JP2009085255A - 真空断熱材およびそれを用いた機器 - Google Patents

真空断熱材およびそれを用いた機器 Download PDF

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Hisashi Echigoya
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Katsumi Fukuda
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Toshimitsu Tsuruga
俊光 鶴賀
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Abstract

【課題】
断熱特性の経時劣化を抑えた真空断熱材、およびそれを備えた機器を提供する。
【解決手段】
無機繊維の芯材と、ゲッター剤と、前記芯材およびゲッター剤を覆う外被材とを備え、前記外被材の周縁部を密閉封止する溶着層とガスバリア層を有し、前記外被材の内部を減圧した真空断熱材であって、前記ガスバリア層の部材中に疎水性を有する層状粘土質材および高分子材を用いたことを特徴とする真空断熱材である。このような真空断熱材は冷蔵庫や冷凍庫等のほか、給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール等の高温,高湿度部材に適用できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱影響を遮断する真空断熱材に関し、特に高温,高湿度条件で使用可能な真空断熱材と、それを用いた機器に関する。
地球温暖化に対する観点から、家電品を含め種々の製品に対し消費電力等のエネルギー削減が望まれている。これまで、熱伝導率を低減した真空断熱材が開発され、冷蔵庫や冷凍庫等に多く使用されている。例えば、冷蔵庫内の負可量が一定であれば、冷却用圧縮機の効率や熱漏洩量に関与する断熱材の断熱性能を向上させることにより、冷蔵庫の消費電力を削減できる。真空断熱材の構造は、芯材となるコア材、アウトガスを吸着するゲッター剤を外被材に入れ、内部を真空排気し減圧するものである。真空断熱材は発泡ウレタン等の断熱材に比べ熱伝導率が非常に優れる。現在用いられている真空断熱材の外被材は、ガスバリア層に有機フィルムを接着剤で接着したラミネート法で作製されているものが多い。
さらに、近年では、給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール,太陽集熱装置等の高温,高湿度部材の周辺へも真空断熱材の適用が望まれている。高温,高湿度条件で使用するため、外被材のガスバリア層に無機化合物を導入させた真空断熱材の開発が進められている。
特開2006−29686号公報(特許文献1)は、エチレンービニルアルコール共重合体と無機系材料をハイブリッド混合した補強層をアルミニウム箔等と併せて用いた多層樹脂フィルムよりなる外被材を使用することが開示されている。特開2006−77799号公報(特許文献2)には、ポリエチレン等よりなるシーラント層をアルミニウム箔等と併せて用いた外被材を使用することが開示されている。特開1999−257573号公報(特許文献3)には、ゲッター剤として鉄粉、ペレットやシート状の鉄粉を含有する樹脂成形体、合成ゼオライト,ジルコニウム合金やバリウム−リチウム合金を併用することが開示されている。また、アルミニウム箔以外のガスバリア層として、特開1999−182781号公報には、(特許文献4)には、樹脂と無機層状化合物からなるガスバリア層を用いた真空断熱材が開示されている。
特開2006−29686号公報 特開2006−77799号公報 特開1999−257573号公報 特開1999−182781号公報
給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール,太陽集熱装置等の高温部材の周辺で使用される真空断熱材は高温・高湿度で長時間耐えられる外被材が必要である。特許文献1ないし3で使用されるアルミニウム箔は長期にわたって高真空度の維持ができ、ガスバリア層として優れるものの、熱伝導率が大きいという問題がある。一方、熱電導率を低くするためアルミニウムを薄箔とすると、薄いほどピンホールが多く存在し、ガスバリア性が低下する。アルミニウム箔に変わるものとして、アルミニウム蒸着が存在するが、アルミニウム箔よりも水分およびガス透過性が高いため、アルミニウム箔から構成される真空断熱材に比べ、熱伝導率の経時劣化が大きい。
また、特許文献4に記載される樹脂と無機層状化合物からなるガスバリア層を用いた真空断熱材も、更なる断熱性能の向上が求められている。
そこで、本願発明の特徴は、アルミニウムを使用せずとも長期間高い断熱効果を奏する外被材を有する真空断熱材を提供することにある。また、その真空断熱材を用い、エネルギー消費量を低減した給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール,太陽集熱装置等の機器を提供することにある。
上記課題を解決する本願発明の真空断熱材は、無機繊維の芯材と、水分や大気成分を吸着し、内部の真空を保つためのゲッター剤と、前記芯材およびゲッター剤を覆う外被材とよりなり、外被材の内部を減圧した真空断熱材であって、前記外被材は水分およびガス透過性の低いガスバリア層を有する。本願発明の特徴は、前記ガスバリア層として、疎水性を有する無機層状化合物、特に層状粘土質材と高分子材との混合物を用いたことにある。
無機層状化合物は、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を有している無機層状粘土質材、特に三層構造の結晶からなるスメクタイト粘土が好ましい。
また、高分子材として、疎水性の高分子材を使用することが望ましい。
上記構成によれば、高い断熱性能を有する真空断熱材を提供できる。また、長期間エネルギー消費量を低減しうる給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール,太陽集熱装置等の機器を提供できる。
以下、さらに具体例を用いて本発明の説明を行う。真空断熱材は、冷蔵庫等の機器に使用され、機器と外気、もしくは機器内発熱部の熱影響を遮断し、製品の消費エネルギー・消費電力量を低減する。本願発明者らは、断熱効果の向上のため、疎水性の無機層状化合物を樹脂などの高分子材中に分散させ、外被材とすることで高い断熱性能を有する真空断熱材を得た。
