JP2009138028A - 保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤及びその製造方法 - Google Patents

保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤及びその製造方法 Download PDF

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正則 金山
Fumiyoshi Ishii
文由 石井
Yuuko Wada
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Abstract

【課題】油状溶剤中にカテキンを溶解させ、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まず、しかも、保存安定性に優れており、これによって飲食物、化粧料、医薬品等の多くの分野において抗酸化あるいは保存性向上の目的での用途に、また、その製造原料として有用な油状液体のカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】油脂および水溶性有機溶媒の混合液中にカテキンを溶解し、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まない、保存安定性に優れたカテキン製剤。また、カテキンと水溶性有機溶媒とを混合し、超音波を用いて均一に溶解させてから、得られた溶解液と油脂を混合し、均一に溶解させて製造するカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法である。
【選択図】図1

Description

この発明は、保存安定性(抗菌性)に優れたカテキン製剤の技術分野に属し、特に乳化剤等の界面活性成分を実質的に含まず、優れた保存安定性を有し、飲食物、化粧料(化粧品又はその材料)、医薬品、産業燃料、潤滑油や塗料等の工業製品等の多くの分野において抗酸化あるいは保存性向上を目的とする用途に使用でき、それらの製造原料としても有用なカテキンを含有する油状液体の製剤に関する。
カテキンは緑茶や赤ワイン等に含まれる、植物由来のポリフェノールの一種で、その中でもフラボン骨格を持つフラボノイドであり、渋みの元になる成分である。カテキンは約20種類にも分類され、代表的なものとしてカテキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(Cg)、エピカテキンガレート(ECg)・ガロカテキンガレート(GCg)・エピガロカテキンガレート(EGCg)等の物質が知られている。
上記のようなカテキンについては、生体内および生体外での抗酸化効果が他の抗酸化物質と比較しても非常に高いことが知られている。その抗酸化能はラジカル補足作用に起因すると考えられており、体内の活性酸素を除去することが、参考文献:Buttemeyer R. Philipp AW. Schlenzka L, Mall JW, Beissenhirtz M, Lisdat F Epigallocatechin gallate can significantly decrease free exygen radicals in the reperfusion injury in vivo. Transplant Proc. 35,3116-3120 (2003)他に記載されている。また、静菌、殺菌作用があることから抗菌剤として有用であることが、参考文献:Different susceptibilities of Staphylococcus and Gram-negative rods to epigallocatechin gallate J Infect Chemother 10,55-58 (2004)に報告されており、飲食物、化粧料、医薬品等の多くの用途への応用が期待されている。
しかしながら、上記のような効果を持つカテキンは、分子内に複数のフェノール性水酸基を有することから、その多くが水性溶剤に易溶性であって油状溶剤に難溶性である。また、水中に溶存する酸素や空気中の酸素により容易に酸化されて比較的不安定であり、水性溶剤に溶解した際には期待される活性酸素除去作用等の種々の有用な作用が低下するほか、酸化に伴って変色する等、その保存安定性に欠ける。また、油状溶剤に難溶性であるため、結果として、水性溶剤又は油状溶剤に溶解して液体状態で取り扱うことが困難であり、飲食物、化粧料、医薬品等へ応用する上で大きな障害になっている。
ところで、上記のようなカテキンを、油状溶剤を用いて油状液体製剤に製剤化する技術に関しては、幾つかの提案がされている。例えば、下記の特許文献1〜3には、カテキンや茶葉抽出物を、乳化剤を用いて乳化物とし、油状溶液等(油状液体製剤)として製造する技術が開示されている。
