JP2009113484A - 微粒子積層薄膜付き基材、その製造方法及びそれを用いた光学部材 - Google Patents

微粒子積層薄膜付き基材、その製造方法及びそれを用いた光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高い空隙率と密着性、耐スクラッチ性に優れる、微粒子積層薄膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、該基材上に設けられた、空隙を有する微粒子積層薄膜であって、電解質ポリマーおよび微粒子を交互に吸着させ、かつ、アルコール性シリカゾル生成物を介して、基材と微粒子及び、微粒子と微粒子の間が結合している、微粒子積層薄膜。
【選択図】図1

Description

本発明は,微粒子積層薄膜付き基材、その製造方法及びそれを用いた光学部材に関する。
光学部材などの反射防止膜として、単層で反射率0%を達成するためには、次式を満たす屈折率(n)が求められている(非特許文献1参照)。
Figure 2009113484
(nは反射防止膜の屈折率、nは基材の屈折率、nは雰囲気の屈折率)
例えば、ディスプレイに用いられる透明基材であるガラスやプラスチック基板の可視領域での屈折率は約1.52であり、空気の屈折率1との積の平方根をとった1.25程度の値が最も理想的な値となる。そのような屈折率を持つ膜は、たとえばシリカ膜中に含まれる気孔の濃度によって屈折率を制御した多孔質膜である。しかも、透明であるためには、空隙の孔の径が光を散乱させない100nm以下、好ましくは、40nm以下であることが求められる。
反射防止膜付きガラスの製造方法としては、従来法として例えば析出法によりガラス表面に二酸化ケイ素膜を形成する方法が知られている。ケイフッ化水素酸の水溶液にSiO 粉末を飽和し、その後ホウ酸水溶液を添加した浸漬液にガラス基板を接触すれば、ガラス表面へのSiO 膜の析出が始まる。具体的には、ガラス板の両表面をケイフッ化水素酸のシリカ過飽和水溶液で処理して両表面に反射防止層を形成するにあたり、予め表面の異質ガラス層を除去することを特徴とする反射防止膜付きガラスの製造方法が知られている(特許文献1)。
また、他の反射防止膜付きガラスとしては、ガラス基板表面の空気側の最上層が、表面に数10〜数100nmの微小な凹凸もしくは径を数10〜数100nmの範囲にした細孔を有し、かつ屈折率を1.40〜1.60、膜厚を70〜130nmの範囲に制御したSiOもしくはSiOと他の酸化物との混合酸化物であり、さらに必要に応じて最上層の表面にポリフルオロアルキル基を含有するシラン化合物を被膜してなる反射防止膜付きガラスがある(特許文献2)。
さらにまた、この反射防止膜付きガラスにおいて、酸化物の原料溶液として平均分子量が異なる2種類の前駆体ゾル、例えば、平均分子量が数1000と数10万であるような前駆体ゾルを混合したコーティング溶液を被膜、加熱成形して薄膜とする際に前駆体ゾルの混合割合の制御によって表面に細孔を特異に発現させた反射防止膜付きガラスもある(特許文献3)。
ナノメータースケールの薄膜を溶液から形成する方法として、交互積層法が提案されている(非特許文献2照)。シリカやチタニア、セリアといった微粒子を交互積層法で積層する方法も報告されている(非特許文献3参照)。この微粒子を積層した膜(微粒子積層膜)は、微粒子の光学特性が反映される。例えば、シリカ微粒子積層膜は低屈折率、チタニア微粒子積層膜は高屈折率を示す。
しかし、微粒子積層膜を光学用途の部材の一部として用いる場合、実用的な表面硬度が要求される。最表面に位置する反射防止膜ではさらに高い表面硬度が要求され、内部の光学部材であっても組み立て時に傷が発生しない程度の表面硬度が要求される。
ここで、屈折率が1.48のシリカ微粒子を積層して空隙を作り、単層で十分な反射防止膜が得られる屈折率である1.25〜1.30の薄膜を作るために必要なシリカ微粒子の体積密度は、ドルーデの理論から、下記式のように近似的に求められる(非特許文献4参照)。
Figure 2009113484
ゆえに、
Figure 2009113484
(nは薄膜の屈折率、nSiO2はシリカ屈折率=1.48、nは空気屈折率=1、ρはシリカ微粒子の体積密度)
Figure 2009113484
すなわち、47%〜57%となるようなシリカ微粒子の体積密度、言い換えれば、空隙率43〜53%が必要である。しかし、これまでの多孔質膜では、空隙率を上げる、すなわちシリカの体積密度を下げることによってさらに機械的強度が低下するという課題があった。すなわち、従来の交互積層法で形成された微粒子積層膜は、微粒子同士が主に水酸基の分極による、水素結合のような弱い相互作用や、静電的引力によって吸着されているために、耐スクラッチ性に劣るという課題があった。
特許文献4には、微粒子積層膜を透明封止材の塗布により封止し、硬化させることにより、強度を確保したり変形を防いだりすることが記載されている。特許文献5には、微粒子積層膜内の空隙に活性照射線反応性モノマーおよび重合開始剤を充填させ、これらを硬化させることにより微粒子積層膜の耐擦傷性を向上させることが記載されている。また、特許文献6には、微粒子積層膜からなる反射防止膜を形成した光電変換素子をトリメトキシメチルシラン溶液に接触し、アンモニア蒸気や塩酸蒸気によってトリメトキシメチルシランを縮合させることにより、反射防止膜の密着性を向上させることが記載されている。また、特許文献7や特許文献8には、極性基を有するグラフトポリマー鎖を表面グラフト重合法により基材上に導入することで、その基材を微粒子分散溶液に1回接触することで形成した微粒子単層膜や微粒子積層膜と基材との吸着が強固になると記載されている。特許文献9には、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、エーテル結合などがおきる官能基を透明基材表面と微粒子表面のそれぞれに導入し、化学的かつ不可逆的な結合を形成させることで微粒子の透明基材上への付着力を向上させると記載されている。
特開昭57−166337号公報 特開平5−330856号公報 特開平5−147976号公報 特開2002−361767号公報 特開2003−205568号公報 特開2003−332604号公報 特開2003−112379号公報 特開2004−114339号公報 特開2002−6108号公報 光学薄膜 H_A_Macleod著 小倉繁太郎ら訳 p85-93 (英書Thin-film optical filters) Thin Solid Films, 210/211, p831(1992) Langmuir、Vol.13、(1997)p6195−6203) 薄膜・光デバイス 著者 吉田貞史、矢嶋弘義 出版社 1994年 東京大学出版会 34−42頁
本発明の課題は、低屈折率、高い密着性、及び優れた耐スクラッチ性を有する微粒子積層薄膜、交互積層法を利用するその製造方法及びそれを用いた実用上有用な光学部材を提供することである。
本発明は、基材と、該基材上に設けられた、空隙を有する微粒子積層薄膜であって、微粒子および電解質ポリマーを交互に吸着させ、かつ、アルコール性シリカゾル生成物を介して、基材と微粒子及び、微粒子と微粒子の間が結合していることを特徴とする微粒子積層薄膜付き基材によって、課題を解決するものである。
本発明は、以下に関する。
1. 基材と、該基材上に設けられた、空隙を有する微粒子積層薄膜とを有し、
該微粒子積層薄膜は、電解質ポリマーおよび微粒子が交互に吸着され、かつ、
