JP2009083546A - 電気サスペンションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】伸縮力発生部とばね下振動抑制部とが直列に設けられた接近離間力発生装置において、受動的伸縮部の伸縮量を推定し得る電気サスペンションシステムを得る。
【解決手段】ばね上部とばね下部とを固定し、伸縮力発生源(Act)と質量・ばね・ダンパシステムとを組合せたモデルを考える。この場合、制御伸縮力fによって伸縮慣性部290が変位させられると、その変位量がばね下振動抑制部42の伸縮量になる。このモデルにおいて推定されたばね下振動抑制部42の伸縮量を用いれば、通常のばね上部とばね下部とが変位するモデルにおいて、伸縮力発生部40の伸縮量と接近離間力発生装置20の伸縮量との一方を検出することによって他方を取得することができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両用電気サスペンションシステムに関するものであり、特に、電気作動機械によって車体と車輪とが接近離間する方向の力を発生させる接近離間力発生装置を含む電気サスペンションシステムに関するものである。
接近離間力発生装置は、車輪と車体との間に設けられており、滑らかに伸縮可能にされている。そして、電動機,発電機等の電気作動機械を備え、接近離間力を発生させるものとされる。そのため、接近離間力発生装置を含む車両用電気サスペンションシステムは、電気作動機械を制御することによって、例えば、車両の乗り心地を向上させたり、姿勢を制御したりすることができる。下記特許文献1には、接近離間力発生装置を含む車両用電気サスペンションシステムの一例が記載されている。この接近離間力発生装置は、運動変換装置としてのボールねじ装置を備え、電気作動機械によってねじロッドに回転トルクを付与することで、ベアリングボールを介して螺合させられたナットを直線方向に移動させる力を発生させる構造とされている。
特開2006−168400号公報
上記特許文献1に記載の車両用電気サスペンションシステムにおいて、ばね下加速度からばね上速度やばね上加速度を推定する技術が記載されている。しかしながら、接近離間力発生装置に、電気作動機械および運動変換装置を含む伸縮部分と、それとは別に受動的に伸縮する部分とが直列に設けられている場合について言及されていない。例えば、スプリングやショックアブソーバ等を含む受動的に伸縮する部分が、電気作動機械等を含む伸縮部分と直列に設けられている場合等である。また、ばね上部とばね下部との相対変位の取得についても言及されていない。
このように、従来の電気サスペンションシステムには、例えば、電気作動機械等を含む伸縮部分の長さの変化から、それと直列に連結された伸縮要素を含む接近離間力発生装置の伸縮量を取得する等、実用性向上の観点から未だ改良の余地がある。本発明は、そういった実情に鑑みて、より実用的な電気サスペンションシステムを得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明の電気サスペンションシステムは、電気作動機械の出力によって伸縮力を発生させる伸縮力発生部と、その伸縮力発生部と直列に連結され、伸縮反力を生じさせつつ受動的に伸縮する受動的伸縮部とを含む接近離間力発生装置と、伸縮力発生部が発生させる伸縮力と伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量とに基づいて接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を取得することと、伸縮力と接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量とに基づいて伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量を取得することとの少なくとも一方を行う伸縮随伴変動量代替取得装置とを含むことを特徴とする。
本発明の電気サスペンションシステムによれば、例えば、第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との一方を取得すれば、他方も取得することができる。また、当該サスペンションシステムが、第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との両方を取得可能なものとされている場合でも、それらの一方の取得が不能になった場合に、他方から一方の値を取得することができる。すなわち、本発明によれば、より実用的なサスペンションシステムが得られるのである。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来の技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から一部の構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項が請求項5に、(12)項が請求項6に、それぞれ相当する。
(1)車体と車輪との間に伸縮可能に設けられ、それらが接近離間する方向の力である接近離間力を発生させる接近離間力発生装置を含むサスペンションシステムであって、
その接近離間力発生装置が、
自身が有する電気作動機械の出力によって伸縮方向の力である伸縮力を発生させる伸縮力発生部と、
その伸縮力発生部と直列に連結され、前記伸縮力に対する伸縮反力を生じさせつつ受動的に伸縮する受動的伸縮部と
を含み、かつ、
当該サスペンションシステムが、
前記伸縮力発生部が発生させる伸縮力と、前記伸縮力発生部の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第1伸縮随伴変動量とに基づいて、前記接近離間力発生装置の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第2伸縮随伴変動量を取得することと、
前記伸縮力と前記第2伸縮随伴変動量とに基づいて前記第1伸縮随伴変動量を取得することと
の少なくとも一方を行う伸縮随伴変動量代替取得装置を含むことを特徴とする電気サスペンションシステム。
本項の接近離間力発生装置は、車体と車輪との間に配設され、車体と車輪とを接近離間させる方向の力である接近離間力を発生させる。この接近離間力を適切な大きさに制御することによって、例えば、車両の乗り心地を良好にすること、車体の姿勢を制御すること、車高を変化させること等ができる。なお、接近離間力は、接近離間方向力と称することもできる。なお、車体に相当する部分および車体とともに上下動する部分を「ばね上部」と称し、車輪の一部や車輪を保持する車輪保持部等を含み、車輪軸とともに上下動する部分を「ばね下部」と称する。
また、接近離間力発生装置は、伸縮力発生部と受動的伸縮部とを含む。伸縮力発生部は、伸縮可能であり、また、制御により電気作動機械が発生させる伸縮力を変化させることが可能である。この伸縮力は、伸縮の向きと同じ向きの力と、逆向きの力との少なくとも一方を含む。この伸縮力により、例えば、ばね上部の振動を減衰させることができる。しかしながら、伸縮力発生部は、例えば、電気作動機械や運動変換装置等を含んでおり、それらの慣性等が妨げとなり、伸縮力を反転させる等、素速く伸縮力を変化させることが困難である場合が多く、例えば、ばね下部の固有振動数程度の振動を減衰させることが困難である場合が多い。
一方、受動的伸縮部は、受動的に適度な抵抗力あるいは反発力を発生させつつ伸縮させられるものであり、例えば、液圧式ダンパや、ゴム製のダンパ等を含むものとすることができる。その場合、受動的伸縮部はばね下部の固有振動数以上の振動数でも伸縮できるようにされ、その伸縮に抗する力によって、例えば、ばね下部の振動を減衰させるものとされることが望ましい。また、受動的伸縮部は、ダンパと共に、あるいはダンパに代えて、スプリングを含むものとすることができる。その受動的伸縮部が、例えば、伸縮力発生部と車輪との間に設けられている場合には、それらの間で伸縮させられる。すなわち、伸縮力発生部の伸縮力に応じて伸長あるいは短縮させられてその伸縮力をばね下部に伝えるのである。
本項の第1伸縮随伴変動量は、その値に基づいて伸縮力発生部の伸縮方向の長さの変化量である第1伸縮量を取得できるものであればよく、例えば、伸縮力発生部の伸縮量そのものや、電気作動機械の作動量とすることができる。また、第2伸縮随伴変動量も同様に、その値に基づいて接近離間力発生装置の伸縮方向の長さの変化量である第2伸縮量を取得できるものであればよく、例えば、接近離間力発生装置の伸縮量そのものや、車体と車輪との相対変位量とすることができる。
本項のサスペンションシステムは、伸縮力と第1伸縮随伴変動量とに基づいて受動的伸縮部の伸縮量を考慮しつつ第2伸縮随伴変動量を推定により取得することと、伸縮力と第2伸縮随伴変動量とに基づいて受動的伸縮部の伸縮量を考慮しつつ第1伸縮随伴変動量を推定により取得することとの少なくとも一方を行うことができる。そのため、例えば、第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との一方を取得すれば、他方も取得することができる。また、当該サスペンションシステムが、第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との両方を取得可能なものとされている場合でも、それらの一方の取得が不能になった場合に、他方から一方の値を取得することができる。すなわち、本項のサスペンションシステムは、より実用的なサスペンションシステムとされているのである。
なお、接近離間力発生装置が振動的に伸縮する場合に、伸縮力発生部が追随して伸縮することが困難な大きな振動数の振動成分が含まれている場合がある。そのような場合に、伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量、あるいは接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を推定によって取得する際、その大きな振動数の振動成分に起因する接近離間力発生装置の伸縮量の変化を反映させることは困難である。しかしながら、振動数が大きいほど振動成分の振幅が小さくなる傾向があるため、その影響は比較的小さい。
また、伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量に基づいて取得された接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量には、伸縮力発生部が追随して伸縮することが困難な大きな振動数の振動成分に起因する伸縮が反映されておらず、ローパスフィルタ等によって大きな振動数の振動成分が除去されたものと同様であると考えることができる。一方、接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量に基づいて伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量を取得する場合、接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を取得する際にローパスフィルタ等によって伸縮力発生部が追随して伸縮することが困難な大きな振動数の振動成分を除去することが望ましい。
本項の電気作動機械は、例えば、直流または交流の電動モータとしたり、発電機としたり、電動モータと発電機との両方として機能するものとしたりすることができる。また、回転子を有するものとすることや、直動子を有するものとすることができる。また、本項の電気サスペンションシステムを、接近離間力発生装置と並列に設けられたスプリングを含むものとすることができる。その場合には、スプリングによって車輪と車体とを離間させる向きの力を発生させ、車体を支えることができる。また、本項の電気サスペンションシステムを、電気作動機械を制御する制御装置を含むものとすることができる。
さらに付言すれば、本項のサスペンションシステムを、伸縮随伴変動量代替取得装置に代えて、(a)伸縮力発生部が発生させる伸縮力と、伸縮力発生部の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第1伸縮随伴変動量とに基づいて、接近離間力発生装置の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第2伸縮随伴変動量を推定することと、(b)伸縮力と第2伸縮随伴変動量とに基づいて第1伸縮随伴変動量を推定することと、(c)伸縮力に基づいて受動的伸縮部の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第3伸縮随伴変動量を推定することとの少なくとも1つを行う伸縮随伴変動量推定装置を含むものとすることができる。
