JP2009102716A - 銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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王高 佐藤
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Abstract

【課題】従来公知のアルコール還元法に比べて反応時間の短縮化、還元剤の使用量低減、反応温度の低温度化などが可能になる銀ナノ粒子の新たな合成法を提供する。
【解決手段】不飽和結合を持つ分子量200〜400の1級アミン(X)に銀化合物が溶解している溶液を、1種以上のアルコールアミン(Y)が混合された状態で、60℃以上200℃以下ただしアミン(Y)を構成する各アミンの沸点以下の温度域に保持することにより、アミン(Y)の還元力を利用して銀粒子を析出させる銀ナノ粒子の製造方法。アミン(Y)としては例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンの1種以上を選択することができる。アミン(X)としては例えばオレイルアミン(C918=C917−NH2;分子量267.49)が好適な対象として挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は銀ナノ粒子の製造方法であって、特にインクジェット法による微細配線描画用のインクや、各種回路パターンの形成等に使用する銀ペーストに好適な銀ナノ粒子であって特に低温焼結性に優れたものの製造方法に関する。本明細書では粒子径が20nm以下の粒子を「ナノ粒子」と呼び、銀ナノ粒子で構成される粉末を「銀微粉」と呼んでいる。
金属ナノ粒子は活性が高く、低温でも焼結が進むため、耐熱性の低い素材に対するパターニング材料として着目されて久しい。なかでも銀ナノ粒子は、銀の有する良好な導電性と耐食性を活かすことができ、微細配線形成用の素材として種々の用途への適用が期待されている。
銀ナノ粒子の合成法としては気相法と液相法が知られている。気相法の例は特許文献3に開示がある。これはガス中での蒸着法により銀ナノ粒子を合成するものである。これによると粒子径10nm以下の銀粒子を得ることができる。しかし、粒径の揃った(すなわち粒度分布が良い)粉末を得ることは必ずしも容易ではない。銀インクを用いた微細配線の描画においては、粒度分布はできるだけ良好であることが望まれる。また、気相法を実施するには高真空が実現できる特殊な装置が必要であり、液相法に比べるとコストが高くなる。
一方、液相法を用いた銀ナノ粒子の合成法として、本出願人は有機保護材存在下のアルコール中で銀塩をアルコールによって還元する方法を特許文献1、2などに開示した。これらの手法によれば、粒度分布が良くかつ液中分散性に優れた銀ナノ粒子を得ることができる。
特開2006−213955号公報 特開2007−39718号公報 特開2001−35255号公報
しかし、特許文献1、2に開示されるようなアルコールを還元剤とした銀粒子の合成法の場合、還元率(後述)を安定して高く維持するためには、数時間程度の長い反応時間を確保することが望まれる。また、還元剤であるアルコールの使用量も、それ自体が溶媒として機能する程度に多量とすることが必要である。さらに、100℃未満の低温では反応の進行が遅いという問題もある。
本発明は、アルコールを還元剤とした合成法の上記のような欠点を解消すべく、反応時間の短縮化、還元剤の使用量低減、反応温度の低温度化などが可能になる銀ナノ粒子の新たな合成法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明ではアルコールアミンの還元力を利用して銀粒子を合成する。すなわち本発明では、不飽和結合を持つ分子量200〜400の1級アミン(X)の液中に銀化合物が溶解している溶液を、1種以上のアルコールアミン(Y)が混合された状態で、60℃以上200℃以下ただしアミン(Y)を構成する各アミンの沸点以下の温度域(この温度域をここでは「反応温度域」と呼んでいる)に保持することにより、アミン(Y)の還元力を利用して銀粒子を析出させる銀ナノ粒子の製造方法が提供される。
アミン(Y)としては例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンの1種以上を選択することができる。アミン(X)としては例えばオレイルアミン(C918=C917−NH2;分子量267.49)が好適な対象として挙げられる。
還元剤として機能するアミン(Y)の使用量については、反応温度域への保持を終了するまでに混合するアミン(Y)のトータル量を、液中の銀に対して0.03当量以上(例えば0.03〜5当量の範囲)となるように確保すればよい。ここで、1当量とは、アミン(Y)のモル数と、液中のAgのモル数の比「アミン(Y)/銀モル比」が1の場合を意味する。反応温度域に保持する時間は、例えば0.5〜2時間というように短時間とすることができる。