アルコール性シリカゾル生成物を介して、該基材と該微粒子及び、該微粒子と該微粒子が結合していることを特徴とする微粒子積層薄膜付き基材。
2. 微粒子積層薄膜の空隙率が43%から53%である項1記載の微粒子積層薄膜付き基材。
3. アルコール性シリカゾル生成物が、一般式(1)で表わされる低級アルキルシリケートをメタノール及び/又はエタノール中で加水分解して調製したアルコール性シリカゾルを含むことを特徴とする、項1または2記載の微粒子積層薄膜付き基材。
Si(OR) ・・・(1)
(但し、Rはメチル基またはエチル基を示す。)
4. 微粒子の一次粒子径が2〜100nmである項1から3いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材。
5. 微粒子が、無機酸化物である項1から4いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材。
6. 無機酸化物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物からなるものである項5記載の微粒子積層薄膜付き基材。
7. 微粒子が数珠状の微粒子集合体である項1から6いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材。
8. 項1から7いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材を含む光学部材。
9. 反射防止機能を有する項8記載の光学部材。
10. 半透過半反射機能を有する項8または9記載の光学部材。
11. 反射機能を有する項8から10いずれかに記載の光学部材。
12. 項1〜7いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材の製造方法であって、基材上に、電解質ポリマーと微粒子とを交互に積層する製造方法であり、
(A)所望する基材面に、電解質ポリマー溶液または微粒子分散液のいずれかを接触または塗布する工程、
(B) 工程Aにおいて用いなかった方の電解質ポリマー溶液または微粒子分散液であって、工程Aにおいて用いた電解質ポリマーまたは微粒子とは反対電荷を有する電解質ポリマー溶液または微粒子分散液を接触または塗布する工程、
さらに(C)アルコール性シリカゾル溶液を接触または塗布する工程を含むことを特徴とする微粒子積層薄膜の製造方法。
13. 工程Aと工程Bとを交互に一回以上行った後、工程Cを行うことを特徴とする、項12に記載の微粒子積層薄膜の製造方法。
14. 工程A及び/または工程Bの後に、リンス工程を含む、項12または13に記載の微粒子積層薄膜の製造方法。
15. 工程Cの後に、加熱処理することを特徴とする項12から14いずれかに記載の微粒子積層薄膜の製造方法。
16. 加熱処理の温度が20℃から140℃であることを特徴とする項15に記載の微粒子積層薄膜の製造方法。
基板表面に、交互積層法により製造した電解質ポリマー/微粒子積層薄膜を形成した後、アルコール性シリカゾルを塗布することにより、低屈折率、高い密着性及び優れた耐スクラッチ性を有する微粒子積層薄膜付き基材、交互積層法を利用するその製造方法及びそれを用いた実用上有用な光学部材を提供するに至った。
以下、本発明の製造方法と使用する材料について、詳細に説明する。
本発明の微粒子積層薄膜付き基材は、図1に示すように、基材1と、基材1上に設けられた空隙4を有する微粒子積層薄膜10を含む。微粒子積層薄膜は、電解質ポリマー2および微粒子3を交互に吸着させ、かつ、アルコール性シリカゾル生成物5を介して、基材1と微粒子3及び、微粒子3と微粒子3が結合する様に構成される。
(微粒子)
本発明に用いる微粒子は、溶液に分散されている状態で平均一次粒子径が2〜100nmであることが微粒子積層薄膜の透明性を得るために好ましく、微粒子積層薄膜の光学機能の確保の観点から2〜40nmがより好ましく、2〜20nmが最も好ましい。平均一次粒子径が2nm未満の微粒子は形成が難しくなる。平均一次粒子径が100nmより大きくなると、可視光を散乱しやすくなり、微粒子積層薄膜の透明性を損ないやすくなる。また、交互積層法で微粒子積層薄膜を形成する場合、交互積層回数1回あたりの微粒子積層薄膜の膜厚変化量は、通常は微粒子の平均一次粒子径と同程度である。そのため、平均一次粒子径が大きすぎると膜厚制御の精度が低くなり、光学機能発現に膜厚を精度良く得ることが困難になる。膜厚制御性を損なわなければ、微粒子は一次粒子であっても一次粒子が凝集したタイプの二次粒子であっても良い。
本発明において、微粒子の平均一次粒子径や平均二次粒子径の測定は、公知の方法を用いて行うことができる。一次粒子が凝集せずに微粒子分散液中に分散している場合、平均一次粒子径を動的散乱法により測定することができる。ただし、一次粒子が凝集した二次粒子等の場合、動的散乱法により測定されるのは平均一次粒子ではなく、平均二次粒子径である。二次粒子における平均一次粒子径はBET法や電子顕微鏡法によって測定できる。BET法では、窒素ガスのように占有面積の分かった分子を粒子表面に吸着させ、その吸着量と圧力の関係から比表面積を求め、この比表面積を換算表から粒子径に変換をすることで平均一次粒子径を求めることができる。
また、電子顕微鏡法では、まず厚さ数十nmのアモルファスカーボン膜が形成された銅製メッシュ上で微粒子を微粒子分散液からすくい取る、もしくはアモルファスカーボン膜上に微粒子を吸着させる。その微粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、次いで、撮影画像中の全ての微粒子の長さを測定しその相加平均を平均一次粒子径として求める。なお、長さをはかる微粒子の数は100以上が望ましく、1つの撮影画像中の微粒子の数が100未満の場合は複数の撮影画像を用いて100以上となるようする。柱状粒子のように粒子の軸比が大きく異なる場合は、一般的に短軸の長さを測定し、その相加平均を平均一次粒子径とする。
また、前記の粒子径測定における微粒子は、微粒子積層薄膜を作製するための微粒子分散液から得るだけではなく、微粒子積層薄膜から得ても良い。微粒子積層薄膜から得る方法としては、スチールウール(日本スチールウール社製、#0000)やカッター等で基材上の微粒子積層薄膜を研磨することで粉末状の微粒子凝集体を剥離し、その微粒子凝集体を溶媒中で超音波をかける方法が挙げられる。これより、サイズの小さくなった微粒子凝集体や単分散の微粒子が得られる。前記溶媒には水、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒を用いることができる。
電子顕微鏡法では、微粒子の粒子径と同時に形状も観察できる。粒子が球状であるか、数珠状であるかが区別できる。数珠状につながる微粒子は図2に示すように一次粒子が数珠状につながっており、それぞれの一次粒子は共有結合している。数珠状粒子を用いた微粒子膜では、数珠状の形状がもたらす立体的な障害により、他の数珠状粒子や反対電荷を有する電解質ポリマーが空間を密に占めることができず、その結果、球状粒子を用いた微粒子膜よりも空隙率が高く低屈折率となる。