(2)前記接近離間力発生装置が、前記伸縮力発生部と前記受動的伸縮部とが連結されて前記伸縮力発生部の伸縮力が前記受動的伸縮部に伝達される部分である伸縮力伝達部を含み、
前記伸縮随伴変動量代替取得装置が、前記伸縮力発生部が発生させる伸縮力と前記受動的伸縮部がそれの伸縮状態に応じて発生させる伸縮反力との関係に基づき、前記伸縮力伝達部の変位量を推定する伝達部変位量推定部を含み、その伝達部変位量推定部によって推定された前記伸縮力伝達部の変位量と、前記第1伸縮随伴変動量と前記第2伸縮随伴変動量との一方とに基づいてそれらの他方を取得するものである(1)項に記載の電気サスペンションシステム。
詳細は後述するが、伸縮力等に基づいて取得された伸縮力伝達部の変位量と、第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との一方から他方を取得しうる。
受動的伸縮部は、例えば、慣性、弾性,粘性抵抗等に基づく伸縮反力を発生させる。その伸縮反力は、例えば、受動的伸縮部の伸縮速度や伸縮量等の伸縮状態に応じて変化する。そして、伸縮力伝達部を介して伝達される伸縮力と伸縮反力とは常に釣り合うが、伸縮力と伸縮反力との少なくとも一方に含まれる速度や加速度に基づく力(流体抵抗力や慣性力等)がゼロの場合に受動的伸縮部は伸縮せず、速度や加速度に基づく力がゼロではない場合には、それら速度や加速度の方向に応じた方向に伸縮する。
なお、伸縮力発生部は伸縮力を発生させるものではあるが、伸縮に伴い慣性等に基づいて伸縮力とは逆向きの力も発生させる。この場合、伸縮力発生部が発生させた伸縮力が逆向きの力によって弱められた後、受動的伸縮部に伝達されると考えることができる。伸縮力発生部が発生させる伸縮力は、逆向きの力によって弱められる前のものであり、受動的伸縮部に伝達される伸縮力より逆向きの力分だけ大きいと考えるのである。それとは別の考え方として、伸縮力発生部が発生させる伸縮力が、伸縮力伝達部を介して受動的伸縮部に入力される力と等しい、つまり、受動的伸縮部に入力された力そのものが伸縮力発生部が発生させた伸縮力であると考えることもできる。伸縮力が伸縮力発生部自身が発生させる逆向きの力によって弱められると考える前者の場合、伸縮力発生部が発生させる伸縮力とそれとは逆向きの力とを区別することができ、後の実施例で示す振動モデルと対応付けて理解することが容易となる。一方、伸縮力伝達部を介して受動的伸縮部に実際に伝達された力が伸縮力発生部が発生させた伸縮力であると考える後者の場合、伸縮力発生部が発生させる伸縮力と受動的伸縮部の伸縮反力とが等しくなり、実際の接近離間力発生装置と対応付けて理解することが容易となる。
伸縮力発生部の伸縮力の大きさは、制御指令値や,電気作動機械の消費電力あるいは発電量に基づいて取得することができる。また、接近離間力発生装置に荷重センサを設けること等によっても伸縮力の大きさを取得しうる。
なお、伸縮力伝達部の固有振動数は、例えば、伸縮力発生部が伸縮する際の慣性質量と、受動的伸縮部のばね定数とによって定めることができるが、伸縮力伝達部の固有振動数をばね下部の固有振動数とずらすことによって、ばね下部の振動の影響を受けにくくすることができる。例えば、伸縮力伝達部の固有振動数を、ばね下部の固有振動数の2倍以上あるいは半分以下にすることが望ましい。なお、路面からの入力は、振幅が大きいほど振動数が小さい傾向にあることを考慮すると、伸縮力伝達部の固有振動数を、ばね下部の固有振動数の2倍以上,3倍以上と大きくすることが望ましい。
(3)前記伝達部変位量推定部が、車輪の軸線と共に上下動する構成要素の集合であるばね下部が変位しないものと仮定して、ばね下部に対する前記伸縮力伝達部の変位量を推定するばね下固定変位量推定部を含む(2)項に記載の電気サスペンションシステム。
ばね下部が変位しない場合、伸縮力伝達部の変位量は受動的伸縮部の伸縮量と同じになるため、受動的伸縮部の伸縮量の取得が容易であり、第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との一方から他方を容易に取得しうる。そこで、ばね下部の変位に起因する受動的伸縮部の伸縮量の変化が小さい場合、つまり、サスペンションシステムを制御するための伸縮力の受動的伸縮部の伸縮量に対する影響が大きい場合は、本項のばね下固定変位量推定部の推定変位量に基づいて第1伸縮随伴変動量と第2伸縮随伴変動量との一方から他方を取得することが簡便である。
(4)前記伸縮量代替取得装置が、車体と共に上下動する構成要素の集合であるばね上部が変位しないものと仮定して、前記伸縮力発生部の伸縮方向の長さの変化量である第1伸縮量と、前記ばね下固定変位量推定部によって取得された推定変位量との差が、前記ばね下部の変位に起因するものであることに基づいて前記接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を取得するばね下変位依拠第2伸縮随伴変動量取得部を含む(3)項に記載の電気サスペンションシステム。
本項の態様は、ばね下部が変位しなければ、第1伸縮量とばね下固定変位量推定部の推定伸縮量とが等しくなるとの仮定の下、それらの差がばね下部の変位の影響であるものとして第2伸縮随伴変動量を取得するものである。すなわち、本項の態様によれば、ばね下部の変位を考慮して第2伸縮随伴変動量を取得することができるのである。
(5)前記伝達部変位量推定部が、前記伸縮力伝達部の変位に対する前記伸縮力の影響と前記ばね下部の変位の影響とに基づいて、車体と共に上下動する構成要素の集合であるばね上部に対する前記伸縮力伝達部の変位量を推定する対ばね上変位量推定部を含む(2)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
本項の態様によれば、ばね下部の変位を考慮して伸縮力伝達部の変位量を推定することができる。また、ばね上部に対する伸縮力伝達部の変位量は、第1伸縮量と等しいので、本項の態様によって第1伸縮量を取得することができる。なお、前記伸縮力伝達部の変位に対する前記伸縮力の影響を、例えば、ばね下固定変位量推定部によって取得された推定変位量に基づいて取得することができる。
(6)前記受動的伸縮部が、伸縮速度に応じて伸縮に抗する力を発生させる減衰力発生部と、弾性変形量に応じた弾性力を発生させる弾性力発生部との少なくとも一方を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
減衰力発生部は、例えば、液圧式のショックアブソーバを含むものとすることができ、振動を減衰させるのに好適である。一方、弾性力発生部は、コイルスプリングや板ばね等のばね部材や、空気等のガスを用いたガススプリング等を含むものとすることができる。
(7)前記受動的伸縮部が、前記減衰力発生部と前記弾性力発生部とを含み、それら減衰力発生部と弾性力発生部とが並列に設けられた(6)項に記載の電気サスペンションシステム。
減衰力発生部と弾性力発生部とを並列に設けることにより、例えば、効果的にばね下部の振動を抑制し得る。なお、本項が上記(2)項に従属する場合は、減衰力と弾性力とが伸縮反力に含まれる。
(8)当該サスペンションシステムが、前記伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量を検出する第1伸縮随伴変動量検出装置を含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
第1伸縮随伴変動量検出装置は、例えば、伸縮力発生部の伸縮に応じて出力値を変化させるものや、伸縮力発生部の伸縮に伴いパルス信号を出力するものとすることができる。具体例としては、直動式あるいは回転式のポテンショメータや、エンコーダ等を含むものとすることができる。
また、第1伸縮随伴変動量検出装置は、直接的または間接的に伸縮力発生部の第1伸縮量を検出し得るものとすることができる。例えば、後の態様のように、伸縮力発生部の第1伸縮量を電気作動機械の作動量に基づいて取得することができる場合は、第1伸縮量検出装置を、電気作動機械の作動量を検出するものとすることができる。なお、第1伸縮量検出装置の検出値に基づいて電気作動機械を制御することは必須ではないが、例えば、第1伸縮量検出装置によって電気作動機械の作動量が検出される場合、あるいは、第1伸縮量検出装置の検出値に基づいて電気作動機械の作動量を取得できる場合は、第1伸縮量検出装置の検出値に基づいて電気作動機械を制御することができる。
(9)前記第1伸縮随伴変動量検出装置が、前記電気作動機械の作動量を前記第1伸縮随伴変動量として取得するものである(8)項に記載の電気サスペンションシステム。
本項の態様において、電気作動機械の作動量に応じて伸縮力発生部の第1伸縮量が変化するため、作動量を第1伸縮随伴変動量とすることができる。
例えば、電気作動機械が、リニアモータ等の直動子を含むものである場合は、直動子の移動量を電気作動機械の作動量とすることができる。また、例えば、電気作動機械が、回転子を含み、伸縮力発生部が、伸縮方向において電気作動機械と相対直線運動可能にされた相対運動体と、回転子の回転運動を電気作動機械と相対運動体の直線運動に変換する運動変換装置とを含む場合は、回転子の回転量を作動量とすることができる。
(10)当該サスペンションシステムが、前記接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を検出する第2伸縮随伴変動量検出装置を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
第2伸縮随伴変動量検出装置は、検出する対象が異なるものの、第1伸縮随伴変動量検出装置と同様の構成とすることができる。
(11)前記第2伸縮随伴変動量検出装置が、車体と車輪との接近離間方向における相対変位を検出する相対変位センサを含み、その相対変位センサの検出値に基づいて取得された車体と車輪との相対変位量を前記第2伸縮随伴変動量として取得するものである(10)項に記載の電気サスペンションシステム。
例えば、車両にストロークセンサや車高センサ等が設けられている場合には、それらを本項の相対変位センサとして機能させることができるため、本項の態様は、接近離間力発生装置の伸縮量と、車体と車輪との相対変位量とが等しい、あるいは比例関係にあるとみなせる場合に特に有効である。
(12)当該サスペンションシステムが、前記伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量を検出する第1伸縮随伴変動量検出装置と、前記接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を検出する第2伸縮随伴変動量検出装置とを含み、
前記伸縮随伴変動量代替取得装置が、前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との一方が異常である場合に、それらの他方の検出値に基づき、それらの一方の検出値に基づいて取得される値を取得する異常時・代替取得部を含む(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
本項の態様によれば、第1伸縮随伴変動量検出装置と第2伸縮随伴変動量検出装置との一方が異常である場合に、例えば、他方の検出値に基づいて一方が検出すべき変動量を取得することができ、サスペンションシステムのフェールセーフ性を向上させることができる。なお、検出装置の異常は、後述のように異常検知装置によって検知されるものとすることや、異常時・代替取得部が検知するものとすることもできる。なお、第1伸縮随伴変動量検出装置の検出値に基づいて電気作動機械が制御される場合において、第1伸縮随伴変動量検出装置が異常である場合に、第2伸縮随伴変動量検出装置の検出値に基づいて電気作動機械を制御することが可能である。
(13)当該サスペンションシステムが、前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との少なくとも一方の異常を検知する異常検知装置を含み、
前記異常時・代替取得部が、その異常検知装置によって前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との一方の異常が検知された場合に、それらの他方の検出値に基づき、それらの一方の検出値に基づいて取得される値を取得するものである(12)項に記載の電気サスペンションシステム。
