JP2009107321A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光沢性を有すると共に印字品質に優れ、かつ操業性に優れたインクジェット用記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面に、顔料と結着剤とを含有するインク受理層用塗工液を塗布して塗工層を設け、前記塗工層に0.01質量%以上1質量%以下のカチオン性ウレタン樹脂を含有する水溶液を塗布した後、前記塗工層の表面を加熱された鏡面仕上げ表面に接触させて光沢を有するインク受理層を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録方式で印字を行う記録媒体に関し、特にインク受理層表面に光沢を有するインクジェット用記録媒体に関する。
インクジェット用記録媒体は、紙等の基紙表面にシリカ、アルミナなどの多孔質の顔料と結着剤とを含有するインク受理層を設けた構成になっていて、このインク受理層にインクの液滴が定着するようになっている。そして、近年のインクジェットプリンターの目覚しい進歩や、デジタルカメラの著しい普及により、インクジェット用記録媒体に要求される品質も年々高くなってきている。
又、インクジェット用記録媒体は、いわゆる上質紙・PPC用紙に風合いが似ている普通紙タイプのものと、インク受理層を有することが明らかである塗工紙タイプのものに大別される。さらに塗工紙タイプの記録媒体は、インク受理層に光沢を有するグロスタイプと、光沢を有さないマットタイプに大別される。特に、従来の銀塩写真に匹敵する光沢を有するインクジェット用記録媒体においては、品質要求が厳しく、技術開発が活発に行われている。
そして、このような光沢インクジェット用記録媒体に要求される品質特性としては、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと等が挙げられ、これら特性を向上するためには、インク受理層の改善が必要となってくる。
例えば、合成シリカ及びコロイダルシリカを配合し、光沢性が高いインクジェット用記録キャストコート紙が報告されている。又、キャスト塗工層中に、1次粒子の平均粒子径が3〜40nm、2次粒子の平均粒子径が10〜400nmであるシリカ微細粒子と、平均粒子径が200nm以下のコロイダルシリカを含有する技術が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
また、支持体上にコロイダルシリカのような極微細顔料とバインダーを主成分とする光沢インク受容層を設け、さらにその表面に極微細顔料とバインダーを主成分とし、乾燥塗工量が0.02〜0.5g/mの光沢保護層を設けた、光沢性が高く表面の耐キズ性に優れるインクジェット記録シートが報告されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平2−274587号公報 特開2000−85242号公報 特開2007−136777号公報
しかしながら、特許文献1〜3記載の技術の場合、ある程度高光沢な記録媒体が得られるものの、銀塩写真に匹敵する高い光沢感を有するインクジェット用記録媒体が得られていない。また、上記した技術の場合、高光沢のインクジェット用記録媒体を得ようとすると、インク受容層中の結着剤(バインダー)の量を増やす必要があり、インク吸収性が低下するという問題が生じる。
さらに、特許文献3記載の技術の場合、インク受容層と光沢保護層に対しそれぞれキャストコート処理を行う必要があるため、生産効率が劣るという問題がある。
従って、本発明は高い光沢性を有すると共に印字品質に優れ、かつ操業性に優れたインクジェット用記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は種々検討した結果、キャストコート法でインク受理層に光沢を付与する際、カチオン性ウレタン樹脂を含有する水溶液を塗布した後にキャストドラム(加熱された鏡面仕上げ面)に接触させることで上記問題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のインクジェット用記録媒体の製造方法は、支持体の少なくとも一方の面に、顔料と結着剤とを含有するインク受理層用塗工液を塗布して塗工層を設け、前記塗工層に0.01質量%以上1質量%以下のカチオン性ウレタン樹脂を含有する水溶液を塗布した後、前記塗工層の表面を加熱された鏡面仕上げ表面に接触させて光沢を有するインク受理層を形成することを特徴とする。
前記インク受理層用塗工液の顔料はコロイダルシリカを含有することが好ましい。
前記インク受理層用塗工液の結着剤はポリビニルアルコールを含み、前記水溶液はさらに硼酸及び/又は硼砂を含むことが好ましい。
前記塗工層が湿潤状態にある間に前記水溶液を塗布することが好ましい。
本発明によれば、本発明は高い光沢性を有すると共に印字品質(発色性・インク吸収性)に優れ、かつ操業性に優れたインクジェット用記録媒体が得られる。
