機エレクトロルミネッセンス素子と光の成分の量を計測する装置(例えば輝度計やPMA等)を浸すことでこのマッチングオイルを光取出し手段12として用い、この状態で有機エレクトロルミネッセンス素子を発光させて、その発光を計測しても良い。また、光取出し手段12として、基板6の表面に半球レンズ12aに代えて基板6の屈折率と同一又は近似する屈折率を有するプリズムを配置するようにしても良い。
このように複数の有機エレクトロルミネッセンス素子について、光取出し手段12から出射する光の成分の量を計測することで、この光取出し手段12から出射する光の成分の量と、有機発光層5の厚みとの関係を導出することができる。
このようにして得られた、光取出し手段12から出射する光の成分の量と、有機発光層5の厚みとの関係に基づいて、基板6に光拡散層等のようなスネルの法則を崩して反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の、有機エレクトロルミネッセンス素子の設計をすることができる。光拡散層は、基板6側からこの基板6と光拡散層との界面に到達した光を拡散することにより本来基板6の外面で反射して基板6内を導波する光をも外部に出射させる機能を有するものであり、例えばシリカやアルミナ等の透光性微粒子を透光性を有する結着剤中に分散させた層にて形成することができる。
ここで、光取出し手段12を設ける場合は有機発光層5から基板6内に到達した光の殆どが光取出し手段12から出射されるため、この光取出し手段12から出射される光の成分の量は、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6の表面を大気11に直接曝して有機発光層5を発光させた場合に基板6から出射される光の成分の量と、このとき基板6から出射せずに基板6内を導波する光の成分の量とを併せたものにほぼ一致する。有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合には、前記のような本来基板6内を導波して失われる光をも外部に出射することができる。
このため、光取出し手段12から出射される光の成分の量の、有機発光層5の厚みに対する依存性に基づいて、この光の成分の量が所望の適宜の値となるように有機発光層5の厚みを決定すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の出射光の光の成分の量が所望の程度になるように有機エレクトロルミネッセンス素子を設計することができるものである。
また、光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差と、有機発光層5の厚みとの関係を導出し、この関係に基づいて、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の有機エレクトロルミネッセンス素子の設計をすることもできる。
ここで、光取出し手段12を設けた場合にこの光取出し手段12から出射される光の成分の量は上記の通り、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6の表面を大気11に直接曝して有機発光層5を発光させた場合に基板6から出射される光の成分の量と、基板6から出射せずに基板6内を導波する光の成分の量とを併せたものにほぼ一致する。このため、この光の成分の量から光取出し手段12を設けない場合に出射する光の成分の量を差し引いたものは、基板6内を導波して失われる光の成分の量にほぼ一致する。この基板6内を導波して失われる光の成分の量は、既述のように基板6内に到達する光の約74%に達し、基板6から大気11に出射される光に比べて大きな割合を占める。従って、光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差は、光取出し手段12を設けない場合に出射する光の成分の量よりも、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合に出射する光の成分の量を反映している。
このため、光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差の、有機発光層5の厚みに対する依存性に基づいて、この光の成分の量が所望の適宜の値となるように有機発光層5の厚みを決定すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設ける場合の出射光の光の成分の量が所望の程度になるように有機エレクトロルミネッセンス素子を設計することができるものである。
上記のようにして有機発光層5の厚みを設計するにあたり、光取出し手段12を設ける場合に出射する光の成分の量、或いは光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差が、極大値あるいはその近傍の値をとるように有機発光層5の厚みを設計することで、基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設けた場合に有機EL素子から出射される光の成分の量を著しく向上することができる。
ここで、これらの関係を有機発光層5の広い厚み範囲において導出しておけば、上記極大値として第一の極大値だけでなく、第二の極大値或いは第三以降の極大値と、有機発光層5の厚みとの関係も導出される。このため、複数の極大値のうちのいずれかの値又はその近傍の値をとるように、有機発光層5の厚みを設計することで、有機EL素子から出射される光の成分の量を向上することができる。
また、上記のように極大値又はその近傍をとるようにするだけでなく、この値が適宜の値をとるように有機発光層5の厚みを設計することができ、このとき光取出し手段12を設ける場合に出射する光の成分の量、或いは光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差が、充分に大きくなるように有機発光層5の厚みを設計することで、有機EL素子から出射される光の成分の量を向上することができる。
