JP2009086260A - 位相差フィルム - Google Patents

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博喜 中川
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剛志 黒田
Masanori Fukuda
政典 福田
Runa Nakamura
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Abstract

【課題】本発明は、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられる位相差フィルムであって、偏光板保護フィルムとして兼用することに適した位相差フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、セルロース誘導体からなる透明基板と、上記透明基板上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有し、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する光学異方性層とを有する位相差フィルムであって、屈曲性が16mm以下であることを特徴とする位相差フィルムを提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、IPS方式の液晶表示装置に好適に用いられる位相差フィルムに関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図4に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、VA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、およびIPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置は、その特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性が増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、図5に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。このような方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
ここで、上記位相差フィルムとしては、例えば、透明基板上に、規則的に配列した液晶材料を含有する位相差層が形成された構成を有するものや、延伸フィルムからなるものが一般的に知られている。
また近年では、図5に例示したような、位相差フィルムと偏光板とを別個に配置する方式ではなく、位相差フィルムを上記偏光板を構成する偏光板保護フィルムとして兼用する方式が主流になってきている。すなわち、図6に例示するように、一般的な液晶表示装置は、液晶セル101の両側に偏光板102A、102Bが配置された構成を有するものであり、上記偏光板102A、102Bは、通常、2枚の偏光板保護フィルム112a、112bによって偏光子111が挟持された構成を有するものである(図6(a))(ここで、説明の便宜上、液晶セル101側に配置されている偏光板保護フィルム112aを「内側の偏光板保護フィルム」と称し、他方の偏光板保護フィルム112bを「外側の偏光板保護フィルム」と称する。)。そして、位相差フィルム103を用いて液晶表示装置の視野角特性を改善する場合、図6(b)に例示するように、上記2枚の偏光板保護フィルム112a、112bのうち、内側の偏光板保護フィルム112aとして位相差フィルム103が用いられた偏光板102A’、102B’を用いることが近年の主流となっている。
ところで、上記位相差フィルムが備える位相差性は、視野角特性を改善する対象となる液晶表示装置の駆動方式等に依存するものであるが、なかでもIPS(In−Plane Switching)方式の液晶表示装置には、正のCプレートとしての性質を有する位相差フィルムと、正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムを併用することが技術常識になっている(例えば、特許文献1)。
上記正のAプレートとしての性質を有する位相差フィルムとしては、従来、シクロオレフィン系ポリマーからなるフィルムが一軸延伸されてなるものが用いられるのが主流であった。このような位相差フィルムは、例えば特許文献2に開示されている。
しかしながら、上述したように近年においては位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いることが一般的になってきているところ、上記シクロオレフィン系ポリマーからなる位相差フィルムは、偏光子との密着が乏しいという問題点があった。このため、上記シクロオレフィン系ポリマーからなる位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして兼用するためには、偏光子およびシクロオレフィン系ポリマーとの接着性を有する他の層を併用することが必須になる等の障害があり、必ずしも偏光板保護フィルムとして兼用可能な位相差フィルムとしては望ましいものではなかった。
特開2002−296424号 特開2002−174725号
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられる位相差フィルムであって、偏光板保護フィルムとして兼用することに適した位相差フィルムを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、セルロース誘導体からなる透明基板と、上記透明基板上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有し、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する光学異方性層とを有する位相差フィルムであって、
屈曲性が16mm以下であることを特徴とする、位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、上記透明基板としてセルロース誘導体からなるものが用いられ、かつ、上記光学異方性層として、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する、いわゆる光学的にAプレートあるいはBプレートとしての性質を有するものが用いられていることにより、IPS方式の液晶表示装置用の視野角補償フィルムとして好適に用いられ、偏光子との密着性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
また、本発明の位相差フィルムは屈曲率が上記範囲内であることにより、打ち抜き加工性に優れたものになるため、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムして用いて偏光板を作製する際の生産効率を向上させることができる。
このようなことから本発明によれば、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられる位相差フィルムであって、偏光板保護フィルムとして兼用することに適した位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムは、Nzファクターが、1.0〜3.0の範囲内であることが好ましい。これにより本発明の位相差フィルムをIPS方式の液晶表示装置に用いられる光学補償フィルムとしてより適切なものにできるからである。
また本発明の位相差フィルムにおいては、上記透明基板上または上記光学異方性層上に、ホメオトロピック配向を形成した液晶材料を含有し、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層が形成されていることが好ましい。これにより、本発明の位相差フィルムのみでIPS方式の液晶表示装置の視野角特性を改善することが可能になるからである。
さらに本発明の位相差フィルムにおいては、上記セルロース誘導体がトリアセチルセルロースであることが好ましい。トリアセチルセルロースは光学的等方性に優れるため、上記セルロース誘導体としてトリアセチルセルロースが用いられていることにより、本発明の位相差フィルムの光学特性設計が容易になる等の利点があるからである。
本発明の位相差フィルムは、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いることができ、さらに偏光板保護フィルムとしても好適に用いることができるという効果を奏する。