高温を発生・保持する給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール,太陽集熱装置等では、高温,高湿度の条件での保温が必要である。そのため、上記機器の保温に用いられる真空断熱材、例えば、給湯器,電器温水器等では、水を沸騰させることがあるため、少なくとも110℃以上の条件での使用に耐えうる必要がある。また、高湿度条件としては、60℃で80%以上の条件が想定される。高温・高湿度の条件では、真空断熱材内部の気圧が上昇し、熱伝導率が増加しやすい。このような条件下においても長期間にわたり断熱効果を有し、機器の消費エネルギー低減効果を維持するための真空断熱材は非常に有用である。本願発明者らは、ガス進入の低減と水蒸気透過率の低減を両立させるため、疎水性の高分子材と組み合わせて外被材の検討を行った。上記構成によれば、高温,高湿度条件でも長期間のガスバリア性に優れた外被材を提供でき、長期信頼性に優れる機器を提供できる。
以下、真空断熱材、該真空断熱材を挿入した機器の例とその製法について、図面を参照して説明する。
図1に、従来の真空断熱材例の構造を示す。図1(a)は全体の断面模式図であり、図1(b)は図1(a)の溶着部を含めた拡大図である。真空断熱材の外被材は、周縁部を密閉封止する溶着層,ガスバリア層,外部衝撃等を避けるためのオーバーコート層を有する。ガスバリア層はアルミニウム箔や、アルミニウム蒸着層である。真空断熱材の芯材は、結合剤を含有しないグラスウール等の無機繊維である。ゲッター剤を芯材とともに外被材で覆い、内部を減圧して溶着層で封止する。
図2には、本実施例の真空断熱材の構造を示す。図1と同様に、図2(a)は全体の断面模式図であり、図2(b)は図2(a)の溶着部を含めた拡大図である。本実施例の外被材も、従来と同様に溶着層,ガスバリア層,オーバーコート層よりなる。図のように本実施例の真空断熱材は、無機繊維の芯材と、ゲッター剤と、前記芯材およびゲッター剤を覆う外被材とを備え、外被材内部を減圧された構成を有する。外被材には溶着層と、気体・液体等を遮断するガスバリア層とを有し、外被材は溶着層により芯材の周縁部で密着封止されている。ガスバリア層として、疎水性の無機層状化合物と高分子材を含有する層を用いている。
無機層状化合物としては、粘土鉱物,グラファイト,リン酸塩化合物,カルコゲン化物等がある。無機層状化合物は、その直径と厚みの比(アスペクト比)が大きい偏平形状であるため、ガスバリア層中に混合することで水分およびガスの進入を防止することができる。層状粘土質材は無機物で結晶性を有し、厚み方向にガス分子の透過が少ない。また、偏平形状であるため、厚み方向に積み重なりやすい。層状粘土質材が厚み方向に積み重なることにより、ガス分子の透過には層状粘土質材を迂回しなければならず、曲路効果でガスバリア性が発揮されると推察される。上記の構成によれば、アルミニウム層を使用しなくとも長期のガスバリア性に優れる。但し、層状粘土質材は、混合量が多すぎると、クラックが生じやすくなる場合がある。
無機層状化合物は、疎水性を有することが好ましい。親水性の粘土を使用すると、膜中に残留する水分の断熱材内部への侵入や、成膜後に外気中の水蒸気が透過する可能性があり、熱電導率の増加、また高温,高湿度下でのさらなる熱伝導率の劣化を招く。疎水性を有する層状粘土質材はモンモリロナイト,サポナイト,雲母のいずれか、または混合物が例示され、特にモンモリロナイトが好ましい。モンモリロナイトは扁平形状を有し、その大きさは長径が1μm〜10μm、厚さが1nm〜100nm程度であり、平板性と表面電荷により容易に被膜作成が可能である。
粘土質材は通常、表面に水酸基を有し、層間に無機カチオンを有することから親水性の性質を示す。親水性の無機層状化合物には、水分が残留する場合がある。親水性の粘土質材を水に分散し、水溶性の高分子と混合して容易に皮膜とすることができるが、このような親水性を示す物質をガスバリア膜とした場合、膜中へ水分が浸入・拡散し、内部のガスが増加して、熱伝導率が低下する場合がある。また、温度や湿度の高い条件ではさらに水蒸気が透過しやすくなり、充分なガスバリア性能の発揮が困難である。
従って、本発明では従来からの親水性層状粘土質材および水溶性高分子の組み合わせを用いることなく、疎水性の層状粘土質材を使用しガスバリア層とすることを検討した。さらには疎水性の層状粘土質材を疎水性の高分子材を組み合わせた。その結果、十分なガスバリア性を有し、また温度や湿度の高い状態でも熱伝導率の経時劣化を抑制しうることを見出した。本発明の特徴は、疎水性の層状粘土質材を高分子材中に混合したことにある。親水性の粘土質材でも、層間に存在する無機カチオンを有機カチオンに置換することにより、粘土質材を疎水性として高分子材中に混合できる。
高分子材は、高温・高湿度下での長期使用のためには疎水性であることが好ましい。ポリビニルアルコール等のように水に溶解する樹脂をガスバリア層に使用すると、特に高温の条件ではポリビニルアルコール中に残留する水分(水分残渣)や水蒸気の透過により内部のガスが増加し、熱伝導率が低下する場合があるためである。水蒸気透過度が100cc/m2・day(厚さ25μm,60℃/80%Rhの条件)以下となるものがよい。例えば、ポリメチルメタアクリレート,ポリアクリロニトリル,ポリアクリルースチレン,ポリアクリロニトリルーブタジエン,ポリアミド,ポリイミドが挙げられ、これらのいずれかまたは混合物を主成分とするものがよい。疎水性の無機層状化合物と疎水性の高分子材を組み合わせ使用することで、長期使用に適した真空断熱材となる。
疎水性の高分子材と、疎水性の層状粘土質材を用いれば、高温(110℃),高湿度(60℃80%)条件でも水蒸気透過を抑えることができ、熱伝導率の経時劣化が小さく、耐久性の高い真空断熱材を提供可能である。また、外被材のガスバリア層部材としてヒートブリッジの大きいアルミ箔を使用しなくともよいため、さらにヒートブリッジを小さくし、断熱性能を向上させることができる。
外被材としては、適宜他の層を組み合わせて設けてもよい。上記の無機層状化合物層によればアルミニウム箔等を使用しない場合にも、断熱効果の向上を図ることができるが、アルミ箔は特に高い真空度の長期間維持に有効なため、上記の無機層状化合物層と組み合わせるとさらに長期間の耐久性が得られる。従来のガスバリア層の例としては、アルミ箔,アルミ蒸着膜,エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム,ポリエステルフィルム等を貼り合わせたものがある。また、さらにオーバーコート層としてナイロンフィルムを貼り付け、溶着層にはポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムを用いて外被材とする。このような構成のガスバリア層のいずれかを上記無機層状化合物層と置換したり、無機層状化合物層を追加してもよい。