しかしながら、下記の特許文献1〜3に開示された油状液体製剤は、その何れも油状溶剤中に乳化剤等の界面活性成分が多量に溶解しており、そのままで飲食物、化粧料、医薬品等として使用するものであるが、乳化剤等の界面活性成分は、生体に対しては皮膚刺激性や細胞毒性を有し、皮膚の炎症を誘発させることが多々ある(参考文献:Effendy I, Maibach HI. Surfactants and experimental irritant contact dermatitis. Contact Dermatitis. 33, 217-25.(1995))。また、環境に対する汚染の問題も懸念される(参考文献:Cserhati T, Forgacs E, Oros G. Biological activity and environmental impact of anionic surfactants. Environ Int. 28, 337-48.(2002))。
よって現在では、生体及び環境への安全性を考慮し、特に飲食物や化粧品などの分野では界面活性剤を用いない、いわゆる「界面活性剤フリー」の商品の開発が望まれている。
特許第3463308号(特開平6−279758号)公報 特開2000−204370号公報 特開2002−142673号公報
本発明者らは、油状溶剤中にカテキンを溶解させ、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まず、しかも保存安定性に優れた油状液体のカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤を製造することについて鋭意研究した結果、意外なことに、溶解補助剤として水溶性有機溶媒を用い、カテキンと水溶性有機溶媒を混合し、超音波を用いて均一に溶解した後、得られた溶解液と油脂を混合し、水溶性有機溶媒が揮発しないように密閉した状態で、迅速に均一に溶解させることにより、たとえ乳化剤等の界面活性成分が存在しなくても、油脂中に水溶性のカテキンが溶解することを見い出した。こうして得られた製剤中では、カテキンの保存安定性が向上することを見い出して、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的は、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まず、しかも保存安定性に優れており、飲食物、化粧料、医薬品等の多くの分野における抗酸化あるいは保存性向上を目的とする用途に使用でき、また、その製造原料としても有用な、油状液体のカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まず、しかも保存安定性に優れており、飲食物、化粧料、医薬品等の多くの分野において抗酸化あるいは保存性向上を目的とする用途に使用でき、また、その製造原料としても有用な油状液体のカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤を製造する方法を提供することにある。
請求項1に記載した発明に係る保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤は、
油脂と水溶性有機溶媒とカテキンを、三成分系図で特定される溶解領域の混合比率となるように、油脂および水溶性有機溶媒の混合液中にカテキンを溶解した、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まないことを特徴とする。
また、請求項6に記載した発明に係るカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法は、
油脂と水溶性有機溶媒とカテキンを、三成分系図で特定される溶解領域の混合比率となるように、カテキンと水溶性有機溶媒とを混合し、超音波を用いて均一に溶解させ、得られた溶解液と油脂を混合し、密閉した状態で迅速に均一に溶解させて製造することを特徴とする。
本発明において、原料として用いるカテキンは、特に限定されない。しかし、本発明の製法が、油状溶剤に対して比較的難溶性であって保存安定性に欠け、抗酸化作用および抗菌作用を併せ持つ緑茶カテキンの製剤化に有用であることから、好適なものとしては、例えばカテキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(Cg)、エピカテキンガレート(ECg)・ガロカテキンガレート(GCg)・エピガロカテキンガレート(EGCg)等を挙げることができる。
上記のカテキンについては、それが単一の物質からなるものであっても、また、複数の物質の混合物であってもよい。カテキンは、種々な用途の製造原料用の油状液体製剤の原料として用いられるものであることから、単一の物質からなるものとしては、好ましくは、エピガロカテキンガレード(EGCg)がよい。その理由は、緑茶中のカテキンのなかに占める容量が最も大きく、強力な抗酸化効果を有し、また、抗菌作用や殺菌作用を有すること等も報告されており、今日その用途が注目されているからである。また、複数の物質の混合物からなるものでは、好ましくは、緑茶から抽出されて、ポリフェノールとして50〜100%を含有し、総カテキンとして30〜100%含有したエキスがよい。
次に、油状溶剤として用いる油脂についても、特に制限されるものではない。ここで油状溶剤とは水と任意に混合しないものを指す。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、炭化水素、エステル等を挙げることができる。