本発明によれば、液相法における銀ナノ粒子の合成において、アルコールで還元する場合に比べ、反応時間の短縮化、還元剤の使用量低減、反応温度の低温度化などが可能になる。また、液相法の中でも使用する原材料の構成が非常にシンプルである。したがって本発明は、銀ナノ粒子の工業的普及に寄与し得ると考えられる。
本発明の銀ナノ粒子の製造方法を利用すると、「還元工程(本発明に係る工程;工程A)」、「固液分離工程(工程B)」、「洗浄工程(工程C)」を有するプロセスにより銀微粉を製造することができる。
以下、各工程について説明する。
《還元工程(工程A)》
本発明では、銀化合物を1級アミン(X)に溶解させ、これにアルコールアミン(Y)を作用させて、そのアミン(Y)の還元力を利用して銀粒子を析出させる。
〔銀化合物〕
銀イオン供給源である銀化合物としては、1級アミン(X)の溶媒中に可溶な塩化銀、硝酸銀、酸化銀、炭酸銀などが使用でき、工業的に入手しやすく比較的安価な硝酸銀が好適である。
〔1級アミン(X)〕
1級アミン(X)は、溶媒であるとともに、析出した銀粒子の保護材として機能する。アルコールアミン(Y)よりも還元力が弱いことが必要であり、不飽和結合を持つ分子量200〜400の1級アミンを適用する。
1級アミン(X)の分子量があまり小さいと、保護材として銀粒子を被覆したとき、液状媒体中でのいわゆる「浮き輪」としての能力が不足することがあり、その場合は極めて良好な液中分散性を実現するために使用できる液状媒体の選択自由度が減少する。種々検討の結果、分子量200以上のものが適している。分子量が大きくなりすぎると、この有機保護材で被覆した銀粒子を成分とするインクやペーストで薄膜を描画し、これを焼成して導電膜を作るときに、有機保護材の揮発が生じにくくなるので、昨今要求が厳しくなっている「低温焼成」のニーズに十分応えられない場合がある。分子量は400以下であることが望まれる。
この1級アミン(X)は1個以上の不飽和結合を有していることが重要である。不飽和結合の存在によって、銀粒子の表面に吸着している状態からの脱着が起こりやすくなると考えられ、「低温焼成」にとって有利となる。銀粒子表面の有機保護材をより低温焼結性に優れる低分子量の化合物に付け替える場合にも、脱着が起こりやすいことは極めて有利である。
このような1級アミン(X)として、例えばオレイルアミンが好適な対象として挙げられる。
液中の銀濃度は、アミン(X)/銀モル比、すなわち、Agに対するアミン(X)の量が3〜10当量程度となるようにすることが望ましい。
アミン(X)中には本発明の効果を阻害しない範囲であれば、後述のアルコールアミン(Y)以外の有機物質(銀析出反応時の生成物を除く)が混入していても構わない。例えば多少のアルコール(ポリオールを含む)の存在は許容されるが、還元剤として実質的に機能しない程度の混入量に制限してもよい。具体的には、アミン(X)100質量部に対し、アルコールの混入量は5質量部以下に制限することができ、1質量部以下に制限してもよい。
〔アルコールアミン(Y)〕
アルコールアミン(Y)は還元剤として機能する。アミンは一般に、分子量が同程度のアルコールに比べ、高い還元力を有する。ところが、保護材に被覆された銀ナノ粒子を安定して生成させるためには、これまでの経験から比較的穏やかな還元力を有する還元剤を用いて、時間をかけて銀イオンを還元することが有利である。還元力の強いアミンを使用すると粗大な銀粒子が生成しやすくなるなど、品質の良好な銀ナノ粒子を生産するうえで障害を招きやすい。この点、特許文献1、2に開示されるようなアルコールによる還元法だと、その穏やかな還元力が寄与しているものと考えられ、結果的に保護材に被覆された銀ナノ粒子を安定して得ることが可能である。
しかしながら、銀ナノ粒子の工業的生産においてはより反応速度の高い合成法の確立が望まれる。発明者らは種々検討の結果、アミンのなかでもアルコールアミンを使用した場合に、粒径の揃った銀ナノ粒子を合成することができることを見出した。しかも、アルコール還元よりも低温・短時間の反応が可能になる。アルコールアミンの還元力を利用することにより銀ナノ粒子が合成されるメカニズムについては現時点で未解明であるが、上述の不飽和結合を持つアミン(X)とのマッチングによって、比較的穏やかな還元反応の進行が実現されるものと考えられる。すなわち、アルコールアミン(Y)によって還元されて析出した金属銀は、その周囲に豊富に存在するアミン(X)の分子に即座に取り囲まれる。このとき、アミン(X)は、アルコールアミン(Y)と比較して還元力が非常に弱いので実質的に還元剤として機能しない。一方、アルコールアミン(Y)の還元力は適度に強い(過度には強くない)ため、析出した金属銀がアミン(X)に取り囲まれるまでの間に反応が進行しすぎて粗大化することが防止されると考えられる。
