JP2009079941A - 時計用文字板および時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】光の透過性に優れるとともに、濃色の高級感のある外観を呈する時計用文字板を提供すること、当該時計用文字板を備えた時計を提供すること、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観(高級感)に優れた時計を提供すること。
【解決手段】時計用文字板1は、光透過性を有する基板2と、基板2の第1の面21側に設けられ、入射した光の少なくとも一部を吸収する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第1の開口部31を有する光吸収膜3と、光吸収膜3と基板2との間に設けられ、光を反射する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第2の開口部41を有する光反射膜4とを備えている。基板2は、第2の面22に、第1の面21側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸221を有している。時計用文字板1を平面視した際に、第1の開口部31が、第2の開口部41に重なるように設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、時計用文字板および時計に関する。
時計は、実用品としての機能が求められるとともに、装飾品としての装飾性(美的外観)が求められる。特に、太陽電池を備えたソーラー時計では、文字板(ソーラー時計用文字板)の下に太陽電池(ソーラーセル)が配置される場合に、文字板について、優れた光透過性等とともに、装飾品としての装飾性(美的外観)が求められる。
具体的には、ソーラー時計用文字板は、光透過性に関して、時計を駆動するのに十分な量の光を、その下部に配置された太陽電池に透過して供するものである一方、装飾品としての装飾性も求められる。
従来、ソーラー時計では、太陽電池に十分な光量の光を入射させるために、太陽電池そのものを文字板として利用したり、太陽電池上に有色の部材(特に濃色の部材)が配されないように文字板の形状を設計してきた。しかしながら、このような時計では、装飾品としての美的外観に劣っており、特に、高級感を持たせることが困難であった。
一方、高級感、装飾性を向上させる目的で、セラミックス粉末とバインダーとの混合物を用いて成形、焼結して製造される文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成にすることにより、所定の反射率で外光を反射しつつ、入射した光の一部を透過させることができる。その結果、光沢感のある文字板を得ることができる。
その一方で、黒色のような落ち着いた色調、外観を呈する文字板をソーラー時計に適用することについての要望がある。しかしながら、黒色のような光吸収率の高い色調では、光の透過性と優れた外観とを両立することができなかった。すなわち、黒色のような光の吸収率の高い色調の材料を用いた場合、通常、十分な光の透過率を確保することができず、また、光の透過率を向上させるために、着色剤の含有率の低い材料を用いた場合、十分に深い色調を実現することができず、時計用文字板の高級感が低下してしまう。
特開平10−39048号公報
本発明の目的は、光の透過性に優れるとともに、濃色の高級感のある外観を呈する時計用文字板を提供すること、当該時計用文字板を備えた時計を提供すること、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観(高級感)に優れた時計を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、光透過性を有する材料で構成された基板と、
前記基板の一方の主面である第1の面側に設けられ、入射した光の少なくとも一部を吸収する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第1の開口部を有する光吸収膜と、
前記光吸収膜と前記基板との間に設けられ、光を反射する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第2の開口部を有する光反射膜とを備え、
前記基板は、前記第1の面とは反対側の主面である第2の面に、前記第1の面側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであり、
時計用文字板を平面視した際に、前記第1の開口部が、前記第2の開口部に重なるように設けられていることを特徴とする。
これにより、光の透過性に優れるとともに、濃色の高級感のある外観を呈する時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板を平面視した際の、前記光吸収膜において前記第1の開口部が設けられた面積率としての第1の開口率が、前記光反射膜において前記第2の開口部が設けられた面積率としての第2の開口率よりも小さいことが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記光反射膜は、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、光の透過性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記光吸収膜についての、前記第1の開口部が設けられていない部位での光の透過率が2%以下であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記光吸収膜についての、前記第1の開口部が設けられていない部位における、JIS Z 8902で規定されるキセノン白色光を光源として用いた場合の光の吸収率が80%以上であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記光吸収膜は、黒色を呈するものであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが8〜160μmであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸の高低差は、3〜90μmであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、時計用文字板を平面視した際に、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが重なり合う領域の占める面積の割合は、15〜50%であることが好ましい。
これにより、光透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観(高級感)に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
本発明の時計は、太陽電池と、前記太陽電池よりも外表面側に配置されたカバーガラスとを備えた時計であって、
前記太陽電池と前記カバーガラスとの間に、光透過性を有する材料で構成された基板が配されており、
前記基板と前記カバーガラスとの間に、入射した光の少なくとも一部を吸収する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第1の開口部を有する光吸収膜が配されており、
前記光吸収膜と前記基板との間に、光を反射する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第2の開口部を有する光反射膜が配されており、
前記基板は、前記光反射膜に対向する主面である第1の面とは反対側の主面に、前記第1の面側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであり、
前記時計用文字板を平面視した際に、前記第1の開口部が、前記第2の開口部に重なるように設けられていることを特徴とする。
これにより、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観(高級感)に優れた時計を提供することができる。
本発明によれば、光の透過性に優れるとともに、濃色の高級感のある外観を呈する時計用文字板を提供すること、当該時計用文字板を備えた時計を提供すること、太陽電池の発電効率に優れるとともに、美的外観(高級感)に優れた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2〜図6は、基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図、図7は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図、図8は、光吸収膜が有する開口部の形状(パターン)の一例を説明するための模式的な平面図、図9は、光吸収膜が有する開口部の形状(パターン)の他の一例を説明するための模式的な平面図である。
図1に示すように、本実施形態の時計用文字板1は、光透過性を有する材料で構成された基板2と、基板2の一方の主面である第1の面側に設けられた、開口部(第1の開口部)31を有する光吸収膜3と、光吸収膜3と基板2との間に設けられた、開口部(第2の開口部)41を有する光反射膜4と、光反射膜4と基板2との間に設けられた酸化物被膜5とを有している。すなわち、本実施形態の時計用文字板1は、基板2と、酸化物被膜5と、光反射膜4と、光吸収膜3とが、この順に積層された構成を有している。
時計用文字板1は、基板2の第1の面21側、すなわち、光吸収膜3が設けられた面側(図1中上側)が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。以下の説明では、図1中、上側を「(外光の)入射側」、図1中の下側を「(外光の)出射側」として説明する(後述する図5についても同様)。
[基板]
基板2は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、光の透過率とは、JIS Z 8902で規定されるキセノン白色光を光源として用いた場合についての、光(可視光)の透過率のことを指す。また、本明細書においては、光の反射率、吸収率についても、上記と同様に、特に断りのない限り、それぞれ、JIS Z 8902で規定されるキセノン白色光を光源として用いた場合についての、光(可視光の)反射率、光(可視光の)吸収率のことを指す。
