JP2009143157A - スプレイアップ機による繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

スプレイアップ機による繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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孝司 木内
Yoshio Natsuume
伊男 夏梅
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Abstract

【課題】充填剤を高度に充填可能で、得られる成形品の空洞部が少なく且つ外観に優れる繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】スプレイアップ機により繊維強化複合材料を作製する工程において、シクロオレフィンモノマーと重合触媒及び強化繊維を含んでなる成形用組成物を用いる。更に、強化繊維として炭素繊維を用い、且つ重合触媒としてルテニウム系触媒、特にヘテロ環構造含有の配位子を有するルテニウム系触媒を用いることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化複合材料の製造方法に関し、さらに詳しくは、充填剤を高度に充填可能で、空洞部が少なく且つ外観に優れる成形品が得られるスプレイアップ機による繊維強化複合材料の製造方法に関する。
浄化槽、浴槽などの繊維強化複合材料の製造法として、スプレイアップ成形法は容易で且つ設備費が安いことから広く採用されている。スプレイアップ成形法は、予め製作した型の表面に離型剤を塗布した後、その表面に硬化樹脂と強化繊維とからなる成形用組成物を吹き付けて繊維強化複合材料を製造する方法である。
具体的には、熱硬化性樹脂と長めの強化繊維とをスプレイアップ機により塗布し、ローラーなどにより含浸脱泡した後、硬化させてから離型して繊維強化複合材料を得ている。例えば、特許文献1には、不飽和ポリエステル樹脂と強化繊維ガラスロービング等からなる成形用組成物をスプレイアップ機により吹き付け、アルミ製、豚毛製、ジェラコン製などの脱泡ロールを用いてロール掛けするなどの脱泡作業を行なった後に硬化させ繊維強化複合材料を製造している。しかしながら、この方法では、充分に気泡が抜けきらず空洞部が形成され、その外観にも問題があった。
特開2003−39567号公報
本発明の目的は、充填剤を高度に充填可能で、得られる成形品の空洞部が少なく且つ外観に優れるスプレイアップ機による繊維強化複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、シクロオレフィンモノマーは低分子で粘度が低く、シクロオレフィンモノマーと重合触媒及び強化繊維を含んでなる成形用組成物をスプレイアップ機で成形型に吹き付け、ロールで脱泡した後に重合させると、残気泡量が極端に少なく成形品に空洞部が殆ど見られず、また外観に優れた繊維強化複合材料が得られることを見出した。また、成形用組成物に架橋剤を配合すると、より外観に優れ、且つ機械強度と靭性が高度にバランスされた成形品が得られること、さらに、強化繊維として炭素繊維を用い且つ重合触媒としてルテニウム系触媒、特にヘテロ環構造含有の配位子を有するルテニウム系触媒を用いると、空洞部が殆どなく外観に優れ、しかも機械強度と靭性に優れた繊維強化複合材料が得られること、及び成形用組成物に多量の充填剤を配合しても充分に優れた繊維強化複合材料が得られることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び強化繊維を含んでなる成形用組成物をスプレイアップ機により成形型に吹き付けた後に硬化することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法が提供される。
本発明によれば、充填剤を高度に充填可能で、空洞部が少なく且つ外観に優れる成形品を容易に製造できる。また、本発明の製造方法により製造される繊維強化複合材料は、充填剤を高度に充填可能で、空洞部が少なく且つ外観に優れるため、自動車や航空機などの乗物用構造体、スポーツ用途、土木、建築、各種住宅機器などの一般産業分野において好適に使用することができる。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。その例として、ノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーとは、ノルボルネン環を含むモノマーである。ノルボルネン系モノマーとしては、格別な限定はないが、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)、並びにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基などの極性基を有する誘導体などが挙げられる。単環シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体が挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(重合触媒)
本発明に使用される重合触媒としては、シクロオレフィンモノマーを重合するものであれば格別な限定はないが、通常はメタセシス重合触媒が用いられる。メタセシス重合触媒としては、メタセシス開環重合させるものであれば特に限定されないが、通常遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては例えばタンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、触媒活性が優れるため、熱可塑性樹脂の生産性に優れ、得られる熱可塑性樹脂の臭気(未反応のモノマーに由来する)が少なく作業性に優れる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも生産が可能である。
本発明においては、強化繊維として炭素繊維を用いた場合は、重合触媒としてヘテロ環構造含有の配位子を有するルテニウム系触媒を用いるのが、得られる繊維強化複合材料の外観、機械強度、靭性等の特性が高度にバランスされ好適である。ヘテロ環構造を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子等が挙げられ、好ましくは窒素原子である。また、ヘテロ環構造としては、イミダゾリンやイミダゾリジン構造が好ましい。
かかるヘテロ環構造含有の配位子を有するルテニウム系触媒としては、例えば、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの、配位子としてヘテロ環構造を有する化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物が挙げられる。
これらの重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
重合触媒は必要に応じて、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、および脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(強化繊維)
本発明に使用される強化繊維の種類としては、格別な制限はないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維などが挙げることができる。これらの中でも、有機繊維、ガラス繊維、あるいは炭素繊維が好ましく、炭素繊維がより好ましい。特に、炭素繊維は、成形用組成物の重合反応を阻害せずに得られる繊維強化複合材料の機械強度と靭性を高度に向上させることができ好適である。炭素繊維の種類としては、格別な限定はなく、例えば、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の各種の従来公知の方法で製造される炭素繊維が使用でき、中でも、アクリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)が重合阻害を起こさず、機械強度と靭性等の特性を高度に付与でき好適である。