反応温度域での保持を終了するまでに混合するアミン(Y)のトータル量は、液中の銀に対して例えば0.03〜5当量の範囲とすることができる。それよりアミン(Y)の量が少ないと後述の還元率が30%を下回る場合も多くなり、銀の歩留が良くない。Agに対するアミン(Y)のトータル量は0.05当量以上を確保することが望ましい。0.25当量以上とすることで還元率は85%程度まで向上するので、工業生産を行う場合は0.25当量以上とすることが有利である。ただし、Agに対するアミン(Y)の混合量が5当量を超えても還元率の更なる向上効果はほとんど見られない。実用的には0.5〜3当量程度の範囲とすることが好ましいと考えられる。なお、2種以上のアルコールアミンを使用する場合は、Agに対するアミン(Y)の混合量「アミン(Y)/銀モル比」を算出する際のアミン(Y)のモル数には、使用するアルコールアミンの合計モル数を適用する。
アルコールアミンは、アルコール分子の水酸基を残した形のアルキル基(−R−OH)によってアンモニアのHを置換したアミンである。アルコールアミン(Y)の代表例として、モノエタノールアミン;NH2CH2CH2OH、ジエタノールアミン;NH(CH2CH2OH)2、トリエタノールアミン;N(CH2CH2OH)3が挙げられる。この場合、アルコールアミン(Y)はこれらのうち1種のみで構成しても良いし、これらの2種以上で構成してもよい。
〔還元工程の手順〕
所定量の1級アミン(X)を溶媒として、この中に銀化合物が溶解している溶液を作成する。液を昇温して、アミン(Y)が液中に混合された状態で、60〜200℃ただしアミン(Y)を構成する各アミンの沸点以下の温度域(本明細書ではこの温度域を「反応温度域」と呼んでいる)の所定温度にに保持する。60℃を下回る温度では還元反応の進行が進みにくいので高い還元率を安定して得ることが難しくなる。反応温度域として70℃以上の温度範囲を設定することがより好ましい。アミン(Y)は、その混合すべき量の全部または一部を昇温前の段階あるいは昇温途中に添加しても構わない。ただし、分散性の極めて良好な銀ナノ粒子のみを後工程で選別してインクを作成する用途などでは、前記反応温度域内の所定の保持温度に到達した後に、アミン(Y)を一挙に全部添加するか、保持時間内に連続的または分割して添加することが望ましい。昇温過程で既にアミン(Y)が液中に混合されていると、分散性のあまり良くない粗大な銀ナノ粒子の生成量が増大する傾向にあることが発明者らの研究により確認されている。
還元反応進行中は、液を撹拌することが望ましいが、あまり強く撹拌する必要はない。容器内で液を均一に循環させるに足る撹拌力を付与すれば十分である。
反応温度域での保持時間は0.5時間以上確保することが望ましい。それより短時間では未反応の銀が残りやすく、結果的に還元率が低下しやすい。従来のアルコール還元の場合と同様に5時間程度保持しても構わないが、2時間を超えて長時間保持しても還元率の目立った改善は見られないので、実操業においては0.5〜2時間の範囲で保持時間を設定することが望ましい。還元反応が進行して銀粒子が析出すると、アミン(X)で被覆された銀ナノ粒子が存在するスラリーが得られる。その銀ナノ粒子の粒子径は、電子顕微鏡観察像から定まる平均粒子径DTEMが20nm以下(例えばDTEM:5〜15nm)、X線結晶粒子径DXが15nm以下(例えばDX:3〜14nm)といったものである。
《固液分離工程(工程B)》
上記のスラリーを固液分離して、銀ナノ粒子を固形分として回収する。固液分離手段としてはデカンテーションや遠心分離が適用できるが、遠心分離が効率的である。回収された固形分は、1級アミン(X)を成分とする保護材に被覆された銀ナノ粒子を主体とするものである。
《洗浄工程(工程C)》
上記の固形分には不純物が付着している。ここでは不純物をできる限り除去し、凝集し難い性質を備えた銀粒子を得る。
〔洗浄工程の手順〕
例えば、分離回収された固形分に洗浄液(例えばメタノールやイソプロパノール)を添加して超音波分散を加えた後、液を遠心分離して固形分を回収する、という操作を数回繰り返すことにより、付着している不純物を洗浄除去することができる。
〔還元率〕
本発明でいう還元率は、以下のように定義される。
還元率(%)=[工程Cで回収された銀粒子(保護材を含む)の乾燥質量]/[工程Aに使用した銀化合物に含まれる銀の質量]×100 ……(1)
この還元率の値は、銀が反応生成物として回収できている割合を示すものであるが、液中の銀イオンが完全に還元されていれば、工程Cで回収される銀粒子の質量には表面を被覆している有機物質(保護材)の質量も含まれるので100%よりも高い還元率(例えば120%程度)を示すこともありうる。
還元率は、以下の方法で求めることができる。
[1]工程Cを終えて得られた固形分の質量を測定し、これを質量値aとする。
