JP2009089116A - 原子発振器用の光学モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスセルの全長を長くすることなしに原子発振器の性能を向上させること、或いは従来のガスセルの全長を短くして光学モジュールを小型化することを目的とする。
【解決手段】光学モジュール31は、ベース基板32の所定の位置に発光素子33と、受光素子34とを搭載し、スペーサ35を介して導光手段となる受動光学素子36と、ガス状の金属原子を封入したガスセル37と、台形プリズム38と、を順次積み上げた構造である。また、台形プリズム38の二つの傾斜部の所定に位置には、反射膜42a、42bが形成され、入射した光を所定の角度に反射するようになっている。また、ガスセル37の長手方向の対向する側面には、反射膜43a、43bが形成され、入射した光が伝搬する際に、光を所定の角度で多重反射して伝搬するようになっている。
【選択図】図3

Description

本発明は原子発振器用の光学モジュールに関し、特に発光素子、受光素子、ガスセルなどからなる光学モジュールの性能の向上、および小型化、薄型化技術に関するものである。
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属を用いた原子発振器は、原子のエネルギー遷移を利用する際に、金属原子をガス状態に保つ必要があるため、金属原子を気密封入したガスセルを高温に保って動作させている。原子発振器の動作原理は、光とマイクロ波を利用した2重共鳴法と、2種類のレーザ光による量子干渉効果(以下CPT:Coherent Population Trappingと記す)を利用する方法に大別される。そして、2つの方法共にガスセルに入射した光が、金属原子ガスにどれだけ吸収されたかを反対側に設けられた光検出器で検出することにより、原子共鳴を検知して制御系にて水晶発振器などの基準信号をこの原子共鳴に同期させて出力を得ている。
ガスセルを用いた原子発振器の動作原理については、特許文献1に詳しく記述されている。また、CPTを利用した原子発振器は、発光素子、ガスセル、及び受光素子を一体的に構成して光学系のモジュールを形成している場合が多いが、これについては、特許文献2に従来の方式が開示されている。
なお、従来の光学モジュールとして、特許文献3により開示された構造のものがあり、特許文献2に示した光学モジュールの構造と異なった方法で、CPTを利用した光学モジュールを構成する方法について説明している。それによれば、円筒形のガスセルの対向する一方の面の中央部に発光素子を配置し、その発光素子を取り囲むように受光素子を配置する。そして、ガスセルの他方の面に反射板を備え、ガスセルの一方の面に配置された発光素子から放射された光が、ガスセルの他方の面において反射され、反射された光が、ガスセルの一方の面に配置された受光素子に入射されるようにしている。
特開2004−96410公報 US6806784B2 US7064835B2
しかしながら、特許文献2に開示されているような従来の光学モジュールは、次のような問題があった。前述したように、原子発振器の動作原理は、金属原子を気密封入したガスセルに入射した光が、金属原子ガスにどれだけ吸収されたかを反対側に設けられた光検出器で検出して原子共鳴を検知することに有る。そこで、原子発振器の性能を向上させるためには、ガスセルに入射した光を反対側において光検出する際に、光が吸収される時と光が吸収されない時のレベル差を大きくすることが望ましい。そのためには、光と金属原子ガスとの接触時間を増加させることが必要であり、そのためガスセル内を光が伝搬する際の光の光路を長くして、光と接触する金属原子ガスを多くすることが望ましい。
一方、特許文献2に示した従来の光学モジュールの構造は、各構成要素を縦積みに配置し、発光素子と受光素子とを対向配置したものであるので、ガスセル内を光が伝搬する際の光の光路を長くするため、ガスセルの全長を長くすると、光学モジュールが大きくなるという問題がった。
図6に、従来の原子発振器用の光学モジュールの構造図を示す。図6に示すように、従来の光学モジュール101は、発光素子102、受動光学素子103、ガスセル104、および受光素子105を縦積みに配置し、発光素子102と受光素子105を対向配置している。なお、受動光学素子103は、発光素子102から出射した光を集光したり、偏光状態を変えたりするなどのため、NDフィルタとレンズと波長板とを備えている。光学モジュール101の概略動作を説明すると、発光素子102が出射するコヒーレント光106は、受動光学素子103に入力され、コヒーレント光106の集光、偏光などを行い、ガスセル104に入射する。ガスセル104は、2つの波長を有するコヒーレント106の一方、或いは両方の波長を変化させたときに、光吸収が停止するように動作する。ガスセル104を透過した透過光は、受光素子105により受光される。このように動作する従来の光学モジュール101は、原子発振器の性能を向上させるためにガスセル104の全長を長くすると光学モジュール101の構造が大きくなり、原子発振器を小型化、薄型化する際に問題となっていた。また、原子発振器の小型化、薄型化のために、ガスセル104の全長を短く抑えると、原子発振器は、ノイズの影響を受けやすくなりS/N特性が悪化するといった問題があった。
