JP2009105573A - 弾性表面波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】SAWデバイスの圧電基板上に設けたヒータ電極による熱応力の影響を解消して周波数安定性を向上させる。
【解決手段】
圧電基板2上にIDT3及び反射器4,5を有するSAW素子1をSAW伝搬方向の一方の端部2aで接着剤9により片持ちに支持したSAWデバイスは、ヒータ電極6がSAW素子の平面において、その全部を端部の接着剤を塗布した領域に重なるように、又は隣接する一方の反射器と接着剤を塗布した領域との間に配置される。IDT及び反射器は、接着剤で浮かせたSAW素子の他の部分に配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電基板上に弾性表面波(SAW)を励振するIDT(すだれ状トランスデューサ)とその両側に配置した反射器とを形成した弾性表面波デバイスに関する。
従来、SAWデバイスは、携帯電話等の情報通信機器、その他様々な電子機器に広く使用されている。特に通信機器の分野では、優れた周波数温度特性を発揮するSAWデバイスが要求されている。ところが、SAWデバイスの周波数温度特性が、負の2次曲線や3次曲線となるような場合、周波数は中心温度付近では安定しているが、中心温度から離れるほど大きく変動するという特徴がある。
そこで、環境温度の変化による周波数の変動を抑制するために、圧電基板の主面又は裏面にヒータ用の抵抗体を形成し、該抵抗体に印加する電流を調整して圧電基板の温度を調整可能にしたSAW素子が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。この抵抗体は、圧電基板上の電極パターンと同様に、圧電基板上に成膜した電極材料の薄膜をエッチングすることにより形成される。
また、圧電基板の裏面に熱電素子としてペルチェ素子を接合し、表面上のSAWに影響を与えることなく、圧電基板の表面温度を適切に制御するSAW共振器等のSAW装置が知られている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3によれば、圧電基板をその裏面の一部のみで支持することにより、圧電基板の周囲から受ける応力を低減させることができる。更に特許文献3によれば、圧電基板の裏面に複数の熱電素子を分散配置することにより、熱電素子間の応力伝達を分断して圧電基板への応力を更に低減できるとされている。
特開平5−218794号公報 特開平1−261013号公報 特開平8−79002号公報
しかしながら、このようなヒータ付きのSAWデバイスは実用化されていないのが現状である。その理由は、圧電基板を該基板上に設けた抵抗体からなるヒータ電極で直接加熱したとき、基板内部にヒータ電極付近から離れる向きに温度勾配が生じ、その不均一な温度分布による熱応力が基板を変形させ、その内部応力が周波数を変動させるためと考えられる。この結果、ヒータの熱により圧電基板の温度を調節して周波数を安定させるという本来の目的を達成することができない。
SAWデバイスをヒータ電極で加熱しない場合の周波数温度特性を、図8に示すように例えば65°の使用温度を頂点温度とする2次曲線と仮定する。この場合、圧電基板の温度を65°±10°に制御すれば、SAWデバイスの周波数は数ppm程度の変動範囲に安定させることができる。しかしながら、SAWデバイスの周波数変動量は、図9に示すように、圧電基板の温度を環境温度よりも上昇させたとき、温度上昇幅Δtに関して直線状に変化することを本願出願人は見出した。これは、温度上昇により圧電基板内部に生じた熱応力の影響であると考えられる。
このため、例えば環境温度が25°の状態で圧電基板の温度を65°まで上昇させたとき、SAWデバイスの周波数温度特性は、図10に実線で示すようになる。即ち、図8の2次曲線から図9の変動量を、25°の位置で交差させて差し引いた2次曲線となる。その結果、温度変化に対する周波数変動量が大きくなり、周波数を安定させることが困難になるという問題が生じる。