検出装置の異常は、後述する態様の他、例えば、断線等によって信号出力が途絶えたことや、検出値あるいはそれの変動が想定される範囲から逸脱していること等に基づいて検知することができる。
(14)前記異常検知装置が、走行時において、前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との少なくとも一方の検出値が変化しない状態が設定時間以上継続した場合に、前記少なくとも一方が異常であると判定する検出値無変化依拠判定部を含む(13)項に記載の電気サスペンションシステム。
走行時に検出値が変化しない状態が継続することは稀であり、検出装置が異常である可能性が高い。なお、第1伸縮随伴変動量検出装置の検出値が変化しない状態において、伸縮力発生部が伸縮不能になっている可能性がある場合には、例えば、後述する(16)項の態様や、実施例に記載の方法によって伸縮力発生部が正常であるかを判定することが望ましい。伸縮力発生部が伸縮不能になっている場合には、第1伸縮随伴変動量検出装置が正常であってもその検出値は変化しないからである。
(15)当該サスペンションシステムが、前記接近離間力発生装置を複数含み、
前記異常検知装置が、前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との少なくとも一方について、前記複数の接近離間力発生装置の各々に対応する検出値の変動状態を示す変動指標値を取得するとともに、前記複数の接近離間力発生装置のうちの1つのものである特定接近離間力発生装置の前記変動指標値と他のものの変動指標値との差が設定範囲外である場合に、前記特定接近離間力発生装置に対応する前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との少なくとも一方が異常であると判定する変動指標値依拠判定部を含む(13)項または(14)項に記載の電気サスペンションシステム。
車両の前後方向において隣り合う車輪は、概ね路面の同じ部分を通過しており、また、左右方向において隣り合う車輪も、多くの場合、同程度の粗さの路面を通過している。したがって、ある程度の時間間隔でみれば、複数の接近離間力発生装置の伸縮の頻度や大きさ等は互いに同じ程度になる。すなわち、設定された時間内において、複数の検出装置の検出値の変動状態が概ね同様であるため、特定の検出装置の検出値の変動状態が他のものと異なる場合は異常であると判定することができるのである。
本項の変動指標値は、例えば、設定された時間内における検出値の平均値、絶対値の積分値、最大値、左右・前後の差分の平均等とすることができる。これらの詳細については、後の実施例において説明する。
(16)当該サスペンションシステムが、
ガスを収容するガス収容室を有し、車体と車輪との間に前記接近離間力発生装置と並列に設けられ、伸縮させられるのに伴い前記ガス収容室の容積を変化させて弾性力を発生させるガススプリング装置と、
前記ガス収容室へのガスの供給、および、前記ガス収容室のガスの排出を行うガス給排装置と
を含み、
前記異常検知装置が、走行時において、前記第1伸縮随伴変動量検出装置が異常であると判定した場合に、前記ガス給排装置によって前記ガス収容室のガスの充填量を変更することによって平地での車両静止状態における前記接近離間力発生装置の長さである基準長さを変更し、その基準長さの変更に伴う前記ガス収容室の圧力に基づいて前記伸縮力発生部の異常を検知する基準長さ依拠異常検知部を含む(13)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
通常、車高の変化に伴い伸縮力発生部が伸縮するが、例えば、伸縮力発生部が伸縮不能である場合、車高を変化させると受動的伸縮部が伸縮させられる。その場合、受動的伸縮部をそれのスプリング等の弾性力に逆らって伸縮させることとなり、伸縮力発生部が伸縮させられるよりも圧力の変化が大きくなる。このことを利用して伸縮力発生部が伸縮不能であるか否かを判定し得る。したがって、本項の態様は、上記(14)項に従属する場合に特に好適である。なお、本項の特徴は、上記(1)項ないし(15)項の特徴とは独立に採用可能である。
(17)当該サスペンションシステムが、前記電気作動機械を制御する制御装置を含み、
前記受動的伸縮部が、伸縮速度に応じて抵抗力を発生させる減衰力発生部と、その減衰力発生部と並列に設けられ、弾性変形量に応じた弾性力を発生させる弾性力発生部とを含み、
前記伝達部変位量推定装置が、車両停止時において、前記伸縮力発生部の伸縮力の変化が設定範囲内になる状態が継続した場合に、前記弾性力発生部の弾性力と前記伸縮力とが釣り合うものとして前記伸縮力伝達部の変位量を推定する定常時変位量推定部を含む(2)項ないし(16)項のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
通常、車両停止時には路面からの入力がほとんどなく、かつ、伸縮力が一定である状態が継続した場合は、伸縮力伝達部が静止するため、それの変位量を容易に取得しうる。このような状態において、減衰力や慣性力を考慮しなくともよいため、伸縮力と弾性力との釣り合いに基づいて伸縮力伝達部の変位量を取得することができるからである。
また、車両停止時において、前記伸縮力発生部の伸縮力の変化が設定範囲内になる状態が継続した場合とは、例えば、車両のイグニッションキーがONにされた後に発進するまでの間や、信号待ち等によって停車状態が設定時間以上継続した場合等が挙げられる。
(21)車体と車輪との間に伸縮可能に設けられ、それらが接近離間する方向の力である接近離間力を発生させる接近離間力発生装置を含むサスペンションシステムであって、
その接近離間力発生装置が、
自身が有する電気作動機械の出力によって伸縮方向の力である伸縮力を発生させる伸縮力発生部と、
その伸縮力発生部と直列に連結され、前記伸縮力に対する伸縮反力を生じさせつつ受動的に伸縮する受動的伸縮部と
前記伸縮力発生部と前記受動的伸縮部とが連結されて前記伸縮力発生部の伸縮力が前記受動的伸縮部に伝達される部分である伸縮力伝達部と
を含み、かつ、
当該サスペンションシステムが、
車輪の軸線と共に上下動させられる構成要素の集合であるばね下部が変位しないものと仮定して、前記伸縮力発生部が発生させる伸縮力と前記受動的伸縮部が発生させる伸縮反力との関係に基づき、前記ばね下部に対する前記伸縮力伝達部の変位量を推定するばね下固定変位量推定装置を含むことを特徴とする電気サスペンションシステム。
本項の態様によれば、伸縮力伝達部の変位を検出する検出装置がなくとも、簡便に伸縮力伝達部の変位量を推定することができる。さらに、ばね下部に対する伸縮力伝達部の変位量は受動的伸縮部の伸縮量と等しいので、本項の態様により、受動的伸縮部の伸縮量を推定し得る。その受動的伸縮部の伸縮量を取得することにより、サスペンションシステムの有用性を向上させ得る。例えば、受動的伸縮部の伸縮量を考慮して伸縮力発生部の伸縮力の制御を行うことや、伸縮力発生部の伸縮量に基づいて、接近離間力発生装置の伸縮量を取得すること等が可能になる。
本項の接近離間力発生装置は、前記(2)項に記載のものと同様の構成とすることができる。また、本項のばね下固定変位量推定装置は、前記(3)項に記載のばね下固定変位量推定部と同様の作用効果を奏し得る。なお、本項の態様には、前記(1)項ないし(17)項のいずれかの特徴を採用することができる。
以下、請求可能発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例である車両用電気サスペンションシステム(以後、特に必要がない場合は単に「サスペンションシステム」と略記する)の概要を模式的に示す。本実施例において、サスペンションシステムは4つのサスペンション装置10を備え、それら4つのサスペンション装置10によって、4つの車輪12の各々と車体14の4つの部分の各々とが接近・離間可能に連結されている。
サスペンション装置10は、車輪12と車体14との間に設けられており、それらが接近離間する方向の力を発生させる接近離間力発生装置20と、その接近離間力発生装置20を車体14に連結するアッパサポート22と、車輪12を回転可能に保持する車輪保持部に連結するロアサポート24とを備えている。なお、車輪保持部26は、車輪を回転可能に保持するステアリングナックル等の車輪保持部材や、車体に連結されて車輪保持部材を上下に移動可能に支持するアーム部材28(図2参照)等を含む。
なお、本実施例において、接近離間力発生装置20の軸方向、つまり、アッパサポート22とロアサポート24とが接近離間する方向が接近離間力発生装置20の伸縮方向でありる。その伸縮方向は、本実施例において、車輪12と車体14とが接近離間する方向の成分を含む方向とされている。
図2に、サスペンション装置10の一部の正面断面図を示す。アッパサポート22は、衝撃吸収体たる環状のマウントラバー30と、マウントラバー30の上部に接合されて車体14に当接させられる上部当接板34とを含む。その上部当接板34には、アッパサポート22を車体14の一部(詳細には、サスペンションタワー)に締結するための複数のスタッドボルト36が設けられている。
接近離間力発生装置20は、制御指令に従い伸縮力を発生させる制御伸縮力発生部40と、その制御伸縮力発生部40とロアサポート24との間に設けられたばね下振動抑制部42と、アッパサポート22とロアサポート24とを離間させる向きの弾性力を発生させるエアスプリング装置44とを備えている。
エアスプリング装置44は、ガススプリング装置の一種であり、アッパサポート22に連結されたエア収容部50と、ばね下振動抑制部42を介してロアサポート24に連結されたエアピストン部52と、それらエア収容部50とエアピストン部52とを相対移動可能に連結するダイヤフラム54とを含む。このエアスプリング装置44は、圧力室56に充填された圧縮空気の弾性力によって離間力を発生させるものとされている。
制御伸縮力発生部40(以後、特に必要がなければ伸縮力発生部と略記する)には、電気作動機械たる回転電気機械60と、運動変換装置たるボールねじ装置62と、それらを弾性的に保持する弾性保持装置64とが設けられている。弾性保持装置64は、扁平な円柱形状を成し、エア収容部50の上部内周側に嵌合させられている。また、弾性保持装置64は、ゴム部66を有しており、その弾性によって回転電気機械60等とエア収容部50との相対変位をある程度許容するものとされている。
回転電気機械60は、弾性保持装置64から接近離間力発生装置20の軸方向の上側に突出し、エア収容部50上部の中央を貫通した状態で保持されている。その回転電気機械60は、概して円筒形状を成すハウジング70と、玉軸受を介して回転可能に保持された中空の回転軸72と、その回転軸72に固定のロータ74と、ハウジング70に固定で、ロータ74と対向するステータ76とを含む。また、ロータ74が永久磁石によって構成される一方、ステータ76が電磁石によって構成され、回転電気機械60はブラシレスDCモータを基礎として構成されたものであるが、電動モータとしてのみならず、発電機としても機能するため、回転電気機械と称することとする。なお、ハウジング70および弾性保持装置64によって、エア収容部50の上部が気密に塞がれている。
回転電気機械60には、ロータ74の回転位置を検出する回転位置センサたる回転角センサ78が設けられている。回転角センサ78は、ハウジング70に固定された光センサにより、回転軸72に固定の回転板に周方向に並んで形成されたスリットを検出することによって回転量を検出するアブソリュートエンコーダによって構成されている。
ボールねじ装置62は、弾性保持装置64によって保持された基体80と、その基体80に回転可能に設けられた回転運動部82と、その回転運動部82と螺合させられた相対運動体たるねじロッド84と、そのねじロッド84の回転を阻止する回転阻止部86とを含む。
ねじロッド84の外周面には、多数のベアリングボール(以後、特に必要がない場合は「ボール」と略記する)が転動する軌道を形成する螺旋状のねじ溝90と、軸方向のスプライン溝92とが形成されている。そして、ねじロッド84はねじ溝90において、多数のボールを介して回転運動部82と螺合し、スプライン溝92において、ボールを介して回転阻止部86と相対回転不能かつ相対移動可能に係合させられている。
回転運動部82には、回転軸72の先端部に形成されたナット保持部93と、そのナット保持部93に移動不能に保持されたねじナット94とが設けられている。そのねじナット94の内周側にはねじ溝90と対向する外周側ねじ溝が形成されている。また、回転阻止部86は、軸線方向のスプライン溝92と対向する外周側スプライン溝が形成されたスプラインナット96によって構成されている。なお、ねじナット94とスプラインナット96とは、それぞれ、軌道に沿って転動するボールを設定された箇所からすくい上げて別の箇所に誘導するボール循環部を備えている。