[2]工程Cを終えて得られた固形分からサンプルを分取してその質量を測定し、これを質量値bとする。
[3]上記サンプルを質量既知の容器に入れた後、240℃で12時間真空乾燥させる。得られた乾燥物の質量を測定し、これを質量値cとする。
[4]c×(a/b)の値を計算し、これを上記(1)式の[工程Cで回収された銀粒子(保護材を含む)の乾燥質量]として、(1)式により還元率を算出する。
アルコールとアルコールアミンの還元力の相違を調べた実験例を示す。
1級アミン(X)として、オレイルアミン(和光純薬株式会社製特級試薬)を用意した。
比較例に使用するアルコールとして、イソブタノール;沸点108℃(和光純薬株式会社製特級試薬)を用意した。
本発明例に使用するアルコールアミン(Y)としてジエタノールアミン;沸点268.8℃(和光純薬株式会社製特級試薬)を用意した。
銀化合物として、硝酸銀結晶(関東化学株式会社製特級試薬)を用意した。
《例1−1、1−2(比較例)、1−3(本発明例)》
オレイルアミンと硝酸銀結晶を混合して、硝酸銀が完全に溶解した液を作成した。Agに対するオレイルアミンの量を5当量とした。
上記配合の液300mLを準備し、還流器の付いた容器に移してオイルバスに載せ、108℃まで昇温速度0.5℃/minで昇温した。液温が108℃に達した時点で、Agに対して10.8当量のイソブタノール(例1−1、1−2)または1当量のジエタノールアミン(例1−3)を全部添加した。マグネットスターラーにより100rpmで撹拌し、容器の気相部に窒素ガスを500mL/minの流量で供給してパージしながら、還流状態で108℃の保持温度に1時間(例1−1、1−3)または5時間(例1−2)保持した。その後、加熱を止め、冷却した。このようにして還元工程(工程A)を終えた。
反応後のスラリーを3000rpm30分の遠心分離により固液分離し、上澄みを廃棄して固形分を回収した(工程B)。その後、「固液分離された固形分にメタノールを加えて超音波分散させたのち、3000rpm30分の遠心分離により固液分離して固形分を回収する」、という洗浄操作を3回行った(工程C)。洗浄後の固形分からサンプルを採取し、前述の方法で還元率を求めた。また、洗浄された固形分の試料について、下記の方法でX線結晶粒子径DXを求めた。
〔X線結晶粒子径DX
試料を、ガラス製セルに塗り、X線回折装置にセットし、Ag(111)面の回折ピークを用いて、下記(1)式に示すScherrerの式によりX線結晶粒径DXを求めた。X線にはCu−Kαを用いた。
X=K・λ/(β・cosθ) ……(1)
ただし、KはScherrer定数で、0.94を採用した。λはCu−Kα線のX線波長、βは上記回折ピークの半価幅、θは回折線のブラッグ角である。
結果を表1に示す。なお、工程Aで合成された銀粒子の平均粒子径DTEMは、いずれも20nm以下であることが確認されている(以下の各例において同じ)。参考のため図3(1−1)〜図3(1−3)にそれぞれ例1−1 〜 1−3の工程Cで得られた洗浄後の固形分についての透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
表1からわかるように、アルコールによる還元の場合、1時間の反応時間では還元率が22.4%と低い(例1−1)。高い還元率を実現するには5時間程度の長時間の反応時間を確保する必要がある(例1−2)。これに対しアルコールアミンによる還元の場合、1時間の反応で97.8%という高い還元率が実現できる(例1−3)。また、還元剤の量も、アルコールアミンの場合には大幅に少なくすることができる。
アルコールアミン(Y)の添加量を変化させた場合の実験例を示す。
《例2−1(比較例)、2−2 〜 2−5(本発明例)》
前記の例1−3において、アミン(Y)であるジエタノールアミンの添加量を、液中のAgに対して0.01〜3当量の範囲で変化させた(例2−1 〜 2−5)。それ以外は例1−3と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。また図1にAgに対するジエタノールアミンの添加量と還元率の関係を示す。参考のため図3(2−1)〜図3(2−5)にそれぞれ例2−1 〜 例2−4の工程Cで得られた洗浄後の固形分についてのTEM写真を示す。
表1および図1からわかるように、ジエタノールアミンの添加量は、Agに対し0.05当量と少なくても、40%を超える還元率が1時間の反応時間で得られている。ジエタノールアミンの添加量増大に伴って還元率は急激に上昇し、0.5当量程度で90%を超える還元率が得られる。還元剤としてアルコールアミン(Y)を使用すると、アルコールの場合に比べて還元剤の使用量が大幅に低減できることが確認された。
反応温度を変化させた場合の実験例を示す。
《例3−1(比較例)、3−2、3−3(本発明例)》