以下、本発明の位相差フィルムについて詳細に説明する。
上述したように本発明の位相差フィルムは、セルロース誘導体からなる透明基板と、上記透明基板上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有し、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する光学異方性層と、を有するものであって、屈曲性が16mm以下であることを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フィルムの一例を示す概略斜視図である。図1に例示するように、本発明の位相差フィルム10は、セルロース誘導体からなる透明基板1と、上記透明基板1上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物Aを含有し、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する光学異方性層2とを有するものである。
このような例において、本発明の位相差フィルム10は、位相差フィルム10全体としての屈曲性が16mm以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記透明基板としてセルロース誘導体からなるものが用いられ、かつ、上記光学異方性層として、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する、いわゆる光学的にAプレートあるいはBプレートとしての性質を有するものが用いられていることにより、IPS方式の液晶表示装置用の視野角補償フィルムとして好適に用いられ、偏光子との密着性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
また、本発明の位相差フィルムは屈曲率が上記範囲内であることにより、打ち抜き加工性に優れたものになるため、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムして用いて偏光板を作製する際の生産効率を向上させることができる。
このようなことから本発明によれば、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられる位相差フィルムであって、偏光板保護フィルムとして兼用することに適した位相差フィルムを得ることができる。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも上記透明基板と、上記光学異方性層とを有するものであり、必要に応じて他の構成が用いられてもよいものである。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
1.透明基板
まず、本発明に用いられる透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板は、セルロース誘導体からなるものである。本発明の位相差フィルムは、透明基板としてこのようなセルロース誘導体からなるものが用いられていることにより、偏光子との密着性に優れ、かつ、屈曲性を本発明で規定する範囲内にすることが可能になるのである。
以下、このような透明基板について詳細に説明する。
本発明に用いられる透明基板を構成するセルロース誘導体としては、所望の透水性を備え、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いた場合に、偏光板製造工程において、偏光子に含有される水分を透過し、経時での偏光特性の低下を所望の程度に抑制できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記セルロース誘導体として、セルロースエステル類を用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類の中では、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
また本発明においては、上記低級脂肪酸エステルの中でもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。セルロースアセテートとしては、平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。トリアセチルセルロースは、比較的嵩高い側鎖を有する分子構造を有することから、このようなトリアセチルセルロースからなる透明基板を用いることにより、透明基板と上記光学異方性層との密着性をより向上することできるからである。
ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。なお、トリアセチルセルロースフィルムを構成するトリアセチルセルロースの酢化度は、フィルム中に含まれる可塑剤等の不純物を除去した後、上記の方法により求めることができる。
本発明に用いられる透明基板の透明度は、本発明の位相差フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
ここで、上記透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明に用いられる透明基板の厚みは、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性が得られる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては10μm〜188μmの範囲内であることが好ましく、特に20μm〜125μmの範囲内であることが好ましく、さらには30μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の位相差フィルムに必要な自己支持性を付与できない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
また、本発明に用いられる透明基板の面内レターデーションは、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性を付与できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途や、本発明に用いられる光学異方性フィルムの具体的態様に応じて、任意に調整することができる。なかでも本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおける面内レターデーションが0nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、本発明に用いられる透明基板の面内レターデーションの波長依存性は、逆分散型、正分散型、または、フラット分散型のいずれであってもよい。
また、本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションが、0nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。
また、複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
2.光学異方性層
次に、本発明に用いられる光学異方性層について説明する。本発明に用いられる光学異方性層は、上記透明基板上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有し、さらに面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立するものである。本発明の位相差フィルムは、このような光学異方性層が用いられていることにより、上記透明基板としてセルロース誘導体からなるものが用いられる場合であっても、光学的に正のAプレートまたはBプレートとしての性質を有するものにできるのである。
以下、このような光学異方性層について詳細に説明する。
(1)棒状化合物
本発明に用いられる棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物は、分子内に屈折率異方性を有するものであり、光学異方性層に所定の態様で含有されることにより、光学異方性層に上記nx>ny≧nzの関係が成立する光学特性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる棒状化合物は、レターデーションの波長依存性が正分散型であることが好ましく、特にRe比が1〜2の範囲内であるものが好ましい。