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたものであって、ガスセルの全長を長くすることなしに原子発振器の性能を向上させることを目的とする。
また本発明は従来のガスセルの全長を短くして光学モジュールを小型化、薄型化することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときに、量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器用の光学モジュールであって、前記共鳴光となる光を出射する発光素子と、量子干渉された前記光を検出する受光素子と、ガス状の金属原子を封入して入射した光を量子干渉させると共に長手方向側面に反射膜が形成されたガスセルと、傾斜部に反射膜が形成された台形プリズムと、を備え、前記発光素子が出射した光を前記台形プリズムにより反射させて前記ガスセル内に入射させると共に、前記ガスセル内に入射させた前記光を前記ガスセルの長手方向側面に形成された前記反射膜により多重反射させて伝搬し、伝搬した前記光を前記台形プリズムの前記反射膜により反射させて前記受光素子に入射させるようにした。
このような本発明によれば、発光素子が出射した光は、ガスセル内の長手方向の対向する側面を多重反射しながら伝搬されるので、従来のように発光素子が出射した光がガスセル内を直線的にそのまま伝搬させる場合に比べて、ガスセル内を伝搬する光の光路が長くなる。従って、光と金属原子ガスが接触する時間が増加して、ガスセルの全長を長くすることなく原子発振器の性能を向上させることができる。
また、本発明によるガスセルを使用することにより、従来のガスセルに比べて全長を短くすることができ、光学モジュールの形状を小型化して、原子発振器の小型化、薄型化を実現することができる。
また本発明は、波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときに、量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器用の光学モジュールであって、前記共鳴光となる光を出射する発光素子と、量子干渉された前記光を検出する受光素子と、ガス状の金属原子を封入して入射した光を量子干渉させると共に長手方向側面に反射膜が形成されたガスセルと、前記ガスセルの短手方向両側にそれぞれに設けられ、傾斜部に反射膜が形成されたプリズムと、を備え、前記発光素子が出射した光を前記プリズムにより反射させて前記ガスセル内に入射させ、前記ガスセル内に入射させた前記光を前記ガスセル内の長手方向側面に形成された前記反射膜により多重反射させて伝搬し、伝搬した前記光を前記プリズムにより反射させて前記受光素子に入射させるようにしたことを特徴とする。
このような本発明によれば、発光素子が出射した光は、ガスセル内の長手方向の対向する側面を多重反射しながら伝搬されるので、従来のように発光素子が出射した光がガスセル内を直線的にそのまま伝搬させる場合に比べて、ガスセル内を伝搬する光の光路が長くなる。従って、光と金属原子ガスが接触する時間が増加して、ガスセルの全長を長くすることなく原子発振器の性能を向上させることができる。
また、本発明によるガスセルを使用することにより、従来のガスセルに比べて全長を短くすることができ、光学モジュールの形状を小型化して、原子発振器の小型化、薄型化を実現することができる。
また、本発明によれば、発光素子が出射する光を反射してガスセル内に反射光を入射したり、ガスセルが出射した光を反射して受光素子に入射する2つのプリズムをガスセルの短手方向の両側にそれぞれ配置しており、原子発振器をさらに薄型化することができる。
また、本発明は反射膜が、金属膜からなることを特徴としている。
このような本発明によれば、反射膜として金属膜を使用しており、金属膜は、膜の形成工程が簡易であるので、反射膜として金属膜を使用することにより安価な光学モジュールを構成することができる。
また本発明は、反射膜が誘電体多層膜からなることを特徴としている。