これらの油脂については、それが単一の物質からなるものであってもよく、また、複数の物質の混合物であってもよいが、種々の用途の製造原料用の油性液体製剤として用いられることから、本発明者らの研究によれば、水溶性有機溶媒に対して比較的優れた溶解性を示し、酸化安定性や低温安定性に優れ、無色無臭であって飲食物、化粧料、医薬品等の幅広い用途に使用が許可されていることから、好ましくは中鎖脂肪酸トリグリセリド、あるいはこの中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とする脂肪酸トリグリセリドがよい。ここでいう中鎖脂肪酸トリグリセリドとは、炭素数8〜12の脂肪酸トリグリセリドであり、特に炭素数8〜10の飽和脂肪酸トリグリセリドであるのがよい。また、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、その炭素数が特定された単一成分のものであってもよく、炭素数の異なる複数成分の混合物であってもよい。
次に、溶剤として用いる水溶性有機溶媒についても、特に限定されるものではないが、好適なものとして、アルコール類、フェノール類、カルボニル化合物等を挙げることができる。
これらの水溶性有機溶媒についてはそれが単一の物質からなるものであっても、また、複数の物質の混合物であってもよいが、種々の用途の製造原料用の油性液体製剤として用いられることから、本発明者らの研究によれば、油脂に対して比較的優れた溶解性を示し、飲食物、化粧料、医薬品等の幅広い用途に使用が許可されていることから、好ましくはエタノール、あるいはこのエタノールを主成分とする混合溶媒がよい。
請求項1の発明において、「油脂および水溶性有機溶媒の混合液中にカテキンを溶解した」と云う場合の「溶解」とは、例えば15×100倍程度の通常の光学顕微鏡で観察してカテキンの粒子が実質的に観察されず、肉眼で観察して透明な状態をいい、溶質分子が溶媒中に均等に分散して均一な系を形成している状態を指す。
また、請求項1の発明において、「実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まない」とは、少なくとも本発明のカテキン製剤に意識的に添加される乳化剤等の界面活性成分が無いという意味である。これらの構成成分中に不可避的に入り込んでくる成分、例えば脂肪酸トリグリセリドやカテキンの製造過程で分離精製しきれずに残存し、あるいは混入してくる界面活性成分等は含まれていてもよい。前記含まれても良い成分を具体的に云えば、脂肪酸トリグリセリドの製造過程でこの脂肪酸トリグリセリド中に残存し、あるいは混入してくるグリセリン、脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル等、及びカテキンの製造過程でこのカテキンに残存し、あるいは混入してくるタンパク、炭水化物等の成分を例示することができる。
次に、請求項1〜5の発明に係るカテキン製剤の一例を示すと、例えば中鎖脂肪酸トリグリセリド又は中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とする脂肪酸トリグリセリドとエタノールの混合液中に、カテキンとしてエピガロカテキンガレート(EGCg)又は緑茶から抽出された粗カテキンが溶解している油状液体製剤を挙げることができる。
請求項6の発明に係るカテキン製剤の製造方法は、溶解補助剤として水溶性有機溶媒を用い、具体的にはカテキンと水溶性有機溶媒とを混合し、超音波を用いて均一に溶解させた後、得られた溶解液と油脂を混合し、水溶性有機溶媒が揮発しないように密閉した状態で、迅速に均一に溶解させて製造することが特徴である。
上記カテキンと水溶性有機溶媒、油脂の混合比率は、基本的には水溶性有機溶媒の濃度が高くなればなるほど溶解できるカテキンの濃度も増加し、反対に、水溶性有機溶媒濃度が低くなればなるほどカテキンの溶解性が低下するが、カテキンが懸濁あるいは析出せず均一に溶解するための混合比率は、後述する三成分系図に見るとおり限られている。
その混合比率の範囲は、例えば、カテキンとしてエピガロカテキンガレート(EGCg)粉末(太陽化学株式会社製商品名:サンフェノンEGCg)、水溶性有機溶媒としてエタノール(ナカライテスク社製)、油脂として中鎖脂肪酸トリグリセリド(Cognis社製商品名:DELIOS888、C8体含有量99wt%以上)を用いた場合に、下記図1の三成分系図(三成分系図とは、正三角形座標で、三成分の濃度比率を表したもので、三角形の頂点が各々の成分100%の点であり、座標中の1点は、その点から各辺に下ろした垂線の長さを、各成分(垂線を下ろした辺に対応する頂点が100%を示す成分)の濃度(混合分率)とする三成分比率を示す図である。)において、斜線部として示す混合比率の範囲である。前記の混合比率領域においてのみ、上記[0019]の定義に当てはまる溶解を呈する。しかし、斜線以外の部分では、懸濁あるいは沈殿、分離するなどの現象が見られ、上記[0019]の定義に従い、溶解しないと判定された。