基板2を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、基板2は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、基板2がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、基板2がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を、後述するような電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、基板2が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
基板2を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、基板2は、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、基板2の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、基板2がポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、基板2と被膜との密着性を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
なお、基板2は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、基板2が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
基板2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
後に詳述するように、基板2の第1の面21側には光吸収膜3、光反射膜4が設けられているが、これらは、開口部(開口部31、開口部41)を有するものであるため、時計用文字板1の外部からの光(図1中上側からの光)の一部は、開口部31、開口部41から基板2の内部に進入することとなる。開口部31、開口部41から基板2に進入した光は、第1の面21側から第2の面22側に向かって進行し、その一部は、第2の面22側から出射する(すなわち、基板2を透過する)ことになる。
ところで、時計用文字板1は、時計として使用される場合等において、時計用文字板1の背面側(観察者とは反対側)に、太陽電池、ムーブメント等の部材が存在している。このため、第1の面21側から基板2を透過した光が、時計用文字板1の背面側に配された部材に照射され、当該部材により反射した光のうち一部は、再び、第2の面22側から、基板2の内部に進入する。このようにして、一旦、時計用文字板を透過した光が、再び、反対の面側から進入し、観察者側に向かって出射すると、審美性(美的外観)の低下を引き起こす可能性があるが、本発明の時計用文字板1においては、基板2は、第1の面21とは反対側の主面である第2の面22に、第1の面21側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸221を有している。これにより、一旦、基板2の第2の面22側から出射した光が、基板2の第2の面側に向かって照射された(反射した)場合であっても、このような光(以下、「背面からの照射光」とも言う)を、凹凸221によって、反射・散乱させることができるため、背面からの照射光を、直接的に、観察者に視認させることが防止され、時計用文字板1としての美的外観を、優れたものとすることができる。また、背面からの照射光は、その一部が、凹凸221によって、再び背面側に向かうように、反射されるとともに、背面からの照射光のうち基板2の内部に進入したものについても、後に詳述する光反射膜4によって、第2の面22側に反射される。このようなことから、例えば、時計用文字板1および太陽電池を備えた時計においては、太陽電池の表面等で一旦反射された光を、凹凸221および後に詳述する光反射膜4の作用により、再び、太陽電池に向かって照射することができる。その結果、太陽電池における光の利用効率(正味の利用効率)を特に優れたものとすることができる。すなわち、本発明の時計用文字板は、美的外観に優れるとともに、太陽電池における光の利用効率に優れた時計(ソーラー時計)に、好適に適用することができる。
凹凸221は、いかなる配置のものであってもよいが、基板2を平面視した際に、規則的に配置されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の各部位(平面視した際の各部位)における、不本意な色むら等が発生するのを効果的に防止することができる。凹凸221の配置パターン(平面視多彩の配置パターン)としては、例えば、多数の凸条、溝が同心円状に配置されたパターン(図2参照)、凸条、溝が渦巻状に配置されたパターン(図3参照)、一次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターン(図4参照)、二次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターン(図5、図6参照)等が挙げられる。
凹凸221のピッチ(特に、第2の面22上において、凸条、溝の長手方向に垂直な方向についてのピッチ)Pは、特に限定されないが、8〜160μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより好ましく、12〜28μmであるのがさらに好ましい。凹凸221のピッチPが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凹凸221の高低差(凸部(凸条)の頂部と凹部(溝)の底部との高低差)Hは、特に限定されないが、3〜90μmであるのが好ましく、4〜55μmであるのがより好ましく、5〜16μmであるのがさらに好ましい。凹凸221の高低差Hが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過率を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、凹凸221の断面形状(凸条、溝の長手方向に対して垂直な断面での形状)は、二等辺三角形状をなすものである。凹凸221の断面形状がこのようなものであると、第1の面21側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、特に高いレベルで両立することができる。
凹凸221の頂点の角度(図中のθ)は、特に限定されないが、70〜100°であるのが好ましい。これにより、第1の面21側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
また、基板2の第1の面21は、実質的に平坦(平滑)なものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観は特に優れたものとなる。より具体的には、第1の面21の表面粗さRaは、0.001〜0.6μmであるのが好ましく、0.001〜0.3μmであるのがより好ましい。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
また、基板2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、基板(基材)2は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、200〜700μmであるのが好ましく、300〜600μmであるのがより好ましい。基板2の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、基板2の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、基板2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板2の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
[光吸収膜]
基板2の第1の面21側には、入射した光(外光)の少なくとも一部を吸収する機能を有する光吸収膜3が設けられている。このような光吸収膜3を有することにより、時計用文字板1の外観を、濃色で高級感のあるものとすることができる。
光吸収膜3についての光の吸収率(後述する開口部31が設けられていない部位における光の吸収率)は、80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがより好ましい。このように、光吸収膜3についての光の吸収率が十分に高いものであることにより、時計用文字板1全体としての美的外観(高級感)を十分に優れたものとすることができる。
また、光吸収膜3についての、後述する開口部(第1の開口部)31が設けられていない部位での光の透過率は、2%以下であるのが好ましく、1%以下であるのがより好ましい。このように光吸収膜3の開口部31以外での光の透過率が十分に小さいものであると、時計用文字板の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
光吸収膜3の色調は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
光吸収膜3を構成する材料としては、例えば、各種顔料、各種染料等の着色剤や、金属炭化物、金属酸化物等の金属化合物等が挙げられる。中でも、カーボンブラック、アセチレンブラック、アイボリーブラック、ボーンブラック、ピーチブラック、ヴァインブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、チャコールブラック、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラック、銅クロムマンガンブラック等の黒色顔料が好適に用いられる。
なお、光吸収膜3は、上記以外の成分、例えば、樹脂成分等を含んでいてもよい。
また、光吸収膜3は、所定のパターンで設けられた開口部(第1の開口部)31を有している。このように、開口部31を有することにより、第1の面21側から基板2の内部に導き、入射したのとは反対の第2の面22側から出射させることができる。すなわち、時計用文字板1に入射した光を透過させることができる。