通常、アルミニウムの熱伝導率が大きいため、アルミニウムを使用する場合には、アルミニウムの薄箔(約6μm)を使用する。またアルミニウム箔は薄いほどピンホールが多く存在し、ガスバリア性が低下するため、樹脂層(エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム,ポリエステルフィルム,ポリエステルフィルム,ナイロンフィルム,ポリビニルアルコール,ポリアクリロニトリル,エチレンービニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン,多糖類,ポリアクリル酸およびそのエステル類等)を数層ラミネートさせて、アルミニウム箔のピンホールを補って使用する。ポリビニルアルコール(PVA),ポリエチレンビニルアルコール(EVOH),ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の樹脂は、ガスバリア性が高く好ましい。水溶性樹脂(ポリビニルアルコール等)を使用する場合には、残存する水分により熱伝導率が劣化する場合があるので、配置や組み合わせの工夫が必要となる。また、ポリビニルアルコール(PVA),ポリエチレンビニルアルコール(EVOH)のような水酸基による水素結合によってバリア性を発揮されている高水素結合性樹脂は、高温および高湿度でのバリア性が急激に低下する場合があるので使用する条件にも留意する。また、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)は塩素化合物であるため、焼却時にダイオキシンが発生する問題があり、使用を極力抑える必要がある。また、このような樹脂層に無機材料を混合したハイブリッド混合材を使用してもよい。混合する無機化合物としては、モンモリロナイト,マイカ,ヘクトライト,サポナイト等が挙げられる。
真空断熱材の芯材(コア材)としては、結合材を有さない無機繊維(グラスウール等)がよい。また、グラスウールの芯材では繊維径が数μm以下のグラスウールでニードリングした短繊維が好ましい。特に平均繊維径が3〜5μmのグラスウールを用いることが好ましい。他には、コア材として、粉体や樹脂フォームのコア材(パーライト,シリカ,沈降シリカ粉末,ガラスウール,ロックウール,連続発泡樹脂による発泡体)を用いる。ただし、無機粉体,ロックウール,連続発泡樹脂等を用いると、熱伝導率が高くなりやすい(通常5mW/m・K以上)。パーライトは、固体自体の熱伝導が大きく、微粉末では断熱に必要な空間容積が少なくなってしまうため、また、連続気泡の樹脂フォームは気泡セルの大きさに強度的限界があるのでやはり空間容積が少なく場合があるためである。
ゲッター剤としては、モレキュラーシーブ等の疎水性の合成ゼオライトを用いることが好ましい。その他、鉄粉,合成ゼオライト,ジルコニウム合金やバリウムーリチウム合金が挙げられる。
真空断熱材は、特に、被保温部と、前記被保温部の温度状態を保つための断熱部材とを有する断熱箱体に断熱部材として用いられる。本実施例の真空断熱材を使用すると、外被材のガスバリア性が向上するので、熱伝導率の小さい断熱箱体が得られる。低温の被保温部を有する冷蔵庫・冷凍庫等にも有効であるが、特に高温の被保温部を有する給湯器,電気温水器,保温浴槽,インバーターモジュール,太陽集熱装置等の機器に有効である。これらの機器は、熱の移動が少なく、消費電力量の少ない省エネ機器となる。
〔実施例〕
本発明者らは、ガスバリア性を向上させるためにガスバリア層に混合する無機層状化合物として、疎水性の層状粘土質材を選定した。疎水性のモンモリロナイト等の層状粘土質材は親水性の粘土質材の層間に存在する無機カチオンを有機カチオンに置換することで得られる。モンモリロナイト等に含まれる親水性無機カチオンは有機カチオンとのイオン交換が可能であり、イオン交換反応により有機カチオンへ置換すると、モンモリロナイト等は疎水性を帯びる。疎水性の層状粘土質材は高分子中にも分散させることができる。
層状粘土質材の具体例としては、例えば、クニミネ工業のクニピアD,コープケミカル社のルーセンタイトSAN,ルーセンタイトSTN,ルーセンタイトSPN等の商品を挙げることができる。
層状粘土質材の親水化は、層状粘土のナトリウムやマグネシウム等の交換性無機イオンを有機イオンでイオン交換することにより行われ、その結果、有機化された層状粘土質材が生成する。イオン交換には、有機オニウムイオンを使用でき、例えば、アンモニウムイオン,ピリジニウムイオン,スルホニウムイオン,ホスホニウムイオンがある。特に、有機アンモニウムイオンが使用しやすい。例えばドデシルアミン,テトラデシルアミン,ヘキサデシルアミン,オクタデシルアミン等の有機アミンを塩酸等によりカチオン化したアルキルアミン塩酸塩やテトラアルキルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩を使用して、有機アンモニウムイオンとイオン交換し、層状粘土質材を有機化することが可能である。その際、層状粘土質材の陽イオン交換量と当量の有機アンモニウムイオンを使用するのが望ましい。
イオン交換時の溶媒には、層状粘土質材の分散性より、水,アルコール等のプロトン性溶媒を使用することができる。イオン交換の方法は、層状粘土質材を水,アルコール等で十分溶媒和させた後に有機アンモニウムイオンを加え、更に撹拌して、層状粘土質材の層間に無機イオンを有機アンモニウムイオンで置換させる。その後、イオン交換された疎水性の層状粘土質材を十分に洗浄し、ろ過,乾燥して使用する。このようにして得られる疎水性の有機化層状粘土質材は、主成分であるシリケート層の層間に有機アンモニウムイオンが挿入され、イオン的な相互作用でシリケート表面に吸着した挿入構造を有すると考えられる。この構造により、高分子材をその層間に呼び込みやすくなる。なお挿入構造は広角または小角のX線散乱分析による層間間隔の定量化が可能である。
また、テトラアルキルアンモニウム塩を用いて作製した疎水性の層状粘土質材をフーリエ変換赤外分光装置で分析した結果、テトラアルキルアンモニウムベントナイトに起因するピークが観察された。従って、テトラアルキルアンモニウム塩は層状粘土質材と化学的に結合していることがわかる。さらに、テトラアルキルアンモニウム塩を用いて作製した疎水性の層状粘土質材を加熱し発生したガスをガスクロマトグラフで分析したところ、テトラアルキルアンモニウム塩の分解生成物である3級アミンが検出された。このことからも層状粘土質材と化学的に結合していることがわかる。
