JP2009114277A - 塩基性ポリシラノール含有無機有機複合コーティング組成物 - Google Patents

塩基性ポリシラノール含有無機有機複合コーティング組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】無機性材料と有機性材料の混合安定性が高く、貯蔵安定性が優れ、さらには、良好に塗装することが可能な無機有機複合コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、(B)水性有機バインダーと、(C)非イオン性粘性調整剤とを含む、無機有機複合コーティング組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩基性ポリシラノール含有無機有機複合コーティング組成物に関する。具体的には、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを含む無機有機複合コーティング組成物に関する。
これまで、無機性材料と有機性材料とを含む、いわゆる、無機有機複合コーティング組成物が種々提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、実用性の観点から、従来の無機有機複合コーティング組成物に対しては、無機性材料と有機性材料の混合安定性の向上および貯蔵安定性の向上が望まれている。
特開平9−165450号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無機性材料と有機性材料の混合安定性が高く、貯蔵安定性が優れ、さらには、良好に塗装することが可能な無機有機複合コーティング組成物を提供することにある。
本発明の無機有機複合コーティング組成物は、(A)アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、(B)水性有機バインダーと、(C)非イオン性粘性調整剤とを含む。
好ましい実施形態においては、上記無機有機複合コーティング組成物の不揮発分濃度が、5〜50質量%であり、粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度が14〜60秒である。
好ましい実施形態においては、上記無機有機複合コーティング組成物から、(C)非イオン性粘性調整剤を除いた組成物の粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度が13秒以下である。
好ましい実施形態においては、上記(A)ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液が、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を塩基に加えて得られる溶液である。
好ましい実施形態においては、上記(A)ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液が、アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加して得られる溶液である。
好ましい実施形態においては、上記(B)水性有機バインダーが、アニオン性またはノニオン性である。
本発明の別の局面によれば、無機有機複合コーティング組成物の製造方法が提供される。該製造方法は、アルコキシシラン化合物、親水性有機溶媒、該アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上の水、および、酸性触媒を混合することにより、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を得る工程、該アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を塩基に添加して、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得る工程、および、該アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを混合する工程を含む。
本発明のさらに別の局面によれば、無機有機複合コーティング組成物の製造方法が提供される。該製造方法は、アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加して、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得る工程、および、該アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを混合する工程を含む。
本発明のさらに別の局面によれば、無機有機複合コーティング膜が提供される。該コーティング膜は、上記無機有機複合コーティング組成物から形成される。
本発明によれば、無機性材料と有機性材料の混合安定性が高く、貯蔵安定性が優れ、さらには、良好に塗装することが可能な無機有機複合コーティング組成物が提供される。
〔無機有機複合コーティング組成物〕
本発明の無機有機複合コーティング組成物は、(A)アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、(B)水性有機バインダーと、(C)非イオン性粘性調整剤とを含む。本発明の無機有機複合コーティング組成物は、無機性材料と有機性材料の混合安定性が高く、貯蔵安定性が優れ、さらには、良好に塗装することが可能である。このような効果が奏される理由は定かではないが、以下のように推測される。第一に、本発明で用いられるアルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液は、水性有機バインダーとの混合安定性に優れる。第二に、有機性材料としてエマルション樹脂を用い、無機性材料として酸性の材料を用いる場合、これらを混合すると、析出物が生じたり、粘度が徐々に上昇したりするという混合安定不良の問題や、得られた無機有機複合コーティング組成物の貯蔵安定性が低下するという問題が生じやすい。これは、エマルション樹脂は、一般にアミン等で中和されたアニオン性樹脂であるので、酸性の無機性材料の存在下ではその形態の維持が困難となり、両者の混合安定性が低下するためと考えられる。また、塗料に一般的に添加される添加物のなかには、アニオン性のものが多く、それらを用いた場合にも同様の問題が生じやすい。本発明においては、無機性材料として塩基性の材料を用いるので、有機性材料としてアニオン性の材料を用いた場合であっても、これらの問題を回避することができる。第三に、本発明の無機有機複合コーティング組成物は、非イオン性粘性調整剤を含むので、中和等の問題を生じることなく、良好に塗装することが可能になると考えられる。
無機有機複合コーティング組成物の不揮発分濃度(NV)は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは6〜40質量%であり、さらに好ましくは7〜30質量%である。不揮発分濃度が上記好適範囲内であれば、無機有機複合コーティング組成物を塗装に用いた際に、タレ等が少なく、作業性に優れるという利点がある。不揮発分濃度の測定方法については、後述する。なお、「無機有機複合コーティング組成物の不揮発分」とは、無機有機複合コーティング組成物中において、顔料等の固形物を除いたものを所定条件で加熱して残存する成分を意味する。
無機有機複合コーティング組成物の粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度は、好ましくは14〜60秒、より好ましくは15〜50秒、さらに好ましくは15〜40秒である。粘度が上記好適範囲内であれば、無機有機複合コーティング組成物を塗装に用いた際に、タレ等が少なく、作業性に優れるという利点がある。なお、粘度カップNK−2は市販されており、例えば、アネスト岩田株式会社等から入手可能である。
無機有機複合コーティング組成物から、(C)非イオン性粘性調整剤を除いた組成物の粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度は、好ましくは13秒以下、より好ましくは7〜13秒である。粘度が上記好適範囲内であれば、(C)非イオン性粘性調整剤の添加によって塗装に好適な粘性を付与することができる。
A−1.アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液
アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液は、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサン(以下、「アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン」と称する場合がある。)を含む。本明細書において、「アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサン」は、核磁気共鳴分析(H−NMR)または赤外分光分析(IR)で、アルコキシ基に基づくピークが観察されないポリヒドロキシシロキサンを包含する。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンは、模式的に式(1)で表される化合物を含む。式(1)は、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンが分岐や架橋のない直鎖状の縮合体である場合を示している。
Figure 2009114277
(式中、n1は1以上の数である。)
式(1)で表される化合物は、通常、単一の化合物ではなく、代表的には、縮合度、分岐や架橋の有無等の点で、種々の構造を有する化合物の混合物である。したがって、式(1)において、n1は平均値である。n1は、1以上であり、2〜50が好ましく、2〜20がより好ましい。n1が2以上である場合、ヒドロキシシリル基の数が多くなるので、硬度が高い無機有機複合コーティング膜を形成し得る。また、n1が50以下である場合、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン溶液がゲル化し難いので、操作性が良好である。アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの縮合度は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)、Si−NMR等を用いて求めることができる。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンは、好ましくは有機基を有するポリヒドロキシシロキサンをさらに含むことができる。有機基を有するポリヒドロキシシロキサンは、少なくとも1つのSi−C結合を有する。すなわち、水酸基の代わりに有機基がSi原子に結合した構造を有する。該化合物を含むことにより、有機バインダーとの混合安定性が向上され得る。
1つの実施形態において、有機基は、好ましくは炭素数1〜21の置換もしくは非置換の直鎖または分岐アルキル基、または炭素数6〜21の芳香族基、より好ましくは1〜10の置換もしくは非置換の直鎖または分岐アルキル基等が挙げられる。有機基が炭素数4以上のアルキル基である場合、特に有機バインダーとの混合安定性が向上され得る。なお、上記アルキル基は、反応性基を置換基として有することが好ましい。反応性基としては、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基等が挙げられる。
反応性基を置換基として有する有機基としては、例えば、ビニル、メタクリロキシプロピル、アクリロキシプロピル、グリシドキシプロピル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、スチリル、N−2−(アミノエチル)アミノプロピル、アミノプロピル、N−フェニルプロピル、メルカプトプロピル、クロロプロピル等が例示される。好ましくは、ビニル、(メタ)アクリロキシプロピル、グリシドキシプロピル、アミノプロピルである。
有機基を有するポリヒドロキシシロキサンの含有量としては、式(1)で表される化合物100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜10質量部である。当該範囲内で使用することにより、所望の硬度を有するコーティング膜を得ると共に、有機バインダーとの充分な混合安定性を確保し、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの急激な縮合反応を抑制する効果をも得ることができる。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液のpHは、好ましくは8〜13、より好ましくは8〜12、さらに好ましくは8〜11である。当該好適範囲内のpHであれば、アニオン性エマルションと組み合わせて用いる場合であっても、混合安定性および貯蔵安定性に優れた無機有機複合コーティング組成物が得られ得る。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の不揮発分濃度(NV)は、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%である。不揮発分濃度が5質量%未満であると、塗装に必要な粘度が得られない場合がある。また、不揮発分濃度が25質量%を超えると、製造が困難となる場合がある。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の粘度は、粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した値が、好ましくは6〜40秒、より好ましくは7〜30秒である。
上記アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液は、任意の適切な方法で調製され得る。具体例として、以下に2つの調製方法を説明する。一般に、ポリヒドロキシシロキサンはpH5〜7の環境下で不安定な状態となり、析出、ゲル化等の現象が生じ易い。下記の調製方法1および2によれば、実質的にポリヒドロキシシロキサンをpH5〜7の環境下におくことがないので、ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を安定して調製することができる。
A−2.アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の第1の調製方法
第1の調製方法は、アルコキシシラン化合物、親水性有機溶媒、該アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上の水、および、酸性触媒を混合することにより得られるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を、塩基に添加する方法である。
A−2−1.アルコキシシラン化合物
アルコキシシラン化合物は、テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物を含む。テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物は、通常、単一の化合物ではなく、代表的には、縮合度、分岐や架橋の有無等の点で、種々の構造を有するものの混合物である。このため、テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物は、模式的に式(2)によって表されている。式(2)は、テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物が分岐や架橋を有さない場合を示している。
Figure 2009114277
式(2)において、n2は平均値である。n2は、1以上であり、1〜50が好ましく、1〜20がより好ましい。テトラアルコキシシランの縮合物の縮合度は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
式(2)において、Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の直鎖状または分岐状アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4の置換もしくは非置換の直鎖状または分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4の非置換の直鎖状または分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは非置換の炭素数1〜2のアルキル基である。Rが上記好ましいアルキル基である場合、加水分解性が向上するので、効率良くポリヒドロキシシロキサンを得ることができる。