基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、光吸収膜3において開口部31が占める面積率として開口率(第1の開口率)は、15〜50%であるのが好ましく、25〜45%であるのがより好ましい。光吸収膜3の開口率(第1の開口率)が前記範囲内の値であると、光(外光)の透過率を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。これに対し、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)が前記下限値未満であると、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に優れたものとすることが困難になる。一方、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)が前記上限値を超えると、光吸収膜3の厚さ等によっては、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとすることが困難になる。
開口部31は、いかなる形状のものであってもよい。図7に示す構成では、基板2(時計用文字板1)を平面視した際の開口部31の形状は、略円形状であるが、例えば、基板2(時計用文字板1)を平面視した際の形状は、略楕円形状、略多角形状、スリット状等であってもよい。また、開口部31は、図8、図9に示すように、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、光吸収膜3で構成された多数個の島状の領域(実部)を取り囲むように設けられたものであってもよい。これにより、時計用文字板1の外観において、開口部31の存在をより目立ち難いものとすることができるとともに、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、図中Wで表される開口部31の幅(開口部31が略円形である場合には、その直径)は、10〜150μmであるのが好ましく、15〜140μmであるのがより好ましく、20〜130μmであるのがさらに好ましい。開口部31の幅Wが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口部31の幅Wが前記下限値未満であると、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)や後述する光反射膜4の開口率(第2の開口率)等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、開口部31の幅Wが前記上限値を超えると、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
また、図8、図9に示すように、開口部31が、多数個の島状の領域(光吸収膜3の実部)を取り囲むようにして設けられている場合、以下の条件を満足するのが好ましい。すなわち、光吸収膜3の実部の幅(実部が略円形である場合には、その直径)は、60〜600μmであるのが好ましく、65〜500μmであるのがより好ましく、70〜350μmであるのがさらに好ましい。光吸収膜3の実部の幅が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、光吸収膜3の実部の幅が前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、光吸収膜3を精度よく形成するのが困難になるとともに、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、光吸収膜3の実部の幅が前記上限値を超えると、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
また、図中Pで表される開口部31のピッチ(光吸収膜3の実部のピッチ)は、70〜750μmであるのが好ましく、80〜600μmであるのがより好ましく、90〜450μmであるのがさらに好ましい。開口部31のピッチ(光吸収膜3の実部のピッチ)Pが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口部31のピッチPが前記下限値未満であると、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、開口部31のピッチPが前記上限値を超えると、光吸収膜3の開口率(第1の開口率)や後述する光反射膜4の開口率(第2の開口率)等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。なお、開口部31のピッチとは、隣接する開口部31−開口部31間の中心間距離のことを指し、隣接する開口部31が複数個ある場合には、最も近接した開口部31との中心間距離のことを指す。
また、光吸収膜3の平均厚さは、特に限定されないが、0.2〜60μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましい。光吸収膜3の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
[光反射膜(金属被膜)]
上述した基板2と光吸収膜3との間、すなわち、光吸収膜3の背面側には、光を反射する機能を有するとともに、開口部(第2の開口部)41を有する光反射膜4が設けられている。開口部41は、時計用文字板1(基板2)を平面視した際に、少なくともその一部が、開口部31と重なるように設けられている。
上述したように、光吸収膜3が所定のパターンで設けられた開口部(第1の開口部)31を有するものであり、また、光反射膜4が所定のパターンで設けられた開口部(第2の開口部)41を有するものであることにより、第1の面21側から基板2の内部に導き、入射したのとは反対の第2の面22側から出射させることができる。すなわち、時計用文字板1に入射した光を透過させることができる。
このような光の透過が起こるとともに、基板2の内部に進入した光のうち一部は、前述した凹凸221により反射・散乱し、さらにその一部が、基板2の第1の面21側に向かうこととなる。しかしながら、時計用文字板1においては、基板2の第1の面21側(光吸収膜3の背面)に、光反射膜4が設けられているため、この光反射膜4により、第1の面21側に向かった光を、再び反射し、基板2の第2の面22側から出射させる(時計用文字板1を透過させる)ことができる。すなわち、光反射膜4を有することにより、凹凸221により反射された光が、光吸収膜3によって吸収されてしまうのを防止することができ、時計用文字板1全体としての光の透過性を特に高いものとすることができる。これに対し、時計用文字板が光反射膜を有していない場合、上記のような効果は得られない。すなわち、時計用文字板が光反射膜を有していないと、光吸収膜による、基板の第2の面で反射した光の吸収がおこってしまい、光の透過率の向上に寄与させることができない。その結果、時計用文字板全体としての光の透過率は低いものとなってしまう。また、光反射膜を設けなくても、光吸収膜の開口率を高めることにより、光の透過率を向上させることはできるが、このような構成では、開口部の存在が目立ってしまい、時計用文字板の美的外観(高級感)を十分に高めることができない。
光反射膜4は、光を反射する機能を有するものであれば、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、金属材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、上記のような、基板2の表面(光反射膜4、光吸収膜3に対向する面とは反対側の表面)付近で反射した光を、より好適に反射させ、時計用文字板1の光(外光)が入射した面とは反対側に、導くことができる。これにより、時計用文字板1全体としての光の透過率を安定的かつ確実に高いものとすることができる。以下の説明では、光反射膜4が、主として金属材料で構成された金属被膜である場合について、中心的に説明する。
光反射膜(金属被膜)4を構成する金属材料としては、各種金属(合金を含む)を用いることができ、より具体的には、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Co、In、W、Ti、Rhや、これらのうち少なくとも1種を含む合金が挙げられる。光反射膜4は、上記のような材料の中でも特に、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成されたものであるのが好ましい。これにより、上述したような光反射膜4での反射をより効果的に発現させることができ、時計用文字板1全体としての光の透過率を特に優れたものとすることができる。また、光反射膜(金属被膜)4が上記のような材料で構成されたものであると、光反射膜(金属被膜)4と、後述する酸化物被膜5との密着性を特に優れたものとすることができる。また、光反射膜4は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、光反射膜4は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、光反射膜4は、複数の層を有する積層体であってもよい。また、光反射膜4が積層体である場合、例えば、実質的に金属材料を含まない材料で構成された層を有していてもよい。より具体的には、光反射膜4は、金属材料で構成された2つの層の間に、金属酸化物等で構成された層が介挿された構成を有するものであってもよい。
また、光反射膜(金属被膜)4の構成材料は、酸化物被膜5を構成する元素のうち少なくとも1種を含むものであってもよい。言い換えると、酸化物被膜5と光反射膜(金属被膜)4とは、少なくともこれらが接触する部位において、互いに共通の元素を含む材料で構成されたものであってもよい。例えば、酸化物被膜5がMOn/2の組成式(ただし、Mは金属元素を表し、nはMの価数を示す)で表される金属酸化物を含む場合、光反射膜(金属被膜)4は、Mを含むものであってもよい。これにより、酸化物被膜5と光反射膜(金属被膜)4との密着性がさらに向上する。