高分子材と疎水性の層状粘土質材とを分散させ、混合するための溶媒としては、例えば、トルエン,キシレン,テトラヒドロフラン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,ヘキサン,メタノール,エタノール,イソプロパノール,酢酸エチル,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,メチルセルソルブ等を使用できる。
混合する高分子材は、従来使用していた親水性高分子に代えて、疎水性のものとすることが好ましい。また、高分子材の水蒸気の透過度が低いものが好ましい。即ち、20μm厚さ高分子膜の高湿度条件下における透湿度が100cc/m2・day(40℃、90%RH)以下であるものがよい。疎水性の高分子材の具体例としては、ポリメチルメタアクリレート,ポリアクリロニトリル,ポリアクリルースチレン,ポリアクリロニトリルーブタジエン,ポリアミド,ポリイミド等が挙げられる。ガスバリア層の厚さは特に限定されないが、10nmから50μmが好適である。ガスバリア層が10nm以下になると厚さの調整や扱いに留意しないとガスバリア性が低くなる場合がある。また、ガスバリア層を50μmより厚くしてもガスバリア性の向上の効果は得られず、さらにクラックが入りやすくなる。
外被材のガスバリア層は、支持体表面に塗工,乾燥して製造できる。塗工方法にはロールコーティング法,ダイレクトグラビア法,ディプコート法,ドクターナイフ法,ダイコート法,ブレード法,バーコーティング法,スプレー法,浸漬,刷毛塗り等が使用できる。また、乾燥方法としては、熱風,乾燥空気,赤外線,マイクロ波等を用いた乾燥が任意に使用できる。乾燥温度に特に制限はないが、好ましくは50〜120℃である。ガスバリア層は、複数層からなる積層体としてもよい。
ガスバリア層上に溶着層やその他のフィルムを積層し、ヒートシール性の向上,防湿性の向上,突き刺し強度の向上を図ることができる。積層するフィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルム,アルミ蒸着フィルム,シリカや無機蒸着フィルム等を使用できる。熱可塑性フィルムの積層方法としては、ガスバリア層に接着剤層を設け、熱可塑性樹脂フィルムを積層するドライラミネート方式,ガスバリア層上に熱可塑性樹脂を溶融押出しして熱可塑性樹脂層を設ける溶融押し出しラミネート方式,ガスバリア層と熱可塑性樹脂を熱ロールで圧着させる熱圧着方式等が挙げられる。
外被材には支持体となるオーバーコート層を設けることができ、形状は合成樹脂フィルム,シート,成形体から適宜選択できる。合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,脂環式構造のポリオレフィン樹脂,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートのエステル樹脂,ナイロン6,ナイロン66のポリアミド樹脂,ポリ乳酸,ポリカプロラクトンの生分解性樹脂,ポリメチルメタクリレートのアクリル樹脂,ポリアクリロニトリル等の樹脂が挙げられる。
これらの樹脂の中でもポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ナイロン66のフィルムやシートが好適に使用される。また、フィルムは無延伸,一軸延伸や二軸延伸のフィルムを使用することもできる。これら合成樹脂の支持体にガスバリア層を積層する場合、支持体上に直接積層させてもよいし、密着性を向上させるために合成樹脂表面を処理してから積層してもよい。合成樹脂表面の処理方法としては、コロナ放電処理,プラズマ放電処理,電子線処理,紫外線処理,酸処理等である。
無機繊維の芯材は、グラスウールが好ましい。グラスウールの平均繊維径は3〜5μmのものが好ましい。グラスウールは平均繊維径により熱伝導率やコストが大きく異なる。この範囲の繊維径のものは、熱流路がジグザクとなり接触抵抗以外でも熱抵抗を増大させ、熱伝導率を低くできる。また、結合材や、アウトガスが生じるバインダーを含まないものが好ましい。熱伝導率の劣化を避けるためである。
ゲッター剤は、乾燥させて水分やガス成分を除去して使用することで、熱伝導率の低減に寄与する。特に、減圧工程以前に乾燥させた後、外部からの水分等が再び吸着しにくいモレキュラーシーブ等、疎水性の合成ゼオライトが好ましい。適宜、シリカゲル,酸化カルシウム,合成ゼオライト,活性炭等を混合して使用することもできる。
本発明の真空断熱材は真空断熱材の使用が高温,高湿の環境下となる給湯器,電気温水器,保温浴槽等に好適であるが、冷蔵庫などの低温状態で使用する断熱材にも使用できる。
以下、各実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本実施例において行った、水蒸気透過度、クラック有無の測定方法は下記の通りである。
<水蒸気透過度>
JIS K 7126に準じた差圧式のガスクロ法で加湿下(40℃・90%RH)の条件でGTRテック社製のGTR−100で測定を行った。
<クラック有無>
外被材の溶着層であるポリプロピレンフィルムにアルミ蒸着を形成した支持フィルムに、層状粘土質材と高分子材で調合した溶液を塗布,乾燥し、その試験試料を用いて、コーテック社製の円筒形マンドレル屈曲試験機でクラックの有無を測定した。
表1に、各実施例及び比較例の真空断熱材で用いた芯材、外被材のガスバリア層(層状粘土質材,高分子材),水蒸気透過度,クラック有無,初期熱伝導率,経時劣化後の熱伝導率を示す。本発明に使用した外被材の溶着層,ガスバリア層,オーバーコート層の材料組成や、真空断熱材の作製方法,熱伝導率の評価方法については、各実施例で詳細に説明する。
Figure 2009085255
本実施例は疎水性モンモリロナイトとポリメチルメタアクリレートとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として疎水性モンモリロナイト(クニミネ工業(株);クニピアD)、疎水性高分子材としてポリメチルメタアクリレートを用い、層状粘土質材に対し高分子材を4:1の割合(トルエン溶媒,不揮発分3%)で配合し、分散させてガスバリア性溶液(MA塗布液)を調合した。
外被材の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとした。その上にアルミ蒸着を形成し支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にMA塗布液をロールコーティング法で塗布し、ガスバリア層を形成した。ガスバリア層の厚みは約10μmとした。ガスバリア層上に、オーバーコート層としてアルミ蒸着を付された厚さ12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートし、外被材を作製した。