以下本発明の実施形態について説明する。本発明のインクジェット用記録媒体の製造方法は、支持体の少なくとも一方の面に、インク受理層となる塗工層を設け、後述する水溶液を塗布した後、いわゆるキャストコートによりインク受理層を形成する。
(支持体)
本発明に使用される支持体はシート状のものであればいずれのものを用いることが可能であるが、透気性を有するものが好ましい。例えば塗工紙、未塗工紙等の紙が好適に用いられる。前記紙の原料パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。尚、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、不透明度を向上させるため、前記紙中に填料を含有させることが好ましいが、この填料は、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂微粒子等、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。操業性の点から、前記紙の透気度は1000秒以下であることが好ましく、又、塗工性の点から基紙のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが望ましい。
(インク受理層用塗工液)
インク受理層用塗工液は、顔料と結着剤とを含有する。
(顔料)
インク受理層用塗工液に含有される顔料としては、シリカを用いることが好ましく、特に以下に詳述するコロイダルシリカを用いることが好ましい。
本発明に好適に用いられるコロイダルシリカは、湿式法で合成された一次粒子径数nm〜100nm程度の合成シリカであり、凝集して非球状の二次粒子となる場合も含まれる。コロイダルシリカの一次粒子径は5〜100nmであることが好ましく、20〜60nmであるとさらに好ましい。一次粒子径が5nm未満であると、光沢感が低下する傾向にある。一方、一次粒子径が55nmを超えると、粒子間の空隙は増えインク受理層のインク吸収性は良好となるが、不透明性が増大してくるため、インクジェット記録した際の染料インクの発色性が低下する傾向にある。
コロイダルシリカが二次粒子を持ち、その形状が会合状であるものが更に好ましい。ここで、会合状コロイダルシリカとは一次粒子が数個結合した形状で、一次粒子に対する二次粒子の比が1.5〜2.5であるコロイダルシリカをいう。会合状コロイダルシリカは、通常その分散状態を顕微鏡で観察すると、球状の単一コロイダルシリカ(一次粒子)が2〜3個連なったものが多数観察される。これを便宜上、ピーナツ状と表す。
会合状コロイダルシリカをインク受理層に含有することで、顔料インクの発色性を大きく向上することができる。球状(二次凝集していない)のコロイダルシリカの場合、会合状コロイダルシリカと比較してインクの吸収性が低くなる傾向がある。
なお、コロイダルシリカの形状は、シリカが塗工液に分散した状態で顕微鏡(SEM等)等で観察できる。コロイダルシリカの一次粒子径はBET法(比表面積換算法)等で測定でき、二次粒子径は動的光散乱法で測定できる。
本発明においては、一次粒子や形状が異なる2種以上のコロイダルシリカを併用することもできる。
前記ピーナツ状のコロイダルシリカは、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により合成し、合成条件によって一次粒子径(BET法粒子径)や二次粒子径(動的光散乱法粒子径)を調整することが好ましい。ピーナツ状コロイダルシリカとしては、扶桑化学工業社製の商品名クォートロンを上げることができる。
インク受理層用塗工液に含有される顔料としては、コロイダルシリカ以外の合成非晶質シリカを用いることができる。合成非晶質シリカはその製造法により、湿式法シリカと気相法シリカに大別できる。湿式法で製造された合成非晶質シリカは顔料の透明性に関しては気相法シリカに劣るが、ポリビニルアルコールを結着剤として用いた場合の塗料安定性に優れる。さらに、湿式法シリカは、内部空隙の無い気相法シリカに比べて分散性が良好であり、塗料濃度を高くすることが可能である。そのため、インク受理層中の顔料比率を高くすることができ、インク受理層の吸収性を高くできるのでインク吸収性を向上できると共に染料インクの発色性を向上するものと考えられる。
高い光沢感を得るという点から前記合成非晶質シリカ(コロイダルシリカ以外の合成シリカ)の好ましい二次粒子径は1〜5μmである。また、BET比表面積は150〜500m/gであることが好ましい。
インク受理層用塗工液に含有される顔料として、上記したコロイダルシリカと合成非晶質シリカとを併用してもよく、この場合、前記合成非晶質シリカと前記コロイダルシリカの配合割合は、(コロイダルシリカ)/(合成非晶質シリカ)の値が、30/70〜75/25の範囲内であることが好ましく、より好ましくは40/60〜70/30の範囲内である。
コロイダルシリカの配合割合が少ない場合には、顔料インクでインクジェット印字した際の発色性向上の効果が不十分となる傾向がある。また、コロイダルシリカの配合量が多い場合には染料インクの発色性が低下する傾向があり、さらに、塗工した際の操業性が低下する場合がある。