また、有機EL素子の構成によっては有機発光層5の厚みが制限される場合がある。その具体的な例としては、有機EL素子が複数の発光層3を含むことで、この有機EL素子の各発光層3から光反射性の電極2までの寸法の範囲が一定の範囲に制限される場合が挙げられる。このような場合であっても、上記のように有機発光層5の厚み設計を広い範囲で行うことができるので、各発光層3ごとに、光反射性の電極2までの寸法の制限範囲内で、光取出し手段12を設ける場合に出射する光の成分の量、或いは光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差が、極大値又はその近傍をとるように、或いはこのような値でなくても前記制限範囲内で最も高い値をとるなどのように充分に大きい値をとるように、有機発光層5の厚みの設計を行うことができる。
ここで、複数の発光層3から発せられる光の成分のうち、全ての発光層3からの発光について、光取出し手段12を設ける場合に出射する光の成分の量、或いは光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差が、極大値をとるように厚み設計をすると、光の取り出し効率を非常に高くすることができるが、少なくとも一つの発光層3からの発光について極大値をとるようにすれば、光の取り出し効率の向上に寄与することができる。また、いずれの発光層3からの発光についても極大値をもとることができない場合でも、上述のように有機エレクトロルミネッセンスから出射される光の成分の量が所望のものとなるように有機発光層5の厚みを設計することができる。
このような有機エレクトロルミネッセンス素子の設計の具体例を示す。
有機エレクトロルミネッセンス素子として、膜厚0.7mmのガラスの基板6上に、ITOからなる光透過性の電極1、NPDからなるホール輸送層8、ルブレン(Rubrene)を6重量%ドープしたAlq3からなる発光層3、下記[化1]のTmPyPhBからなる電子輸送層9、Alからなる光反射性の電極2を積層したものを作製した。
この有機エレクトロルミネッセンス素子としては、電子輸送層9の厚みを変更した複数のものを作製した。このとき、光透過性の電極1の厚みを膜厚150nm、ホール輸送層8の厚みを40nm、発光層3の厚みを30nm、光反射性の電極2の厚みを80nmとし、電子輸送層9の厚みを、電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計が40〜400nmの範囲で40nm刻みで変化するようにしたものに加えて、この厚みが60nm、70nm、90nm、100nmとなるようにしたものをそれぞれ作製した。
Figure 2009054384
このような各有機エレクトロルミネッセンス素子を、基板6の表面に脂肪族炭化水素系溶剤からなるマッチングオイルを介して半球レンズ12aを設けた状態で発光させ、半球レンズ12aから出射される光の光束を計測した。その結果を図4に示す。ここで、図4の横軸は、電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計の値を示している。
また、半球レンズ12aを設けず、基板6の表面を大気11に曝した状態で、同様にして基板6から出射される光の光束を計測した。この結果も併せて図4に示す。
また、半球レンズ12aを設けた場合の光束の計測結果と、半球レンズ12aを設けない場合の光束の計測結果との差を算出した結果を併せて図4に示す。
尚、ここでは光束を測定する場合について説明しているが、光の成分の量としてエネルギー(放射束)や光子数を計測する場合にも、同様にして有機発光層5の厚みの設計を行うことができる。ここで、光の成分の量を計測するにあたっては、エネルギー(放射束)を直接的に計測し、このエネルギーをchν(c:光速、h:プランク定数、ν:波長の逆数)で除した結果を光子数として導出することができ、またこのエネルギーからCIE標準比視感度と最大視感度とに基づいて光束を導出することができる。
これらの結果に基づき、まず光取出し手段12から出射する光の成分の量と、有機発光層5の厚みとの関係から有機エレクトロルミネッセンス素子の設計をする場合について説明する。
図示のように、半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合とでの各光束は、共に電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計が増大するに従って変化してそれぞれ複数の極大値をとるが、その変化の傾向は相違しており、極大値の位置にずれが生じている。
すなわち、半球レンズ12aを設けない場合では、電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計が70nmで第一の極大値が現れ、厚み240nmで第二の極大値が現れるが、半球レンズ12aを設けた場合では厚み80nmで第一の極大値が、厚み280nmで第二の極大値が現れる。このため、半球レンズ12aを設けた場合のこの半球レンズ12aから出射する光束と、有機発光層5の厚みとの関係に基づけば、この光束が極大値をとるように有機発光層5の厚みを設計することで、半球レンズ12aを設けない場合に基板6から出射される光束に基づく場合よりも、光の反射・屈折角を乱れさせる領域7が設けられた有機EL素子から出射される光束を増大させることができる。例えば、半球レンズ12aを設けない場合に基板6から出射される光束を基準にしてその第二の極大値をとるように有機発光層5の厚み設計をした場合と比較して、半球レンズ12aを設けた場合にこの半球レンズ12aから出射される光束が第二の極大値をとるように有機発光層5の厚み設計を行うと、理想的には有機エレクトロルミネッセンスから出射される光束を1.30倍に増加させることができる。
また、半球レンズ12aから出射される光束の極大値の近傍においても、この光束は充分に大きな値を有しており、この極大値を中心とした範囲、例えば第一の極大値について電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計が70〜90nm範囲で有機発光層5の厚みを設計すれば、有機エレクトロルミネッセンスから出射される光束を充分に大きくすることができる。
また、半球レンズ12aを設けない場合に出射される光束は、第二の極大値を超えると大きく落ち込んでいるが、半球レンズ12aを設ける場合では第二の極大値を超えても変化がなだらかで値の落ち込みが小さくなっており、大きな光束が得られている。このように半球レンズ12aを設けない場合には充分な光束が得られない場合であっても、半球レンズ12aを設ける場合には充分に大きな光束が得られる領域を見出すことができ、これにより有機エレクトロルミネッセンスから出射される光束を充分に大きくすることができる。