光反射膜4の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜2.5μmであるのが好ましく、0.007〜0.9μmであるのがより好ましく、0.01〜0.5μmであるのがさらに好ましい。光反射膜4の平均厚さが前記範囲内の値であると、光反射膜4の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、上述した光反射膜4の機能をより効果的に発揮することができ、時計用文字板1全体としての光の透過率を特に優れたものとすることができる。また、光反射膜(金属被膜)4と後述する酸化物被膜5との密着性を特に優れたものとすることができる。これに対し、光反射膜4の平均厚さが前記下限値未満であると、光反射膜4の構成材料等によっては、上述した光反射膜4の機能を十分に発揮するのが困難となり、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。また、光反射膜(金属被膜)4、酸化物被膜5の構成材料等によっては、光反射膜(金属被膜)4と酸化物被膜5との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。一方、光反射膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、光吸収膜3の厚さ等によっては、時計用文字板1の美的外観(高級感)を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。また、光反射膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、光反射膜4の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、光反射膜4の平均厚さが特に大きい場合は、光反射膜4の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。また、光反射膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、時計用文字板1全体としての電波の透過率が減少する傾向が顕著に現れ、時計用文字板1を電波時計に適用するのが困難となる。
光反射膜4は、光吸収膜3の開口部(第1の開口部)31に対応する部位に、開口部(第2の開口部)41を有するものである。言い換えると、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、第2の開口部41は、第1の開口部31と重なるように設けられている。これにより、光吸収膜3の開口部(第1の開口部)31を通過した外光を、効率よく基板2に入射させることができ、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に優れたものとすることができる。
第2の開口部41の形状(基板2を平面視した際の形状)は、特に限定されないが、対応する第1の開口部31と略相似形をなすものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観(高級感)を十分に優れたものとしつつ、光の透過率を特に優れたものとすることができる。
また、第2の開口部41の配置パターンは、特に限定されないが、光吸収膜3における第1の開口部31の配置パターンと同一であるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観(高級感)を十分に優れたものとしつつ、光の透過率を特に優れたものとすることができる。
第2の開口部41は、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、少なくともその一部が、第1の開口部31と重なり合うように設けられたものであればよいが、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、第2の開口部41が設けられた領域内に、第1の開口部31が完全に包含されるように設けられているのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
また、基板2(時計用文字板1)を平面視した際の、光吸収膜3において第1の開口部31が設けられた面積率としての第1の開口率が、光反射膜4において第2の開口部41が設けられた面積率としての第2の開口率よりも小さいものであるのが好ましい。これにより、例えば、時計用文字板1がその主面の法線方向(垂線)から所定角度だけ傾斜した方向から観察された際においても、観察者に光反射膜4が視認されるのをより確実に防止することができる。特に、光吸収膜3の厚さが比較的薄い場合であっても、観察者に光反射膜4が視認されるのをより確実に防止することができる。その結果、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
基板2(時計用文字板1)を平面視した際の、光反射膜4において第2の開口部41が設けられた面積率としての第2の開口率は、20〜60%であるのが好ましく、30〜55%であるのがより好ましい。第2の開口率が前記範囲内の値であると、光の透過率を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
また、第1の開口率をX[%]、第2の開口率をX[%]としたとき、1.10≦X/X≦2.30の関係を満足するのが好ましく、1.15≦X/X≦1.80の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、例えば、時計用文字板1がその主面の法線方向(垂線)から所定角度だけ傾斜した方向から観察された際においても、観察者に光反射膜4が視認されるのをより確実に防止することができる。特に、光吸収膜3の厚さが比較的薄い場合であっても、観察者に光反射膜4が視認されるのをより確実に防止することができる。その結果、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。これに対し、X/Xの値が前記下限値未満であると、光吸収膜3の厚さ等によっては、時計用文字板1をその主面の法線方向(垂線)から所定角度だけ傾斜した方向から観察した際における美的外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、X/Xの値が前記上限値を超えると、開口部31、開口部41のピッチ等によっては、上述したような光反射膜4の機能を十分に発揮させるのが困難となり、時計用文字板1全体としての光の透過率(光の利用効率)を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
また、図中W’で表される開口部41の幅(開口部41が略円形である場合には、その直径)は、11〜170μmであるのが好ましく、17〜150μmであるのがより好ましい。
また、図中P’で表される開口部41のピッチ(光反射膜4の実部のピッチ)は、70〜750μmであるのが好ましく、80〜600μmであるのがより好ましく、90〜450μmであるのがさらに好ましい。なお、図に示す構成では、PとP’とが等しくなっている。開口部41のピッチとは、隣接する開口部41−開口部41間の中心間距離のことを指し、隣接する開口部41が複数個ある場合には、最も近接した開口部41との中心間距離のことを指す。
また、第2の開口部41の幅W’[μm]と、第1の開口部31の幅W[μm]との差(W’−W)は、1〜30μmであるのが好ましく、2〜25μmであるのがより好ましい。このような関係を満足することにより、例えば、時計用文字板1がその主面の法線方向(垂線)から所定角度だけ傾斜した方向から観察された際においても、観察者に光反射膜4が視認されるのをより確実に防止することができる。特に、光吸収膜3の厚さが比較的薄い場合であっても、観察者に光反射膜4が視認されるのをより確実に防止することができる。その結果、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。これに対し、(W’−W)の値が前記下限値未満であると、光吸収膜3の厚さ等によっては、時計用文字板1をその主面の法線方向(垂線)から所定角度だけ傾斜した方向から観察した際における美的外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、(W’−W)の値が前記上限値を超えると、開口部31、開口部41のピッチ等によっては、上述したような光反射膜4の機能を十分に発揮させるのが困難となり、時計用文字板1全体としての光の透過率(光の利用効率)を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
また、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に、第1の開口部31と第2の開口部41とが重なり合う面積率としての全開口率(時計用文字板1全体としての開口率)は、15〜50%であるのが好ましく、25〜45%であるのがより好ましい。全開口率が前記範囲内の値であると、光の透過率を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。
[酸化物被膜]
基板2と光反射膜(金属被膜)4との間、言い換えると、光反射膜(金属被膜)4の光吸収膜3に対向する面とは反対側の表面には、酸化物被膜5が設けられている。このように、本実施形態では、主としてプラスチック材料で構成された基板2の表面に、光反射膜としての金属被膜4が直接設けられずに、基板2と金属被膜4との間に酸化物被膜5が介在している。これにより、基板2と金属被膜4との密着性(酸化物被膜5を介しての密着性)、特に、後述するような気相成膜により形成される金属被膜4の密着性を向上させることができ、金属被膜4の浮きや剥がれ(剥離)等を効果的に防止することができる。その結果、時計用文字板1は耐久性に優れたものとなる。
酸化物被膜5は、主として金属酸化物で構成されたものである。酸化物被膜5を構成する金属酸化物としては、各種金属の酸化物を用いることができ、好ましくは、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Co、In、W、Ti、Rhの酸化物(複合酸化物を含む)が挙げられる。酸化物被膜5が、酸化チタン(複合酸化物を含む)、酸化クロム(複合酸化物を含む)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、基板2と金属被膜(光反射膜)4との密着性をより優れたものとすることができる。また、酸化物被膜5が、Ti、Zn、Mg、Mo、Nb、Zr、Sn、Inの酸化物で構成されたものであると、酸化物被膜5の透明性(特に、後述するような膜厚での透明性)を非常に高いものとすることができる。これにより、上述したような、金属被膜(光反射膜)4の基板2に対向する側の面での光の反射を効率よく行うことができ、時計用文字板1全体としての光の利用効率を特に優れたものとすることができる。その結果、時計用文字板1において、優れた光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