顔料としてはさらに、インクジェット記録した際のインク吸収性、発色性および光沢感を損なわない範囲で他の顔料、例えば水酸化アルミニウム、アルミナ(α型結晶のアルミナ、θ型結晶のアルミナ、γ型結晶のアルミナ等)やアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等)、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等を併用しても良いが、これらの配合量はインク受理層の全顔料に対し10質量%以下とすることが好ましい。
(結着剤)
インク受理層用塗工液に含有される結着剤としては、各種水溶性又は水分散性の高分子化合物を単独使用又は併用することができる。例えば結着剤として、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂及びこれらの誘導体等を用いることができる。
本発明においては特にポリビニルアルコールを結着剤に用いることが好ましい。ポリビニルアルコールを含有することで、インク受理層はインク発色性及びインク吸収性に優れるものとなる。本発明においてはいずれのタイプのポリビニルアルコールを使用することができる。
上記結着剤の配合量は、顔料100質量部に対して、5質量部〜30質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られる限り、特に限定されるものではない。結着剤の配合量が多くなると顔料インクでインクジェット記録を行った際の発色性は向上する傾向にあるが、インク吸収性は落ちる傾向にある。
インク受理層用塗工液は、上記した顔料と結着剤を含むが、その他の成分、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤、カチオン性高分子電解質等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
(塗工)
支持体上にインク受理層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、あるいはオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択して使用することができる。
インク受理層の塗工量は、支持体の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、発色性及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/mであることが好ましい。
本発明において、インク受理層の塗工量を多く必要とする場合には、インク受理層を多層にすることも可能である。また、支持体とインク受理層の間にインク吸収性、接着性他各種機能を有するアンダーコート層を設けても良い。さらに、インク受理層を設けた面の反対側にさらにインク吸収性、筆記性、プリンター印字適性他各種機能を有するバックコート層を設けても良い。
(カチオン性水性ウレタン樹脂)
インク受理層用塗工液を支持体に塗布して得られた塗工層に、カチオン性ウレタン樹脂を含む水溶液を塗布して塗工層を湿潤状態にする。このようにして、水溶液塗布後の湿潤状態の塗工層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着し乾燥することにより、インク受理層の表面に高光沢を付与することができる。また、この水溶液を用いると、印字適性(発色性・インク吸収性)が向上する。この理由は明確ではないが、インク受理層の表面にカチオン性ウレタン樹脂が多く存在することになり、インク受理層の表面がカチオン性となるためと考えられる。すなわち、インク受理層の表面がカチオン性であると、インク中の着色剤がインク受理層の表面近くにとどまり印字濃度が向上すると共に、インクの横方向への広がりも抑えられることから、滲みが低減する。また、ウレタン樹脂は強い水素結合に基づく極性を有するため、他の樹脂とは異なり、印字適性(発色性・インク吸収性)が向上することと考えられる。
前記水溶液を塗布する際の塗工層は、湿潤状態であっても乾燥状態であっても良いが、特に塗工層が湿潤状態である場合には鏡面仕上げ面を写し取りやすく、塗工層表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、得られたインク受理層に銀塩写真並の光沢感を付与させ易くなる。
カチオン性ウレタン樹脂は特に限定はなく、公知の水性カチオン性ウレタン樹脂を適宜選択して用いることができる。ここで、水性ウレタン樹脂とは、基本的にはポリウレタン骨格の主鎖中に、水に安定に分散させるために必要な親水成分を導入するか、または外部乳化剤で分散することにより得られるポリウレタンの水分散体をいう。
一般にウレタン樹脂は、ポリイソシアネートと、ポリエーテル又はポリエステルのようなポリオール成分との反応によって得られるポリマーであり、分子中にウレタン基を有するが、ウレタン基以外にビュレット基、ウレア基、アロファネート基等を有していても良い。ウレタン樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂が好ましい。