前記の例1−3において、反応温度(保持温度)を50〜140℃の範囲で変化させた(例3−1 〜 3−3)。それ以外は例1−3と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。また図2に反応温度と還元率の関係を示す。参考のため図3(3−2)および図3(3−3)にそれぞれ例3−2および例3−3の工程Cで得られた洗浄後の固形分についてのTEM写真を示す。
表1および図2からわかるように、還元剤としてアルコールアミン(Y)を用いた場合は、75℃という低温でも1時間の反応時間で85%を超える高い還元率が得られている。なお、アルコールによる還元では、反応温度が80℃を下回ると還元率は急速に低下することがわかっている。
アルコールアミン(Y)の種類を変化させた場合の実験例を示す。
実施例1に示したジエタノールアミンの他に、さらにモノエタノールアミン;沸点170.8℃、およびトリエタノールアミン;沸点335.4℃(いずれも和光純薬株式会社製特級試薬)を用意した。
《例4−1 〜 4−3(本発明例)》
前記の例1−3において、アルコールアミン(Y)をジエタノールアミンから、モノエタノールアミン(例4−1)、トリエタノールアミン(例4−2)に変えた。また、ジエタノールアミンとトリエタノールアミンを等モルずつ、合計1当量複合添加した(例4−3)。それ以外は例1−3と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。参考のため図3(4−1)〜図3(4−3)にそれぞれ例4−1 〜 例4−3の工程Cで得られた洗浄後の固形分についてのTEM写真を示す。
表2からわかるように、還元剤のアルコールアミン(Y)として1級アミンであるモノエタノールアミン、2級アミンであるジエタノールアミン、3級アミンであるトリエタノールアミンいずれを用いた場合でも高い還元率が得られる。また、複数のアミンで構成されるアルコールアミン(Y)を適用しても1時間の反応時間で銀ナノ粒子の合成が可能である。
アルコールアミン(Y)の添加時期を変化させた場合の実験例を示す。
《例5−1(本発明例)》
前記の例1−3において、アルコールアミン(Y)を、昇温開始前に全量添加した。それ以外は例1−3と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。参考のため図3(5−1)に例5−1の工程Cで得られた洗浄後の固形分についてのTEM写真を示す。また図4(1−3)および図4(5−1)にそれぞれ例1−3および例5−1の工程Cで得られた洗浄後の固形分についてのFE−SEM写真を示す。
表2からわかるように、アルコールアミン(Y)を昇温開始前に添加しても高い還元率が得られる。ただし、図4(1−3)と図4(5−1)を対比するとわかるように、反応温度域に昇温した後にアルコールアミン(Y)を添加した方が(図4(1−3))、粗大な粒子の割合が減少する傾向にある。粗大な粒子が少ないと、後工程で極めて分散性の良い粒子のみを選別した分散液を作る操作を行ったとき、その分散液中に回収される粒子の収率が高くなる。したがって、インクなどの用途では反応温度域に昇温後にアルコールアミン(Y)を添加することが望ましい。
アルコールアミン(Y)を分割して添加した場合の実験例を示す。
《例6−1(本発明例)》
前記の例2−4において、ジエタノールアミンの添加を保持温度に昇温後に5回に分割して行った。1回の添加量はAgに対して0.05当量とし、保持温度に昇温した時点で最初の添加を行い、その後12分毎に4回、合計0.05×5回=0.25当量分を添加し、最終添加12分後(すなわち1時間保持後)に冷却を開始した。それ以外は例2−4と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
表2からわかるように、本例のようにアルコールアミン(Y)の添加量が比較的少ない場合には、分割して添加すると還元率の明らかな向上が見られ、効果的である。
本発明例である例1−3の銀ナノ粒子(工程Cを経た洗浄後の粒子)を用いて、以下の手順により銀分散液を作製し、低温焼結性を調べた。
〔銀分散液の作成〕
工程Cを経た洗浄後の固形分に液状媒体としてn−テトラデカンを加えて超音波分散させたのち、3000rpm30分の遠心分離により固液分離して、ここでは液(上澄み液)を回収した。この液中にはオレイルアミンに被覆された分散性の良い銀粒子が存在している。遠心分離はいずれも日立工機製CF7D2を用いて行った。TG−DTA装置を用いた測定によりこの銀粒子分散液中の銀濃度は約60質量%であった。この銀粒子分散液はインクとして塗布可能な特性を有していると判断されたので、これをそのまま銀塗料として使用することとした。
〔塗膜の形成〕
前記銀塗料(銀分散液)をスピンコート法でガラス基板の上にコーティングすることにより塗膜を形成させた。
〔焼成膜の形成〕
塗膜を形成した基板を大気中200℃の炉中に装入して1時間保持することにより「200℃焼成膜」を得た。