上記Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、およびn−ブチル基が好ましく、メチル基およびエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
したがって、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランまたはこれらの縮合物が好ましく用いられる。なかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびこれらの縮合物が好ましく、テトラメトキシシランおよびその縮合物がより好ましい。本発明においては、テトラアルコキシシランおよびその縮合物を1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラアルコキシシランの縮合物としては、好ましくは6個以上、より好ましくは6〜102個、さらに好ましくは12〜42個のアルコキシ基を有するものが用いられる。加水分解により適度な数のヒドロキシシリル基が得られるので、硬度が高い無機有機複合コーティング膜を得ることができるからである。上記のとおり、テトラアルコキシシランの縮合物は、種々の縮合度を有するものを含み得ることから、当該アルコキシ基の数は、それらの平均値である。テトラアルコキシシランの縮合物が有するアルコキシ基の数は、上記縮合度から求めることができる。
上記Rが置換基を有する場合、テトラアルコキシシランまたはその縮合物が有する置換基の数はアルコキシ基の数の半分以下であることが好ましい。置換基としては、任意の適切なものを用いることができる。具体的には、例えば、クロル、ブロム等のハロゲン原子、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等のアルコキシ基、シアノ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。このような置換基を有する場合には、置換アルキル基の炭素数の合計は1〜6であることが好ましい。また、上記アルキル基は、アルキレンオキサイドユニットを有する化合物で置換されていてもよい。アルキレンオキサイドユニットの種類としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイドが挙げられる。
上記テトラアルコキシシランの縮合物は、任意の適切なテトラアルコキシシランを加水分解縮合することにより調製することができる。また、市販製品を用いてもよい。当該市販製品としては、例えば、三菱化学社製、商品名「MKCシリケートMS51」、「MKCシリケートMS56」、「MKCシリケートMS57」、「MKCシリケートMS60」(いずれもテトラメトキシシランの縮合物)、コルコート社製、商品名「エチルシリケート40」、「エチルシリケート48」(いずれもテトラエトキシシランの縮合物)が挙げられる。また、含有するアルキル基が異なるテトラアルコキシシランの縮合物の市販製品の例としては、例えば、三菱化学社製、商品名「MKCシリケートMS56B15」、「MKCシリケートMS56B30」、「MKCシリケートMS58B15」、「MKCシリケートMS56I30」、「MKCシリケートMS56F20」、コルコート社製、商品名「EMS−485」が挙げられる。
テトラアルコキシシランとその縮合物とを組み合わせて用いる場合には、含有するアルキル基が同一であってもよく、異なっていてもよい。含有するアルキル基が異なる場合の具体例としては、テトラメトキシシランの縮合物と、モノマーのテトラエトキシシランとを含む場合を挙げることができる。なお、モノマーのテトラアルコキシシランの配合量は、テトラアルコキシシランの縮合物100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
アルコキシシラン化合物は、有機基を有するアルコキシシランを含み得る。有機基を有するアルコキシシランは、少なくとも1つのSi−C結合を有する。好ましくは有機基を有するトリアルコキシシランである。このようなアルコキシシラン化合物が加水分解されることにより、上記有機基を有するポリヒドロキシシロキサンを含むアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンが得られるからである。なお、有機基については上記A−1項で説明したとおりである。
有機基を有するアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、スチリルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
有機基を有するアルコキシシランの使用量としては、テトラアルコキシシランおよびその縮合物の合計100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜10質量部である。
A−2−2.親水性有機溶媒
親水性有機溶媒としては、上記アルコキシシラン化合物を、その加水分解反応が進行する程度に溶解し得る限り、任意の適切なものを用いることができる。例えば、アルコール、グリコール、グリコールのエーテルまたはエステル、ケトン等が挙げられる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、R−O−(CHCH(R)O)−H(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、RはHまたはCHであり、mは1〜3の整数である。)、CH−O−(CHCH(R)O)−CH(式中、RはHまたはCHであり、lは1または2である。)、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が好ましく用いられ得る。親水性有機溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記親水性有機溶媒の水への溶解度(20℃)としては、好ましくは5g/100gHO以上、より好ましくは20g/100gHO以上、さらに好ましくは100g/100gHO以上である。このような溶解度を有する親水性有機溶媒を用いることにより、該親水性有機溶媒と水と水に対する溶解性が十分でないアルコキシシラン化合物とを含む系を均一化することができる。その結果、効率的にアルコキシシラン化合物の加水分解反応を進行させ得る。
上記親水性有機溶媒の使用量は、アルコキシシラン化合物を溶解し得る量以上であればよい。当該混合量は、例えばアルコキシシラン化合物の質量の0.5〜5倍、好ましくは0.5〜4倍、さらに好ましくは1〜4倍である。混合量が当該好適範囲にある場合、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン塩基性溶液の調製が容易であるという利点を有するからである。
A−2−3.水
上記水としては、任意の適切なものを用いることができる。例えば、水道水、イオン交換水、および純水が好ましく用いられる。
上記水の使用量は、アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上である。当該量の水を用いることにより、上記アルコキシシラン化合物の加水分解反応を十分に進行させ得る。その結果、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンを得ることができる。
上記水の使用量は、好ましくはアルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の20倍当量(モル)以下であり、より好ましくは10倍当量(モル)以下である。当該量の水を用いることにより、加水分解反応中におけるアルコキシシラン化合物またはその加水分解物の析出を防止し得るとともに、得られるポリヒドロキシシロキサンの貯蔵安定性を向上させ得る。
A−2−4.酸性触媒
上記酸性触媒としては、アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の加水分解反応に対して触媒作用を有するプロトン酸類やルイス酸類であれば、任意の適切なものを使用することができる。具体的には、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸;チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシドまたはキレート化合物;が挙げられる。触媒作用が適度であるので、生成したポリヒドロキシシロキサンの縮合が進行し難いからである。なかでも、アルミニウム触媒が好ましく用いられる。アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。