本発明においては、特にポリウレタン骨格中にカチオン性の親水成分を直接導入した自己乳化型、特にアイオノマー型のウレタン樹脂を用いることが好ましい。例えば自己乳化型ウレタン樹脂の親水基として、アミノ基などを導入して得られたカチオン性ウレタン樹脂を用いることができる。水性のカチオン性ウレタン樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社のハイドランCPシリーズ(CP-7030、CP-7020)、パテラコールシリーズ(CA-101)、ボンコートシリーズ(SFC-571)、第一工業製薬株式会社のスーパーフレックス(登録商標)シリーズ(610,620,650、FD-25D)等を上げることができる。
また、上記水溶液中のカチオン性ウレタン樹脂の濃度は0.01質量%以上1質量%以下である。カチオン性ウレタン樹脂の濃度が0.01質量%未満であると、インク受理層表面の光沢が不十分になり、濃度が1質量%を越えるとインク受理層がキャストドラムから剥離しにくくなり、表面性が損なわれ光沢が低下する。インク吸収性を向上する点から、カチオン性ウレタン樹脂の濃度は0.5質量%以下であることが好ましい。
前記水溶液を塗工層の上に塗布する方法としてはロールコート方式、スプレーコート方式、カーテンコート方式等があげられるが、特に限定されない。
また、前記水溶液中に、カチオン性ウレタン樹脂と共に、その他の成分、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤、カチオン性高分子電解質等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができるが、光沢性や塗工層強度が低下するため、コロイダルシリカ等の無機顔料(無機微粒子)は含有しないことが好ましい。また、アニオン性のコロイダルシリカを水溶液に配合すると、イオン性の違いから液中でカチオン性ウレタン樹脂と凝集を起こし製造不能となることがある。
(キャストコート法)
次に、前記水溶液を塗布した塗工層の表面を、加熱された鏡面仕上げ表面に接触させ、いわゆるキャストコート法により光沢を有するインク受理層を形成する。
キャストコート法は、塗工層をキャストドラム(加熱された鏡面仕上げの面)に押し当てて乾燥することで塗工層に光沢を付与する。
キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥あるいは半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウェット法、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類が一般に知られている。
前記水溶液は、直接法における塗工層に塗布されるか、リウェット法における再湿潤液又は凝固法の凝固液として用いられる。
なお、前記水溶液を乾燥状態の塗工層に塗布するリウェット法の場合、鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、得られたインク受理層表面に微小な凹凸が多くなり、銀塩写真並の光沢感を得にくい傾向にある。このため、本発明においては、銀塩写真に匹敵する面感、光沢を付与することが可能であるという点で、前記水溶液を塗工層が湿潤状態の間に塗布する直接法か、湿潤状態の塗工層をゲル状態にする凝固法を用いることが好ましい。
ゲル化キャスト法でインク受理層を形成する場合、凝固液はインク受理層中の結着剤を凝固(ゲル化)させる凝固剤と、上述したカチオン性ウレタン樹脂とを含有する。インク受理層中の結着剤がポリビニルアルコールの場合、凝固剤として例えばホウ酸やホウ酸塩等を用いることができる。ホウ酸塩としては、例えばホウ砂、オルトホウ酸塩、二ホウ酸塩、メタホウ酸塩、五ホウ酸塩、および八ホウ酸塩をあげることができるが、特にこれらに限定されるものではない。コストや、入手しやすい等の観点からは、ホウ砂を用いることが好ましい。
また、ホウ酸とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の固さを適度なものとすることが容易となり、インク受理層に良好な光沢感を付与できる。ホウ酸塩とホウ酸の配合比は0.25/1〜2/1の間であることが特に好ましい。ホウ酸塩/ホウ酸の配合比が0.25/1未満であると、ホウ酸の割合が多くなりすぎるので、記録層中のポリビニルアルコールの凝固が柔らかすぎ、このため凝固液を塗布するロールに軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが出来ないことがある。一方、ホウ酸塩/ホウ酸の配合比が2/1を越える場合には、塗工層中のポリビニルアルコールの凝固が硬くなるため、インク受理層表面の光沢感が低くなると共に、光沢ムラを生じることがある。