因みに、図1は次のようにして作成した。カテキンと水溶性有機溶媒とをカテキン0〜100重量部に対して、水溶性有機溶剤を0〜100重量未満とする種々な割合で混合し、超音波を用いて均一に溶解させた後、得られた溶解液1重量部と油脂を0以上100重量未満の種々な割合で混合し、水溶性有機溶媒が揮発しないように密閉した状態で、迅速に均一に混合し、[0019]の定義にしたがって溶解状態を判定した結果をカテキン-水溶性有機溶媒-油脂の三成分の混合比率を三成分系図上にプロットして、溶解領域を求めて得られたのが図1で、斜線領域は溶解が確認された範囲である。
例えば、カテキンとしてエピガロカテキンガレート(EGCg)粉末(太陽化学株式会社製商品名:サンフェノンEGCg)、水溶性有機溶媒としてエタノール(ナカライテスク社製)、油脂としてサフラワー油(林ケミカル社製商品名:サフラワー油)を用いた場合には、図2の三成分系図において、斜線部の混合比率においてのみ、上記[0019]の定義に当てはまる溶解を呈した。斜線部以外の混合比率では懸濁あるいは沈殿、分離するなど、上記[0019]の定義に当てはまる溶解を認め得ない。三成分系図では、通常、三角形の頂点が各々の成分100%の点であるが、図2は見やすくするために油脂(サフラワー油)を100%とする以外の他の成分の混合比率を部分的に拡大して示した。
例えばカテキンとしてエピガロカテキンガレート(EGCg)粉末(太陽化学株式会社製商品名:サンフェノンEGCg)、水溶性有機溶媒として1−ブタノール(ナカライテスク社製)を用い、油脂として流動パラフィン(ナカライテスク社製商品名:流動パラフィン)を用いた場合には、図3の三成分系図において、斜線部の混合比率においてのみ、上記[0019]の定義に当てはまる溶解を呈した。斜線以外の混合比率では懸濁あるいは沈殿、分離するなど、[0019]の定義に当てはまる溶解を呈しない。三成分系図では通常、三角形の頂点が各々の成分100%の点であるが、図3も見やすくするために油脂(流動パラフィン)を100%とする以外の他の成分の混合比率を部分的に拡大して示した。
カテキン、油脂および水溶性有機溶媒の種類の組み合わせによって、カテキンが溶解する三成分の配合比率の範囲は異なるが、どの組み合わせにおいても溶解範囲は限定されるものの必ず存在する。
更に、カテキンを水溶性有機溶媒に混合し溶解させる処理方法について説明する。
特に制限は無いが、好ましくは機械的な手段や超音波を用いた振とう、又は攪拌等の方法を用いて溶解処理が行われる。溶解液と油脂の接触処理についても特に制限は無いが、好ましくは機械的な手段や振とう、又は攪拌等の方法を用いて行われる。
更に、これらの溶解や接触処理の間、使用する水溶性有機溶媒の種類によっても異なるが、例えば水溶性有機溶媒がエタノール等の容易に揮発するものである場合は、好ましくは密閉した状態で迅速に行なうのがよい。カテキンが空気中の酸素や光によって分解しやすいことから、好ましくは遮光した条件下で、及び不活性ガス雰囲気下で行うのがよい。そうすることによって、カテキンを油脂および水溶性有機溶媒の混合液中へより効率的に均一に溶解させることができ、より正確な再現性のある製造条件を確立できる。
以上のようにして得られるカテキン製剤は、実質的にカテキンと油脂および水溶性有機溶媒のみからなる油状液体製剤であり、水溶性で酸化され易いカテキンが油状溶剤としての油脂および水溶性有機溶媒の混合液中に極めて安定的に溶解している。しかも得られたカテキン製剤は、通常の水溶性製剤と比較して保存安定性が向上しており、このカテキン製剤の取扱中におけるカテキンの酸化が可及的に防止され、結果としてカテキンの保存安定性が顕著に向上する。
本発明の保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤は、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まず、カテキンと油脂および水溶性有機溶媒からなり、保存安定性に優れているので、飲食物、化粧料、医薬品等の多くの分野における抗酸化あるいは保存性向上を目的とする用途に好適であり、それらの製造原料としても極めて有用である。即ち、本発明の保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存向上製剤を含有する飲食物、化粧料、医薬品、産業燃料、その他の工業製品を当該産業界へ提供することができる。
また、本発明のカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法によれば、上記したように有用な、保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤を容易に製造して産業界の発達に寄与することができる。
本発明の保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤は、図1の三成分系図で斜線部分として特定される溶解領域の混合比率となるように、油脂および水溶性有機溶媒の混合液中にカテキンを溶解した、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まないカテキン製剤である。