アルミ蒸着された上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径3μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mm)および疎水性のゲッター剤を挿入し、真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約10mmであった。英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、2.2mW/m・Kであった。70℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は2.8mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。
(実施例1の真空断熱材を用いた冷蔵庫例)
実施例1の真空断熱材を冷蔵庫の箱体中の断熱部に挿入して使用した。本例は、冷蔵庫の庫内スペースの周辺に使用した例である。図3に、本実施例の冷蔵庫の断面模式図を示す。真空断熱材を設けない場合と比して、冷蔵庫の消費電力量が約5%削減された。また、断熱効果は長期間維持が可能となる。更に、真空断熱材を用いることにより、従来の断熱材よりも断熱層を薄くでき、装置容積に対して庫内スペースを広くすることができる。図面より明らかな通り、冷蔵庫の周囲の特に平面部に好適に使用できるが、折り曲げた形状とすることで全面を覆うことも可能である。また、従来使用していた断熱材(ポリウレタン等)で真空断熱材の隙間を埋めることで、さらに高い断熱性能を発揮しうる。
本実施例は、疎水性モンモリロナイトとポリアクリロニトリルとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材に疎水性モンモリロナイト(コープケミカル(株);ルーセンタイトSAN)、疎水性高分子材としてポリアクリロニトリルを使用し、3:1の配合割合(トルエン溶媒,不揮発分4%)で配合・分散させてガスバリア性溶液(MB塗布液)を調合した。
実施例1と同様に、外被層の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとし、その上にアルミ蒸着膜を形成して支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にMB塗布液をロールコーティング法で塗布し、約10μmのガスバリア層を形成した。ガスバリア層上にはオーバーコート層として、アルミ蒸着された12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートさせ、外被材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径3μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mm)および疎水性のゲッター剤を挿入し、真空包装機の真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約10mmであった。実施例1と同様に英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、2.5mW/m・Kであった。110℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は3.2mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は高温環境下においても、熱伝導率の経時劣化が少なく、熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。
(実施例2の真空断熱材を用いた給湯器例)
実施例2の真空断熱材を給湯器の貯湯タンクの周辺に使用した。図4に本実施例の給湯器の断面模式図を示す。給湯器の周辺部は高温(100℃以上)となるため、従来は真空断熱材を敷設できなかった。実施例2の真空断熱材を使用したところ、真空断熱材を設けない場合と比して、給湯器の消費電力量が約3%削減された。更に、本実施例の真空断熱材を用いることにより、従来の断熱材よりも断熱層を薄くできるので、装置容積に対して貯湯タンクの容量を大きくすることが可能となった。また、本実施例の真空断熱材の断熱効果は長期間維持が可能である。
本実施例は、疎水性モンモリロナイトとポリアクリルースチレンとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として疎水性モンモリロナイト(コープケミカル(株);ルーセンタイトSTN)、疎水性高分子材としてポリアクリルースチレンを使用し、2:1の配合割合(キシレン溶媒,不揮発分3%)で配合・分散させてガスバリア性溶液(MC塗布液)を調合した。
外被材として、第一層として厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンを用い、その上にアルミ蒸着層を形成した。また、第二層として、厚さ25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム上にアルミ蒸着層を形成した。第一層と第二層とをドライラミネートで積層した。その後、2軸延伸ポリプロピレンフィルム面にロールコーティング法でMC塗布液を塗布し、約10μmのガスバリア層を形成した。このガスバリア層は、オーバーコート層を兼ねる。このようにして作製した外被材を用い、真空断熱材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径5μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×120mm)および疎水性のゲッター剤を挿入し、真空包装機の真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約12mmであった。実施例1と同様に英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、2.9mW/m・Kであった。110℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は3.6mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は高温環境下においても、熱伝導率の経時劣化が少なく、熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。
(真空断熱材実施例3を用いた電気温水器例)