上記酸性触媒の使用量としては、アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の加水分解反応に対して触媒作用を発揮する量以上であればよい。具体的には、当該使用量は、上記アルコキシシラン化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
A−2−5.混合方法
混合方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、アルコキシシラン化合物と酸性触媒と親水性有機溶媒とを混合した混合液に、水を加える方法が用いられる。このような方法で混合することにより、得られる混合液の白濁、沈殿の生成、またはゲル化を防止し得る。水は、少量ずつ添加することが好ましく、滴下によって添加することがより好ましい。なお、混合中に副生成物として析出物等が生成する場合、濾過等の任意の適切な方法によって除去し、目視で濁りのない状態にすればよい。
上記混合液中においては、アルコキシシラン化合物の加水分解反応が進行することから、ポリヒドロキシシロキサンが生成する。加水分解反応の好適な条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。すなわち、反応温度は、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃である。水の添加が終了してからの反応時間は、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜8時間、さらに好ましくは2〜6時間である。当該条件で加水分解反応を行うことにより、加水分解反応を十分に進行させて目的のポリヒドロキシシロキサンを生成させ得ると共に、生成したポリヒドロキシシロキサン同士の縮合を抑制し得る。
A−2−6.アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液
上記混合により、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液が得られる。該溶液のpHは、通常3〜4である。なお、ポリヒドロキシシロキサンが実質的にアルコキシ基を有さないことは、例えば、核磁気共鳴分析(H−NMR)および/または赤外分光分析(IR)で、アルコキシ基に基づくピークが観察されないことにより確認することができる。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液は、ポリヒドロキシシロキサンと、親水性有機溶媒と、水と、触媒と、アルコキシ基が加水分解されて生じたアルコールとを含む。好ましい実施形態においては、該酸性溶液からアルコールや親水性有機溶媒を除去する。これらの除去方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。代表的には、除去すべきアルコールおよび親水性有機溶媒の沸点以上の温度に加熱し、系外に除去した量が所定量に達した段階で加熱を終えればよい。該除去は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
A−2−7.塩基への添加
塩基としては、任意の適切な塩基が用いられ得る。好ましくは水溶性の塩基である。なかでも、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のモノアミン類が好ましく、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミンがより好ましく、アンモニアがさらに好ましい。
塩基の使用量としては、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンが有するヒドロキシシリル基の1〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましく、3〜10モル%がさらに好ましい。このような使用量であれば、ヒドロキシシリル基が残存する状態でアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得ることができる。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液の塩基への添加は、少量ずつ行うことが好ましく、滴下によって行うことがより好ましい。このように酸性溶液を塩基に徐々に添加することで、不安定な状態となるpH5〜7を実質的に経ることなく、塩基性溶液を調製し得る。中和熱の影響を避けるために、好ましくは冷却条件下で添加を行う。取り扱いを容易にする観点から、塩基は水溶液としておくことが好ましい。塩基水溶液の量は、得られるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液中のアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン濃度を5〜25質量%にし得る量が好ましい。代表的には、添加するアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液と同量程度である。塩基性溶液中におけるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン濃度が5質量%未満であると、粘度が低くて塗料として用いることができない場合がある。該濃度が25質量%を超えると、ゲル化により製造できない場合がある。
A−3.アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の第2の調製方法
第2の調製方法は、アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加する方法である。該添加により、アルコキシシラン化合物が加水分解されて、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液が得られる。
A−3−1.アルコキシシラン化合物
アルコキシシラン化合物としては、上記A−2−1項で説明したアルコキシシラン化合物が使用され得る。また、有機基を有するアルコキシシランを含み得ることについても、上記A−2−1項で説明した内容が適用される。
A−3−2.塩基性触媒
塩基性触媒としては、水溶性の塩基性化合物であれば任意の適切なものが用いられ得る。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物類;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン等のアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン類;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアミノアルコール類;ピリジン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のアミノ基を有するその他の有機化合物類等が挙げられる。上記アミン類はモノアミン類であることが好ましい。また、上記有機基を有するアルコキシシランとして、アミノ基を置換基として有するものを用いる場合、これらは塩基性化合物であるため、塩基性触媒としても機能し得る。これらの塩基性触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のとおり、アルコキシシラン化合物の加水分解反応は、塩基性触媒を含む溶媒中で行われる。その際、塩基性触媒は、後述する、水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に溶解して使用される。塩基性触媒の使用量は、触媒の有する塩基性の程度(pKb)によって決定され、代表的には、アルコキシシラン化合物を添加する前のpHが9〜11の範囲内になるように調整される。
A−3−3.水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒
第2の調製方法で使用される溶媒としては、水または水と親水性有機溶媒との混合液が用いられる。溶媒として水を用いた場合は、アルコキシシラン化合物の加水分解反応が速いという利点がある。一方、溶媒として水と親水性有機溶媒との混合液を用いた場合は、水への溶解度が十分でないテトラアルコキシシランの縮合物を溶解し易いという利点がある。親水性有機溶媒としては、上記A−2−2項で説明したものが利用可能である。