前記水溶液中の凝固剤(ホウ酸塩及び/又はホウ酸)の合計濃度は必要に応じて適宜調整することができる。水溶液中のホウ酸塩及び/又はホウ酸の合計濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にある。また、合計濃度が高いと処理液中にホウ酸が析出しやすくなるので、前記水溶液の安定性が悪くなる。前記水溶液中のホウ酸塩及び/又はホウ酸の合計濃度は、好ましくは1〜5質量%である。
又、上記インク受理層用塗工液及び/又はカチオン性ウレタン樹脂を含有する水溶液には、必要に応じて剥離剤を添加することができる。剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の温度範囲においては、剥離剤の融点が鏡面仕上げ面の温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではないが、ポリエチレン系のワックスエマルジョンを用いることが好ましい。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
又、以下のコロイダルシリカの一次粒子径、及び一次粒子径に対する二次粒子径の比(粒径比)は、メーカーの実測値(カタログ値もほぼ同様)である。
広葉樹晒クラフトパルプA(L−BKP)100部からなる叩解度360mlのパルプスラリ−に、軽質炭酸カルシウム(TP−121:奥多摩工業株式会社製の商品名)を灰分20%となるように添加し、さらに硫酸アルミニウム1.0部、AKD0.15部、歩留向上剤0.05部を添加した。
このスラリーを用いて抄紙機で抄紙し、その際に5%のデンプンと0.2%の表面サイズ剤(AKD)とを固形分で1.5g/mとなるように塗布し、180g/mの基紙を得た。
この基紙にロールコーターで塗工液Aを15g/m塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Bを用いて凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取り、195g/mのインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液A:顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−5:扶桑化学工業社製の商品名、一次粒子径52nm、2次粒子径113nm、一次粒子径に対する二次粒子径の比が2.2)40部、気相法合成非晶質シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社製)10部、及び湿式法合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ株式会社製)50部、バインダーとしてポリビニールアルコール(PVA224:クラレ株式会社製の商品名)10部、蛍光染料(BLANKOPHOR P liquid01:LANXESS社製の商品名)1.5部、離型剤(メイカテックスHP68:明成化学工業社製の商品名)0.5部、消泡剤(S N デフォーマー4 8 0 : サンノプコ社製の商品名)0.1部を配合して濃度25%の塗工液を調整した。
凝固液B:硼砂2%、ホウ酸4%(硼砂/ホウ酸の質量比=1/2、NaおよびHBO換算で計算)、リンゴ酸0.2%、離型剤(メイカテックスHP68:明成化学工業社製の商品名)0.5部、カチオン性水性ウレタン樹脂(CP−7030:大日本インキ株式会社製の商品名)0.01%、消泡剤(S N デフォーマー4 8 0 : サンノプコ社製の商品名)0.01%を配合して凝固液を調整した。
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂(CP−7030:大日本インキ株式会社製の商品名)の配合量を0.5%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂(CP−7030:大日本インキ株式会社製の商品名)の配合量を1.0%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
支持体上に下記塗工液Cを塗工量が5g/mになるように塗布してアンダー層を設けた後、上記塗工液Aを15g/m塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、実施例2で用いた凝固液Bを用いて凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取り、200g/mのインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液C:顔料として沈降法シリカ(ファインシールX−12:株式会社トクヤマ社製の商品名)100部を配合し、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)10部およびエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(AM−3150:昭和高分子製の商品名)10部を配合し、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)10部を配合して濃度25%の塗工液を調製した。