実施例3の真空断熱材を電気温水器の庫内スペース、特に貯湯タンクの周囲に使用した。図5に、本実施例の電気温水器の断面模式図を示す。電気温水器の周辺部も高温であるので、従来は真空断熱材を敷設できなかった。実施例3の真空断熱材を使用したところ、真空断熱材を設けない場合と比して、消費電力量が約3%削減された。本実施例の真空断熱材を用いることにより、従来の断熱材よりも断熱層を薄くできるので、装置容積に対して貯湯タンクの容量を大きくすることが可能となった。また、本実施例の真空断熱材の断熱効果は長期間維持が可能である。
本実施例は、疎水性モンモリロナイトとポリアクリロニトリルーブタジエンとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として疎水性モンモリロナイト(クニミネ工業(株);クニピアD)、疎水性高分子材としてポリアクリロニトリルーブタジエンを使用し、2:1の配合割合(トルエン溶媒,不揮発分3%)で配合・分散させてガスバリア性溶液(MD塗布液)を調合した。
実施例1と同様に、外被層の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとし、その上にアルミ蒸着膜を形成して支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にMD塗布液をロールコーティング法で塗布し、約10μmのガスバリア層を形成した。ガスバリア層上にはオーバーコート層として、アルミ蒸着された12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートさせ、外被材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径3μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mm)および疎水性のゲッター剤を挿入し、真空包装機の真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約10mmであった。実施例1と同様に英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、2.5mW/m・Kであった。また、60℃,80%の高湿度条件で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は3.2mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、高湿度条件で経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は高湿度環境下においても、熱伝導率の経時劣化が少なく、熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。
(実施例4の真空断熱材を用いた保温浴槽例)
実施例4の真空断熱材を浴槽の周囲に挿入して使用し、保温浴槽とした。図6に本実施例の保温浴槽の断面図を示す。保温浴槽の周辺部は高温であり、従来は真空断熱材を敷設できなかった。実施例4の真空断熱材を使用したところ、真空断熱材を設けない場合と比して、消費電力量が約4%削減された。本実施例の真空断熱材を用いることにより、従来の断熱材よりも断熱層を薄くできるので、浴室や浴槽を広くすることが可能である。また、本実施例の真空断熱材の断熱効果は長期間維持できる。
本実施例は、疎水性モンモリロナイトとポリアミドとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として疎水性モンモリロナイト(コープケミカル(株);ルーセンタイトSEN)、疎水性高分子材としてポリアミドを使用し、1:1の配合割合(ジメチルホルムアミド溶媒,不揮発分5%)で配合・分散させてガスバリア性溶液(ME塗布液)を調合した。
実施例1と同様に、外被層の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとし、その上にアルミ蒸着膜を形成して支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にME塗布液をロールコーティング法で塗布し、約10μmのガスバリア層を形成した。ガスバリア層上にはオーバーコート層として、アルミ蒸着された12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートさせ、外被材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径4μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×80mm)および疎水性のゲッター剤を挿入し、真空包装機の真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約8mmであった。実施例1と同様に英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、2.9mW/m・Kであった。110℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は3.6mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は高温環境下においても、熱伝導率の経時劣化が少なく、熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。
本実施例は、疎水性モンモリロナイトとポリイミドとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として疎水性モンモリロナイト(コープケミカル(株);ルーセンタイトSPN)、疎水性高分子材としてポリイミドを使用し、1:1の配合割合(ジメチルホルムアミド溶媒,不揮発分6%)で配合・分散させてガスバリア性溶液(MF塗布液)を調合した。