このようにして、有機EL素子の基板6に反射・屈折角を乱れさせる領域7を設けた場合の出射光の光束が所望の程度になるように有機発光層5の厚み設計を行うことができ、またこのとき有機発光層5の広い厚み範囲に亘って有機発光層5の厚みを設計することができるものである。
次に、光取出し手段12を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差と、有機発光層5の厚みとの関係に基づいて、有機エレクトロルミネッセンス素子の設計をする場合について説明する。
図示のように、半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合との出射する光束の差と、半球レンズ12aを設けない場合の出射する光束とは、共に電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計が増大するに従って変化してそれぞれ複数の極大値をとるが、その変化の傾向は相違しており、極大値の位置にずれが生じている。
すなわち、半球レンズ12aを設けない場合では、電子輸送層9と発光層3の厚みとの合計が70nmで第一の極大値が現れ、240nmで第二の極大値が現れるが、半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合との出射する光束の差については厚みが80nmで第一の極大値が、290nmで第二の極大値が現れる。このため、半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合との出射する光束の差に基づけば、この値が極大値をとるように有機発光層5の厚みを設計することで、半球レンズ12aを設けない場合に出射する光束に基づく場合よりも、光の反射・屈折角を乱れさせる領域7が設けられた有機EL素子から出射される光束を増大させることができる。例えば、半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合との出射する光束の差が第二の極大値をとるように有機発光層5の厚み設計を行った場合には、半球レンズ12aを設けない場合に出射する光束が第二の極大値をとるように有機発光層5の厚み設計をした場合と比べて、半球レンズ12aを設けた場合に出射する光束が1.16倍に増加している。また、半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合との出射する光束の差が前記第二の極大値をとる場合には、半球レンズ12aを設けない場合の光束は大きく落ち込んでいるため、この半球レンズ12aを設けない場合の光束に基づいて有機発光層5の厚みを設計する場合にはこのような半球レンズ12aを設ける場合と設けない場合との出射する光束の差が極大値をとるような有機発光層4の厚みを設計することはできず、光の反射・屈折角を乱れさせる領域7が設けられた有機EL素子から出射される光束を充分に増大させることができないことがわかる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の基板に半球レンズを設けた場合の構成の一例を示す概略の断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略の断面図である。 基板に光の反射・屈折角を乱れさせる領域を設けた場合の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略の断面図である。 有機発光層の厚みを異ならせた場合の、有機エレクトロルミネッセンス素子から出射される光束の計測結果を示すものであり、基板に半球レンズを設けた場合に出射される光束、半球レンズを設けない場合に出射される光束、及び両者の差を示すものである。
符号の説明
1 光透過性の電極
2 光反射性の電極
5 有機発光層
6 基板
12 光取出し手段

Claims (2)

  1. 光透過性の電極と光反射性の電極との間に有機発光層を設けると共に前記光透過性の電極の有機発光層とは反対側の表面に光透過性の基板を備えて構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、有機発光層の厚みを異ならせた複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、各有機エレクトロルミネッセンス素子について、基板の表面に有機発光層から基板内部に到達した光の略全部を取り出すための光取出し手段を設けて、この光取出し手段から出射する光の成分の量を計測することで、前記出射する光の成分の量と、有機発光層の厚みとの関係を導出し、この関係に基づいて、基板に反射・屈折角を乱れさせる領域を設ける場合の有機発光層の厚みを設計することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
  2. 光透過性の電極と光反射性の電極との間に有機発光層を設けると共に前記光透過性の電極の有機発光層とは反対側の表面に光透過性の基板を備えて構成される有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法であって、有機発光層の厚みを異ならせた複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、各有機エレクトロルミネッセンス素子について、基板の表面に有機発光層から基板内部に到達する光の略全部を取り出すための光取出し手段を設けて、この光取出し手段から出射する光の成分の量と、前記光取出し手段を設けない場合に基板から出射する光の成分の量とを計測することで、光取出し手段を設ける場合と設けない場合との出射する光の成分の量の差と、有機発光層の厚みとの関係を導出し、この関係に基づいて、基板に反射・屈折角を乱れさせる領域を設ける場合の有機発光層の厚みを設計することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法。
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