本発明に使用される強化繊維の強度特性は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択される。引張強度としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張強度で、通常0.5〜50GPa、好ましくは1〜10GPa、より好ましくは2〜8GPaの範囲である。引張弾性率としては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張弾性率で、通常100〜1,000GPa、好ましくは200〜800GPa、より好ましくは300〜700GPaの範囲である。伸びとしては、JIS R7601に従って測定されるストランド引張伸びで、通常0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、より好ましくは1〜3%の範囲である。強化繊維の強度特性がこれらの範囲にあるときに、機械強度、靭性、外観の特性が高度にバランスされ好適である。
本発明に使用される強化繊維の長さは、格別な限定無く使用目的に応じて適宜選択され、短繊維、長繊維のいずれをも用いることができるが、より高い機械強度と靭性を得たい場合は、繊維の長さが1mm〜100cm、好ましくは0.5〜50cm、好ましくは1〜30cmの範囲である。
これらの強化繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、得られる繊維強化複合材料中の強化繊維含有量が、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲になるように選択される。強化繊維含有量がこの範囲にあるときに機械強度と靭性が高度にバランスされ好適である。
(成形用組成物)
本発明に使用される成形用組成物は、上記シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び強化繊維を必須成分として、必要に応じて、架橋剤、連鎖移動剤、エラストマー材料、老化防止剤、充填剤及びその他の添加剤を添加することができる。
本発明においては、成形用組成物に架橋剤を配合させることにより、得られる成形品の機械強度、靭性及び外観の特性が高度にバランスされ好適である。架橋剤としては、プリプレグを架橋させるものであれば格別な制限はないが、通常、通常ラジカル発生剤が用いられる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナート、ペルオキシカルボナートt−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド類;などが挙げられる。中でも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドおよびペルオキシケタール類が好ましい。ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。架橋剤がラジカル発生剤の場合の1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の種類及び使用条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
連鎖移動剤としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状のオレフィン類を用いることができる。その具体例としては、例えば、1−ヘキセン、ジビニルベンゼン、エチルビニルエーテル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−2−イル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸3−ブテン−2−イル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、アリルジメチルビニルシラン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリンなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その添加量は、シクロオレフィンモノマー全体に対して、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明に使用される成形用組成物は、エラストマー材料を加えることにより格段に靭性を向上させることができ好適である。エラストマー材料としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの水素添加物が挙げられる。これらのエラストマー材料は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜30重量部の範囲である。
本発明に使用される成形用組成物は、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を添加することにより、重合反応を阻害しないで、得られる繊維強化樹脂の耐酸化劣化性を高度に向上させることができ好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤が特に好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明においては、成形用組成物に充填剤を配合することにより得られる繊維強化複合材料の機械強度と靭性を格段に向上させることができ好適である。充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機系充填剤や有機系充填剤のいずれも用いることができが、好適には無機系充填剤である。無機系としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子、窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、各種エラストマー、廃プラスチック等の粒子化合物が挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは50〜350重量部の範囲である。充填剤がこの範囲にあるときに機械強度、靭性及び耐熱性等の特性を格段に向上させることができ好適である。少なすぎると十分な特性の向上が望めず、多すぎると成形用組成物の粘度が高くなり強化繊維への含浸が難しく、繊維強化複合材料内に空洞を生みやすくなる。
その他の添加剤としては、例えば、難燃剤、着色剤、光安定剤、顔料、発泡剤、高分子改質剤などが挙げられる。難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物などが挙げられる。着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の添加剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明に使用される成形用組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解または分散させた液(触媒液)を、シクロオレフィンモノマーに必要に応じてその他の添加剤を配合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
(スプレイアップ成形法)