ここで、棒状化合物の上記Re比は、ポリイミドなどの配向膜を形成し、配向処理を施したガラス基板などの等方性基材上に、上記棒状化合物からなる層を成膜し、波長450nmにおけるRe(Re450)と、波長550nmにおけるRe(Re550)とを測定することにより算出することができる。
また、本発明に用いられる棒状化合物は、重合性官能基とメソゲン基とがアルキル鎖を介して結合された構造を有するものであることが好ましい。このような構造を有する化合物として代表的な例としては重合性液晶化合物を挙げることができる。
本発明に用いられる重合性液晶化合物としては、複数の重合性官能基を有する多官能重合性液晶化合物と、単一の重合性官能基を有する単官能重合性液晶化合物とを挙げることができるが、本発明においては、上記多官能重合性液晶化合物、および、上記単官能重合性液晶化合物のいずれであっても好適に用いることができる。なかでも本発明においては、上記単官能重合性液晶化合物を用いることが好ましい。上記単官能重合性液晶化合物は、上記多官能重合性液晶化合物よりも上記メソゲン基の自由度が高くなる、また、重合後に延伸処理を行う場合には、分子の再配向を拘束阻害する架橋点の密度が低く、分子(の電気双極子能率ベクトル)の配向が容易となるため、このような単官能重合性液晶化合物を用いることにより、上記光学異方性層をより光学異方性の発現性に優れたものにできるからである。
上記重合性液晶化合物は、上記メソゲン基と上記重合性官能基とがアルキル鎖によって結合されたものであるが、上記アルキル鎖を構成する炭素数は4以上であることが好ましく、なかでも5〜12の範囲内であることが好ましく、特に6〜10の範囲内であることが好ましい。上記炭素数が上記範囲内であることにより、上記重合性液晶化合物が備えるメソゲン基をより分子配向の自由度の高いものにできるため、上記光学異方性層の光学異方性の発現性をさらに向上することができるからである。
なお、本発明における上記「アルキル鎖を構成する炭素数」とは、上記重合性官能基と上記メソゲン基とを結合するアルキル基の主鎖部分を構成する炭素原子の数を意味するものとする。したがって、例えば、上記アルキル基が側鎖を有する分岐鎖状である場合、側鎖を構成する炭素原子の数は、上記「アルキル鎖を構成する炭素数」に含まれないものとする。
本発明に用いられるアルキル鎖は、炭素数が上記範囲内のものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明に用いられるアルキル鎖としては、側鎖を有さない直鎖状のものであってもよく、または、側鎖を有する分岐鎖状のものであってもよい。また、飽和結合のみからなる飽和アルキル鎖であってもよく、または、不飽和結合を有する不飽和アルキル鎖であってもよい。さらには、炭化水素鎖に任意の官能基が結合された構造を有するものであってもよい。
また、本発明において上記多官能重合性液晶化合物を用いる場合、各重合性官能基に結合されたアルキル鎖を構成する炭素数は、すべて同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
上記重合性液晶化合物に用いられるメソゲン基としては、規則的に配列することにより上記光学異方性層に所定の光学異方性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、通常、上記メソゲン基として棒状構造を有するものが用いられる。棒状構造を有するメソゲン基は、規則的に配列させることによって光学異方性を発現させることが容易だからである。
ここで、上記「棒状構造」とは、メソゲン基の構造の主骨格が棒状となっている化合物を意味するものとする。
また、本発明に用いられるメソゲン基は、上記棒状構造を有するメソゲン基のなかでも液晶性を示すものが好ましい。液晶性を示すメソゲン基を用いることにより、本発明に用いられる光学異方性フィルムに所望の光学異方性を付与することが容易になるからである。
上記メソゲン基として液晶性を有するものを用いる場合、上記メソゲン基が示す液晶相の種類は特に限定されるものではない。このような液晶相としては、例えば、ネマチック相、コレステリック相、および、スメクチック相等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの液晶相を示すメソゲン基であっても好適に用いることができるが、なかでも、ネマチック相を示すメソゲン基を用いることが好ましい。ネマチック相を示すメソゲン基は、他の液晶相を示すメソゲン基と比較して規則的に配列させることが容易であるからである。
このようなメソゲン基の具体例としては、例えば、下記式(1)〜(11)で表される環構造が直接あるいは結合基で2つ以上連結したものを挙げることができる。
Figure 2009086260
ここで、上記式(1)〜(11)の環構造における任意の水素は、ハロゲン、−CN、−CF、−CFH、−NO、または、1〜7個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてもよい。この1〜7個の炭素原子を有するアルキルにおいて任意の−CH−は−O−に、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、さらに任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
また、上記結合基としては、上記環構造を所定の距離で結合できるものであれば特に限定されるものではない。このような連結基としては、例えば、下記式(12)〜(23)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009086260
上記重合性液晶化合物に用いられる重合性官能基としては、所望の重合処理を行うことにより重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの製造方法等に応じて適宜選択して用いることができる。このような重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等を挙げることができる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等を挙げることができる。その他、本発明に用いられる重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和三重結合等が挙げられる。本発明においては、これらの重合性官能基の中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
なお、本発明に用いられる重合性液晶化合物として、上記多官能重合性液晶化合物を用いる場合、上記多官能重合性液晶化合物に用いられる重合性官能基はすべて同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
また、本発明に用いられる重合性液晶化合物は、分子量が比較的小さい化合物であることが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1200の範囲内である化合物が好ましく、特に400〜1000の範囲内である化合物が好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本発明に用いられる光学異方性層は、上記棒状化合物と、後述する透明基板を構成するセルロース誘導体とを含有するものであるが、上記重合性液晶化合物として分子量が比較的小さい化合物を用いることにより、上記光学異方性層において上記重合性液晶化合物が上記セルロース誘導体と混合しやすくなる。このため、分子量が上記範囲内である重合性液晶化合物を用いることにより、上記光学異方性層のヘイズをより小さくすることができるからである。
なお、重合性液晶化合物の分子量とは、重合前のモノマーの状態における分子量を意味するものとする。
本発明に用いられる重合性液晶化合物の具体例としては、下記式で表される化合物を例示することができる。
Figure 2009086260
ここで、上記式(I)、(IV)および(V)で表される重合性液晶化合物は、例えば、D.J.Broerら、Makromol Chem.190,3201-3215(1989)またはD.J.Broerら、Makromol Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似した方法によって調製することができる。また、化学式(II)および(III)で示される重合性液晶化合物は、例えば、DE195,04,224に開示された方法により調整することができる。
また、本発明に用いられる重合性液晶化合物の例としては、例えば、下記式で表される化合物を例示することができる。
Figure 2009086260
Figure 2009086260