本発明における微粒子としては、無機微粒子があるが、具体的には、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、シリコン、錫、チタン、ジルコニウム、イットリウム、ビスマス、ニオブ、セリウム、コバルト、銅、鉄、ホルミウム、マンガン等のハロゲン化物や酸化物などが使用されるが、さらに具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、シリカ(SiO)、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ビスマス(Bi)、酸化ニオブ(Nb)、セリア(CeO)、酸化コバルト(CoO)、銅(CuO)、鉄(Fe)、ホルミウム(Ho)、マンガン(Mn)等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。
さらに好ましくは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物が、透明性の観点から好適に選ばれる。
微粒子は不定型であっても良いし、取り得る結晶型に特に制限はない。例えば、TiO2は、ルチル型でもアナターゼ型でも良い。このような無機微粒子の市販品としては、例えば、多木化学株式会社製のチタニア微粒子水分散液(タイノックM−6)、住友大阪セメント株式会社製の酸化亜鉛微粒子水分散液(ZnO−350)、多木化学株式会社製のセリア微粒子水分散液(ニードラールP10)、多木化学株式会社製の酸化錫微粒子水分散液(セラメースS−8)、多木化学株式会社製の酸化二オブ微粒子水分散液(バイラールNB−X10)、日産化学工業株式会社製のアルミナ微粒子水分散液(アルミナゾル−5)、日産化学工業株式会社製のシリカ微粒子水分散液(スノーテックス20)等が利用できる。
上記の無機微粒子の中でも反射防止膜に必要とされる低屈折率の薄膜が得られる点でシリカ(SiO)が好ましく、平均一次粒子径を1nmから23nmのように制御した水分散コロイダルシリカ(SiO)が最も好ましい。このような無機微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス(日産化学工業社製)等が挙げられる。より低い屈折率を得るためには、基本となる微粒子が、図1に示されるように数珠状に連なった粒子形状を含有するものがより好ましい。市販されているものとしては、スノーテックスUPないしスノーテックスOUPシリーズ(日産化学工業社製)や、ファインカタロイドF120(触媒化成工業社製)で、パールネックレス状シリカゾルがある。
いずれの微粒子を用いるとしても、微粒子を基材に吸着させる際は、微粒子を分散液の形態で塗布または接触させて基板に吸着させるのが好ましい。
(微粒子分散液)
本発明で用いる微粒子分散液は、上述した微粒子が、水、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒のような混合溶媒である媒体(液)に分散されたものである。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどがあげられる。微粒子分散液中に占める微粒子の割合は、通常0.01〜30%(重量)程度が好ましく、微粒子の分散は公知の方法によって行うことができる。
微粒子の分散性が低い場合は、分散性を改善するために、微粒子分散液を調製する際にいわゆる分散剤を用いることができる。このような分散剤としては、界面活性剤や電解質ポリマーあるいは非イオン性のポリマーなどを用いることができる。これらの分散剤の使用量は、用いる分散剤の種類によって異なるものであるが、一般に微粒子分散液中0.001〜0.1%(重量)程度であることが好ましく、多すぎるとゲル化・分離を起こしたり、分散液中で微粒子が電気的に中性となり、微粒子積層薄膜が得られなくなる。
また、微粒子分散液のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液または塩酸、硫酸などの酸性水溶液により1〜13の範囲で調整することができ、分散剤によってもpHの調整はできる。微粒子分散液のpHが等電位点からずれるほど、基材や電解質ポリマーとの静電的引力が強くなる傾向がある。なお、等電位点とは微粒子の表面電位が0となり、静電反発力がなくなるために粒子が凝集を起こすpH値であるが、等電位点は表面水酸基の数や結晶構造により異なるため、微粒子の材料によって異なる。
微粒子積層薄膜に含まれる微粒子の種類は一種類に限らない。例えば、微粒子分散液の一回の接触において吸着される微粒子は二種類以上でも良く、また、微粒子分散液の接触毎に微粒子の種類が異なっていても良い。
微粒子の電荷は、ゼータ電位の測定によって決定される溶液中の電荷(電圧)を指す。ナノサイズの微粒子を水性媒体中に分散した系では、固体、液体界面が相互運動を行い、その界面に電位差(ゼータ電位)が生じる。即ち固体と液体の界面には固定相(または吸着相)があり、固体表面と反対の荷電を帯びたイオンが吸着している。固体と液体とが相対運動をするとき、この固定相と液体の電位差がゼータ電位である。表面電位、ζ電位は電気二重層による電場に起因したエネルギーである。ゼータ電位は、粒子表面の電荷、吸着種によって影響を受ける。水溶液中では、pHによってこの電位が変化し、表面状態や吸着種の変化を示唆する。例えば、酸化物微粒子の多くは、表面水酸基に由来するアニオン性を示し、pHが高い状態(アルカリ性)では、より水酸基−OHの、O−H間の解離が進み、ゼータ電位のマイナスの電荷が大きくなり、pHが低い状態(酸性)では、その逆に、ゼータ電位の電荷が小さくなる。またイオン性分散剤によって分散されている微粒子では、その分散剤が微粒子に吸着していることから、分散剤に含まれるものが、アミノ基やアンモニウムイオンなどのカチオン性であれば、プラスのゼータ電位を示し、カルボキシル基やスルホニウムイオンなどのアニオン性であれば、マイナスのゼータ電位を示す。
(電解質性ポリマー)
この発明で使用する電解質ポリマーとしては、荷電を有する官能基を主鎖または側鎖に持つ高分子を用いることができる。この官能基により、電解質ポリマーはアニオン性及びカチオン性のポリマーに分けられる。
ポリアニオンとしては、一般的に、スルホン酸、硫酸、カルボン酸など負電荷を帯びることのできる官能基を有するものであり、たとえば、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリビニル硫酸(PVS)、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリマレイン酸、ポリフマル酸などが用いられる。
また、ポリカチオンとしては、一般に、4級アンモニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、たとえば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジンなどを用いることができる。これらの有機高分子イオンは、いずれも水溶性あるいは水と有機溶媒との混合液に可溶なものである。
(アルコール系シリカゾル)
アルコール系シリカゾルとしては、4、3、2官能のアルコキシシラン、およびこれらアルコキシシラン類の縮合物、加水分解物、シリコーンワニス等が使用できる。具体的に例示すると4官能アルコキシシランとしてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、3官能のアルコキシシランとしてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドプロポキシトリメトキシシラン、グリシロプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2官能のアルコキシシランとしてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。縮合物としては、コルコート株式会社製のエチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51等の4官能アルコキシシランの縮合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また加水分解物としてはアルコキシシラン類を有機溶媒と水及び触媒を使用して加水分解させたものが使用できる。