本発明のカテキン含有抗酸化および保存向上製剤の製造方法は、図1の三成分系図で特定される溶解領域の混合比率となるように、カテキンと水溶性有機溶媒とをカテキン1重量部に対して、水溶性有機溶媒1〜100重量部未満の混合比率で混合し、超音波を用いて均一に溶解させ、得られた溶解液1重量部に対して、油脂を0以上100重量部未満の混合比率で混合し、密閉した状態で迅速に均一に溶解させて製造することを特徴とする。
カテキンとして、カテキン類の1種であるエピガロカテキンガレート(EGCg)粉末(太陽化学株式会社製商品名:サンフェノンEGCg)の1重量部をサンプル瓶中に量り取り、このサンプル瓶中にエタノール(ナカライテスク社製)の4重量部を量り取って混合し、密閉した状態で超音波洗浄器(50Hz 新電元工業株式会社製)に満たした水中にサンプル瓶ごと浸して均一に溶解した。その後、得られた溶解液1重量部に対して、油脂として中鎖脂肪酸トリグリセリド(Cognis社製商品名:DELIOS888、C8体含有量99wt%以上)の19重量部を量り取って混合し、マグネチックスターラーを用いて、エタノールが揮発しないように密閉し、遮光した状態で、200rpm及び0.5時間の条件で攪拌して溶解を進め、液体試料A(カテキン1%製剤)を製造した。製造後、直ちに上記[0019]の定義にしたがい、光学顕微鏡で観察したところ、カテキンの粒子は観察されず、肉眼で観察して透明な状態を呈し、カテキンが「溶解」したと確認できた。
上記のように製造した本発明のカテキン製剤(液体試料A)の酸化防止効果の評価確認のため、基準油脂分析法(1996年)の「安定性試験」のCDM試験(定義:試料を反応容器で120°Cに加熱しながら、清浄空気を送り込む。酸化により生成した揮発性分解物を水中に捕集し、水の伝導率が急激に変化する折曲点までの時間を誘導時間とする。)を準用し、油脂の変敗開始時間(誘導時間)を下記のように測定した。
[測定1]
菜種油(関東化学社製)100重量部に対し、上記実施例1の液体試料Aを0.5重量部添加し(菜種油中のカテキン50PPM)、上記CDM試験により誘導時間を測定した結果を表1に示す。
[測定2]
菜種油(関東化学社製)100重量部に対し、上記実施例1の液体試料Aを1重量部添加し(菜種油中にカテキン100PPM)、上記CDM試験により誘導時間を測定した結果を表1に示す。
[測定3]
菜種油(関東化学社製)100重量部に対し、実施例1の液体試料Aを2重量部添加し(菜種油中にカテキン200PPM)、上記CDM試験により誘導時間を測定した結果を表1に示す。
[測定4]
菜種油(関東化学社製)100重量部に対し、実施例1の液体試料Aを4重量部添加し(菜種油中にカテキン400PPM)、上記CDM試験により誘導時間を測定した結果を表1に示す。
[比較例1]
上記の測定1と同じ菜種油に液体試料Aを添加しない(菜種油単独)場合の誘導時間を、上記CDM試験により測定した結果も表1に示す。
[比較例2]
測定1と同じ菜種油100重量部に対し、dl−αトコフェロール(V.E)(関東化学社製)0.02重量部を添加し(菜種油中にdl−αトコフェロール200PPM)、上記CDM試験により誘導時間を測定した結果を表1に示す。
[比較例3]
測定1と同じ菜種油100重量部に対し、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)(関東化学社製)0.02重量部を添加し(菜種油中にBHTが200PPM)、上記CDM試験により誘導時間を測定した結果を表1に示す。
Figure 2009138028
上記の表1より明らかなように、本発明の実施品であるカテキン製剤(液体試料A)は、例えば無添加の比率例1の菜種油の酸化劣化に対して約2倍以上の誘導時間を発揮し強力な抗酸化力を示した。更にその抗酸化力は、同濃度のV.EやBHTの比較例2、3に比較しても強いことが明快に示された。
[抗菌性の確認試験]
上記実施例1で得られた本発明のカテキン製剤(液体試料A)について、日本化学療法学会誌(1981)寒天平板希釈法を用いて黄色ブドウ球菌および大腸菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した結果を表2に示す。
Figure 2009138028
上記表2より、本発明のカテキン製剤(液体試料A)は、黄色ブドウ球菌および大腸菌に対して強力な抗菌力を示した。また、液体試料Aについて評価した抗酸化性、抗菌性確認試験の結果をみると、含有カテキン濃度に依存してこれらの効果を発揮していることがわかる。つまり抗酸化・抗菌効果はカテキンの効果であって、他の2成分である油および水溶性有機溶媒は効果に関与していない。そのため、すべての処方例で測定を行う必要はなく、各処方のカテキン濃度のみから効果を外挿できる。
[保存安定性の確認試験]
上記実施例1で得られた本発明のカテキン製剤(液体試料A)と同濃度のEGCgを溶解した水溶液を調製し、上記の比較例1で得られた液体試料Aが無添加の試料、及び比較例2、3としてEGCgを精製水に溶解して得られたEGCg濃度1%体試料(対照水溶液1〜4)について、それぞれ3mlを試験管に入れ、遮光冷蔵保存、遮光常温条件(保存温度:15〜25°C)、遮光40℃条件(保存温度:40°C)および、非遮光常温で120日間保存し、14日目、60日目、及び120日目にそれぞれサンプリングし、各サンプリング試料について高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりEGCg濃度を測定し、このEGCg濃度の経時変化を調べて経過日数に対するEGCgの残存率を求めた結果を表3に示す。