本発明に用いられる重合性液晶化合物は1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。2種類以上の重合性液晶化合物が用いられる場合、上記重合性液晶化合物は、上記単官能重合性液晶化合物のみから選択されてもよく、上記多官能重合性液晶化合物のみから選択されてもよく、または、上記単官能重合性液晶化合物および上記多官能重合性液晶化合物の両方から選択されてもよい。なかでも本発明においては、少なくとも上記単官能重合性液晶化合物が選択されることが好ましい。上記単官能重合性液晶化合物は、上述したように光学異方性の発現性に優れるからである。
(2)棒状化合物の配列形態
光学異方性層において上記棒状化合物が含有されている態様としては、光学異方性層に対して、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する光学特性を付与できる態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては上記棒状化合物が、光学異方性層において変則ランダムホモジニアス配向を形成していることが好ましい。これにより、光学異方性層に上述した光学特性を付与することが容易になるからである。
ここで、上記変則ランダムホモジニアス配向とは、上記棒状化合物の配列状態の一態様を表すものであり、棒状化合物を用いて上述した光学特性を達成し得る新規な配列態様である。
以下、このような変則ランダムホモジニアス配向について詳細に説明する。
上記変則ランダムホモジニアス配向は、少なくとも、次の3つの特徴を有するものである。すなわち、本発明における上記変則ランダムホモジニアス配向は、
第1に光学異方性層の表面に対して垂直方向から光学異方性層を正視した場合において、棒状化合物の配列方向が異方性を有すること(以下、単に「異方性」と称する場合がある。)、
第2に光学異方性層において棒状化合物が形成するドメインの大きさが可視光領域の波長よりも小さいこと(以下、単に「分散性」と称する場合がある)、
第3に光学異方性層において棒状化合物分子が、該光学異方性層の表面に平行な平面(図1の例ではxy平面に平行な面)に存在していること(以下、単に「面内配向性」と称する場合がある。)、
を少なくとも備えるものである。
次に、本発明における変則ランダムホモジニアス配向について図を参照しながら説明する。図2(a)は上述した図1中のZで表す光学異方性層の表面(xy平面)に対して垂直方向(法線方向、即ちz方向)から本発明の位相差フィルムを正視した場合の概略図である。また、図2(b)、(c)は、図2(a)におけるX−X’線矢視断面図である。
まず、本発明における変則ランダムホモジニアス配向が具備する「異方性」について図2(a)を参照しながら説明する。上記「異方性」は、図2(a)に示すように、光学異方性層2の表面に対して垂直方向から本発明の位相差フィルム10を正視した場合に、光学異方性層2において棒状化合物Aが平均的に一方向に配列していることを示すものである。
即ち、xy平面(光学異方性層表面)内の各方向に配向する各棒状化合物分子の確率分布函数(確率密度函数)を求めると、該確率分布関数はxy平面内の特定方向(図2の例ではx方向)にピーク(平均配向方向)を有し、且つ配向方向には所定の分散(配向方向のバラツキ幅)を有する様に分布していると云うことである。更に言い換えれば、該棒状化合物分子の長軸の配向方向は、完全に全分子が平行に揃っているのでは無く、そうでるからと言って完全に乱雑でも無い。その一例を図示したものが図2(a)である。
ここで、本発明においては上記棒状化合物Aの配列方向を説明するのに、図2(a)中のaで表す分子長軸方向(以下、分子軸と称する。)を基準として考えるものとする。したがって、上記棒状化合物が一方向に配列しているということは、上記光学異方性層に含まれる棒状化合物Aの分子軸aが平均的には一方向に向いていることを意味する。
このように本発明における上記「異方性」は、上記棒状化合物が完全に一方向に配列していることまでを要求するものではなく、上記棒状化合物の配列方向が平均的に一方向に配列している程度で足り、その程度は光学異方性層に所望の光学的二軸性を付与できる程度でよい。このような「異方性」の程度については後述する。
次に、本発明における変則ランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」について図2(a)を参照しながら説明する。上記「分散性」は、図2(a)に示すように、光学異方性層2において棒状化合物Aがドメインbを形成している場合に、ドメインbの大きさが可視光領域の波長よりも小さいことを示すものである。本発明においては、上記ドメインbの大きさが小さい程好ましいものであり、棒状化合物が単分子で分散している状態が最も好ましいものである。
次に、本発明における変則ランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」について図2(b)を参照しながら説明する。上記「面内配向性」は、図2(b)に示すように、光学異方性層2において棒状化合物Aが、分子軸aを光学異方性層2の法線方向Z(図1に於けるz方向に対応)に対して略垂直(図1に於けるxy平面に略平行)になるように配向していることを意味する。本発明における上記「面内配向性」としては、図2(b)に示すように、上記光学異方性層2におけるすべての棒状化合物Aの分子軸aが上記法線方向Zに対して略垂直になっている場合のみを意味するものではなく、例えば図2(c)に示すように、上記光学異方性層2に分子軸a’が上記法線方向Zと垂直でない棒状化合物Aが存在していたとしても、光学異方性層2中に存在する棒状化合物Aの分子軸aの平均的な方向が上記法線方向Zに対して略垂直である場合を含むものである。
即ち、図2に於いて、個々の棒状化合物分子の分子軸方向は分布を持っていても、棒状化合物の全分子について平均化した分子軸方向は実質上xy平面内に存在する。
このように、本発明における変則ランダムホモジニアス配向は、上記「異方性」、「分散性」および「面内配向性」を示すことを特徴とするが、上記棒状化合物が変則ランダムホモジニアス配向を形成していることは、以下の方法により確認することができる。
まず、本発明における変則ランダムホモジニアス配向が具備する「異方性」の確認方法について説明する。上記「異方性」は、光学異方性層の面内レターデーション(以下、単に「Re」と称する場合がある。)を評価することにより確認することができる。
上記棒状化合物が上記「異方性」を有していることは、光学異方性層の面内レターデーション(Re)の値が、光学異方性層が光学的二軸性を示すことが可能な範囲内であることにより確認することができる。なかでも本発明においては、光学異方性層の面内レターデーション(Re)が、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、なかでも10nm〜200nmの範囲内の範囲内であることが好ましく、特に40nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記Reは、上記nx、nyおよび光学異方性層の厚みd(nm)とにより、Re=(nx−ny)×dの式で表される値である。
上記光学異方性層の面内レターデーション(Re)は、例えば、位相差フィルムの面内レターデーション(Re)から光学異方性層以外の層が示す面内レターデーションを差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから光学異方性層を切除したものについて面内レターデーション測定し、前者の測定値から後者の測定値を差し引くことにより光学異方性層の面内レターデーションを求めることができる。面内レターデーションは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
なお、上記棒状化合物として2以上の複数のベンゼン環が結合された棒状の主骨格を有するものが用いられている場合、上記「異方性」は、上記光学異方性層の面内方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)を測定することによっても確認することができる。すなわち、本発明における光学異方性層の面内における遅相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、面内の進相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)よりも大きいことを確認することにより、上記「異方性」を備えることを確認することができる。なかでも本発明においては、光学異方性層の面内における遅相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、面内における進相軸方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)の1.1倍以上であることが好ましく、特に1.15倍以上であることが好ましく、さらに1.20倍〜3.00倍の範囲内であることが好ましい。