これらのシリカ化合物の内、本発明に適用されるアルコール性シリカゾルは、前記一般式(1)の低級アルキルシリケートとして、Rがメチル基またはエチル基である。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エチルシリケート40、エチルシリケート48、メチルシリケート51及びそれらの加水分解生成物であるアルコール性シリカゾルは膜を強固に固定でき、かつ比較的安価であることから特に好適である。アルコール性シリカゾルは、それらの混合物であってもよい。
(アルコール性シリカゾル生成物)
アルコール性シリカゾル生成物は、(1)アルコール性シリカゾル自体と、(2)アルコールシリカゾルの-SiOMeが-SiOHに変化したものと、(3)シリカゾルの重合体と、(4)アルコール性シリカゾルを微粒子積層膜に接触した後に、アルコール性シリカゾルの分子内に含まれるシラノール基(-Si-OH)が、微粒子積層膜に含まれる水酸基(-OH)と脱水縮合して、-Si-O-結合に変化したシリカゾルとを含む。
アルコール系シリカゾルの製造方法の例としては、公知の方法を用いることができる(特開平6-52796号参照)。具体的には、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランのモル数の10倍〜20倍程度の水と前記触媒を使用して、室温〜50℃(好ましくは室温〜30℃)の温度で1時間以上(好ましくは2〜5時間)攪拌下で加水分解反応を行なう。SiO濃度として20重量%以下、好ましくは1〜10重量%の固形分濃度のアルコール性シリカゾルを調製する。
このようにして調製したアルコール性シリカゾルを、塗布し易いように、希釈媒体で希釈することができる。この種の希釈液としてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、及びこれらの混合溶媒などか挙げられる。なお、これら希釈液を前記アルコール性シリカゾルに加えて希釈し、SiO濃度として、0.1重量%以上0.5重量%未満の固形分濃度としてもよい。前記したアルコール性シリカゾル溶液を基材に塗布するには、スプレー法、ディップ法、ロールコート法、スピンコート法などいずれでも可能である。塗布した後に、20℃から140℃のいずれかの温度で加熱することで、希釈媒体を蒸発させると同時に、アルコール性シリカゾルに生成した、シラノール基が、微粒子及び基板と結合することで、橋架け剤となり、微粒子積層薄膜の基板との密着性が得られる。
(基材)
基材の材質としては樹脂、シリコンなどの半導体、金属、無機化合物等が挙げられる。また、その形状はフィルム、シート、板、曲面を有する形状など任意である。基材の一部もしくは全体が筒状、糸状、繊維、発泡体など浸漬して溶液が入り込むことができるものであれば微粒子積層薄膜がその表面に形成されるので使用することができる。また、基材の断面が凹凸形状を有していても、表面の構造に追従して微粒子積層薄膜を形成することができる。また、基材表面がナノメートルスケールやサブミクロンスケールの構造を有していても、その構造に追従して微粒子積層薄膜は形成することができる。
上記金属としては、鉄、銅、白銅、チタン等があり、表面に電荷が存在するように酸化皮膜を形成させる等の処理を施したものである。上記無機化合物としてはガラス、セラミックス等があり、表面に極性基を有するものである。
上記の樹脂としては、その材料は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の延伸又は未延伸の透明プラスチックフィルム等が挙げられる。
これらの基材表面をコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理等して極性基を導入してもよい。このような処理により極性基を導入した樹脂を使用してもよい。
微粒子積層薄膜を透明性が求めれる光学部材として利用する場合には、基材も透明であることが望ましい。それ自身透明性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂や、ガラス基板などが用いられる。また、微粒子積層薄膜を反射率のみが重要になる光学部材として利用する場合には、基材に透明性は必ずしも必要ではなく、半導体や金属等を用いることができる。
微粒子積層薄膜の形成を望まない基材の一部の表面部分には、粘着フィルム等を貼り付ける等の微粒子分散液と基材との接触防止を施すことで、微粒子積層薄膜の基材上への形成を防ぐことができる。
基材に形成された反射防止膜の反対側の基材面に粘着剤層が形成されており、被着体としてのディスプレイ表面のガラス基板などに貼り付けて、反射防止膜が空気と面するよう用いることもできる。
本発明の微粒子積層薄膜10は、以下の工程により製造することができる(図1参照):
(A) 基材面1に、電解質ポリマー溶液または微粒子分散液のいずれかを接触または塗布する工程により、電解質ポリマー2又は微粒子3の層を形成し;
(B) 前記工程Aにおいて用いなかった方の電解質ポリマー溶液または微粒子であって、前記工程Aにおいて用いた電解質ポリマーまたは微粒子の電荷と反対電荷を有する電解質ポリマー溶液または微粒子分散液を接触または塗布する工程により、微粒子3又は電解質ポリマー2の層を形成し;及び
(C)アルコール性シリカゾル溶液を接触または塗布する工程により、アルコール性シリカゾル生成物5を介して基材1と微粒子3、及び微粒子3と微粒子3とを結合させる。
(基材の前処理方法)
基材は、そのまま用いるか、またはそれらの表面にコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、オゾン処理、アルカリや酸などによる化学的エッチング処理、シランカップリング処理などによって極性を有する官能基を導入して基材の表面電荷をマイナスもしくはプラスする。または、基材表面へ電荷を効率よく導入する方法としては、強電解質ポリマーであるPDDA(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)やPEI(ポリエチレンイミン)とPSS(ポリスチレンスルホン酸)の水溶液に交互に接触して交互積層膜を形成することによっても可能である(Advanced Material. 13, 51−54 (2001)参照)。
(微粒子積層薄膜の形成方法)
本発明において、空隙を有する微粒子積層薄膜を生成するためには、交互積層法を用いることが好ましい。この方法によると、次に示す文献に開示の既知の値から、所望の空隙率を有する微粒子積層膜を得ることができる。そのため、この微粒子積層膜にアルコール性シリカゾルを塗布して溶媒が揮発した後の屈折率は、アルコール系シリカゾルの濃度により制御可能となる。