このような本発明によれば、反射膜として誘電体多層膜を使用しており、誘電体多層膜は、反射効率が優れているとともに、反射された光の偏光状態を保持できる。従って、反射膜として誘電体多層膜を使用することにより、性能の優れた光学モジュールを構成することができる。
また、本発明は、コヒーレント光がレーザ光であることを特徴としている。
このような本発明によれば、ガスセルに光を入射して量子干渉させる発光素子として、レーザを使用した。従って、レーザが出射する光は、波長の単色性が良く、位相の揃ったコヒーレンスがよい光であるので、光学モジュールは、優れた量子干渉効果を実現することができる。
また、本発明は、ガス状の金属原子が、ルビジウム、又はセシウムであることを特徴としている。
このような本発明によれば、ガス状の金属原子としてセシウム原子を使用すると、精度の高い原子発振器を実現できる。また、ガス状の金属原子としてルビジウム原子を使用すると、廉価な原子発振器を実現できる。従って、原子発振器の要求性能とコストを考慮して、いずれかの金属原子を選ぶことができる。
図1は、原子発振器の光学系の要部構成を示したブロック図である。原子発振器1は、ガス状の金属原子を封入したガスセル4と、ガスセル4中の金属原子ガスに共鳴光を供給するコヒーレント光源3と、コヒーレント光源3から出射された光をガスセル4に導く第1の導光手段8と、ガスセル4を透過した透過光7を光検出器5に導く第2の導光手段9と、第2の導光手段9により導かれた透過光7を検出する光検出器5と、からなる光学モジュール2と、光検出器5により検出された信号により、発振周波数を制御する周波数制御回路6と、を備えて構成されている。なお、ここでは、原子発振器の周波数制御についての詳細な説明は省略する。
原子発振器1は、レーザ光などのコヒーレント光の量子干渉を利用したものであり、ガスセル4内に波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときに、量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する。この方式は、2つの基底準位が共鳴光を受けて、共通の励起準位と共鳴結合している系において、同時に照射される2つの共鳴光の周波数が正確に第1の基底準位と第2の基底準位のエネルギー差に一致すると、原子は2つの基底準位の重ね合わせの状態になり、励起準位への励起が停止する。CPTはこの原理を利用して、2つの共鳴光の一方、或いは両方の波長を変化させたときに、ガスセル4での光吸収が停止する状態を検出するものである。
図2は、CPT方式による原子の3準位系を説明する図の一例である。原子発振器に用いられるルビジウムやセシウムの基底準位は、核スピン−電子スピン相互作用による超微細構造により2種類の基底準位に分かれている。これらの基底準位の原子は光を吸収して、よりエネルギーの高い準位へ励起する。また、図2の様に2つの基底準位が光を受けて、共通の励起準位と共鳴結合している状態を2光子共鳴と言う。図2において、第1の基底準位23と第2の基底準位24は準位のエネルギーが若干異なるため、共鳴光もそれぞれ第1の共鳴光20と第2の共鳴光22とは波長が若干異なる。同時に照射される第1の共鳴光20と第2の共鳴光22の周波数差(波長の差)が正確に第1の基底準位23と第2の基底準位24のエネルギー差に一致すると、図2の系は、2つの基底準位の重ね合わせ状態になり、励起準位21への励起が停止する。CPTはこの原理を利用して、第1の共鳴光20と第2の共鳴光22のどちらか、または両方の波長を変化させたときに、ガスセル4において光吸収(つまり励起準位21への転換)が停止する状態を検出、利用する方式である。
次に、本発明に係る光学モジュールの具体的な実施形態について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る光学モジュールの構成を模式的に示した図である。光学モジュール31は、ベース基板32の所定の位置に発光素子(コヒーレント光源)33と、受光素子(光検出器)34とを搭載し、スペーサ35を介して導光手段となる受動光学素子36と、ガス状の金属原子を封入したガスセル37と、台形プリズム38と、を順次積み上げた構造である。また、受動光学素子36は、発光素子33から出射した光を集光したり、偏光状態を変えたりするなどのため、NDフィルタ39と、レンズ40と、波長板41と、を備えている。
また、台形プリズム38の二つの傾斜部には、反射膜42a、42bが形成され、入射した光を所定の角度に反射するようになっている。また、ガスセル37の長手方向の対向する側面には、反射膜43a、43bが形成され、入射した光を所定の角度で多重反射して伝搬するようになっている。