なお、ここで、「ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)」とは、ラマンスペクトル中における(波数1605cm−1のスペクトル光強度/波数2942cm−1のスペクトル光強度)の比を意味する。
ここで、本発明における上記ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)は、例えば、レーザーラマン分光光度計(日本分光:NRS−3000)を用いて、直線偏光の電場振動面が光学異方性層の面内における遅相軸方向および進相軸方向に一致するように測定光を入射することにより、面内の進相軸方向および面内の進相軸方向のそれぞれについてラマン分光スペクトルを測定した後、1605cm−1(C−H結合由来ピーク)のピーク強度と、2942cm−1(ベンゼン環由来ピーク)のピーク強度とを評価することによって求めることができる。また、上記レーザーラマン分光光度計を用いてラマンスペクトルを測定する条件は、露光時間15秒、積算回数8回、励起波長532.11nmとする。
次に、本発明における変則ランダムホモジニアス配向が具備する「分散性」の確認方法について説明する。上記「分散性」は、光学異方性層のヘイズ値が、上記棒状化合物のドメインの大きさが可視光領域の波長以下であることを示す範囲内であることにより確認することができる。なかでも本発明においては、光学異方性層のヘイズ値が0%〜5%の範囲内であることが好ましく、特に0%〜1%の範囲内であることが好ましく、さらには0%〜0.5%の範囲内であることが好ましい。
ここで、光学異方性層のヘイズ値は、例えば、位相差フィルムのヘイズ値から光学異方性層以外の層のヘイズ値を差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから光学異方性層を切除したものについてヘイズ値を測定し、前者のヘイズ値から後者のヘイズ値を差し引くことにより光学異方性層のヘイズ値を求めることができる。上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
本発明における上記ドメインの大きさは可視光の波長以下であるが、具体的な大きさとしては、380nm以下であるであることが好ましく、なかでも350nm以下であることが好ましく、特に200nm以下であることが好ましい。なお、本発明においては上記棒状化合物が単分子分散していることが好ましいため、上記ドメインの大きさの下限値は、棒状化合物の単分子の大きさである。このようなドメインの大きさは、偏光顕微鏡や、AFM、SEM、またはTEMにより光学異方性層を観察することにより評価することができる。
次に、本発明における変則ランダムホモジニアス配向が具備する「面内配向性」の確認方法について説明する。上記「面内配向性」は、本発明の位相差フィルムを構成する光学異方性層の面内レターデーション(Re)が上述した範囲にあること、および、本発明における光学異方性層が光学的二軸性を発現することが可能な程度の厚み方向のレターデーション(以下、単に「Rth」と称する場合がある。)を有することにより確認することができる。なかでも本発明における光学異方性層のRthは、50nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、なかでも75nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、特に75nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記Rthは、上記nx、ny、nz、およびdにより、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dの式で表される値である。
なお、本発明におけるRth値は、上記式で表される値の絶対値を指すものとする。
上記光学異方性層の厚み方向のレターデーション(Rth)は、例えば、位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)から光学異方性層以外の層が示す厚み方向のレターデーションを差し引くことにより求めることができる。すなわち、位相差フィルム全体、および、位相差フィルムから光学異方性層を切除したものについて厚み方向のレターデーションを測定し、前者の測定値から後者の測定値を差し引くことにより光学異方性層の厚み方向のレターデーションを求めることができる。厚み方向のレターデーションは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
なお、上記棒状化合物として2以上の複数のベンゼン環が結合された棒状の主骨格を有するものが用いられている場合、上記「面内配向性」は、上記光学異方性層の厚み方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)を測定することによっても確認することができる。すなわち、上記光学異方性層の厚み方向の切断面における厚み方向に対して垂直方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、厚み方向に対して平行方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)よりも大きいことにより、上記「面内配向性」を備えることを確認することができる。なかでも本発明においては、上記光学異方性層の厚み方向の切断面における厚み方向に対して垂直方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)が、厚み方向に対して平行方向のラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)の1.1倍以上であることが好ましく、特に1.50倍以上であることが好ましく、さらに1.20倍〜3.00倍の範囲内であることが好ましい。
なお、ここで、「ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)」とは、ラマンスペクトル中における(波数1605cm−1のスペクトル光強度/波数2942cm−1のスペクトル光強度)の比を意味する。
ここで、本発明における上記ラマンピーク強度比(1605cm−1/2942cm−1)は、例えば、レーザーラマン分光光度計(日本分光:NRS−3000)を用いて、直線偏光の電場振動面が光学異方性層の厚み方向の切断面において、厚み方向に対して平行方向および垂直方向に一致するように測定光を入射することにより、厚み方向の切断面における厚み方向に対して平行方向および垂直方向のそれぞれについてラマン分光スペクトルを測定した後、1605cm−1(C−H結合由来ピーク)のピーク強度と、2942cm−1(ベンゼン環由来ピーク)のピーク強度とを評価することによって求めることができる。また、上記レーザーラマン分光光度計を用いてラマンスペクトルを測定する条件は、露光時間15秒、積算回数8回、励起波長532.11nmとする。
なお、上記光学異方性層の上記ラマンピーク強度比は、例えば、位相差フィルムを厚み方向に切断して切片を作製した後、上記光学異方性層に相当する部位のみのラマン分光スペクトルを測定することにより求めることができる。
(3)他の化合物
本発明における光学異方性層には、上記棒状化合物以外に他の化合物を含んでも良い。このような他の化合物としては、光学異方性層の光学特性を損なわないものであれば特に限定されるものではない。本発明における上記他の化合物としては、例えば、一般的にハードコート剤に用いられる重合可能な材料を挙げることができる。
上記重合可能な材料としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等を挙げることができる。
また、本発明において光学異方性層が上記透明基板上に直接形成されている場合は、光学異方性層に、上記透明基板を構成するセルロース誘導体が含まれることが好ましい。これにより、本発明の位相差フィルムにおいて、上記透明基板と光学異方性層との密着性を向上させることができるからである。
(4)光学異方性層
本発明における光学異方性層は、後述する透明基板上に直接形成されていることが好ましい。光学異方性層が透明基板上に直接形成されていることにより、本発明の位相差フィルムを、光学異方性層と透明基板との密着性に優れたものにできるからである。