空隙率の調整は、微粒子積層薄膜の作製時に使用する微粒子分散液のpHを調整する方法(pHを3〜9に調整すると空隙率は比較的高く、それ以外の範囲では空隙率が比較的低くなるように制御される)等、微粒子の表面電位を調整することにより行うことができる。空隙率は、十分な反射防止膜が得られる屈折率を考慮すると、43〜53%が好ましい。微粒子の表面電位の制御方法は、特開2006−301125号公報、特開2006−297680号公報、特開2006−301124号公報に記載の方法を用いることができる。例えば、空隙率を63%としておき、0.4%の重量濃度のアルコール性シリカゾル溶液を塗布した後、所望の空隙率、53%にすることができる。
(微粒子積層薄膜の形成装置)
微粒子積層薄膜の形成装置としては、基材を固定したアームが自動的に動き、プログラムに従って基材を微粒子分散液中に接触させるディッパーと呼ばれる装置(J.Appl.Phys.,Vol.79,pp.7501−7509,(1996)、特願2000−568599号参照)を用いても良い。また、ロール状に巻き取ってあるフィルムからフィルムを取り出し、そのまま微粒子分散液中に接触させ、乾燥させた後にロール状にフィルムを巻き取る連続膜形成プロセスを用いても良い。
基材を電解質ポリマー溶液(ポリカチオンまたはポリアニオン)と微粒子分散液に交互に浸し、微粒子積層薄膜を固体基板上に作成する。基材の表面電荷がマイナスであれば、はじめにカチオン性の溶液(電解質ポリマーまたは微粒子分散液の一方)に接触し、次にアニオン性の溶液(電解質ポリマーまたは微粒子分散液の他方)に接触させる。接触時間はポリマーや微粒子、積層したい膜厚によって適宜調整する。基材をカチオン性またはアニオン性の溶液を接触させた後、反対電荷を有する溶液に接触する前に溶媒のみのリンスによって余剰の溶液を洗い流すこともできる。静電的に吸着しているために、この工程で剥離することはない。また、反対電荷の溶液に、吸着していないポリマー電解質または微粒子を持ち込むことを防ぐために行ってもよい。これをしない場合は、持ち込みによって溶液内でカチオン、アニオンが混ざり、沈殿を起こすことがある。
装置としてはディッパーと呼ばれる交互積層装置を用いても良い。上下左右に動作するロボットアームに基材を取り付け、プログラムされた時間に、基材をカチオン性溶液に漬け、続いてリンス液に漬け、続いてアニオン性溶液に漬け、またリンス液に漬ける。この工程を1サイクルとして、積層したい回数分を連続的に自動的に行うことができる。そのプログラムは2種類以上のカチオン性物質、アニオン性物質を用いた組み合わせをしてもよい。例えば、最初の2層分はポリジメチルジアリルアンモニウム塩化物とポリスチレンスルホン酸ナトリウムの組み合わせ、続く10層はポリジメチルジアリルアンモニウム塩化物とアニオン性シリカゾルの組み合わせを用いることができる。
ロール状に巻き取ったフィルムを巻き出し部から取り出し、途中にカチオン性溶液水槽、リンス水槽、アニオン性水槽、リンス水槽を並べて配置し、この配置を積層したい回数分並べて最後に乾燥する工程などを配置して、巻取り部を設けたフィルム状基材への連続膜形成プロセスも用いることができる。
得られた微粒子積層薄膜には、防汚性をもたせるためにフッ素系ポリマ溶液またはフッ素系カップリング剤溶液を塗布してもよい。溶液の濃度は0.1〜5重量%が好ましい。0.1重量%未満では、十分な防汚性が得られない場合がある。微粒子積層膜の表面に内部に染み込んで、表面に防汚成分が残りにくいためである。また、5重量%を超えると、所望の空隙率を得ることができない場合がある。防汚成分の占める体積が、空隙を埋めてしまうためである。また、微細な形状の谷の部分を埋めてしまうために、形状が変わってしまい、レンズなどの光を曲げる機能を持たせた基材の場合、その特性を劣化させる場合がある。
(微粒子積層薄膜の屈折率と膜厚の決定)
反射率分光法及びカーブフィット法を組み合わせた瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス株式会社製、F20)の解析プログラムにより、表面反射率のスペクトルから微粒子積層膜の屈折率と膜厚を求めることができる。
(微粒子積層薄膜の空隙率の決定)
本発明の微粒子積層薄膜では微粒子の間の隙間は、空気である。すなわち、走査型電子顕微鏡による表面及び、断面観察によって、孔が観測できることから、シリカ微粒子積層薄膜の見かけの屈折率がシリカより低い場合、屈折率を下げているのは、孔に存在する空気であることが分かる。この仮定から、微粒子積層薄膜中の空隙率ρは次式より求めることができる。
Figure 2009113484
(ただし、式中、nは微粒子を構成する物質の屈折率、nは空気の屈折率=1.0を示す。)
以下、本発明の低屈折率膜の実施例を説明する。以下、「部」は、「重量部」を意味にする。
(基材への電解質ポリマー及び微粒子の吸着)
微粒子として、BET法で測定した平均一次粒子径が8nmの数珠状シリカ微粒子を用いた。シリカ水分散液1.0重量%(スノーテックス(ST)OUP、日産化学工業株式会社製、シリカゾル、アニオン性)を微粒子分散液として用い、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA、平均分子量100000、アルドリッチ製、カチオン性)を電解質ポリマーとして用いた。溶液としては0.3重量%のPDDA水溶液と1.0重量%の微粒子分散液を調製した。微粒子分散液のpHは未調整で4であり、PDDA水溶液のpHは9に調製した。シリコン基板(150mmφ、0.7mm厚)を、PDDA水溶液に1分間浸漬し、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(ア)、微粒子分散液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(イ)をこの順に施した。この工程(ア)1回と工程(イ)1回を順に行うのを1サイクルとし、このサイクルを3回(微粒子交互積層回数)行い、電解質ポリマー及び微粒子が吸着された基材を形成した。
(アルコール性シリカゾルの合成)
<メチルシリケート系アルコール性シリカゾル>
テトラメトキシシラン61.5gを4つ口丸底フラスコ1l(リットル)に入れ、MeOH 463.9gを加え、液温を30℃に一定に維持しながら攪拌し液を均一にした。次に、水71.6gにHNO;3.0gを加えた水溶液を加え、30℃にて5時間攪拌した。このメチルシリケート系アルコール性シリカゾル(50部)とイソプロピルアルコール(50部)を混合し、n-ブチルアルコールを加えて、固形分濃度が所定の濃度となるように調整した。
<エチルシリケート系アルコール性シリカゾル>
テトラエトキシシラン85.7gを4つ口丸底フラスコ1lに入れ、MeOH 356.7gを加え、液温を30℃に一定に維持しながら攪拌し液を均一にした。次に、水154.6gにHNO;3.0gを加えた水溶液を加え、30℃にて5時間攪拌した。このエチルシリケート系アルコール性シリカゾル(50部)とイソプロピルアルコール(50部)を混合し、n−ブチルアルコールを加えて、固形分濃度が所定の濃度となるように調整した。
(実施例1)
前記の電解質ポリマー及び微粒子が吸着された基材を、スピンコータにセットし、前記のメチルシリケート系アルコール性シリカゾル(0.4%固形分濃度)20mlを基板全体に展開した後、回転数1000rpmで、30秒間、回転させた。その後、80℃に加熱したホットプレートで、60秒間加熱し、微粒子とシリカゾル、及び微粒子と基板を結合させた微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
(実施例2)
メチルシリケート系アルコール性シリカゾルの代わりに、前記のエチルシリケート系アルコール性シリカゾル(0.4重量%固形分濃度)とした以外は、実施例1と同様にして、微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