水はアルコキシシラン化合物の加水分解に使用される。そのため、水の使用量は、アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上である必要がある。水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合、水の比率を50質量%以上とし、水と親水性有機溶媒との混合溶媒の使用量を、得られるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液中のアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン濃度を5〜25質量%にし得る量とすれば、必然的に水の使用量はアルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上となる。
A−3−4. 添加方法
上記アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加することにより、アルコキシシラン化合物の加水分解反応が進行する。添加時間は、2時間以内であることが好ましい。添加方法は、全量を一挙に添加してもよく、所定の時間で連続的に添加してもよく、少量ずつを分割して添加してもよい。アルコキシ化合物がテトラアルコキシシランの縮合物を含む場合、アルコキシシラン化合物を親水性有機溶媒に溶解した溶液として添加することが好ましい。加水分解反応が穏やかに進行するからである。なお、混合中に副生成物として析出物等が生成する場合、上記A−2−5項と同様、濾過等の任意の適切な方法によって除去し、目視で濁りのない状態にすればよい。
アルコキシシラン化合物の添加時の反応温度および反応時間は、上記A−2−5項における反応温度および反応時間の記載内容が適用される。
B.水性有機バインダー
水性有機バインダーとしては、任意の適切な水性有機バインダーが用いられる。好ましくはアニオン性またはノニオン性の水性有機バインダーが用いられる。ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と混合した際に、安定な無機有機複合コーティング組成物を構成し得るからである。水性有機バインダーは、ポリヒドロキシシロキサンとの反応点(例えば、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、水酸基)を有していてもよく、有していなくてもよい。また、重合性二重結合またはエポキシ基を含んでもよい。
水性有機バインダーは、例えば、水分散性樹脂または水溶性樹脂であり得る。当該水分散性樹脂として、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等を挙げることができる。これらは好ましくは水分散性付与基を有するものである。水分散性付与基としては、アミノ基等のカチオン性基;カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等のアニオン性基;ポリエーテル基等のノニオン性基が挙げられる。
水分散性樹脂のなかでも、耐久性、光沢、コスト、樹脂設計の自由度等に優れることから、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル系単量体と、アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられ得る。
アクリル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブロビル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド含有(メタ)アクリル系単量体;アクリロニトリル等のニトリル基含有(メタ)アクリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体等を挙げることができる。上記単量体を1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル単量体;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン等の塩素含有単量体;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル等の水酸基含有アルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル等のアルキレングリコールモノアリルエーテル類;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル等を挙げることができる。上記単量体を1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水分散性樹脂の体積平均粒子径は、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは20〜500nmであり、さらに好ましくは50〜200nmである。水分散性樹脂の体積平均粒子径は、レーザー光散乱法等によって測定することができる。
水分散性樹脂は、任意の適切な調製方法によって調製される。代表的な調製方法としては、乳化重合および後乳化が挙げられる。乳化重合により調製する場合には、バッチ重合、モノマー滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の方法に加えて、平均粒子径5〜500nmのミニエマルション重合法を用いることも可能である。重合に用いる乳化剤および重合開始剤としては、任意の適切なものを用いることができる。上記好ましい粒径範囲の上限を上回ると得られる塗料の安定性が悪化する場合があり好ましくない。一方、上記好ましい粒径範囲の下限を下回るものは製造が困難である。
後乳化は、水分散性付与基がカチオン性基(例えば、アミノ基)およびアニオン性基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基)である場合には、任意の適切な有機溶媒中で溶液重合した樹脂に、水および中和剤を加えて混合攪拌することによって行われ得る。水分散性付与基がノニオン性基(例えば、ポリオキシエチレン基)である場合には、樹脂に水を加えて混合攪拌することによって行われ得る。後乳化においては、必要に応じて乳化剤を併用し得る。
有機バインダーが乳化重合によって調製された水分散性樹脂である場合、得られる無機有機複合コーティング組成物においては、ポリヒドロキシシロキサン溶液中に水分散性樹脂が分散した状態となる。このような状態の無機有機複合コーティング組成物をコーティングすることにより、有機バインダーから形成された部分がポリヒドロキシシロキサンから形成された部分により隔てられているコーティング膜が得られる。1つの実施形態においては、ポリヒドロキシシロキサンから形成された無機マトリックス中に有機バインダーから形成された部分(有機部分)が分散した、いわゆる海‐島構造を有するコーティング膜が得られる。当該コーティング膜から有機部分を除去することにより、多孔質かつ硬質の、いわゆる蜂の巣状無機コーティング膜が得られる。なお、有機部分の除去方法としては、任意の適切な方法(例えば、溶媒抽出、プラズマ照射)が採用され得る。
水溶性樹脂としては、例えば、親水性基(例えば、アミド基、ポリオキシエチレン基等)を有し、樹脂自体が水溶性であるアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド化合物が好ましい。また、上記水分散性樹脂において、水分散性付与基(カチオン性基、アニオン性基およびノニオン性基)の量を増加させ、カチオン性基およびアニオン性基の場合はこれを中和することにより、水溶性を付与し、水溶性樹脂として用いることができる。
水溶性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
水溶性樹脂の硬化前の数平均分子量(Mn)は、好ましくは200〜200,000である。数平均分子量(Mn)が200未満である場合、加熱硬化時の揮散、塗膜の硬度の低下、塗料の硬化性の低下によって塗膜の耐溶剤性、耐水性や耐候性が低下する場合がある。数平均分子量(Mn)が200,000を超える場合、有機バインダー自体の粘度が高くなり、塗布する際の希釈された塗料中の溶媒や水の含有量が多量になる場合がある。なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