このように透明基板上に光学異方性層が直接形成されることにより両者の密着力が向上するのは次のような機構によるものと解される。すなわち、透明基板上に光学異方性層が直接形成されることにより、光学異方性層に含まれる棒状分子が透明基板の表面から透明基板中へ浸透したり、または、光学異方性層を形成する際に用いる溶媒によっては、透明基板の表面が溶解し、棒状化合物と透明基板が混合されることができるため、透明基板と光学異方性層との接着部においては明確な界面が存在せず、両者が「混合」された形態となる。このため、従来の界面相互作用による接着と比較して、著しく密着性が改善されるものと考えられる。
本発明における光学異方性層の厚みは、上記棒状化合物の種類に応じて、光学異方性層に所望の光学的特性を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては光学異方性層の厚みが0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。光学異方性層の厚みが上記範囲よりも厚いと、変則ランダムホモジニアス配向の特徴の一つである「面内配向性」が損なわれる結果、所望の光学的特性が得られない可能性があるからである。また、上記範囲よりも薄いと、上記棒状化合物の種類によっては、目標の光学的特性が得られない可能性があるからである。
3.その他の構成
本発明の位相差フィルムは、少なくとも上記透明基板と、上記光学異方性層とを有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものであってもよい。なかでも本発明においては、このような他の構成として、上記透明基板上または上記光学異方性層上に、ホメオトロピック配向を形成した液晶材料を含有し、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層が形成されていることが好ましい。これにより、本発明の位相差フィルムのみでIPS方式の液晶表示装置の視野角特性を改善することが可能になるからである。
本発明の位相差フィルムにこのような位相差層が用いられている場合について図を参照しながら説明する。図3は本発明の位相差フィルムに位相差層が用いられている場合の一例を示す概略断面図である。図3に例示するように、本発明の位相差フィルム10には、透明基板1上に、ホメオトロピック配向を形成した液晶材料を含有し、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層3が形成されていてもよい。
ここで、上記図3においては、本発明の位相差フィルムに位相差層が用いられている態様として、上記透明基板上に位相差層が形成されている例を説明したが、本発明において位相差層が用いられる態様はこれに限られるものではなく、上記光学異方性層上に位相差層が形成される態様であってもよい。
以下、本発明に用いられる位相差層について詳細に説明する。
(1)液晶材料
まず、上記液晶材料について説明する。上記液晶材料としては、ホメオトロピック配向を形成することができ、かつ、上記nx、ny、およびnzに上記関係が成立する位相差性を付与できるホメオトロピック液晶材料であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるホメオトロピック液晶材料は、重合性官能基を有するものであることが好ましい。このようなホメオトロピック液晶材料を用いることにより、重合性官能基を介して互いに重合させることができるため、本発明に用いられる位相差層の機械強度を向上することができるからである。また、位相差層中におけるホメオトロピック液晶材料の配向安定性も向上させることができるからである。
上記重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基を用いることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げることができる。
上記ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。
また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。
本発明に用いることができるその他の重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。
なかでも本発明においては、これらの重合性官能基のなかでもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明に用いられるホメオトロピック液晶材料は、上記重合性官能基を複数有するものであってもよく、または、1つのみを有するものであってもよい。
本発明に用いることができるホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなく、ホメオトロピック配向を形成できるホメオトロピック配向性を有するもの(第1のホメオトロピック液晶材料)と、単独ではホメオトロピック配向を形成することができないが、垂直配向膜を使用することによりホメオトロピック配向を形成できるもの(第2のホメオトロピック液晶材料)と、を挙げることができる。本発明においては、上記第1のホメオトロピック液晶材料はもちろんのこと、上記第2のホメオトロピック液晶材料であっても好適に用いることができる。
なお、本発明において上記第2のホメオトロピック液晶材料を用いる場合は、位相差層において上記ホメオトロピック液晶材料をホメオトロピック配向させるために、通常、液晶材料をホメオトロピック配向させる配向規制力を有する配向層を用いたり、または、位相差層中に上記液晶材料をホメオトロピック配向させる機能を有する配向制御化合物を用いる方法が用いられる。上記配向制御化合物については、例えば、特開平10−319408号公報等に記載されている。
また、ガラス基板等の他の基板上に上記第2のホメオトロピック液晶材料がホメオトロピック配向した位相差層を別途形成した後、これを剥離して透明基板または光学異方性層上に積層する転写法も用いることができる。このような転写法において、上記他の基板上に位相差層を形成する方法については、例えば、特開2003−177242号公報等に開示されている。
上記第1のホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなくホメオトロピック配向を形成することができ、本発明に用いられる位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような上記第1のホメオトロピック液晶材料としては、例えば、正の屈折率異方性を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと、非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマーや、上記液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマー等の液晶ポリマーを挙げることができる。このような液晶ポリマーとしては、例えば、特開2003−121853号公報、特開2002−174725号公報、および、特開2005−70098号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。
一方、上記第2のホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜等を使用することによりホメオトロピック配向を形成することができ、本発明に用いられる位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、ネマチック相を示すネマチック液晶材料が好適に用いられる。
本発明に用いられる上記第2のホメオトロピック液晶材料の具体例としては、例えば、特表平10−508882号公報、特開2003−287623号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。
また、本発明に用いられる上記第2のホメオトロピック液晶材料としては、例えば、特開平10−319408号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本発明においては、以下の化学式で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2009086260
上記式において、xは1〜12であり、Zは1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基であり、Rはハロゲンまたはシアノであるか、あるいは炭素原子1〜12個を有するアルキル基またはアルコキシ基であり、そしてLは、H、ハロゲンまたはCNであるか、あるいは炭素原子1〜7個を有するアルキル基、アルコキシ基またはアシル基である。