以上に述べたボールねじ装置62によって、回転電気機械60の回転運動とねじロッド84の直線運動とが相互に変換される。
受動的伸縮部たるばね下振動抑制部42は、エアピストン部52内に配置され、それの車輪12側の端部の貫通穴に嵌合させられている。また、車体14側において、伸縮力発生部40のねじロッド84の先端部に連結されており、ねじロッド84とともに車体14と相対移動するようにされている。
ばね下振動抑制部42は、軸方向に延びる円筒状のハウジング98を有しており、そのハウジング98内に、弾性力発生部100と、減衰力発生部102とが設けられている。弾性力発生部100には、ハウジング98の内壁面に沿って軸方向に直列に配置された2つの圧縮コイルスプリング104,106(以後、「スプリング」と略記する)と、それら2つのスプリング104,106にねじロッド84の変位を伝達する伝達部材108とが設けられている。伝達部材108は、車輪12側に開口するカップ形状を成し、外周側に広がるフランジ部110を備えている。そして、底部においてねじロッド84の先端に取り付けられるとともに、フランジ部110が2つのスプリング104,106に挟まれている。一方、スプリング104,106の端部は、それぞれハウジング98の端部壁に当接させられ、軸方向への移動が阻止されている。その結果、伝達部材108とハウジング98とが軸方向に相対移動させられると、スプリング104,106のいずれかが圧縮されて弾性力が発生する。
減衰力発生部102は、スプリング106の内周側に配置され、ハウジング98の車輪12側端部を貫通し、ロアサポート24に連結されている。その減衰力発生部102は、液圧式のショックアブソーバとして構成されており、作動液が充填されたシリンダ120と、そのシリンダ120内に配設されたピストン122と、一端部にピストン122が取り付けられるとともに他端部がねじロッド84の端部に連結されたピストンロッド124とを含む。シリンダ120は、シリンダ120内を区画する内筒126と、内筒126によって区画された内周側および外周側の作動液室を連通させるベースバルブ128とを含む。このシリンダ120において、ピストン122が内筒126内を摺動させられた場合、内筒126の内周側および外周側の作動液室の作動液がベースバルブ128を通過する際の流動抵抗によって抵抗力が発生する。
上述の構成により、ねじロッド84とロアサポート24との間に、弾性力発生部100と減衰力発生部102とが並列に設けられている。そのため、ばね下振動抑制部42において、ハウジング98とねじロッド84との相対移動に伴い、相対変位量に応じた弾性力と相対変位速度に応じた抵抗力(つまり、減衰力)とが同時に発生する。なお、ばね下振動抑制部42とねじロッド84の先端部とが連結された部分が連結部150であり、「伸縮力伝達部」として機能する。
本サスペンションシステムの接近離間力発生装置20は、図1に示した電子制御ユニット200(以下、単に「ECU200」という場合がある)によって制御される。そのECU200は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。また、ECU200には、車体14の上下加速度を検出する上下加速度センサ210(図において「Gz」と示す),車速を検出する車速検出装置212,車体の横加速度を検出する横加速度センサ216(図において「横Gセンサ」と示す),操作部材たるステアリングホイールの操作角度を検出する操舵角センサ218,ロータ74の回転位置を検出する回転角センサ78,車体14と車輪12との相対変位を検出する相対変位センサ220,エアスプリング装置44の圧力室56の空気圧を検出する圧力センサ222等の各種検出装置が接続されている。相対変位センサ220は、車高センサ,ストロークセンサ等とも称することができ、車体14と車輪12との離間距離の変化に応じて出力値が変化する抵抗式のセンサである。各センサの検出信号は、ECU200のフィルタ部やAD変換部により、必要に応じて高周波成分が除去され、デジタル信号に変換される。
また、ECU200には、イグニッションスイッチ224(以後、特に必要がなければ「IGスイッチ」と略記する)が接続され、IGスイッチ224のON・OFF状態を検知することができる。さらにまた、ECU200には、報知装置226が接続されており、図形や文字等の視覚的情報や、報知音や音声等の聴覚的情報によって、運転者に異常を報知したり、注意を促したりすることができる。
また、ECU200には、駆動回路たるインバータ230が接続されている。そのインバータ230と回転電気機械60のステータ76とを図3に示す。インバータ230は、半導体のスイッチイング素子を6つ(Tr1〜Tr6)と、それらスイッチイング素子をON・OFFするコントローラ232とを備えている。それらスイッチイング素子をON・OFFすることにより、電源240からステータ76が有する三相のコイルに電力が供給される。
コントローラ232は、パルス幅変調制御(PWM制御)を行うことにより、ECU200から送信される各種の制御指令に応じてステータ76に供給する電力を調整し、あるいは、回転電気機械60が発電しながら受動的に回転するように制御して接近離間力を発生させることもできる。そのコントローラ232には、回転角センサ78が接続されており、ロータ74の回転位置に応じて上記スイッチイング素子をON・OFFするようにされている。例えば、図4に示すようなタイミングでスイッチイング素子がON・OFFされる。なお、例えば、スイッチイング素子Tr1は、0〜120度の範囲でONにされるが、継続してON状態であるとは限らず、PWM制御により供給電力等に応じて微少時間間隔でON・OFFされる。なお、後述するが、インバータ230は、ロータ74の回転角をECU200から取得できるようにされている。
ECU200は、回転電気機械60の出力を制御することによって接近離間力を制御する出力制御部260と、車高を制御する車高制御部262と、回転角センサ78および相対変位センサ220の異常を検知するセンサ等異常検知部264と、回転角センサ78と相対変位センサ220との一方の検出値から他方の検出値に基づいて取得すべき伸縮量を取得する伸縮量代替取得部268とを含む。その伸縮量代替取得部268は、伸縮力発生部40とばね下振動抑制部42とのうちの互いに連結された部分である連結部150の変位量を推定する連結部変位量推定部270を有している。
ECU200による接近離間力発生装置20の制御について簡単に説明する。
出力制御部260は、4つの接近離間力発生装置20の各々に発生させるべき接近離間力に応じた出力値を決定し、インバータ230にその出力値を含む指令を行う。各接近離間力Fは、次式に示すように、車体14の上下変位を抑制する減衰項Faと、車体の姿勢変化を抑制する姿勢制御項Fbとが加算された値とされる。
F=Fa+Fb ・・・ (1−1)
なお、減衰項Faは、スカイフック制御により、車体14の上下変位を抑制する項であり、車体14の上下加速度の積分値に設定された係数を乗じた値とされる。
姿勢制御項Fbは、車体14のロールやピッチを抑制するための項であり、後述する制御横加速度および前後加速度の各々に、それぞれ設定された係数が乗じられた値が加算されたものとされる。この姿勢制御項Fbにより、制御横加速度に応じて旋回外輪側の離間力が増加させられるとともに旋回内輪側の離間力が減少させられ、旋回時の車体14のロールが抑制される。また、車速の変化に基づいて取得される前後加速度に応じて下降側(例えば、制動時には前側)の離間力が増加させられるとともに上昇側の離間力が減少させられ、加減速時の車体14のピッチが抑制される。
上記接近離間力Fに応じた出力値が決定され、インバータ230に指令がなされると、インバータ230から適切な電力が回転電気機械60に供給され、あるいは、回転電気機械60の受動的な回転による発電が許容され、上記出力値に応じた接近離間力が発生させられるのである。
車高制御について説明する。本実施例において、サスペンションシステムは、エア給排装置280を備えており、そのエア給排装置280によってエアスプリング装置44の圧力室56にエアを供給し、あるいは、圧力室56のエアを排出することで、接近離間力発生装置20の基準長さを変化させることができる。すなわち、車高を調節することができるのである。なお、エア給排装置280は、エアポンプ、アキュムレータ、エアを供給する通路の連通を切り換える連通切換弁等を含む。ECU200には、エア給排装置280を駆動する駆動回路282が接続されており、その駆動回路282はECU200の指令に応じてエア給排装置280を作動させ、圧力室のエア量を調節する。なお、車高は、相対変位センサ220の検出値に基づいて取得される。
車高の変更は、図示を省略する車高選択スイッチが操作された場合に選択された車高に変更することや、高速走行時に車高を下げること等が行われる。なお、走行時において、比較的長く設定された時間の相対変位センサ220の検出値の平均的な値が取得され、その平均的な値に基づいて車高が取得される。
図5に、接近離間力発生装置20を模式的に示す。この図において、ばね上部は、車体14およびその車体14とともに上下動する部分であり、アッパサポート22やエア収容部50等を含む。なお、本実施例において、4つの接近離間力発生装置20が設けられており、図に示すばね上部は、1つの接近離間力発生装置20に対応する部分である。また、ばね下部は、車輪保持部26や車輪12の大部分等の車輪12の軸線とともに上下動する部分を含む。さらに、「Act」は、伸縮力発生部40に対応する部分であり、制御伸縮力fを発生させる。さらにまた、K1はエアスプリング装置44のばね定数、K2は車輪12のタイヤ部分のばね定数である。小文字のk,cは、それぞれ弾性力発生部100のばね定数、減衰力発生部102の減衰係数である。
伸縮慣性部290は、伸縮力発生部40が伸縮する際に慣性力を生じさせる慣性質量となる部分であり、伸縮慣性部290には、伸縮力発生部40とばね下振動抑制部42との両者の構成要素が含まれる。この伸縮慣性部290には、伸縮力発生部40の伸縮に伴いばね上部と相対的に運動させられる部分が含まれる。例えば、伸縮力発生部40のうちの、回転軸72,ナット94,ロータ74,ねじロッド84等と、ばね下振動抑制部42のうち、伝達部材108,ピストンロッド124,ピストン122等とが含まれる。
なお、回転軸72,ナット94およびロータ74は、軸方向に関して、ばね上部と相対変位しないため、ばね上部に含まれる。しかしながら、それらはばね上部と相対回転可能にされており、また、ボールねじ装置62の運動変換機能により、それらの慣性モーメントをそれと等価な直線運動の慣性質量とみなすことができるため、慣性モーメントに関しては伸縮慣性部290に含まれるものとする。なお、ばね下振動抑制部42等の伸縮量の取得に際して、回転軸72等の回転部分を無視すること、あるいは、伸縮力の取得時に考慮されるようにすることも可能である。
上記モデルにおいて、制御伸縮力fが、伸縮力発生部40自身が発生させる慣性力等の伸縮力と逆向きの力によって弱められ、伝達部材108およびピストンロッド124に入力されるものとする。
また、この図において、ばね上部と伸縮慣性部290との距離Aは、伸縮力発生部40の長さを表しており、伸縮慣性部290とばね下部との距離Pがばね下振動抑制部42の長さを表している。また、ばね上部とばね下部との距離Lは、車体14と車輪12との離間距離あるいは接近離間力発生装置20の長さを表しており、伸縮力発生部40の長さAとばね下振動抑制部42の長さPとを合わせたものとなる。よって、ばね下振動抑制部42の長さPが取得できれば、次式より、距離Aと距離Lとの一方に基づいて他方を取得することができる。
L=A+P ・・・ (2−1)
なお、接近離間力発生装置20は、アッパサポート22によって車体14と連結され、ロアサポート24によって車輪保持部26と連結されている。それらアッパサポート22とロアサポート24とは、それぞれマウントラバーやブシュ等の弾性変形部材を介して接近離間力発生装置20を車体14あるいは車輪12に連結するものとされており、接近離間力発生装置20の伸縮量と、車体14と車輪12との相対変位量とは厳密に一致しない。しかしながら、接近離間力発生装置20の伸縮量は、マウントラバーやブシュ等の変形量よりも遙かに大きいため、接近離間力発生装置20の伸縮量が車体14と車輪12との離間距離の変化量と等しいとみなすこととする。また、本実施例において、車体14と車輪12との離間距離と接近離間力発生装置20の長さとが等しいものとする。