水性有機バインダーの不揮発分濃度(NV)は、好ましくは20〜70質量%であり、より好ましくは25〜60質量%である。
水性有機バインダーのNVを30質量%に調整した場合、粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度は、好ましくは5〜60秒、より好ましくは7〜30秒である。
水性有機バインダーとしては、市販の水分散性樹脂または水溶性樹脂を用いることができる。このような市販製品としては、三井化学ポリウレタン社製 商品名「タケラック W−635」、EMS−PRIMD社製 商品名「PRIMD XL−552」、Bayer MaterialScience AG社製 商品名「バイヒドロールXP2470」等が挙げられる。
無機有機複合コーティング組成物中における水性有機バインダーの含有量は、(A)アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と(B)水性有機バインダーとの配合比[(A)/(B):不揮発分(質量)]が、1/9〜9/1となる量が好ましく、1/9〜8/2となる量がより好ましく、1/9〜7/3となる量がさらに好ましい。1/9以上の配合比[(A)/(B):不揮発分(質量)]である場合、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの含有量が増加するので、十分な硬度を有するコーティング膜を得ることができる。また、9/1以下の配合比[(A)/(B):不揮発分(質量)]である場合、水性有機バインダーの含有量が増加するので、十分な膜厚を有するコーティング膜を得ることができる。
C.非イオン性粘性調整剤
非イオン性粘性調整剤としては、任意の適切なものが用いられ得る。一般的には、官能基の相互作用を利用したものや鉱物由来のもの等がよく知られている。具体的には、例えば、ポリエーテルポリオール系ウレタンプレポリマー等のウレタン系粘性調整剤、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系粘性調整剤、モンモリロナイト、ベントナイト、クレイ等の層状化合物系粘性調整剤、その他のものとして疎水変性エトキシレートアミノプラスト系粘性調整剤が挙げられる。粘性調整剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、層状化合物は微視的に分散していると見なし、本明細書では非イオン性に属するものとする。
非イオン性粘性調整剤としては、市販されているものを使用し得る。好ましい市販製品としては、ウレタン系粘性調整剤として商品名「アデカノールUH−814N」(ADEKA社製 ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマー)、セルロース系粘性調整剤として商品名「HECダイセルSP600N」(ダイセル化学工業社製 ヒドロキシエチルセルロース)、層状化合物系粘性調整剤として商品名「BENTONE HD」(エレメンティスジャパン社製)、疎水変性エトキシレートアミノプラスト系粘性調整剤として商品名「Optiflo H600VF」(ロックウッドアディティブズ社製)等が挙げられる。
無機有機複合コーティング組成物中における非イオン性粘性調整剤の含有量は、水性有機バインダーの不揮発分100質量部に対して、好ましくは0.1〜25質量部であり、より好ましくは0.3〜15質量部、さらに好ましくは0.3〜5質量部である。含有量が0.1質量部未満であると、塗料に必要な粘性が得られない場合がある。
D.その他の成分
無機有機複合コーティング組成物は、さらに任意の適切なその他の成分を混合し得る。その他の成分としては、例えば、硬化剤、艶消し剤、顔料、表面調整剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、光安定剤(例えば、HALS)、酸化防止剤が挙げられる。
硬化剤としては、任意の適切なものが用いられ得る。具体的には、例えば、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート、エポキシ樹脂等が挙げられる。硬化剤の含有量は、目的に応じて適切に設定され得る。硬化剤の含有量は、通常、無機有機複合コーティング組成物中の不揮発分100質量部に対して、0.1〜30質量部である。
E.製造方法
本発明の無機有機複合コーティング組成物は、上記の各成分を混合することにより製造される。混合手段としては、ディスパー等の任意の適切な手段を採用し得る。
〔無機有機複合コーティング組成物の製造方法〕
別の局面において、本発明は、無機有機複合コーティング組成物の製造方法を提供する。無機有機複合コーティング組成物は、上記(A)アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、(B)水性有機バインダーと、(C)非イオン性粘性調整剤とを混合することにより製造することができる。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製方法として、上記調製方法1を採用する場合、本発明の製造方法は、アルコキシシラン化合物、親水性有機溶媒、該アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上の水、および、酸性触媒を混合することにより、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を得る工程、得られたアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を塩基に添加して、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得る工程、および、得られたアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを混合する工程を含む。
アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製方法として、上記調製方法2を採用する場合、本発明の製造方法は、アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加することにより、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得る工程、および、得られたアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを混合する工程を含む。
〔無機有機複合コーティング膜〕
別の局面において、本発明は、無機有機複合コーティング膜を提供する。該コーティング膜は、上記無機有機複合コーティング組成物から形成される。
無機有機複合コーティング膜は、上記無機有機複合コーティング組成物を任意の適切な被塗装物に対し、任意の適切な方法で塗布することにより、形成される。塗布方法としては、例えば、ドクターブレード法、バーコーター法、スプレー法等の種々の方法が適用できる。なかでも、上記好ましい不揮発分濃度と粘度とを満たす無機有機複合コーティング組成物は、スプレー法による塗布に好適である。
塗布により得られる無機有機複合コーティング膜を加熱硬化させてもよい。加熱硬化させることで、コーティング膜の物性および諸性能が向上し得る。加熱温度は、無機有機複合コーティング組成物の種類に応じて適宜設定し得る。一般的には40〜180℃に設定されることが好ましい。加熱時間は加熱温度に応じて任意に設定し得る。
無機有機複合コーティング膜の膜厚は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり得る。膜厚は、用途等に応じて任意の適切な値に設定され得る。また、無機有機複合コーティング膜の鉛筆硬度は、好ましくはB以上である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。
実施例で行った各測定の測定条件を以下に示す。
<アルコキシ基の有無の確認>
IR分析:アルコキシ基のC−H伸縮に基づくピーク(SiOMeの場合は2846〜2849cm−1付近)を観察した。
上記アルコキシ基に基づくピークが認められない場合は「無」と評価し、認められる場合は「有」と評価した。
<不揮発分濃度(NV)の測定>
試料(約1g)の重量を測定後、乾燥させた。次いで、乾燥後の試料の重量を測定した。乾燥後の試料の重量を乾燥前の試料の重量で除して100を乗じた値を不揮発分濃度(%)とした。試料がポリヒドロキシシロキサン溶液である場合は、140℃で10分間乾燥させた。試料が無機有機複合コーティング組成物である場合は、150℃で1時間乾燥させた。