(実施例3)
メチルシリケート系アルコール性シリカゾル(0.2重量%固形分濃度)とエチルシリケート系アルコール性シリカゾル(0.2重量%固形分濃度)を50部ずつ混合したもの、20mlを基板全体に展開した後、回転数1000rpmで、30秒間、回転させた。その後、80℃に加熱したホットプレートで、60秒間加熱し、微粒子とシリカゾル、及び微粒子と基板を結合させた微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
(実施例4)
シリコン基板の代わりに、アクリル樹脂板(住友化学社製、スミペックス、100mm×150mm×1mm厚)を用いた以外は同一の微粒子積層薄膜を用いて、実施例1と同様にして、微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
(実施例5)
シリコン基板の代わりに、PETフィルム(東洋紡社製、A4100、100mm×150mm×125μm厚)を用いた以外は同一の微粒子積層薄膜を用いて、実施例1と同様にして、微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
(実施例6)
シリコン基板の代わりに、ガラス板(BK−5ガラス基板、マツナミ社製、25mm×75mm×0.7mm厚)を用いた以外は同一の微粒子積層薄膜を用いて、実施例1と同様にして、微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
(実施例7)
シリコン基板の代わりに、シリコン基板上に、感光性樹脂(シプレイ・ファーイー. スト社製、UV6、ポジ型レジスト)によって、直径10μm、高さ4μmの半球状のレンズ形状が形成された基板を用いた以外は同一の微粒子積層薄膜を用いて、実施例1と同様にして、微粒子積層薄膜付き基材を作製した。微粒子積層薄膜の屈折率と膜厚、空隙率を測定したところ、それぞれ1.26、100nm、51%であった。
(比較例1〜7)
比較例として、アルコール性シリカゾルをスピンコートしないこと以外、実施例1から実施例7と同様の、微粒子積層薄膜付き基材を作製し、それぞれ、比較例1から7とした。
実施例1〜7及び比較例1〜7による微粒子積層薄膜付き基材について、以下の通り、屈折率、膜厚、空隙率、密着性及び耐スクラッチ性を測定し評価を行った。
(微粒子積層薄膜の屈折率と膜厚の決定)
反射率分光法及びカーブフィット法を組み合わせた瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス株式会社製、F20)の解析プログラムにより、表面反射率のスペクトルから微粒子積層膜の屈折率と膜厚を求めた。
(微粒子積層薄膜の空隙率の決定)
本発明の微粒子積層薄膜では微粒子の間の隙間は、空気である。すなわち、走査型電子顕微鏡による表面及び、断面観察によって、孔が観測できることから、シリカ微粒子積層薄膜の見かけの屈折率がシリカより低い場合、屈折率を下げているのは、孔に存在する空気であることが分かる。この仮定から、微粒子積層薄膜中の空隙率ρは次式より求めた。
Figure 2009113484
(ただし、式中、nは微粒子を構成する物質の屈折率、nは空気の屈折率=1.0を示す。)
(密着力の評価方法)
この微粒子積層薄膜の密着力を測るため、粘着テープ(NO.31B、ポリエステル粘着テープ、日東電工製)を貼り付けて、引き剥がし、微粒子積層薄膜が、容易に基材から剥離し、粘着テープ側に移った場合は密着力が不十分と判定した。この粘着テープのPETフィルムに対するピール強度は6N/19mm(3N/10mm)であった。ピール強度の測定方法は、テンシロン(定速伸張型引張試験機、オリエンテック社製、RTM−10、温度:室温、試験方法:T型剥離、剥離速度:0.2m/min)を用いて、剥離した時の荷重を剥離強度として、密着性を評価した。密着性は、前記の粘着テープを貼合したのち、はがした場合、変化のない膜は○、膜がまったく残らない場合は×とした。
(耐スクラッチ性の評価方法)
耐スクラッチ性の評価は、鉛筆硬度で行った。測定方法は、JIS規格(JIS-K-5400-1990)に準拠して次のように測定した。まず、試料に対して45°の角度で固定された鉛筆に、試料を押し付けた。鉛筆が試料に加える荷重は1.00±0.05kgとした。試料に付着した鉛筆の粉をエアーブローし、残った鉛筆の粉はプラスチック消しゴム(PE01、トンボ鉛筆製)を押し付けて取り除いた。膜表面にわずかに食い込むような傷が見えたときに、「擦り傷が付いた」と判別した。5回の試験で2回以上膜に擦り傷が認められた時の鉛筆の濃度記号を、その試料の鉛筆硬度とした。例えば、2Hの鉛筆で擦り傷が2回つき、Hの鉛筆で擦り傷が1回つく試料の鉛筆硬度はHである。
得られた微粒子積層薄膜の評価結果を表1に示す。
Figure 2009113484
(実施例8)
<基材への電解質ポリマー及び微粒子の吸着>
BET法で測定した平均一次粒子径が8nmの数珠状シリカ微粒子が分散したシリカ水分散液(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス(ST)OUP、シリカゾル)をpHは調整せずに濃度を1重量%に調整した微粒子分散液として用い、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA、アルドリッチ社製)を0.1重量%、pH10に調整した水溶液を電解質ポリマー水溶液として用いた。
基材であるシリコンウエハ(SUMCO社製、6PW−A1、6インチΦ、625μm厚)、ガラス基材(松浪硝子社製、商品名:S1111、25mm×75mm×0.7mm厚、波長550nmでの屈折率は1.54)、低圧水銀ランプ(10mW)にて紫外線を2分照射したポリスチレン板(光社製、透明、1mm厚)のそれぞれに、PDDA水溶液を滴下して1分間経過後にリンス用の超純水を1分間シャワーする工程(ア)、微粒子分散液を滴下して1分間経過後にリンス用の超純水を1分間シャワーする工程(イ)をこの順に施した。工程(ア)1回と工程(イ)1回を順に行うことを1サイクルとし、このサイクル数を微粒子交互積層回数とした。微粒子交互積層回数を4回行い、電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を形成した。
<アルコール性シリカゾル生成物の合成及びこれを用いた処理>
エトキシシランオリゴマー(コルコート社製、エチルシリケート40)50gを3つ口丸底フラスコ300mlに入れ、MeOH42gを加え、25℃にて攪拌し液を均一にした後に、HPO0.05重量%水溶液を7.4g加え、25℃にて72時間攪拌し、シラン濃度50%の珪素化合物溶液を得た。前記珪素化合物溶液に1−ブタノールを加えて、シラン濃度を1重量%に調整した珪素化合物処理液を得た。前記の電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を、スピンコータにセットし、前記の珪素化合物処理液20mlを基板全体に展開した後、回転数1000min−1で展開及び乾燥した。その後、25℃で24時間乾燥し、微粒子積層薄膜付き基材を作製した。
<屈折率の評価>
シリコンウエハ上の低屈折率膜(微粒子積層薄膜)の屈折率と膜厚を自動エリプソメータ(ファイブラボ(株)製、商品名:MARY−102、レーザー波長632.8nm)で評価した結果、低屈折率膜の屈折率は1.25、厚さは110nmであった。