また、酸化物被膜5の平均厚さは、特に限定されないが、0.005〜1.0μmであるのが好ましく、0.007〜0.5μmであるのがより好ましく、0.01〜0.3μmであるのがさらに好ましい。酸化物被膜5の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1全体としての美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、酸化物被膜5の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基板2と金属被膜4との密着性を特に優れたものとすることができる。これに対し、酸化物被膜5の平均厚さが前記下限値未満であると、酸化物被膜5、基板2、金属被膜4の構成材料等によっては、基板2と金属被膜4との密着性を向上させる機能が十分に発揮されない可能性がある。また、酸化物被膜5の平均厚さが前記下限値未満であると、酸化物被膜5の形成方法等によっては、酸化物被膜5にピンホールが生じ易くなり、酸化物被膜5を備えることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、酸化物被膜5の平均厚さが前記上限値を超えると、酸化物被膜5の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、酸化物被膜5の平均厚さが特に大きい場合は、酸化物被膜5の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。
また、酸化物被膜5の平均厚さは、前述した金属被膜4の平均厚さよりも小さいものであるの好ましい。これにより、基板2と金属被膜4との密着性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、酸化物被膜5は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、酸化物被膜5は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、酸化物被膜5は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、基板2および金属被膜4との密着性をさらに向上させることができる。より具体的には、前記積層体の基板2と接触する側の層を基板2との密着性に優れる材料で構成し、前記積層体の金属被膜4と接触する側の層を金属被膜4との密着性に優れる材料で構成することにより、基板2および金属被膜4との密着性をさらに向上させることができる。また、酸化物被膜5が積層体である場合、例えば、実質的に金属酸化物を含まない材料で構成された層を有していてもよい。より具体的には、酸化物被膜5は、金属酸化物で構成された2つの層の間に、プラスチック材料等で構成された層が介挿された構成を有するものであってもよい。
時計用文字板1の厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。時計用文字板1の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
<時計用文字板の製造方法>
次に、上述した時計用文字板1の製造方法について説明する。
図10は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図10に示すように、本実施形態の時計用文字板の製造方法は、基板2を準備する基板準備工程(1a)と、基板2の第1の面21に、酸化物被膜5を形成する酸化物被膜形成工程(1b)と、酸化物被膜5の表面に光反射膜(金属被膜)4を形成する反射膜形成工程(1c)と、光反射膜4の表面に光吸収膜3を形成する光吸収膜形成工程(1d)と、光吸収膜3に開口部(第1の開口部)31を形成する第1の開口部形成工程(1e)と、光反射膜4に開口部(第2の開口部)41を形成する第2の開口部形成工程(1f)とを有している。
[基板準備工程]
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。
基板2としては、予め、第2の面22に凹凸221が設けられたものを用意してもよいし、表面形状が平坦な基板に対して、所定の処理を施すことにより、上記のような凹凸221を有する基板2としてもよい。例えば、第2の面22に対応する面に、凹凸221に対応する形状の凹凸を有する成形型を用いて、製造された基板2を用いてもよいし、切削バイトを用いた切削加工等により、凹凸221を形成した基板2を用いてもよい。
[酸化物被膜形成工程]
基板2の第1の面21に、主として金属酸化物で構成された酸化物被膜5を形成する(1b)。
上述したように、酸化物被膜5は、基板2および金属被膜4との密着性に優れるものである。このような酸化物被膜5を形成することにより、時計用文字板1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
酸化物被膜5の形成方法(成膜方法)は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。酸化物被膜5の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、基板2との密着性が特に優れた酸化物被膜5を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、電波時計等の時計用部品として用いる場合、特に優れた電波の透過性が求められるため、一般に、酸化物被膜5を前記のように比較的薄いものとするのが好ましいが、酸化物被膜5の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき酸化物被膜5がこのように比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性、美的外観を特に優れたものとすることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計等の時計用部品に、好適に適用することができる。また、光反射膜4を気相成膜により形成する場合、酸化物被膜5の形成方法として気相成膜法を適用することにより、時計用文字板1の製造において、製造過程における基板2を気相成膜装置から一旦取り出すことなく、本工程と光反射膜形成工程(金属被膜形成工程)とを、引き続いて行うことができる。このため、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。酸化物被膜5の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、上記のような気相成膜法を適用する場合、例えば、酸化物被膜5を構成する金属酸化物に対応する金属をターゲットとして用い、酸素ガスを含む雰囲気中で処理を行うことにより、酸化物被膜5を容易かつ確実に形成することができる。
また、酸化物被膜5の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された酸化物被膜5を好適に形成することができる。
[光反射膜形成工程(金属被膜形成工程)]
次に、酸化物被膜5の表面に、光反射膜(金属被膜)4を形成する(1c)。
光反射膜4の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。光反射膜4の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、酸化物被膜5との密着性が特に優れた光反射膜(金属被膜)4を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、電波時計等の時計用部品として用いる場合、特に優れた電波の透過性が求められるため、一般に、光反射膜(金属被膜)4を前記のように比較的薄いものとするのが好ましいが、光反射膜(金属被膜)4の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき光反射膜(金属被膜)4がこのように比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性、美的外観を特に優れたものとすることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計等の時計用部品に、好適に適用することができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。光反射膜4の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。また、光反射膜4の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成された光反射膜4を好適に形成することができる。
なお、上記のような気相成膜では、例えば、光反射膜(金属被膜)4を構成する金属をターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で処理を行うことにより、光反射膜(金属被膜)4を容易かつ確実に形成することができる。また、上述した酸化物被膜形成工程を気相成膜法により行う場合、例えば、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成を、酸素ガスを含むものから、不活性ガスに置換し、必要に応じて、ターゲットを変更することにより、同一装置内で、酸化物被膜形成工程と光反射膜形成工程(金属被膜形成工程)とを、(基板2を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基板2、酸化物被膜5、光反射膜(金属被膜)4の密着性が特に優れたものとなるとともに、時計用文字板1の生産性、信頼性も向上する。
[光吸収膜形成工程]
次に、光反射膜4の表面に、光吸収膜3を形成する(1d)。