Figure 2009138028
上記表3より、本発明のカテキン製剤(液体試料A)は、同濃度の対照水溶液1〜4と比較して残存率が高く高い安定性を示した。これは、水は、粘度が低いため拡散速度が大きく、溶存酸素が多く存在するため、カテキンが酸化分解を受けやすい状態にある。それに対して油脂と水溶性有機溶媒の混合液である対照水溶液1〜4は、水と比較して溶存酸素が少なく、粘度が高いために拡散速度が小さいため、分解が抑えられるのだと考えられる。
本発明のカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤は、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まず、しかも保存安定性に優れているので、飲食物、化粧料、医薬品等の多くの分野において抗酸化あるいは保存性向上を目的とする用途に好適であり、また、その製造原料として極めて有用なものとして利用できる。
中鎖脂肪酸トリグリセリド-エタノール-EGCg三成分系図である。 サフラワー油-エタノール-EGCg三成分系図の部分拡大図である。 流動パラフィン−1−ブタノール-EGCg三成分系図の部分拡大図である。

Claims (10)

  1. 油脂と水溶性有機溶媒とカテキンを、三成分系図で特定される溶解領域の混合比率となるように、油脂および水溶性有機溶媒の混合液中にカテキンを溶解した、実質的に乳化剤等の界面活性成分を含まないことを特徴とする、保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤。
  2. カテキンがエピガロカテキンガレート(EGCg)又は緑茶から抽出された粗カテキンである、請求項1に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤。
  3. 油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリド又はこの中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とするものである、請求項1に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤。
  4. 水溶性有機溶媒がエタノールである、請求項1に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤。
  5. 油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリド又はこの中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とするもので、水溶性有機溶媒がエタノールであり、カテキンがエピガロカテキンガレート(EGCg)又は緑茶から抽出された粗カテキンであり、中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびエタノールの混合液中にカテキンが溶解している、請求項1に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤。
  6. 油脂と水溶性有機溶媒とカテキンを、三成分系図で特定される溶解領域の混合比率となるように、カテキンと水溶性有機溶媒とを混合し、超音波を用いて均一に溶解させ、得られた溶解液と油脂を混合し、密閉した状態で迅速に均一に溶解させて製造することを特徴とする、カテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法
  7. カテキンがエピガロカテキンガレート(EGCg)、又は緑茶から抽出された粗カテキンである、請求項6に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法。
  8. 油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリド又はこの中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とするものである、請求項6に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法。
  9. 水溶性有機溶媒がエタノールである、請求項6に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法。
  10. カテキン1重量部に対して水溶性有機溶媒を1〜100重量部未満の混合比率で混合し、超音波を用いて均一に溶解させ、得られた溶解液1重量部に対し、油脂を0以上100重量部未満の混合比率で混合し、密閉した状態で迅速に均一に溶解させる、請求項6に記載した保存安定性に優れたカテキン含有抗酸化および保存性向上製剤の製造方法。
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