実施例1と同様に、外被層の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとし、その上にアルミ蒸着膜を形成して支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にMF塗布液をロールコーティング法で塗布し、約10μmのガスバリア層を形成した。ガスバリア層上にはオーバーコート層として、アルミ蒸着された12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートさせ、外被材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径3μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mmおよび疎水性のゲッター剤を挿入し、真空包装機の真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約10mmであった。実施例1と同様に英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、2.8mW/m・Kであった。60℃、80%の高湿度条件で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は3.5mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、高湿度条件下での経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は高湿度環境下においても、熱伝導率の経時劣化が少なく、熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。
本発明のガスバリア層として、層状粘土質材に疎水性モンモリロナイト(クニミネ工業(株);クニピアD)および疎水性高分子材としてポリカーボネートを4:1の配合割合(トルエン溶媒,不揮発分3%)で分散させたガスバリア性溶液(MG塗布液)を調合した。その後、外被材の第1層には溶着層として、厚さ50μmのポリプロピレンフィルム上にアルミ蒸着を形成した支持フィルムを用いた。その後、第1層上のアルミ蒸着上に第2層のMG塗布液をロールコーティング法で約10μmのガスバリア層を形成し、更に、第3層にオーバーコートとして、アルミ蒸着された12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートさせて外被材を作製した。
真空断熱材は、アルミ蒸着された上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着後、平均繊維径3μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mm)および疎水性のゲッター剤を挿入後、真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまで真空包装機のロータリーポンプ10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後、端部をヒートシールで封止した。
このようにして得られた真空断熱材(厚み:約10mm)の熱伝導率を測定した。英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて20℃の条件で初期熱伝導率は、2.2mW/m・Kで、断熱性能に優れた。70℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は8.0mW/m・Kを示した。このことから、疎水性樹脂の水蒸気透過度が高いもの(100g/m2・day以上)を使用する場合には熱伝導率の経時劣化を抑制するため、通常条件での使用が適する。
〔比較例1〕
比較例1は、親水性のモンモリロナイトと、水溶性のポリビニルアルコールとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として親水性のモンモリロナイト(クニミネ工業(株);クニピアF)、高分子材として水溶性のポリビニルアルコールを使用し、1:1の配合割合(トルエン溶媒,不揮発分3%)で配合・分散させてガスバリア性溶液(MH塗布液)を調合した。
実施例1と同様に、外被層の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとし、その上にアルミ蒸着膜を形成して支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にMH塗布液をロールコーティング法で塗布し、約15μmのガスバリア層を形成した。
しかし、支持フィルムとガスバリア層との密着性が低く、剥がれが生じると共にクラックが発生した。ガスバリア層上にはオーバーコート層として、12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートさせ、外被材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径6μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mm)および合成ゼオライトのゲッター剤を挿入し、真空包装機の真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約10mmであった。実施例1と同様に英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、4.2mW/m・Kで高かった。また、70℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は9.6mW/m・Kを示した。このことから、親水性のモンモリロナイトおよび水溶性の高分子材であるポリビニルアルコールを用いた場合は、疎水性の粘度質材を使用した場合に比して断熱性能が低かった。またクラックが発生すると共に熱伝導率の経時劣化も大きく実用上問題を有する状態であった。また、ヒートブリッジも大きくなり熱伝導率の劣化を抑制できないことが判った。なお、初期熱伝導率が大きくなったことについては、グラスウールの平均繊維径が6μmと大きくなったためである。
〔比較例2〕
本比較例は、親水性モンモリロナイトと水溶性高分子としてメチルセルロースとを用いたガスバリア層の例である。比較例1と同様に、層状粘土質材として親水性の層状粘土質材のモンモリロナイト(クニミネ工業(株);クニピアF)、高分子材として水溶性のメチルセルロースを用い、層状粘土質材に対し高分子材を2:1の配合割合(トルエン溶媒,不揮発分3%)で分散させたガスバリア性溶液(MI塗布液)を調合した。
外被材の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとした。その上にアルミ蒸着を形成し支持フィルムとした。アルミ蒸着層上にMI塗布液をロールコーティング法で塗布し、ガスバリア層を形成した。ガスバリア層の厚みは約10μmとした。しかし支持フィルムとガスバリア層の密着性が低く、ガスバリア層の剥がれが生じるとともに、クラックが発生した。そのまま第3層のオーバーコート層としてアルミ蒸着を付された厚さ12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートし、外被材を作製した。