また、上記特許文献3に記載のSAW装置は、圧電基板をその裏面の一部のみで支持したとき、熱電素子から発生した熱の一部が支持部から直接支持台に逃げるため、圧電基板の裏面全体に熱電素子を接合しても、その温度分布は不均一になり易い。仮に圧電基板の裏面に分散配置した複数の熱電素子が個別に制御可能であるとしても、圧電基板の温度分布を均一にすることは比較的困難である。
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧電基板上にその温度を調整するためのヒータ電極を設けたSAWデバイスにおいて、ヒータ電極の発熱による熱応力の影響を解消して、環境温度によらず圧電基板の温度分布を均一にし、周波数の安定化を実現することにある。
本願発明者は、圧電基板上にIDTを形成したSAW素子片を長手方向又は幅方向の一方の端部で片持ちに支持したSAWデバイスにおいて、圧電基板上にヒータ電極を設けてその温度を調整したときに圧電基板に生じる温度分布や内部応力を解析した。本発明は、この解析結果に基づいてなされたものである。
本発明によれば、上記目的を達成するために、例えば水晶からなる矩形板状の圧電基板の主面に、SAWを励振するIDTと、該IDTの両側に配置した反射器と、ヒータ電極とを設けたSAW素子を、その長手方向又は幅方向の一方の端部で片持ちに、他の部分を浮かせた状態で支持するSAWデバイスにおいて、ヒータ電極をSAW素子の前記一方の端部に配置し、かつIDTをSAW素子の前記浮かせた他の部分に配置したSAWデバイスが提供される。
このようにヒータ電極及びIDTを配置することにより、SAW素子をヒータ電極で加熱したときに、その開始温度即ち環境温度の高低やそれから所望の使用温度までの昇温幅の大小によらず、圧電基板主面のIDTを形成した部分の温度分布を概ね均一化し、その熱応力による圧電基板の内部応力を略一定にかつ小さくすることができる。その結果、熱応力によるSAWデバイスの周波数の変動が解消又は抑制されるので、周波数の安定化が実現される。
或る実施例では、SAW素子の前記一方の端部がSAW伝搬方向の一方の端部であり、該一方の端部の裏面でSAW素子が接着剤により固定支持され、かつヒータ電極が圧電基板の平面において、接着剤を塗布した領域と重なるように配置されることにより、圧電基板の平面寸法を必要以上に大きくする必要がなく、SAW素子の寸法を最小限にして、SAWデバイスの小型化を図ることができる。
別の実施例では、SAW素子の前記一方の端部がSAW伝搬方向の一方の端部であり、該一方の端部の裏面でSAW素子が接着剤により固定支持され、かつヒータ電極が圧電基板の平面において、隣接する反射器と接着剤を塗布した領域との間に配置されることにより、ヒータ電極からの熱が圧電基板に良好に閉じ込められる。その結果、圧電基板を同じ表面温度に加熱するために必要なヒータ電極の消費電力をより少なくすることができる。
また別の実施例では、SAW素子の前記一方の端部がSAW伝搬方向と交差する方向の一方の端部であり、該一方の端部の裏面でSAW素子が接着剤により固定支持され、かつヒータ電極が圧電基板の平面において、接着剤を塗布した領域と重なるように配置されることにより、圧電基板の平面寸法を必要以上に大きくすることなく、SAW素子の寸法を最小限にして、SAWデバイスの小型化を図ることができる。
この場合、或る実施例では、SAWの伝搬方向において、ヒータ電極が、IDTの長さよりも長くかつIDTの全長を含む範囲に配置されていると、圧電基板の接着剤で浮かせた部分で、特にIDTを形成した領域の温度分布を効率良く均一にすることができる。
別の実施例では、圧電基板の接着剤を塗布した領域の厚さを他の部分よりも厚くすることができ、圧電基板の厚さを薄くした場合でも、接着剤を介して支持部に逃げる熱量を少なくすることができる。更に、接着剤の塗布面積が一定になるので、接着剤から支持部に逃げる熱量が常に略一定となり、SAW素子の固定位置がずれた場合でも、そのために圧電基板表面の温度分布がばらつくことを防止でき、その安定化を図ることができる。
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
図1(A)(B)は、本発明を適用したSAWデバイスの第1実施例を示している。本実施例のSAWデバイスは、共振子として使用されるSAW素子1を備える。SAW素子1は、水晶からなる矩形平板の圧電基板2を有する。圧電基板2の主面には、その略中央に交差指電極対からなるSAW励振用のIDT3が形成されている。IDT3のSAW伝搬方向の両側には、それぞれ各1個の反射器4,5が配置されている。