次に、図3に示した光学モジュール31の概略動作について説明する。発光素子33から出射されたコヒーレント光44aは、受動光学素子36に入射し、透過率を変化させるNDフィルタ39により光量調整された後、レンズ40において集光し、さらに波長板41により偏光してガスセル37に入射する。そして、コヒーレント光44aは、ガスセル37をそのまま透過して、台形プリズム38に入射される。入射されたコヒーレント光44aは、台形プリズム38の一方の傾斜部に形成された反射膜42aにより反射し、ガスセル37内に入射される。また、台形プリズム38の一方の傾斜部の角度は、入射したコヒーレント光44aを反射した際に、反射したコヒーレント光44bがガスセル37の長手方向の側面に形成された反射膜43aに所定の角度で入射するよう設定されている。
次に、ガスセル37内に入射されたコヒーレント光44bは、反射膜43aにより反射されて対向する側面に形成された反射膜43bに入射される。そして、反射膜43bに入射されたコヒーレント光44bは、さらに所定の角度で反射されて対向する側面に形成された反射膜43aに入射し、ガスセル37内を多重反射して伝搬する。ガスセル37は、2つの波長を有するコヒーレント光44bのどちらか、または両方の波長を変化させたときに、光吸収が停止するように動作する。
次に、反射膜43aに入射されたコヒーレント光44bは、所定の角度で反射されてガスセル37を透過し、台形プリズム38に入射される。そして、入射したコヒーレント光44bは、台形プリズム38の他方の傾斜部に形成された反射膜42bにより所定の角度で反射される。台形プリズム38の他方の傾斜部の角度は、入射したコヒーレント光44bを反射した際に、反射したコヒーレント光44cが、受光素子34の光軸上を伝搬するように設定されている。そこで、台形プリズム38の他方の傾斜部に形成した反射膜42bにより反射されたコヒーレント光44cは、ガスセル37を透過し、前述した受動光学素子36を経由して受光素子34により受光される。
このように第1の実施形態によれば、コヒーレント光44bは、ガスセル37内の長手方向の対向する側面を多重反射しながら伝搬しており、従来の光学モジュールは、コヒーレント光がガスセル内を直線的にそのまま伝搬することに比べて、ガスセル37内でのコヒーレント光44bの光路が長くなる。従って、コヒーレント光44bと金属原子ガスが接触する時間が増加して、ガスセルの全長を長くすることなく原子発振器の性能を向上させることができる。また、第1の実施形態によるガスセルを使用することにより、従来のガスセルの全長を短くすることができ、光学モジュールの形状を小型化して、原子発振器の小型化、薄型化を実現することができる。
次に、台形プリズム38に形成した反射膜42a、42bと、ガスセル37に形成した反射膜43a、43bについて説明する。
一般的に光学素子に反射膜を形成する手段としては、金属膜を形成する方法と誘電体多層膜を形成する方法とがあり、それぞれの特徴を生かして使用される。
金属膜を用いた反射膜としては、アルミニュームなどの金属材料を蒸着した後、表面に保護膜を形成したものが多く使用されている。金属膜は、形成工程が多層膜を形成する場合と比べて簡易であり、安価である。また、金属膜において反射された光は、偏光方向が回転する性質を有しており、その性質を考慮して使用する。
次に、誘電体多層膜を用いた反射膜は、2種類、或いは3種類の誘電体材料を交互に多層に積層して、光の干渉効果により反射膜として機能させたものである。誘電体多層膜は、前述した金属膜と比べてその製造工程が複雑であり、金属膜より高価なものであるが、誘電体多層膜において反射された光は、偏光方向が回転されないという性質を有している。
図4に、ガスセルに反射膜として誘電体多層膜を形成した場合の構成を模式的に示した図を示す。図4に示すように、ガスセル37の長手方向の対向する側面に、誘電体多層膜からなる反射膜43a、43bを形成している。反射膜43a、43bは、例えば、低屈折率の誘電体材質と高屈折率の誘電体材料を交互に多層に成膜したものであり、低屈折率の誘電体材質と高屈折率の誘電体材料の膜厚を調整することにより、極めて高い反射率を得るようにしたものである。
本発明のように、ガス状の金属原子を封入したガスセル内に光を入射してCPT現象を発生させる場合は、入射させる光の偏光方向をそろえたほうが大きなCPT現象を発生させることができるといわれている。そこで、本発明に係る光学モジュールに反射膜を形成する際は、光学モジュールの性能やコストを勘案して、適宜に金属膜や誘電体多層膜のどちらかを選択すればよい。