光吸収膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられる。中でも、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装により、膜厚が比較的大きい光吸収膜3であっても、効率よく形成することができる。また、光吸収膜3の形成を上記のような方法で行う場合、例えば、光吸収膜3形成用の材料(光吸収膜形成用材料)として、溶媒、分散媒等の液性媒体等を含むものを用いてもよい。これにより、光吸収膜3の形成効率を更に向上させることができる。また、このような場合、塗膜の形成後に、必要に応じて、液性媒体の除去(脱溶媒、脱分散媒)の処理を行ってもよい。また、形成すべき光吸収膜3が、例えば、樹脂を含む材料で構成されるものである場合、光吸収膜3形成用の材料としては、前記樹脂に対応するモノマー、ダイマー、オリゴマー、プレポリマー等の前駆体(前駆物質)を用いてもよい。また、形成すべき光吸収膜3が熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含む材料で構成されるものである場合、例えば、必要に応じて、加熱、光(エネルギー線)の照射等の処理を施してもよい。
[第1の開口部形成工程]
次に、光吸収膜3に、開口部(第1の開口部)31を形成する(1e)。
開口部31の形成方法は、特に限定されず、例えば、サンドブラスト、ショットブラスト等のブラスト処理、プレス、タッピング、ラビング等の各種処理、ウェットエッチング、ドライエッチング等のエッチング処理、レーザー光の照射処理等の方法が挙げられる。中でも、レーザー光の照射処理により、開口部31の形成を行うのが好ましい。これにより、例えば、照射したレーザー光のエネルギーを光吸収膜3に吸収させ、光吸収膜3の一部を除去することにより、開口部31を効率よく形成することができる。また、レーザー光の照射パターンを制御することにより、複雑なパターンの開口部31であっても、容易かつ確実に形成することができる。また、開口部31の形成にレーザー光を用いることにより、例えば、開口部31の形状、大きさや配置パターンの異なる複数種の時計用文字板1を製造する場合であっても、レーザー照射パターンを変更することにより、好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも好適に対応することができる。また、本工程において開口部31が形成されるべき光吸収膜3の背面には、光反射膜4が設けられているため、照射したレーザー光のエネルギーを、より効率よく開口部31の形成に利用することができる。すなわち、光の入射側(図5中上側)から照射され、光吸収膜3に入射したレーザー光の一部が開口部31の形成に利用されなかったとしても、当該レーザー光は、光反射膜4によって反射し、再び、光吸収膜3に入射するため、光吸収膜3における開口不良(開口部が形成されるべき部位に開口部が存在しない等の不良)の発生を、より確実に防止することができる。また、金属被膜4を構成する金属材料は、一般に優れた熱伝導性を有しているため、レーザー光の照射部位以外が高温になるのを防止することができ、結果として、光吸収膜3のうちレーザー光が照射された部位を選択的に除去することができる。すなわち、光吸収膜3のうち、レーザー光が直接照射された部位は、レーザー光のエネルギーにより除去される一方で、レーザー光が直接照射されなかった部位においては、レーザー光の照射により発生した熱は、金属被膜4により効率よく抜熱・放熱される。その結果、光吸収膜3のうち、レーザー光が直接照射されなかった部位が高温になってしまうのを効果的に防止することができ、所望の形状、大きさの開口部31を、所望のパターンで、より確実に形成することができる。
本工程で照射するレーザー光の種類は、特に限定されないが、例えば、ルビーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー、フェムト秒レーザー、ガラスレーザー、YVOレーザー、Ne−Heレーザー、Arレーザー、COレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。また、各レーザーのSHG、THG、FHG等の波長を使ってもよい。
また、レーザー光の照射は、所定のパターンで光透過部(開口部)が形成されたマスクを介した状態で、行うものであってもよい。また、例えば、レーザー光源と基板2とを相対的に移動させつつ、レーザー光を間欠的に照射することにより行ってもよい。
[第2の開口部形成工程]
その後、光反射膜4に、開口部(第2の開口部)41を形成する(1f)。これにより、時計用文字板1が得られる。
開口部(第2の開口部)41の形成方法は、特に限定されず、例えば、サンドブラスト、ショットブラスト等のブラスト処理、プレス、タッピング、ラビング等の各種処理、ウェットエッチング、ドライエッチング等のエッチング処理、レーザー光の照射処理等の方法が挙げられるが、中でも、エッチング(特に、ウェットエッチング)が好ましい。これにより、例えば、より確実に、光反射膜4のうち、光吸収膜3の開口部(第1の開口部)31に対応する部位を選択的に除去することができ、所望の形状の開口部(第2の開口部)41を形成することができる。また、エッチング液の組成の選択により、光吸収膜3や酸化物被膜5、基板2に悪影響を及ぼすのを確実に防止しつつ、効率よく開口部41を形成することができる。また、例えば、エッチング量の調整により、第1の開口部31よりも大きい第2の開口部41を容易に形成することができる。特に、エッチング量の調整により、第1の開口部31との間で、上述したような関係を満足する第2の開口部41を容易かつ確実に形成することができる。
なお、上記のような酸化物被膜形成工程、光反射膜形成工程(金属被膜形成工程)、光吸収膜形成工程、第1の開口部形成工程、第2の開口部形成工程は、製造すべき時計用文字板1に対応する大きさ、形状の基板2に対して施すものであってもよいが、例えば、シート状の基板2に対して施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計として求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図11は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図11に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、第1の面21が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。すなわち、基板2とガラス板(カバーガラス)85との間に、光吸収膜3が配されており、光吸収膜3と基板2との間に、光反射膜4が配されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図3中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82には巻真パイプ86が嵌入・固定され、この巻真パイプ86内にはりゅうず87の軸部871が回転可能に挿入されている。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず87の軸部871の途中の外周には溝872が形成され、この溝872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)91が嵌合されている。ゴムパッキン91は巻真パイプ86の内周面に密着し、該内周面と溝872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず87と巻真パイプ86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず87を回転操作したとき、ゴムパッキン91は軸部871と共に回転し、巻真パイプ86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものであるため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる本発明を、より好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、時計用文字板の表面(光吸収膜が設けられた側の表面や、基板の凹凸が設けられた側の表面)には、少なくとも1層の層(コート層)が設けられていてもよい。このような層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、本発明の時計用文字板は、上述したような方法により製造されたものに限定されず、いかなる方法で製造されたものであってもよい。例えば、前述した実施形態では、開口部(第2の開口部)を有さない光反射膜、開口部(第1の開口部)を有さない光吸収膜を形成した後に、それぞれ、開口部を形成するもの、すなわち、成膜後に開口部を形成するものとして説明したが、開口部は、成膜時に形成されるものであってもよい。言い換えると、成膜後に、開口部を形成する工程を有していなくてもよい。これにより、工程数を削減することができる。このように、成膜とともに開口部を形成する方法としては、例えば、形成すべき第1の開口部の配置パターンに対して、反転したパターンで開口部が設けられたマスク(すなわち、第1の開口部に対応する部位には開口部が設けられておらず、それ以外の部位が開口部であるマスク)を基板(酸化物被膜が設けられたマスク)に密着させた状態で、成膜を行う方法が挙げられる。このような方法を採用する場合、マスクを磁性材料で構成されたものとし、基板のマスクと密着する面とは反対の面側に、磁石を配しておくことにより、マスクと基板とを、より確実に密着させることができる。また、光吸収膜についても、同様に、形成してもよい。また、一旦、光反射膜を、前述した実施形態のように、開口部を有さないものとして形成した後、上記のようなマスクを用いて、開口部を有する光吸収膜を形成(成膜)し、さらに、その後、前述した実施形態のように、光反射膜に開口部(第2の開口部)を形成してもよい。
また、前述した実施形態では、第1の開口部と第2の開口部とを異なる工程で形成するものとして説明したが、第1の開口部と第2の開口部とを単一の工程で形成してもよい。
また、前述した実施形態では、酸化物被膜5が、基板2の第1の面21の全面に設けられ、開口部を有していないものとして説明したが、酸化物被膜5は、開口部を有するものであってもよい。特に、酸化物被膜は、光吸収膜の開口部(第1の開口部)に対応する部位に、開口部を有するものであってもよい。