圧電基板2主面のSAW伝搬方向即ち長手方向の一方の端部2aには、その長手方向の端縁とそれに近い方の反射器5との間にヒータ電極6が設けられている。ヒータ電極6は、圧電基板2のSAW伝搬方向に直交する交差長方向即ち幅方向の略全長に亘って、IDT3の交差長Wよりも長くかつその全範囲を含むように配置される。ヒータ電極6は、比較的細幅の配線パターンからなり、前記IDT及び反射器の電極形成と同時に、フォトエッチングによりパターン形成される。
更に、圧電基板2主面のSAW伝搬方向の端部2aには、その両側辺に沿ってIDT3の前記各交差指電極のバスバー7,7から取出電極8,8が引き出されている。ヒータ電極6の両端は、取出電極8,8の直ぐ内側に配置された入出電極6a,6bに接続されている。
SAW素子1は、図1(B)に示すように、SAW伝搬方向の端部2aの裏面で接着剤9により、前記SAWデバイスの支持部10上に片持ちで固定支持されている。接着剤9には、公知の様々な接着剤を使用することができ、例えばシリコーン系の接着剤は断熱性が高いので、好都合である。図1(A)に示すように、ヒータ電極6は、SAW素子1の平面において、その全部が端部2aの接着剤9を塗布した領域に重なるように配置されている。接着剤9で浮かせたSAW素子1の他の部分に、IDT3及び反射器4,5が配置されている。
図1のSAWデバイスについて、ヒータ電極6に電流を印加して圧電基板2の温度を調整し、該圧電基板の主面の温度分布及び内部応力を解析した。本実施例では、IDT3を形成した圧電基板2の中央領域を、室温(25℃)から所定の使用温度である約65℃まで昇温させるように加熱した。その解析結果を図2(A)の温度分布図及び図2(B)の応力分布図に示す。
図2(A)に示すように、圧電基板2のヒータ電極6を設けたSAW伝搬方向の端部2aは、概ね80℃〜120℃以上の高温に加熱されている。これに対し、圧電基板2の接着剤9で浮かせた部分は、端部2aから離れるに連れて約70℃から約60℃まで緩やかな温度勾配を有する。特にIDT3を形成した圧電基板2の中央領域は、表面温度が約65℃である。上述したようにヒータ電極6が交差長方向の長さをIDT3の交差長Wよりも長く、かつその全範囲を含むように配置されるので、IDT3を形成した中央領域の温度分布が効率良く均一化されている。
図2(B)において、正値は引張応力を、負値は圧縮応力を示す。図2(A)の温度分布に対応して、SAW伝搬方向の端部2aは、圧縮応力と引張応力とが複雑に作用している。これに対し、圧電基板2の接着剤9で浮かせた部分は、約−3MPa〜約+3MPaの比較的小さい内部応力が概ね一様に分布している。特にIDT3を形成した圧電基板2の中央領域は、内部応力が約0〜+3MPaである。
これらの解析結果から、SAW素子1は、接着剤9で浮かせた部分の主面に概ね所望の温度で略均一な温度分布が発生し、その熱応力による内部応力が、略一定で比較的小さい値であることが分かる。従って、本実施例によれば、ヒータ電極6により圧電基板2の温度を調節したときに、その開始温度即ち環境温度の高低やそれから所望の使用温度までの昇温幅の大小によらず、その熱応力による圧電基板の内部応力が周波数に及ぼす影響を解消又は緩和して、周波数の安定化を実現することができる。
更に、上述したように、前記SAW伝搬方向の端部において接着剤を塗布した領域にヒータ電極を重なるように配置したことにより、圧電基板の平面寸法を必要以上に大きくする必要がない。そのため、SAW素子1の寸法を最小限の大きさにして、SAWデバイスの小型化を図ることができる。
図3(A)(B)は、本発明を適用したSAWデバイスの第2実施例を示している。本実施例のSAWデバイスは、第1実施例と同様に、共振子として使用されるSAW素子11を備える。SAW素子11は、水晶からなる矩形平板の圧電基板12を有する。圧電基板12の主面には、その略中央に交差指電極対からなるSAW励振用のIDT13が形成されている。IDT13のSAW伝搬方向の両側には、それぞれ各1個の反射器14,15が配置されている。