次に、本発明に係る光学モジュールの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、発光素子が出射する光をガスセル内に屈曲させるプリズムを、第1の実施形態のようにガスセルの面に配置せずに、ガスセルの短辺側の側面に配置したことが特徴である。従って、第1の実施形態と比べ更なる薄型化が可能となる。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る光学モジュールの構成を模式的に示した図である。光学モジュール51は、ベース基板52の所定の位置に発光素子(コヒーレント光源)53と、受光素子(光検出器)54とを搭載し、スペーサ55を介して導光手段となる受動光学素子56と、ガス状の金属原子を封入したガスセル57と、を順次積み上げた構造である。また、ガスセル57の短辺側の側面のそれぞれには、光学ブロック58a、58bを介してプリズム59a、59bを配置している。また、受動光学素子56は、発光素子53から出射した光を集光したり、偏光状態を変えたりするなどのため、NDフィルタ60と、レンズ61と、波長板62と、を備えている。
また、プリズム59a、59bのそれぞれの傾斜部には、反射膜63a、63bが形成され、入射した光を所定の角度で反射するようになっている。また、ガスセル57の長手方向の対向する側面には、反射膜64a、64bが形成され、入射した光は、所定の角度で多重反射して伝搬するようになっている。
次に、図5により光学モジュール51の概略動作について説明する。発光素子53から出射されたコヒーレント光65aは、受動光学素子56に入射し、透過率を変化させるNDフィルタ60により光量調整された後、レンズ61において集光し、さらに波長板62により偏光して光学ブロック58aを透過し、プリズム59aに入射する。プリズム59aの傾斜部には、反射膜63aが形成されており、また、プリズム59aの傾斜部の角度は、入射したコヒーレント光65aを反射した際に、反射したコヒーレント光65bがガスセル57の長手方向の側面に形成された反射膜64aに所定の角度で入射するよう設定されている。
プリズム59aの傾斜部に形成した反射膜63aにより反射したコヒーレント光65bは、ガスセル57内に入射され、反射膜64aにより反射されて対向する側面に形成された反射膜64bに入射される。そして、反射膜64bに入射されたコヒーレント光65bは、所定の角度で反射されて対向する側面に形成された反射膜64aに入射する。反射膜64aに入射されたコヒーレント光65bは、反射膜64aにより反射されて対向する側面に形成された反射膜64bに入射され、さらに所定の角度で反射されて対向する側面に形成された反射膜64aに入射される。そして、コヒーレント光65bは、所定の角度で反射されてガスセル57を透過し、プリズム59bに入射される。このように、ガスセル57内に入射されたコヒーレント光65bは、多重反射してガスセル57を伝搬する。また、ガスセル57は、2つの波長を有するコヒーレント光65bのどちらか、または両方の波長を変化させたときに、光吸収が停止するように動作する。
プリズム59bの傾斜部には、反射膜63bが形成されており、コヒーレント光65bは、所定の角度で反射される。プリズム59bの傾斜部の角度は、入射したコヒーレント光65bを反射した際に、反射したコヒーレント光65cが、受光素子54の光軸上を伝搬するように設定されている。そこで、コヒーレント光65cは、光学ブロック58bを透過し、前述した受動光学素子56を経由して受光素子54により受光される。
このように第2の実施形態によれば、コヒーレント光65bは、ガスセル57内の長手方向の対向する側面を多重反射しながら伝搬しており、従来の光学モジュールは、コヒーレント光がガスセル内を直線的にそのまま伝搬することに比べて、ガスセル57内でのコヒーレント光65bの光路は長くなる。従って、コヒーレント光65bと金属原子ガスが接触する時間を増加して、ガスセルの全長を長くすることなく原子発振器の性能を向上させることができる。また、第2の実施形態によるガスセルを使用することにより、従来のガスセルの全長を短くすることができ、光学モジュールの形状を小型化して、原子発振器の小型化、薄型化を実現することができる。また、第2の実施形態は、コヒーレント光を反射してガスセル内に入射するプリズムを、ガスセルの短辺の両側面にそれぞれ配置したので、第1の実施形態より光学モジュールを、さらに薄型化することが可能となる。
また、光学モジュール51に形成する反射膜は、前述した金属膜、或いは誘電体多層膜を適宜選択して使用すればよい。また、ガスセル57に形成した反射膜64a、64bは、ガスセル57の長手方向の側面の全体に形成しても良いし、所定の位置に限定して形成しても良い。
なお、本実施の形態で説明した発光素子は、コヒーレント光を出射するレーザとすることが望ましい。レーザ光は波長の単色性がよく、位相の揃った光である。このような光の波長や位相の安定性の尺度としてコヒーレンスが定義されている。コヒーレンスがよい、すなわち波長や位相が安定な光は量子干渉効果を起こすことができるので、その点でレーザ光は最適である。