<透明性の評価>
前記で得た低屈折率膜が形成されたガラス基板のヘイズ値を、濁度計(日本電色工業社製)でJIS K 7361−1−1997に準拠して測定した結果、0.4%であった。ガラス基板のみのヘイズ値を同様に測定した結果、0.1%であった。低屈折率膜が形成された固体基材のヘイズ値から、固体基材のみのヘイズ値を差し引くことで低屈折率膜の濁度を求めた。その結果、低屈折率膜の濁度は0.3%であり、低屈折率膜の透明性が非常に高いことがわかった。
<反射防止性能の評価>
低屈折率膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−570)で測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95%であった。
また、低屈折率膜が形成されたガラス基板の反対面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名:VT−196)を気泡が残らないように貼り付け、低屈折率膜が形成された片面の表面反射率のスペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−570)で測定した。低屈折率膜が形成されたガラス基板の波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
ガラス基板の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、優れた特性の反射防止膜が形成され、透過率も向上させることがわかった。
<密着性の評価>
粘着テープとして粘着力320cN/25mm、幅25mmの粘着テープ(日立化成社製ヒタレックスL−7330)を使用し、ロールラミネータ(ラミーコーポレーション社製LMP−350EX)を用いて、ロール荷重0.3MPa、送り速度0.3m/min、温度20℃の条件で、粘着テープを低屈折率膜へ貼り付けた。テープを密着させてから1分後に、テープの一方の端を基材面に直角に持ち上げ、瞬間的に引き剥がした。低屈折率膜を目視観察した結果、基材表面が見えず、低屈折率膜が可視光を散乱していないことから、低屈折率膜が基材に密着していることがわかった。シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材上に密着していた。
また、粘着テープとして粘着力360cN/25mm(紫外線照射後は25cN/25mm)、幅25mmの粘着テープ(電気化学社製BGP−101B)を使用し、ロールラミネータ(ラミーコーポレーション社製LMP−350EX)を用いて、ロール荷重0.3MPa、送り速度0.3m/min、温度20℃の条件で、粘着テープを低屈折率膜へ貼り付けた。テープを密着させてから1分後に、紫外線露光装置(オーク(株)製、HMW−6N−4)を用いて200mJ/cm2の紫外線を照射し、テープの一方の端を基材面に直角に持ち上げ、瞬間的に引き剥がした。シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材上に密着していた。
(実施例9)
実施例8に準じて電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を作製した。
エトキシシランオリゴマー(コルコート社製、エチルシリケート48)50gを3つ口丸底フラスコ300mlに入れ、MeOH46gを加え、25℃にて攪拌し液を均一にした後に、HPO10.0重量%水溶液を3.6g加え、25℃にて24時間攪拌し、シラン濃度50%の珪素化合物溶液を得たこと、シラン濃度を1重量%に調整して珪素化合物処理液を得たこと以外は、実施例8に準じて低屈折率膜を作製した。
実施例8と同様に評価した低屈折率膜の屈折率は1.25、厚さは110nmであり、実施例8と同様に評価した低屈折率膜の濁度は0.3%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
実施例8と同様に密着性を評価したところ、粘着力320cN/25mm、幅25mmの粘着テープ(日立化成社製ヒタレックスL−7330)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着しており、粘着力360cN/25mm(紫外線照射後は25cN/25mm)、幅25mmの粘着テープ(電気化学社製BGP−101B)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着していた。
(実施例10)
実施例8に準じて電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を作製した。
メトキシシランオリゴマー(コルコート社製、メチルシリケート51)50gを3つ口丸底フラスコ300mlに入れ、MeOH40gを加え、25℃にて攪拌し液を均一にした後に、HPO4.3重量%水溶液を9.7g加え、25℃にて4時間攪拌し、シラン濃度50%の珪素化合物溶液を得たこと、シラン濃度を5重量%に調整して珪素化合物処理液を得たこと以外は、実施例8に準じて低屈折率膜を作製した。
実施例8と同様に評価した低屈折率膜の屈折率は1.25、厚さは110nmであり、実施例8と同様に評価した低屈折率膜の濁度は0.3%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
実施例8と同様に密着性を評価したところ、粘着力320cN/25mm、幅25mmの粘着テープ(日立化成社製ヒタレックスL−7330)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着しており、粘着力360cN/25mm(紫外線照射後は25cN/25mm)、幅25mmの粘着テープ(電気化学社製BGP−101B)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着していた。
(実施例11)
実施例8に準じて電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を作製した。
エトキシシランオリゴマー(コルコート社製、エチルシリケート48)をシラン濃度100%の珪素化合物溶液とし、シラン濃度を1重量%に調整して珪素化合物処理液を得たこと以外は、実施例8に準じて低屈折率膜を作製した。
実施例8と同様に評価した低屈折率膜の屈折率は1.25、厚さは110nmであり、実施例8と同様に評価した低屈折率膜の濁度は0.3%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
実施例8と同様に密着性を評価したところ、粘着力320cN/25mm、幅25mmの粘着テープ(日立化成社製ヒタレックスL−7330)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着しており、粘着力360cN/25mm(紫外線照射後は25cN/25mm)、幅25mmの粘着テープ(電気化学社製BGP−101B)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着していた。
(実施例12)
実施例8に準じて電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を作製した。