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂として、上記CP−7030(大日本インキ株式会社製の商品名)の代わりに、カチオン性水性ウレタン樹脂(CP−7020:大日本インキ株式会社製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂として、上記CP−7030(大日本インキ株式会社製の商品名)の代わりに、カチオン性水性ウレタン樹脂(CA−101:大日本インキ株式会社製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂として、上記CP−7030(大日本インキ株式会社製の商品名)の代わりに、カチオン性水性ウレタン樹脂(FD−25D:第一工業製薬製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液Aの代わりに、以下の塗工液Dを用いて塗工層を形成したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
塗工液D:顔料として、コロイダルシリカ(クォートロンPL−2:扶桑化学工業社製の商品名、一次粒子径23nm、2次粒子径51nm、一次粒子径に対する二次粒子径の比が2.2)60部、気相法合成非晶質シリカ(アエロジル200V:日本アエロジル株式会社製)20部、及び湿式法合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ株式会社製)20部、バインダーとしてポリビニールアルコール(PVA617:クラレ株式会社製の商品名)10部、蛍光染料(BLANKOPHOR P liquid01:LANXESS社製の商品名)1.5部、離型剤(メイカテックスHP68:明成化学工業社製の商品名)0.5部、消泡剤(S N デフォーマー4 8 0 : サンノプコ社製の商品名)0.1部を配合して濃度25%の塗工液を調整した。
<比較例1>
凝固液B中にカチオン性水性ウレタン樹脂を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例2>
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂の代わりに、カチオン性アクリル系樹脂(ビニブラン2580:日信化学工業社製)を0.5%配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例3>
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂の代わりに、ポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例4>
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂の代わりに、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョン(AM−3150:昭和高分子製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例5>
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂の代わりに、プラスチックピグメント(ローペイクHP15: ローム・アンド・ハース社製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例6>
凝固液B中に、さらにコロイダルシリカ(クォートロンPL−3:扶桑化学工業社製の商品名)を0.5%配合したこと以外は実施例2と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
<比較例7>
凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂(CP−7030:大日本インキ株式会社製の商品名)の配合量を1.1%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用記録媒体を得た。
(評価)
1.インクジェット印字適性
得られたインクジェット用記録媒体に対し、染料インクジェットプリンター(PM―970C:エプソン株式会社製の商品名)を用いて所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
1−1.発色性
所定パターンの記録画像部の鮮やかさを目視で評価した。総合評価が○以上であれば実用上問題がない。
◎:印字濃度が高く、非常に鮮やか
○:鮮やか
△:若干鮮やかさが劣る
×:印字濃度が低く、鮮やかに見えない
1−2.インク吸収性
ベタ印字部分の各色境界部の滲み(境界滲み)、及びムラ(ベタ印字部分)の程度を5段階評価で目視評価(評価見本を使用)した。目視評価5が最も優れ(滲み、ムラがない)、目視評価1が最も劣る(著しい滲み及びムラがある)ものとした。総合評価を以下の指標で行った。総合評価が○以上であれば実用上問題がない。