この図において、伸縮力発生部40が制御伸縮力fを発生させた場合のばね下振動抑制部42の伸縮について説明する。なお、図中に、伸縮力発生部40が伸長する方向の制御伸縮力f(以後、特に必要がなければ伸縮力と略記する)を示す矢印が記載されているが、収縮方向の伸縮力fを発生させることもできる。
伸縮力発生部40は、伸縮力fを発生させつつ、その制御伸縮力と同じ向き、あるいは逆向きに伸縮することができるようにされている。したがって、ばね上部とばね下部とが相対変位している場合に、その相対変位に伸縮力発生部40が追随して伸縮すれば、多少の誤差があるとしても、伸縮慣性部290に伸縮力fが作用することとなる。
そこで、ばね下振動抑制部42の長さPに対する伸縮力fの影響を簡便に把握するために、ばね上部およびばね下部の変位を無視したモデルを図6に示す。このモデルによれば、伸縮慣性部290の変位量xを容易に推定することができる。この推定された伸縮慣性部290の変位量を「ばね下固定時の推定変位量(あるいは、単に「推定変位量」)」と称する。
ばね下振動抑制部42の基準長さPsから推定変位量xを減じることで、容易にばね下振動抑制部42の長さPを推定し得る。そして、このモデルにおいて推定されたばね下振動抑制部42の長さPを、図5のモデルの式(2−1)に当てはめれば、伸縮力発生部40の長さAと接近離間力発生装置20の長さLとの一方から他方を取得できるのである。
なお、ばね上部の変位を無視することは必須ではなく、ばね上部が変位しても、伸縮力発生部40が伸縮力fを発生させつつばね上部の変位に追随できれば図6のモデルと同様に考えることができる。また、本実施例において、伸縮慣性部290の固有振動数は、ばね下部の固有振動数と異なる振動数にされており、ばね下部の変位の影響を受けにくくされている。
図7に、このモデルについての運動方程式(2−2)等を示す。なお、便宜的に明細書中にも図7と同様の式を示す場合がある。
mx”+cx’+kx=f ・・・ (2−2)
すなわち、図6のモデルは、質量−ばね−ダンパ系と同様の運動方程式で表すことができ、種々の公知の解法が存在する。ここで、任意の時刻τにおいて、制御伸縮力f=f(τ)が微少時間dτ作用したとすると、時刻tにおける変位の増分dxは、式(2−3)によって求められる。なお、ζは減衰比、ωnは非減衰固有角振動数、ωdは減衰固有振動数であり、それぞれ式(2−4)〜式(2−6)によって表される。
dx=(1/mωd)f(τ)dτ・exp{−ζωn(t−τ)}・sin{ωd(t−τ)} ・・・ (2−3)
そして、時刻0〜tの間の伸縮力fに対する変位の増分dxを積算することにより、制御伸縮力fに基づいて推定変位量xを取得しうる。なお、車両が平地に静止した状態におけるばね下振動抑制部42の基準長さをPsとすると、ばね下振動抑制部42の長さPは次式によって得られる。
P=Ps−x ・・・ (2−7)
なお、車体14と車輪12との基準離間距離と伸縮力発生部40の基準長さとを、それぞれLs,Asとし、車体14と車輪12との相対変位量と伸縮力発生部40の伸縮量とを、それぞれΔA,ΔLとすれば、車体14と車輪12との基準離間距離Lと伸縮力発生部40の長さAは次式によって表される。なお、車両が平地に静止した状態における車体14と車輪12との離間距離を基準離間距離Lsとし、上記状態における伸縮力発生部40の長さを基準長さAsとする。
L=Ls+ΔL ・・・ (2−8)
A=As+ΔA ・・・ (2−9)
Ls=As+Ps ・・・ (2−10)
上記式(2−7)〜式(2−9)を、式(2−1)に代入し、式(2−10)によってLs,As,Psを消去すると次式が得られる。
ΔL=ΔA−x ・・・ (2−11)
これ以後は、車体14と車輪12との相対変位量を「相対変位量ΔL」と記載し、伸縮力発生部40の伸縮量を「伸縮量ΔA」と記載する。
以上の事柄を踏まえ、伸縮量代替取得部268等が行う処理について説明する。
図8に、センサ異常時対処プログラムのフローチャートを示す。本プログラムは、相対変位センサ220の異常時に回転角センサ78の検出値に基づいて相対変位量ΔLを取得し、回転角センサ78の異常時に相対変位センサ220の検出値に基づいて回転電気機械60の回転軸72の回転角θを取得するものである。本プログラムは、IG-スイッチ240がONにされた後に、ECU200のコンピュータにより、ごく短時間毎に繰り返し実行される。また、本プログラムは、4つの接近離間力発生装置20のいずれか1つについて異常のセンサが検知された場合に対処するものである。
ステップ11(以後、「S11」と略記する)において、車速検出装置212の検出値に基づいて車速Vが取得される。また、4つの接近離間力発生装置20の各々について、出力制御部260によって決定された制御伸縮力fが取得され、相対変位センサ220の検出値に基づいて相対変位量ΔLが取得され、回転角センサ78の検出値に基づいて回転角θが取得される。なお、相対変位センサ220の検出値は、ECU200が有するローパスフィルタおよびAD変換部によって、高周波成分が除去され、デジタル信号に変換される。すなわち、相対変位量ΔLの振動成分から、伸縮慣性部290が追随して変位することが困難な大きな振動数の振動成分が除去されたものが取得されるのである。また、相対変位量ΔLは、次式に示すように、検出時の車体14と車輪12との離間距離Lから、車両が平地に静止した状態の車体14と車輪12との基準離間距離Lsを減じた値とされる。
ΔL=L−Ls ・・・ (3−1)
そして、S12において、4つの接近離間力発生装置20の各々について、推定変位量xが演算される。なお、本プログラムがIG-スイッチ240がONにされた後に最初に実行された場合には、変位量xは0にされているものとする。IG-スイッチ240がONにされた直後において、車両が静止した状態であり、かつ、伸縮力fが0にされているため、変位量xが0になっているからである。
図9に、変位量xの演算処理のフローチャートを示す。S31において、最新の伸縮力fが記憶変数fnに入力される。なお、記憶変数f1〜fn-1には、過去の伸縮力の値が記憶されているが、本処理が最初に実行された際には上述のように0にされている。
S32において、設定時間前の時刻を0、現在の時刻をtとして、式(3−2)により、前述の式(2−3)に示した変位の増分dxが積算され、推定変位量xが算出される。
x=ΣBi・f(τi)dτ ・・・ (3−2)
i=1,2,3,・・・,n ・・・ (3−3)
この式(3−2)において、式(3−4)に示すように設定時間tがn+1個の微少時間dτに分割され、各微少時間dτ毎の伸縮力fによる変位が積算される。なお、「τi」は、式(3−5)に示すように各微少時間の時刻を示すものとする。また、Biは式(3−6)で表され、予め算出された値がROMに記憶されている。
Bi=(1/mωd)・exp{−ζωn(t−τi)}・sin{ωd(t−τi)}
・・・(3−6)
設定時間tは、伸縮力fに起因する振動がある程度収束し得る時間とされる。例えば、減衰比ζが0.5である場合に、ωn・tが10以上、あるいは20以上になる時間とすることができる。また、微少時間dτは、プログラムの実行間隔と同じ時間にすることができる。
推定変位量xが算出された後、S33において、伸縮力fを記憶するn個の記憶変数(f1〜fn)の記憶値が、それぞれ番号の大きいものから小さいものへ移される。具体的には、記憶変数f2の値が記憶変数f1に入力され、記憶変数f3の値が記憶変数f2に入力され、同様に、記憶変数fnの値が記憶変数fn-1に入力される。このようにして、設定時間内のn個の伸縮力fのデータがRAMに記憶され、推定変位量xの演算に用いられるのである。なお、記憶変数f1に記憶されていた最も古い伸縮力f1の値は消去されることとなる。
S13において、伸縮力発生部40が異常である場合に判定がYESとなり、S14,S15の処理が行われる。伸縮力発生部40が異常であるか否かの判断は、図示を省略する伸縮力発生部異常検知プログラムがECU200のコンピュータによって実行されることでなされる。その伸縮力発生部異常検知プログラムの処理により、インバータ230,回転電気機械60およびボールねじ装置62のうちのいずれかが異常であり、制御伸縮力を発生させることができない、あるいは制御することができない場合に伸縮力発生部40が異常であると判断される。また、後述するセンサ等異常検知プログラムにおいても、一定の条件を満たした場合に伸縮力発生部40が異常であると判断される。
伸縮力発生部40が異常である接近離間力発生装置20は、制御伸縮力を発生させることができないため、S14において、制御伸縮力fの指令値がゼロにされ、他の3つの接近離間力発生装置20による3輪補完制御が行われる。3輪補完制御とは、4つの接近離間力発生装置20の各々の伸縮力fの指令値にワープ成分を加えることにより、異常が発生した接近離間力発生装置20の伸縮力fをゼロ(あるいは半分以下)にして車体の姿勢制御を行うものである。異常の接近離間力発生装置20に対する制御伸縮力が「+fe」であるとすると、ワープ成分の加算において、異常の接近離間力発生装置20およびそれの対角に位置する接近離間力発生装置20の制御伸縮力の指令値に「−fe」が加算され、上記とは異なる対角に位置する2つの接近離間力発生装置20の制御伸縮力の指令値に「+fe」が加算される。このワープ成分の加算により、車体のヒーブ成分(上下動),ピッチ成分(左右軸回りの回転),ロール成分(前後軸回りの回転)に与える影響を抑制しつつ、異常が発生した接近離間力発生装置20の制御伸縮力なしに車体の姿勢制御を行うことが可能である。
S15において、慎重な運転の下での走行は可能であるが、異常が発生し、車両を点検する必要がある旨が報知装置226によって報知される。報知装置226は音声言語で報知内容を伝える音声発生装置を含むものとされており、音声によって上記の報知が行われる。また、音声による報知とともに、報知装置226の有する警告ランプが点滅させられる。警告ランプは、コンビネーションメータに設置され、接近離間力発生装置20が異常である旨が視覚的に報知される。具体的には、警告ランプには、サスペンション装置10を模式的に示した図形や、サスペンション装置10が異常である旨を示す文字が付されている。この報知により、一層の安全運転とディーラー等での点検が促される。なお、音声発生装置は、例えば、コンピュータ,アンプ,スピーカ等を備え、コンピュータの記憶部に記憶された各種の音声を、報知内容に対応させて再生するものとすることや、カーナビゲーションシステム等の音声発生機能を利用するものとすることができる。
S16において、相対変位センサ220が異常である場合は、異常であると判断された接近離間力発生装置20について、回転角センサ78によって検出される回転軸72の回転角θと、前述の推定変位量xとに基づいて相対変位量ΔLの推定値が取得される。なお、相対変位センサ220の異常は、後述するセンサ等異常検知プログラム(図10)によって検知される。
S17において、次式によって回転角θが伸縮量ΔAに変換される。Rは、変換係数であり、回転軸72が一回転(2π[rad])した場合にねじロッド84が軸方向に相対移動させられる距離とされる。
ΔA=R・(θ/2π) ・・・ (3−7)
なお、伸縮量ΔAは、次式に示すように、検出時の伸縮力発生部40の長さAから、車両が平地に静止した状態の伸縮力発生部40の基準長さAsを減じた値となる。
ΔA=A−As ・・・ (3−8)
S18において、次式によって相対変位量ΔLの推定値ΔLeが取得される。
ΔLe=ΔA−x ・・・ (3−9)
また、相対変位センサ220が異常であるため、センサ異常の接近離間力発生装置20に関しては、推定値を使用する旨の指令がなされる。具体的には、相対変位量ΔLの最新の推定値が変数に記憶されるとともに、推定値が取得されたことを示す相対変位推定フラグがONにされる。ECU200において相対変位量ΔLを使用するプログラムは、異常検知フラグと相対変位推定フラグとを参照する処理を行うようにされており、それらがONになっている場合に、推定値を使用するようにされている。これ以後は、ECU200の各種の制御において、S18において取得された相対変位量の推定値ΔLeが用いられるため、相対変位センサ220が失陥したとしても、例えば、車高の変更等を行うことが可能である。
S19において、S15と同様な報知がなされる。