圧電基板12主面のSAW伝搬方向即ち長手方向の一方の端部12aには、その長手方向の端縁とそれに近い方の反射器15との間にヒータ電極16が設けられている。ヒータ電極16は、圧電基板12のSAW伝搬方向に直交する交差長方向即ち幅方向の略全長に亘って、IDT13の交差長Wよりも長くかつその全範囲を含むように配置される。ヒータ電極16は、比較的細幅の配線パターンからなり、前記IDT及び反射器の電極形成と同時に、フォトエッチングによりパターン形成される。
更に、圧電基板12主面のSAW伝搬方向の端部12aには、その両側辺に沿ってIDT13の前記各交差指電極のバスバー17,17から取出電極18,18が引き出されている。ヒータ電極16の両端は、取出電極18,18の直ぐ内側に配置された入出電極16a,16bに接続されている。
SAW素子11は、図3(B)に示すように、SAW伝搬方向の端部12aの裏面で接着剤19により、前記SAWデバイスの支持部20上に片持ちで固定支持されている。同様に、接着剤19には公知の様々な接着剤が使用され、例えばシリコーン系の接着剤は断熱性が高いので、好都合である。
本実施例では、圧電基板12が、第1実施例の圧電基板2よりもSAW伝搬方向に長い寸法を有する。この端部12aの延長した部分の裏面に、接着剤19が塗布されている。図3(A)に示すように、ヒータ電極16は、SAW素子11の平面において、端部12aの長手方向の端縁から所定の距離だけ離隔して、隣接する一方の反射器15と接着剤19を塗布した領域との間に配置されている。同様にIDT13及び反射器14,15は、接着剤19で浮かせたSAW素子11の他の部分に配置されている。
図3のSAWデバイスについて、ヒータ電極16に電流を印加して圧電基板12の温度を調整し、該圧電基板の主面の温度分布及び内部応力を解析した。本実施例においても、IDT13を形成した圧電基板12の中央領域を、室温(25℃)から所定の使用温度である約65℃まで昇温させるように加熱した。その解析結果を図4(A)の温度分布図及び図4(B)の応力分布図に示す。
図4(A)に示すように、圧電基板12のSAW伝搬方向の端部12aは、接着剤19の直ぐ内側のヒータ電極16を設けた領域が、概ね75℃〜85℃以上の高温に加熱されている。これに対し、圧電基板12の接着剤19で浮かせた部分は、ヒータ電極16の領域から反対側のSAW伝搬方向の端部までが、約75℃から約65℃の概ね一定の緩やかな温度勾配を有する。同様に、ヒータ電極16が交差長方向の長さをIDT13の交差長Wよりも長く、かつその全範囲を含むように配置されるので、IDT13を形成した中央領域の温度分布が効率良く均一化されている。他方、圧電基板12の端部12aの接着剤19を塗布した領域は、温度が55℃から35℃以下に急激に低下している。これは、ヒータ電極16からの熱の一部が接着剤19を介して支持部20に逃げているためと考えられる。
図4(B)において、正値は引張応力を、負値は圧縮応力を示す。図4(A)の温度分布に対応して、端部12aのヒータ電極16を設けた領域は、圧縮応力と引張応力とが複雑に作用している。これに対し、圧電基板12の接着剤19で浮かせた部分は、ヒータ電極16の領域よりも先方に反対側のSAW伝搬方向の端部まで、約−3MPa〜約+3MPaの比較的小さい内部応力が概ね一様に分布している。特にIDT3を形成した圧電基板12の中央領域は、内部応力が約−3〜0MPaである。
これらの解析結果から、SAW素子11は、接着剤19で浮かせた部分の主面に、ヒータ電極16の領域よりも先方に反対側のSAW伝搬方向の端部まで概ね所望の温度で略均一な温度分布が発生し、その熱応力による内部応力が、略一定で比較的小さい値であることが分かる。従って、本実施例によれば、ヒータ電極16により圧電基板12の温度を調節したときに、その開始温度即ち環境温度の高低やそれから所望の使用温度までの昇温幅の大小によらず、その熱応力による圧電基板の内部応力が周波数に及ぼす影響を解消又は緩和して、周波数の安定化を実現することができる。
更に、上述したように前記SAW伝搬方向の端部において、ヒータ電極を隣接する反射器と接着剤を塗布した領域との間に配置したことにより、ヒータ電極からの熱が圧電基板に良好に閉じ込められる。そのため、圧電基板を同じ表面温度に加熱するために必要なヒータ電極の消費電力を少なくすることができる。