〔焼成膜の比抵抗(体積抵抗)測定〕
表面抵抗測定装置(三菱化学製;Loresta HP)により測定した表面抵抗と、蛍光X線膜厚測定器(SII製;STF9200)で測定した焼成膜の膜厚から、計算により体積抵抗値を求め、これを焼成膜の比抵抗として採用した。
その結果、200℃焼成膜の抵抗値は3.42μΩ・cmであり、良好な導電性を示した。
Agに対するジエタノールアミンの添加量と還元率の関係を示したしたグラフ。 反応温度と還元率の関係を示したしたグラフ。 例1−1(比較例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例1−2(比較例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例1−3(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例2−1(比較例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例2−2(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例2−3(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例2−4(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例2−5(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例3−2(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例3−3(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例4−1(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例4−2(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例4−3(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例5−1(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例6−1(本発明例)で得られた銀粒子のTEM写真。 例1−3(本発明例)で得られた固形分のFE−SEM写真。 例5−1(本発明例)で得られた固形分のFE−SEM写真。

Claims (5)

  1. 不飽和結合を持つ分子量200〜400の1級アミン(X)の液中に銀化合物が溶解している溶液を、1種以上のアルコールアミン(Y)が混合された状態で、60℃以上200℃以下ただしアミン(Y)を構成する各アミンの沸点以下の温度域(反応温度域という)に保持することにより、アミン(Y)の還元力を利用して銀粒子を析出させる銀ナノ粒子の製造方法。
  2. アミン(Y)は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンの1種以上からなる請求項1に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
  3. アミン(X)はオレイルアミンである請求項1または2に記載の銀ナノ粒子の製造方法。
  4. 反応温度域に保持する時間を0.5〜2時間の範囲とする請求項1〜3のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法。
  5. 反応温度域での保持を終了するまでに混合するアミン(Y)のトータル量を、液中の銀に対して0.03〜5当量とする請求項1〜4のいずれかに記載の銀ナノ粒子の製造方法。
JP2007277135A 2007-10-25 2007-10-25 銀ナノ粒子の製造方法 Pending JP2009102716A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MD4106C1 (ro) * 2010-12-03 2011-11-30 Институт Химии Академии Наук Молдовы Procedeu de obţinere a unei nanodispersii uleioase de argint injectabile
CN102675961A (zh) * 2011-03-08 2012-09-19 深圳市尊业纳米材料有限公司 一种导电油墨及其制备方法和使用方法
CN104259471A (zh) * 2014-08-29 2015-01-07 昆明贵金属研究所 一种粒径均一的球形银纳米颗粒的快速制备方法
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