S20において、回転角センサ78が異常である場合に判定がYESとされ、S21〜S28において、センサ異常の接近離間力発生装置20に関しては、相対変位センサ220によって検出される相対変位量ΔLと、前述の推定変位量xとに基づいて回転軸72の回転角θの推定値θeが取得され、その回転角θの推定値に基づいて回転電気機械60が制御される。その結果、回転角センサ78が異常と判断された接近離間力発生装置20によって制御伸縮力を発生させることが可能である。
なお、回転角センサ78が異常と判断された接近離間力発生装置20の制御伸縮力をゼロにし、3輪補完制御を行いながら走行することは可能である。しかしながら、3輪補完制御は、正常な3つの接近離間力発生装置20の負担を増大させるため、センサ異常の接近離間力発生装置20によって多少なりとも制御伸縮力を発生させ、正常な3つの接近離間力発生装置20の負担を低減させることが望ましく、ディーラー等までの走行距離が長い場合に特に望ましい。
S21において、フラグQ1が参照され、車両停止によって推定変位量xがゼロにされたか否かが判断される。このフラグQ1は、センサ等の異常がない場合にS29においてOFFにされており、回転角センサ78の異常が検知された直後はOFFであるため、S21が最初に実行された際には判定がNOとされる。そして、S25においてフラグQ1がONにされるまでS22〜S24の処理が実行される。
回転角センサ78が異常である場合には、適切な伸縮力fを発生させることができないため、S22において、上記S14と同様に、回転角センサ78が異常と判断された接近離間力発生装置20に対する伸縮力fの指令値がゼロにされ、他の3つの接近離間力発生装置20による3輪補完制御が行われる。
S23において、異常が発生し、車両を停止させる必要がある旨が報知される。報知については、上記S15と同様に報知装置226によって行われる。
S24において、車両が設定時間継続して停車させられたか否か判定される。具体的には、車速Vがゼロの状態が設定時間継続した場合に判定がYESにされる。車両が停車した状態において、車体14や車輪12の揺れが時間経過に伴い収束するとともに、制御伸縮力がゼロにされ、弾性力発生部100の弾性力によって伸縮慣性部290が基準位置に復帰させられる。上記設定時間は、伸縮慣性部290が基準位置に復帰するのに十分な時間に設定されており、S24の判定がYESとなった場合には、推定変位量xがゼロになっているのである。回転角センサ78の異常によって指令値に応じた大きさの制御伸縮力が発生させることができない状況では、前述の推定変位量xの演算が不正確なものとなっている虞があるが、上述の処理により、正確な推定変位量xを取得することができる。
S24の判定がYESになると、S25においてフラグQ1がONにされるため、本プログラムの次回実行時にはS21の判定がYESとなり、S26〜S28の処理が実行される。
S26において、センサ異常の接近離間力発生装置20に関して、相対変位センサ220によって検出される相対変位量ΔLと、前述の推定変位量xとに基づき、次式によって伸縮量ΔAの推定値ΔAeが取得される。
ΔAe=ΔL+x ・・・ (3−10)
また、推定値ΔAeが、次式によって回転軸72の回転角θの推定値θeに変換される。なお、Rは、前述の変換係数である。
θe=2π・ΔAe/R ・・・ (3−11)
S27において、センサ異常の接近離間力発生装置20に対応するインバータ230にセンサ入力を切り換える指令がなされる。前述のように、インバータ230は回転角センサ78の検出値に基づいてロータ74の回転角θを取得しているが、ECU200から取得することも可能にされている。よって、センサ入力を切り換える指令がなされた後は、ECU200から送信される推定回転角θeに基づいてスイッチング素子のON・OFFの切換タイミングが決定されるのである。
S28において、伸縮力fをゼロにして3輪補完制御を行う指令が解除され、4つの接近離間力発生装置20によって伸縮力fを発生させる通常の制御に戻される。なお、回転角センサ78が異常の接近離間力発生装置20の制御伸縮力の一部を、他の3つの接近離間力発生装置20によって発生させることもできる。例えば、異常の接近離間力発生装置20の制御伸縮力の半分の大きさのワープ成分を加算することによって、制御伸縮力を半分にして3輪補完制御を行うことができる。
また、S28において、車両を停止させる要求が解除されるとともに、慎重な運転の下で走行が可能であるが早期に点検が必要である旨が報知される。なお、報知については、前述のS15,S23と同様、報知装置226によって行われる。
以上の処理によって、回転角センサ78の検出値を相対変位センサ220の検出値によって代替させて制御伸縮力を発生させることができ、走行時における正常な3つの接近離間力発生装置20の負担の増大を抑制することができる。
回転角センサ78や相対変位センサ220等の異常を検知するセンサ等異常検知プログラム(以後、異常検知プログラムと略記する)について説明する。異常検知プログラムは、回転角センサ78等の検出値の変動等に基づいて異常を検知するものであり、その結果は、前述のセンサ等異常時対処プログラムの判定(S13,S16,S20)において用いられる。また、異常検知プログラムは、4つの接近離間力発生装置20の各々に対応する4つのプログラムが、ECU200のコンピュータの時分割処理により、前述のセンサ等異常時対処プログラムと同時期に並行してごく短時間毎に繰り返し実行される。4つの異常検知プログラムは、同様の構成にされているため、1つを代表的に説明する。
図10に、異常検知プログラムのフローチャートを示す。
S41において、車速V,相対変位量ΔLおよび回転角θが取得される。S42において、推定回転角θeに基づく回転電気機械60の制御が行われているか否かが判定される。この判定処理については後述する。
S43において、回転角センサ78が異常であるか否かが判定される。なお、判定の具体的な条件は後述するが、断線等に基づく異常判定についてはIGスイッチ224がONの場合に行われ、検出値の変動に基づく異常判定については走行中(車速V>設定速度)に行われる。回転角センサ78が異常と判定された場合に、S44において回転角センサ異常フラグがONにされる。このフラグは、前出のS20において参照される。
上記S43において回転角センサ78が異常ではないと判定された場合に、S45において、相対変位センサ220が異常であるか否かが判定される。これは、回転角センサ78の異常に起因して、相対変位センサ220が正常であるにも拘わらず異常であると判定されることを回避するためである。すなわち、回転角センサ78が異常になった場合に、指令値に応じた制御伸縮力が発生させられずに相対変位量ΔLの変動状態が異常になり、相対変位センサ220が異常であると誤って判定されるような事態が回避されるのである。相対変位センサ220が異常と判定された場合に、S46において相対変位センサ異常フラグがONにされる。このフラグは、前出のS16において参照される。
上記S43,S45において、回転角センサ78等の異常が検知されなかった場合は、S47において各センサの異常フラグがOFFにされる。
ここで、上述のS42の処理を説明する前に、伸縮力発生部40の異常に起因する回転角センサ78の異常について簡単に説明する。
伸縮力発生部40の異常は、例えば、インバータ230や回転電気機械60の配線の断線等によって制御伸縮力を発生させることができなくなる場合や、回転電気機械60やボールねじ装置62の可動部分の作動抵抗が大幅に増大して制御伸縮力が無用に増加あるいは減少する場合等がある。この伸縮力発生部40の異常が発生すると、必然的に回転角センサ78の検出値の変動状態が異常となるため、回転角センサ78が異常であると判定される場合がある。しかしながら、断線等に起因する異常は容易に検知し得るが、作動抵抗の増大に起因する異常を検知することは困難であり、伸縮力発生部40の異常が検知される前に、回転角センサ78が正常であるにも拘わらず異常であると判定される場合がある。このような場合に、回転角センサ78の異常と、伸縮力発生部40の異常とを判別することは困難である。
そこで、前述のセンサ等異常時対処プログラムにおいて、回転角センサ78が異常であると判定された場合には、伸縮力発生部40が異常であるか否かに拘わらず、図8のS26において取得される推定回転角θeに基づく回転電気機械60の制御である推定回転角制御が行われるようにされている。そして、推定回転角制御が行われている状態ではS42の判定がYESとなり、S48において、相対変位量Δの変動状態が異常であるか否かが判定され、相対変位量Δの変動状態が正常である場合は伸縮力発生部40が正常で回転角センサ78が異常であり、その推定回転角制御が続けられる。一方、相対変位量Δの変動状態が異常である場合は、伸縮力発生部40が異常であると判断することができ、S49において、制御伸縮力発生部異常フラグがONにされるのである。その場合は、図8のS13の判定がYESとなり、3輪補完制御が行われる。なお、推定値に基づく制御であることが勘案され、S48の判定条件は、S45よりも緩やかにされている。
なお、前述のように、伸縮力発生部異常検知プログラムによって伸縮力発生部40の異常検知が行われており、異常が検知された場合には上記制御伸縮力発生部異常フラグとは別個のフラグがONにされる。そして、図8のS13において、制御伸縮力発生部異常フラグと、上記別個のフラグとの少なくとも一方がONである場合に伸縮力発生部40が異常であると判定される。
以上のS42,S48,S49の処理により、伸縮力発生部40の異常に起因して回転角センサ78が異常であると判定された場合でも適切に対処し得る。
上記センサ等異常検知プログラムにおいて、回転角センサ78等の異常を検知する際の具体的な条件を説明する。異常検知は、4つの接近離間力発生装置20の各々について、相対変位センサ220、回転角センサ78のそれぞれに対して、次の事項について行われる。また、本実施例において、下記の事項のうちの1つ以上によって異常と判断された場合にセンサが異常であると判定するようにされているが、複数の条件で異常と判断された場合にセンサが異常であると判定することもできる。
(a) 断線等によってセンサとの導通が遮断された場合、例えば、センサの信号電圧がゼロになった場合やセンサと接続された端子間の抵抗値が無限大になった場合は、センサが異常であると判定される。
(b) 走行中(車速V>設定速度)において、センサの検出値が設定時間以上継続して変化しなかった場合は、センサが異常であると判定される。
(c) 走行中(車速V>設定速度)において、現時点から設定時間前までの相対変位量ΔL、伸縮量ΔAの平均的な値(例えば、平均値)の絶対値がしきい絶対値を超えた場合は、センサが異常であると判定される。例えば、伸縮力発生部40の伸長量を正の値、収縮量を負の値とすると、通常、伸縮量ΔAの平均値は0もしくは0に近い値となることを利用して異常を検知するものである。なお、道路の傾斜や、旋回や加減速によって平均値は変化し得るが、そのような走行条件を考慮して変動し得る範囲の上限値をしきい絶対値とすることができる。
また、4つの接近離間力発生装置20のうちのいずれか1つのものの平均的な値の絶対値と、他の3つのものの値との差が全て設定値を超えている場合にも、センサが異常であると判定される。
(d) 走行中(車速V>設定速度)において、現時点から設定時間前までの相対変位量ΔL、伸縮量ΔAの絶対値の積算値が、上限しきい値を超えた場合と下限しきい値未満である場合との少なくとも一方の場合は、センサが異常であると判定される。なお、上限しきい値は、悪路走行(例えば、未舗装路等)を行った場合に取得される絶対値の積算値よりも大きく設定され、下限しきい値は、良路走行(例えば、高速道路等)を行った場合に取得される絶対値の積算値よりも小さく設定される。
また、4つの接近離間力発生装置20のうちのいずれか1つのものの絶対値の積分値と、他の3つのものの値との差が全て設定値を超えている場合にも、センサが異常であると判定される。
(e) 現時点から設定時間前までの相対変位量ΔL、伸縮量ΔAの最大値が、4つの接近離間力発生装置20のうちのいずれか1つのものの値と、他の3つのものの値との差が全て設定値を超えている場合にも、センサが異常であると判定される。通常、伸縮量ΔA等の最大値は、前後または左右が同程度になることに基づいて異常を検知するものである。
(f) 現時点から設定時間前までの相対変位量ΔL、伸縮量ΔAについて、左右の検出値の差分の平均値と前後の車輪12間での差分の平均値とを合わせた値が、4つの接近離間力発生装置20のうちのいずれか1つのものの値と、他の3つのものの値との差が全て設定値を超えている場合にも、センサが異常であると判定される。