また、本実施の形態で説明したガスセルに使用するガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムとする。例えば、1次原子標準器に使われるセシウム原子を使えば、精度の高い原子発振器を実現できる。また2次標準器で使われるルビジウム原子は手軽に広く普及しているため、これを使えば小型で低価格な原子発振器を実現できる。従って、金属原子として何を用いるかは、使用目的により選択すればよい。また、本実の施形態では、金属原子としてルビジウム、セシウムを用いたが、3準位系を持った原子であればどのような原子を用いても構わない。
原子発振器の光学系の要部構成を示したブロック図である。 CPT方式による原子の3準位系を説明する図の一例である。 本発明の第1の実施形態に係る光学モジュールの構成を模式的に示した図である。 ガスセルに反射膜として誘電体多層膜を形成した場合の構成を模式的に示した図である。 本発明の第2の実施形態に係る光学モジュールの構成を模式的に示した図である。 従来の原子発振器用の光学モジュールの構造を示した図である。
符号の説明
1…原子発振器、2、31、51…光学モジュール、3…コヒーレント光源、4、37、57…ガスセル、5…光検出器、6…周波数制御回路、7…透過光、8…第1の導光手段、9…第2の導光手段、20…第1の共鳴光、21…励起準位、22…第2の共鳴光、23…第1の基底準位、24…第2の基底準位、32、52…ベース基板、33、53…発光素子、34、54…受光素子、35、55…スペーサ、36、56…受動光学素子、38…台形プリズム、39、60…NDフィルタ、40、61…レンズ、41、62…波長板、42a、42b、43a、43b、63a、63b、64a、64b…反射膜、44a、44b、44c、65a、65b、65c…コヒーレント光、58a、58b…光学ブロック、59a、59b…プリズム

Claims (6)

  1. 波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときに、量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器用の光学モジュールであって、
    前記共鳴光となる光を出射する発光素子と、量子干渉された前記光を検出する受光素子と、ガス状の金属原子を封入して入射した光を量子干渉させると共に長手方向側面に反射膜が形成されたガスセルと、傾斜部に反射膜が形成された台形プリズムと、を備え、
    前記発光素子が出射した光を前記台形プリズムにより反射させて前記ガスセル内に入射させると共に、前記ガスセル内に入射させた前記光を前記ガスセルの長手方向側面に形成された前記反射膜により多重反射させて伝搬し、伝搬した前記光を前記台形プリズムの前記反射膜により反射させて前記受光素子に入射させるようにしたことを特徴とする原子発振器用の光学モジュール。
  2. 波長が異なるコヒーレント光としての2種類の共鳴光を入射したときに、量子干渉効果による光吸収特性を利用して発振周波数を制御する原子発振器用の光学モジュールであって、
    前記共鳴光となる光を出射する発光素子と、量子干渉された前記光を検出する受光素子と、ガス状の金属原子を封入して入射した光を量子干渉させると共に長手方向側面に反射膜が形成されたガスセルと、前記ガスセルの短手方向両側にそれぞれに設けられ、傾斜部に反射膜が形成されたプリズムと、を備え、
    前記発光素子が出射した光を前記プリズムにより反射させて前記ガスセル内に入射させ、前記ガスセル内に入射させた前記光を前記ガスセル内の長手方向側面に形成された前記反射膜により多重反射させて伝搬し、伝搬した前記光を前記プリズムにより反射させて前記受光素子に入射させるようにしたことを特徴とする原子発振器用の光学モジュール。
  3. 前記反射膜は、金属膜からなることを特徴とする請求項1または2に記載の原子発振器用の光学モジュール。
  4. 前記反射膜は、誘電体多層膜からなることを特徴とする請求項1または2に記載の原子発振器用の光学モジュール。
  5. 前記コヒーレント光はレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の原子発振器用の光学モジュール。
  6. 前記ガス状の金属原子は、ルビジウム、又はセシウムであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の原子発振器用の光学モジュール。
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