更に、図3のSAWデバイスについて、圧電基板12の板厚を変化させたとき、その表面温度を所望の温度に加熱するために必要なヒータ電極16の発熱量を解析した。この場合にも、IDT13を形成した圧電基板12の中央領域を、室温(25℃)から所定の使用温度である約65℃に昇温させるように加熱した。その解析結果を図5に示す。同図から、圧電基板12の板厚が厚いほど、基板内部に熱を閉じ込める効果が高くなり、ヒータ発熱量が少なくて済むことが分かる。これは、逆に圧電基板12の板厚が薄くなるほど、接着剤19を介して支持部20に逃げる熱量が多くなり、却ってより多くのヒータ発熱量が必要になることを示している。
図6は、図3の第2実施例において、圧電基板12の板厚を薄くした場合に、圧電基板を同じ表面温度に加熱するために必要なヒータ電極の消費電流を少なくするための好適な変形例を示している。この実施例は、SAW伝搬方向端部12aの接着剤19を塗布する領域の裏面に突出部12bを設けて、圧電基板12の他の部分よりも厚く形成している。これにより、圧電基板12から接着剤19を介して支持部20に逃げる熱量を少なくすることができる。
また、本実施例では、SAW素子11の支持部20への固定位置が突出部12bにより決定されるので、接着剤19の塗布面積が一定となる。従って、圧電基板12から支持部20に逃げる熱量が略一定となる。その結果、SAW素子11の固定位置がずれても、そのために圧電基板12表面の温度分布がばらつくことを防止し、その安定化を図ることができる。
図7(A)(B)は、本発明を適用したSAWデバイスの第3実施例を示している。本実施例のSAWデバイスは、上記各実施例と同様に、共振子として使用されるSAW素子21を備える。SAW素子21は、水晶からなる矩形平板の圧電基板22を有する。圧電基板22の主面には、その略中央に交差指電極対からなるSAW励振用のIDT23が形成されている。IDT23のSAW伝搬方向の両側には、それぞれ各1個の反射器24,25が配置されている。
本実施例では、圧電基板22主面のSAW伝搬方向に直交する交差長方向即ち幅方向の一方の端部22aに、ヒータ電極26が設けられている。ヒータ電極26は、圧電基板22の幅方向の端縁とIDT23との間に、SAW伝搬方向の長さがIDT23の長さLよりも長く、かつその全範囲を含むように配置される。これにより、圧電基板22主面の特にIDT23を形成した領域の温度分布を効率良く均一にすることができる。ヒータ電極26は、比較的細幅の配線パターンからなり、前記IDT及び反射器の電極形成と同時に、フォトエッチングによりパターン形成される。
SAW素子21は、図7(B)に示すように、SAW伝搬方向の端部22aの裏面で接着剤27により、前記SAWデバイスの支持部28上に片持ちで固定支持されている。接着剤27には、公知の様々な接着剤を使用することができ、例えばシリコーン系の接着剤は断熱性が高いので、好都合である。図7(A)に示すように、ヒータ電極26は、第1実施例と同様にSAW素子21の平面において、その全部が端部22aの接着剤27を塗布した領域に重なるように配置されている。接着剤27で浮かせたSAW素子21の他の部分に、IDT23及び反射器24,25が配置されている。
本実施例のSAW素子21は、このように構成することにより、第1実施例と同様に、接着剤27で浮かせた部分の主面に概ね所望の温度で略均一な温度分布を発生させ、その熱応力による内部応力を、略一定で比較的小さい値に緩和することができる。従って、本実施例によれば、ヒータ電極26により圧電基板22の温度を調節したときに、その開始温度即ち環境温度の高低やそれから所望の使用温度までの昇温幅の大小によらず、その熱応力による圧電基板の内部応力が周波数に及ぼす影響を解消又は緩和して、周波数の安定化を実現することができる。
また、図7のSAW素子21は、端部22aの裏面に接着剤27がSAW伝搬方向の全長に亘って塗布されている。別の実施例では、接着剤27が端部22aの一部分のみに塗布される。例えば、前記接着剤は、端部22aのSAW伝搬方向のいずれか一方の端部側に又は中間部分に塗布することができる。その場合、ヒータ電極26は、その一部が端部22aの接着剤27を塗布した領域からはみ出すように配置されても良い。