メトキシシランオリゴマー(コルコート社製、メチルシリケート51)をシラン濃度100%の珪素化合物溶液とし、シラン濃度を5重量%に調整して珪素化合物処理液を得たこと以外は、実施例8に準じて低屈折率膜を作製した。
実施例8と同様に評価した低屈折率膜の屈折率は1.25、厚さは110nmであり、実施例8と同様に評価した低屈折率膜の濁度は0.3%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
実施例8と同様に密着性を評価したところ、粘着力320cN/25mm、幅25mmの粘着テープ(日立化成社製ヒタレックスL−7330)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着しており、粘着力360cN/25mm(紫外線照射後は25cN/25mm)、幅25mmの粘着テープ(電気化学社製BGP−101B)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着していた。
(実施例13)
実施例8に準じて電解質ポリマー及び微粒子を吸着させた基材を作製した。
テトラエトキシシラン(和光純薬社製、オルトケイ酸テトラエチル)50gを3つ口丸底フラスコ300mlに入れ、MeOH75gを加え、25℃にて攪拌し液を均一にした後に、HPO1.3重量%水溶液を17.7g加え、25℃にて24時間攪拌した後に、エトキシシランオリゴマー(コルコート社製、エチルシリケート48)50gを加え、25℃にて5分攪拌し、シラン濃度70%の珪素化合物溶液を得た。
シラン濃度を1重量%に調整して珪素化合物処理液を得たこと以外は、実施例8に準じて低屈折率膜を作製した。
実施例8と同様に評価した低屈折率膜の屈折率は1.25、厚さは110nmであり、実施例8と同様に評価した低屈折率膜の濁度は0.3%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の透過スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は95%であった。実施例8と同様に低屈折率膜が形成されたガラス基板の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.1%であった。
実施例8と同様に密着性を評価したところ、粘着力320cN/25mm、幅25mmの粘着テープ(日立化成社製ヒタレックスL−7330)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着しており、粘着力360cN/25mm(紫外線照射後は25cN/25mm)、幅25mmの粘着テープ(電気化学社製BGP−101B)の使用に対して、シリコン基板上、ガラス基板上、ポリスチレン上の低屈折率膜はいずれも基材に密着していた。
以上の実施例8〜13の測定結果を表2に示す。
Figure 2009113484
以上より、アルコキシシラン、または、アルコキシシランの加水分解物およびその加水分解物の縮合反応物、またはそれらの混合物のいずれかを微粒子積層膜と接触させることで、低屈折率膜に基材密着性を付与できることがわかる。
本発明の反射防止膜付きガラスの製造方法においては、交互積層法で形成した微粒子積層薄膜を、オーブン等を用いてシリケート処理するだけで、耐スクラッチ性に優れた多孔質膜付き基板を製造できるため、量産性に優れる反射防止膜の製造方法である。
シリカゾルの塗布に伴う微粒子間の結合の様子を示した概念図である。 数珠状に連なった微粒子の状態と、一次粒子の粒子径を示す模式図である。 反射防止膜の屈折率と反射防止膜付き固体基材(屈折率1.54)の表面反射率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 基材
2 電解質ポリマー
3 微粒子
4 空隙
5 アルコール性シリカゾル生成物
10 微粒子積層薄膜

Claims (16)

  1. 基材と、該基材上に設けられた、空隙を有する微粒子積層薄膜とを有し、
    該微粒子積層薄膜は、電解質ポリマーおよび微粒子が交互に吸着され、かつ、
    アルコール性シリカゾル生成物を介して、該基材と該微粒子及び、該微粒子と該微粒子が結合していることを特徴とする微粒子積層薄膜付き基材。
  2. 前記微粒子積層薄膜の空隙率が、43%から53%である請求項1記載の微粒子積層薄膜付き基材。
  3. 前記アルコール性シリカゾル生成物は、一般式(1)で表わされる低級アルキルシリケートをメタノール及びエタノールから選択されるアルコール中で加水分解して調製したアルコール性シリカゾルを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の微粒子積層薄膜付き基材。
    Si(OR) ・・・(1)
    (但し、Rはメチル基またはエチル基を示す。)
  4. 前記微粒子の一次粒子径が2〜100nmである請求項1から3いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材。
  5. 前記微粒子が、無機酸化物である請求項1から4いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材。
  6. 前記無機酸化物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物からなるものである請求項5記載の微粒子積層薄膜付き基材。
  7. 前記微粒子が数珠状の微粒子集合体である請求項1から6いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材。
  8. 請求項1から7いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材を含む光学部材。
  9. 反射防止機能を有する請求項8記載の光学部材。
  10. 半透過半反射機能を有する請求項8または9記載の光学部材。
  11. 反射機能を有する請求項8から10いずれかに記載の光学部材。
  12. 請求項1〜7いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材の製造方法であって、基材上に、電解質ポリマーと微粒子とを交互に積層する製造方法であり、
    (A)基材面に、電解質ポリマー溶液または微粒子分散液のいずれかを接触または塗布する工程、
    (B)前記工程Aにおいて用いなかった方の電解質ポリマー溶液または微粒子分散液であって、前記工程Aにおいて用いた電解質ポリマーまたは微粒子とは反対電荷を有する電解質ポリマー溶液または微粒子分散液を接触または塗布する工程、及び
    (C)さらにアルコール性シリカゾル溶液を接触または塗布する工程を含む工程を備える微粒子積層薄膜付き基材の製造方法。
  13. 前記工程Aと工程Bとを交互に一回以上行った後、前記工程Cを行うことを特徴とする、請求項12に記載の微粒子積層薄膜付き基材の製造方法。
  14. 前記工程A及び工程Bから選択される工程の後にリンス工程を含む、請求項12または13に記載の微粒子積層薄膜付き基材の製造方法。
  15. 前記(工程C)の後に、加熱処理することを特徴とする請求項12から14いずれかに記載の微粒子積層薄膜付き基材の製造方法。
  16. 前記加熱処理の温度が20℃から140℃であることを特徴とする請求項15に記載の微粒子積層薄膜付き基材の製造方法。
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