また、本発明の時計用文字板は、上述したような酸化物被膜を備えていないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、本発明の時計は、基板と光吸収膜と光反射膜とを有する時計用文字板を備えるものとして説明したが、本発明の時計は、上述したような基板(第2の面側に凹凸を有する基板)と、上述したような光吸収膜(第1の開口部を有する光吸収膜)と、上述したような光反射膜(第2の開口部を有する光反射膜)とを、別部材として備えるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、基板が有する凹凸は、第2の面の全体に設けられたものとして説明したが、凹凸は、第2の面の一部に設けられたものであってもよい。例えば、凹凸は、時計用文字板を平面視した際に、光吸収膜の開口部(第1の開口部)に重なり合う部位を含む領域に、選択的に設けられたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネートを用いて、圧縮成形により、腕時計用文字板の形状を有する基板を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:500μmであった。また、得られた基板は、第2の面の全体にわたって、規則的に、同心円状に設けられた凸条および溝からなる凹凸のパターンを有するものであった(図2参照)。凹凸のピッチは25μmであった。また、凹凸の高低差(凸条の頂部と溝の底部との高低差)は12.5μmであった。凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度(図1中のθ)は、90°であった。
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
このようにして洗浄を行った基板の第1の面に、TiOで構成される酸化物被膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(酸化物被膜形成工程)。
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。次に、アルゴン流量:40ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:6.0分間という条件で放電を行うことにより、TiOで構成される酸化物被膜を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された酸化物被膜の平均厚さは、0.02μmであった。
引き続き、上記のようにして形成された酸化物被膜の表面に、Agで構成された光反射膜としての金属被膜を、スパッタリングにより形成した(光反射膜形成工程(金属被膜形成工程))。
金属被膜の形成は、酸化物被膜で被覆された基板をスパッタリング装置内から取り出すことなく、前記工程に引き続いて行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1400W、処理時間:2.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成されるAgで構成された金属被膜を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された金属被膜(光反射膜)の平均厚さは、0.20μmであった。
次に、酸化物被膜と金属被膜とが設けられた基板をスパッタリング装置内から取り出し、洗浄した。洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
次に、上記のようにして形成された金属被膜の表面に、カーボンブラックを含む材料で構成される光吸収膜を形成した(光吸収膜形成工程)。光吸収膜の形成は、カーボンブラックと、アクリル系樹脂と、メチルエチルケトンとを含む組成物(光吸収膜形成用材料)を、刷毛塗りにより金属被膜の表面に付与し、その後、常圧下、60℃に加熱することによりメチルエチルケトンを揮発させることにより行った。このようにして形成された光吸収膜の平均厚さは、10μmであった。
次に、金属被膜上に設けられた光吸収膜に対し、光吸収膜の外表面側(金属被膜に対向する面とは反対側の面側)から、YVOレーザーを照射した(第1の開口部形成工程)。また、この際、レーザー光源と基板とを相対的に移動させつつ、レーザー光を間欠的に照射した。また、レーザー光の照射は、電流値:25[A]、周波数:35kHz、加工速度:1500[mm/s]という条件で行った。これにより、図1、図7に示すように、光吸収膜を貫通する円形状の開口部が千鳥格子状に多数個形成された。形成された開口部の幅(直径)Wは52μm、開口部のピッチPは90μmであった。また、基板を平面視した際に、光吸収膜において開口部(第1の開口部)が占める面積率として開口率(第1の開口率)は30%であった。
次に、ウェットエッチングにより、金属被膜に開口部(第2の開口部)を形成した(第2の開口部形成工程)。これにより、図1、図7に示すような時計用文字板が得られた。ウェットエッチングは、エッチング液として45wt%硝酸水溶液を用いて行った。また、本工程におけるエッチング液の温度、エッチング時間は、それぞれ25℃、5分間であった。形成された開口部の幅(直径)W’は57μm、開口部のピッチP’は90μmであった。また、基板を平面視した際に、光反射膜において開口部(第2の開口部)が占める面積率として開口率(第2の開口率)は36%であった。
なお、基板、酸化物被膜、金属被膜(光反射膜)および光吸収膜の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜9)
基板の構成材料、基板が有する凹凸の条件を表1に示すようにするとともに、酸化物被膜、金属被膜、光吸収膜が表1に示したような構成となるように各工程の処理条件を調整(各工程で使用する材料の変更を含む)した以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例1)
光反射膜形成工程、および、第2の開口部形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例2)
第1の開口部形成工程を省略した以外は、前記比較例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例3)
本比較例では、光吸収膜を有していない以外は、前記実施例1と同様の構成を有する時計用文字板を製造した。時計用文字板の製造は、以下のようにして行った。
まず、前記実施例1と同様にして、ポリカーボネートで構成された基板上に、酸化物被膜および金属被膜を形成し、その後、酸化物被膜と金属被膜とで被覆された基板を洗浄した。
次に、スピンコーターを用いて、金属被膜の表面に、アクリル系樹脂とメチルエチルケトンとを含む組成物(マスク形成用材料)を付与した。その後、60℃に加熱することによりメチルエチルケトンを除去した。
その後、形成されたアクリル系樹脂製の被膜に対し、前記実施例1で、光吸収膜に対して行ったのと同様の条件でレーザー光の照射を行った。これにより、多数個の円形状の開口部が千鳥格子状に配列したマスクが得られた。形成された開口部の幅(直径)は52μm、開口部のピッチは90μmであった。また、基板を平面視した際に、マスクにおいて開口部占める面積率として開口率は30%であった。
次に、ウェットエッチングにより、金属被膜に開口部を形成した。ウェットエッチングは、エッチング液として45wt%硝酸水溶液を用いて行った。また、本工程におけるエッチング液の温度、エッチング時間は、それぞれ25℃、5分間であった。
その後、メチルエチルケトンを用いて、アクリル系樹脂で構成されたマスクを除去し、時計用文字板を得た。
(比較例4)
第2の開口部形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例5)
基板として、第2の面が平滑であり、微小な凹凸を有さないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。なお、基板の第2の面の表面粗さRaは、0.1μmであった。
(比較例6)
洗浄を行った基板の表面に、酸化物被膜を形成することなく、直接、金属被膜を形成した以外は、前記比較例5と同様にして腕時計用文字板を製造した。
なお、上記の各実施例および各比較例の時計用文字板の製造に用いた基板は、いずれも、第1の面の表面粗さRaが、0.07〜0.15μmの範囲内の値であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた基板は、JIS Z 8902で規定されるキセノン白色光を光源として用いた場合についての光(可視光)の透過率が、いずれも、60%以上であった。また、上記の各実施例および各比較例の時計用文字板を構成する光吸収膜は、いずれも、開口部以外(実部)での光の吸収率が95%以上であり、開口部以外(実部)での光の透過率が1%未満であった。
各実施例および各比較例の時計用文字板の構成を表1にまとめて示す。なお、表中、ポリカーボネートをPCで示し、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、ポリエチレンテレフタレートをPET、アクリル系樹脂をPMMA、カーボンブラックをCB、コバルトバイオレット(C.I.Violet 14)をCVで示した。なお、表1中、「凹凸の配置パターン」の欄には、図2に示すように、多数の凸条、溝が同心円状に配置されたパターンを「a」で示し、図3に示すように、凸条、溝が渦巻状に配置されたパターンを「b」で示し、図4に示すように、一次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターンを「c」で示した。また、表1中、「開口部の形状、配置パターン」の欄には、図7に示すような形状、配置パターンを「A」で示し、図8に示すような形状、配置パターンを「B」で示し、図9に示すような形状、配置パターンを「C」で示した。ただし、開口率は、図7〜図9に示すものと異なるものであってもよい。また、金属被膜を複数の層からなる積層体として形成した場合については、基板側(酸化物被膜側)から順に、各層の条件を示した。また、時計用文字板の各部位は、いずれも、表1に示す成分を主成分として構成されたものであり、それ以外の成分の含有率が1wt%未満であった。
Figure 2009079941
2.腕時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、基板の第1の面側(光吸収膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:高級感があり、きわめて優良な外観を呈している。
B:高級感があり、優良な外観を呈している。
C:高級感があり、良好な外観を呈している。