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、スプレイアップ成形法により行なわれる。この方法では、予め製作した成形型の表面に離型剤を塗布し、その表面に強化繊維を含む成形用樹脂組成物をスプレイアップ機により吹き付け、アルミ製、豚毛製、ジュラコン製などの脱泡ロールを用いてロール掛けするなどの脱泡作業を行なった後に重合させて繊維強化複合材料を得ることができる。本発明に使用される離型剤は特に限定されないが、例えば公知のフッ素系、シリコーン系、ワックス系、ポリビニルアルコール(PVA)系が挙げられる。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
重合反応は、常法に従って行なうことができる。重合温度としては、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の範囲であり、また、前記架橋剤を配合させ且つ架橋剤がラジカル発生剤を用いる場合は、通常ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下の温度、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下の温度、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下の温度である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常0.1〜120分間、好ましくは0.5〜20分間、より好ましくは1〜5分間の範囲である。
成形用組成物に架橋剤を配合した場合の架橋反応としては、重合と同時に行なうこともできるし、重合後に行なってもよい。架橋させる方法は、常法に従えはよく、例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて熱プレスを行なうことができる。重合反応と架橋反応を同時に行なう場合の反応温度としては、通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃、より好ましくは120〜250℃の範囲であり、また、反応時間は、通常0.1〜180分間、好ましくは1〜120分間、より好ましくは2〜20分間の範囲である。架橋反応を重合反応後に行なう場合の架橋温度としては、前記架橋剤の架橋の起こる温度であり、ラジカル発生剤を用いた場合は、通常1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度であり、通常100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。また、架橋反応時間は、0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。
かくして得られる繊維強化複合材料は、空洞部が少なく且つ外観が優れるので、例えば、浄化層、浴室ユニット(壁、防水パン、天井、エプロン、カウンター等)、浴槽、洗面台、キッチンカウンター、壁材等の各種住宅機器、各種のパイプ、タンク製品、梁、グレーチング等の建設資材、カップ、トイレ等の雑貨品、または船艇、車両部材等に好適に用いられる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例における各特性は、下記の方法に従い測定、評価した。
(1) 空洞部の有無:成形品(繊維強化複合材料)に内在する空洞を、X線非破壊解析装置(松定プレシジョン社製)を用いて透過、観察し、下記基準で判断した。
◎:空洞部が殆ど見られない
△:僅かに見られる
×:中程度以上に空洞が見られる
(2) 外観:成形品の外観を観察し、下記基準で評価した。
◎:粉落ち、形状崩れが認められない
○:粉落ち、形状崩れが殆ど認められない
△:粉落ち、形状崩れが認められる
×:粉落ち、形状崩れの両方が認められるか、一方だけでも酷いもの
(実施例1)
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、ポリエチレン製の瓶にシクロオレフィンモノマーとして、ジシクロペンタジエン(DCP)を100部入れ、ここに連鎖移動剤としてアリルメタクリレートを0.74部を加えた後、上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100gあたり0.12mlの割合で加えて撹拌し、成形用組成物を調製した。
次いで、上記成形用組成物100部及び16mmに切断した炭素繊維(PAN系)をFRP用スプレイアップ機を用いて、L形アングル形状の成形型(高さ500mm、幅500mm、長さ1,000mm)に吹き付け、ローラーによる含浸脱泡作業を行なった後、150℃5分で硬化して高さ400mm、幅400mm、長さ800mm、且つ厚さが約3mmの成形品を得た。成形品の空洞有無及び外観を評価してその結果を表1に示した。
(実施例2)
成形用組成物に、架橋剤としてジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)1.2部を配合させ、重合を150℃5分、架橋をプレス機にて200℃15分で行う以外は実施例1と同様に行い高さ400mm、幅400mm、長さ800mm、且つ厚さが約3mmの成形品を得た。成形品の空洞有無及び外観を評価してその結果を表1に示した。
(実施例3)
成形用組成物に、充填剤としてのシリカ(アドマファイン製 0.5μm)60部を加える以外は、実施例2と同様に行い高さ400mm、幅400mm、長さ800mm、且つ厚さが約3mmの成形品を得た。成形品の空洞有無及び外観を評価してその結果を表1に示した。
(比較例1)
不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ化学社製ポリライトPS−150)75部、メチルエチルケトンペルオキシド(日本油脂社製パーメックN、1分間半減期温度175℃)1部、16mm長さに切断した炭素繊維(PAN系炭素繊維)25部をFRPスプレイアップ機を用いて、L形アングル形状の成形型(高さ500mm、幅500mm、長さ1,000mm)に吹き付け、ローラーによる含浸脱泡作業を行なった後、200℃60分で硬化して高さ400mm、幅400mm、長さ800mm、且つ厚さが約3mmの成形品を得た。成形品の空洞有無及び外観を評価してその結果を表1に示した。
Figure 2009143157
表1の結果から、本発明の製造方法で、空洞がなく、且つ外観に優れた成形品が得られることがわかる(実施例1〜3)。特に、成形用組成物に架橋剤を入れると両特性が高度にバランスされること(実施例1&2)、あるいは、無機充填剤を多量に配合した場合でも、空洞部が無く、且つ外観に優れる成形品が得られていることが判る(実施例3)。一方、不飽和ポリエステル樹脂の場合は、空洞部が残り、それにより外観も劣っていることが判る(比較例1)。

Claims (6)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒及び強化繊維を含んでなる成形用組成物をスプレイアップ機により成形型に吹き付けた後に重合することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 成形用組成物が架橋剤を含み、重合と同時に架橋反応を行なうか、重合後に架橋反応を行なう請求項1記載の製造方法。
  3. 強化繊維が、炭素繊維である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 重合触媒が、ルテニウム系触媒である請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
  5. ルテニウム系触媒が、ヘテロ環構造含有の配位子を有するものである請求項4記載の製造方法。
  6. 成形用組成物が、充填剤を更に含むものである請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
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