なお、上記ホメオトロピック液晶材料として重合性官能基を有する化合物を用いた場合、本発明に用いられる位相差層に含有されるホメオトロピック液晶材料は、上記重合性官能基を介して重合された重合物となる。
本発明に用いられるホメオトロピック液晶材料は1種類でもよく、または、2種類以上であってもよい。また、2種類以上の液晶材料を用いる場合、上記第1のホメオトロピック液晶材料と、上記第2のホメオトロピック液晶材料とを混合して用いてもよい。
(2)その他の化合物
本発明に用いられる位相差層には、上記液晶材料以外の他の化合物が含まれていてもよい。このような他の化合物としては、位相差層における上記液晶材料の配列状態や、位相差層の光学特性発現性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択して用いることができる。なかでも、本発明に好適に用いられる上記他の化合物としては、上記液晶材料のホメオトロピック配向形成を補助する配向制御化合物を挙げることができる。このような配向制御化合物を用いることにより、上記第2態様のホメオトロピック液晶材料を用いることが可能になるという利点がある。また、上記第1態様のホメオトロピック液晶材料を用いる場合であっても、このような配向制御化合物を用いることによりホメオトロピック配向の規則性を向上できるという利点がある。
上記配向制御化合物としては、本発明に用いられる位相差層に所望のホメオトロピック配向規制力を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる配向制御化合物としては、界面活性剤を好適に用いることができる。界面活性剤は位相差層において、空気界面に偏在し、分子の特定の方向を位相差層側に向けて配列することができるため、位相差層に上記ホメオトロピック配向規制力を容易に付与することができるからである。
本発明に用いられる上記界面活性剤としては、例えば、スルホネート界面活性剤を挙げることができ、特に、フッ素化スルホネート界面活性剤が好適に用いられる。
上記フッ化スルホネート界面活性剤の具体例としては、例えば、商品名 FC−4430、FC−4432(いずれも3M Company製)を挙げることができる。
また、本発明に用いられる上記他の化合物としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる位相差層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
(3)位相差層
本発明に用いられる位相差層は、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立するものである。このため、本発明に用いられる位相差層は、いわゆる正のCプレートとしての性質を有するものになる。
本発明に用いられる位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)としては、本発明の位相差フィルムのNzファクターを本発明で規定する範囲内にできる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記Rthが−270nm〜−50nmの範囲内であることが好ましい。上記Rthが上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをIPS方式の液晶表示装置の視野角補償機能により優れたものにできるからである。
ここで、上記Rthは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法によって測定することができる。
本発明における位相差層の厚みは、上記液晶材料の種類等に応じて、位相差層に所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
4.位相差フィルム
本発明の位相差フィルムは、屈曲性が16mm以下であることを特徴とするものである。本発明の位相差フィルムは、屈曲性が上記範囲内であることにより、打ち抜き加工性に優れたものにできるため、本発明の位相差フィルムを偏光板保護フィルムして用い偏光板を作製する際の生産効率を向上させることができるものである。
本発明の位相差フィルムの屈曲性は、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも2mm〜16mmの範囲内であることが好ましく、2mm〜10mmの範囲内であることがさらに好ましい。屈曲性が上記範囲内であることにより、打ち抜き加工性等をさらに向上させることができるため、本発明の位相差フィルムをさらに偏光板保護フィルムとして兼用するのに好適なものにできるからである。
ここで、上記屈曲性は、JIS−K5600−5−1に記載されているマンドレル法(2〜32mmの金属製円筒にフィルムサンプルを巻きつけ、塗膜が割れを起こすかまたはフィルムサンプルに亀裂が入り始める円筒の最小直径を決定する方法)により測定した値を意味するものとする。
本発明の位相差フィルムが示す光学特性としては、本発明の位相差フィルムの用途に応じて、上記光学異方性層の光学特性を調整したり、あるいは上記位相差層を用いること等によって適宜調整することができるものである。なかでも本発明の位相差フィルムは、Nzファクターが1.0〜3.0の範囲内であることが好ましく、1.0〜2.5の範囲内であることがより好ましく、1.0〜2.0の範囲内であることがさらに好ましい。Nzファクターが上記範囲内であることにより、本発明の位相差フィルムをIPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられるものにできるからである。
ここで、上記Nzファクター(Nz)は、本発明の位相差フィルムが備える屈折率楕円体の形状を示すパラメーターであり、以下の式によって表されるものである。
Nz=(nx−nz)/(nx−ny))
ここで、nx、ny、nzはそれぞれ、位相差フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率(nx)、進相軸方向の屈折率(ny)、厚み方向の屈折率(nz)を表すものである。
また、本発明の位相差フィルムの面内レターデーション(Re)および厚み方向のレターデーション(Rth)についても特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なかでも本発明の位相差フィルムの面内レターデーション(Re)は、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、10nm〜200nmの範囲内であることがより好ましく、40nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。さらに位相差フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)は、50nm〜400nmの範囲内であることが好ましく、75nm〜200nmの範囲内であることがより好ましく、75nm〜150nmの範囲内であることがさらに好ましい。
ここで、上記ReおよびRthは特筆されていない限り厚み方向に対して平行方向に波長550nmの測定光を入射することによって測定された値を意味するものである。このようなReおよびRthは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができる。
また、本発明の位相差フィルムのヘイズ値は、0%〜5.0%の範囲内であることが好ましく、0%〜3.0%の範囲内であることがより好ましく、0%〜1.0%の範囲内であることがさらに好ましい。ここで、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
本発明の位相差フィルムの形態は特に限定されるものではなく、例えば、本発明の位相差フィルムを用いる液晶表示装置の画面サイズに合致したシート状であってもよく、または、長尺状であってもよい。
5.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置に用いられる視野角補償フィルム、楕円偏光板、輝度向上フィルム等として用いることができる。なかでも特にIPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いることができる。
また、本発明の位相差フィルムは、偏光子と貼り合わせることにより、偏光板としての用途にも用いることができる。すなわち、偏光板は、通常、偏光子とその両表面に形成された偏光板保護フィルムとからなるものであるが、本発明においては、例えば、その一方の偏光板保護フィルムとして本発明の位相差フィルムを用いることにより、液晶表示装置の視野角補償機能を備える偏光板として用いることができる。