<粘度の測定>
粘度カップNK‐2(アネスト岩田社製)を用いて25℃で行った。
<コーティング膜の硬度(鉛筆硬度)の測定>
コーティング膜の鉛筆硬度を、JIS−K−5600−5−4に準拠して測定した。
[製造例1−1]調製方法1によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製1
1Lコルベンに、商品名「MKCシリケートMS51」(三菱化学社製 テトラメトキシシランの縮合物(平均縮合度:5) SiO含有量:51%)142部、商品名「アルミキレートD」(川研ファイン社製 アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)・イソプロパノール溶液、固形分76%)5.8部、商品名「エキネンF6」(日本アルコール販売社製 エタノールとメタノールの混合物(EtOH/MeOH=89/11))323部を仕込み、攪拌しながら40℃に加温した。得られた混合液にイオン交換水530部を2時間で滴下し、さらに2時間40℃で攪拌した後、室温まで冷却することにより、ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を得た。次いで、該アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液にイオン交換水418部を添加した後、全量が1000部になるまで減圧濃縮によりアルコール成分を除去した。25%アンモニア水11部をイオン交換水989部に溶解させ、希釈アンモニア水を得た。この希釈アンモニア水に減圧濃縮したアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を室温下約30分で滴下した。これにより、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例1−2]調製方法1によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製2
142部のMKCシリケートMS51を用いるかわりに、134.9部のMKCシリケートMS51と6部の3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの混合物を用いた以外は製造例1−1と同様にして、アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例2−1]調製方法2によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製1
1Lコルベンにイオン交換水835.9部と25%アンモニア水9.7部を仕込み、混合した。得られた溶液を攪拌しながら水冷し、溶液の温度が26℃になったところで、テトラメトキシシラン152部を約3分で滴下した。液温が約40℃まで上昇したが、そのまま1時間攪拌を続けた。得られた溶液をろ紙(アドバンテック東洋社製 No.2定性ろ紙)でろ過して無色透明なポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例2−2]調製方法2によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製2
100mLコルベンにイオン交換水75.1部、25%アンモニア水1.2部を仕込み、攪拌した。得られた溶液にテトラメトキシシラン13.7部を約3分で滴下した。1時間攪拌したあと、ビニルトリメトキシシラン0.67部とメタノール0.67部の混合溶液を滴下した。滴下後、さらに1.5時間攪拌し、得られた溶液をろ紙(アドバンテック東洋社製 No.2定性ろ紙)でろ過して無色透明なポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例2−3]調製方法2によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製3
100mLコルベンにイオン交換水83.4部、25%アンモニア水1.4部を仕込み、攪拌した。得られた溶液にテトラメトキシシラン15.2部とビニルトリメトキシシラン0.74部とメタノール0.74部の混合溶液を約3分で滴下した。滴下後、3時間攪拌し、得られた溶液をろ紙(アドバンテック東洋社製 No.2定性ろ紙)でろ過して無色透明なポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例2−4]調製方法2によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製4
100mLコルベンにイオン交換水32.9部、メタノール16.5部、25%アンモニア水1.4部を仕込み、攪拌した。得られた溶液にMKCシリケートMS51 10部とメタノール10部の混合溶液を約25分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、得られた溶液をろ紙(アドバンテック東洋社製 No.2定性ろ紙)でろ過して無色透明なポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例2−5]調製方法2によるアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液の調製5
100mLコルベンにイオン交換水32.9部、25%アンモニア水1.4部を仕込み、攪拌した。得られた溶液にMKCシリケートMS51 9.5部とビニルトリメトキシシラン0.5部とメタノール10部の混合溶液を20分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、得られた溶液をろ紙(アドバンテック東洋社製 No.2定性ろ紙)でろ過して無色透明なポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得た。
[製造例3]アルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液の調製
反応容器中にMKCシリケートMS51 1224部、アルミキレートD 49.9部、および、エキネンF6 3279.8部を添加した。得られた混合物を40℃で撹拌しながら、さらに該反応容器にイオン交換水 4592.2部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた混合物を40℃で2時間撹拌した。これにより、ポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を得た。
上記製造例で得られた8種類のアルコキシ基非含有ポリヒドロキシシロキサン溶液のアルコキシ(OR)基の有無、不揮発分濃度、pH、および粘度を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2009114277
[水性有機バインダー]
水性有機バインダーとして、以下のものを用いた。
・アニオンエマルション:
サイデン化学社製、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=50/49/1(不揮発分質量比)、平均粒子径:100nm、pH:9.0、中和剤:アンモニア水、不揮発分濃度:50%
・ノニオンディスパージョン:
三井化学ポリウレタン社製 商品名「タケラック W−635」(ウレタンディスパージョン)、不揮発分濃度:35.8%
・アニオンディスパージョン:
Bayer MaterialScience AG社製、商品名「バイヒドロールXP2470」(アクリルポリオール)、不揮発分濃度:45%
・アニオン水溶性樹脂:
アクリルポリオール(水酸基価:140 酸価:114 ガラス転移温度(Tg):50℃)、pH:7.4、中和剤:アンモニア水、不揮発分濃度:30%
不揮発分濃度を30質量%に調整した上記水性有機バインダーの粘度と、該水性有機バインダー(NV=30質量%)単独で形成したコーティング膜(乾燥膜厚:5μm)の鉛筆硬度を表2に示す。
Figure 2009114277
[粘性調整剤]
粘性調整剤として、以下のものを用いた。
・ウレタン系非イオン性粘性調整剤:
アデカノールUH−814N(ADEKA社製 ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマー 濃度:30質量%)をブチルセロソルブで希釈して得た18質量%の溶液
・疎水変性エトキシレートアミノプラスト非イオン性粘性調整剤