アルミ蒸着された上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着したのち、平均繊維径4μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×80mm)および合成ゼオライトのゲッター剤を挿入し、真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約8mmであった。英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、4.0mW/m・Kであった。110℃で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は14.5mW/m・Kを示した。このことから、親水性のモンモリロナイトを層状粘土質材として用い、水溶性のメチルセルロースを高分子材として用いた場合は、ガスバリア層にクラックが発生すると共に、真空断熱材を高温の環境下に配置すると、熱伝導率の劣化を抑制できなかった。
〔比較例3〕
本比較例は親水性モンモリロナイトとポリビニルアルコールとを用いたガスバリア層の例である。層状粘土質材として親水性のモンモリロナイト(クニミネ工業(株);クニピアF)、高分子材として水溶性のポリビニルアルコールを用い、層状粘土質材に対し高分子材を1:2の割合(トルエン溶媒,不揮発分4%)で配合し、分散させてガスバリア性溶液(MJ塗布液)を調合した。
外被材の第一層として溶着層を形成した。溶着層は厚さ50μmのポリプロピレンフィルムとした。その上に第2層のMJ塗布液をロールコーティング法で約15μmのガスバリア層を形成した。ポリプロピレンフィルムとガスバリア層の密着性は低く、ガスバリア層の剥がれが生じた。また、ガスバリア層のクラックが発生した。そのまま第3層のオーバーコート層としてアルミ蒸着を付された厚さ12μmの延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートし、外被材を作製した。
上記外被材の3辺部をヒートシーラーで熱溶着し、平均繊維径5μmのグラスウール(サイズ:250mm×250mm×100mm)および合成ゼオライトのゲッター剤を挿入し、真空チャンバー内に設置してチャンバー内の圧力が1.3Paになるまでロータリーポンプで10分間、拡散ポンプで10分間排気させた。その後端部をヒートシールで封止し、真空断熱材とした。
このようにして得られた真空断熱材の厚みは約10mmであった。英弘精機(株)製のAUTO−Λを用いて熱伝導率を測定したところ、20℃の条件で初期熱伝導率は、4.3mW/m・Kであった。温度60℃、湿度80%で1ヶ月の劣化試験を行ったところ、劣化試験後の熱伝導率は12.5mW/m・Kを示した。上記のとおり、本発明の真空断熱材はアルミ蒸着した外被材を用いても、経時劣化が少なかった。この結果より、本実施例の真空断熱材は熱伝導率の維持が可能であり、熱漏洩量に関与するヒートブリッジも小さいことが判った。このことから、親水性のモンモリロナイトと水溶性のポリビニルアルコールを用いた場合は、ガスバリア層にクラックが発生すると共に、真空断熱材を高温・高湿度の環境下に配置すると、熱伝導率の劣化を抑制できなかった。
真空断熱材の外被材のガスバリア層に疎水性の層状粘土質材および疎水性の高分子材を用いる構成とすることにより、クラック発生がなく、また、水蒸気透過性が優れる。よって熱伝導率の経時劣化が小さく、高温や高湿度にも耐えられる真空断熱材の作製が可能となる。また、この真空断熱材を、給湯器,電気温水器,保温浴槽等に適用することにより、消費電力量の低減が可能となり、省エネ機器を提供できる。
本発明真空断熱材の断面模式図。 従来真空断熱材の断面模式図。 本発明の真空断熱材を備えた冷蔵庫。 本発明の真空断熱材を備えた給湯機。 本発明の真空断熱材を備えた電気温水器。 本発明真空断熱材を備えた保温浴槽。
符号の説明
1 従来真空断熱材
2 従来外被材
3 グラスウール
4 ゲッター剤
5 溶着層
6 ガスバリア層(アルミ蒸着樹脂フィルム)
7 ガスバリア層(アルミ箔)
8 オーバーコート層
9 本発明真空断熱材
10 本発明外被材
11 ガスバリア層(層状粘土鉱物層)
12 硬質ウレタンフォーム
13 箱体
14 冷蔵庫内箱
15 貯湯タンク
16 逃し弁
17 漏電遮断器
18 逃し弁操作バルブ
19 排水操作バルブ
20 排水管
21 元栓
22 給水管
23 止水バルブ
24 給湯配管
25 貯湯タンクユニット
26 ヒートポンプユニット
27 浴槽

Claims (9)

  1. 無機繊維の芯材と、ゲッター剤と、前記芯材およびゲッター剤を覆う外被材とよりなり、前記外被材の内部を減圧した真空断熱材であって、
    前記外被材は周縁部を密閉封止するための溶着層と、水分およびガス透過性を低減するガスバリア層とを有し、前記ガスバリア層は、疎水性を有する層状粘土質材と、高分子材とを含有することを特徴とする真空断熱材。
  2. 請求項1に記載された真空断熱材であって、前記高分子材は疎水性であることを特徴とする真空断熱材。
  3. 請求項1に記載された真空断熱材であって、前記高分子材の水蒸気透過度が100cc/m2・day以下であることを特徴とする真空断熱材。
  4. 請求項1に記載された真空断熱材であって、前記高分子材はポリメチルメタアクリレート,ポリアクリロニトリル,ポリアクリルースチレン,ポリアクリロニトリルーブタジエン,ポリアミド,ポリイミドのいずれか、または複数を含有することを特徴とする真空断熱材。
  5. 請求項1に記載された真空断熱材であって、前記層状粘土質材は、モンモリロナイト,サポナイト,雲母のいずれか、または複数を含有することを特徴とする真空断熱材。
  6. 請求項1に記載された真空断熱材であって、前記芯材は平均繊維径が3〜5μmのグラスウールであることを特徴とする真空断熱材。
  7. 請求項1に記載の真空断熱材であって、前記ゲッター剤は疎水性の合成ゼオライトであることを特徴とする真空断熱材。
  8. 被保温部と、前記被保温部の温度状態を保つ断熱部材とを有する断熱箱体であって、
    前記断熱部材は真空断熱材であり、前記真空断熱材は請求項1ないし7のいずれかに記載された真空断熱材であることを特徴とする断熱箱体。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載された真空断熱材を備えた冷蔵庫。
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