D:高級感に劣る。または、美的外観がやや不良である。
E:美的外観が不良である。
F:美的外観がきわめて不良である。
3.腕時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した光源からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した光源からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の6段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、基板の第1の面(光吸収膜が設けられた側の面)が光源側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、光源としては、JIS Z 8902で規定されるキセノン白色光を用いた。
A:29%以上。
B:23%以上29%未満。
C:18%以上23%未満。
D:12%以上18%未満。
E:5%以上12%未満。
F:5%未満。
その後、前記各実施例および各比較例で製造した時計用文字板を用いて、図11に示すような腕時計を製造した。このとき、時計用文字板は、基板の第1の面(光吸収膜が設けられた側の面)がガラス板側を向くようにした。そして、製造された各腕時計を暗室にいれた。その後、時計の時計用文字板側の面(ガラス板側の面)から、所定距離離間した光源からの光を入射させた。この際、光の照射強度が次第に大きくなるように照射強度を一定の速度で変化させた。その結果、本発明の時計では、比較的照射強度が小さい場合でもムーブメントが駆動した。これに対し、比較例1の時計では、比較的照射強度が大きい場合でもムーブメントの駆動が確認されなかった。
4.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、腕時計用文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。このとき、時計用文字板は、基板の第1の面(光吸収膜が設けられた側の面)が外表面側を向くようにした。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
5.被膜(酸化物被膜、光反射膜、光吸収膜)の密着性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下に示すような2種の試験を行い、被膜(酸化物被膜、光反射膜、光吸収膜)の密着性を評価した。
5−1.折り曲げ試験
各腕時計用文字板について、直径4.5mmの鉄製の棒材を支点とし、腕時計用文字板の中心を基準に15°の折り曲げを行った後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。折り曲げは、圧縮/引っ張りの両方向について行った。
A:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
5−2.熱サイクル試験
各腕時計用文字板を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、腕時計用文字板を、15℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、15℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を15℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2009079941
表2から明らかなように、本発明の時計用文字板は、いずれも優れた美的外観(特に、高級感のある外観)を有するとともに、光の透過性に優れていた。また、本発明の時計用文字板は、被膜(酸化物被膜、光反射膜、光吸収膜)の密着性にも優れており、優れた耐久性を有していた。また、本発明の時計用文字板は、電波の透過性にも優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、光反射膜を有していない比較例1の時計用文字板では、時計用文字板全体としての光の透過率が低いものであった。また、光反射膜を有するものの、光吸収膜を有していない比較例3の時計用文字板では、十分に高級感のある外観を呈していなかった。また、光吸収膜を備えているものの、光吸収膜に開口部が設けられていない比較例2の時計用文字板では、光の透過性が非常に悪いものであった。また、光吸収膜および光反射膜を有するものの、光反射膜に開口部が設けられていない比較例4の時計用文字板では、光の透過性が非常に悪く、また、開口部(第1の開口部)の存在が目立ってしまい、美的外観にも劣っていた。
また、基板として、第2の面に凹凸を有していないものを用いた比較例5では、開口部(第1の開口部、第2の開口部)の存在が目立ってしまい、満足のいく美的外観が得られなかった。また、比較例6では、美的外観に劣るとともに、被膜(光反射膜)の密着性も劣っていた。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図11に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図である。 光吸収膜が有する開口部の形状(パターン)の一例を説明するための模式的な平面図である。 光吸収膜が有する開口部の形状(パターン)の他の一例を説明するための模式的な平面図である。 本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
1…時計用文字板 2…基板(基材) 21…第1の面 22…第2の面 221…凹凸 3…光吸収膜 31…開口部(第1の開口部) 4…光反射膜(金属被膜) 41…開口部(第2の開口部) 5…酸化物被膜 94…太陽電池 81…ムーブメント 82…胴(ケース) 83…裏蓋 84…ベゼル(縁) 85…ガラス板(カバーガラス) 86…巻真パイプ 87…りゅうず 871…軸部 872…溝 88…プラスチックパッキン 89…プラスチックパッキン 91…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 92…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 93…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計)

Claims (11)

  1. 光透過性を有する材料で構成された基板と、
    前記基板の一方の主面である第1の面側に設けられ、入射した光の少なくとも一部を吸収する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第1の開口部を有する光吸収膜と、
    前記光吸収膜と前記基板との間に設けられ、光を反射する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第2の開口部を有する光反射膜とを備え、
    前記基板は、前記第1の面とは反対側の主面である第2の面に、前記第1の面側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであり、
    時計用文字板を平面視した際に、前記第1の開口部が、前記第2の開口部に重なるように設けられていることを特徴とする時計用文字板。
  2. 前記基板を平面視した際の、前記光吸収膜において前記第1の開口部が設けられた面積率としての第1の開口率が、前記光反射膜において前記第2の開口部が設けられた面積率としての第2の開口率よりも小さい請求項1に記載の時計用文字板。
  3. 前記光反射膜は、AgおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものである請求項1または2に記載の時計用文字板。
  4. 前記光吸収膜についての、前記第1の開口部が設けられていない部位での光の透過率が2%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の時計用文字板。
  5. 前記光吸収膜についての、前記第1の開口部が設けられていない部位における、JIS Z 8902で規定されるキセノン白色光を光源として用いた場合の光の吸収率が80%以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
  6. 前記光吸収膜は、黒色を呈するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板。
  7. 前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが8〜160μmである請求項1ないし6のいずれかに記載の時計用文字板。
  8. 前記凹凸の高低差は、3〜90μmである請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板。
  9. 時計用文字板を平面視した際に、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが重なり合う領域の占める面積の割合は、15〜50%である請求項1ないし8のいずれかに記載の時計用文字板。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
  11. 太陽電池と、前記太陽電池よりも外表面側に配置されたカバーガラスとを備えた時計であって、
    前記太陽電池と前記カバーガラスとの間に、光透過性を有する材料で構成された基板が配されており、
    前記基板と前記カバーガラスとの間に、入射した光の少なくとも一部を吸収する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第1の開口部を有する光吸収膜が配されており、
    前記光吸収膜と前記基板との間に、光を反射する機能を有するとともに、所定のパターンで設けられた第2の開口部を有する光反射膜が配されており、
    前記基板は、前記光反射膜に対向する主面である第1の面とは反対側の主面に、前記第1の面側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであり、
    前記時計用文字板を平面視した際に、前記第1の開口部が、前記第2の開口部に重なるように設けられていることを特徴とする時計。
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