商品名「Optiflo H600VF」(ロックウッドアディティブズ社製 濃度:15質量%)
・セルロース系非イオン性粘性調整剤
商品名「HECダイセルSP600N」(ダイセル化学工業社製 ヒドロキシエチルセルロース、粉体)の3質量%水溶液53.3gに0.03gの25%アンモニア水を添加して得た3質量%の溶液
・層状化合物系非イオン性粘性調整剤
商品名「BENTONE HD」(エレメンティスジャパン社製、無機、固体)の3質量%水分散体
・アニオン性粘性調整剤
商品名「プライマル ASE‐60」(ローム・アンド・ハース・ジャパン社製、濃度:28質量%)を水で希釈して得た14質量%の溶液
[実施例1〜14]
表3〜5に記載の配合で成分(A)〜(C)およびその他の成分を混合することにより、無機有機複合コーティング組成物1〜14を得た。混合途中において、成分(C)以外の成分を含む組成物の粘度を測定した。また、得られた無機有機複合コーティング組成物の不揮発分濃度および粘度を測定した。さらに、無機有機複合コーティング組成物の混合安定性および貯蔵安定性を以下のようにして評価した。結果を表3〜5に示す。
<混合安定性>
無機有機複合コーティング組成物の調製時において、問題がなければ○と判定した。
<貯蔵安定性>
無機有機複合コーティング組成物を調製し、2週間室温で放置した後、以下の判定基準に従って該コーティング組成物の状態を目視で判定した。
○:コーティング組成物に状態変化が観察されない
×:コーティング組成物に状態変化(粘度上昇、沈降、分離、析出物発生の有無等)が観察される
混合安定性を評価した後の無機有機複合コーティング組成物1〜14を被塗装物(ブリキ板およびガラス板)に乾燥膜厚が20μmになるようスプレーを用いて塗装を行った。この際、塗装作業性を以下のようにして評価した。塗装後、100℃、10分の乾燥処理を行うことにより、無機有機複合コーティング膜を得た。得られた無機有機複合コーティング膜について、外観(目視)および鉛筆硬度を調べた。外観および鉛筆硬度は、ガラス板に塗装したコーティング膜について測定した。結果を表3〜5に示す。
<塗装作業性>
被塗装物に対するスプレー塗装が可能であり、塗装後の塗膜に問題がない場合を○と判定した。また、被塗装物に対するスプレー塗装ができないか、または、塗装後の塗膜に問題(タレ、液ヨリ(塗装面積よりも乾燥後の塗膜面積が小さくなる現象))が認められる場合を×と判定した。
Figure 2009114277
Figure 2009114277
Figure 2009114277
表3〜5に示されるとおり、本発明の無機有機複合コーティング組成物は、貯蔵安定性および塗装作業性に優れる。さらに、本発明の無機有機複合コーティング組成物によれば、無機性材料と有機性材料の混合安定性が高いので、十分な膜厚と硬度とを有し、透明性または艶消し性に優れた無機有機複合コーティング膜を得ることができる。
[比較例1〜6]
表6に記載の配合で各成分を混合することにより、比較コーティング組成物1〜6を得た。混合途中において、成分(C)以外の成分を含む組成物の粘度を測定した。また、得られた無機有機複合コーティング組成物の不揮発分濃度および粘度を測定した。さらに、混合安定性および貯蔵安定性を実施例と同様にして評価した。結果を表6に示す。
混合安定性を評価した後の比較コーティング組成物1〜6を、被塗装物(ブリキ板およびガラス板)に乾燥膜厚が20μmになるようスプレーを用いて塗装を行った。この際、塗装作業性を実施例と同様にして評価した。塗装後、100℃、10分の乾燥処理を行うことにより、無機有機複合コーティング膜を得た。得られた無機有機複合コーティング膜について、実施例と同様にして、外観(目視)および鉛筆硬度を調べた。結果を表6に示す。
Figure 2009114277
表6において、比較例1では、(C)成分の粘性調整剤を含んでいないため、塗装に適した粘性が得られなかった。その結果、タレが発生し、塗装作業性が十分でなかった。比較例2、3では、混合安定性は問題なかったが、貯蔵安定性に劣っていた。比較例4では、混合物がゲル化し、コーティング組成物を調製することができなかった。これらは、酸性のポリヒドロキシシロキサンとアニオン性有機バインダーとを混合したためと考えられる。比較例5では、塗膜が白濁した。これは、アニオン性の粘性調整剤と塩基性のポリヒドロキシシロキサンとの間に中和反応が生じたためと考えられる。比較例6では、混合時にブツ(析出物)が発生し、コーティング組成物を調製することができなかった。これは、酸性のポリヒドロキシシロキサンと塩基性であるヒンダードアミン系光安定化剤とを混合したためと考えられる。このように、比較コーティング組成物1〜6はいずれも、貯蔵安定性、塗装作業性等に問題がある。また、比較コーティング組成物によれば、透明性または艶消し性に優れたコーティング膜を得ることが困難である。
本発明の無機有機複合コーティング組成物は、無機性材料の特性と有機性材料の特性とを両立することから、塗料の分野で好適に用いられ得る。

Claims (9)

  1. (A)アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、
    (B)水性有機バインダーと、
    (C)非イオン性粘性調整剤と
    を含む、無機有機複合コーティング組成物。
  2. 前記無機有機複合コーティング組成物の不揮発分濃度が、5〜50質量%であり、粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度が14〜60秒である、請求項1に記載の無機有機複合コーティング組成物。
  3. 前記無機有機複合コーティング組成物から、(C)非イオン性粘性調整剤を除いた組成物の粘度カップNK‐2を用いて25℃で測定した粘度が13秒以下である、請求項2に記載の無機有機複合コーティング組成物。
  4. 前記(A)ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液が、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を塩基に加えて得られる溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の無機有機複合コーティング組成物。
  5. 前記(A)ポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液が、アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加して得られる溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の無機有機複合コーティング組成物。
  6. 前記(B)水性有機バインダーが、アニオン性またはノニオン性である、請求項1〜5のいずれかに記載の無機有機複合コーティング組成物。
  7. アルコキシシラン化合物、親水性有機溶媒、該アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基の当量(モル)以上の水、および、酸性触媒を混合することにより、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を得る工程、
    該アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの酸性溶液を塩基に添加して、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得る工程、および、
    該アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを混合する工程
    を含む、無機有機複合コーティング組成物の製造方法。
  8. アルコキシシラン化合物を、塩基性触媒を含む水または水と親水性有機溶媒との混合溶媒中に添加して、アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液を得る工程、および、
    該アルコキシ基を実質的に有さないポリヒドロキシシロキサンの塩基性溶液と、水性有機バインダーと、非イオン性粘性調整剤とを混合する工程
    を含む、無機有機複合コーティング組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の無機有機複合コーティング組成物から形成される、無機有機複合コーティング膜。
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