◎:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも5(滲み、ムラがない)以上である
○:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも4.5である(滲みもしくはムラが若干あるが問題ないレベル)
△:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが4である(滲みもしくはムラがある)
×:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが3.5以下(著しい滲み及びムラがある)である
2.写像性(像鮮明度)
得られたインクジェット用記録媒体に対し、JIS K7105に準じ、写像性測定器(型番:ICM−1DP、スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。測定角度を60度、くし幅2mmの条件で、紙のMD方向を測定した。写像性が60%以上であれば反射した像が鮮明に写り、光沢感に優れている。写像性が60%未満の場合、反射した像が不鮮明に写り、光沢感に劣る。
3.キャスト操業性
10,000mの連続塗工(塗工液を支持体上に塗工し、カチオン性ウレタン樹脂(と凝固剤)を含む水溶液を塗布し、キャストドラムで乾燥する工程)を行い、紙切れ、キャストドラム表面の曇り状態等を目視観察し、下記の基準で評価した。評価が○以上なら、操業性に問題がない。
◎: 紙切れは無く、ドラム表面に曇りも全く無し
○: 紙切れは無く、ドラム表面に僅かに曇りは確認出来るがほぼ問題なし
△: 紙切れは無いが、ドラム表面に曇りが全面に出来て、問題となるレベル
×: 紙切れ(ドラム取られ等)が発生
得られた結果を表1に示す。
Figure 2009107321
表1から明らかなように、本発明に含まれる各実施例の場合、印字適性(印字濃度及びインク吸収性)と写像性に優れ、さらにキャスト操業性にも優れていた。なお、実施例8の場合、顔料のコロイダルシリカを一次粒子径の小さいコロイダルシリカに変更することにより、実施例2より写像性は若干低下するものの、印字品質は更に向上した。
一方、凝固液B中にカチオン性水性ウレタン樹脂を添加しなかった比較例1の場合、キャストコートによってインク受理層の光沢が十分に向上せず、写像性が低下した。
凝固液B中にカチオン性水性ウレタン樹脂の代わりにそれぞれカチオン性アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンを添加した比較例2,3,4の場合、比較例1より写像性が若干向上したが、印字適性が低下した。このことより、カチオン性水性ウレタン樹脂を用いると印字品質が向上することがわかる。
凝固液B中にカチオン性水性ウレタン樹脂の代わりに、プラスチックピグメントを添加した比較例5の場合、写像性は向上したが、印字適性は劣っていた。
凝固液B中にカチオン性水性ウレタン樹脂に加えてコロイダルシリカを添加した比較例6の場合、イオン性の違いから液中でカチオン性ウレタン樹脂と凝集を起こし、キャストコートができなかった。
一方、凝固液B中のカチオン性水性ウレタン樹脂の濃度が1%を超えた比較例7の場合、キャストドラムから塗工層の剥離し難くなりキャストコート時の操業性が低下し、印字適性も劣っていた。

Claims (4)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に、顔料と結着剤とを含有するインク受理層用塗工液を塗布して塗工層を設け、前記塗工層に0.01質量%以上1質量%以下のカチオン性ウレタン樹脂を含有する水溶液を塗布した後、前記塗工層の表面を加熱された鏡面仕上げ表面に接触させて光沢を有するインク受理層を形成することを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
  2. 前記インク受理層用塗工液の顔料はコロイダルシリカを含有する請求項1に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
  3. 前記インク受理層用塗工液の結着剤はポリビニルアルコールを含み、前記水溶液はさらに硼酸及び/又は硼砂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
  4. 前記塗工層が湿潤状態にある間に前記水溶液を塗布することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
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JP2013163322A (ja) * 2012-02-10 2013-08-22 Hokuetsu Kishu Paper Co Ltd 空隙型インクジェット記録用光沢紙

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