本実施例において、連結部変位量推定部270によって「ばね下固定変位量推定部」が構成されている。なお、連結部変位量推定部270は、ECU200のうちのS12の処理を実行する部分である。また、伸縮量代替取得部268によって「伸縮随伴変動量代替取得装置の異常時・代替取得部」が構成されている。なお、伸縮量代替取得部268は、ECU200のうちのセンサ等異常時対処プログラムを実行する部分である。
また、本実施例において、ロータ74の回転角が回転電気機械60の「作動量」に相当するとともに、「第1伸縮随伴変動量」に相当する。また、制御伸縮力発生部40の伸縮量ΔAが、「第1伸縮量」に相当する。また、車体14と車輪12との相対変位量ΔLが、「第2伸縮随伴変動量」に相当する。さらにまた、「第1伸縮随伴変動量検出装置」が、回転角センサ78の検出値に基づいて回転電気機械60の作動量たる回転角を第1伸縮随伴変動量として取得する態様とされ、「第2伸縮随伴変動量検出装置」が、相対変位センサ220を含み、相対変位量を第2伸縮随伴変動量として取得する態様とされている。
さらにまた、本実施例において、センサ等異常検知部264によって「異常検知装置」が構成されている。なお、センサ等異常検知部264は、ECU200のうちの異常検知プログラムを実行する部分である。また、ECU200のうちのS43,S45の判定において、検出値が変化しないことに基づいてセンサの異常を検知する処理を行う部分によって、「検出値無変化依拠判定部」が構成されている。また、ECU200のうちのS43,S45の判定において、検出値の変動に基づいてセンサの異常を検知する処理を行う部分によって、「変動指標値依拠判定部」が構成されている。
上記とは別の実施例について説明する。
上記センサ等異常時対処プログラム(図8)において、回転角センサ78が異常であると判定された場合に、伸縮力発生部40が正常であるか否かの判断がなされずに推定回転角θeに基づく制御が行われるようにされていた。それに対して、伸縮力発生部40が正常であるとの判断がなされた後に推定回転角θeに基づく制御が行われるようにすることもできる。
図11に、センサ等異常時対処Bプログラムのフローチャートの一部を示す。なお、上記センサ等異常時対処プログラムと区別するためにプログラム名の後に記号Bを付した。本プログラムは、センサ等異常時対処プログラムに、車高を変化させた際の圧力室56の空気圧に基づいて伸縮力発生部40が異常であるか否かを判定する処理(S61〜S69)が加えられたものである。よって、センサ等異常時対処プログラムと同様の処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。また、センサ等異常時対処プログラムとほぼ同様であるが、若干異なる処理にはステップ番号の後に記号bを付す。
S23bにおいて、異常が発生したため車両の駐車を要求する旨の報知がなされ、S24bにおいて、車速がゼロ、かつ、パーキングブレーキを作動させる等の駐車操作が行われたかが判定される。前記S23では停車要求であったが、本プログラムにおいて車高が変更されるため、駐車操作を要求するものである。なお、パーキングブレーキ等の作動は、ECU200とCAN(Controller Area Network)によって接続されたメインECU(図示を省略する)から取得される。
S61において、フラグQ2が参照される。フラグQ2は、センサ等の異常がない場合にS69においてOFFにされており、S21の判定で駐車状態であると最初に判定された直後はS61の判定はNOとなる。S62において、駐車状態の維持を要求する旨、および、点検のために車高を変更する旨が報知装置226によって報知される。
S63において、車高増減処理が行われ、車高が増加させられた後に減少させられ、元の車高に復帰させられる。この車高増減処理において、エア給排装置280によって4つのエアスプリング装置44に順次空気が供給され、4つの車輪12と車体14との相対変位量が等しく増加させられる。また、相対変位量が設定値まで増加させられた状態における圧力室56の空気圧が取得される。なお、車両が停車していることから車高増減処理が開始される前の相対変位量はゼロである。その後、エア給排装置280によって4つのエアスプリング装置44から順次空気が排出され、車高増減処理開始前の車高、つまり、相対変位量はゼロの状態にされる。
車高増減処理が終了すると、S64においてフラグQ2がONにされ、本プログラムの次回実行時にはS61の判定がYESになるようにされる。また、S65において、車高の変更が完了し、駐車要求を解除する旨が報知装置226によって報知される。
ところで、車高増加時において、通常、伸縮自在の伸縮力発生部40が伸長させられるのであるが、伸縮力発生部40が伸縮不能である場合は、弾性力発生部100の弾性力に抗してばね下振動抑制部42を伸長させる必要がある。そのため、伸縮力発生部40が伸縮自在である場合よりもエアスプリング装置44の空気圧が高くなる。よって、他の接近離間力発生装置20のエアスプリング装置44の空気圧と比較することにより、伸縮力発生部40が正常であるか否かを判断することができる。そこで、次のS66の判定が行われる。
S66において、正常か否かを判断すべき伸縮力発生部40を有する接近離間力発生装置20の圧力室56の車高増加時の空気圧と、それと左右方向において隣り合う接近離間力発生装置20の車高増加時の空気圧との圧力差がしきい値よりも大きいか否かが判定される。
そして、圧力差がしきい値以下である場合は、S67において正常と判定され、その後本プログラムが実行される際にはS26〜S28の処理により、推定回転角制御が行われる。一方、圧力差がしきい値を超えている場合は、S68において制御伸縮力発生部異常フラグがONにされ、その後本プログラムが実行される際にS13(図8)の判定がYESとなり、3輪補完制御が行われる。
以上の処理により、回転角センサ78が異常と判定された場合に、伸縮力発生部40が正常であるか否かを判断することができる。
本実施例において、ECU200のうちのS62,S63,S65〜S68の処理を実行する部分によって「基準長さ依拠異常検知部」が構成されている。また、S63の車高増減処理を実行する部分によって「車高増減処理部」が構成されている。また、S66の判定処理を実行する部分によって「空気圧依拠判定部」が構成されている。なお、S63の車高増減処理において、車高を減少させた後に復帰させられる処理を行うこと等が可能である。
上記とはさらに別の実施例について説明する。
最初の実施例において、車両用電気サスペンションシステムには、回転角センサ78と相対変位センサ220との両者が設けられていたが、相対変位センサ220を省略することもできる。その場合は、S12,S17,S18と同様の処理によって、回転角センサ78の検出値に基づいて、回転電気機械60の制御が行われるとともに相対変位量の推定値が取得される。相対変位量の推定値の取得に際して、連結部変位量推定部270によって推定変位量xが取得され、伸縮量代替取得部268によって変位量xに基づいて相対変位量が取得される。
上記とはさらに別の実施例について説明する。
上記実施例において、ばね下部の変位が無視されていたが、それを考慮して推定変位量を取得することもできる。この場合の処理について以下に説明する。図12に、ばね上部の変位を無視し、ばね下部の変位を考慮したモデルを示す。このモデルにおいて、相対変位量ΔLとばね下変位量yとが等しくなる。なお、図6とは異なり、ばね下振動抑制部42の伸縮量は、ばね下変位量yから伸縮慣性部290の変位量xを減じたものとなる。
図13に、このモデルの運動方程式(4−1)等を示す。その式(4−1)を整理した式(4−2)をラプラス変換して式(4−3)を得る。その式(4−3)を整理した式(4−4)の係数を非減衰固有角振動数ωnと、減衰比ζとに変換して式(4−5)を得る。なお、係数の対応関係を式(4−6)に示す。
ここで、式(4−5)の右辺第1項をX1(s)、第2項をX2(s)とする。
式(4−5)の右辺第1項は、二次遅れ要素であり、伸縮力fによって伸縮慣性部290がどのように変位させられるかを示すものである。入力F(s)が、微少時間毎のインパルス入力であるものとすると、インパルス応答は、減衰比ζが1より小さい場合には式(4−8)で表される。ここで、任意の伸縮力f(t)に対する応答は、時刻τに入力された制御伸縮力f(τ)に対する応答の積算として求めることができ、式(4−10)によって伸縮力fによる伸縮慣性部290の変位量である第1変位量x1(t)が得られる。
x1(t)=Σg1(t−τi)f(τi)dτ ・・・ (4−10)
ここで、式(4−14),式(4−15)に示すようにg1(t−τi)をDiとおいて、微少時間dτ毎の応答が積算される。なお、式(4−14)は図7の式(3−6)と同様の結果が得られる。すなわち、本実施例において、上記第1変位量x1(t)が最初の実施例における「ばね下部固定時の推定変位量」に相当するのである。
式(4−5)の右辺第2項は、ばね下変位yの影響による伸縮慣性部290の変位量である第2変位量x2(t)を示すものである。ここで、微少時間において、ばね下変位がランプ状に変化(定速度変化)するものとすると、図14に示すようにY(s)は次式のように表される。なお、βは、ばね下変位速度である。
Y(s)=β/s2 ・・・ (5−1)
これを式(4−5)の右辺第2項に代入した後に展開すると式(5−2)が得られる。この式の括弧内をラプラス逆変換することにより、ランプ応答g2(t)を表す式(5−3)が得られる。なお、式を単純化するため、式(5−4)に示すαを用いることとする。そして、ばね下変位速度βは路面入力等によって随時変化することから、式(5−5)によって、微少時間毎のばね下変位速度βiに対する伸縮慣性部290の応答が積算される。なお、式(5−5)の第2項(ΣΔyold)については後述する。ばね下変位速度βiは、式(5−9)によって得られる。
ここで、図15に式(6−1)等を示し、Qiについて説明する。各微少時間のランプ応答は、式(6−1)に示すように、重ね合わせの原理により、微少時間経過後もランプ入力が継続する場合の応答(式中の右辺第1項)と、微少時間経過後のランプ入力を打ち消す応答(式中の右辺第2項)とを加算することで得られる。例えば、時刻τ0〜τ1の間のばね下変位速度をβ1とすると、その変位に対する応答は式(6−2)にβ1を乗じることによって得られる。このように、微少時間経過後の入力を打ち消すことで、任意のばね下変位に対応することができる。さらに、時刻τi-1〜τiの間のばね下変位による伸縮慣性部290の変位は、式(6−3)にβiを乗じることによって得られる。
さらに、式(5−5)の第2項について説明する。
ばね下変位の増分Δyiは、式(6−4)により、その時点のばね下変位量yiから微少時間前の変位量yi-1を減じることで得られ、ばね下変位速度βの演算に用いられる。なお、ばね下変位が入力されてからある程度の時間が経過すると各微少時間毎のばね下変位に対する応答は収束するため、走行中の全てについて演算することは必須ではない。よって、上記第2項には、式(6−5)に示すように設定時間以上経過したばね下変位の増分Δyoldが積算される。なお、Δyoldは、後述するように、消去される前のβ1に基づいて取得されるΔy1の値とされる。
以上に述べたように、現時点の時刻をtとし、過去の時刻τ0〜τnまでの変位に対する応答を積算するとともに、時刻τ0以前のばね下変位の増分Δyoldを加算することで第2変位量x2(t)を取得することができる。なお、ばね下変位がステップ状に変化するものとして第2変位量x2(t)を取得することもできる。その場合は、式(5−1)の右辺をΔy/sとし、それに合わせて以後の式を変形することができる。
以上に述べた演算は、連結部変位量推定部270によって行われる。なお、第1変位量x1(t)の取得は、前記S31〜S33(図9)と同様の処理によって行われるため、説明を省略する。
図16に、伸縮力発生部の伸縮量推定処理のフローチャートを示す。この処理は、図8(図11)のセンサ等異常時対処(B)プログラムのS12またはS26において行われる。
S81において、最新の相対変位量ΔLが記憶変数ynに入力される。S82において、ばね下変位の増分Δynと、ばね下変位速度βnとが取得される。なお、記憶変数yn-1には、前回実行時の相対変位量ΔLが記憶されているが、本処理が最初に実行された場合には、0が入力されている。
S83において、式(5−5)の演算が行われ、第2変位量x2(t)が取得される。Qiは、予め演算された値がROMに記憶されており、その値が読み出されて演算に用いられる。なお、ΣΔyoldは、本プログラムの前回実行時に演算された値がRAMに記憶されている。また、本処理が最初に実行された場合は0にされている。