本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、その技術的範囲内で様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、圧電基板は、水晶以外に、リチウムタンタレート、リチウムナイオベート、四硼酸リチウムなどの様々な公知の圧電材料で形成することができ、その場合にも本発明を同様に適用することができる。また、本発明は、上記各実施例の共振器以外のSAWデバイスについて、同様に適用することができる。
(A)図は本発明によるSAWデバイスの第1実施例を示す平面図、(B)図はその側面図。 (A)図及び(B)図は、それぞれ図1のSAWデバイスにおいてヒータ電極を加熱したときの圧電基板表面の温度分布図及び応力分布図。 (A)図は本発明によるSAWデバイスの第2実施例を示す平面図、(B)図はその側面図。 (A)図及び(B)図は、それぞれ図3のSAWデバイスにおいてヒータ電極を加熱したときの圧電基板表面の温度分布図及び応力分布図。 図3のSAWデバイスにおいて圧電基板の厚さに関するヒータ電極の発熱量を示す線図。 第2実施例の変形例によるSAWデバイスの側面図。 (A)図は本発明によるSAWデバイスの第3実施例を示す平面図、(B)図はその側面図。 ヒータ電極で加熱しない場合のSAWデバイスの周波数温度特性を示す線図。 ヒータ電極で加熱した場合のSAWデバイスの温度上昇に対する周波数変動量を示す線図。 ヒータ電極で加熱した場合のSAWデバイスの周波数温度特性を示す線図。
符号の説明
1,11,21…SAW素子、2,12,22…圧電基板、2a,12a,22a…端部、2b…突出部、3,13,23…IDT、4,5,14,15,24,25…反射器、6,16,26…ヒータ電極、7,17…バスバー、8,18…取出電極、9,19,27…接着剤、10,20,28…支持部。

Claims (7)

  1. 矩形板状の圧電基板の主面に、弾性表面波(SAW)を励振するIDTと、前記IDTの両側に配置した反射器と、ヒータ電極とを設けたSAW素子を、その長手方向又は幅方向の一方の端部で片持ちに、他の部分を浮かせた状態で支持する弾性表面波デバイスにおいて、前記ヒータ電極が、前記SAW素子の前記一方の端部に配置され、かつ前記IDTが前記SAW素子の前記浮かせた他の部分に配置されていることを特徴とする弾性表面波デバイス。
  2. 前記SAW素子の前記一方の端部がSAWの伝搬方向の一方の端部であり、前記SAW素子が前記一方の端部の裏面で接着剤により固定支持され、かつ前記ヒータ電極が前記圧電基板の平面において、前記接着剤を塗布した領域と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  3. 前記SAW素子の前記一方の端部がSAWの伝搬方向の一方の端部であり、前記SAW素子が前記一方の端部の裏面で接着剤により固定支持され、かつ前記ヒータ電極が前記圧電基板の平面において、隣接する前記反射器と前記接着剤を塗布した領域との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  4. 前記SAW素子の前記一方の端部がSAWの伝搬方向と交差する方向の一方の端部であり、前記SAW素子が前記一方の端部の裏面で接着剤により固定支持され、かつ前記ヒータ電極が前記圧電基板の平面において、前記接着剤を塗布した領域と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  5. SAW伝搬方向において、前記ヒータ電極が、前記IDTの長さよりも長くかつ前記IDTの全長を含む範囲に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の弾性表面波デバイス。
  6. 前記圧電基板の前記接着剤を塗布した領域の厚さが他の部分よりも厚いことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
  7. 前記圧電基板が水晶基板であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の弾性表面波デバイス。
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