6.位相差フィルムの製造方法
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造方法としては、上記構成を有する位相差フィルムを製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、次の3つの方法を例示することができる。
第1の方法は、セルロース誘導体からなる透明基板を用い、上記棒状化合物を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより光学異方性層を形成することにより、上記透明基板上に光学異方性層が積層された構成を有する位相差フィルムを形成する工程と、当該位相差フィルムを延伸する工程と、上記延伸工程によって延伸された位相差フィルムの光学異方性層上あるいは透明基板上に、上記液晶材料を含有する位相差層形成用塗工液を塗工することにより、上記光学異方性層上に位相差層を形成する工程とを有する方法である。
第2の方法は、上記棒状化合物を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより光学異方性層を形成することにより、上記透明基板上に光学異方性層が積層された構成を有する位相差フィルムを形成する工程と、当該位相差フィルムの光学異方性層上あるいは透明基板上に、上記液晶材料を含有する位相差層形成用塗工液を塗工することにより、上記光学異方性層上に位相差層を形成する工程と、当該位相差層が形成された位相差フィルムを延伸する工程とを有する方法である。
第3の方法は、上記棒状化合物を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより光学異方性層を形成することにより、上記透明基板上に光学異方性層が積層された構成を有する位相差フィルムを形成する工程と、当該位相差フィルムを延伸する工程と、垂直配向膜を備える基板上に、上記液晶材料を含有する位相差層を形成した後、上記位相差層のみを上記光学異方性層上あるいは透明基板上に粘着剤を介して接着させる工程とを有する方法である。
なお、延伸工程に用いる装置、および、加工方法等にとしては、通常の合成樹脂フィルムの延伸加工に用いられるものと基本的には同様の装置を用い、光学異方性フィルムの構成材料、所望のレターデーション値を勘案して、適宜条件にて延伸すればよい。
延伸は、一軸延伸処理、二軸延伸処理のいずれを行ってもよい。また、二軸延伸処理は、アンバランス二軸延伸処理を実施してもよい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフィルムをある方向に一定倍率延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率に延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。
また、延伸処理は、特に限定されない。例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等の任意の延伸方法により適宜行うことができる。延伸処理に当たり、高分子フィルムは、例えばガラス転移点温度以上、溶融温度(乃至は融点温度)以下などに加熱されることが好ましい。なかでも本発明においては、PVA等の親水性樹脂からなる偏光部材との貼り合せがRoll to Rollで可能なため、テンター延伸法を用いることが好ましい。
さらに、延伸処理の延伸倍率は、得たいレターデーション値により適宜決定され、特に限定されない。フィルムの面内方向の各点におけるレターデーション値を均一にする点からは、1.03〜2倍の範囲にあることが好ましい。
その他、上記各方法における各工程の具体的な実施方法については、一般的に液晶表示装置用の位相差フィルムを作製する際に用いられる方法を用いることができるため、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
1.実施例1
下記式で表される光重合性ネマチック液晶(A)および(B)を重量比で1:1で混合し、これをシクロヘキサノンに20重量%溶解させ、TACフィルム(富士フィルム株式会社製、商品名:TF80UL)から成る透明基板の表面に、バーコーティングにより乾燥後の塗工量が2.5g/mとなるように塗布し、50℃で4分加熱して溶剤を除去した後、塗布面に紫外線を100mJ/cm照射することにより、上記光重合性液晶を固定し、光学異方性層を形成した。
Figure 2009086260
次に、上記光学異方性層を形成した透明基板を、延伸実験装置により延伸倍率が1.2倍となるように160℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸してIPS位相差フィルム用基材を作製した。この時、IPS位相差フィルム用基材はRe=100nmであり、Rth=100nmであった。
2.実施例2
下記式(C)に示される側鎖型ポリマー50質量%と、下記式(D)で示される光重合性液晶50質量%の液晶混合物、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア907、光重合性化合物に対して5質量%)を、シクロヘキサノン溶液に固形分20%になるように溶解させ、更にレベリング剤を添加することにより位相差層形成用塗工液を得た。当該位相差層形成用塗工液を実施例1で作成した記載のIPS位相差フィルム用基材の光学異方性層を形成した面とは、反対側の透明基材表面にバーコーティングにより、乾燥後の塗工量が2.0g/mとなるように塗工し、40℃で2分加熱して溶剤を除去した後、塗工面に紫外線を100mJ/cm照射することにより、ホメオトロピック液晶材料を固定化することによって位相差層を形成した。位相差フィルムはRe=100nmであり、Rth=−20nmであった。
Figure 2009086260
3.比較例1
アクリル系透明基材(アクリロニトリル・スチレン共重合体)を、延伸実験装置により延伸倍率が2.0倍となるように100℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸してIPS位相差フィルム用基材を作製した。この時、IPS位相差フィルム用基材はRe=−50nmであり、Rth=−110nmであった。
4.比較例2
アクリル系透明基材(PMMA)を、延伸実験装置により延伸倍率が2.0倍となるように100℃で加熱しながら面内方向に一軸延伸してIPS位相差フィルム用基材を作製した。この時、IPS位相差フィルム用基材はRe=−25nmであり、Rth=−25nmであった。
Figure 2009086260
本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す概略図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムの使用態様の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 透明基板
2 … 光学異方性層
3 … 位相差層
10 … 位相差フィルム
101 … 液晶セル
102A,102B,102A’,102B’ … 偏光板
103 … 位相差フィルム
111 … 偏光子
112a,112b … 偏光板保護フィルム

Claims (4)

  1. セルロース誘導体からなる透明基板と、前記透明基板上に形成され、屈折率異方性を有する棒状化合物を含有し、面内の遅相軸方向xの屈折率nx、進相軸方向の屈折率ny、厚み方向zの屈折率nzの間にnx>ny≧nzの関係が成立する光学異方性層とを有する位相差フィルムであって、
    屈曲性が16mm以下であることを特徴とする、位相差フィルム。
  2. Nzファクターが、1.0〜3.0の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記透明基板上または前記光学異方性層上に、ホメオトロピック配向を形成した液晶材料を含有し、面内方向において互いに直交する任意のx、y方向の屈折率nx、nyと、厚み方向の屈折率nzとの間にnx≦ny<nzの関係が成立する位相差層が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記セルロース誘導体がトリアセチルセルロースであることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の位相差フィルム。
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