S84において、第1変位量x1(t)と第2変位量x2(t)とが加算され、ばね上部に対する伸縮慣性部290の推定変位量xが取得される。また、その推定変位量xが推定伸縮量ΔAeとされる。S85において、式(6−5)の演算が行われ、本プログラムの次回実行時に用いられるΣΔyoldの値が求められる。なお、Δy1は、ばね下変位速度β1に微少時間dτが乗じられた値とされる。
S86において、番号の大きい記憶変数の値を小さいものに繰下げる処理が行われる。
以上に述べた処理によって得られた推定伸縮量ΔAeに基づき、S26において回転角が推定され、回転電気機械60の制御に用いられる。本実施例のように、ばね下変位を考慮して推定変位量x(伸縮量ΔA)を取得する態様は、ばね下変位によるばね下振動抑制部42の伸縮量が無視できない場合に好適である。なお、ばね下変位量yから推定変位量xを減じたものがばね下振動抑制部42の伸縮量となる。

本実施例において、第1変位量x1(t)が、「伸縮力伝達部たる連結部150(伸縮慣性部290の一部である)の変位に対する伸縮力の影響」を示しており、第2変位量x2(t)が、「伸縮力伝達部たる連結部150の変位に対するばね下部の変位の影響」を示している。
上記の推定変位量xを取得する処理は、相対変位センサ220によって相対変位量ΔLが取得できる場合のものであるが、相対変位量ΔLが取得できない場合に、伸縮力fと伸縮量ΔAとに基づいて相対変位量ΔLを取得することができる。この場合の処理について以下に説明する。
まず、上記の式(6−6)に着目する。伸縮力fに基づいて第1変位量x1(t)を取得できるが、相対変位量ΔLが不明であるため、第2変位量x2(t)を取得することができない。その第2変位量x2(t)は、式(5−5)によって取得されるのであるが、ここで、Qn・βnだけが不明であり、それ以前のデータ、例えば、ΣΔyoldやQn-1・βn-1等は既知であると仮定する。そして、図17に示すように、式(5−5)を変形した式(7−1)を得る。
再び式(6−6)に戻ると、変位量x(t)は伸縮量ΔAと等しいことから、回転角センサ78の検出値から取得することが可能である。そうすると、式(7−1)を式(6−6)に代入し、Qn・βnについて整理すると、式(7−2)が得られる。この式(7−2)の右辺は全て既知の値であり、これを計算することによってQn・βnの値を取得できる。この値をh(t)とおく。
ここで、式(7−3)に示すように、Qnの値は演算によって取得でき、また、予め演算された値がROMに記憶されている。よって、式(7−4)に示すように、h(t)をQnで割ることによってβnが得られる。そして、式(7−5),式(7−6)に示すように、βnに微少時間dτを乗じることによりばね下部の変位の増分Δynが得られ、そのΔynを、1つ前のばね下変位量yn-1に加えることによってばね下変位量ynが取得される。
以上の説明において、過去のデータが既知であると仮定していた。これは、相対変位量ΔLが既知の状態、例えば、運転開始時等の車両が平地に静止した状態では相対変位量ΔLが0であり、この状態からばね下変位の取得を開始すれば上記の演算を行うことができる。
以上に述べた演算は、伸縮量代替取得部268によって行われる。なお、第1変位量x1(t)の取得は、前記S31〜S33(図9)と同様の処理によって行われるため、説明を省略する。
図18に、相対変位量推定処理のフローチャートを示す。この処理は、図8(図11)のセンサ等異常時対処(B)プログラムのS12またはS18において行われる。なお、本処理がS12において行われた場合、S17,S18の処理が省略され、本処理がS18において行われた場合、S17の処理が省略される。
S91において、前述のS17と同様な処理により、伸縮量ΔAが取得される。S92において、式(7−2)の括弧内、つまり、第2変位量x2(t)から最新のばね下変位の項(Qn・βn)を除いた値であるx2oldが演算される。このx2oldの演算において、前述のS83と同様な処理が行われる。S93において、式(7−2)によってh(t)が求められる。その際には、変位量x(t)に伸縮量ΔAが用いられ、第1変位量x1(t)には前記S31〜S33(図9)と同様の処理によって取得された値が用いられる。
S94において、式(7−4)によってβnが求められる。なお、Qnは、ROMから読み出された演算値とされる。S95において、式(7−5),式(7−6)によってΔynおよびばね下変位量ynが求められる。このばね下変位量ynが、最新の相対変位量ΔLとされるのである。
S96,S97において、前述のS85,S86と同様の処理により、ΣΔyoldの取得と、繰下処理が行われる。
以上の処理により、伸縮量ΔAと伸縮力fとに基づいて、相対変位量ΔLを推定することができる。本処理は、ばね下部の変位によるばね下振動抑制部42の伸縮が無視できないような場合に好適である。
本実施例において、連結部変位量推定部270のうち、図16の伸縮量推定処理を実行する部分によって「対ばね上変位量推定部」が構成されている。また、伸縮量代替取得部268のうち、図18の相対変位量推定処理を行う部分によって「ばね下変位依拠第2伸縮随伴変動量取得部」が構成されている。
なお、本実施例において、車両が停止(車速=0)し、かつ、伸縮力fが0にされた状態が設定時間以上継続した場合、つまり、相対変位量ΔLおよびばね下変位量yが0の状態が継続した場合に、ばね下変位量の記憶変数y1〜ynおよびそれ以前の増分の積算値ΣΔyoldを0にする処理を行うことができる。この処理により、ばね下変位量の推定誤差の増大を回避することができる。また、伸縮量代替取得部268のうち、この処理を行う部分によって「定常時変位量推定部」が構成されている。
式(3−6),式(4−14),式(6−3)において、右辺に補正係数を乗じることもできる。その補正係数は、例えば、試験走行等によって定めることができ、変位量の推定精度を向上させることができる。
請求可能発明の実施例であるサスペンションシステムを模式的に示す図である。 上記サスペンションシステムのサスペンション装置の一部を示す正面図である。 上記サスペンション装置の接近離間力発生装置のステータとインバータとを模式的に示す図である。 上記インバータのスイッチング素子のON・OFFのタイミングを示す図である。 上記サスペンション装置を模式的に示すモデル図である。 ばね上部とばね下部とを固定したモデル図を示す図である。 上記モデルにおいて、伸縮慣性部の変位量を推定するための式等を示す図である。 上記回転角センサや相対変位センサの異常に対処するプログラムのフローチャートを示す図である。 上記プログラムにおける推定変位量演算処理のフローチャートを示す図である。 上記回転角センサ等の異常を検知するプログラムのフローチャートを示す図である。 上記とは別の回転角センサ等の異常に対処するプログラムのフローチャートを示す図である。 ばね上部を固定したモデル図を示す図である。 上記とは別の実施例において、ばね下変位を考慮して伸縮慣性部の変位量を推定するための式等を示す図である。 上記実施例において、伸縮慣性部の変位に対するばね下変位の影響を推定するための式等を示す図である。 上記伸縮慣性部の変位に対するばね下変位の影響を推定するための式等を示す図である。 ばね下変位を考慮して伸縮慣性部の変位量を推定する処理のフローチャートを示す図である。 伸縮力発生部の伸縮量とばね下固定時の推定変位量との差からばね下変位量を推定するための式等を示す図である。 伸縮力発生部の伸縮量とばね下固定時の推定変位量との差からばね下変位量を推定する処理のフローチャートを示す図である。
符号の説明
10:サスペンション装置 12:車輪 14:車体 20:接近離間力発生装置 22:アッパサポート(車体側連結部) 24:ロアサポート(車輪側連結部) 40:制御伸縮力発生部(伸縮力発生部) 42:ばね下振動抑制部(受動的伸縮部) 44:エアスプリング装置 60:回転電気機械(電気作動機械) 62:ボールねじ装置(運動変換装置) 72:回転軸 74:ロータ(回転子) 76:ステータ 78:回転角センサ 84:ねじロッド 94:ねじナット 100:弾性力発生部 102:減衰力発生部 104,106:圧縮コイルスプリング 150:連結部(伸縮力伝達部) 200:電子制御ユニット[ECU] 210:上下加速度センサ(加速度検出器) 212:車速検出装置 216:横加速度センサ 220:相対変位センサ 222:圧力センサ 224:イグニッションスイッチ 226:報知装置 230:インバータ 260:出力制御部 262:車高制御部 264:センサ等異常検知部 268:伸縮量代替取得部(異常時・代替取得装置) 270:連結部変位量推定部(伝達部変位量推定部) 290:伸縮慣性部

Claims (6)

  1. 車体と車輪との間に伸縮可能に設けられ、それらが接近離間する方向の力である接近離間力を発生させる接近離間力発生装置を含むサスペンションシステムであって、
    その接近離間力発生装置が、
    自身が有する電気作動機械の出力によって伸縮方向の力である伸縮力を発生させる伸縮力発生部と、
    その伸縮力発生部と直列に連結され、前記伸縮力に対する伸縮反力を生じさせつつ受動的に伸縮する受動的伸縮部と
    を含み、かつ、
    当該サスペンションシステムが、
    前記伸縮力発生部が発生させる伸縮力と、前記伸縮力発生部の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第1伸縮随伴変動量とに基づいて、前記接近離間力発生装置の伸縮方向の長さの変化に伴い変化する量である第2伸縮随伴変動量を取得することと、
    前記伸縮力と前記第2伸縮随伴変動量とに基づいて前記第1伸縮随伴変動量を取得することと
    の少なくとも一方を行う伸縮随伴変動量代替取得装置を含むことを特徴とする電気サスペンションシステム。
  2. 前記接近離間力発生装置が、前記伸縮力発生部と前記受動的伸縮部とが連結されて前記伸縮力発生部の伸縮力が前記受動的伸縮部に伝達される部分である伸縮力伝達部を含み、
    前記伸縮随伴変動量代替取得装置が、前記伸縮力発生部が発生させる伸縮力と前記受動的伸縮部がそれの伸縮状態に応じて発生させる伸縮反力との関係に基づき、前記伸縮力伝達部の変位量を推定する伝達部変位量推定部を含み、その伝達部変位量推定部によって推定された前記伸縮力伝達部の変位量と、前記第1伸縮随伴変動量と前記第2伸縮随伴変動量との一方とに基づいてそれらの他方を取得するものである請求項1に記載の電気サスペンションシステム。
  3. 前記伝達部変位量推定部が、車輪の軸線と共に上下動する構成要素の集合であるばね下部が変位しないものと仮定して、ばね下部に対する前記伸縮力伝達部の変位量を推定するばね下固定変位量推定部を含む請求項2に記載の電気サスペンションシステム。
  4. 前記伸縮量代替取得装置が、車体と共に上下動する構成要素の集合であるばね上部が変位しないものと仮定して、前記伸縮力発生部の伸縮方向の長さの変化量である第1伸縮量と、前記ばね下固定変位量推定部によって取得された推定変位量との差が、前記ばね下部の変位に起因するものであることに基づいて前記接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を取得するばね下変位依拠第2伸縮随伴変動量取得部を含む請求項3に記載の電気サスペンションシステム。
  5. 前記伝達部変位量推定部が、前記伸縮力伝達部の変位に対する前記伸縮力の影響と前記ばね下部の変位の影響とに基づいて、車体と共に上下動する構成要素の集合であるばね上部に対する前記伸縮力伝達部の変位量を推定する対ばね上変位量推定部を含む請求項2ないし4のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
  6. 当該サスペンションシステムが、前記伸縮力発生部の第1伸縮随伴変動量を検出する第1伸縮随伴変動量検出装置と、前記接近離間力発生装置の第2伸縮随伴変動量を検出する第2伸縮随伴変動量検出装置とを含み、
    前記伸縮随伴変動量代替取得装置が、前記第1伸縮随伴変動量検出装置と前記第2伸縮随伴変動量検出装置との一方が異常である場合に、それらの他方の検出値に基づき、それらの一方の検出値に基づいて取得される値を取得する異常時・代替取得部を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電気サスペンションシステム。
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